JPH10509305A - 神経細胞アポトーシスの抑制タンパクとその遺伝子配列、並びに脊髄性筋萎縮症の原因となる当該遺伝子の突然変異 - Google Patents

神経細胞アポトーシスの抑制タンパクとその遺伝子配列、並びに脊髄性筋萎縮症の原因となる当該遺伝子の突然変異

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JPH10509305A JP8512818A JP51281896A JPH10509305A JP H10509305 A JPH10509305 A JP H10509305A JP 8512818 A JP8512818 A JP 8512818A JP 51281896 A JP51281896 A JP 51281896A JP H10509305 A JPH10509305 A JP H10509305A
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Abstract

(57)【要約】 常染色体性劣性神経変性異常である脊髄性筋萎縮症の遺伝子が第5染色体の領域にマッピングされた。この遺伝子は、ウイルスのアポトーシス抑制タンパクと相同性を有するタンパクをコードすることから、このコードされたタンパクは、神経細胞アポトーシス抑制タンパク(NAIP)と指定された。I型、II型、III型脊髄性筋萎縮症(SMA)の患者は(NAIP)領域に欠失があり、正常な非SMA母集団にはそのような欠失は認められなかった。

Description

【発明の詳細な説明】 神経細胞アポトーシスの抑制タンパクとその遺伝子配列、並びに 脊髄性筋萎縮症の原因となる当該遺伝子の突然変異発明の分野 神経細胞アポトーシスの抑制タンパク(NAIP)の遺伝子が、第5染色体のq1 3領域に同定された。この遺伝子の突然変異がI型、II型およびIII型の脊髄性筋 萎縮症患者に認められた。この発明は、この神経細胞アポトーシス抑制タンパク のアミノ酸配列を提供し、ウイルス性アポトーシスタンパクとの相同性を証明す る。発明の背景 この発明に係る様々な態様を説明する際に、種々の刊行誌の論文を容易に参照 できるように、明細書の最後に参考文献一覧表を付した。また、これらの参考文 献はその最初の著者名および出版年を明細書中に明記した。 小児期の脊髄性筋萎縮症(SMAs)は、常染色体性劣性神経変性疾患のグルー プに含まれ、発症および臨床的進行に基づいて3タイプに分類される(Dubowitz et al.,1978; Dubowitz et al.,1991)。これら3タイプはすベて、近位随意 筋の弱化および摩滅として顕在化する脊髄α運動ニューロンの変性によって特徴 づけられる。I型SMAは最も重篤なタイプであり、胎児期(in utero)または生 後数カ月で発症する。発症児は座位保持が不可能で、呼吸が不十分なために胸部 感染症を再発し易いため、生後数年間を生き延びることは滅多にない(Dubowitz et al.,1978; Dubowitz et al.,1991)。保因頻度が1/60から1/80のこの急性 疾患は、最も頻度が高い致命的常染色体性変性疾患の1つである。II型SMA発 症児は歩行には介助を必要とし、予後はさまざまであるが、青年期に死亡する場 合がある。III型発症児は自力歩行を続けられるが、3才から17才までの時期に 弱化し始め、症状が緩やかに進行していく(Dubowitz et al.,1978; Dubowitz .,1991)。 1990年には、SMAのこれら3つの小児期形態がすべて第5染色体長腕の5q11 .2-13.3に遺伝学的にマッピングされた(Brustowitcz et al.,1990;Gilliam e t al.,1990; Melki et al.,1990)。その後、多点連鎖分析と組換え現象の同 定を行ったところ、その遺伝子欠損はD5S435/D5S629によってセントロメア 側に位置する領域に局在化され(Soares et al.,1993; Wirth et al.,1993, Clermont et al.,1991)、MAP1B/D5S112によってテロメア側に位置する 領域に局在化された(Wirth et al.,1994,MacKenzie et al., 1993; Lien et al.,1991)。この区間は、さらに最近の組換え現象の同定によ って明確になり、SMA遺伝子がCMS-1の遠位に存在し(Yaraghi et al., Human Geneticsに投稿; van der Steege et al.,Human Geneticsに投稿) 、D5S557の近位に存在する(Francis et al,,1993)ことが明らかにされた。 我々やその他の研究者等は、クローンおよび単純縦列反復の単離ならびに順序付 けを阻害するD5S629/CMS-D5S557領域に特に豊富な第5染色体の特異反復 配列を検出した(Francis et al.,1993; Thompson et al.,1993)。この区間 内では、200kbのCMS-1領域(Kleyn et al.,1993)/CATT-1領域(Burgh es et al.,1994,McLean et al.,印刷中)/D5F150領域/D5F149領域/D5 F153領域(Melki et al.,1994)に及ぶコスミドクローン系列が構成されている 。 我々は、5q13.1のSMA含有D5S435-D5S112区間を含むYACクローンの 連続系列を構築した。その後、我々は、5q13.1のこの区間に存在し、神経細胞ア ポトーシス抑制タンパク(NAIP)をコードする遺伝子を発見した。さらに研究 を行った結果、この遺伝子の欠失がI型、II型およびIII型の脊髄性筋萎縮症に 認められることが確認された。発明の要約 神経細胞アポトーシス抑制タンパク(NAIP)をコードする遺伝子がヒト染色 体の5q13領域で見出された。この発明の一つの態様によれば、神経細胞アポトー シス抑制タンパクのcDNA配列表4に開示されたとおりに提供さる。この発明 の別の態様によれば、このcDNA配列から予測される神経細胞アポトーシス抑 制タンパクのアミノ酸配列が提供される。 この発明の別の態様によれば、神経細胞アポトーシス抑制タンパク遺伝子の欠 失がI型、II型およびIII型の脊髄性筋萎縮症患者に認められた。この神経細胞 アポトーシス抑制タンパク遺伝子欠失の発見によって、脊髄性筋萎縮症の診断に 使用する診断指示薬が提供される。 以下、図面を参照してこの発明の様々な態様をさらに詳細に説明する。また、 図面の簡単な説明はこの発明の要約の次に記載する。 この発明のさらに別の態様によれば、染色体5q13のSMA含有領域に位置する ヒト遺伝子が提供される。このヒト遺伝子は約5.5kbのエクソン1から17まで を含み、エクソン2から11までの制限地図は図8に示したとおりである。 この発明のさらに他の態様によれば、エクソン1から17までは、図9Dに示 すように、エクソン2から16までの制限地図を有している。 この発明の別の態様によれば、上記態様のヒト遺伝子の場合、エクソン5から 16は配列番号2のアミノ酸配列と生物学的、機能的に同等のアミノ酸配列を有 するNAIPタンパクをコードする。 この発明の別の態様によれば、上記態様のヒト遺伝子は配列番号1のcDNA 配列に生物学的、機能的に同等のcDNA配列を含むエクソン5から16を有す る遺伝子である。 この発明の別の態様によれば、精製ヌクレオチド配列は配列番号1のcDNA に対応するゲノムDNA、cDNA、mRNA、アンチセンスDNAまたは相同D NAを含むヌクレオチド配列である。 この発明の別の態様によれば、DNA分子の配列は配列番号2を有するNAI Pタンパクをコードする配列である。 この発明の別の態様によれば、精製DNA配列は実質的に配列番号1のDNA 配列からなる配列である。 この発明の別の態様によれば、精製DNA配列は実質的に配列番号2のアミノ 酸配列をコードするDNA配列からなる配列である。 この発明の別の態様によれば、精製DNA配列は配列番号1の少なくとも連続 18塩基を含む配列である。DNAプローブ、PCRプライマー、DNAハイブ リダイゼーション分子などが、少なくとも18連続塩基からなる精製DNA配列 を用いて提供することができる。 この発明の別の態様によれば、上記態様のDNA配列はクローニングベクター または発現ベクターの構築に使用される。 この発明の別の態様によれば、NAIPタンパクは上記のDNA配列によって コードされるタンパクである。 この発明の別の態様によれば、NAIPタンパクは配列番号2のアミノ酸配列 と生物学的に同等なアミノ酸配列を含むタンパクである。 この発明の別の態様によれば、NAIPタンパクは実質的に配列番号2のアミ ノ酸配列からなるタンパクである。 この発明の別の態様によれば、NAIPタンパクのフラグメントは配列番号2 の少なくとも15連続アミノ酸を含むフラグメントである。 この発明の別の態様によれば、上記アミノ酸配列はハイブリドーマの製造に使 用される。 この発明の別の態様によれば、生物標本を分析してNAIPタンパクをコード する遺伝子の有無を診断する方法が提供される。 この方法は、 i) 第5染色体のSMA含有領域q13由来の生物標本を単離し、 ii) 生物学的アッセイを行い、 a) 配列番号1のNAIPコードDNA;および B) 配列番号2のNAIPタンパク からなる群から選択された少なくとも一方が生物標本に存在するか否かを判定す る方法である。図面の説明 NAIP遺伝子のエクソンの番号は0から16まで順次付けられている。これ は、配列番号方式#1として図面に記載した。ただし、従来のエクソン番号につ いてはエクソン1からエクソン17までが好ましい。そこで、配列番号方式#2 として区別した。 図1はSMA遺伝子領域のYAC連続アッセイである。YACは実線で示され ている。白三角は多形性STRSを示し、黒三角はSTSSを示し、白四角は単 一コピープローブを示す。遺伝学的に定義されたSMA区間であるCMS-1-C MA-D5S557および従来のD5S629-SMA-D5S557区間をYAC上方に示し た。 図2はSMA領域の長距離制限地図である。低頻度切断(Rare Cutter)部位は 実線上方に示した。マーカーの最小セットをpYMC4トリプトファンに対応する実 線t下方または左端に示した。uはpYMC4ウラシルまたは右端に対応する。遺 伝的に定義されたCMS-1-SMA-D5S557区間およびD5S629-SMA-D5S5 57区間は、それぞれ550kbと1.1Mbであると推定される。 図3はCATT-1部位の増幅を示す。対立遺伝子サイズは各レーンの下方に示した 。(A)はYACの増幅であり、GはゲノムDNAを示す。(B)は第5染色体移動 選別ライブラリ由来のコスミドの増幅である。4つの異なる対立遺伝子をコスミ ド40G1(対立遺伝子15)、58G12(対立遺伝子12)、192F7(対立遺伝子10)および250B 6(対立遺伝子7)によって示した。 図4は我々の連続系列からマッピングされたコスミドの代表例を示す。実線上 方の垂直線はEcoRl部位である。白三角は多形性STRSを示し、黒三角はS TSSを示し、黒四角は単一コピープローブを示し、白四角は転写配列を示す。 I型SMAと強い連鎖不平衡を示すSTRsは星印で示した。コスミドlG3とl G9はYAC 76 Clコスミドライブラリから得られる。 図5はp151.2によって同定されるSMA領域の配列重複である。YACのハイ ブリダイゼーションは、(A)では700bpのフラグメント、(C)では500bpのフラ グメントを用いた。YACは、左から右に、セントロメアからテロメアまでが配 列されている。コスミドのハイブリダイゼーションは、(B)では700bpのフラグ メント、(D)では500bpのフラグメントを用いた。(B)では、12kbのフラグメン トがコスミドに検出されたが、20kbのフラグメントは存在しない。2.5kbのフラ グメントおよび600kbのフラグメントは、それぞれ3B3と、IEIに検出された が、これらは末端フラグメントである。(D)では、3kbのフラグメントしかコス ミドに検出されなかった。24D6の20kbバンドは(A)では検出されていないが、( C)では存在することに留意されたい。700bpフラグメントは24D6に検出される 場合もある。 図6はI型SMAと各種多形性5q13.1標識との間に観察される連鎖不平衡度が 、40G1で不平衡ピークを示す図である。 図7は9クローンから構成されるCATT領域を含み、約400kbに及ぶPAC連 続系列を示す。 図8はSMA遺伝子の構造を示す。エクソンを黒枠で示し、上方に番号を付け た。制限部位が図示されているが、BはBamHI、EはEcoRI、NはNotlで ある。エクソン4およびエクソン5(方式#1)または方式#2のエクソン5およ び6は全てのタイプのSMAでしばしば欠失している。 図9は図6、1、7、および8のそれぞれに開示された内容を単ページに配置 した図である。図9(A)は、病状表現型および物理地図を伴った6つの5q13.1標 識について、I型SMA家族に観察される連鎖不平衡度の相関を示す。本明細書 記載の主要な組換えによって定義されるSMA含有区間が示されている。不均衡 のピークが、組換え体によって規定されたSMA区間のセントロメア末端に隣接 していることに留意されたい。 図9(B)は、5q13.1のSMA領域をカバーするYAC連続系列である。YAC およびPACの連続系列については、STSsを黒三角で示し、多形性縦列反復 の多形性を白三角で示し、単コピークローンを黒四角で示した。特に、以下の点 を留意されたい。すなわち、我々の物理地図は、星印を付けた対立遺伝子9を含 むCMS下位部位を他のCMA下位部位のテロメア側に配置しており、遺伝的組 換えデータによれば逆転が観察されることから、我々は、5q13.1のこの領域に変 異型が存在することを確信している。 図9(C)は、5q13.1のSMA領域をカバーするPAC連続系列である。 図9(D)は、図8に詳細に記載されたNAIPの遺伝子構造である。 図10は、PAC、非SMA個体由来の胎児脳cDNAクローンおよびSMA 患者 由来のRT-PCRクローンのエクソン内容である。E158はグルタミン酸残基の 欠失を示している。RT-PCRは方式#2のエクソン13とエクソン4の間で 行われたが、この領域の外側では未検出の欠失がさらに存在することが考えられ る。 図11は、PACに認められるNAIP遺伝子の正常構造および内部欠失/切 断変異の構造である。図11Aでは、方式#2に基づくエクソンを番号付けした 黒枠として記した。NはNotl部位、BはBamHI部位、EはEcoRI部位を示 す。図11Bでは、明細書中で言及されている3kbおよび9.4kbのEcoRIバンド を検出するEcoRVクローンをEVと記した。図14では欠失した4.8kbのEco RI/BamHIバンドも記した。エクソン5およびエクソン6を含む6kbの領域と この欠失から生じる23kbのBamHIを、図11Cおよび11Dに示した。エクソ ン5およびエクソン6の欠失を同定するために使用するプライマーと欠失NAI P遺伝子の切断フラグメントを同定するために使用するプライマーとの位置は、 上記のNAIP構造に示されている。 図12は、NAIP遺伝子のイントロン/エクソンスのスプライス配列である 。 図13は、NAIP部位のエクソン13(方式#2)をプローブとした成人組織 のノーザンブロットである。組織は標識化され、フィルターは50℃、0.2×SS Cで洗浄され、4日間露呈させた。バンドは、肝臓および胎盤に6-7kbの範囲で 観察することかができる。 図14は、近親婚のフランス系カナダ人のIII型SMA家族の家系分析結果お よびサザンブロット結果である。上のパネルは、BamHI/EcoRIで切断した ゲノムDNAを、NAIPのエクソン2から9(方式#2)までを含むcDNAプ ローブで探索した結果、エクソン5および6(方式#2)を含む4.8kbのフラグメ ントが全患者で損失し、フレーム内欠失が生じていることを示している。その他 全員は、ホモの正常な姉弟を除き、このバンドの用量は半分であった。下のパネ ルは、同じ家族のBamHI断片を示す。患者では、2つの重なった14.5kbの連続 フラグメントがBamHI部位を含む6kb配列を欠失しており、その結果23kbのバ ンドが生成されている(図11参照)。家系のすべての個体の23kbのBamHIバン ドの存在は、母集団全体のばらつきと一致することに留意されたい。同様に、P AC238D12に含まれ、かつ図11に示される方式#2のエクソン1から6まで の欠失を示す9.6kbのBamHIバンドが、非SMAキャリアーを含む個体すべて に確認することができる。 図15は、エクソン5(方式#2)を増幅するプライマー1864および1863を用 いてIII型家系21470および24561をPCR増幅した結果である。この反応は、エ クソン13(方式#2)のプライマー1258および1343を用いて多数回行い、結果を 曖昧にするPCRの不良を除外した。増幅不良は、エクソン5(方式#2)のホモ 接合の不在に一致し、病状表現型と共分離することがわかる。 図16は、SMA組織および非SMA組織から得られたRT-PCR増幅の結 果である。文字nは、非SMA組織由来のRNAを指し、aはSMA疾患組織由 来のRNAを指す。組織源は、各パネルの上に示した。lymはリンパ芽球を指し 、fibは繊維芽細胞を指す。a5を除くすべての試料はI型SMA患者から得られ 、a5は図15に示す近親婚のIII型SMA家系24561から得られた。 RNAは、エクソン13(方式#2)から逆転写された。パネルAおよびパネル Bに示される一次PCR産物には、エクソン1のプライマー1884とエクソン13 のプライマー1285または1974を使用し、パネルCに示される一次PCR産物には エクソン6のプライマー1919とエクソン13のプライマーとを使用した。パネル Aの二次PCRには、エクソン4のプライマー1886とエクソン13のプライマー 1974とを使用し、パネルBの二次PCRには、エクソン5のプライマー1864とエ クソン11のプライマー1979とを使用し、パネルCの二次PCRには、エクソン 9のプライマー1864とエクソン13のプライマー1974とを使用した。 生成産物の不良または増幅は、パネルAの脊髄組織およびリンパ芽球組織の試 料a2、a3、a4、a5、a6およびa7から確認することができる。パネルBは、 a2およびa3においてサイズが減少したバンドが増幅されたことを示し、a7に おいては挿入断片と一致して大型産物が増幅されたことを示している。パネルC は、a2、a3、a9およびa11においてエクソン11および12(方式#2)の欠 失と一致してバンドサイズが低減することを示している。好ましい態様の詳細な説明 以下、別段の指示がない限り、本発明の詳細な説明においてはエクソン番号方 式#2に基づてエクソンを参照する。 明細書を通して、種々の略語を使用して様々な構成要素および技術を特定する 。以下は、このような構成要素および技術の参照として付する語彙リストである 。 CTR − 複合縦列反復 DNA − デオキシリボ核酸 PCR − ポリメラーゼ連鎖反応 PFGE − パルスフィールドゲル電気泳動 PAC − P1人工染色体 RNA − リボ核酸 RT-PCR − 逆転写酵素-ポリメラーゼ連鎖反応 STR − 単純縦列反復 STS − 配列標識部位 YAC − 酵母人工染色体 本発明は、神経細胞アポトーシス抑制タンパク(NAIP)をコードする遺伝子 の同定、位置決定および配列特性に関するものである。我々は、この遺伝子の突 然変異が上記I型、II型およびIII型脊髄性筋萎縮症(SMA)を引き起こすこと を見出した。この遺伝子の突然変異は正常なNAIPタンパクの生成欠損を生じ させるが、このNAIPタンパクはヒト正常過程に生理学的に関与し、神経細胞 を維持し、患者に共通する早期の神経細胞死を阻止していると考えられる。対象 遺伝子は染色体5q13.1のSMA含有領域に特定される。別段の指示がない限り、 本発明の詳細な説明においてはエクソン番号方式#2に基づてエクソンを参照す る。この遺伝子は、約5.8kbのエクソン1から17までを含み、図8に示すよう なエクソン2から11までの制限地図を有する。エクソン2から16までの最新 の制限地図を図9Dと図11Aに示した。図から解るように、この遺伝子はエク ソン1から17までの配列よりも相当長い。未だに配列が決定されていないエク ソン間には、相当のイントロン情報が存在している。SMAを診断する観点から すると、エクソン1から17までの配列が極めて貴重である。正常な配列は、表 4に示す他、配列番号1として記載した。いかなる遺伝的突然変異、すなわちそ のDNA配列の変化は、それが遺伝子の全体的な欠失、置換または多形化などに 関わらず、疾患の原因であるか、または原因となり得る。最も共通的な突然変異 は以下のとおりであると考えられる。 i) 遺伝子のエクソン5、6の欠失、または ii) 残りの遺伝子に欠陥がある場合には、第5染色体のこの遺伝子のコピー 不在もしくはコピー数の著しい減少が原因となり得る。 正常配列、または正常配列の突然変異の有無を判定することによってヒトのS MA感受性を診断するにはどのような生物学的アッセイを採用することもできる 。このよう生物学的アッセイは、DNAプローブを使用するDNAハイブリダイ ゼーション、制限酵素分析、ヒトの生体試料の第5染色体から単離されるような 配列該当部のPCR増幅、配列当該部のメッセンジャーRNA検出およびDNA 配列決定などである。これらの一般的な生物学的アッセイは様々な手続 きで行うことができるが、その場合の好ましい方法は以下の通りである。 SMAの診断を2つの方法で実施する。第1は、危険性のあるヒトのゲノムに ついて、NAIPのエクソン5および6が不在であるかを検定する。これらのエ クソンは、母集団では0.05%の頻度で、I型SMA集団では50%の頻度で不在で あることが分かっている。第2の方法は、被検者のNAIP遺伝子のコピー数を 調べるものである。我々は、SMA患者ではNAIP遺伝子の欠失形態と正常形 態とが共に概ね減少していることを見出している。濃度計を使用して遺伝子のコ ピー数を測定することによって、SMAの発症リスクを正確に評価する方法を確 立することができる。最も高い相関は、エクソン2から4までとエクソン13に 観察される。 実際には、以上に概説した2つのステップは以下の方法で実施することができ る。 (i) 被検者から得た等量のDNA(0.1マイクログラム)に対して2つの同時P CRを実施する。一方のプライマー対はエクソン5および6に対応するものとし (例えば、配列番号7のプライマー1863と配列番号8のプライマー1864)、他方の プライマー対はエクソン5および6以外の領域に相同なもの(例えば、配列番号 5のプライマー1343と配列番号4のプライマー1258)とする。後者の反応を実施 することで、PCRが作用していることを確認することができる。さらに2つの コントロールとして、(i)適切なプライマーを使用して、エクソン5およびエク ソン6を含むことが知られるゲノムDNAにPCRを行い、この特定反応が作用 していることを確認するものと、(ii)鋳型として水を使用し、混入物質の不在を 確認する負のコントロールとがある。すべてのPCR産物はアガロースゲル内に 移され、電気泳動によって分離され、視覚的に分析される。 (ii) SMAリスクの濃度計による判定は、蛍光色素で標識したPCRプライ マーを用いて行う。エクソン2から4、エクソン13、エクソン5、6およびエ クソン11、12に対するプライマーを使用して、被験者由来のゲノムDNAに 対するPCRを行う。PCR産物はゲル上で電気泳動によって分離され、個々の バンドの輝度は蛍光光度法によって判定される。このような値を標準値と対比さ せ、SMAリスクを確認する。 NAIPの一つの側面は、筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病等のその他 の神経変性疾患に対するリスクと明らかに相関することである。従って、上記に 説明した試験は、これらの疾患に対するリスクの予知としても役立つ。以下のB aculoviral IAPsの節で詳細に述べるように、NAIPタンパクは細胞 アポトーシス抑制タンパクと高い相同性を有している。このため、神経細胞のア ポトーシスを起因する神経変性疾患であれば、NAIP遺伝子のDNA配列情報 を用いて予知することもできる。このような神経細胞アポトーシスはNAIP遺 伝子の突然変異と最も結び付き易く、この変異は、SMAに関連した突然変異や 神経アポトーシスを抑制するNAIPタンパクの生物活性に影響する他の遺伝子 の突然変異と類似している。 mRNAの検出については、我々は以下を提案する。 RT-PCRは複数の分子生物学的用途に必須であるRNA転写物を分析する めの迅速な方法である。この方法は従来のノーザンブロット法、RNAドット/ スロットブロット法、in situハイブリダイゼイション法よりもはるかに感受性 が高く、効率が良い。このような高い感受性によって、少量のRNA転写物や少 量の細胞から単離したRNAについて試験することができる。さらに、転写物の パネル全体を同時に分析することもできる。 プロトコルの概要: 最初に、RNAを組織または細胞から単離し、相補的D NA(cDNA)への逆転写のための鋳型として使用する。逆転写(RNA依存性の DNA合成)を逆転写酵素によって触媒する。次に、cDNAを鋳型として、選択 されたcDNA領域を増幅するよう設計されたプライマーを用いてPCRを行う 。PCR後、生成物をアガロースゲル電気泳動によって分析する。そのcDNA のヌクレオチド配列情報から推定されるPCR産物のサイズによって増幅された cDNAを同定する。PCR産物は、さらに制限切断、ハイブリダイゼーション 、またはヌクレオチド配列決定によって確認することができる。 PCR(RT-PCR)によるRNAの酵素的増幅 この方法は、PCRを用いてRNAを酵素的に増幅するために用いる。 プロトコルの詳細: 最初に、プライマーをRNAにアニーリングする。RN AおよびcDNAプライマーは、poly(A)+RNA、cDNAおよび水を一緒に添 加することによって共沈させる。酢酸ナトリウムとエタノールとを添加する。こ れを-20℃以上で一晩かけて沈降させる。ペレットをエタノールで洗浄する。次 に、水、Tis-HClおよびKClを添加し、その混合物を90℃に加熱した後、徐 々に67℃まで冷却する。微少遠心分離し、3時間52℃でインキュベートする。こ の最終アニーリング温度は、プライマーの塩基組成に従って調整することができ る。あるいは、プライマーをpoly(A)+RNA、cDNAおよび水に混合すること によってRNAにアニーリングすることもできる。この混合物を65℃で3分から 15分間加熱する。冷却した混合物に逆転写酵素緩衝液を添加する。 次にcDNAを合成する。逆転写酵素緩衝液とAMV逆転写酵素とを添加する 。これを混合して1時間42℃でインキュベートする(プライマーとRNAの塩基 組成による)。Tris-Cl/EDTAを添加した後、緩衝フェノールを混合し、撹 拌する。微少遠心し、クロロホルムを水相に添加し、撹拌し、微少遠心する。酢 酸ナトリウムとエタノールを水相に添加する。混合し、-20℃で一晩沈殿させ、 微少遠心し、ペレットを乾燥させ、水に入れて再懸濁する。 次いでcDNAをPCR増幅する。混合物は調製cDNA、増幅因子、dNTP 混合物、増幅緩衝剤および水を含む。通常、増幅プライマーの一つはcDNAプ ライマーと同一のものである。異なるプライマーを使用する場合、cDNAプラ イマーはcDNA反応から除外されることが望ましい。反応混合物を2分間94℃ に加熱し、微少遠心して凝縮物を回収する。Taq DNAポリメラーゼを添加し 、混合し、遠心分離し、ミネラルオイルで皮膜して増幅サイクルを開始する。サ イクル数は、RNAの量によって様々である。通常は40サイクルで十分である 。次に、反応産物をアガロースまたは非変性ポリアクリルアミドゲル内でゲル電 気泳動によって分析する。cDNAを増幅ステップに直接導入することもできる 。 当然のことながら、遺伝子、そのcDNA配列、その他のDNA配列およびR NA配列について言及する際に、何らかに特定化した配列は生物学的に同等の機 能を有するもののいずれかまたは全てを包含するものである。同様に、記載した タンパク質配列についても、目的が関連している限りは、それらの呼び名は生物 学的に同等の機能を有するもののいずれかまたは全てを包含する。上記の生物学 的アッセイでは、当然のことながら、DNA配列またはタンパク配列の全長また は一部を使用することができる。一般に、そのDNAの少なくとも連続18個塩 基がハイブリダイゼーション用プローブやPCRプライマー等として有用である 。同様に、タンパク質配列の場合にも、少なくとも15個の連続アミノ酸配列が モノクローナル抗体などのタンパク質受容体を開発する際に有用である。このよ うなモノクロナール抗体は、タンパク質構造の特定の抗原決定因子に特異的なモ ノクロナール抗体を産生するハイブリドーマを作成するような標準的な方法で製 造することができる。 表4について言えば、エクソン5、6、7、8、9、10、11および12がIAP領域 と高い相同性を示すという観点からすれば、このような相同性は、これらのエク ソンの欠失またはその他の突然変異が疾患に感受性があるキャリアに生じ得るこ とは当然である。例えば、このことは、ヒトにおける減少したコピー数において エクソン5および6の欠失がこの疾患の原因となることによって証明さ れる。このため、遺伝子のこの領域のいかなる配列情報も診断的観点からは重要 であり、この領域に存在するいかなるDNAの18連続塩基または15連続アミ ノ酸残基もSMAの疑いがあるヒトの診断の根拠とすることができる。当然、こ の遺伝子のその他の領域における他の種類の欠失、突然変異、多形性なども疾患 の原因であることが考えられ、疾患分析、予後、あるいは治療に関連するその他 の目的に使用することもできる。 制限地図は被検者の遺伝子の特性を同定する際に有用であるが、エクソン1か らエクソン17までの特異的cDNA配列を配列番号1に記載した。コード配列 は、エクソン5の396位塩基のATGコドンから始まり、エクソン16の4092位 塩基の停止コドンTAAで終了する。エクソン1から4までは5'未翻訳領域に位 置し、エクソン17は3'未翻訳領域に位置する。いくつかの遺伝性疾患と同様に 、未翻訳領域の突然変異または多形化がこの疾患の原因として当然と考えられる ので、IAPが相当に類似した領域以外におけるプローブなどの配列部分もSM A診断に有効であると考えられる。配列番号1の配列情報は、適切なクローニン グベクターを構築してその遺伝子のコピーを複製するために使用するこができ、 あるいは組み換え技術によって発現ベクターを構築し、これを宿主にトランスフ ェクトしてNAIPを多量に製造するために使用することができる。クローニン グベクターまたは発現ベクターの使用目的によって、配列情報のセクション、フ ラグメントまたは全長をそのようなベクターの構築に使用することができる。こ の理解を前提に、SMA疾患遺伝子の同定、その特性、対応するタンパク質配列 および診断時のそれらの使用法の詳細を説明する。 染色体5q.13に沿った脊髄性筋萎縮症(SMA)遺伝子領域のYAC連続系列を 構築したが、これはD5S435-D5S112区間を含み、全体で4Mbであった。コス ミド系列のCATT-40G1下位部位は、脊髄性筋萎縮症との有意な連鎖不平衡を 示し、その遺伝子に隣接していることを示した。ただし、SAM遺伝子を含む正 確な領域の描写は、この情報だけでは不可能である。9個のクローンからなるC ATT領域を含み約400kbに及ぶPAC連続系列が構築された。物理的マッピン グデータと併用した遺伝学的分析の結果、CMS対立遺伝子9と40G1 CATT 下位部位を含む154kbのPACクローン125D9(図7)が高い確率でSMAを含ん でいた。以下のようにさらに分析した結果、PAC125D9は、神経アポトーシス 抑制タンパクをコードする遺伝子を含むことが判明した。 pYAC(酵母人工染色体プラスミド)によって、400kb以下のDNA連続鎖を酵 母に直接クローニングすることができる。環状pYAC(インサートなし)は E.coli.で複製させることができる。pYACのin vitro開列、外来性DNAと の連結、直鎖状分子(各末端にテロメアを含む)の酵母への直接形質転換によって ライブラリが構築され、これは標準的な方法によってスクリーニングすることが できる。 大型のYAC構築物は自然の染色体と同様に安定している。これらは、ヒトゲ ノムなどの複合ゲノムからライブラリを構成するための格好のベクターである。 さらに、E.coli.コスミドおよびラムダベクターではクローニング不可能な配列 も、YACベクターでは十分にクローニング可能である。 YACベクターは、通常は環状プラスミドとして細菌中で増殖する。制限酵素 標的部位は、切断時に2つの腕を生じさせるように配置されており、その各々が 異なる選別マーカーを含み、一方がテロメアで、他方が平滑末端で終結する。さ らに、一方の腕はARS要素を含む。この2つの腕は、連結フラグメントから分 離精製され、平滑末端を分離するように断片化された供与DNAに連結される。 連結反応混合溶液によって酵母細胞が形質転換されるが、この時の選別条件は、 両腕の存在を確認することや、非組み換え体に認められる第3の選別マーカーが インサートによって妨害されることを確認すること等である。 YAC連続系列の構築 National Centers of Excellence(NCE,Toronto)、Imperial Cancer Research Fund(ICRF,London)(Lain et al.,1991)およびCentred'E tude du Polymorphism Humaine(CEPH,Paris)(Alertson et al.)で構築 させた3つのライブラリからYACクローンを単離したが、これらは全てYAC ベクターpYAC4に連結したDNA全体の一部のEcoRI断片から調製された ものである。ICRF YACクローンは、ライブラリフィルターを5q13.1プロ ーブを用いて探査するこによって同定した。NCEライブラリから得られたYA CDNAをPCR増幅によってスクリーニングし、電気泳動し、サザンブロット に固定し、放射標識したSTS産物にハイブリダイズし、ポジティブであること を確認した。多数のポジティブがプールしたプレートの第1回目PCRおよび目 的のクローンを含むと考えられたプレートでの第2回目のPCR双方から繰り返 し得られたが、その多くは偽のポジティブであった。偽ポジティブクローンはプ ライマー依存性と思われるが、その数はPCR産物を放射標識し、6%ポリアク リルアミドゲル上で分解させることによって減少した。その後、真のポジティブ クローンのサイズを偽生成物からの干渉を受けずに正確に測定することができた 。 5q13.1STSに対してポジティブなYACを有する酵母菌株を選別プレート上 で培養し、以下の方法で安定性を試験した。すなわち、4コロニーの各々をアガ ロースブロックで培養し調製し、酵母染色体DNAをパルスフィールドゲル電気 泳動によって分離し、フィルターに転移し、放射標識した全ヒトゲノムDNAと ハイブリダイズさせることによって各酵母コロニー内に含まれるYACクローン のサイズと数を決定した。ポジティブクローンは、オリジナルプローブとのハイ ブリダイゼーションまたはPCR増幅のいずれかによって確認した。YAC24D 6-2だけが1つ以上のYACを有する複数のコロニーを含んでいた。 YAC末端クローンおよびインター-Aluは、それぞれベクター-AluPCRお よびインター-AluPCRによって単離した。5q11−13におけるこれらの産物の 位置は、第5染色体の全てを含む体細胞ハイブリッドHHW105(Dona et al.,1 982)と、5q11.2-13.3が欠失した第5染色体を含む誘導体HHW1064(Gilliam e t al.,1989)のサザンフィルターにハイブリダイズさせて確認した。これらのプ ローブの多くは、5q11−13領域と第5染色体のどこかとに位置することを示すハ イブリダイゼーションプロフィルを示した。ある場合には、各YAC末端に特異 的なプライマーは、ベクター-AluPCRによって単離されたYAC末端クロー ンの配列から生成された。各々の新規STSの5q11-13への配置は、体細胞ハイ ブリッドHHW105およびHHW1064由来のDNAのPCR増幅によって決定さ れた。若干の場合には、HHW105およびHHE1064から得られたPCR増幅産 物がポジティブの場合は、プライマー対が第5染色体反復配列を含んでいた。新 規のSTSプライマーの形成によって、5q11-13領域に特異的な産物が増幅した 。末端クローンハイブリダイゼーションおよびSTS分析をすべてのYACに実 施し、各YACの向きと位置を確認した。 SMA区間を含むYAC連続系列の集合は、2つのマーカー、すなわち、SM Aに隣接し、D5S435のセントロメア側に存在するマーカーD5S125(Mankoo e t al.,1991)と、よりテロメア側に位置するマーカーD5S112(Lien et al.,1 991)(図1参照)とから開始する。6つのYACは、セントロメアマーカーpJK5 3(D5S112)によってICRFライブラリに同定された。これらのYACの1つ はD06100であるが、末端クローンSTS分析に基づきさらにセントロメア方向 に延在することが示された。このYACのセントロメア末端によって、NCEラ イブラリから2つのYACすなわち1281と1284を同定した。 D5S125またはD5S435マーカーにポジティブなYACは、ICRFライブラリ とNCEライブラリには認められなかったため、CEPHライブラリをスクリー ニングすることによって、D5S435を含むクローンを単離した。ギャップの中心 に位 置するミクロサテライト多形性であるCATT-1を使用して、3つのYACす なわち24D6-2、27H5、33H10を検出した。これらのYACは、STS分析によ って、セントロメア方向のYACおよびテロメア側のYAC(1281、1284)に連結 することが示された。AluPCRによる中間YAC産物を使用して全てのYAC を探査し、オーバーラップの程度を確立した。JK348とD5S112との間に位置 するSTS配列(Kleyn et al.,1993)を使用し、オーバーラップの程度と連続系 列におけるYACの配向を確認した。同時に5q13に沿って各STSの順番も確認 した。結果的に全部で14YACを同定し、遺伝マーカーD5s435、D5S629、 CMS-1、D5F153、D5F149、D5F150、D5F151、D5S557およびD5S112 によって固定した。 長距離制限地図および物理的距離の見積 重要なSMA領域の制限地図をD5S629に約100kb近位のSTS Y116U(Kley n et al.,1993)からD5S557に約500kb遠位のSTS Y107Uまで作成した(図2 参照)。我々のYACの欠失または転位についてあらゆる可能性を見い出すため に、CEPHライブラリ(Kleeyn et al.,1993)からさらにYACを単離し、この 領域内にマッピングすることを分析に含めた。YACの24D6、227H5、33H10 、155SH11、76C1、235B7、184M2、428C5、81B11(Kleyn et al.,1993)を 低頻度切断エンドヌクレアーゼNotl、BssHII、Sfil、Rsrlを用いて部分 的に切断した。パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)で分離した制限産物 をサザンブロッティングし、YACの左腕特異プローブおよび右腕特異プローブ にハイブリダイズさせたところ、各YACの両端からの開列部位の位置が明らか にされた。YACの配向およびオーバーラップは、STS分析に基づいてすでに 求められているので、オーバーラップしたYAC中の低頻度切断部位の位置を比 較した。それらの共通する低頻度切断部位にオーバーラップしたYACを並べる ことによって、オーバーラップの程度をさらに正確に決定することかできた。異 なる起源由来のオーバーラップYACの長距離制限地図は33H10および428C5を 例外としてほとんど一致する。428C5は欠失を含むことが以前に立証さており( Kleyn et al.,1993)、そのSTS含有物の比較と、わずか300kbのサイズしかな いことから、図2の配置よりもさらにセントロメア側に存在することが示唆され る。STS分析に基づくYAC33H10は、内部欠失を含み、YAC155H11はテ ロメア側がキメラであるので、地図のテロメア側の低頻度切断部位は確認するこ とができず、含まれていなかった。この結 果は、セントロメア境界であるD5S435からテロメア境界であるD5S557までの 距離は1.4Mbであり、これは先に報告された400kb(Francis et al.,1993)とは著 しく異なるが、別の見積結果(Wirth et al.,1993)とは一致した。さらに、D5 S629-D5s557区間は1.1Mbであり、遺伝的に定義されたCMS1-SMA-D5S55 7区間の距離は約550kbであると見積もられた。 第5染色体ライブラリからのコスミド連続アセンブリ YAC全体をプローブとして使用するコスミドの単離は、コスミド連続系列を 構築する迅速な方法であると考えられたが、この場合、第5染色体に特異的な反 復配列の存在によって、第5染色体の別の場所に位置するコスミドを単離し易い と思われた。目的のコスミドのウォーキング法は、こうして採用された。 CATT-1 STRは、放射線ハイブリッド分析によって2つの接合標識D5S4 35とD5S351のほぼ中間に位置することがわかっているが、これを開始点として 使用し、コスミドクローン系列を構築した。ゲノムDNAに見られる複合増幅パ ターンは、1個体あたり2から8の対立遺伝子を含んでいるが(図3参照)、この 領域のCATT-1配列のコピー数または部位が可変的であることを示すもので あった。30個のCATT-1にポジティブなコスミドを同定したところ、それ らはPCR分析時に4個の異なる対立遺伝子の1つを含むことがわかった。コス ミドライブラリはモノ染色体ソース由来であったので、これによってCATT STRは少なくとも4つの位置に存在することが確認された。我々はこれらの4 つの部位を下位部位(subloci)と命名した。これらの下位部位は、各々12、19、1 5、20のシトシンアデノシン(CA)ジヌクレオチドの対立遺伝子を含有すること が確認された第1コスミド番地に基づいてCATT-40G1、CATT-192F7、 CATT-58G12、CATT25OB60と命名された。両方向ウォーキングを4つ のコスミド下位部位から開始した。ポジティブなハイブリダイゼーションは、58 G12を一端に有する250B6と他端に有する192F7に観察され、cen-192F7-58G1 2-250B6-telの順序であった(図4)。CATT-192F7対立遺伝子を含む全てのコ スミドは、それらのCATT-1対立遺伝子のサイズおよびそれらの制限酵素プ ロフィルに基づいて、この位置に配置された。図4に示すように、CATT-192 F7下位部位は、STR CMS-1に対してテロメア側であり、それ自体がCA TT-40G1下位部位のテロメア側である。 第5染色体特異反復配列の存在によって第5染色体の別の領域からコスミドを 同定し、連続系列の一貫性を次の各ステップによって確認した。ベクター- Alu-PCRによって生成されたコスミド末端クローンを上記体細胞ハイブリッ ドパネルにハイブリダイズした。第5染色体領域に単独で位置する反復配列がハ イブリッド細胞系HHW1064では欠失しいてることが確認され、最終産物によっ て同定されるコスミドはHHW1064とハイブリダイズしないので、さらに分析し た。オーバーラップは、末端クローンのハイブリダイゼーション、単コピープロ ーブのハイブリダイゼーション、STS含量、制限酵素プロフィルの比較によっ て証明された。HHW1064にハイブリダイズする末端クローンによって同定され たコスミドを除外し、同じ方法で確認した別のクローンからの異なるインター- Alu産物を用いてウォーキングを継続した。コスミドのサイズは、EcoRI制限 フラグメントの添加によって算出され、オーバーラップの存在はEcoRI制限フ ラグメントによって同様に求められた。 YAC76C1コスミドのコスミド連続系列 コスミド連続系列の伸長は第5染色体に特異的な反復配列の存在によって妨げ られるので、5XコスミドライブラリをYAC 76C1から作成した。YACに沿 って分布するSTSのCATT-1、CMS-1、Y122T(Kleyn et at.,1993)、 Y97T(Kleyn et al.,1993)およびY98T(Kleyn et al.,1993)を用いてコ スミドを同定し、連続系列を構築した。同様に、以前に開発されたマーカーpZ Y8、pL7、pGA-1、p15.1、p402.1、p2281.8および構築されたコスミド連続系 列由来のβ-グルクロニダーゼ(Oshima et al.,1987)(表2、図2)がこのライ ブラリにハイブリダイズしたが、これはコスミドの順序付けに効果的な方法であ った。不規則なハイブリダイゼーションパターンを示し、欠失および/または転 位を含むと考えられるコスミドを除去した。 STS Y98Tは、STS Y98Tを含む第5染色体ライブラリクローン由来の プロー2281.8によって以前に同定されたコスミドを含む3つのコスミドを識別し た。このコスミドの最終産物は、10個のコスミドにハイブリダイズした。同時 に、CATT40G1下位部位の末端フラグメントは、これら10コスミドの4つ にハイブリダイズし、CATT-40G1およびCMS-1をよりセントロメア寄り のSTS Y98Tに連結した(図4)。我々は、YACおよびSTS 97Tを含むい かなるクローンをも同定することができなかった。フィルターハイブリダイゼー ションおよびSTSマッピング実験の結果、別のCATT40G1下位部位がさら にセントロメア寄りであることを示した。この下位部位の重複は、我々のSMA 血族遺伝子型データに一致した(McLEan et al.,印刷中)。 この領域を測るのに必要な最小のコスミドセットを用いてEcorI制限地図を 作製した。連続系列の信頼性を確認するため、我々はそれを第5染色体特異的ラ イブラリからの連続構築物に組み込むことを試みた。連続系列の一致は、制限地 図の比較、地図上のプローブおよびSTSsの位置、およびAlu-PCRフィンガ プリンティングによって明白であった。この方法の場合、連続系列のサイズは21 0kbであると見積もられた。このため、直接的なウォーキング法によって、既知 のセントロメア/テロメア配置を有する下位部位のCATT-1クラスターを含 む1組のコスミド集合を作成した。 重複/欠失 幾つかの証拠は、我々のコスミド系列中にゲノム配列重複が存在することを示 唆した。我々は、CATT-40G1サブクローンの複製が単一の第5染色体由来の コスミドに存在することの証拠を提供する。CATT-40G1下位部位として確立 されたこの下位部位に対するセントロメアの位置は、複数のコスミドにおいてS TSsのY122T、Y88TおよびCMS-1に隣接していることが見出され、セント ロメアのYAC428Sは、CATT-40G1含有コスミドから単離されたプローブ に対してポジティブであった。YAC428C5は、PCR増幅の際にはCATT-4 0G1下位部位を含まなかったが、これはYACが由来する染色体の無効対立遺伝 子またはYACの欠失によって説明することができる。我々は、既に、離れたC ATT-1下位部位で個々の無効対立遺伝子を観察している。CATT40G1の別 のよりテロメア寄りの位置を、いずれもテロメア側のYAC33H10である24D62 に結合するプローブpGA-1、pL-7およびpZY8のCATT40G-1へのハイブリ ダイゼーションによって決定した。コスミド40G1由来のp402.1をコスミドの両 方の位置にハイブリダイズしたところ、重複はCATT40-1下位部位に限定され ず、より広い領域を含む傾向にあることが分かった。サザンブロットによって、 2つの位置に対するコスミドの異なるプロフィルが明かになったが、Alu-PC Rフィンガプリントによって共通のバンドが検出され、重複を裏付けた。 我々のYAC系列とコスミド系列との相関関係から、YACの76C1、81B11 、27H5は、5q13の150kbのCATT領域に及ぶことがわかった。それにも関わら ず、これらのYACのCATT-1遺伝子型からは1つの対立遺伝子サイズが判明 しただけで、これらのYAC(4つすべて)が由来する染色体が、それらの残りの CATT-1下位部位の無効対立遺伝子を含む確率が高くなった。ただし、 我々の実験は、SMA家系のCATT連鎖分析によって、遺伝子型を決定した約 300人のうち誰も2つ以下の対立遺伝子を持っていないというようなシナリオは ほとんど有り得ないことを示した。従って我々は、これらのCATT下位部位は 不安定であり、YACの構築および/または増殖中に欠失する傾向が強いと考え る。 CATT-1とD5F153プライマーの配列比較は、一方のプライマーが一致し、 他方のプライマー配列が8ヌクレオチド重複しているので、これらの2つのST Rは類似しており恐らくは同一であることを示した。ただし、セントロメア側の YACである428C5、232F12、235B7、184H2と、テロメア側ののYACであ る12H1、155H11、269A6は、CATT-1ネガティブであり、D5F153増幅産物 を生成したことから、CATT-1はD5F153の誘導体の可能性がでてきた。これ らのデータは、3つのD5F153部位(図4)を含むコスミド系列のD5F153分析と の比較によって、少なくとも5つのD5F153下位部位の存在を示した。 CATT-1STRとD5F153STRの他に、CMS-1STRとD5F150STR が第5染色体当たりの種々のコピー数で存在した。STS分析によって、CMS -1はYACの423C5、76Cl、81B11、27H5に位置決定されたが、それぞれの対 立遺伝子サイズは、5、4、4、3および4であった。ゲノムDNAのPCR増幅は 、1個体あたり4対立遺伝子までであることがわかり、染色体当たり2コピー多 かった。D5F150はコスミド系列内の2つの位置に存在したが、1つの位置しか YAC系列には検出されなかった。D5F151は我々のコスミド系列には検出され なかったにもかかわらず、YAC 428C5のポジティブな増幅に基づきそのコス ミド系列に含まれたYAC33H10のセントロメア末端に配置された。D5F149の 位置の一つは、我々のコスミドとYACクローンの両方で検出された。我々のデ ータは、CATT-1については、無効対立遺伝子の存在および/またはYACの CMS-1、D5F150、D5F151、D5F149配列の不安定性を示唆した。 欠失現象は、第5染色体の特異的コスミドライブラリから得られたコスミド23 4A1を含むCATT-40G1から単一コピープローブとして単離された800bpのEc oRIフラグメントとのハイブリダイゼーションにおいて観察された。YACD NAの探査では、我々のYACのいずれにおいてもこのフラグメントを検出する ことができなかった。数人のゲノムDNAへのハイブリダイゼーションでは、欠 失現象は一切同定されなかったので、この配列はYACの不安定性に起因するも のと考えられた。このフラグメントの配列決定では、エクソンもコード領域も一 切明かにならなかった。 SMA領域の配列重複の別の証拠は、コスミド15F8(図4)から得られた1.2kb の内部Alu-PCR産物(p151.2)を用いて確認された。プローブによって、YA Cクローンの76C1、81B11、27H5(20kb、12k、3kb)の3つのEcoRIフラグメ ントが同定されたが、33H10および24D6(20kb)と428C5では1つずつしか確認 されなかった。内部EcoRI部位は、このマーカーを500bpと700bpのプローブに 分割した。大きい方のプローブによって、12kbおよび20kbのフラグメントを識別 する一方で、小さい方のプローブによって3kbおよび20kbのフラグメントを識別 した(図5)。我々は、YACのこの配列の不安定性は、ライブラリが異なるため に除外し、ハイブリダイゼーションパターンをそれらの物理的位置に反映させた 。12kbおよび3kbのフラグメントはEcoRI制限地図上に配置されたが、我々は2 0kbのフラグメントを位置づけすることはできなかった。我々のコスミド連続系 列の遠位にある20kbフラグメントはデータから推測することができる。複製はゲ ノムDNA断片へのハイブリダイゼーションによって確認され、3つ全てのフラ グメントサイズが明らかになった。 YAC系列とコスミド系列の特徴 我々は、D5S435-D5S112領域を組み込み4Mbを含むSMA疾患遺伝子領域の YAC系列を確立した。5q13に沿った系列の向きはPFGE分析と組み合わせて 7つの遺伝マーカーおよびSTSsを分析することによって確認した。長距離制 限地図では、我々の系列に含まれるYACの主な欠失および転位は明かにならな かったので、この地図を用いて系列のサイズを詳細に見積もった。我々のYAC 地図は、少数コピー反復配列と複数部位STSsによって特徴づけられる1.1Mb領 域に、マーカーD5S629、D5F153、D5F151、D5F150、D5F149、CMS-1 、CATT-1およびD5S557を物理的に連結させた。さらに、我々は、新しく遺 伝的に規定されたCMS1-SMA-D5S557が500kbであると見積もった。D5S4 35-D5S557領域の物理的距離の評価値は400kb(Francis et al.,1993)から1.4M b(Wirth et al.,1993)までであることが報告されている。このような研究とは 対照的に、我々はD5S435-SMA-D5S557領域を1.4Mb、CMS11-SMA-D5 S557領域を550kbとする見積では、6個の染色体からなる3つの起源に由来する クローンを採用する。さらに、クローンサイズと低頻度切断部位の位置とを決定 することによって、さらに詳細にYACのオーバーラップの程度と系列のサイズ を決定することができるようになり、評価が信頼できるものになった。 我々は、第5染色体特異的ライブラリおよびYAC(76C1)特異的ライブラリ 由来のコスミドクローンの単−連続系列を、210kbを含むCMS-1/CATT-1/ D5F153/D5F150/D5F149領域の制限地図に関連して構築した。第5染色体特 異的ライブラリを使用した場合に、反復配列がコスミド配列の伸長を阻害したの で、重要な領域についてコスミドライブラリYAC 76C1を構築しなければなら なかった。連続コスミド系列は、制限酵素フラグメントのオーバーラップによっ て確立されたコスミドのオーバーラッブやAluフィンガプリンティング、あるい はSTS、コスミド末端クローンおよび単コピープローブの分析を実証しながら 直接的なウォーキング法によって構築された。 物理的マッピング分析および遺伝的マッピング分析は、重複と反復配列を含む ゲノムDNAの複合領域を明らかにした。この領域から得られた複合STRを用 いてゲノムDNAの遺伝子型を決定することで、1個体当たり8個までの多形性 バンドが存在することがわかった。これは、STRのCATT-1、CMS-1、D 5F153、D5F150には複数のコピーまたは下位部位が存在することを示している 。我々の物理的マッピングデータは、これらの複数の下位部位の存在を確認した が、D5F151およびD5F149の場合は例外であり、1つの位置しか明かにならな かった。4つのCATT-1下位部位は我々のコスミド系列の140kb領域に位置し 、少なくともその一つである下位部位CATT-40G1は重複化されている。D5 F153とCQTT-1は共通の祖先から分岐したと考えられるSRSに関連してい た。我々は、1つのCMS-1下位部位を我々のコスミド系列に位置づけたが、Y AC/コスミドライブラリが由来する染色体は無効対立遺伝子を残りの下位部位 に含むか、または欠失が確認される場合が考えられるので、我々のデータからは この200kb領域内の別の染色体上に他の下位部位が存在するか否かについて判定 することができなかった。 CATT-1、DF153、D5F150およびD5F149STRは、母集団の染色体上 に複数コピーが存在していたが、各々に対して単一の対立遺伝子PCR産物によ って明かなように、すべてのYACS上に下位部位マーカーとして確認され、こ れらの配列の不安定性と欠失とを示した。これは、第5染色体コスミドライブラ リをベースとした連続系列由来の我々のYACにおいて800bpのフラグメントが 不在であることによって裏付けられる。複数の下位部位間に配置される別のユニ ークな配列プローブがYACに保持されているので、これらの配列の不安定性が 大きな欠失を生じさせるとは思われない。 要するに、我々は、決定的なSMA領域に対する最初の高解像度物理地図を 作成したのである。ただし、SMA遺伝子を含んだ正確な領域の説明は、この情 報だけでは不可能である。 我々は、遺伝的分析と同時に、YAC連続系列を3つの異なるYACライブラ リから得たクローン(Roy et al.,1994)を用いて構築した。この系列からの最小 表示は図9Bに示したとおりであり、これは拡張パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE)分析と相関した。一般的なCATT-1 マーカーおよびSMAの連鎖 不平衡に関する初期の提案(Burghes et al.,1994)に従い、伸長したCATT領 域を組み込むコスミド連続系列の構築に着手した。5q13か第5染色体のどこかに 位置する広範で多形性のゲノム反復要素の存在が、連続系列を直線的に構築する ことを妨害した。ただし、系列の一貫性は、制限酵素分析、Alu-PCRフィン ガプリンティング、STS含量決定およびコスミド末端クローンやその他の単コ ピープローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションによって確保された。この結 果、単一染色体に由来するフローソート第5染色体ゲノムライブラリ(Roy et a l.,1994)に含まれる5つのCATT下位部位を含んだ200kbを組み込んだ系列が 作成された。さらに最近では、このCATT領域を含み、10クローンから構成 され、約550kbの長さを有するP1人工染色体(PAC,loannou et al.,1994)連 続系列が構築された(図9C)。 連鎖不平衡分析 SMA領域に位置する5つの複合縦列反復および単純縦列反復を用いる連鎖不 平衡分析を行った。この分析に使用された2つの多形性は、我々のコスミド系列 にマッピングしたCATT-40G1下位部位およびCATT-192F7下位部位であ った。2つの独立した下位部位の特異的増幅はCA反復に隣接する領域の配列多 形性で終了するプライマーを構築することによってなされた。CATT-40G1下 位部位では図6に示されるように、明確なピークが観察された。 PAC連続系列 40G1 CATT下位部位は連鎖不平衡を示したので、CATT領域を含むPA C連続系列を構築した。このPAC連続系列は9個のクローンからなり、全長約 400kbであった(図7)。物理的マッピングデータに組み合わせた我々の遺伝的分 析は、SMAと最大の不平衡を示した40G1CATT下位部位マーカーが重複し ており、重要なSMA領域の極めてセントロメア寄りに局在していることを明ら かにした。結果的に、10kbのセントロメア末端内にCMS対立遺伝子9を 限定するSMA領域を含み、テロメア方向に延在して40G1 CATT下位部位を 組み込んだ154kbのPACクローン125D9をさらに別の試験用に選択した。 2つのゲノムライブラリは、PAC125D9の全長およびSsu3AIで切断した 部分的断片(平均インサートサイズ5kb)を用い、制限酵素産物をBamH1で開列 したBluescriptプラスミドにクローン化することによって構築された。ゲノム 配列決定は、連続的でオーバーラップしたゲノムクローンがPACの大部分をカ バーするように(Chen et al.,1993)、5kbの部分的インサートSau3AIライブ ラリから得られた200クローンの両端について行った。これは、神経アポトー シス抑制タンパク遺伝子の構造を説明するための手段を提供する。 PAC125D9を30kbのセントロメア側フラグメントと125kbテロメア側フラグ メントにNotl部位で切除する(これは、アポトーシス抑制領域の開始部位である PAC125D9のエクソン7を二分することが後に示された)。NotlPACフラグ メントはPFGEによって単離され、胎児脳cDNAライブラリのプローブとし て別々に使用された。Notl部位領域の物理的マッピングおよび配列決定も行い 、迅速にコード配列を検出するためにCpG ilandの存在を検定した。PAC125 D9はまたエクソン トラッピング システムにおける鋳型として使用し、神経ア ポトーシスよ抑制タンパク遺伝子に含まれるエクソンを同定した。 GA1やL7などのコスミド系列から得られたクローンを用いたハイブリダイゼ ーションによって既に同定された転写の存在に加え、多面的な方法を行って、神 経アポトーシス抑制タンパク遺伝子に含まれる6つのcDNAクローンを迅速に 同定した。これらのクローンを可能な場合はオーバーラップ系列に配置した。キ メラ現象は、PAC125D9の部分的なSau3AIゲノムライブラリ由来のクロー ンから得られた配列を有するcDNAクローンの共直線検出によって何度も除去 した。 神経アポトーシス抑制タンパクのクリーニング 5つのCATT下位部位の1つを含むコスミド250B6の完全なゲノムcDNA インサートを用いてヒト胎児脊髄cDNAライブラリをプロービングしたした。 この結果、2.2kbの転写GA1が検出されたが、この位置は図7に示した。胎児脳 ライブラリを連続コスミドインサート(コスミド40G1)の他、このようなコス ミドから単離された単コピーサブクローンを用いてさらにプロービングした。複 数の転写が確認され、中にはL7と呼ばれるものも含まれていた。コード領域は L7につては検出されなかったが、これは恐らくクローン実質部が未処理の異核 RN Aを含んでいた事実によると思われる。ただし、我々は、後にL7が神経アポト ーシス抑制タンパク遺伝子の一部と考えられる領域を含むことを発見した。同様 に、GA1転写は、神経アポトーシス抑制タンパクのエクソン13であることが 最終的に証明された。GA1は、発現遺伝子であることを示すエクソンを含むこ とがわかったので特に注目した。PACクローン125D9内に含まれるGA1転写 は後にcDNAライブラリを詳しくプロービングすることによって伸長された。 伸長GA1転写をその他の既知の配列と比較し、そのアミノ酸配列がOrgyia PseudotsugataウイルスおよびCydia Pomonellaウイルスのアポトーシス抑制 ポリペプチドと高い相同性を有することが明らかにされた(表3)。この配列分析 によって、エクソン5および6のアポトーシス抑制タンパクに相同性があること がわかった。 cDNAの残りのギャップを補完して、2つの捕捉エクソンを用いて胎児脳ラ イブラリをプロービングすることによって最終的な3‘の伸長を行った。オーバ ーラップクローンを有するcDNAの物理的地図を作成した。完全cDNA配列を 表4に示したが、これには16個のエクソンが含まれている。アミノ酸配列は、 ヌクレオチドトリプレットATGに対応するメチオニンから開始する。図8は、 SMA遺伝子の構造を示す。 表4に示されるNAIPのcDNA配列は、当業者らによってこの遺伝子プラ イマー、プローブおよびタンパク産物に対する抗体から発展させることができる 。表4のcDNA配列を組換DNA技術に利用して適当な宿主で発現させ、神経 アポトーシス抑制タンパクを製造することができる。これによって、神経アポト ーシス抑制タンパク材料を提供することができる。NAIPの配列およびそれに 含まれるプローブとプライマーを供給すると、たとえば、脊髄性筋萎縮症などの 疾患を検出することもできる。 NAIP構造 NAIP遺伝子は、少なくとも5.5kbからなる17個のエクソンを含み、ゲノ ムDNAの約80kbに及んでいる。NAIPコード領域は3698ヌクレオチドで、 1233アミノ酸からなる遺伝子産物が推定される。NAIPは2つの潜在的膜貫通 領域と、GTP結合部位に直接隣接する細胞内のアポトーシス抑制ドメインとを 含んでいる。タンパク質ドメインプログラムの調査によって以下の結果が出た。 (i) 残基9-91:認識可能なモチーフが存在しないN-末端ドメイン (ii) 残基94-118:疎水性膜spanningドメイン (iii)残基:169-435:アポトーシス抑制タンパクと相同性を示し、次の疎水性 ドメインであるGTP/ATP結合部位の直前に位置するドメイン (iv) 残基486-504:疎水性膜spanningドメイン (v) 残基505-1005:4つのN−末端結合グリコシル化部位と1つのリポタン パク質結合ドメインを含む受容体ドメイン 神経アポトーシス抑制タンパク タンパク遺伝子突然変異の分析 cDNAライブラリをスクリーニングするプローブとして完全PAC125D9を 用いてcDNA20.3プローブを得た。cDNAプローブ20.3を用いたゲノムサザン のプロービングによって、III型の近親婚家族では9kbのEcoRIバンドが欠損し ていることを明らかにした。この情報によって、NAIP遺伝子の欠失をエクソ ン5およびエクソン6に位置づけた。このため、欠失は低頻度Notl制限部位と その直接下流を含むエクソンをカバーする。これらのエクソン内または周囲のプ ライマーを構築し、I型SMA患者3人とIII型SMA患者3人にこの領域の増 幅がないことを明かにした。上記の欠失が原因で生成される接合(junction)フラ グメントを増幅するプライマーを調製する目的で、PACとエクソン4および5 内および周囲のコスミドサブクローンからゲノムDNAを単離し、配列を決定し た。1つの接合フラグメントがIII型の患者に検出された。同様の産物が、近親 婚の履歴がない別のフランス系カナダ人2例に観察された。3例のI型SMAお よび3例のIII型SMA患者の染色体は、同一のCATT/CMSハプロタイプを 有し、これが共通の軽度のSMA突然変異であり、フランス系カナダ人の母集団 には比較的多いことを強く示唆した。このパターンの共分離が証明された。我々 は、SMA患者の110人の両親の分析を行ったが、同様の産物を発見すること ができなかった。この領域のゲノムDNAの配列を決定したところ、約10kbの欠 失があり、これがフレーム欠失を生じさせていることが確認された。この欠失は 、イントロン領域とエクソン5および6に及んでいた。2世代のSMA家族にサ ザンブロット分析を行った。最初の8エクソンを含むcDNAプローブを用いて 、末梢血白血球由来DNAのEcoRI断片をブロービングした。SMA患者は、 エクソン5および6を含む10kbのEcoRIバンドへのハイブリダイゼーションが 存在しなかった。(図9)。 NAIP転写物は、最初に、コスミドライブラリに存在する5つのCATT下 位部 位の一つを含むコスミド250B6の完全な28kbのゲノムDNAインサートを用いて ヒト胎児脳cDNAライブラリをプロービングすることによって単離した。これ によって2.2kbの転写物を検出し、最終的にNAIP遺伝子のエクソン14であ ることを証明した。さらに、胎児脳ライブラリを連続隣接コスミド系列のインサ ート(コスミド40G1)と、このようなコスミドから単離された単コピーサブクロ ーンを用いてプロービングすることによて、L7転写物を含む複数の転写物を同 定し、最終的にNAIP部位のエクソン13を含むことを証明した。L7に対す るコード領域は検出されなかったが、これは、クローン含有の未処理異核RNA がかなりの割合でその真の性質を妨害したことによると考えられる。 この段階では、完全な遺伝的分析および連鎖的不平衡分析とPAC連続系列の 構築によって、PAC125D9をSMA部位を含む可能性が高いものとして同定し た。4つのPAC125D9ゲノムライブラリは、PACインサートの全長およびS au3AI、BamHIおよびBamHI/Notlで切断した部分的断片(平均インサー トサイズ5kb)をプラスミドベクターにクローニングすることによって作成した 。High through putゲノム配列決定は、連続的でオーバーラップしたゲノムクロ ーンがPAC125D9の大部分をカバーするように(Chen et al.,1993)、5kbの 部分的インサートSau3AI切断ライブラリから得られた200クローンの両端 について行った。これは、神経アポトーシス抑制タンパク遺伝子の構造を説明す るための手段を提供する。 PAC125D9は、24kbのセントロメア側フラグメントと130kbのテロメア側フ ラグメントにNotl部位で分割され、アポトーシス抑制相同ドメインの上流に位 置する最初の膜貫通ドメインの開始位置でNAIPのエクソン6を二分する(図 11および表4)。Notl PACフラグメントはPFGEによって単離され、胎 児脳cDNAライブラリのプローブとして別々に使用された。Notl部位領域の物 理的マッピングおよび配列決定も行い、迅速にコード配列を検出するためにCp Gilandの存在を検定した。PAC125D9はまたエクソン トラッピングシステ ムにおける鋳型として使用し(Church et al.,1994)、NAIP遺伝子のエクソ ン5、12、16、17を同定した。 これらの多面的な方法によって、NAIP遺伝子(図10)を網羅するcDNA クローンを同定した。オーバーラップクローンを同定し、PAC125D9の部分的 Sau3I断片ゲノムライブラリのクローンから得られた配列を有するcDNA末端 の共直線化を検出することによって、複数回cDNAクローンのキメラ現象を除 去した。この時点で、配列分析結果から、NAIP遺伝子のエクソン7から13 に コードされたタンパク配列は、バキュロウイルスの2つのアポトーシス抑制タン パク(IAPs)と類似することが明らかにされた。その後まもなく、cDNAプロ ーブを用いて近親婚のSMA家族から得たDNAを含むサザンブロットをプロー ビングしたところ、欠失したバンドが明かになった。 どちらのIAPもそのアミノ酸末端に80アミノ酸BIR(バクロウイルスIA P反復)モチーフを含んでおり、約30残基の介在配列の後ろで、33%の一致率で 重複していた(Clem and Miller,1993)。同じ現象はNAIPにも観察される 。エクソン6、7、8にコードされたアミノ酸185-250は、エクソン10、11 、12にコードされたアミノ酸300-370と35%相同であった。最も長い相同性は 、53アミノ酸配列領域全体に観察され、29のアミノ酸が一致していた。 さらに、IAPドメインのNH2末端では、システインとヒスチジンが豊富な 亜鉛フィンガー様モチーフがCpIAPとOpIAPの両方のカルボキシ末端に存 在する。これらのモチーフはDNAと相互作用することが知られている(Birnba um et al.,1994)が、NAIP(表4)では認められない。NAIPはアポトーシ ス抑制ドメインと連続性GTP結合部位を挟む2つの膜貫通領域を含んでいる。 別のタンパク ドメイン プログラムの研究からは、以下のように、上記のタンパ ク ドメイン評価よりも特異的な結果が得られた。 1.残基 1-91:認識可能なモチーフがないN-末端ドメイン 2.残基 92-110:MEMSATプログラム(Jones et al.,1994)によって 膜spanningドメインであることが予知された疎水性ドメイン 3.残基 163-47:バキュウロウイルスのアポトーシス抑制タンパクと相同 性を示し、次の疎水性ドメインGTP/ATP結合部位の直接上流に続くドメイ ン。 4.残基 479-496:MEMSATによって膜spanningドメインであると予知 される疎水性ドメイン。 5.残基 493-1232:4つのN−末端連結グリコシル化部位および1つの原 核脂質付着部位を含む受容体部位。 我々は、少なくとも3つのエクソンは400bpの5'未翻訳領域(5'UTR)を含ん でおり、これ以外にも存在するであろうことを理解している。この領域の顕著な 特徴は、エクソン2の前の5'UTRの90bp領域と、エクソン2とエクソン3を架 橋する領域に完全重複領域が存在することである。さらに、エクソン17を含む 3'未翻訳領域は550bp区間を含み、そこにはニワトリ内在性膜タンパク質であるo ccludin(Furuse et al.,1993)との相同性が高く、GRAILプログラムによ って検出される潜在性コード領域が存在する。これがキメラ転写物を表わしてい る可能性がある。occuldin相同配列は4つの異なるcDNAクローンと遺伝子の 2つのアイソフォームに検出されている。推定上の3‘UTRを有するNAIP 遺伝子のコード化エクソンを表すocculdin配列が、実際には異核RNAであると いう可能性は、3'UTRが観察されoccludin相同領域の上流に位置するフレーム 内翻訳停止コドンが存在することからすると、ありえないことである。予備的な RT−PCR分析結果は、occludin系が転写されていることを示した。 組織発現 成人組織mRNAを含有するノーザンブロットとエクソン14プローブとのハ イブリダイゼーションの結果、成人肝臓(約6kbと約7kbのバンド)と胎盤(7kb のバンド、図6)にのみバンドが検出された。成人CNSでの発現レベルは、ノ ーザン分析法では可視バンドを生成するためには不十分であったが、脊髄、繊維 芽細胞、リンパ芽球RNAを用いてたNAIP転写物の逆転転写酵素PCR(R T−PCR)増幅は、このような組織の転写活性を示唆した。 NAIP遺伝子の切断型および内的欠失型の検出 PAC連続系の解析において、クローン238D12および30B2が、NA IPのエクソン6に位置するPAC125D9と高い配列相同性を示したが、こ れらのクローンはPAC125D9のNotl部位を含んでいなかった。このこと は、NAIP遺伝子の重複コピーの可能性を示しており、そのため、さらに解析 を進め、PACDNAを含むサザンブロットとNAIPエクソンプローブとのハ イブリダイゼーションを行い、またPCR STSに何が含まれているか評価を 行った結果、NAIP遺伝子座の異常型2種が検出された。すなわち、一つは、 エクソン2〜7が欠失したもの(PAC 238D12)で、他の一種は、エクソ ン6、7および12〜17が欠失したもの(PAC 30B2および250I7) である。サザン解析によってゲノムDNAおよびPACDNAに同じ大きさのバ ンドが存在することと、PCRの結果から、この欠失は、in vivoの状態よりも むしろin vitroでのPACアーチファクトを反映するものであるという可能性は 排除された。従って、ゲノムDNAサザンブロットをNAIPエクソンプローブ とハイブリダズすると、現れたバンドの数 は、NAIP遺伝子の単一コピーをプローブとした場合に予想されるより多かっ た。例えば、BamHI制限切断ゲノムDNA含有ブロットをNAIPエクソン3 −11でプロービングすると、同一サイズの連続する14.5 kb BamHIフラグメ ントを含むバンドが正常なNAIP部位に得られるはずである。(図11)。とこ ろが、さらに2つのバンドが9.4と23 kb(図11)に現れた。これは、それぞれP AC238D12と30B2/25017で見られる断片である。9.4kb BamHI断片はコスミ ドからサブクローン化されたもので、欠失のあるエクソン8−11を含んでいるが 、この欠失は8番目のエクソンの直前にあるエクソン2から7を組み込んでいる (図11)。23 kbのバンドはBamHi部位から6 kbが欠失して、2つの連続する 14.5 kbのBamHI断片がエクソン2〜5、および8〜11を含む23 kb BamH I断片に置換し、その結果図11に示したようにエクソン5および6が欠失する 。この欠失の左側は、プライマー1933および1926での増幅では遺伝子産物ができ るのに対し、1933および1923でのPCRでは遺伝子産物が生成されない(データ 示さず)という事実によってマッピングされた。プライマー1927および1933を用 いてPCRを行い、6 kbの欠失に及ぶ4.2kbの接合断片を増幅すると(図11 )、サイズおよび配列がゲノムDNAおよびPACs30B2/25017において見られ るような増幅産物が得られた。様々なヒトゲノムDNAに見られる9.4および 23kbバンドの用量が異なることから、NAIP遺伝子の2つの部分的欠失型は、 一般母集団に複数かつ多形性で存在することを示している。 非SMAヒト胎児脳のcDNAライブラリから、エクソン11および12(方 式#1)を欠失したクローンを同定し、そのうちの幾つかはさらにエクソン15 および16(方式#2)も欠失していたことから、複雑さがさらに高まった。こ うしたエクソンの欠失はフレームシフトと非成熟タンパクの切断を生じさせると いう事実はそれらが正常なスプライシングの変形であるよりはむしろ、一般母集 団に存在する切断または欠失型NAIP遺伝子の転写結果である可能性の方が高 いことがわかる(図11)。以上を総合すると、NAIP遺伝子部位の内部欠失 型および切断型は、幾つかは転写されるものであるが、これらの変異遺伝子の様 々なコピー数を含む領域のプロフィールが我々の分析から明らかになった。 NAIPのエクソン プローブを用いて、体細胞変異ハイブリッドHHW10 64(Gillian et al.,1989)のDNA含有試料をプロービングすると、NAIP 遺伝子の全ての形態が、この細胞系の第5染色体に含まれた5q11−13.3 の30Mb欠失領域に限定されることがわかる。以上の知見は、NAIPエクソ ン13を プローブに用いておこなったFISH検出によっても確認されている(未発表デ ータ)。 NAIP遺伝子の突然変異分析 PCRで増幅したNAIPエクソン3〜10でゲノムサザンブロットをプロー ブすると、III型SMA患者近親家系24561の発症者4例には、エクソン5および 6を含む4.8kbのEcoRI/BamHI断片が欠けていることが判明した(図11お よび14)。この家系についてBamHiで消化したDNAを同様に検出すると、14 .5kb バンドの欠失が認められ、前記のようにエクソン5および6の欠失に対応 した(図11および14)。やはり近親関係にあると考えられる他のフランス系 カナダ人家族2組にも、これと類似した結果が認められている。 このエクソン5および6の欠失を確認するため、このエクソンと相同のプライ マーを作成した(図11の矢印で示すプライマー1893、1864、1863、1910、1877) 。家族24561と別のIII型SMA近親家族のDNAをエクソン5特異プライマー( プライマー1864および1863)を用いて、PCRで典型的な増幅を行うと同時に、 エクソン13配列を同時に反応させてPCRが万が一エラーした場合にも対応で きるようにした例を図15に示す。エクソン5の増幅が存在しないことが、SM Aの表現型と共分離していることが見いだせる。 NAIP遺伝子におけるエクソン5および6の欠失がSMAの突然変異に起因 するものかどうかを解析するため、サザン・ブロット解析をおこなった。エクソ ン5および6の6kb欠失の3‘末端直近にマップされる800bpのEcoRV単一コピ ーローブを使用した(図11)。このマーカーをEcoRIサザン・ブロットとハ イブリダイズすると、完全なNAIP遺伝子部位のエクソン5および6を含む9. 4kbのEcoRI断片とエクソン5および6が欠失した3kbのEcoRIバンドが検 出された。ここで、われわれのDNA診断ライブラリで得られた筋緊張性ジスト ロフィー、ADPKOおよび嚢胞性繊維症の家族の900種以上に及ぶ縁せき関 係にない者のDNAを含むEcoRIのサザン解析試料について分析した。9.4kb のバンドは、全ての被検個体に認められたが、これは、約900の被検者それぞ れにエクソン5および6が少なくとも一以上存在する事実と一致する。さらに、 被検者全てにこの3kbのバンドが認められたが、これは、一般母集団にエクソン 5〜6が欠失したNAIP遺伝子が何らかの形でほぼ全面的に遍在していること を示している。さらに、3kbのバンドの容量にバラツキがあることから、エクソ ン5−6の欠失したNAIP遺伝子のコピーの数は多型性であり、おそらく、 ゲノム当たり4〜5コピーであろうと思われる。 次に、PCR分析の範囲を拡大してエクソン5および6プライマーを用いて1 10のSMA家族に適用した。I型SMA患者38例中17例名(45%)、およ びII型およびIII型SMA患者72例中13例(18%)に、このエクソンのホモ 接合欠失が認められた。染色体がランダムに並んでいると仮定し、エクソン5〜 6の欠失したホモ接合個体の実測頻度の平方をとると、I型SMAの67%とII 型/III型SMAの42%について、エクソン5〜6の欠失した染色体が発現す ると予想される頻度予測値が得られる。次に、増幅がうまくいかなかったSMA 発症児の親168名についてPCR分析をおこなった結果、被検者3例において エクソン5および6のホモ接合欠失が示唆された。この知見は、今回のアッセイ には十分なDNAによるサザン解析により、2例において確認された。この2名 は、年齢28歳と35歳でともにSMA発症児の親で、電話でのインタビューで 、体は健康で、SMAの発症はないと答えた。以上から結論として、単離された NAIPのエクソン5〜6の欠失は、下記のようにSMA発症個体におけるより 重度の欠失を表わしているものとも思われるが、臨床学的には無害であることか ら、極めて軽微なSMAか正常な表現型に関係しているものと思われる。以上の 個体について臨床学的評価が現在おこなわれている。 胎児脳のライブラリーとPT−PCR NAIP遺伝子産物から検出されたcD NAのクローン(図2)から判断すると、NAIP遺伝子の多くの、そしておそら くは全ての切断されコピーは転写されているように思われる。SMA患者でその ゲノムにエクソン4および5のコピーを持っていない者の親3名については、表 面上SMAの影響を受けていないと思われる状態を考えると、NAIPのエクソ ン5〜6の欠失型も翻訳されていると考えられる。このモデルによると、エクソ ン5および6が欠けると、フレーム内で欠失が生じ、上流の最も長いNAIPの 読み取り枠が上流に伸びてヌクレオチド211位のエクソン3開始メチオニンにま で達する。 さらに、欠失したエクソン5および6のIAPモチーフがコードするタンパク 配列は、エクソン10および11でコードされたIAPモチーフに約35%相同 である。このことは、エクソン5〜6が欠失した上記3例の個体において、識別 可能な表現型が存在しないことの理由となるかもしれない。モデルとして一つ考 えられるのは、各染色体上にエクソン5〜6が欠失したNAIPのコピーが一つ だけあると、SMAの弱い表現型が生じ、一方、エクソン4−5が欠失したNA IP遺伝子座のコピーを3ないし4以上もつ個体の場合は、臨床学的に影響を受 けない ということである。SMA遺伝子が重複することがこの疾患の基本条件であるの ではないか、という可能性が、DiDonadoらによってこのほど提唱されている( 1994年)。 SMA組織および非SMA組織由来のRNAのRT−PCRによる増幅 SMA患者と非SMA患者のRNAを鋳型とするRT−PCR増幅の結果を図 16に示す。 ここで得た知見では、内部に欠失がみられ、かつ切断されたNAIP遺伝子型 は、少なくともその一部は転写されていた。機能的タンパクを産生する正常なN AIP遺伝子の転写と、生成しないものの転写とを区別するため、できるだけ大 きな転写体をRT−PCR増幅することを試みた。エクソン14の大きさが2.2k bだとすると、これはエクソン2とエクソン13の5’末端を含んだものである ことがわかった。第1回目のPCR後の臭化エチジウム染色段階では遺伝子産物 は検出されなかった。従って、先の図16の説明のように二次の分枝増幅を行っ た。 RT-PCR増幅実験の代表的な例を図16に示す。すなわち、非SMA組織 のRNAを鋳型に使い、エクソン10または13からの逆転写産物をPCR増幅 すと、予想されたサイズの産物が一貫して増幅された。これとは対照的に、SM A組織のRNAを用いた同種のRT−PCR実験の結果、5例ではまったく増幅 が認められなかったが、これは、この5例においては正常な転写が著しく制限さ れたか、あるいは転写が行われなかったことを示す(図16A9)。SMA組織 のRNAは、死後わずか12時間後に得られた。死後24時間の正常な組織から 完全なNAIP転写を増幅するのは困難でないから、今回の増幅に伴う困難の原 因はRNAの劣化によるものだとは考えられない。また、増幅の困難性はSMA 組織すべてについても見られるが、これは、NAIPが運動ニューロンでのみ転 写され、この運動ニューロンはSMAではその細胞型を消失して居るために、脊 髄組織でのRT-PCRが成功しなかたったという可能性を否定するものである 。 増幅が観察された事例では、RT-PCR遺伝子産物の配列決定の結果、図1 6A,16B,16Cに示すように次の知見が得られた。 (i) 試料a9のエクソン5の3'末端からのコドン153および190の欠失 。 (ii) 資料a2のエクソン5プライマー1864およびエクソン13プライマー1974 により増幅した産物において、73番目ヌクレオチドにある終止コドンの エクソン7へのフレームシフトを生じさせるエクソン6の欠失。 (iii)試料a7のエクソン4のプライマー1886とエクソン13のプライマー 1974により増幅された遺伝子産物への約50ヌクレオチドの挿入。 (iv) 試料a3のエクソン5のプライマー1864とエクソン13のプライマー1974 による増幅産物のエクソン11および12の欠失と合わせて、エクソン5のグル タミン酸コドン番号158の欠失。 (v) 試料a2、a3、a9、a11においてエクソン9プライマー1844およびエ クソン13プライマー1974による増幅産物において、終止コドン14ヌクレオチ ドのエクソン13へのフレームシフトを生じさせるエクソン11および12の欠 失。 以上を要約すると、エクソン13からの逆転写産物に対するPCRを行った結 果、12例の非SMA組織からは目的遺伝子産物がうまく増幅されたのに対し、 12例のSMA組織では増幅が成功したのは1例に過ぎなかった。後者の場合、 すなわち、試料a12においては、増幅が行われたのはエクソン13から14に 限られ、その転写には、エクソン2〜3あるいはエクソン14〜17が含まれて いるどうかは不明である。以上のデータは、NAIPがSMAの原因遺伝子であ るという強力な証拠であると考えられる。 NAIP蛋白質の役割 神経アポトーシス抑制タンパク遺伝子が第5染色体のSMA領域で発見された ことは、SMAの状態がアポトーシス抑制タンパクドメインにおける欠失の結果 によるものであることを示している。運動ニューロンが長時間生き残るかどうか は、神経アポトーシス抑制タンパクアが生成されるかどうかにかかっている。こ のアポトーシス抑制タンパクドメインの欠失は、このタンパク活性を阻害する。 我々は、SMA患者全体の17パーセント近くに、第5染色体のエクソン5およ び6の欠失が認められたことを実証した。 5q13.1の同定領域にはNAIP遺伝子の完全なコピーと一部欠失したも のが不定数含まれている。5q13.1には別に遺伝子座があってその突然変異 がSMA表現型の発現の原因となることは否定できないが、NAIP遺伝子の突 然変異はSMAの発症には必要かつ十分であると考えられる。ほとんどの常染色 体性劣性遺伝病では、その原因となる突然変異が所与の遺伝子の単一コピーに認 められるのが通常であるが、これとは対照的に、SMA染色体は、重度のSMA 突然変異の場合には、正常なNAIP遺伝子のみならずエクソン3および4が欠 失した変異型も不足しているか、あるいは全く存在していないことによ って特徴づけられるということである。こうした染色体の出現に際しては、不均 衡なクロスオーバーが関与し、上記遺伝子座に欠失が生じ、その結果、NAIP 遺伝子産物が欠け、SMAが発症するように考えられる。 SMAの診断 所与の個体におけるSMAの遺伝子型を説明することは、5q13.1領域に おけるNAIP遺伝子の異常増幅によって複雑となる。NAIPエクソン・プロ ーブでゲノムDNA含有サザンブロットをプロービングすると、NAIP遺伝子 の内部欠失型および切断型コピーから生じたバンドが見られる。従って、一般母 集団においては、多様な形態のNAIP遺伝子座が不定数存在するのが正常であ り、それだけではSMA突然変異の判定要素とはならず、それ故に、NAIP遺 伝子の突然変異分析は複雑となる。NAIP遺伝子座の変異体を含有したゲノム DNAが検出されても、SMA染色体の証拠とはならず、正常な遺伝子が欠損し ているかどうかを探求しなければならない。しかし、ゲノム中にエクソン3−4 のコピーがないにもかかわらず、臨床上は疾患の形跡がないという珍しい患者を 我々は検出した。これは、我々がNAIP遺伝子構造について理解していること と一致する知見である。従って、SMA染色体の同定は、完全なNAIPと、エ クソン3−4だけが欠失したNAIP型の両方が不在であることに依存する。そ れが欠けているかどうかを検定する作業は複雑なものとなる。それは、NAIP 遺伝子座でもう一つ、欠失のさらに進んだ形のものそれぞれに正常なNAIP断 片が存在するためにである。例えば、SMA患者がそのゲノムにPAC 238 D12と30B2、すなわち各々エクソン1−6およびエクソン5、6と11− 14が欠失したNAIPの欠失型(図10、11)だけを持っている場合、PC Rとサザン・ブロット解析ではNAIPのエクソン5−6だけが欠失した型を持 っていることになり、従って、SMA染色体は含んでいないように見られる。我 々は、観察した多数のエクソン5−6の欠失したSMA患者の多く、おそらくは その大部分が、実際にこうした構造の染色体を持ち、欠失のないNAIP遺伝子 座もエクソン5−6だけが欠失したNAIP型も含んでおらず、何か別の遺伝子 座に重度な切断/欠失の認められる型を組み合わせたものを含有していて、その 結果、欠失のないNAIPの翻訳ができないのだと考えている。こうした解釈の 裏付けとなるのは、我々が、I型SMA組織のRNAにRT−PCRを用いて、 正常なNAIP転写体を増幅させることができないという事実による。 以上を総合して、NAIP遺伝子の突然変異またはその欠失がSMAの原因と なるという見解を支持する証拠をあげると次のようになる。 (i) NAIPは、バキュロウイルスのIAPと相同性があることを考えると 、アポトーシスの抑制因子として作用する可能性が高いこと。この特性はSMA の病理と完全に呼応するものである。ここで注目に値するのは、従来より、アポ トーシスの調節遺伝子の変異がSMAの原因ではないかと推測されていたことで ある(Oppenheim 1991,Sarnat,1992)。 (ii) 組換えの範囲内でのNPIA遺伝子座のマッピングは重大なSMA区間 を規定すること、I型SMAと強い連鎖不平衡状態にあることが判明している3 種の多型マーカー、すなわち、CATT−40GI(Mclean et al.,1994)、C 272(Melki et al.,1994)およびAG−1(DiDonate et al.,1994)は全てP AC 125D9に位置し、NAIPイントロン上に存在する(図9C)という事実。 (iii)I型SMAの表現型と5q13.1マーカーの間に見られる連鎖不均衡 の性質。我々は、非SMA染色体でしばしば重複しているCTT-40G1 CT R下位部位(Roy et al.,1994)の欠失が、非SMA染色体では45%(McLean et al.,1994)であるのに対して、I型SMAでは80%であることを見出して いる。この知見は、SMA染色体におけるNAIP遺伝子数の欠失とよく一致す る。同様に、Melki et al.,1994は、I型SMAにおけるC272 CTRのバン ド数の減少を伴う“ヘテロ接合体不全”を観察し、彼らはこれを、染色体欠失を 反映するものであると提案している。DiDonato et al.,(1994)もまた、非SM A患者に比べて、I型SMA患者ではAG1 CTR下位部位の数の著しい減少 を見出している。I型SMA染色体でのこれらNAIP内マーカーの欠失に関す る3つの研究グループの観察結果は、NAIP遺伝子の正常型とエクソン5−6 欠失型双方の欠如または不在が疾患の原因となるというモデルと良く一致する。 (iv) NAIPエクソン5−6の欠失割合は、非SMA染色体での検出(2-3 %)に比べて、SMA染色体で検出される割合が著しく高い(I型SMA染色体で 約67%、II/III型SMA染色体で42%)。既に概観したように、この現象は 、SMA染色体において正常なNAIP遺伝子とともにエクソン5から6のみが 欠失したNAIP変異型の双方が現象または不在であることを反映するものであ り、NAIP遺伝子のより重度な内的欠失型および切断型が表出されていると思 われる。 (v) 12名の非SMA患者からのRNAは全てRT-PCRで増幅できたにも 関わらず、12名中11名のSMA患者からのRNAの転写物は一貫してRT- PCR増幅することはできなかった。さらに、I型SMA材料から得ることので き たPCR産物の配列を決定したところ、様々な突然変異と欠失が明らかになった 。 (vi) NAIP遺伝子の切断型および内的欠失型のコピーが不定数存在するこ とは、常染色体優性多発性嚢胞腎臓病(ADPKD,European Polycystic Ki dney Disease Consortium,1994)で報告されている状況と類似している。この ケースの場合には、原因遺伝子に対応するプロセスされていない偽遺伝子の位置 が第16染色体以外の場所にマッピングされることが見出されている。主な相違 点は、NAIPの遺伝子座では、その遺伝子の突然変異型が増幅されるという点 である。 この点に関して、5q13.1のNAIP領域は、ステロイド21−ハイドロ キシラーゼをコードする遺伝子CYP21を含有する第6染色体の領域との類似 性が高い(Wedell and Luthman,1993)。CYP21は突然変異すると常染色体 性劣性21ハイドロキシラーゼ不全を引き起こすが、これは個体中のコピーが0 −3個の時に観察されている。また、この領域にはCYP21の不活性の偽遺伝 子コピー(合わせて、CYP21Pという)が不定数存在する。CYP21の突然 変異体の大多数は21ハイドロキシラーゼ不全で観察されているだけでなく、C YP21Pの幾つかの形態でも検出できることから、この偽遺伝子はCYP21で 見られる突然変異の発生源として作用すると考えられる。切断および内的欠失を 有するNAIP遺伝子が類似しているのはCYP21Pのみであり、CYP21/C YP21Pについて想定される遺伝子変換の代わりに、機能性タンパクをコードす るNAIP遺伝子形態を欠失させるような不均衡なクロスオーバーが染色体に生 じる可能性がある。5q13.1上における変異NAIP遺伝子の多型性の存在 は、上記のようにしてSMA染色体が発生する機序だと考えられる。 バキュロウイルスIAP NAIPは、CpIAPおよびOpIAPという昆虫細胞のアポトーシス抑制能 をもつ二種のバキュロウイルスIAPと高い相同性を示す(表4)。昆虫の細胞ア ポトーシスはバキュクロウイルス感染によって生じるが、これについては十分に 実証されており、防衛メカニズムの一種と考えられている。感染した昆虫の細胞 が早期に死亡する結果、ウイルスの複製が弱められる(Clem and Miller,1994 a)。CpIAPおよびOpIAPは、こうしたアポトーシスメカニズムに対するバ キュロウイルス反応を表すものであると考えられる。両タンパクとも互いに関係 なく作用し、宿主昆虫細胞アポトーシスを抑制することによってウイルスの 増殖を増加させる(Clem and Miller,1994a,1994b)。これらのタンパクは相 互にのみ強い類似性を有することが知られているが、最近までcrossphyla タン パクとの配列上の類似性は報告されていなかった。その作用形態は知られてはい ないが、DNAとある程度相互作用することものと想定されている。 NAIPの働きおよび細胞局在性についてはまだ明らかにされていない。しか し、系統発生的にかなりかけ離れたNAIP配列とバキュロウイルスIAP配列 との強い類似性と、先に想定したようなSMAの発生病理における異常なアポト ーシスの役割とを考えあわせると、NAIPは運動ニューロンにおいてアポトー シス抑制因子として作用する可能性が高い。NAIPを用いて昆虫および哺乳類 の神経細胞にトランスフェクション・アッセイをおこなえばこの点が明らかにな るであろう。 一つの可能性は、NAIPのカルボキシル末端が特異なリガンドに結合してG TPの結合部位を活性化させ、それがIAPドメインを活性化させるということ である。従って、運動ニューロンが生存できるかどうかは、リガンドが存在する かどうかで決まることになる。濃度が閾値以下に低下すると、IAP領域は機能 が停止し、その結果、細胞が死ぬ。これは胚形成過程で観察される運動ニューロ ンが自然選別されるメカニズムと考えられる。リガンドは筋肉細胞あるいはシュ ワン細胞のいずれかから発生すると考えられる。以上から、運動ニューロンの胚 形成は細胞間における一種の競争と見ることができ、NAIPの占有率を維持で きるだけの接触をおこなう細胞だけが生き残ることができるのである。 想定した通りにNAIPがアポトーシスを抑制するとしても、NAIPがこれ までに特性化されていない哺乳動物のアポトーシス経路の成分であるのか、ヒト のアポトーシス抑制因子であるBcl-2(Vaux et al.,1988; Hockenberry et l a.,1990; Garcia et al.,1992)に関わる経路の上流成分(と考えられるもの) であるのかは不明である。アポトーシス抑制因子の欠落したバキュロウイルス株 を用いて検査した結果、Bcl-2はそのような欠落を補完はしないことが明らかと なった(Clem and Miller,1994b)。NAIPがバキュロウイルスの機能的相似 体であるとすれば、この観察からわかることは、従来特性化されていない真核細 胞アポトーシスの経路においての何らかの役割が示唆される。可能性として一つ 考えられるのは、NAIPは、神経栄養性サイトカイン、繊毛の神経栄養性因子 (CNTF,Raff et al.,1993; Meakin and Shooter,1993)またはこの経路 の下流成分の一種(Stahl et al.,1994)を伴った新規 なアポトーシスメカニズムとの交差を表わすということである。CNTFナルマ ウスはSMAと類似した病理学的態様を示し、ニューロンの正常な発達に続いて 最初は徐々にアポトーシス的欠失状態が続く(Masu et al.,1993)。さらに、正 常な状態での神経栄養因子の剥奪は培養ニューロンにアポトーシスを生じさせる が、CNTFだけではBcl-1で救済されるようなアポトーシスを抑制することは できないということは注目すべきである。こうした知見に基づいて、その研究者 等は第2の真核細胞アポトーシス経路の存在を示唆している(Allstopp et al., 1993)。このような別々の経路の存在は、脳由来神経栄養因子(BDNF)および CNTF(Mitsumoto et al.,1994)で処理後に、Wobblerマウスの突然変異体 における運動ニューロンの欠損が顕著に遅延することに見られる相乗効果を裏付 けるものかもしれない。 NAIPの脂質付着部位の役割は知られていない。同種の部位は、通常はタン パクのアミノ末端にある原核タンパクのリーダー配列としての役割を果たすこと が知られている。我々は、Swiss-Protein Database(release-28)の218 のヒト配列に共通パターンを検出した。これらの配列は多様な機能的背景に存在 する。例えば、トランスメンブラン領域、シグナル配列、細胞外領域および細胞 質領域などである。一つ考えられるのは、リポタンパク質付着部位は細胞外にあ り、インテグリンと細胞外マトリックスとのアポトーシス抑制性相互作用につい て想定されているような方法でシュワン細胞のプロテオリピッドの成分を結合す るということである(Mededith et al,1993; Frish and Francis,1994)。さ らに、この付着部位は我々がノーザンブロット解析で観察した肝細胞のNAIP においてはより積極的な役割を果たしているとも考えられる。また、SMA発症 児には血清脂肪酸異常が検出されたことは注目に値する(Kelley and Sladky, 1986)。 5q13.1の同定領域は、NAIP遺伝子の他に、NAIP遺伝子の内部欠 失/切断型のコピーも不定数含んでいる。完全なNAIP遺伝子と、特定個人の ゲノムからエクソン5および6が欠失したNAIP遺伝子座の両方が欠損または 不在であることがSMAの原因でると我々は考えている。この点について、我々 はNAIPを同定したことにより、SMAの正確な分子的診断法を整備すること ができるだけでなく、このような疾病状態に対する伝統的な治療法と遺伝的治療 法とを公式化することがが可能となったのである。さらに、NAIP遺伝子座と NAIPと相互作用するタンパクとの相同性を示す遺伝子の同定により、哺乳類 細胞におけるアポトーシスのメカニズムをさらに明らかとするための助けとなる か もしれない。実施例 Family Material MacKenzie et al,(1993)に記載の方法で、所定の診断基準を満足する患者 を対象に臨床的診断をおこなった。記載に従ってDNAを抹消白血球から単離し た(MacKenzie et al.,1993)。 遺伝的分析および連鎖不平衡分析 ミクロサテライト マーカーによる遺伝子型の決定は、MacKenzie et al.( 1993)およびMcLean et al.(1994)に従って行った。既に述べたように、次の5 q13.1部位を用いた。D5S112(Brzusowitcz et al.,1990)、D5S351(Hudson et al.,1992)、D5S435(Soares et al.,1993)、D5S557(Francis et al .,1993)、D5S629およびD5S637(Clermont et al.,1994)、D5S684(Brah e et al.,1994)、Y98T、Y97T、Y116T、Y122TおよびCMS(Kleyn et al.,1993)、CAT(Burghes et al.,1994;McLean et al.,1994)およびM APIB(Lien et al.,1991)。 ミクロサテライトの繰返しで見られる複数対立遺伝子に対応できるパラメタを 用いて連鎖不平衡分析をおこなった。不平衡分析は元来複雑なことを考え、複数 の対立遺伝子に対応可能な計4種のパラメタを用いた。このパラメタとは、Hde rick(1987)に規定されているDij、Dij'およびD'ならびにx2検定である。う ち2種、Dij,Dij'は筋緊張性ジストロフィーに関する以前の研究(Podolsky et al.,1994)において後見的位置情報として最適であるとされている。患者とコ ントロール母集団はMcLean et al,(1994)のとおりである。 コスミド、YAC、PACの系列化 コスミドとYAC連続系列についてはRoy et al.,(1994)に概要が述べられて いる。PACはloannou et al.,(1994)の記載に従って作製した。以上の方法を 用いて合計175,000個のクローンからなるPACライブラリを3つ作製し、マイ コロタイター皿に個別クローンとして増殖させた(lannou et al.,結果未公表) 。3つのライブラリ(LLNL PAC 1、RPCI1、RPCI2と命名)を5q13 .1STS'sでスクリーニングした。ポジティブなPACを配列して、互いに連続 的にオーバーラップするように配置し、さらにSTSを加えて解析するとともに 、単一 コピーのゲノムDNAとcDNAプローブを用いてPAC DNAを含有するサザ ンブロットをプロービングした。 DNA操作および分析 PACゲノムDNAインサートをBamHI,BamHI/Notl、全および部分的 Sau3aI(5kbのインサートサイズに合わせて選択)で消化することにより、PA C 125D9インサートを含む4種のゲノム・ライブラリーを作製し、これをBlue scriptベクターにサブクローニングした。Chen et al.(1994)の方法により、 部分Sau3AI消化ライブラリーから得た5kbのクローン200個について両末 端の約400bpの配列を決定した。 PACのコード配列をChurch et al.(1994)に記載されたエクソン増幅法で 単離した。PACをBamHIまたはBamHIおよびBgl IIIで消化させ、サブク ローニングしてpSPL3を得た。各PACのプールしたクローンをCOS−1細 胞にトランスフェクトした。24時間のトランスフェクション後、RNA全体を 抽出した。エクソンはpAMP10(Gibco,BRL)にクローニングし、プライマ ーSD2(ATGAAC TGC ACT GTG ACA AGC TGC)を用い て合成した。 ABI 373A自動DNAシーケンサーによりDNAの配列決定を行った。 λgt(Stratagene)およびλZAP(Clontech)の市販ヒト胎児脳cDNAライブ ラリーを用いて転写物の候補を単離した。ノーザンブロットは市販品を入手し( Clontech)、標準的な方法で検出を行った。 一般に、文献でPCR用に使用されるプライマーは60℃のTmSに選択され たもので、94℃、60秒;60℃、60秒;72℃、90秒を30サイクルと いう条件で使用される。PCRプライマーのマッピングは図面および本文に記載 の通りである。 プライマーの配列は下記の通りである。 RT−PCR 7μgの完全なRNAを用い、20μlの反応溶液でcDNAを合成した。こ のRNAを5分間95℃で変性し、37℃で冷却した。5μl5×の逆転写緩衝 液、2μl0.1M DTT、412.5mM dNTP、8単位 RNAsin、25ng cDNA プライマー(1285)および400単位 HMLV(Gibco,BRL)を添加後、42 ℃で1時間逆転写反応を行った。その後、50μlPCRの反応では鋳型として 1μlのDNAを用いた。この一次PCR1μlを鋳型に用いて二次PCR増幅 を行った。 配列分析 一次DNA配列データをTEDプログラムで編集した(Gleeson and Hillier ,1991)。部分Sau3AI消化ライブラリーの部分的にアミノ酸配列が決定されて いる5kbクローン200のうちなるべく多数を、XBAP Stadenパッケージによ り配列し、オーバーラップする列にした(Dear and Staden,1991)。また、G CG Sequence analysis(Genetics Computer Group,1991)により配列デー タを組立て、分析した。Procite proteinデータベース(Bairoch and Butcher ,1993)を検索して蛋白質領域の相同性を検出した。MEMSTATプログラム も使ってトランスメンブランドメイン領域の検索もおこなった(Jones e tal., 1994)。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 独占的な権利または特権が請求される本発明の態様は 以下のとおりに規定される: 1. 染色体5q13のSMA含有領域に位置するヒト遺伝子であって、約5.5kbか らなるエクソン1から17までを含み、エクソン2から11までの制限酵素地図 が図8に示したとおりであるヒト遺伝子。 2. 染色体5q13のSMA含有領域に位置するヒト遺伝子であって、約5.5kb か らなるエクソン1から17までを含み、エクソン2から16までの制限控訴地図 が図9に示したとおりであるヒト遺伝子。 3. エクソン5から16までが、配列番号2のアミノ酸配列と生物学的、機能 的に同等なアミノ酸配列を有するNAIPタンパクをコードする請求項1または 2のヒト遺伝子。 4. エクソン5から16までが、配列番号1のcDNA配列と生物学的、機能 的に同等なcDNA配列を有する請求項1または2のヒト遺伝子。 5. 配列番号1のcDNA配列に対応するゲノムDNA、cDNA、mRNA、ア ンチセンスDNAまたは相同DNAを含む精製ヌクレオチド配列。 6. 配列番号1のDNA配列を含むDNA分子。 7. 配列番号2を有するNAIPタンパクをコードするDNA配列を含むDN A分子。 8. 実質的に配列番号1のDNA配列からなる精製DNA配列。 9. 実施的に配列番号2のアミノ酸をコードするDNA配列からなる精製DN A配列。 10.酸配列番号1の少なくとも18連続塩基を含む精製DNA配列。 11.請求項10のDNA配列を含むDNAプローブ。 12.請求項10のDNA配列を含むPCRプライマー。 13.請求項10のDNA配列を含むDNAハイブリダイゼーション分子。 14.DNA配列が、表4のエクソン1から4および17から選択される、請求 項10、11、12または13の精製DNA配列。 15.DNA配列が、表4のエクソン1から16から選択される請求項10、1 1、12または13の精製DNA配列。 16.表4のエクソン配列1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、 12、13、14、15、16および17からなるDNA配列群から選択された 請求項10、11、12または13の精製DNA配列。 17.DNA配列が、エクソン4、5、6および7から選択される請求項16の 精製DNA配列。 18.DNA配列が、エクソン5および6から選択される請求項16の精製DN A配列。 19.クローニングベクターまたは発現ベクターの作成における、請求項1、2 、3、4、5、6、7、8、9または10のDNA配列の使用。 20.請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のDNA配列にコードさ れているNAIPタンパク。 21.請求項10のDNA配列の連続45塩基にコードされているNAIPタン パクの15アミノ酸断片。 22.配列番号2のアミノ酸配列と生物学的に同等のアミノ酸配列を含むNAI Pタンパク。 23.実質的に、配列番号2のアミノ酸配列からなるNAIPタンパク。 24.配列番号2の少なくとも15連続アミノ酸を含むNAIPタンパク断片。 25.エクソン5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15およ び16のいずれか一つにコードされたポリペプチド群から選択されたアミノ酸配 列を含むNAIPタンパク断片。 26.選択されたポリペプチドが、エクソン5、6、7、8、9、10、11ま たは12にコードされたポリペプチドである請求項25のNAIPタンパク断片 。 27.選択されたポリペプチドが、エクソン5および6にコードされたポリペプ チドである請求項25のNAIPタンパク断片。 28.ハイブリドーマの作成における、請求項20、21、22、23、24、 25または26のアミノ酸配列の使用。 29.生物標本を分析してNAIPタンパクをコードする遺伝子の有無を診断す る方法であって、 i) ヒト染色体5q13のSMA関連領域から生物標本を単離し、 ii) 生物学的測定を行い a) 配列番号1のNAIPコードDNA;および b) 配列番号2のNAIPタンパク からなる群より選択された少なくとも一方が上記生物標本に存在するか否かを決 定する方法。 30.ステップii)において、a)群またはb)群の配列の突然変異が測定される請 求項29のヒトMAS発症リスク診断方法。 31.a)群のエクソン5および6の有無が測定される請求項30の方法。 32.NAIPタンパクをコードする遺伝子の第5染色体における正常コピー数 さらに決定する請求項31の方法。 33.生物学的測定が、DNAハイブリダイゼーション、制限酵素分析、PCR 増幅、mRNA検出およびDNA配列決定からなる群より選択される測定である 請求項29、30、31または32の方法。 34.生物学的測定が、エクソン5の5'領域およびエクソン6の3'領域から選択 されたPCRプライマーの使用によるエクソン領域5および6のPCR増幅であ る請求項29、30、31または32の方法。
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