JPH1064704A - 積層チップ型電子部品 - Google Patents

積層チップ型電子部品

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JPH1064704A
JPH1064704A JP8239903A JP23990396A JPH1064704A JP H1064704 A JPH1064704 A JP H1064704A JP 8239903 A JP8239903 A JP 8239903A JP 23990396 A JP23990396 A JP 23990396A JP H1064704 A JPH1064704 A JP H1064704A
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JP
Japan
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electronic component
multilayer chip
type electronic
internal electrode
electrodes
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JP8239903A
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Inventor
Osamu Kanda
修 神田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容量性バリスタの静電容量を増大させるため
に、積層コンデンサ型のものが開示されているが、静電
容量が十分ではなく、またサージ電流が流された場合の
電気特性の変化率が大きいという課題があった。さら
に、外表面を被覆する従来の絶縁化合物層は、急峻ノイ
ズが印加された際にリーク電流により導電パスが形成さ
れ易く、電気的特性が劣化するという課題があった。 【解決手段】 SrTiO3 系材料を主成分とする誘電
体磁器成形体11中に複数の内部電極12を互いに平行
に形成し、内部電極12が対向する側面に形成された1
対の外部電極13と交互に接続し、その外表面にフェラ
イト材を主成分とする絶縁化合物層14を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層チップ型電子部
品に関し、より詳細には通信機器や事務・音響機器等の
電気・電子回路にノイズ吸収部品として搭載される電流
電圧非直線性を有する積層チップ型電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】粒界絶縁型半導体磁器は半導体化した磁
器焼結体(セラミックス)の結晶粒界に比較的低融点の
金属酸化物などが熱拡散し、前記結晶粒界に酸化物絶縁
層が形成されたものであり、この粒界部絶縁化により得
られる粒界絶縁型半導体磁器は容量素子として用いられ
る。また前記半導体磁器の粒界絶縁層は、一般に数nm
と薄いことから、粒界絶縁型半導体磁器からなる容量素
子は、静電容量(C)が大きいという利点を有する。
【0003】特に、チタン酸ストロンチウム(SrTi
3 )を主成分とした半導体磁器素子は、前記金属酸化
物などの熱拡散による粒界絶縁型構造をとり易いこと、
電気的特性が温度や周波数に対して安定していること、
誘電損失(tanδ)が小さいこと等の種々の利点を有
し、近年の電子機器・回路等の制御速度や信号処理速度
の高速化や各種の厳しい使用環境下における信頼性の向
上の要求にも対応し易い。このため、セラミックス電子
部品メーカ各社ともSrTiO3 を主成分とした容量素
子の高性能化、高付加価値化を図るべく研究開発を進め
ており、最近では、従来の主な用途であった低周波アナ
ログ回路以外に、電源用ノイズフィルター、半導体デバ
イス保護用の高周波ノイズ吸収素子等にも用途が拡大し
ている。上記用途の代表的な例として、電流電圧非直線
性容量磁器素子(以下、容量性バリスタと記す)が挙げ
られる。
【0004】この容量性バリスタは複合機能を有する素
子であり、通常はコンデンサとして機能するが、数kV
に及ぶ高圧の外来サージ(雷サージ)や、立ち上がりが
急峻なノイズ(以下、急峻ノイズと記す)が回路内で発
生した際にはバリスタとして機能し、これら外来サージ
等を吸収し、未然に回路素子(各種IC、LSI等)の
誤作動や絶縁破壊を防止する。
【0005】前記容量性バリスタに要求される主な電気
的特性は下記の通りである。
【0006】急峻ノイズに対する応答性を早めるべ
く、電流電圧非直線係数(α)が十分に大きいこと。 回路の定格電圧に合わせて、バリスタ電圧(V1mA
の制御が一定範囲内で自在に行えること。 急峻ノイズを吸収できるように、静電容量(C)が十
分に大きいこと。 定常状態における素子インピーダンスが小さいこと、
すなわち誘電損失(tanδ)が十分に小さいこと。 急峻ノイズ吸収後においても、バリスタ電圧(V
1mA )、電流電圧非直線係数(α)、静電容量(C)、
誘電損失(tanδ)等の特性の変化率が小さいこと
(電気ノイズ耐性が高いこと)。 素子の信頼性を高めるべく、内部電極と外部電極との
間のリーク電流の発生を抑制すること。
【0007】バリスタ機能を有する材料としては、他に
ZnO系(酸化亜鉛)セラミックスが有名であり、〜
、〜に関しては、十分良好な特性を有するが、
の静電容量(C)に関しては比誘電率(εr )がSrT
iO3 系の半導体磁器に比べて小さいため、素子の静電
容量(C)を十分に大きくとることができず、コンデン
サとしての機能が不十分になり、容量性バリスタとして
十分な機能を有さない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】一方、SrTiO3
の容量性バリスタは、〜に関しては十分な特性を有
するが、〜については、未だ十分な特性を有すると
は言えない。
【0009】すなわち、SrTiO3 系の容量性バリス
タは、SrTiO3 系半導体磁器の粒界構造の乱雑さに
起因し、電流電圧特性の安定性やバリスタ電圧(V
1mA )及び電流電圧非直線係数(α)の信頼性に欠ける
(電気ノイズ耐性が十分でない)という問題があった。
とりわけ回路基板表面への実装を目的としたチップ型電
子部品に関しては、電極構造等が通常のリード付き円板
型等のものに比べて微細かつ複雑化するため、上記した
電流電圧特性の安定性や電気ノイズ耐性がさらに不十分
となってしまう。
【0010】これらの問題を解決する方法の一つとし
て、例えば特開平5−90062号公報には、静電容量
(C)を増大させ、また電気特性の安定化を図った積層
粒界絶縁型半導体セラミックコンデンサが開示されてい
る。
【0011】上記公報によれば、その構造を積層型と
し、かつ内部電極にその有効電極面積に対して総面積が
5〜30%の孔を形成することにより、還元によるセラ
ミックスの半導体化が内部まで十分にかつ均一に行わ
れ、電気特性のばらつきが少なくなって信頼性が向上す
る。
【0012】しかし、従来の円板型のSrTiO3 系半
導体磁器と比較した場合、積層型としても静電容量
(C)が依然小さいという課題があった。
【0013】また、例えば特開平6−84686号公
報、及び特開平5−21211号公報には、電気ノイズ
耐性の向上を図ったチップ型容量性バリスタが開示され
ている。
【0014】特開平6−84686号公報記載のチップ
型容量性バリスタにおいては、積層化焼結体に急峻ノイ
ズを印加し、電極界面を破壊してインピーダンスを低下
させることによる、電気ノイズ耐性の向上が図られてい
る。また、特開平5−21211号公報に記載のチップ
型容量性バリスタにおいては、内部電極の形状を該内部
電極引き出し側を幅の広い略T字型とすることにより、
前記内部電極と外部電極との接触面積を増加させ、急峻
ノイズが印加された場合であっても、前記内部電極と前
記外部電極との接触部分に大電流が流れて破壊されるの
を防止している。
【0015】しかし、これらチップ型容量性バリスタに
おいても、静電容量(C)や誘電損失(tanδ)等の
特性が十分でないという課題があった。
【0016】さらに、上記に示した特性に関し、従来
は内部電極と外部電極との間のリーク電流の発生を抑制
するために、容量性バリスタの外表面を低融点のガラス
材よりなる絶縁化合物で被覆していたが、急峻ノイズや
高圧パルスが印加されると前記絶縁化合物層中に導電パ
スが形成され、前記絶縁化合物の絶縁機能が低下するた
め、バリスタ機能も大きく低下するという課題があっ
た。
【0017】本発明は上記課題に鑑みなされたものであ
り、静電容量(C)が十分大きく、急峻ノイズを吸収す
ることができ、急峻ノイズ印加時の内部電極と外部電極
との間のリーク電流の発生を抑制することができ、かつ
電気ノイズ耐性も十分に大きい積層チップ型電子部品を
提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段及びその効果】上記目的を
達成するために本発明に係る積層チップ型電子部品
(1)は、SrTiO3 系材料を主成分とする誘電体磁
器成形体中に複数の内部電極が互いに平行に形成され、
前記内部電極が対向する側面に形成された1対の外部電
極と交互に接続されている積層チップ型電子部品であっ
て、その外表面にフェライト材を主成分とする絶縁化合
物層が形成されていることを特徴としている。
【0019】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(2)は、絶縁化合物層が、X−Fe24 (該組成式
中、XはZn、Ni、及びCuのうちの少なくとも1
種)で表されるフェライト材と、Bi、Co、Si、及
びSnの1種以上を含むガラス成分とから構成されてい
ることを特徴としている。
【0020】上記積層チップ型電子部品(1)又は
(2)によれば、静電容量(C)が十分に大きく、外来
サージや急峻ノイズを吸収することができる。また、そ
の外表面にフェライト材を主成分とする絶縁化合物層が
形成されており、回路内に高周波電気ノイズが印加され
た際、内部電極と外部電極との間にリーク電流が発生し
たとしても、前記フェライト材は自己インピーダンスを
増加させ、電気ノイズを遮断する。そのため、リーク電
流発生後においても、絶縁化合物層内に導電パス等は形
成されず、電気的特性の変化率が小さい。従って、急峻
ノイズ等を吸収することができ、かつ電気ノイズ耐性が
十分に大きい積層チップ型電子部品を提供することがで
きる。
【0021】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(3)は、上記積層チップ型電子部品(1)又は(2)
において、内部電極の先端部外縁がなめらかな曲線形状
であることを特徴としている。
【0022】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(4)は、上記積層チップ型電子部品(1)又は(2)
において、内部電極が先端部に90°以下の頂点を有さ
ない形状であることを特徴としている。
【0023】上記積層チップ型電子部品(3)又は
(4)によれば、上記(1)又は(2)における効果の
他、前記内部電極の先端部外縁がなめらかな曲線形状で
構成されているか、又は先端部に90°以下の頂点を有
さない形状であるので、回路内に急峻ノイズが印加され
た際、内部電極の先端部分への電界集中によりリーク電
流が発生するのを抑制することができ、前記リーク電流
の発生に起因する電気特性の変化を効果的に防止するこ
とができる。従って、急峻ノイズ等を吸収することがで
き、かつ電気ノイズ耐性が十分に大きい積層チップ型電
子部品を提供することができる。
【0024】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(5)は、上記積層チップ型電子部品(3)又は(4)
において、対向する外部電極間の距離をXとし、内部電
極の先端部と該内部電極と対向する外部電極との距離を
Yとすると、両者が0.15≦Y/X≦0.38の関係
を満たすことを特徴としている。
【0025】上記積層チップ型電子部品(5)によれ
ば、積層チップ型電子部品(3)又は(4)に記載され
た効果の他、前記内部電極先端部と前記外部電極との距
離が適切に設定されているので、前記内部電極先端部分
からのリーク電流発生に起因する電気特性の変化をより
一層確実に防止することができるとともに、前記内部電
極の面積を大きく保つことができ、静電容量(C)、誘
電損失(tanδ)等の電気特性を十分に良好な範囲に
保つことができる。
【0026】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(6)は、上記積層チップ型電子部品(1)〜(5)の
いずれかにおいて、誘電体磁器成形体が粒界絶縁型の半
導体磁器組成物からなることを特徴としている。
【0027】上記積層チップ型電子部品(6)によれ
ば、積層チップ型電子部品(1)〜(5)のいずれかに
記載された効果の他、誘電体磁器組成物が比誘電率(ε
r )の大きい粒界絶縁型の半導体磁器組成物からなるの
で、静電容量(C)を十分大きな値とすることができ
る。
【0028】また本発明に係る積層チップ型電子部品
(7)は、上記積層チップ型電子部品(1)〜(6)の
いずれかにおいて、内部電極がNi又はCuからなるこ
とを特徴としている。
【0029】上記積層チップ型電子部品(7)によれ
ば、積層チップ型電子部品(1)〜(6)のいずれかに
記載された効果の他、内部電極がNi又はCuからなる
ので、前記積層チップ型電子部品の製造において還元雰
囲気で焼成しても、内部電極に変化が生じず、電気的特
性を良好に保つことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】まず、本発明の実施の形態に係る
積層チップ型電子部品の構成を説明する。
【0031】SrTiO3 系誘電体磁器組成物の種類は
特に限定されるものではないが、粒界絶縁型の半導体磁
器組成物が比誘電率(εr )が大きい点から好ましい。
また、その組成も特に限定されるものではなく、公知の
ものを使用することができる。前記半導体磁器組成物と
しては、例えばSrの一部がCa、Mg、Pb等で置換
されたもの、Tiの一部がNb等の希土類元素で置換さ
れたもの等が挙げられ、結晶粒界層に偏析する金属とし
ては、Co、Cu、Mn、Na、Ti、B、Bi等が挙
げられる。
【0032】図1(a)は実施の形態に係る積層チップ
型電子部品を模式的に示した斜視図であり、(b)は
(a)におけるB−B線断面図である。
【0033】積層チップ型電子部品10は、通常の積層
コンデンサとほぼ同様の構成となっており、誘電体磁器
成形体11中に複数の内部電極12が互いに平行に形成
されている。また、内部電極12は誘電体磁器成形体1
1の左右の両側面に形成された外部電極13と交互に接
続されている(図1(b))。外部電極13は誘電体磁
器成形体11の両側面から剥れにくいように前記両側面
に隣接する面の端部にも延長形成されており、外部電極
13が形成されている部分以外の外表面は絶縁化合物層
14で被覆されている。
【0034】絶縁化合物層14は、X−Fe24 (該
組成式中、XはZn、Ni、及びCuのうちの少なくと
も1種)で表されるフェライト材と、Bi、Co、S
i、及びSnの1種以上を含むガラス成分とから構成さ
れている。前記フェライト材は、高周波ノイズに対して
自己インピーダンスを増加させ、高周波ノイズを遮断す
る。従って、サージ電流が流れることにより内部電極1
2と外部電極13との間にリーク電流が発生した場合に
も、積層チップ型電子部品10の電気特性の変化を抑制
することができる。絶縁化合物層14の厚さは少なくと
も30μm程度とするのが好ましい。
【0035】前記フェライト材(X−Fe24 )中の
XがFe成分に対して0.32未満であると、絶縁化合
物を誘電体磁器成形体11上に焼き付けてもフェライト
材の焼結が進行しにくくなるか、又はリーク電流発生後
の静電容量の変化率(ΔC)が大きくなり、他方、前記
フェライト材中のXがFe成分に対して0.38を超え
ると、リーク電流発生後の絶縁化合物14中に導電パス
が形成され、外部電極13にクラックが発生し易くなる
ので、置換成分XはFe成分に対して合計で32.0〜
38.0mol%とするのが好ましい。
【0036】また、前記フェライト材に対するガラス成
分の割合が2.0重量%未満であると、フェライト材の
焼結が進行しにくくなり、他方、フェライト材に対する
ガラス成分の割合が5.0重量%を超えると、外部電極
13と絶縁化合物層14との反応が進行し易くなるの
で、ガラス成分はフェライト材に対して合計で2.0〜
5.0重量%とするのが好ましい。
【0037】図2(a)は、本実施の形態において誘電
体磁器成形体11中に形成された内部電極12の形状を
模式的に示した水平断面図であり、(b)は別の実施の
形態における内部電極22の形状を模式的に示した水平
断面図である。
【0038】内部電極12の形状は、特に限定されるも
のではなく、矩形形状であってもよいが、急峻ノイズが
印加された際に、先端部分で電界集中が起こり、リーク
電流が発生するのを抑制するため、先端部外縁がなめら
かな曲線形状となっているか、又は先端部に90°以下
の頂点を有さない形状が好ましい。内部電極12、22
の形状の具体例としては、図2(a)に示したように先
端部分が半楕円形状となっているもの、先端部分が半円
形状となっているもの、図2(b)に示したように四角
形の角が切り取られた形状となっているもの、あるいは
角部が円弧形状となっているもの等が挙げられる。
【0039】また、図2に示したように、内部電極1
2、22の先端から内部電極12、22と対向する外部
電極13までの距離をYとし、外部電極13間の距離を
Xとすると、Y/Xが0.15〜0.38の範囲にある
のが好ましい。Y/Xが0.15未満では、外部電極1
3と内部電極12との距離が近すぎ、通常の印加電流に
対してもリーク電流が発生し易く、急峻ノイズを印加し
た後の静電容量(C)に大きな変化が生じ易く、他方Y
/Xが0.38を超えると、内部電極12、22の面積
が小さくなるため、静電容量(C)が小さくなってしま
う。
【0040】内部電極12の形成には、製造の際の、還
元雰囲気で焼成しても変化しない材料を用いるのが好ま
しく、このような電極材料としては、例えばNi、Cu
等が挙げられるが、電極用ペーストの価格や抵抗値等を
考慮するとNiを主成分とするものが好ましい。
【0041】コンデンサの静電容量(C)は、下記の数
1式で表される。
【0042】
【数1】C=εr ・ε0 ・(A/d) 上記数1式において、ε0 は真空中の誘電率、Aは電極
の面積、dは電極間の距離を表している。上記数1式よ
り、電極間の距離(d)が短いほど、電極の面積(A)
が大きいほど、静電容量(C)の値は大きくなる。従っ
て、内部電極12間の距離が短く、誘電体磁器成形体1
1中に多数の内部電極12が形成された構成の実施の形
態に係る積層チップ型電子部品10においては、両主面
のみに対向電極が形成された従来の容量バリスタと比較
して静電容量(C)の値が大きくなる。
【0043】次に、この積層チップ型電子部品10の製
造方法について簡単に説明する。
【0044】まず、SrTiO3 系の誘電体磁器組成物
の原料粉末、CuO、SiO2 等の焼結助剤、樹脂、及
び溶剤を混合してスラリを形成する。この誘電体磁器組
成物の原料粉末は、SrCO3 、TiO2 、及びNb2
5 等の混合粉末を仮焼合成することにより誘電体磁器
組成物の組成としたものを使用する。仮焼時に所定の組
成物が合成されていることをX線解析、元素分析等で確
認する。次に、このスラリを用い、ドクターブレード法
等により50〜60μmの厚さのグリーンシートを作製
し、適当な大きさに切断する。
【0045】図3は、積層するグリーンシートを模式的
に示した斜視図である。
【0046】積層するグリーンシート31上にNi等の
導電性金属の粉末を含む電極ペーストを塗布して先端部
外縁がなめらかな曲線形状よりなる電極ペースト層32
を形成する。次に、図3に示したように、電極ペースト
層32が形成されていない空白部33を右側に位置させ
たグリーンシート31と、空白部33を左側に位置させ
たグリーンシート31とを交互に積層し、最上層に電極
ペースト層32が全く形成されていないグリーンシート
31を積層した後、圧接することによりグリーンシート
積層体を形成する。図3には、1パターンの電極ペース
ト層32のみが印刷されたグリーンシート31を示して
いるが、実際には、同じパターンの電極ペースト層32
が縦及び横に多数形成されたグリーンシート31を積
層、圧着した後、所定の寸法に切断することにより、グ
リーンシート積層体を作製する。
【0047】このグリーンシート積層体に700〜80
0℃で脱バインダ処理を施した後、水素を1〜20容量
%、窒素を80〜99容量%含む混合ガス雰囲気(還元
性雰囲気)下、1350〜1450℃で焼成することに
より半導体化した焼結体(半導体磁器)を製造する。次
に、焼結体の結晶粒界を絶縁化するため、大気中、10
00℃程度の温度でアニール熱処理する。次に、左右の
側面及びこれらの面に隣接する面の端部(図1(b))
を残し、X−Fe24 (該組成式中、XはZn、N
i、及びCuのうちの少なくとも1種)で表されるフェ
ライト材と、Bi、Co、Si、及びSnの1種以上を
含むガラス成分とから構成される絶縁化合物を含むペー
ストを650℃で印刷して焼き付け、絶縁化合物層14
を形成した後、左右の側面及びこれらの面に隣接する面
の端部に外部電極13用のペーストを印刷し、600〜
650℃で焼き付けて外部電極13を形成し、積層チッ
プ型電子部品10の製造を終了する。
【0048】上記方法により製造された積層チップ型電
子部品10は、静電容量(C)、誘電損失(tan
δ)、バリスタ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数
(α)等の特性に優れ、急峻ノイズが印加された後にお
いても誘電損失(tanδ)が小さく、かつ静電容量の
変化率(ΔC)、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )、
及び電流電圧非直線係数の変化率(Δα)がともに小さ
な優れた特性を有する容量性バリスタとなる。
【0049】前記電気的特性は以下のようにして評価す
ることができる。すなわち、静電容量(C)と誘電損失
(tanδ)はインピーダンスアナライザ(例えば、Y
HP製 4192A)を用い、周波数lKHz、測定電
圧1Vの条件で測定を行う。バリスタ電圧(V1mA )は
サンプル素子に直流電圧を0〜100Vまで直流定電圧
電源装置(例えば、YHP製 4140B)を用いて連
続印加し、素子に1mAの電流が流れたときの端子間電
圧(V1mA )で表示する。電流電圧非直線係数(α)
は、10mAの電流が流れたときの端子間電圧
(V10mA)を測定し、下記の数2式から算出する。測定
温度はいずれの場合も20℃とした。
【0050】
【数2】α=1/log(V10mA/V1mA ) バリスタ電圧(V1mA )、電流電圧非直線係数(α)、
静電容量(C)、誘電損失(tanδ)を測定後、端子
間にサージ電流(8×20μsecの波形、3000A
/cm2 )を1分間隔で5回流し、再度バリスタ電圧
(V1mA )、電流電圧非直線係数(α)、静電容量
(C)、誘電損失(tanδ)を測定し、サージ電流を
流した前後におけるこれら電気的特性の変化率を求め
た。
【0051】
【実施例及び比較例】以下、本発明に係る積層チップ型
電子部品の実施例を説明する。実施例及び比較例に係る
積層チップ型電子部品の製造条件は以下の通りである。
【0052】(1) 実施例 原料粉末の仮焼合成 原料化合物:SrCO3 、CaCO3 、TiO2 、Nb
25 焼結助剤:CuO、SiO2 原料粉末の平均粒径:1.5μm以下 半導体磁器組成物の組成: 仮焼合成の温度:1150℃、時間:2.0時間、雰囲
気:空気 整粒後の平均粒子径:1.0μm グリーンシート31の作製、及び積層 内部電極12用電極ペーストの塗布 内部電極12の材料:Ni 塗布形状:図2(a)に示した形状 Y/Xの値:表1に示す グリーンシート31の積層 半導体磁器成形体の製造 (i) 脱脂処理 温度:700℃、時間:2時間、雰囲気:空気 (ii) 焼成 温度:1380℃、時間:2時間、雰囲気:H2 :10
vol%、N2 :90vol% 絶縁化合物層14及び外部電極13の形成 絶縁化合物層14の組成 フェライト材:X−Fe24 フェライト材に対するガラス材の割合:1.9〜5.1
重量% 絶縁化合物層14形成の温度:920℃、雰囲気:空気 外部電極13用Agペーストの焼き付け温度:600
℃、雰囲気:空気 製造した積層チップ型電子部品10の個数:各実施例に
つき30個 電気的特性値:30個のサンプルの平均値 (2) 比較例 内部電極42の形状を積層チップ型電子部品40の水平
断面図(図4)に示した形状とし、絶縁化合物層14に
低融点のガラスを用いた他は、実施例の場合と同様にし
て積層チップ型電子部品40を製造した。
【0053】(3) 実施例及び比較例の結果 上記した実施例及び比較例に係る積層チップ型電子部品
10、40の内部電極の形状、Y/Xの値、絶縁化合物
層の組成、サージ電流を流す前の電気的特性、及び前記
サージ電流を流した後の電気的特性の変化率(誘電損失
(tanδ))の測定結果を下記の表1及び表2に示し
ている。なお、比較例に係る積層チップ型電子部品40
については、表1の備考欄に*印を付して区別した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】上記表1の結果より明らかなように、実施
例に係る積層チップ型電子部品10は、静電容量(C)
が1000pF以上、誘電損失(tanδ)が5%以
下、バリスタ電圧(V1mA )が15V以下、電流電圧非
直線係数(α)が10以上と、従来素子にない優れた特
性を示すと同時に、サージ電流印加後の誘電損失(ta
nδ)が5%以下、静電容量の変化率(ΔC)が3%以
下、バリスタ電圧の変化率(ΔV1mA )が3%以下、電
流電圧非直線係数(α)の変化率(Δα)が5%以下と
従来にない優れた特性を示している。上記電気的特性
は、誘電特性とバリスタ特性の両立ばかりでなく、サー
ジ電流を流した後においてもバリスタ特性の良好な再現
性が得られることを示しており、ノイズ除去等の目的で
回路基板に実装することができる材料として最適であ
り、他のチップ型電子部品に対して十分な差別化を図る
ことができた。
【0057】一方、備考欄に*印で示した絶縁化合物層
14が低融点ガラスよりなり、角型形状の内部電極42
が形成された積層チップ型電子部品40においては、種
々の電気的特性において、実施例に係る積層チップ型電
子部品10に大きく劣っており、要求される電気的特性
を十分に満足させることができなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態に係る積層チップ
型電子部品を模式的に示した斜視図であり、(b)は
(a)におけるB−B線断面図である。
【図2】実施の形態に係る積層チップ型電子部品の誘電
体磁器成形体中に形成された内部電極の形状を模式的に
示した水平断面図であり、(b)は別の実施の形態にお
ける内部電極の形状を模式的に示した水平断面図であ
る。
【図3】実施の形態に係る積層チップ型電子部品の製造
において、積層するグリーンシートを模式的に示した斜
視図である。
【図4】比較例に係る積層チップ型電子部品の誘電体磁
器成形体中に形成された内部電極の形状を模式的に示し
た水平断面図である。
【符号の説明】
10、20 積層チップ型電子部品 11 誘電体磁器成形体 12、22 内部電極 13 外部電極 14 絶縁化合物層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 SrTiO3 系材料を主成分とする誘電
    体磁器成形体中に複数の内部電極が互いに平行に形成さ
    れ、前記内部電極が対向する側面に形成された1対の外
    部電極と交互に接続されている積層チップ型電子部品で
    あって、その外表面にフェライト材を主成分とする絶縁
    化合物層が形成されていることを特徴とする積層チップ
    型電子部品。
  2. 【請求項2】 絶縁化合物層が、X−Fe24 (該組
    成式中、XはZn、Ni、及びCuのうちの少なくとも
    1種)で表されるフェライト材と、Bi、Co、Si、
    及びSnの1種以上を含むガラス成分とから構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の積層チップ型電子
    部品。
  3. 【請求項3】 内部電極の先端部外縁がなめらかな曲線
    形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載
    の積層チップ型電子部品。
  4. 【請求項4】 内部電極が先端部に90°以下の頂点を
    有さない形状であることを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載の積層チップ型電子部品。
  5. 【請求項5】 対向する外部電極間の距離をXとし、内
    部電極の先端部と該内部電極と対向する外部電極との距
    離をYとすると、両者が0.15≦Y/X≦0.38の
    関係を満たすことを特徴とする請求項3又は請求項4記
    載の積層チップ型電子部品。
  6. 【請求項6】 誘電体磁器成形体が粒界絶縁型の半導体
    磁器組成物からなることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれかの項に記載の積層チップ型電子部品。
  7. 【請求項7】 内部電極がNi又はCuからなることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかの項に記載の積層チ
    ップ型電子部品。
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