JPH1061405A - 軸流形ターボ機械の静翼 - Google Patents

軸流形ターボ機械の静翼

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JPH1061405A
JPH1061405A JP22098796A JP22098796A JPH1061405A JP H1061405 A JPH1061405 A JP H1061405A JP 22098796 A JP22098796 A JP 22098796A JP 22098796 A JP22098796 A JP 22098796A JP H1061405 A JPH1061405 A JP H1061405A
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blade
region
axial
stationary
stationary blade
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JP22098796A
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English (en)
Inventor
Kiyoshi Segawa
瀬川  清
Yoshio Kano
芳雄 鹿野
Yoshiaki Yamazaki
義昭 山崎
Kuniyoshi Tsubouchi
邦良 坪内
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】翼全体として流体損失を低減することができる
軸流型ターボ機械の静翼を提供することにある。 【解決手段】環状翼列流路内に複数個配置された軸流型
ターボ機械の静翼において、前記静翼は、ロータ軸方向
から見た翼後縁の投影形状は、同方向から見て翼圧力面
方向に凸形状を有し、翼の端部のうち少なくとも根元部
から翼の半径方向に所定の高さまでの領域は、同方向か
ら見て翼圧力面方向側に凸の曲線状の曲線領域が形成さ
れ、前記静翼の半径方向の中心領域を含む所定の領域
は、直線状に形成される直線領域が形成され、前記静翼
の前縁及び後縁の子午面への投影形状は、動翼の前段側
に凸形状を有し、翼の端部の根元部から翼の半径方向に
所定の高さまでの領域は、該端部から前段側に凸の曲線
状の曲線領域が形成され、翼長の半分となる位置を含む
所定の領域は、直線状の直線領域が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蒸気タービン,ガス
タービン及び軸流圧縮機等の軸流形ターボ機械の静翼に
関する。
【0002】
【従来の技術】軸流形ターボ機械の静翼構造の従来例と
しては、An Investivation of LeanedNozzle Effects o
n Low Pressure Steam Turbine Efficiencies,Proc. o
f theAdvances in Steam Turbine Technology for Powe
r Generation PWR−Vol.10ASME Power division に記載
されているような静翼を動翼回転方向に単純に傾ける構
造がある。これは、蒸気タービン低圧段のような翼長の
長い静翼において、根元部のはく離を抑えることを意図
したものである。また、The Influence ofBlade Lean o
n Turbine Losses, ASME Paper No.90−GT−55
に記載されているような静翼の後縁線を軸方向からみて
翼の高さ方向に対称となる弓形形状をした構造がある。
これは、静翼の翼間側壁近傍に発生する二次流れ渦の発
達を抑制することを意図するものである。これに対し、
特公平6−92723号公報に記載されているような静翼の後
縁線を軸方向からみて翼の高さ方向に非対称弓形形状を
した構造がある。さらに、特開平6−81603号公報に記載
されているような静翼の後縁線を軸方向からみても子午
面からみても、翼の高さ方向に非対称となる弓形形状を
した構造がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきた従来技
術は、静翼根元部のはく離や翼間側壁近傍に発達する境
界層や二次流れ渦を抑制することを主眼としており、翼
全体としての流体損失の低減には限界があった。
【0004】そこで、本発明の目的は、翼全体として流
体損失を低減することができる軸流型ターボ機械の静翼
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の特徴は、
環状翼列流路内に複数個配置された軸流型ターボ機械の
静翼において、前記静翼の後縁のロータ軸方向から見た
形状は、同方向から見て翼圧力面側に凸形状を有し、翼
の端部のうち少なくとも根元部から翼の半径方向に所定
の高さまでの領域は、同方向から見て翼圧力面方向側に
凸の曲線状の曲線領域が形成され、前記静翼の翼長の半
分の位置を含む所定の領域に、直線状の直線領域が形成
され、前記静翼の前縁及び後縁の子午面から見た形状
は、動翼の前段側に凸形状を有し、翼の端部のうち少な
くとも根元部から翼の半径方向に所定の高さまでの領域
は、該端部から前段側に凸の曲線状の曲線領域が形成さ
れ、前記翼長の半分となる位置を含む所定の領域に、直
線状の直線領域が形成されるものである。前記曲線領域
は、翼長のうち、根元部及び先端部と共に形成されてい
ることが好ましい。
【0006】これにより、静翼を経て流れる流体の流出
角等を大きく変化させることなく、側壁境界層の発達を
抑制し、翼間流れに発生する二次流れ渦を低減できると
ともに、翼長の中央付近の損失を併せて低減できるの
で、翼全体としての流体損失を低減することができる。
前記前段側とは、例えば当該翼に流れる蒸気の上流側や
当該翼を備える蒸気タービンに蒸気を供給する供給口側
である。
【0007】前記曲線領域の曲率は、端部から離れるに
従って徐々に減少するように形成されることが好まし
い。あるいは、前記曲線領域の曲率が、端部から離れる
に従って徐々に大きくなるように形成されると共に、次
に、徐々に減少するように形成されることが好ましい。
【0008】本発明の第2の特徴は、前記曲線領域は、
翼長をhとし、ロータ軸方向から見た前記翼後縁の投影
形状における翼根元位置を通る半径方向放射線から翼後
縁線への周方向の最大変位をb,前記子午面への投影形
状における前縁あるいは後縁の翼根元位置から翼前縁あ
るいは翼後縁へのロータ軸方向の最大変位をfとした場
合、各々の最大変位量を0<b/h<0.2,0<f/
h<0.2とすることである。前記範囲を満たすことに
より、より損失を低減することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例を図
1,図2により説明する。図1は、本発明の静翼を下流
側の軸方向からみたときの静翼後縁線の図である。図2
は、本発明の静翼を子午面からみたときの翼の前縁線と
後縁線の図である。前記図1及び図2は、各方向等から
みた時の投影形状とすることができる。
【0010】1は上部ダイヤフラム、2は下部ダイヤフ
ラム、3は静翼、4は動翼の回転方向、5は静翼前縁、
6は静翼後縁、7は(蒸気の)流れ方向を示す。静翼3
と下部ダイヤフラム2とが接する所を静翼3の根元部2
1,静翼3と上部ダイヤフラム1とが接するところを同
先端部22として示す。また、31は翼圧力面方向を示
し、32は翼負圧面方向を示す。
【0011】ここで、周方向傾き角θは、静翼の各半径
位置における翼後縁接線と回転軸中心と翼後縁点を結ぶ
線とのなす角である。また、θは静翼の各半径位置にお
ける翼後縁接線と翼の直線領域の延長線とのなす角で近
似することもできる。
【0012】軸方向傾き角δは静翼の各半径位置におけ
る翼前縁接線と同位置の前縁を通り回転軸に垂直な線と
のなす角である。または、静翼の各半径位置における翼
後縁接線と翼の直線領域の延長線とのなす角で近似する
こともできる。
【0013】本実施例では、前記静翼の後縁のロータ軸
方向から見た形状は、同方向から見て翼圧力面側に凸形
状を有し、翼の端部のうち根元部及び先端部からの翼の
半径方向に所定の高さまでの領域は、同方向から見て翼
圧力面方向側に凸の曲線状の曲線領域が形成され、前記
静翼の翼長の半分の位置を含む所定の領域に、直線状の
直線領域が形成され、前記静翼の前縁及び後縁の子午面
から見た形状は、動翼の前段側に凸形状を有し、翼の端
部のうち少なくとも根元部から翼の半径方向に所定の高
さまでの領域は、該端部から前段側に凸の曲線状の曲線
領域が形成され、前記翼長の半分となる位置を含む所定
の領域に、直線状の直線領域が形成される。
【0014】例えば、図1に示すように静翼3の後縁線
は根元と先端付近で動翼回転方向4に向かうように、上
部ダイヤフラム1及び下部ダイヤフラム2での周方向傾
き角θの最大値から、半径方向中央部に向かって弓形形
状になるように滑らかに減少させ、根元と先端付近以外
のところで曲率を小さくする。
【0015】このような流路形状を採用することによ
り、根元と先端付近で流れを側壁方向に押しつけ、側壁
に発達した境界層や二次流れ渦の発達を抑制し、それ以
外の翼中央部を挟む二次流れの影響が少ない領域では流
れに悪影響を及ぼすことを防止できるので、流れによる
翼全体の損失を低減できる。
【0016】また、図2に示すように静翼前縁5は根元
と先端付近で静翼前縁5に向かうように、上部ダイヤフ
ラム1及び下部ダイヤフラム2での周方向傾き角θの最
大値から、半径方向中央部に向かって弓形形状になるよ
うに滑らかに減少させ、根元と先端付近以外のところで
曲率を小さくし、少なくとも一区間直線形状をもつよう
な形状にする。
【0017】このような流路形状を採用することによ
り、根元と先端付近で流れを側壁方向に押しつけ、側壁
に発達した境界層や二次流れ渦の発達を抑制し、それ以
外の翼中央部を挟む二次流れの影響が少ない領域で流れ
に悪影響を及ぼすことを防止でき流れによる損失を低減
できる。この場合周方向に傾きを与えていないので、翼
出口部での流出角に影響を与えることがない。
【0018】前記効果を得る構成の一例として、翼長が
97.3mm の翼の場合、ロータ軸方向の下流側から見た
翼後縁形状、及び子午面からみた翼前縁及び後縁の形状
に関して、各々の曲線領域を32mmにすることができ
る。もっとも、前記曲線領域の長さは、これに限られる
ものではなく、前記効果を得られるのであれば適宜選択
できる。例えば、約25〜40mmの範囲から選択するこ
とができる。
【0019】図5は翼長位置/翼長に対する損失の関係
を示している。本実施例での静翼で発生する流れの損失
分布は、図5に示すように翼長方向の全域にわたって低
減される。
【0020】aは従来の静翼で弓形形状をしていない静
翼、bは周方向にも軸方向にも一様に弓形形状とした比
較例の静翼、cは本実施例の静翼である。図5から明ら
かなように、本実施例の静翼は根元から先端までの全域
にわたって損失がもっとも小さいことがわかる。特筆す
べきことは、従来の静翼aを改善した比較例の静翼bで
は、側壁近傍では確かに従来の静翼aよりも損失の低減
が図られているが、翼中央部付近では逆に損失が増加す
る傾向があることがわかった。これにより、全体として
の損失の低減に限界があることがわかった。
【0021】本実施例cでは端部の境界層による損失を
低減しつつ、翼中央付近の損失をも減らすことができる
ため、翼長方向全域にわたって損失の低減が図れる。こ
のため、全体としての損失をより低減することができ
る。
【0022】図6は、静翼出口部における流出角の翼長
方向分布を示している。
【0023】図6の中に用いている記号a,b,cは、
図5と同一である。本発明の静翼cによれば、根元と先
端付近で静翼bの流出角分布に等しくなり、それ以外の
翼中央部を挟んだ領域では、従来の静翼aの流出角分布
に等しくなる。
【0024】本実施例の構造の静翼により、静翼の後ろ
に位置する動翼に導入される蒸気等の相対速度のずれを
抑制できるので、翼長の全域において動翼に対して良好
な相対速度方向で蒸気等を導入することができる。
【0025】また、本実施例の形状の翼は二次流れの大
きい段落の翼に適応できる。複数のタービンを備えた蒸
気タービン設備においては、例えば、高圧タービン、あ
るいは中圧タービン等である。
【0026】また、例えば、前記直線領域と曲線領域と
の相乗効果がよく発揮できる長さであることが好まし
い。例えば、翼のアスペクト比(翼高さh/翼幅w)が
0.3〜3.5程度の翼に適応することが好ましい。
【0027】ボイラ等で発生した蒸気が最初に供給され
る高圧タービンについては、同比が0.3〜2.5,高圧
タービンから出た蒸気が再熱されて供給される再熱ター
ビンについては、同比が0.5〜3.5程度の翼に適応さ
れることが望ましい。
【0028】また、前記曲線領域の曲率は、端部から離
れるに従って徐々に減少するように形成される。
【0029】端部の曲率は、前記の曲線領域の長さと同
程度の半径を有する円弧の曲率にすることができる。
【0030】あるいは、前記曲線領域の曲率は、端部か
ら離れるに従って徐々に大きくなるように形成されると
共に、次に、徐々に減少するように形成する。例えば、
前記曲率が極大となる位置は、端部と前記曲線領域が終
わる点を一の対角線とする四角形を描いたときに他の対
角線と前記曲線との交差する領域近傍である。
【0031】また、本実施例により、翼形自体を変更し
なくとも翼を構成する翼断面の積み重なり方を変えるこ
とにより、前述のように翼全域において流体による損失
を低減することができるので、翼の強度的にも安定した
蒸気タービン翼、及び該翼を備えた蒸気タービンを提供
することができる。
【0032】また、既存の翼形を使うことができるの
で、従来の形の静翼を備えた蒸気タービン等の必要な段
落の翼に適応して、既存タービンを改修することもでき
る。
【0033】本発明の第2の実施例を図7,図8に示
す。基本的には第1の実施例の構成を適応できる。図7
は図1と同様、本発明の静翼を下流側のロータ軸方向か
らみたときの静翼後縁線の図である。図8は、本発明の
静翼を子午面からみたときの翼の前縁線と後縁線の図で
ある。本実施例は、側壁境界層や二次流れが強く現われ
る翼根元部の流れを改善するために、静翼3の後縁線は
根元付近のみ動翼回転方向4に向かうように、下部ダイ
ヤフラム2での周方向傾き角θの最大値から、半径方向
中央部に向かった弓形形状になるように滑らかに減少さ
せ、根元付近以外のところで曲率を小さくし、少なくと
も一区間直線形状をもつような形状にする。同様に、静
翼前縁5は根元付近で静翼前縁5に向かうように、下部
ダイヤフラム2での周方向傾き角θの最大値から、半径
方向中央部に向かって弓形形状になるように滑らかに減
少させ、根元付近以外のところで曲率を小さくし、少な
くとも一区間直線形状をもつような形状にする。
【0034】このような流路形状を採用することによ
り、簡便に、二次流れが強く現われる翼根元付近の流れ
を側壁方向に押しつけ、根元側壁に発達した境界層や二
次流れ渦を抑制することができ、翼中央付近の流れの損
失を低減できるため、第1の実施例ほどではないが、全
体としてある程度損失を低減できる。根元部分の流れ損
失が大きい場合に有効である。
【0035】また、翼先端部の境界層の発達や二次流れ
が大きい場合は、上記第2の実施例で適用した曲線領域
である弓形部を翼先端部に適用すればよい。この場合
も、同様な効果が得られる。
【0036】第3の実施例を図9,図10を用いて説明
する。第3実施例は基本的には、第1の実施例の構成を
適用することができる。
【0037】図9,図10に示すように本発明による静
翼の軸方向からみたときの翼根元位置Xを通る半径方向
放射線からの周方向弓形形状の最大変位をb,子午面に
おける翼根元の軸方向位置Yから軸方向弓形形状の最大
変位をfとする。
【0038】本実施例は、前記曲線領域は、翼長をhと
し、ロータ軸方向から見た前記翼後縁の投影形状におけ
る翼根元位置を通る半径方向放射線から翼後縁線への周
方向の最大変位をb,前記子午面への投影形状における
前縁あるいは後縁の翼根元位置から翼前縁あるいは翼後
縁へのロータ軸方向の最大変位をfとした場合、各々の
最大変位量を0<b/h<0.2,0<f/h<0.2を
する。
【0039】図11は、本発明でbとhを同時に同じ量
だけ変化させた場合のb/h及びf/hと損失の関係を
表わしている。図より、b/h及びf/hがそれぞれ0
<b/h<0.2,0<f/h<0.2であれば、B=f
=0の場合よりも流動損失は低減できる。これより、本
発明の効果がさらに発揮される範囲は、各々の最大変位
量を0<b/h<0.2,0<f/h<0.2で規定でき
る。なお、これらの知見から、本発明は必ずしもb=f
である必要はないことがわかる。また、前記範囲を超え
るようなbあるいはfの値を用いると、三次元流路形状
が所定の翼機能を果たすことができなくなるため、逆に
b=f=0の場合よりも流動損失は増加することがわか
る。
【0040】よって本実施例においても、前述のよう
に、翼の長さhが97.3mm 程度の翼に適応することが
できる。
【0041】第4の実施例を図12を用いて説明する。
本実施例は基本的には、第1の実施例の構成が適応でき
る。図12には、ある半径方向高さの静翼3と動翼12
の断面図を示す。図中、翼弦長をc,翼のキャンバー線
の長さをl,揚力係数をCLとした場合、側壁からの二
次流れ渦の半径方向高さをsとすると、蒸気タービン効
率の予想方法とその結果,ターボ機械第11巻第4号,
(1983)に記載されているようにs=0.28c
((l/c)√CL)^0.85と定義される。ただし、
(翼の根元部分における)ピッチをt,静翼入口角をλ
1,静翼出口角をλ2,λ∞=tan~1(2/(cotλ1 +cot
λ2 ))とすると、CL=2(t/c)(cotλ2 −cotλ1 )
sinλ∞ となる。尚、wは翼幅である。以上より、静翼
の幾何学的形状や配置が決まればsを求めることができ
るので、曲線領域である弓形部の半径方向高さをrとし
た場合、0<r<sの範囲内で弓形部を構成する。
【0042】これにより、全体の損失のうち中央部にお
ける流体による損失の低減を重視し、全体としての損失
の低減を図りつつ、より確実に端部近傍の領域をのぞい
た中央部付近の損失を低減することができる。
【0043】例えば、算出されるs値より小さい範囲に
おいて端部の境界層等による二次流れが生じる場合等に
適応することが好ましい。この場合は、境界層の影響を
考慮して、アスペクト比2.0 より大きい翼に適応する
ことが望ましい。
【0044】また、s≦r<1/2・hとなるように形
成することにより、二次流れの翼の半径方向の高さにお
いて、全体の損失のうち端部における二次流れ損失の低
減を重視し、全体としての損失の低減を図りつつ、より
確実に同部における損失を低減することができる。
【0045】これらの値を基に、二次流れの生じる領域
に適切に曲線部を形成し、前記二次流れの影響の少ない
領域に直線状部が形成されるようにして、本実施例の効
果がさらに発揮できる。この場合は、アスペクト比2.
0 以下の翼に適応することが好ましい。
【0046】前記高さrを求める基準となるsは、例え
ば、h=97.3mm,t=38.8mm,λ1 =90deg 、
λ2 =13.8deg ,l=90.0mm,c=74.6mm、
よりλ∞=26.2deg ,Cl=1.87となる。よっ
て、sは約32mmとなる。これをもとに曲線領域である
弓形部の半径方向高さr等を設定することができる。
【0047】また、図3及び図4は比較例の静翼の断面
図であり、それぞれ側壁を離れるに従い静翼の圧力面側
及び上流側へ移動した場合を示したものである。
【0048】図3の比較図のように、翼断面の積層具合
を圧力面側に移動するようにして周方向に所定の傾きを
有するだけの翼では、周方向傾き角θだけを大きくする
ことは、側壁近傍の流れの流出角を設計点から軸方向に
偏向させることになってしまう。また、流出角の観点か
らは好ましいことではない。また、図4の比較例のよう
に、単に軸方向の上流側に傾きを持たせたものでも、直
線の翼よりも端部において損失抑制効果が得られる可能
性があるが翼全体としては損失低減効果に限りがある。
また、δの程度によっては損失が大きくなる恐れもあ
る。
【0049】前記本実施例の静翼を用いると、周方向傾
き角θの半径方向分布を翼圧力面方向に突き出るような
適切な弓形形状にすると同時に、軸方向傾き角δの半径
方向分布を翼前縁方向に突き出るような適切な弓形形状
になるように分布させることができ、周方向傾き角θの
半径方向分布を翼圧力面方向に突き出るような弓形形状
にするだけの静翼形状に比べて流れをより側壁に押しつ
け、しかも流出角を大きく変化させることなく、側壁境
界層の発達を抑制すると同時に翼間流れに発生する二次
流れ渦を低減させることができる。
【0050】それと同時に、この二次流れ渦は側壁付近
を中心に発達するので、特に翼長の長い翼の場合、上下
側壁付近のみ弓形形状とすることにより、翼中央付近の
二次流れ渦の影響が比較的少ない流れ場に対して悪影響
を及ぼすことなく損失を低減できる。
【0051】また、軸流形ターボ機械の翼間流路では、
流路の曲がりにより遠心力が発生し、これと圧力勾配と
の不均衡により二次流れ渦が発生する。すなわち、翼間
上下側壁に発達する境界層内では、周方向の圧力勾配が
遠心力を卓越することになり、周方向に速度成分が生じ
一対の渦を形成する。この渦は二次流れ渦と呼ばれ流体
損失の原因となるが、発生領域は側壁近傍を中心に発達
するので、翼の中央部を挟んだその他の領域ではその影
響は少ない。したがって、翼長の長い翼の場合、翼の輪
郭線を軸方向あるいは子午面からみて半径方向に至る所
曲率の大きな曲線形状で構成すると、翼中央付近の二次
流れ渦の影響が少ない領域に対して悪影響を及ぼし、結
果的に従来の翼輪郭線が直線形状の静翼に比べ、損失の
増大を招くことがある。
【0052】前記実施例の静翼を適応することにより、
前記損失を抑制することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明により、翼全体として流体損失を
低減することができる軸流型ターボ機械の静翼を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の静翼を下流側の軸方向からみたとき
の静翼後縁の傾きを示す投影図。
【図2】一実施例の静翼を子午面からみたときの前縁及
び後縁の投影図。
【図3】静翼を側壁から離れるにつれて圧力面側へ移動
したときの翼面傾斜を示す比較例の投影図。
【図4】静翼を側壁から離れるにつれて上流側へ移動し
たときの翼面傾斜を示す比較例の投影図。
【図5】静翼で発生する流れの損失分布の比較図。
【図6】静翼流出角分布の比較図。
【図7】一実施例の静翼を下流側の軸方向からみたとき
の静翼後縁の傾きを示す投影図。
【図8】一実施例の静翼を子午面からみたときの投影
図。
【図9】一実施例の翼の正面線図。
【図10】一実施例の翼の側面線図。
【図11】b/nとf/hを同時に変化させたときの損
失に関する図。
【図12】一実施例の静翼と動翼の断面図。
【符号の説明】
1…上部ダイヤフラム、2…下部ダイヤフラム、3…静
翼、4…動翼回転方向、5…静翼前縁、6…静翼後縁、
7…流れ方向、8…側壁での静翼、9…側壁を離れた位
置での静翼、10…静翼における流入方向、11…静翼
における流出方向、12…動翼。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪内 邦良 茨城県日立市大みか町七丁目2番1号 株 式会社日立製作所電力・電機開発本部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環状翼列流路内に複数個配置された軸流型
    ターボ機械の静翼において、 前記静翼の後縁のロータ軸方向から見た形状は、 同方向から見て翼圧力面側に凸形状を有し、 翼の端部のうち少なくとも根元部から翼の半径方向に所
    定の高さまでの領域は、同方向から見て翼圧力面方向側
    に凸の曲線状の曲線領域が形成され、 前記静翼の翼長の半分の位置を含む所定の領域に、直線
    状の直線領域が形成され、 前記静翼の前縁及び後縁の子午面から見た形状は、動翼
    の前段側に凸形状を有し、 翼の端部のうち少なくとも根元部から翼の半径方向に所
    定の高さまでの領域は、該端部から前段側に凸の曲線状
    の曲線領域が形成され、 前記翼長の半分となる位置を含む所定の領域に、直線状
    の直線領域が形成されることを特徴とする軸流型ターボ
    機械の静翼。
  2. 【請求項2】請求項1の軸流型ターボ機械の静翼におい
    て、前記曲線領域の曲率は、 端部から離れるに従って徐々に減少するように形成され
    ることを特徴とする軸流型ターボ機械の静翼。
  3. 【請求項3】請求項1の軸流型ターボ機械の静翼におい
    て、前記曲線領域の曲率は、 端部から離れるに従って徐々に大きくなるように形成さ
    れると共に、次に徐々に減少するように形成されること
    を特徴とする軸流型ターボ機械の静翼。
  4. 【請求項4】請求項1の軸流型ターボ機械の静翼におい
    て、前記曲線領域は、 翼弦長をc,翼のキャンバー線の長さをl,揚力係数を
    CLとし、前記直線領域が始まる静翼の翼根元側端部か
    らの半径方向の高さをrとすると、 0<r<0.28c((l/c)√CL)^0.85 の関係を満たすように形成されることを特徴とする軸流
    形ターボ機械の静翼。
  5. 【請求項5】請求項1の軸流型ターボ機械の静翼におい
    て、前記曲線領域は、 該曲線領域は、翼弦長をc,翼のキャンバー線の長さを
    l,揚力係数をCLとし、前記直線領域が始まる静翼の
    翼根元側端部からの半径方向の高さをr,翼長をhとす
    ると、 0.28c((l/c)√CL)^0.85≦r<1/2・h の関係を満たすように形成されることを特徴とする軸流
    形ターボ機械の静翼。
  6. 【請求項6】請求項1から5の何れかの軸流形ターボ機
    械の静翼において、前記曲線領域は、 翼の端部のうち根元部および先端部から翼の半径方向に
    所定の高さまでの領域は、前記曲線領域が形成されてい
    ることを特徴とする軸流形ターボ機械の静翼。
  7. 【請求項7】請求項1から5の何れかの軸流形ターボ機
    械の静翼において、前記曲線領域は、 翼長をhとし、ロータ軸方向から見た前記翼後縁の投影
    形状における翼根元位置を通る半径方向放射線から翼後
    縁線への周方向の最大変位をb,前記子午面への投影形
    状における前縁あるいは後縁の翼根元位置から翼前縁あ
    るいは翼後縁へのロータ軸方向の最大変位をfとした場
    合、各々の最大変位量を0<b/h<0.2,0<f/
    h<0.2とすることを特徴とする軸流形ターボ機械の
    静翼。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6491493B1 (en) 1998-06-12 2002-12-10 Ebara Corporation Turbine nozzle vane
JP2006307846A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Toshiba Corp 軸流タービン
US7300247B2 (en) 2005-03-31 2007-11-27 Kabushiki Kaisha Toshiba Axial flow turbine
CN112709716A (zh) * 2020-12-29 2021-04-27 中国航发沈阳发动机研究所 一种压气机静子叶片结构

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