JPH1058474A - ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法

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JPH1058474A
JPH1058474A JP8215625A JP21562596A JPH1058474A JP H1058474 A JPH1058474 A JP H1058474A JP 8215625 A JP8215625 A JP 8215625A JP 21562596 A JP21562596 A JP 21562596A JP H1058474 A JPH1058474 A JP H1058474A
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pressure
expanded particles
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Noboru Takeda
登 武田
Itsuo Hamada
逸男 浜田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無架橋ポリオレフィン系予備発泡粒子から、
良質な、肉厚の大型サイズ或いは肉厚部と薄肉部の共存
した複雑形状の成形体を成形することができる型内発泡
成形方法を提供する。 【解決手段】 本加熱(両面加熱)時の水蒸気型内圧力
(kg/cm2 G)の20〜60%範囲の水蒸気型内圧
力(kg/cm2 G)に3秒以内に昇圧せしめ、水蒸気
供給開始から12秒間以下の時間で、型内の予備発泡粒
子を予備加熱した後、両型内の圧力(kg/cm2 G)
を該予備発泡粒子の基材樹脂の融点−5℃〜+5℃範囲
温度に相当する飽和水蒸気圧力(kg/cm2 G)に3
秒以内に昇圧せしめ、6秒間以下の時間で本加熱して、
発泡粒子の発泡と粒子相互の融着とを行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無架橋ポリオレフ
ィン系樹脂予備発泡粒子を金型内に充填し、これを水蒸
気で加熱発泡して粒子相互を融着させて発泡成形体にす
る、無架橋ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内発
泡成形方法の改良技術に関する。とりわけ、肉厚の大型
サイズの成形体或いは肉厚部と薄肉部の共存した複雑形
状の成形体の成形に好適な型内発泡成形方法の改良技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、熱可塑性樹脂の発泡粒子を型内に
充填し発泡させて、隣接する粒子間に生じた間隙を埋
め、且つ発泡粒子相互を密に融着させて、型通りの形状
の発泡成形体を得る製法は広く知られている。この製法
は、ポリスチレン樹脂を基材樹脂とする発泡成形体の製
法として発展してきたものであって、ポリスチレン型内
発泡成形体の製法としては、現在ほとんど完成されたも
のとなっている。
【0003】しかしながら、このポリスチレン型内発泡
成形体の製法において、基材樹脂としてポリスチレンの
代わりにポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレ
ン)を用いる場合、満足しうる発泡成形体は得られな
い。これは、ポリオレフィン樹脂のもつ本質的な特性、
すなわち樹脂内にガスを発泡能力を有する状態で長時間
保持しておく能力に劣り、樹脂よりガスが短時間内に逸
散するというガスに対する保持性(バリヤー性)が悪
く、その上、該樹脂の流動粘弾特性変化の温度依存性が
著しく大きいことによって、適切な発泡条件を見いだす
ことができないのが主な原因となつている。
【0004】したがって、ポリオレフィン樹脂型内発泡
成形体を製造する方法として、予備発泡粒子に型内発泡
させるための膨張能を付与する。この膨張能を付与する
方法としては、例えば、予備発泡粒子を空気や窒素のよ
うな不活性ガスの加圧雰囲気下に置いて、該発泡粒子の
かさ容積を元のかさ容積の80%以下になるように圧縮
し、この圧縮により生じた弾性回復力を型内膨張能の主
力とするガス圧圧縮法(特公昭53−33996号公報
に開示)、或いは予備発泡粒子内に無機ガスを含浸させ
て、該粒子内の気体圧力を1.18気圧以上になるよう
に高め、該気体の膨張力を型内膨張能の主力とするガス
圧追添法(特公昭51−22951号公報に開示)、こ
れらの方法を組合わせた併用法などが知られ採用されて
いる。
【0005】そして更に、特開昭57−174223号
公報及び特開昭62−267129号公報などにいくつ
かの改善成形方法が開示されている。これら公報に記載
された方法は予備発泡粒子を型内に充填し、減圧下装置
に接続された導管を介して型の通気用の小孔を通して減
圧による抜気と蒸気供給管より供給される蒸気による抜
気により型内の空気を排除したのち、型内に蒸気供給管
から蒸気を供給して型内の予備発泡粒子を発泡融着させ
る方法であって、粒子間の融着度を向上し成形体品質の
向上を図ると共に成形サイクルの短縮に効果を有してい
る。
【0006】これらの製法により、無架橋ポリオレフィ
ン樹脂予備発泡粒子の型内発泡成形法は技術的に一応完
成の領域に到達したものと見られてきた。しかしなが
ら、上記無架橋ポリオレフィン樹脂予備発泡粒子による
型内発泡成形法の技術は、薄肉の小型サイズの成形品、
コーナーパット等の単純な成形体を対象にして完成され
てきた技術と言って過言ではないのである。しかるに近
年、市場の動向として、例えば液晶モジュールの集合包
装に用いられる緩衝用発泡成形体等に示される如く、型
の形状が凹凸部、厚薄部等の多い、複雑形状化した発泡
成形体の要求が高まっている。また板物については、成
形加工時の生産性向上を目的として、或いは新断熱基準
にそって、厚肉の大型サイズの発泡成形板が増えつつあ
るのが現状である。
【0007】従前の型内発泡成形法を用いて、無架橋ポ
リオレフィン樹脂予備発泡粒子から上述の複雑な形状の
発泡成形体を得るのは困難である。即ち、型内減圧によ
り型内空気が抜気されることにより加熱効率が良くなっ
たとしても、それに拘らず、薄肉部は水蒸気が良く通過
する為に加熱オーバーになりやすく、厚肉部は水蒸気通
過の抵抗が大きい為に温度が上昇し難く、加熱温度斑が
発生しやすい。ここで、水蒸気供給加熱時間を加熱オバ
ーしやすい部分(薄肉部)の膨張力が低下しない時間に
合わせれば、厚肉部分に粒子間の融着不足が生じている
成形品となり、また水蒸気供給加熱時間を温度が上昇し
難い部分に合わせれば、粒子間の空隙が残ったり、圧縮
強度の低いところが部分的(薄肉部)に生じた不良成形
品ができてしまう。また、型内減圧により型内空気が抜
気されるとともに粒子の膨張が起こり、水蒸気流路とな
る粒子間の間隙を小さくする。この現象は特に表面ほど
大きく、その結果、表面から内部へ向かっての加熱の進
行において、表面部の加熱速度を大きくし、内部への水
蒸気流通を少なくして、内部と表面部の融着率を同レベ
ルにすることができず、成形体表面部と内部の融着率の
不均衡を招く。しかも厚みが100mmの大型サイズの
発泡成形板となると減圧しても充分な効果は得られず、
更に成形体表面部と内部との融着率の不均一さも大きく
なり、品質の低下を招くという問題を有していた。
【0008】これらは前述した如く、無架橋のポリオレ
フィン系樹脂予備発泡粒子の特性であるところの、樹脂
より膨張発泡ガスが短時間に逸散するというガスに対す
る保持性が悪いことと、発泡粒子が融着を開始する温度
と破泡現象を発生し始める温度の差が小さい為に生じる
ものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の如き
従来の発泡成形方法では良質の成形体が得られなかった
ような成形体、即ち、無架橋ポリオレフィン系樹脂の肉
厚の大型サイズの成形体或いは肉厚部と薄肉部の共存し
た複雑形状の成形体を、より経済的(高サイクル成形)
な状態で成形することができる好適な型内発泡成形体の
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく型内発泡成形法の改善研究を行った処、短
時間に多量の水蒸気を供給し、特定の条件範囲下で成形
するのが有効であることを見い出し本発明を完成させた
ものである。即ち、本発明は、閉鎖し得るが密閉し得な
い金型内に予備発泡粒子を充填し、水蒸気を供給して該
予備発泡粒子を加熱し、発泡、融着させて型内発泡成形
体とする無架橋ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型
内発泡成形体の製造方法において、 (1)予備発泡粒子を充填後、本加熱時の水蒸気型内圧
力(kg/cm2 G)の20〜60%範囲の水蒸気型内
圧力(kg/cm2 G)に3秒以内に昇圧せしめ、水蒸
気供給開始から12秒間以下の時間で、型内の予備発泡
粒子を予備加熱すること。 (2)次いで、両型内の圧力(kg/cm2 G)を該予
備発泡粒子の基材樹脂の融点−5℃〜+5℃範囲温度に
相当する飽和水蒸気圧力(kg/cm2 G)に3秒以内
に昇圧せしめ、6秒間以下の時間で本加熱して、発泡粒
子の発泡と粒子相互の融着とを行わせること。の各段階
を経ることを特徴とする無架橋ポリオレフィン系樹脂予
備発泡粒子の型内発泡成形体の製造方法に関する。
【0011】以下、本発明を図面等を参照しつつ詳述す
る。図1は、本発明の製造方法において使用するところ
の一般的な発泡成形装置の構成の一例を示す概念図であ
る。図1において、所定形状に成形された一対の凸型金
型50aと凹型金型50bとの型合わせから、成形体の
容積形に区画された発泡成形空間51が形成される。該
金型50a、50bには発泡成形空間51に供給された
発泡粒子が水蒸気の直接加熱になるように水蒸気流入ス
リットが配設され、それぞれのマスターフレーム52
a,52bに収められ、その内部にはそれぞれ蒸気室5
3a、53bが形成されている。このように粒子は閉鎖
するが流体は密閉できない、いわゆる「閉鎖し得るが密
閉し得ない型」になっている。各蒸気室53a、53b
には、その下方に排出管54a、54bが取り付けられ
ており、ドレン弁55a、55bにより開閉自在にされ
ている。また、蒸気室53a、53bには、それぞれ蒸
気供給管56a、56bが取り付けられており、それぞ
れの流量は調圧弁57a、57bによって調整されてい
る。この調圧弁57の調整により、蒸気室53への蒸気
供給圧力が設定される。この調圧弁57の開度調節は、
エアー供給源58を介して、三方電磁弁59及び電空レ
ギュレーター60により行われている。
【0012】かかる装置構成により発泡成形体の製造工
程は大別して充填工程、加熱工程、冷却工程に分けるこ
とができる。加熱工程は通常、金型加熱工程、一方予備
加熱工程、逆一方予備加熱工程(省略しても可)、本加
熱工程(両面加熱工程)のように細分化して行われる。
図1、図2を用いてその一例を説明する。まず、凸型金
型50aと凹型金型50bの昇温を目的に金型加熱が行
われる。この金型加熱工程はドレン弁55を開放したま
ま、調圧弁57を操作し、蒸気供給管56を介して蒸気
供給源64からの蒸気を蒸気室53へ供給し、金型50
を加熱する。次に、金型内への予備発泡粒子の充填が行
われる。この充填工程は膨張能が付与された予備発泡粒
子をオートフィーダー(自動充填器)63を用いて発泡
成形空間51に充填される。充填後、予備発泡粒子を予
熱することとマスターフレーム内及び金型内の空気の排
除の目的で一方予備加熱が行われる。この一方予備加熱
工程は、一方の凹型金型50bのドレン弁55bのみを
閉塞すると共に、その凹型金型50bのみへ蒸気を供給
することにより、発泡成形空間51内の予備発泡粒子間
の間隙に介在する空気を他側の蒸気室50aを通して系
外に排出させる工程である。通常、この工程の終点は入
り口側、即ち、凹型金型50bの蒸気室53bの成形蒸
気圧力が所定の値P1となった時点とこれに続くタイマ
ーの設定時間T1とで制御される。
【0013】次に、前の一方予備加熱工程により生じた
型内の予備発泡粒子の温度勾配を平衡させるために逆一
方予備加熱が行われる。この逆一方予備加熱工程は蒸気
を逆のルートで即ち凸型金型50aのドレン弁55aの
みを閉塞すると共に、その凸型金型50aのみへ蒸気を
供給することにより、発泡成形空間51、蒸気室50b
を通して系外に排出させる工程である。通常、この工程
の終点は入り口側、即ち、凸型金型50aの蒸気室53
aの成形蒸気圧力が所定の値P2となった時点とこれに
続くタイマーの設定時間T2とで制御される。
【0014】本発明において、予備加熱水蒸気圧力とは
X1、X2のことであり、昇圧時間とはt1、t2のこ
とであり、そして予備加熱時間とはt1+T1+t2+
T2のことを意味する。この予備加熱前、あるいは予備
加熱中に、排出管54に連結された真空ポンプ、真空タ
ンク等よりなる減圧化装置(図示されてない)の吸引作
用で型内を減圧状態として加熱時間の短縮化を行っても
良い。この予備加熱後、予備発泡粒子を発泡させて最終
的に粒子同士を融着させる本加熱(両面加熱ともいう)
が行われる。
【0015】本加熱工程は、両ドレン弁55a、55b
を閉塞して、両蒸気室53a、53bへ蒸気を所定時間
供給して加熱する工程である。この本加熱は、蒸気室5
3の成形蒸気圧力が所定の値P3になった時点とこれに
続くタイマーによって終点T3が設定制御される。本発
明において、本加熱水蒸気圧力とはX3のことであり、
昇圧時間とはt3のことであり、そして本加熱時間とは
t3+T3のことを意味する。
【0016】発泡成形後は蒸気室53内に水を噴霧(シ
ャワーリング)して冷却される(水冷工程)。この水を
排出させた後(排水工程)、蒸気室内を常圧状態或いは
減圧状態で一定時間放置冷却される(放冷工程)。最後
に、両金型50a、50bを離隔させ、エゼクトピン6
5の作動により、発泡成形体を離型させて取り出す(離
型工程)。
【0017】上述した一連の成形工程においての、本発
明の要件について説明する。まず、一つの要件である
「予備発泡粒子を充填後、本加熱時の水蒸気型内圧力
(kg/cm2 G)の20〜60%範囲の水蒸気型内圧
力(kg/cm2 G)に3秒以内に昇圧せしめ、水蒸気
供給開始から12秒間以下の時間で、型内の予備発泡粒
子を予備加熱すること」の必要性について述べる。
【0018】予備加熱温度を、本加熱時の水蒸気型内圧
力(kg/cm2 G)の20〜60%範囲の水蒸気型内
圧力(kg/cm2 G)に設定する必要性は、水蒸気型
内圧力が(本加熱圧力の20%未満)低いと、型内の予
備発泡粒子全体への水蒸気通過が起き難く、その結果、
予備発泡粒子の予備加熱と粒子の膨張融着を阻害する処
の気体(主に空気)の排出が部分的なものとなり十分に
出来ず、局所(特に実施例成形体のA部厚肉部)に粒子
の融着不良を残してしまう(実施例3、比較例4との対
比)。また他方、水蒸気型内圧力が(本加熱圧力の60
%以上)高いと、この水蒸気に最初に接触する成形体表
面部の粒子が大きく膨張して内部への蒸気の流通を遮蔽
する結果、加熱不足になった内部粒子が融着しない現象
が生じる(実施例2、比較例3との対比)。
【0019】本発明で上記の如く予備加熱水蒸気圧力範
囲を規定しながら、尚その水蒸気型内圧力に3秒以内に
昇圧せしめる意味は、予備加熱水蒸気圧力範囲を本加熱
圧力の20〜60%範囲としたのみでは、先行して起こ
る表面部粒子の膨張を抑え、且つ粒子間の空気の排出を
内部まで完全なものとすることが出来ない。特に肉厚の
大型サイズの成形体或いは肉厚部と薄肉部の共存した複
雑形状の成形体を成形する場合、昇圧速度が3秒を越え
ると内部粒子の融着不良が残った成形体にしかならない
(実施例2、比較例1との対比)。
【0020】予備加熱時間を水蒸気供給開始から12秒
間以下とする必要性は、12秒間を越える時間水蒸気を
型内に導入し加熱すると、型内予備発泡粒子中の膨張発
泡ガスの逸散が多くなり粒子間の間隙を充分に埋められ
ず、その結果、吸水性の劣る成形体にしかならない(実
施例4、比較例2との対比)。続いて、もう一つの要件
である「両型内の圧力(kg/cm2 G)を該予備発泡
粒子の基材樹脂の融点−5℃〜+5℃範囲温度に相当す
る飽和水蒸気圧力(kg/cm2 G)に3秒以内に昇圧
せしめ、6秒間以下の時間で本加熱して、発泡粒子の発
泡と粒子相互の融着とを行わせること」の必要性につい
て述べる。
【0021】両型内の圧力(kg/cm2 G)を該予備
発泡粒子の基材樹脂の融点−5℃〜+5℃範囲温度に相
当する飽和水蒸気圧力(kg/cm2 G)に設定する必
要性は、予備発泡粒子の膨張と粒子相互の融着とを司る
処の膨張力を有効に利用する為の条件範囲である。即
ち、基材樹脂の融点−5℃よりも低い温度の場合は、粒
子を形成する樹脂の粘度が高過ぎる為か、粒子の融着不
良や成形体の吸水性が高まる現象が生じる(実施例7、
比較例7との対比)。逆に、基材樹脂の融点+5℃を越
える高い温度の場合は、樹脂粘度が低すぎて気泡構造が
崩壊する為か、成形体の吸水率が高く、圧縮強度が低く
なるといった成形体の特性が悪化する現象が観測される
(実施例8、比較例8との対比)。
【0022】本発明で上記の如く本加熱水蒸気圧力範囲
を規定しながら、尚その水蒸気型内圧力に3秒以内に昇
圧せしめる意味は、本加熱水蒸気圧力条件範囲を設定し
たのみでは、先行して起こる表面部粒子の過熱を抑え
て、表面部粒子と内部粒子とのとの熱履歴差を縮めるこ
とが出来ない。特に肉厚の大型サイズの成形体或いは肉
厚部と薄肉部の共存した複雑形状の成形体を成形する場
合、昇圧速度が3秒を越えると内部粒子の加熱不足によ
る融着不良や表面部の過熱による圧縮強度低下の現象が
生じる(実施例5、比較例5との対比)。
【0023】本加熱時間を6秒間以下とする必要性は、
6秒間を越える時間水蒸気を型内に導入し加熱すると、
型内予備発泡粒子中の膨張発泡ガスの逸散が多くなり粒
子間の間隙を充分に埋められず、その結果、吸水性が劣
ったり、過剰な熱履歴により予備発泡粒子内中心部まで
過熱され気泡膜の分子配向緩和が起き、その為か圧縮強
度の低い成形体にしかならない(実施例6、比較例6と
の対比)。
【0024】なお、「発泡粒子の発泡と粒子相互の融着
とを行わせる」の意味は、上記所定の温度に加熱(加
圧)した状態の型(両蒸気室)内の圧力を、急激に放圧
状態にして行わせる処の、粒子を一挙に膨張融着させて
する成形の意味である。以上記述した通り、本発明の型
内発泡成形法は、型内の予備発泡粒子を所定の水蒸気圧
力(温度)に急速に加熱昇温し短時間加熱することを特
徴とする。これを具現化する上では短時間に多量の水蒸
気を供給できることが必要であり、本加熱時の水蒸気型
内圧力(kg/cm2 G)の2倍以上の圧力を有する水
蒸気元圧(kg/cm2 G)に設定したり、成形型内へ
の水蒸気供給配管56の断面積を大きくしたり、この断
面積α(cm2)と使用するマスターフレーム内容積β
(cm3)とで定義したα/βの型内昇圧速度係数が1
×10-4以上の値を保有する成形装置を使用することが
望ましい。また、金型の肉厚を許容下限に薄くして熱容
量をできるだけ小さくしたり、金型表面に熱伝導の低い
テフロン等を塗膜したりすることも効果があり望まし
い。
【0025】本発明における無架橋ポリオレフィン系樹
脂予備発泡粒子の基材樹脂としては、低密度ポリエチレ
ン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
ポリプロピレン、エチレンプロピレンランダムコポリマ
ー、エチレンプロピレンブロックコポリマー、エチレン
プロピレンブテンコポリマーポリエチレン酢ビコポリマ
ー、ポリブテン等が用いられる。これらは、2種以上混
合した混合物であってもよい。
【0026】本発明で言う樹脂の融点(℃)は、測定装
置としてパーキンエルマー(Perkin−Elme
r)社製のDSC−7型を用い、約10mgの試料を1
0℃/minの速度で30℃から200℃まで昇温させ
た後、1分間その温度を保持し、10℃/minの速度
で30℃まで冷却結晶化させ、1分間その温度を保持
し、再び10℃/minの速度で昇温した時の融解カー
ブのピーク値から求めたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づき
本発明を更に詳しく説明する。各例中で使用した特性値
の評価方法、および評価尺度は次のようにして行った。
尚この評価は、実施例等で得た図3に示す縦、横、高さ
の夫々が約500、500、100mmで、A部(厚み
約100mm)、C部(厚み約25mm)の厚薄部を持
つ型内成形体を対象にした。 (1)融着性 図3の成形体におけるA部(厚み約100mm)、C部
(厚み約25mm)で示される部位より500×100
mmの直方体試験片を切り出し、その中央部に深さ2m
mの切れ目を入れ、切れ目に沿って折り曲げて成形品を
開裂させ、切開断面に存在する全粒子数に対する気泡部
で材料破断して切裂している粒子数の百分率(材破率)
を求めた。 材破率90%以上の場合……○(良好);材破率90%
未満、60%以上の場合……△(やや不良);材破率6
0%未満の場合……×(不良) (2)吸水性 図3の成形体におけるA部(厚み約100mm)、C部
(厚み約25mm)で示される部位より縦、横、厚みが
100、100、20mmの試験片を切り出し、重量を
測定した成形体を約20℃の淡水中の水面下25mmの
位置に水没させ、その時の浮力から成形体の体積を求め
る。水没状態を24時間持続させた後、成形体をエチル
アルコ−ル浴に移し1分間浸して取り出し、40分間風
乾して重量を測定する。水没前後の重量増加分から次の
計算をし評価する。 吸水性(%)=〔重量増加分(g)×100〕÷〔成形
体体積(cm3)×水の密度(g/cm3)〕 0.06%未満の場合……○(良好);0.06%以
上、0.1%未満の場合……△(やや不良);0.1%
以上の場合……×(不良) (3)圧縮応力指数 圧縮応力はその発泡体密度の影響が大きいので、一律評
価とする為に指数化して表現する。
【0028】図3の成形体におけるA部(厚み約100
mm)、C部(厚み約25mm)で示される部位より縦
横100mmの試験片を切り出し、その密度をJIS
K6767の試験方法で求める。次いでその試験片の2
5%圧縮時の圧縮応力を、JIS Z0234(圧縮速
度10mm/分)の試験方法で求め、次の式で係数化
(単位なし)し評価する。 圧縮応力指数=25%圧縮時の圧縮応力(kg/c
2)÷試験片の密度(g/cm3) 19以上の場合……○(良好);19未満、16以上の
場合……△(やや不良);16以下の場合……×(不
良)
【0029】
【実施例1〜8、比較例1〜8】無架橋直鎖状低密度ポ
リエチレン樹脂{密度:0.922g/cm3 、融点
(DSC法結晶融解ピーク):123℃}からなる発泡
倍率27cc/gの予備発泡粒子を圧力容器内に充填
し、2.5kg/cm2 Gの空気にて48時間加圧熟成
した。この加圧処理された予備発泡粒子のガス圧力は
1.85気圧の粒子であった。
【0030】次いで、この予備発泡粒子を図1に示す成
形機(蒸気供給管口径が100mmφ、断面積αが7
8.5cm2 、マスターフレーム内容積βが18900
0cm 3 、α/β=4.15×10-4)に取付けられた
金型内{雌雄二つの型がはまり合った時その内部空間
が、図3に示す各部の寸法、縦、横、高さの夫々が50
0、500、100mmで、A部(厚み100mm)、
C部(厚み25mm)の厚薄部の内寸を形成させる型
窩、そして雌雄型の内部全表面には、一般に使用されて
いる蒸気流入部材がピッチ20mmで配設されている}
に充填し、表1、2に示す条件に従って加熱成形し、そ
して冷却し、成形金型より取り出し成形発泡体を得た。
【0031】尚、各々の成形における蒸気元圧を実施例
1、6、7および比較例3、8においては7kg/cm
2 Gに、実施例2、3、4、8および比較例6において
は5kg/cm2 Gに、実施例5および比較例2、4に
おいては3kg/cm2 Gに、比較例1、5、7におい
ては2kg/cm2Gに設定して行った。各々の条件で
得られた成形品を70℃で20時間養生乾燥させ、室温
で3日放置した後、成形体倍率を測定したところ約40
cc/g(=密度0.025g/cc)であった。条件
別に前述記載の評価方法により融着性、吸水性、圧縮応
力指数を測定し、その結果を表2に併記して示す。
【0032】表1、2から分かるように本発明の方法に
より、融着性、吸水性、圧縮強度特性に優れた高品質の
発泡成形体が得られる。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、従来の発泡
成形方法では良質の成形体が得られなかったところの肉
厚の大型サイズの成形体或いは肉厚部と薄肉部の共存し
た複雑形状の成形体を提供することができる。即ち、本
発明は、粒子同士の融着性、吸水性に優れ、十分な圧縮
応力(指数)を有し、より経済的(高サイクル成形)な
状態で成形することができる好適な型内発泡成形方法で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる発泡成形装置の構成の一例
を示す概念図である。
【図2】成形工程と蒸気供給圧力との関係の一例を示す
グラフである。
【図3】本発明によって得られる、市場要求の高い複雑
な形状の発泡成形体の一例である。
【符号の説明】
50 金型 51 発泡成形空間 52 マスターフレーム 53 蒸気室 56 蒸気供給管 57 調圧弁 58 エアー供給源 62 予備発泡粒子 63 フィーダー 64 蒸気供給源 65 エゼクトピン 66 発泡成形体 67 発泡圧検出器

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉鎖し得るが密閉し得ない金型内に予備
    発泡粒子を充填し、水蒸気を供給して該予備発泡粒子を
    加熱し、発泡、融着させて型内発泡成形体とする無架橋
    ポリオレフィン系樹脂予備発泡粒子の型内発泡成形体の
    製造方法において、 (1)予備発泡粒子を充填後、本加熱時の水蒸気型内圧
    力(kg/cm2 G)の20〜60%範囲の水蒸気型内
    圧力(kg/cm2 G)に3秒以内に昇圧せしめ、水蒸
    気供給開始から12秒間以下の時間で、型内の予備発泡
    粒子を予備加熱すること。 (2)次いで、両型内の圧力(kg/cm2 G)を該予
    備発泡粒子の基材樹脂の融点−5℃〜+5℃範囲温度に
    相当する飽和水蒸気圧力(kg/cm2 G)に3秒以内
    に昇圧せしめ、6秒間以下の時間で本加熱して、発泡粒
    子の発泡と粒子相互の融着とを行わせること。の各段階
    を経ることを特徴とする無架橋ポリオレフィン系樹脂予
    備発泡粒子の型内発泡成形体の製造方法。
JP8215625A 1996-08-15 1996-08-15 ポリオレフィン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 Withdrawn JPH1058474A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008207763A (ja) * 2007-02-28 2008-09-11 Sekisui Plastics Co Ltd 吸音材とその成形方法
JP2012233182A (ja) * 2011-04-21 2012-11-29 Kaneka Corp ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、およびポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体
KR102266503B1 (ko) * 2020-01-31 2021-06-22 주식회사 국제화학 부구 성형장치

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