【発明の詳細な説明】
水なし平版板の製造法
本発明はいわゆる水なし平版板の製造に関する。
平版板は2種類に分けることができる。板の非像区域に供給される湿し水が水
フィルムを形成し撥インク層として働くものはいわゆるフォント(fount)
液と呼ばれ、フォント液を必要としないものはドリゴグラフ又は水なし平版板と
呼ばれる。現在使用されている殆どの平版板は第1の種類のものであり、プリン
ト期間中、フォント液を必要とする。然し、この種の平版板は多数の欠点に悩ま
される。これらのうちの若干は次のとおりである。
a) プレス操作中の適正なインク・水のバランスの調節は困難であり、大きな
経験を必要とする。正しいインク・水のバランスが達成されないと、プリントイ
ンク像が非像区域に伸びてプリント像を破壊するスカム現象が起こる。
b) スタートアップ時又は再スタートアップ時のインク・水のバランスの調節
は特に困難であり、多数のシートがプリントされるまで安定化することができず
、従ってムダが多い。
c) インクは乳化する傾向があり、板へのインクの貧弱な付着を導き、カラー
の再生に及び点の再生に問題を起こす。
d) 印刷機に湿し水装置をつけねばならず、従ってそのサイズ及び複雑さを増
大させる。
e) 板のケアの化学及びフォント液は注意深い制御と選択が必要である。更に
板のクリーナーは著しい水準の溶媒を含み、これは望ましくない。
然し、水なし平版画板を用いると、インク放出層たとえば硬化シリコーン層に
はスカン現象はなく、明瞭な像を作ることができる。非常に多くの場合、水なし
平版画板は基部材料たとえばアルミニウム板を含み、その上に感光層が被覆され
ており、この感光層にはシリコーン層が被覆されている。像露光及び現像後に、
感光性組成物のえらばれた区域が変り、重ねたシリコーン層が除かれ、板はイン
ク付けされる。インクは板の区域にのみ付着し、現像後に残るシリコーンによっ
て覆われない。従って板は、フォント液を使用する必要なしにプリントされる。
然しながら、実際には感光性層に付着したシリコーン層組成物を得ることは困
難であることがわかった。水なし板に関する発明が15年間以上も前から特許明
細書に記載されたにもかかわらず、この発明の工業化例はごくわずかであり、工
業化されている水なし板はフォント液を必要とする通常の板よりも高価であった
。
本発明の目的は、水なし平版画板の新規な製造法を提供することにある。
それ故、本発明によれば、ポジ操作性感光性組成物を親油性基材に被覆し、こ
の板を像露光し、それを現像して、露光した感光性組成物の区域を除き、この板
の表面全体をインク放出性の又は硬化したときインク放出性になる組成物の層で
被覆し、次いで別の工程として又は組合せ工程として、インク放出性組成物を硬
化し又はインク放出性組成物を乾燥して板全体を露光し、次いで板を再現像して
第1の現像後に残る感光性組成物および感光性組成物と重なるインク放出性組成
物を除く、ことによって水なし平版画板を製造する方法が提供される。
再現像工程後のポジ操作性組成物に残るインク放出性物質の可能性を最小にす
るために、第1工程と板全体をインク放出性物質で被覆する操作との間に追加工
程を使用することが出来る。この追加工程は、ポジ作業性組成物に付着するが露
出基材には付着しない親油性組成物で処理して残存ポジ作業性組成物上に薄い光
学的に光を通す被覆を形成することからなる。インク放出性物質はこの薄い被覆
に付着しない。
使用するのに好適な物質はやし脂肪酸系のエステルである。このような物質を
第1現像後の板に塗って非常に薄い層を作る。
本発明の1の方法において、インク放出性組成物を別の工程で硬化させる。た
とえば、インク放出性組成物は熱硬化性でありうる。
本発明の別の方法において、インク放出性組成物はUV光線硬化性である。従
ってこの方法において、インク放出性組成物を硬化させるために及び板全体を露
光するために、単一工程のみが必要である。
本発明の別の方法において、インク放出性組成物は始めにインク放出性である
が乾燥することを必要とする。
本発明の方法はポジ操作の水なし平版画板を生じ、板に残るインク放出性組成
物は板の疏油性またはインク放出性区域を構成するが、第2の現像工程によって
除かれる感光性組成物は板の親油性区域を構成する。
第2の現像工程および乾燥後に、板はインク出しすることができる。このイン
クは、板に残るインク放出性組成物の各部分の間の区域に保持される親油性プリ
ントインクを使用するとき、板の親油性及びインク放出性区域の間を区別するた
めにフォント液を必要としない。
本発明の方法に使用する親油性基材は好ましくはアルミニウム板であり、これ
は大気圧酸素による作用のためにその表面に薄い酸化アルミニウム層をもつ。こ
の層は基材の陽極性処理により増大した厚みをもつ。親油性を増大させるための
基材の後の陽極的処理を考慮に入れることができる。電気化学的粒状化の後のこ
の処理は、通常の平版基材を与え、これを発明の方法に使用することが出来る。
あるいはまた、アルミニウム基材は粒状化されていない基材であってもよく、
これは陽極化され次いで任意にシリケート化されたものである。たとえば、次の
方法を使用することができる。
3%ケイ酸ナトリウムの溶液を脱イオン水中で作った。これを湯浴中で50℃
の温度に加熱した。陽極化のみをした基材を30秒間浸漬し、その後に十分に洗
浄し、80℃のオーブン中に5分間おいた。
特に有用な基材は、粒状化していないが陽極化したアルミニウム基材を上記の
ようにシリケート化し、次いでたとえばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン
で被覆した。
特に有用な被覆液はn−アミノプロピルトリメトキシシランの1:990溶液
である。
別法として、又はこれに加えてアルミニウム基材を層で被覆することができる
。これは非被覆基材上に改良された親油性を与える。このような被覆の例はネガ
操作性感光性組成物または親油性ポリマーたとえばエチルセルロースまたはリソ
ル型樹脂である。
アルミニウム基板上の被覆は、たとえばEP44220、US5061598
及びEP560347に記載されているようにいわゆるプライマー層に処理され
るか又はプライマー層で被覆されない。このようなプライマー層は多くの種類の
ポリマーたとえばポリエステル、ポリウレタン、及びポリアミドからなり、未被
覆アルミニウムによって与えられるよりもよりよいプリント表面を与えるのを助
けることができる。
本発明の方法に使用しうる別の基材物質は写真工業に基材として使用されるプ
ラスチック材料基材または処理紙基材である。特に有用なプラスチック材料はポ
リエチレンテレフタレートであり、これをこすってその表面を親油性にしたもの
である。コロナ放電処理したいわゆる樹脂被覆紙を使用することもできる。
好ましくはインク放出性組成物はシリコーン系ポリマーである。
インク放出性組成物中のシリコーン系ポリマーの代りに使用しうる他の物質と
してUSP3910187、USP4424325、USP4087584、及
びUSP4724195に記載されているようなフルオロアルキル化合物があげ
られる。
有用なシリコーンポリマーの例は有機官能性シロキサンである。1つのこのよ
うなシロキサンはダウ コーニングからSYLOFF 7920の名称で40%
固体エマルジョンとして入手しうる。
有用には硬化用触媒をインク放出性組成物と組合せて使用することかできる。
たとえば、ダウ コーニングによってSYLOFF 7922の名称で市販され
ている白金系触媒を使用してSYLOFF 7920を硬化させることができる
。
本発明の方法に使用するための有用なシロキサン被覆組成物は次のものからな
る。
4重量部のSYLOFF 7920
1重量部のSYLOFF 7922
2重量部の水
これを以後、シロキサン被覆用組成物Aと呼ぶ。
放出剤として使用するための別の有用なシリコーンは、0.375g(粘度5
00ctsk)のビニルジメチル末端のポリジメチルシロキサン0.105gの
メチルヒドロジメチルシロキサンコポリマー+1滴の白金ジビニルテトラメチル
ジシロキサン(触媒)、1.53gのisopar G:トルエン(14:2.
5)比からなる有機溶媒系処方物として被覆される。
好ましくは、インク放出性組成物は、ある割合の水溶性ポリマーたとえばポリ
ビニルアルコール又はセルロースエーテルたとえばヒドロキシプロピルセルロー
スを含む。
本発明に使用するための変性シロキサン組成物は次のものからなる。
4重量部のSYLOFF 7920
1重量部のSYLOFF 7922
2重量部の水溶液(これは10重量%のポリビニルアルコール(Gohse
nol NM 14)を含む)
このシロキサン組成物を以後シロキサン被覆用組成物Bと呼ぷ。
インク放出性被覆組成物が触媒たとえば白金を含むSYLOFF 7922を
含むとき、この組成物を100℃以上の温度で熱硬化する。従ってこのようなイ
ンク放出性被覆用組成物を使用するとき、別のインク放出用組成物の硬化工程が
必要である。他のプラチナ基材触媒の例はEP560347に記載されている。
有用にはインク放出性組成物の硬化性触媒を親油性基材中に又は上に被覆して
存在させる。すなわち組成物の硬化は、感光性組成物が第1現像工程後に除かれ
た板の区域に優先的に起こる。
他のインク放出性組成物は、それらがUVによって活性化される開始剤を含む
ならば、UVによって硬化しうる。このような開始剤はUSP3865588に
記載されており、芳香族ケトン、ヘキサアリールビイミダゾール、及びピリリウ
ム塩を包含する。
このような開始剤も親油性基材の上に又は中に被覆して存在させることができ
る。
UV硬化性であるフルオロアルキル組成物の例は次のものからなる。
Zonyl TM 1g
Zonyl TA−N 2g
Irgacure 907 0.1g
メチルエチルケトン 2g
このフルオロアルキル化合物組成物を以後フルオロアルキル被覆用組成物Cと
呼ぶ。Zonyl生成物はデュ・ポンによって市販されており、Irgacur
eはチバ・ガイギーによって市販されている。
始めにインク放出性であるが使用に際して約100℃で完全乾燥する必要のあ
るフルオロ化合物組成物は、水中に分散させたZONYL 8070の17重量
%液である。ZONYLはデュ・ポンによって市販されているフルオロアルキル
ポリマーである。
これを以後フルオロアルキル被覆用組成物Dと呼ぶ。
有用には硬化性開始剤をポジ層に存在させる。これは、第1の現像と露光後に
残るポジ感光性組成物区域に付着するインク放出性組成物の量を減少させる。こ
れは、第2の露光と現像の後のこのようなポジ区域の完全な除去を助ける。好適
な硬化性開始剤の例はヒドロキノンである。
第1の現像後に残るポジ感光性組成物に粘着するインク放出性組成物の量を減
らすために、この感光性組成物用のバインダーは、少なくとも1のセルロース性
化合物たとえばエチルセルロースからなることができる。
感光性組成物の光学感度に応じて、像露光は接触露光、投影露光、又は電磁放
射線への又は熱源、代表的に走査レーザーへの像セッター中の露光、でありうる
。
好ましい、ポジ操作感光性組成物はO−キノンジアジド化合物を含む。
特に好ましいO−キノンジアジド化合物は多くの刊行物たとえばUS特許No
s.2,766,118;2,767,092;2,772,972;2,85
9,112;2,907,665;3,046,110;3,046,111;
3,046,115;3,046,118;3,046,119;3,046,
120;3,046,121;3,046,122;3,046,123;3,
061,430;3,102,809;3,106,465;3,635,70
9;及び3,647,443に記載されており、これらの化合物を本発明に好ま
しく使用することができる。これらの中で特に好ましいのは芳香族ヒドロオキシ
ル化合物のO−ナフトキノンジアジドスルホネート又はO−ナフトキノンジアジ
ドカルボキシレート;芳香族アミン化合物のO−ナフトキノンジアジドスルホン
酸アミド又はO−ナフトキノンジアジドカルボン酸アミド、たとえば1−ベンゾ
キノン−1,2−ジアジドスルホン酸またはナフトキノン−1,2−ジアジドス
ルホン酸とポリヒドロキシフェニルとのエステル(以後“エステル”なる用語は
部分エステルをも包含する);ナフトキノン−1,2−ジアゾ−4−フルホン酸
またはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸とピロガロール/アセ
トン樹脂とのエステル;ベンゾキノン−1,2−ジアジドスルホン酸またはナフ
トキノン−1,2−ジアジドスルホン酸と、ノボラック型フェノール/ホルムア
ルデヒド樹脂、またはノボラック型クレゾール/ホルムアルデヒド樹脂とのエス
テル;ポリ(p−アミノスチレン)とナフトキノン−1,2−ジアジド−4−ス
ルホン酸またはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸とのアミド;
ポリ(p−ヒドロキシスチレン)とナフトキノン−1,2−ジアジド−5−5−
スルホン酸とのエステル;ポリエチレングリコールとナフトキノン−1,2−ジ
アジド−4−スルホン酸またはナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン
酸とのエステル;ポリマー状アミンとナフトキノン−1,2−ジアジド−4−ス
ルホン酸とのアミド;である。
特に好ましいポジ操作性組成物はトリアリールメタン染料、トリアジン酸発生
剤、フェノール樹脂の2,4−ナフトキノンジアシドスルホン酸エステルを含む
。
これを以後ポジ操作性感光性組成物Aと呼ぶ。
本発明の方法において、第1現像工程と第2現像工程との双方に使用する現像
液の例は、すなわち第一露光の後の感光性組成物の露光ポジ感光性区域を除く、
そして第2露光後は水溶液である現像液は8%のメタシリケート、0.1%のエ
トキシル化アルコールの有機ホスファイトエステル、及び0.0%のポリオキシ
プロピレンメチルエチルアンモニウムクロリドを含む水溶液である。これを以後
現像液Aと呼ぶ。
本発明の方法の種々の工程を説明するために、その説明を添付の図面を参照し
て行なう。
図I、II、III、IV及びVは、予備感光平版画板からの水なし平版画板の製造
の諸工程を示す。
図Iにおいて、出発原料の板はアルミニウム板上のポジ操作感光性組成物Aか
らなる。
図IAには粒状親油性アルミニウム板I上にポジ操作性感光性組成物が被覆さ
れている。
この板を次の諸工程すなわち、マスク3を通しての露光、次の現像液A中での
現像によって処理する。この現像工程は感光性組成物2の露光区域を除く。この
現像板を次いでシロキサン被覆組成物Aで全体を被覆する。
シロキサン被覆を次いで110℃で1分間加熱する。
これにより図IBに示すような板が生成する。この図中、1はアルミニウム板
であり、2は現像後に残る感光性組成物を示し、そして5は残存感光性組成物2
上の及び板5aに直接被覆した、両方の硬化シロキサンを示す。IBに示す板を
次いで全可視光露出にかけその後に現像液A中で再現像する。えられた板を図I
Cに示す。
粒状の親油性アルミニウム板Iは被覆のないIbの区域をもつ。区域Icには
硬化シロキサン被覆5が被覆されている。
図ICに示す板は親油性インクでインク付けすることができ、これはアルミニ
ウム板の区域Ibには付着するが、硬化シロキサン5を被覆した区域Icには付
着しない。このインク付けした板はフォント液を必要としない水なし印刷板とし
て使用することができる。
図Iの板を参照して述べた方法の小さい変形において、第1現像工程の後に板
Iを、少量のポリビニルアルコールを含むシリコーン被覆組成物Bで全体を被覆
した。これは図B中の残存感光性組成物2の上のシロキサン被覆5を除去するの
を容易にするという効果をもつが、図IC中のシロキサンには効果をもたない。
図IIにおいて、図Iで使用したのと同じアルミニウム板からなる板を、図Iで
使用したのと同じポジ操作性被覆用組成物2で被覆した。
図IIAの板を次いでマスク3を通して露光し、現像液A中で現像して感光性組
成物2の露光区域を除いた。この現像した板を次いでUV光硬化性のフルオロ被
覆用組成物で全体を被覆した。
この板の全体をUV光露光した。これはフルオロ被覆用組成物を硬化させ、残
存感光性組成物を露出させた。この板を次いで現像液A中で再現像した。生成す
る板を図IIに示す。粒状親油性アルミニウム板は区域Ibをもち、そこに被覆は
ない。区域IcにはUV光硬化フルオロ被覆5が被覆されている。
図IIcに示す板は、アルミニウム板の区域Ibには付着するが硬化フルオロ組
成物5を被覆した区域Icには付着しない親油性インクでインク付けすることが
できる。このインク付けした板は、フォント液を必要としない水なし印刷板とし
て使用することができる。
図IIIにおいて、図Iで使用したのと同じアルミニウム板からなる板を、図I
で使用したのと同じポジ操作性被覆組成物2で被覆した。
図IIIの板を次いでマスク3を通して露光し、次いで現像液A中で現像して図I
IIBに示すように感光性組成物2の露光区域を除去した。
現像した板の全体を次いでココナッツ脂肪酸で被覆した。これは残存感光性組
成物2上に非常に薄い層7として残るが、図IIICに示すように被覆されていな
い板6には付着しない。
この板を次いで5として示すフルオロアルキル被覆用組成物Dで全体を被覆し
、図IIIDに示すように120℃で1分間乾燥した。この板を次いで全露光にか
け、現像液A中で再現像した。生成する板を図IIIEに示す。この粒状アルミニ
ウム板Iは区域Ibをもち、そこには被覆はなく、そしてインク放出性フルオロ
アキル被覆で被覆された区域がある。
図IIIEに示す板は、アルミニウム板の区域Ibには付着するが硬化フルオロ
アルキル5で被覆された区域には付着しない親油性インクでインク付けすること
ができる。このインク付けした板は、フォント液を必要としない水なし印刷板と
して使用することができる。
図IVにおいて、この板に被覆した、図Iに使用したのと同じアルミニウム板を
含む板はネガ操作性被覆用組成物9であり、これはトリアリールメタン染料、4
−ジアゾジフェニルアミンサルフェートとホルムアルデヒド(p−トルエンスル
ホン酸塩)との縮合生成物、及びエポキシド樹脂からなる。
このジアゾ樹脂9に、図Iに使用したのと同じポジ操作性感光性組成物Aが被
覆され、これは2として示される。これらの被覆を図IVAに示す。
図IVの板は次いでマスク3を通して露光して過度のポジ被覆のみを露出し、現
像液A中で現像し、このようにしてポジ感光性層2の露光区域を現像工程によっ
て除き、シロキサン被覆用組成物Aで被覆した全体を5として示す。シロキサン
被覆を次いで110℃で1分間熱硬化する。
IVBの板を次いで全露光し、現像液A中で再現像する。これは図IVCに示す板
を生ずる。この図において、板Iを硬化ジアゾ樹脂9cで全被覆する。図IVCの
板の、マスク3を通して第1露光工程で露光した区域は硬化シロキサン樹脂5で
ある。シロキサン樹脂5で被覆されていない板の区域は、感光硬化させたジアゾ
樹脂であり、特に親油性である。従って図IVCの板はシロキサンで被覆されてい
ない区域に非常に良く付着する親油性インクでインク付けすることができ、水な
し平版画板として使用することができる。
図Vにも同じアルミニウム板が使用される。この板にはエチルセルロースの層
12が被覆される。この物質は乾燥したときに親油性層を形成する。エチルセル
ロース層12にはポジ操作性感光性樹脂の層が被覆されている。これらの被覆を
図VAに示す。
図VAの板を次いでマスクを通して露光し、現像液A中で現像し、そして図V
Bの5に示すように全体をインク被覆シロキサン被覆用組成物Aで被覆した。こ
のシロキサン被覆を次いで110℃で1分間硬化させた。
図VBの板を次いで全露光し、現像液A中で再現像した。これはVCに示す板
を生ずる。この板はエチルセルロース層12にのみ付着する親油性インクでイン
ク付けすることができる。このインクはシリコーン被覆5によって被覆されたエ
チルセルロースの区域には付着しない。このようにして水なし印刷板が製造され
る。
他の親油性を生じる層も、エチルセルロースの代りに図VAの板に使用するこ
とができる。
図I〜Vを参照して製造した板のすべては再現像後に乾燥され、次いでゴムロ
ーラ及び無水板インクを使用してインク付けされた。これらは次いで印刷プレス
に配置され、すべての場合に数千の良好なプリントが得られた。