JPH1069868A - 蛍光体発光装置及びその製造方法 - Google Patents

蛍光体発光装置及びその製造方法

Info

Publication number
JPH1069868A
JPH1069868A JP22488496A JP22488496A JPH1069868A JP H1069868 A JPH1069868 A JP H1069868A JP 22488496 A JP22488496 A JP 22488496A JP 22488496 A JP22488496 A JP 22488496A JP H1069868 A JPH1069868 A JP H1069868A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cathode material
phosphor
emitting device
diamond
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22488496A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Deguchi
正洋 出口
Makoto Kitahata
真 北畠
Hideo Kurokawa
英雄 黒川
Tetsuya Shiratori
哲也 白鳥
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP22488496A priority Critical patent/JPH1069868A/ja
Publication of JPH1069868A publication Critical patent/JPH1069868A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrodes For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温度で安定に熱電子を放出するカソード部
を含んだ構成にすることにより、効率的に発光する蛍光
体発光装置を提供する。 【解決手段】 電子放出源である前記カソード材の表面
に例えば微小ダイヤモンド粒子などを複数個配置するこ
とによって、熱電子放出が容易なカソードを得ることが
可能となる。その結果、高効率に発光する蛍光体発光装
置を得ることが可能となる。また平均粒径が0.2μm
以下の微小ダイヤモンド粒子をカソード材表面、あるい
は表層に分布させる工程を含むことによって、熱電子放
出が容易となるダイヤモンドを微小粒子あるいはその凝
集体の形態でカソード材表面、あるいは表層に再現性よ
く配置できるので、容易に高効率な蛍光体発光装置を形
成することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線の照射によ
って蛍光体を発光させる蛍光体発光装置及びその製造方
法に関し、特に粒子状のダイヤモンドを表面、あるいは
表層に配置したカソードを構成要素として有する蛍光体
発光装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子線の照射によって蛍光体を発光させ
る蛍光体発光装置の代表的なものとしては、ディスプレ
ィなどの画像表示装置がある。これは電子放出源である
カソードから発せられた電子線を走査し、任意の位置の
蛍光体を発光させることにより画像を表示するものであ
る。通常、そのカソードとしてはタングステン(W)な
どの高融点金属からの放出される熱電子を用いた電子銃
や、微細な突起状構造から電子を電界放出させる冷陰極
素子が挙げられる。特に後者は、薄型の平面ディスプレ
ィ用の電子源として注目されている。
【0003】また蛍光体を発光させる他の装置として
は、蛍光灯に代表される照明器具がある。これは封止さ
れた容器内に充填されたガスを放電し、そのガス放電の
際に発せられる電子や紫外線のエネルギーによって蛍光
体を発光させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般的な画像表示装置
に用いられるブラウン管は、単一の電子銃から発せられ
る電子線を走査することによって蛍光体を発光させてい
るため、適切な画像を得るためには電子銃と蛍光体面に
適当な距離が必要であった。すなわち、奥行きが必要な
ため、画像表示装置を薄型化することが困難であった。
さらに電子の放出は、高融点金属からの熱電子放出によ
るものであり、カソード源に用いる金属を高温(700
℃以上)に加熱する必要があった。
【0005】また冷陰極素子をアレイ化して平面カソー
ドとした画像表示装置は薄型化が可能となるが、得られ
る電子放出量はその電子放出部の形状に大きく依存して
おり、安定な放出電流を得るためには冷陰極部分の構造
や形状を精密に制御する必要があった。すなわち、均一
に電子放出部を作製したり、電子放出部分の形状を維持
するなどの点で、安定な画像表示装置を作製することが
困難であった。
【0006】以上のような観点で従来技術をみた場合、
電子線照射によって蛍光体を発光させる画像表示装置に
おいて、安定でかつ効率的、省スペースの電子放出源を
作製することは困難であった。
【0007】また蛍光灯などの照明器具は、ガス放電の
際に発せられる電子や紫外線のエネルギーによって蛍光
体を発光させるものであるが、その発光効率を高めるた
めに封止された容器中に水銀が混入されている。すなわ
ち、地球環境保護の面において有毒物質を使用せざる得
ないという問題点があった。
【0008】そこで本発明は、従来技術における前記課
題を解決するため、電子放出源であるカソード材の表
面、あるいは表層に複数個の粒子、あるいは粒子の凝集
体が配置された構成を含むことにより、効率的で安定な
電子線放出が可能となるため、容易に蛍光体を発光させ
ることができる画像表示装置や照明器具などの蛍光体発
光装置を提供することを目的とする。
【0009】また本発明方法は、平均粒径が0.2μm
以下の粒子状のダイヤモンドをカソード材表面、あるい
は表層に配置させる工程を含むことにより、容易に蛍光
体を発光させることのできるカソードを構成要素として
有する蛍光体発光装置を作製することができる方法を提
供することを目的とする。
【0010】また本発明方法は、粒子状ダイヤモンドを
カソード材に配置した高効率蛍光体発光装置を作製する
際に重要な作製プロセス、並びに粒子状ダイヤモンドの
表面状態制御を容易にかつ合理的に行なう方法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る蛍光体発光装置の構成は、少なくと
も、封止された容器と、前記容器の内部に配置された蛍
光体層と、前記蛍光体層に電子線を照射するカソードか
らなる蛍光体発光装置であって、電子放出源であるカソ
ード材の表面、あるいは表層に複数個の粒子、あるいは
粒子の凝集体が配置された構成を含むことを特徴とす
る。
【0012】また本発明は、前記装置構成において、電
子放出源であるカソード材の形状が、線状構造であるこ
とが好ましい。
【0013】また本発明は、前記装置構成において、カ
ソード材の表面、あるいは表層に配置される粒子の平均
粒径が、0.2μm以下であることが好ましい。さらに
好ましくは、粒子の平均粒径が、0.05μm以下であ
る。
【0014】また本発明は、前記装置構成において、カ
ソード材の表面、あるいは表層に配置される粒子あるい
は粒子の凝集体が、ダイヤモンドからなることが好まし
い。
【0015】また本発明は、前記装置構成において、カ
ソード材の表面、あるいは表層に配置されるダイヤモン
ドの最表面の炭素原子が、水素原子との結合によって終
端された構造を含むことが好ましい。さらに好ましく
は、ダイヤモンドの最表面の炭素原子と結合した水素の
量が、2×1015個/cm2以上である。
【0016】また前記目的を達成するため、本発明に係
る少なくとも、封止された容器と、前記容器の内部に配
置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電子線を照射する
カソードからなる蛍光体発光装置の製造方法は、平均粒
径が0.2μm以下の粒子状ダイヤモンドをカソード材
の表面、あるいは表層に分布させる工程を含むことを特
徴とする。
【0017】また前記目的を達成するため、本発明に係
る蛍光体発光装置の製造方法は、平均粒径が0.2μm
以下の粒子状ダイヤモンドをカソード材の表面、あるい
は表層に分布させる工程と、前記粒子状ダイヤモンド上
にダイヤモンド層を成長させる工程を含むことを特徴と
する。
【0018】また本発明は、前記製造方法において、カ
ソード材の表面、あるいは表層への粒子状ダイヤモンド
の分布方法が、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイ
ヤモンドを分散させた溶液をカソード材に塗布すること
が好ましい。さらに好ましくは、用いる粒子状ダイヤモ
ンドの平均粒径が0.05μm以下である。
【0019】また本発明は、前記製造方法において、カ
ソード材の表面、あるいは表層への粒子状ダイヤモンド
の分布方法が、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイ
ヤモンドを分散させた溶液中にカソード材を設置し、前
記溶液に超音波振動を印加することが好ましい。さらに
好ましくは、用いる粒子状ダイヤモンドの平均粒径が
0.05μm以下である。
【0020】また本発明は、前記製造方法において、カ
ソード材の表面、あるいは表層への粒子状ダイヤモンド
の分布方法が、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイ
ヤモンドを分散させた溶液中にカソード材を設置し、前
記カソード材の導電部分と溶液を入れた容器との間、あ
るいは前記カソード材の導電部分と溶液中に設置された
電極との間に電圧を印加することが好ましい。さらに好
ましくは、用いる粒子状ダイヤモンドの平均粒径が0.
05μm以下である。
【0021】また前記目的を達成するため、本発明に係
る蛍光体発光装置の製造方法は、カソード材に粒子状ダ
イヤモンドを配置した後、前記カソード材を少なくとも
水素を含むガスを放電分解して得られるプラズマに晒す
工程、あるいは前記カソード材を少なくとも水素を含む
ガス中で加熱する工程を有することを特徴とする。
【0022】本発明の構成によれば、少なくとも、封止
された容器と、前記容器の内部に配置された蛍光体層
と、前記蛍光体層に電子線を照射するカソードからなる
蛍光体発光装置であって、電子放出源であるカソード材
の表面、あるいは表層に複数個の粒子、あるいは粒子の
凝集体が配置された構成を含むことを特徴とするため、
以下のような作用を奏することができる。
【0023】図1は本発明にかかる蛍光体発光装置の基
本的な構造を示す断面図の一例である。図1に示すよう
に、本蛍光体発光装置は、主な構成部分としてカソード
部1と、蛍光体部2と、導電層3と、封止された容器4
とからなる。ここで、カソード部1の表面、あるいは表
層には、複数個の粒子、あるいは粒子の凝集体5が配置
された構成となっている。
【0024】本発明で用いられるカソード部1の材質、
形状としては、従来用いられているものと同様であり、
特に限定されるものではないが、例えばタングステン
(W)やタンタル(Ta)の線(直径:数十μm程度)
や、絶縁性の基材上にパターニングされたW層などを用
いることができる。また蛍光体部2、導電層3及び封止
された容器4は、従来用いられているものと全く同様の
ものを用いることができる。
【0025】このカソード部1に従来技術と同様に通電
し、加熱することにより熱電子6が放出されるが、カソ
ード部1表面、あるいは表層に複数個の粒子、あるいは
粒子の凝集体が配置されていない従来構造で、は熱電子
6が十分に放出されるのに少なくとも700℃以上の加
熱が必要であるのに対し、本構成ではカソード材上に配
置した粒子、あるいは粒子の凝集体5の作用により、熱
電子6が放出され易くなり、より低温で、かつ安定な熱
電子放出が可能となる。
【0026】この様な蛍光体発光装置の構成例として
は、図1に示した構成に限定されるものではなく、例え
ば図2の様にカソード部1の一部の領域(蛍光体部2と
対向した領域)にのみに複数個の粒子、あるいは粒子の
凝集体5を配置する構成でも良い。また熱電子6がカソ
ード部1から放出されやすくするための引き出し電極7
を、カソード部1と蛍光体部2の間に付加した構成(図
3)や、封止した容器4の内面に配置された導電層3を
なくし、引き出し電極7のみとした構成(図4)でも可
能である。さらには、カソード部1に絶縁体層8を介し
て引き出し電極7を一体化させた構成(図5)でも良
い。
【0027】また本発明の装置構成において、電子放出
源であるカソード部1の形状が、線状構造であるという
好ましい例によれば、線状の電子放出源を容易に得るこ
とができるため、平面ディスプレィ用などの電子放出源
として最適である。
【0028】また本発明の装置構成において、カソード
材の表面、あるいは表層に配置される粒子の平均粒径
が、0.2μm以下、さらに望ましくは粒子の平均粒径
が、0.05μm以下であるという好ましい例によれ
ば、熱電子放出が容易となる領域を多数カソード部1に
配置させることが可能となる。すなわち、カソード材の
表面、あるいは表層に配置される粒子、あるいは粒子の
凝集体5の分布密度を、少なくとも1平方センチメート
ル当たり1×1010個以上という高密度に配置することが
可能なので、容易に大きな熱電子放出を得ることが可能
になる。
【0029】また本発明の装置構成において、カソード
材の表面、あるいは表層に配置される粒子、あるいは粒
子の凝集体がダイヤモンドからなるという好ましい例に
よれば、ダイヤモンドは広禁制帯幅半導体(5.5e
V)、高硬度、耐磨耗性、高熱伝導率、化学的に不活性
といった電子放出材料として非常に適した性質を有する
ので、低い加熱温度でかつ安定性に熱電子放出可能なカ
ソード部を有する蛍光体発光装置を実現することが可能
となる。
【0030】また本発明の装置構成において、カソード
材の表面、あるいは表層に配置されるダイヤモンドの最
表面の炭素原子が水素原子との結合によって終端された
構造、さらに望ましくは、ダイヤモンドの最表面の炭素
原子と結合した水素の量が、2×1015個/cm2以上である
構造を含むという好ましい例によれば、水素終端された
ダイヤモンド表面は負の電子親和力状態であることか
ら、非常に電子を放出をしやすい状態にすることが可能
となる。
【0031】また前記本発明方法によれば、少なくと
も、封止された容器と、前記容器の内部に配置された蛍
光体層と、前記蛍光体層に電子線を照射するカソードか
らなる蛍光体発光装置の製造方法であって、平均粒径が
0.2μm以下の粒子状ダイヤモンドをカソード材の表
面、あるいは表層に分布させる工程を含むことを特徴と
するので、以下のような作用を奏することができる。
【0032】すなわち、熱電子放出を容易にするダイヤ
モンドを微小粒子、あるいはその凝集体の形態でカソー
ド材表面、あるいは表層に再現性よく配置することがで
きるので、容易に安定で高効率なカソード部を形成する
ことが可能となる。その結果、効率的な蛍光体発光装置
を容易に形成することが可能となる。
【0033】さらにカソード材表面、あるいは表層に配
置された微小ダイヤモンド粒子を核にして、ダイヤモン
ド層を成長した構造によっても同様な効果を得ることが
できる。用いる粒子状ダイヤモンドの平均粒径として
は、上記の通り0.2μm以下とすることで十分効果は
得られるが、できるだけ小さい方が良く、望ましくは平
均粒径が0.05μm以下である。
【0034】また前記本発明方法の構成において、カソ
ード材の表面、あるいは表層への粒子状ダイヤモンドの
分布方法が平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイヤモ
ンドを分散させた溶液をカソード材に塗布する、あるい
は平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイヤモンドを分
散させた溶液中にカソード材を設置し、溶液に超音波振
動を印加する、あるいはカソード材の導電部と溶液を入
れた容器との間、あるいはカソード材の導電部と溶液中
に設置された電極との間に電圧を印加するという好まし
い例によれば、線状や板状など任意形状のカソード材に
対しても均一にかつ制御性、再現性良く粒子状ダイヤモ
ンドを分布させることが可能となる。また粒子状ダイヤ
モンドの分布位置の選択も可能となる。
【0035】その際、用いる溶液中に分散させた粒子状
ダイヤモンドの量としては、溶液1リットル当たり0.
01g以上、100g以下、さらに望ましくは溶液1リ
ットル当たり0.1g以上、20g以下である。具体的
な最適ダイヤモンド粒子量としては、用いるダイヤモン
ド粒子の平均粒径にも依存し、粒径が0.01μm場合
概ね1g程度、粒径が0.04μmの場合、概ね16g
程度である。このような溶液中には粒子状ダイヤモンド
が溶液1リットル当たり1×1016個〜1×1020個程度分
散しており、充分な量の微小ダイヤモンド粒子数を容易
にカソード材に分布させることが可能である。また用い
る溶液の分散媒としては、扱いの容易性から水あるいは
アルコールを主成分とする溶液が主として用いられる。
【0036】また本発明の蛍光体発光装置のカソード部
の構成においては、配置された粒子状ダイヤモンドの表
面制御が非常に重要である。なぜなら、ダイヤモンドの
表面状態によって、熱電子放出特性が変化するからであ
る。粒子状ダイヤモンドの表面構造を最適にする方法と
しては特に限定するものではないが、ダイヤモンド表面
の炭素原子と結合する元素を制御することが容易な方法
である。具体的な例として、水素終端表面とすることで
ダイヤモンドを熱電子が出やすい状態にすることができ
る。このような表面状態変化を任意に制御することで、
高効率蛍光体発光装置の構成並びに作製プロセスを簡便
にすることができる。
【0037】そこで前記本発明方法の構成によれば、カ
ソード材に粒子状ダイヤモンドを配置した後、前記カソ
ード材を少なくとも水素を含むガスを放電分解して得ら
れるプラズマに晒す工程、あるいは前記カソード材を少
なくとも水素を含むガス中で加熱する工程を有すること
を特徴とするので、選択的にダイヤモンド粒子の最表層
炭素原子に水素原子を結合させることが可能となり、そ
の結果容易に熱電子を放出し易い状態の領域を形成する
ことが可能になる。
【0038】以上のようにカソード材に配置されたダイ
ヤモンドの表面状態を任意に制御することにより、高効
率蛍光体発光装置の構成並びに作製プロセスを簡便にす
ることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、実施例を用いて本発明をさ
らに具体的に説明する。
【0040】<第1の実施の形態>まずカソード材に配
置される粒子として、微小なダイヤモンド粒子を用いた
場合の結果について記す。
【0041】まずカソード材を準備する。このカソード
材として用いる材料は特に限定されるものではないが、
本実施例では直径が20μmのタングステン(W)線を
用いた。次に、このW線を通常の洗浄工程で清浄化した
後に、平均粒径が0.02μmの微小ダイヤモンド粒子
を分散させた溶液中に浸透させることによって、その表
面に微小ダイヤモンド粒子を塗布した。本実施の形態で
は、1リットルの純水に0.4gのダイヤモンド粒子を
分散した溶液を用いた。すなわち、ダイヤモンド粒子数
として溶液1リットル当たり約2×1017個含まれた溶液
を用いた。ダイヤモンド粒子塗布後、W線は赤外線ラン
プ光の照射によって乾燥された。
【0042】以上のような方法で得られたW線の表面を
走査電子顕微鏡で観察すると、微小なダイヤモンド粒子
が点在して分布していることが確認された。その分布密
度は5×1010個/cm2程度であった。
【0043】この微小ダイヤモンド粒子が配置されたW
線を10-7Torr以下の真空中に設置し、W線に通電す
ることにより加熱した結果、約300〜400℃の温度
領域で、熱電子が放出されていることが確認された。そ
れに対し、微小ダイヤモンド粒子が配置されていない従
来のW線では、同様の熱電子放出を得るのに700℃以
上の加熱が必要であった。すなわち、微小ダイヤモンド
粒子が配置されたW線カソードが効率的な熱電子放出源
として作用していることが確認された。
【0044】そこでさらに支持部材に微小ダイヤモンド
粒子が配置されたW線を数十本架張し、各W線を通電加
熱(温度:約400℃)することで熱電子を得て、対向
に配置されたR、G、B対応の蛍光体に照射したとこ
ろ、十分な輝度の発光が得られることが確認された。
【0045】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
カソード材の形状、サイズを変えた場合、また塗布する
ダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調合した場
合、溶媒としてエタノールなどのアルコールを用いた場
合、さらには粒子をシリコンカーバイドに変えた場合な
どにおいても、同様の結果が得られた。
【0046】さらに本発明者らは、微小ダイヤモンド粒
子が配置されたW線と蛍光体部の間に引き出し電極を設
置し、引き出し電極に電圧を印加することによって、放
出される熱電子流の軌道を制御することが可能であるこ
とも確認した。
【0047】<第2の実施の形態>第1の実施の形態と
同様に、直径20μmのW線に微小ダイヤモンド粒を配
置した後、さらにそのダイヤモンド粒子を核としてダイ
ヤモンド層を成長させた場合の結果について記す。
【0048】用いるカソード材、及びW線上への微小ダ
イヤモンド粒の配置方法等は前記第1の実施の形態と同
様である。本実施の形態においては、微小ダイヤモンド
粒分散溶液にW線を浸透し、表面に微小ダイヤモンド粒
を塗布した後、さらにW線表面に分布されたダイヤモン
ド粒子上にダイヤモンド層を形成した。ダイヤモンド層
の合成方法としては特に限定はされないが、気相合成法
が容易であることから良く用いられる。気相合成方法
は、一般的には原料ガスにメタン、エタン、エチレン、
アセチレン等の炭化水素ガス、アルコール、アセトン等
の有機化合物及び一酸化炭素などの炭素源を水素で希釈
したものを用い、その原料ガスを分解することによって
行なわれるものである。その際、さらに原料ガスに適宜
酸素や水等を添加することもできる。適用可能な気相合
成法に関しても特に限定はされないが、本実施例におい
てはマイクロ波プラズマCVD法によってダイヤモンド
層の形成を行なった。マイクロ波プラズマCVD法は原
料ガスにマイクロ波を印加することによってプラズマ化
し、ダイヤモンドの形成を行なう方法である。具体的な
条件としては、原料ガスに水素で1〜10vol%程度
に希釈された一酸化炭素ガスを用いた。反応温度及び圧
力はそれぞれ800〜900℃及び25〜40Torr
である。また形成時間は1分から5分程度で充分であ
る。
【0049】以上のような方法でW線上の微小ダイヤモ
ンド粒子上にCVDダイヤモンド層を形成した結果、塗
布により配置された微小ダイヤモンド粒子の表面は、良
質なCVDダイヤモンド層でコートされた。また得られ
たダイヤモンド粒の表面状態は、水素で終端された状態
であった。
【0050】このような手順で作製したダイヤモンド粒
子が配置されたW線を10-7Torr以下の真空中に設置
し、通電加熱した結果、約300〜400℃の温度領域
で、熱電子が放出されていることが確認された。また水
素終端されたCVDダイヤモンド層の表面は非常に安定
であるため、比較的真空度が悪い環境(1×10-4Tor
r程度)においても安定な熱電子放出特性を有すること
が確認された。すなわち、微小ダイヤモンド粒子が配置
されたW線カソードが効率的な熱電子放出源として作用
していることが確認された。
【0051】そこでさらに、このW線を通電加熱(温
度:約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射
したところ、十分な輝度の発光が得られることが確認さ
れた。
【0052】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
塗布するダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調
合した場合、さらには他の形成条件でダイヤモンド層を
形成した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0053】さらに本発明者らは、微小ダイヤモンド粒
子が配置されたW線と蛍光体部の間に引き出し電極を設
置し、引き出し電極に電圧を印加することによって、放
出される熱電子流の軌道を制御することが可能であるこ
とも確認した。
【0054】<第3の実施の形態>次にW線に微小ダイ
ヤモンド粒を配置する方法として、超音波振動を用いた
場合の結果について記す。
【0055】用いるカソード材等は、前記第1の実施の
形態と同様である。本実施の形態においては、洗浄処理
されたW線を平均粒径が0.02μm程度の微小ダイヤ
モンド粒子を分散させた溶液が入った容器内に設置し、
容器全体に超音波振動を与える(以後、「超音波振動処
理」と記す)ことによって、W線上に微小ダイヤモンド
粒子を分布させた。本実施の形態では、1リットルの純
水に0.4gのダイヤモンド粒子を分散した溶液を用い
た。また超音波振動処理の際に印加した電力は100W
程度であり、処理時間は5〜15分である。超音波振動
処理を施したW線は純水中で洗浄された後、窒素ガスで
ブローすることにより乾燥された。
【0056】この超音波振動処理を施されたW線の表面
を走査電子顕微鏡で観察したところ、溶液に分散させた
微小ダイヤモンド粒が均一に分布していることがわかっ
た。またその分布密度は〜1×1011個/cm2程度であっ
た。
【0057】このような方法で作製したダイヤモンド粒
子が配置されたW線を10-7Torr以下の真空中に設置
し、W線を通電加熱した結果、約300〜400℃の温
度領域で、微小ダイヤモンド粒子が配置されたW線より
熱電子が放出されていることが確認された。すなわち、
微小ダイヤモンド粒子が配置されたW線カソードが効率
的な熱電子放出源として作用していることが確認され
た。
【0058】そこでさらに、このW線を通電加熱(温
度:約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射
したところ、十分な輝度の発光が得られることが確認さ
れた。
【0059】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
塗布するダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調
合した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0060】さらに本発明者らは、微小ダイヤモンド粒
子が配置されたW線と蛍光体部の間に引き出し電極を設
置し、引き出し電極に電圧を印加することによって、放
出される熱電子流の軌道を制御することが可能であるこ
とも確認した。
【0061】<第4の実施の形態>次に超音波振動処理
の条件を変化させて行なった場合の結果について記す。
【0062】用いたカソード材、並びに超音波振動処理
に用いた溶液等は、前記第3の実施の形態と同様であ
る。本実施の形態では、カソード材の超音波振動処理を
印加電力:350W、処理時間:30分の条件で行なっ
た。この条件で超音波振動処理を施したW線の表面を同
様に走査電子顕微鏡で観察したところ、W線上に分布し
た微小ダイヤモンド粒子に加えて、W線の表層に半ば埋
め込まれた形で分布する微小ダイヤモンド粒子が数多く
見受けられた。これは本実施例の超音波振動処理条件の
印加電力および処理時間が、第3の実施の形態と比較し
て大きいことに起因するものと考えられる。W線表面、
及び表層に埋め込まれて分布している微小ダイヤモンド
粒子の分布密度は、さらに大きくなって〜5×1011個/c
m2程度に達した。
【0063】このような方法で作製したダイヤモンド粒
子が配置されたW線を10-7Torr以下の真空中に設置
し、W線を通電加熱した結果、第3の実施の形態と同様
に約300〜400℃の温度領域で、熱電子が放出され
ていることが確認された。すなわち、微小ダイヤモンド
粒が配置されたW線カソードが効率的な熱電子放出源と
して作用していることが確認された。
【0064】そこでさらに、このW線を通電加熱(温
度:約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射
したところ、十分な輝度の発光が得られることが確認さ
れた。
【0065】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
塗布するダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調
合した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0066】<第5の実施の形態>続いてW線上に微小
ダイヤモンド粒子を配置する方法として、超音波振動処
理を施した後、さらに微小ダイヤモンド粒子上にダイヤ
モンド層を形成した場合の結果について記す。
【0067】用いるカソード材、及びW線上への微小ダ
イヤモンド粒子の分布方法等は前記第4の実施の形態と
同様である。またダイヤモンド層の形成方法について
は、前記第2の実施の形態と同様である。
【0068】以上のような方法で、微小ダイヤモンド粒
子上にダイヤモンド層を形成した結果、超音波処理によ
り配置された微小ダイヤモンド粒子の表面は、良質なC
VDダイヤモンド層でコートされた。またダイヤモンド
粒の表面状態は、水素で終端された状態であった。
【0069】このような方法で作製したダイヤモンド粒
子が配置されたW線を10-7Torr以下の真空中に設置
し、通電加熱した結果、約300〜400℃の温度領域
で、熱電子が放出されていることが確認された。また水
素終端されたCVDダイヤモンド層の表面は非常に安定
であるため、比較的真空度が悪い環境(1×10-4Tor
r程度)においても安定な熱電子放出特性を有すること
が確認された。すなわち、微小ダイヤモンド粒が配置さ
れたW線カソードが効率的な熱電子放出源として作用し
ていることが確認された。
【0070】そこでさらに、このW線を通電加熱(温
度:約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射
したところ、十分な輝度の発光が得られることが確認さ
れた。
【0071】<第6の実施の形態>次に微小ダイヤモン
ド粒子を分散させた溶液中にカソード材を設置し、その
カソード材と溶液中に設置された電極間に電圧を印加さ
せてカソード材上に微小ダイヤモンド粒子を配置した結
果について記す。
【0072】用いたカソード材は、前記実施の形態と同
様である。続いてこのカソード材と白金製の平板電極
を、平均粒径が0.02μm程度の微小ダイヤモンド粒
子を分散させた溶液が入った容器内に設置し、W線と白
金電極間に直流電圧を印加する(以後、「電圧印加処
理」と記す)ことによって、W線に微小ダイヤモンド粒
子を分布させた。本実施の形態では、1リットルの純水
に0.4gの微小ダイヤモンド粒子を分散した溶液を用
いた。また電圧印加処理の条件は、白金電極側を負極、
W線側を正極として、50Vの電圧を15分間印加し
た。電圧印加処理を施したW線は純水で洗浄された後、
窒素ガスでブローすることにより乾燥された。
【0073】この電圧印加処理を施されたW線の表面を
走査電子顕微鏡で観察したところ、溶液に浸透させたW
線表面に微小ダイヤモンド粒子が均一に分布しているこ
とがわかった。また、その分布密度は〜3×1010個/cm2
程度であった。これは溶液中でコロイド状となった微小
ダイヤモンド粒子が負の電荷を帯びているため、電圧印
加処理によってW線に引き寄せられたためと考えられ
る。
【0074】このような方法で作製した微小ダイヤモン
ド粒子が配置されたW線を10-7Torr以下の真空中に
設置し、通電加熱した結果、第3の実施の形態と同様に
約300〜400℃の温度領域で、熱電子が放出されて
いることが確認された。すなわち、微小ダイヤモンド粒
子が配置されたW線カソードが効率的な熱電子放出源と
して作用していることが確認された。
【0075】そこでさらにこのW線を通電加熱(温度:
約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射した
ところ、十分な輝度の発光が得られることが確認され
た。
【0076】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
塗布するダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調
合した場合、白金電極を用いず導電性の容器を負極とし
て用いた場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0077】<第7の実施の形態>次にW線上に微小ダ
イヤモンド粒子を分布させる方法として、電圧印加処理
を施した後、さらに微小ダイヤモンド粒子上にダイヤモ
ンド層を形成した場合の結果について記す。
【0078】用いたカソード材、並びに電圧印加処理に
用いた溶液中の微小ダイヤモンド粒の分散量等は、前記
第6の実施の形態と同様である。またダイヤモンド層の
形成方法についても、前記第3の実施の形態と同様であ
る。
【0079】以上のような方法で微小ダイヤモンド粒子
上にダイヤモンド層を形成した結果、電圧印加処理によ
り配置されたダイヤモンド粒子の表面は、良質なCVD
ダイヤモンド層でコートされた。またダイヤモンド粒の
表面状態は、水素で終端された状態であった。
【0080】このような方法で作製したダイヤモンド粒
子が配置されたW線を1×10-7Torr以下の真空中に
設置し、通電加熱した結果、約300〜400℃の温度
領域で、熱電子が放出されていることが確認された。ま
た水素終端されたCVDダイヤモンド層の表面は非常に
安定であるため、比較的真空度が悪い環境(1×10-4
orr程度)においても安定な熱電子放出特性を有する
ことが確認された。すなわち、ダイヤモンド粒子が配置
されたW線カソードが効率的な熱電子放出源として作用
していることが確認された。
【0081】そこでさらにこのW線を通電加熱(温度:
約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射した
ところ、十分な輝度の発光が得られることが確認され
た。
【0082】<第8の実施の形態>本実施の形態では、
絶縁性の基材上にパターニングされたW層パターンに対
して行なった場合について記す。
【0083】まず基材であるガラスを通常の洗浄工程で
清浄化した後、カソード部分となるW層を線状に形成し
た。
【0084】続いてガラス基材の全面に絶縁体層となる
二酸化シリコン層をスパッタリングあるいはCVD法等
の方法で形成した後、フォトレジスト材のパターンニン
グを行なった。パターニングの形状については特に限定
はされるものではないが、本実施例では直径20μm線
状の窓をW層上のフォトレジスト材に形成した。
【0085】次にこの基材と白金製の平板電極を、平均
粒径が0.02μm程度の微小ダイヤモンド粒子を分散
させた溶液が入った容器内に平行になるよう設置し、W
層と白金電極間に直流電圧を印加する電圧印加処理を行
なった。本実施の形態で用いた電圧印加処理の条件は、
前記第6の実施の形態と同じ条件である。電圧印加処理
を施した基材は純水で洗浄された後、窒素ガスでブロー
することにより乾燥された。
【0086】この電圧印加処理を施された基材の表面を
走査電子顕微鏡で観察したところ、電圧が印加されたW
層の線状部分にのみ、溶液に分散させた微小ダイヤモン
ド粒子が均一に分布していることがわかった。また、そ
の分布密度は〜3×1010個/cm2程度であった。
【0087】このような方法で作製した微小ダイヤモン
ド粒子が配置されたW層を有する基材を1×10-7Tor
r以下の真空中に設置し、W層を通電を加熱した結果、
第3の実施の形態と同様に約300〜400℃の温度領
域で、熱電子が放出されていることが確認された。すな
わち、微小ダイヤモンド粒が配置されたW層線カソード
が効率的な熱電子放出源として作用していることが確認
された。
【0088】そこでさらにこのW層を通電加熱(温度:
約400℃)して、R、G、B対応の蛍光体に照射した
ところ、十分な輝度の発光が得られることが確認され
た。
【0089】本実施の形態において、カソード材の種類
を他材料、例えばタンタル(Ta)などに変えた場合や
塗布するダイヤモンド粒子の粒径や量を変えて溶液を調
合した場合、白金電極を用いず導電性の容器を負極とし
て用いた場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0090】また他の方法、例えば超音波振動処理など
の方法で微小ダイヤモンド粒をカソード材表面に配置し
た場合も同様の結果が得られた。
【0091】<第9の実施の形態>第1の実施の形態で
作製した微小ダイヤモンド粒子が配置されたW線を蛍光
灯等の照明器具で用いられているフィラメント部に適用
した結果について記す。
【0092】用いるカソード材、及びW線上への微小ダ
イヤモンド粒の配置方法等は前記第1の実施の形態と同
様である。
【0093】この微小ダイヤモンド粒子が配置されたW
線から放出される熱電子による封止容器中の充填ガスの
放電効率を調べた結果、従来よりも高効率にガス放電が
なされることが確認された。その結果、従来よりも封止
容器内に含有量される水銀量を減少させた場合において
も、同様の輝度で蛍光体を発光させることが可能である
ことを確認した。
【0094】<第10の実施の形態>熱電子放出源であ
るカソード材表面に配置されたダイヤモンド粒子の表面
構造制御の方法として、カソード材を水素ガスを放電分
解して得られるプラズマに晒した結果について記す。
【0095】まず前記のような方法で表面に微小ダイヤ
モンド粒子が配置されたW線を準備した。この配置され
たダイヤモンド粒子の表面状態を調べたところ、一部が
酸素で終端された表面を有していることがわかった。そ
こで水素ガスのECR放電プラズマにこのW線を晒し
た。その際の水素プラズマ照射時間としては20秒間であ
る。その結果、水素プラズマに晒された領域の最表面炭
素は、水素との結合に変わっていることが確認され、熱
電子放出特性が改善されていることがわかった。すなわ
ち、このプロセスを用いることによって、ダイヤモンド
粒子の表面状態を制御することが可能であることが確認
された。
【0096】また水素ガスのECR放電プラズマに晒す
時間を変えた場合や水素ガスをアルゴンや窒素で10%
程度に希釈した場合、他の方法で形成した水素プラズマ
に晒した場合などにおいても、同様の結果が得られた。
【0097】<第11の実施の形態>熱電子放出源であ
るカソード材表面に配置されたダイヤモンド粒子の表面
構造制御の方法として、カソード材を水素ガス中で加熱
した結果について記す。
【0098】まず前記のような方法で表面に微小ダイヤ
モンド粒子が配置されたW線を準備した。この配置され
たダイヤモンド粒子の表面状態を調べたところ、一部が
酸素で終端された表面を有していることがわかった。そ
こで水素ガスを流した円筒形の容器内に微小ダイヤモン
ド粒子が配置されたW線を設置し、600℃まで加熱し
た。その際の処理時間としては10分間である。その結
果、水素雰囲気中で加熱されたダイヤモンド粒子の最表
面炭素は、水素との結合に変わっていることが確認さ
れ、W線カソードの熱電子放出特性が改善されているこ
とがわかった。すなわち、このプロセスを用いることに
よって、ダイヤモンド粒子の表面状態を制御することが
可能であることが確認された。
【0099】また容器に流す水素ガスをアルゴンや窒素
で10%程度に希釈した場合や加熱温度を400〜90
0℃の範囲で変化された場合などにおいても、同様の結
果が得られた。
【0100】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る蛍光体発光
装置によれば、少なくとも、封止された容器と、前記容
器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電子
線を照射するカソードからなる蛍光体発光装置であっ
て、電子放出源であるカソード材の表面、あるいは表層
に複数個の粒子、あるいは粒子の凝集体が配置された構
成を含むことを特徴とするため、より高効率で、かつ安
定な電子放出特性を有するカソード部を有する蛍光体発
光装置が可能となる。また本発明において、電子放出源
であるカソード部の形状を線状構造にすることにより、
平面ディスプレィ用などの電子放出源としても適してい
る。
【0101】また前記本発明方法によれば、少なくと
も、封止された容器と、前記容器の内部に配置された蛍
光体層と、前記蛍光体層に電子線を照射するカソードか
らなる蛍光体発光装置の製造方法であって、平均粒径が
0.2μm以下の粒子状ダイヤモンドをカソード材の表
面、あるいは表層に分布させる工程を含むことを特徴と
するので、熱電子放出を容易にするダイヤモンドを微小
粒子、あるいはその凝集体の形態でカソード部表面、あ
るいは表層に再現性よく配置することが可能となるり、
その結果効率的な蛍光体発光装置を容易に形成すること
が可能となる。
【0102】また前記本発明方法の構成によれば、カソ
ード材に粒子状ダイヤモンドを配置した後、前記カソー
ド材を少なくとも水素を含むガスを放電分解して得られ
るプラズマに晒す工程、あるいは前記カソード材を少な
くとも水素を含むガス中で加熱する工程を有することを
特徴とするので、選択的にダイヤモンドの最表層炭素原
子に水素原子を結合させることが可能となり、その結果
容易に熱電子を放出し易いカソード部を有した蛍光体発
光装置を形成することが可能になる。
【0103】以上のようにカソード部に配置されたダイ
ヤモンドの表面状態を任意に制御することにより、高効
率蛍光体発光装置の構成並びに作製プロセスを簡便にす
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光体発光装置の基本的な構造を
示す断面図
【図2】本発明に係る他の蛍光体発光装置の基本的な構
造を示す断面図
【図3】本発明に係る他の蛍光体発光装置の基本的な構
造を示す断面図
【図4】本発明に係る他の蛍光体発光装置の基本的な構
造を示す断面図
【図5】本発明に係る他の蛍光体発光装置の基本的な構
造を示す断面図
【符号の説明】
1 カソード部 2 蛍光体部 3 導電層 4 封止された容器 5 粒子あるいは粒子の凝集体 6 熱電子 7 引き出し電極 8 絶縁体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白鳥 哲也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、封止された容器と、前記容
    器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電子
    線を照射するカソードからなる蛍光体発光装置であっ
    て、電子放出源である前記カソード材の表面、あるいは
    表層に複数個の粒子、あるいは粒子の凝集体が配置され
    た構成を含むことを特徴とする蛍光体発光装置。
  2. 【請求項2】 電子放出源であるカソード材の形状が、
    線状構造であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光
    体発光装置。
  3. 【請求項3】 カソード材の表面、あるいは表層に配置
    される粒子の平均粒径が、0.2μm以下であることを
    特徴とする請求項1に記載の蛍光体発光装置。
  4. 【請求項4】 カソード材の表面あるいは表層に配置さ
    れる粒子あるいは粒子の凝集体が、ダイヤモンドからな
    ることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体発光装置。
  5. 【請求項5】 カソード材の表面あるいは表層に配置さ
    れるダイヤモンドの最表面の炭素原子が、水素原子との
    結合によって終端された構造を含むことを特徴とする請
    求項4に記載の蛍光体発光装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも、封止された容器と、前記容
    器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電子
    線を照射するカソードからなる蛍光体発光装置の製造方
    法であって、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイヤ
    モンドをカソード材の表面、あるいは表層に分布させる
    工程を含むことを特徴とする蛍光体発光装置の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 少なくとも、封止された容器と、前記容
    器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電子
    線を照射するカソードからなる蛍光体発光装置の製造方
    法であって、平均粒径が0.2μm以下の粒子状ダイヤ
    モンドをカソード材の表面、あるいは表層に分布させる
    工程と、前記粒子状ダイヤモンド上にダイヤモンド層を
    成長させる工程を含むことを特徴とする蛍光体発光装置
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 カソード材の表面、あるいは表層への粒
    子状ダイヤモンドの分布方法が、平均粒径が0.2μm
    以下の粒子状ダイヤモンドを分散させた溶液をカソード
    材に塗布することであることを特徴とする請求項6、7
    いずれかに記載の蛍光体発光装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 カソード材の表面、あるいは表層への粒
    子状ダイヤモンドの分布方法が、平均粒径が0.2μm
    以下の粒子状ダイヤモンドを分散させた溶液中にカソー
    ド材を設置し、前記溶液に超音波振動を印加することで
    あることを特徴とする請求項6、7いずれかに記載の蛍
    光体発光装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 カソード材の表面、あるいは表層への
    粒子状ダイヤモンドの分布方法が、平均粒径が0.2μ
    m以下の粒子状ダイヤモンドを分散させた溶液中にカソ
    ード材を設置し、前記カソード材の導電部分と溶液を入
    れた容器との間、あるいは前記カソード材の導電部分と
    溶液中に設置された電極との間に電圧を印加することで
    あることを特徴とする請求項6、7いずれかに記載の蛍
    光体発光装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 少なくとも、封止された容器と、前記
    容器の内部に配置された蛍光体層と、前記蛍光体層に電
    子線を照射するカソードからなる蛍光体発光装置の製造
    方法であって、カソード材に粒子状ダイヤモンドを配置
    した後、前記カソード材を少なくとも水素を含むガスを
    放電分解して得られるプラズマに晒す工程、あるいは前
    記カソード材を少なくとも水素を含むガス中で加熱する
    工程を有することを特徴とする蛍光体発光装置の製造方
    法。
JP22488496A 1996-08-27 1996-08-27 蛍光体発光装置及びその製造方法 Pending JPH1069868A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22488496A JPH1069868A (ja) 1996-08-27 1996-08-27 蛍光体発光装置及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22488496A JPH1069868A (ja) 1996-08-27 1996-08-27 蛍光体発光装置及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1069868A true JPH1069868A (ja) 1998-03-10

Family

ID=16820681

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22488496A Pending JPH1069868A (ja) 1996-08-27 1996-08-27 蛍光体発光装置及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1069868A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044590A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Toshiba Corp 放電灯
JP2008010169A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Dialight Japan Co Ltd 照明装置
US7348718B2 (en) 2003-07-28 2008-03-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Discharge electrode implemented by a wide bandgap semiconductor and a discharge lamp using the same
US7528535B2 (en) 2004-03-31 2009-05-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Cold cathode, cold cathode discharge lamp, and method for producing the same
US7605527B2 (en) 2004-05-31 2009-10-20 Kabushiki Kaisha Toshiba Discharge lamp and discharge electrode having an electron-emitting layer including a plurality of protrusions separated by grooves

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005044590A (ja) * 2003-07-25 2005-02-17 Toshiba Corp 放電灯
US7348718B2 (en) 2003-07-28 2008-03-25 Kabushiki Kaisha Toshiba Discharge electrode implemented by a wide bandgap semiconductor and a discharge lamp using the same
US7528535B2 (en) 2004-03-31 2009-05-05 Kabushiki Kaisha Toshiba Cold cathode, cold cathode discharge lamp, and method for producing the same
US7605527B2 (en) 2004-05-31 2009-10-20 Kabushiki Kaisha Toshiba Discharge lamp and discharge electrode having an electron-emitting layer including a plurality of protrusions separated by grooves
JP2008010169A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Dialight Japan Co Ltd 照明装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5637950A (en) Field emission devices employing enhanced diamond field emitters
JP3096629B2 (ja) 電子の電界放出デバイスを製造する方法
US5977697A (en) Field emission devices employing diamond particle emitters
US5623180A (en) Electron field emitters comprising particles cooled with low voltage emitting material
KR100702037B1 (ko) 전자방출소자 및 그 제조방법
KR100245910B1 (ko) 유사 다이아몬드박막의 제조방법,이에 따른 유사 다이아몬드박막,전계방출어레이 및 전계에미터캐소드
JP2002150929A (ja) 電子放出素子、電子源及び画像形成装置の製造方法
KR20080064612A (ko) 전계 방출 전극, 이의 제조 방법 및 이를 구비한 전계 방출소자
JP2006143576A (ja) カーボンナノチューブ,カーボンナノチューブを含む電子放出源,電子放出源を備えた電子放出素子および電子放出素子の製造方法
JPH1069868A (ja) 蛍光体発光装置及びその製造方法
JP3372751B2 (ja) 電界電子放出素子およびその作製方法
US7112353B2 (en) Film deposition apparatus and film deposition method
KR100707891B1 (ko) 탄소 나노튜브의 형성 방법 및 상기 방법으로 형성된 탄소나노튜브를 포함하는 전계방출 표시소자 및 그 제조 방법
US7175494B1 (en) Forming carbon nanotubes at lower temperatures suitable for an electron-emitting device
US6319367B1 (en) Plasma treatment for producing electron emitters
JP2002025421A (ja) 電子銃及びその製造方法、及びその電子銃を用いたカラー受像管、カラー受像システム
JP2003281991A (ja) 熱陰極及びこれを用いた放電装置
US7759662B2 (en) Field electron emission element, a method of manufacturing the same and a field electron emission method using such an element as well as an emission/display device employing such a field electron emission element and a method of manufacturing the same
JPH1040805A (ja) 冷陰極素子及びその製造方法
US6514112B1 (en) Coated-wire ion bombarded graphite electron emitters
KR101133815B1 (ko) 질화 붕소 박막 이미터와 그 제조방법, 및 그 질화 붕소박막 이미터를 사용하는 전자방출 방법
JPH11195371A (ja) 電子放出素子及びその製造方法
JPH10283914A (ja) 電子放出素子およびその製造方法
JPH11135002A (ja) 電子放出素子及びその製造方法、及びそれを用いた電子放出源並びに蛍光体発光装置
JP4608692B2 (ja) 大気中電子放出特性を有する電子放出素子とその製造方法、および、この素子を使用した電子放出方法