【発明の詳細な説明】
コンドロイチナーゼIおよびII、その製造法および用途
発明の分野
本発明は、酵素コンドロイチナーゼIIの同定、単離および精製ならびに酵素
コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIの共精製(copurification
)に関する。共精製された酵素混合物または単離された個々の酵素の組み合わせ
の組成物は、目の神経網膜から眼球硝子体を選択的かつ、完全に辺縁部剥離させ
るのに有効である。
発明の背景
コンドロイチナーゼは、ヒトの目の網膜と硝子体との間の結合を媒介するプロ
テオグリカン類の1成分であるコンドロイチン硫酸に作用する細菌起源の酵素で
ある。コンドロイチナーゼ酵素の例は、プロテウス・バルガリス(P.vulgaris
)細菌により産生されるコンドロイチナーゼABCおよびエイ・アウレスセンス
(A.aurescens)により産生されるコンドロイチナーゼACである。本発明にお
いては、コンドロイチナーゼABCをコンドロイチナーゼIと称する。コンドロ
イチナーゼABCおよびACは、蛋白核の分解なしに、蛋白質−多糖複合体にお
ける多糖側鎖を分解することによって機能する。
SDS−PAGEで分けると、コンドロイチナーゼIは約110kDaの1つ
の明らかな分子塊として泳動する(図1参照)。コンドロイチナーゼIのSDS
−PAGE分画では、他の人により、ダブレット(doublet)の出現が報告され
ている(サトーら、Agric.Biol.Chem.,50:4,1057−1059(19
86))。本発明者らは、このダブレットが、コンドロイチナーゼIそのものと
、90kDaの分解生成物であることを見いだした。商業的なコンドロイチナー
ゼI蛋白質調製物は、一定しない量の90kDaおよび18kDa蛋白質分解生
成物フラグメントを含有している(図1参照)。
ヤマガタら(J.Biol.Chem.,243:1523−1535(1968))は
、
プロテウス・バルガリスの抽出物からのコンドロイチナーゼABCの精製を記載
している。この酵素は、pH8において、コンドロイチンまたはヒアルロン酸よ
りも早い速度でグリコサミノグリカン類であるコンドロイチン−4−硫酸、デル
マタン硫酸およびコンドロイチン−6−硫酸(各々、プロテオグリカン類の側鎖
であるコンドロイチン硫酸A、BおよびCとも称される)を選択的に分解する。
分解生成物は、高分子量の不飽和オリゴ糖類および不飽和二糖類である。しかし
、コンドロイチナーゼABCは、ケラト硫酸、ヘパリンまたはヘパリチン硫酸を
攻撃しない。
キクチらの米国特許5,198,355号は、酵素含有溶液を不溶性硫酸化多糖
類担体に吸着させ、ついで担体から単独の酵素を脱着することにより酵素を分画
することによるコンドロイチナーゼABCのようなグリコサミノグリカン分解酵
素類の精製を記載している。
コンドロイチナーゼ酵素は、眼球の手術において、目の神経網膜への硝子体の
結合を、迅速に、かつ特異的に非外科的に断ち、硝子体の摘出を容易にするため
の手段として使用されている。例えば、ハーゲマン(Hageman)の米国特許5,2
92,509号は、硝子体切除術の補助薬とする、哺乳類の目の眼球硝子体、網
膜上膜または線維性細胞膜を、神経網膜、毛様体上皮および後水晶体表面から選
択的かつ完全に辺縁部剥離(摘出)させる眼科硝子体切除術法を記載している。
網膜硝子体接着の部位に特異的に局在しているコンドロイチン硫酸プロテオグリ
カンを***または分解するのに有効な量の酵素を目に投与し、これにより、硝子
体および/または網膜上膜を完全に辺縁部剥離させる。酵素はプロテアーゼ・フ
リーのグリコサミノグリカナーゼとすることができる。ハーゲマンは、典型的に
は、コンドロイチナーゼI分解生成物および/または蛋白性安定化剤を含有する
純粋でない調製物である生化学工業株式会社(日本国、東京)から得たコンドロ
イチナーゼABCを利用した。蛋白性安定化剤は、ヒトの目に投与する治療的ま
たは外科的組成物には許容されないので望ましくない。
いくつかのコンドロイチナーゼはまた、板組織(disc)の安定化コラーゲン成
分を乱すことなく、板組織のヘルニアの軟骨を溶解するのに有効であると記載さ
ている。
ブラウン(Brown)の米国特許4,696,816号は、椎間板間隙にコンドロ
イチナーゼABCを含有する溶液の有効量を注入することによる、ヒトを含む哺
乳動物の椎間板変位の治療方法を記載している。このコンドロイチナーゼABC
はプロテウス・バルガリスの抽出物から単離、精製されたもので、この天然酵素
物質は、脊柱板ヘルニアのような軟骨を溶解するように機能した。特に、この酵
素は、プロテオグリカン類とランダムに分散されたコラーゲン繊維を含む髄核の
選択的髄核融解を起こさせる。
もう1つのコンドロイチナーゼであるコンドロイチナーゼIIは、この度、本
発明者らにより、プロテウス・バルガリスから単離され、精製された。また、本
発明者らは、コンドロイチナーゼIとコンドロイチナーゼIIの混合物が都合よ
く得られる効率的な共精製法を見いだした。
図面の簡単な説明
図1は、コンドロイチナーゼ酵素調製物の抗体アフィニティ・クロマトグラフ
ィー分画のSDS−PAGEゲルを示す。レーンAは未分画コンドロイチナーゼ
であり、レーンBおよびCは、アフィニティ精製コンドロイチナーゼI(110
kDa)およびII(112kDa)およびコンドロイチナーゼIの分解生成物
の1つ(90kDa)である。
図2は、コンドロイチナーゼ酵素調製物の調製のSDS−PAGEゲルを示す
。レーンAは精製コンドロイチナーゼI蛋白質、レーンBは、精製コンドロイチ
ナーゼII蛋白質、レーンCは、コンドロイチナーゼI蛋白質の90キロダルト
ン酵素切断または分解生成物、レーンDは、コンドロイチナーゼIおよびコンド
ロイチナーゼII蛋白質からなるダブレットを示すコンドロイチナーゼ酵素調製
物である。
図3は、精製コンドロイチナーゼII(レーンAおよびC)、共精製コンドロ
イチナーゼIおよびII(レーンB)および精製コンドロイチナーゼI(レーン
D)の等電点電気泳動を示す。
図4は、コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質によるプ
ロテオグリカン消化の薄層クロマトグラフィーによる分析を示す。
図5は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって同
定したコンドロイチナーゼIによるコンドロイチン硫酸の消化による成分ピーク
を示す。空隙容量で溶出するピークIはコンドロイチナーゼIである。ピークI
IはIIaおよびIIbと命名した2つの異なる成分からなり、IIaは濃縮形
の1/3R.F.糖を含み、IIbは過剰に硫酸化された二糖類である。ピーク
III(IIIaおよびIIIbと表示)は、床容量近くで溶出し、ほぼ純粋な
二糖類からなる。ピークIVは非糖成分からなる。
図6は、薄層クロマトグラフィー(TLC)による図5に示したピーク成分の
分析を示す。「消化」と表示したレーンは、GPCによる分画前に、コンドロイ
チナーゼIで消化し、GPCカラムに載せたコンドロイチン硫酸物質である。他
のレーンは図5に記載したGPCピークに対応する。
図7は、四糖類Δ4,5−D−グルクロン酸−β(1→3)−2−N−アセチ
ル,6−スルホ,D−ガラクトサミン−β(1→4)−D−グルクロン酸−β(
1→3)−2−N−アセチル,6−スルホ,D−ガラクトサミンを示す。
図8は、本発明のアフィニティ・クロマトグラフィー・システムの調製および
使用を示す図である。
図9は、コンドロイチナーゼIおよびIIの共精製における最初の工程を説明
するグラフであり、導入されたプロテウス・バルガリス抽出物を、マクロプレプ
・ハイ(MacroPrep High)Sカチオン交換クロマトグラフィーを用いて分画する
。グラフ(実線)は、カラム溶出液の280nmにおける吸光度を示す(UB:
非結合、BW:緩衝液洗浄液、CS:コンドロイチン硫酸伴う特異溶出)。この
挿入物は、非結合、緩衝液洗浄液およびコンドロイチン硫酸溶出フラクションの
SDS−PAGEプロフィールを説明する。
図10は、マクロプレプ・ハイQアニオン交換クロマトグラフィーによるコン
ドロイチナーゼIおよびIIの共精製を示すグラフである。この挿入物は、
レーン1 − ハイQロード、5倍希釈
レーン2、3 − ハイQ通過流、5倍希釈
レーン4、5 − ハイQ通過流、10倍希釈
レーン6、7 − ハイQ通過流、20倍希釈
レーン8、9 − ハイQ通過流、40倍希釈
レーン10 − ハイQ通過流、80倍希釈
レーン11 − 標準コンドロイチナーゼ
のSDS−PAGE(4〜20%)を示す。
図11は、マクロプレプ・ハイSカチオン交換クロマトグラフィーを用いるコ
ンドロイチナーゼIおよびIIの単独分離を示す。グラフは、カラム溶出液の2
80nmにおける吸光度を示す。この挿入物は、カラムに載せた物質(Load)、
非結合物質(UB)、緩衝液洗浄液(BW)、コンドロイチナーゼI(110k
Da)およびコンドロイチナーゼII(112kDa)のSDS−PAGEプロ
フィールを説明する。
発明の概略
等電点約8.4〜8.45、約0.1%(w/v)のSDSの存在下、pH8
.5で、25mMトリス/192mMグリシン緩衝液中、4〜20%グラディエ
ントのアクリルアミド・ゲルで電気泳動した場合に112kDaの明確な分子塊
を有する蛋白質であるコンドロイチナーゼIIを単離し、精製した。コンドロイ
チナーゼIIのアミノ酸配列をSEQ ID No.2として提供する。
プロテウス・バルガリスにより産生されたコンドロイチナーゼIおよびコンド
ロイチナーゼII蛋白質のアフィニティ・クロマトグラフィーによる共精製法も
提供する。この方法は、
(a)誘導されたプロテウス・バルガリスの、pH5.8〜7.4を有する清
澄ホモジネートを調製し、
(b)ホモジネートを陰性荷電のカチオン交換樹脂クロマトグラフィー担体に
載せ、ホモジネート中のコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIを
含むいずれの陽性荷電蛋白質をも、陰性荷電担体と非共有結合を形成させ、
(c)pH7.0〜9.5で、コンドロイチン硫酸の水性溶液で担体からコン
ドロイチナーゼ蛋白質を、まとめてアフィニティ溶出させ、
(d)アフィニティ溶出した蛋白質プールをアニオン交換樹脂クロマトグラフ
ィー担体に載せて非結合溶出液を得、
(e)非結合溶出液中のコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII
蛋白質を回収する
ことを包含する。
他の態様において、蛋白質は、さらに金属キレート・クロマトグラフィーによ
り精製できる。この共精製法は、典型的には、約60%コンドロイチナーゼI:
40%コンドロイチナーゼIIの重量/重量比をもたらすが、約80%コンドロ
イチナーゼI:20%コンドロイチナーゼIIまでの比率も得られる。
単離されたコンドロイチナーゼIおよびIIまたは共精製されたコンドロイチ
ナーゼIおよびIIの混合物の治療用または外科用組成物も開示する。好ましく
は、コンドロイチナーゼIおよびIIの量は、辺縁部剥離有効量である。これら
の組成物は、目の神経網膜から硝子体を選択的かつ完全に辺縁部剥離させる方法
で使用される。組成物は、そのような治療の必要な目に、好ましくは、硝子体内
、硝子体下、水晶体下および後眼房に投与される。
発明の詳細な記載
本発明は、酵素コンドロイチナーゼIIの同定および単離を包含する。コンド
ロイチナーゼIIは、酵素コンドロイチナーゼIとは別に精製でき、または、こ
れら2つの酵素は、やはり本発明に包含される方法により共精製することができ
る。これらの2つの酵素は、好ましくは、例えば、ウシ血清アルブミンのような
蛋白性安定化剤や、これら2つの異なる酵素の混合物の性質に影響を及ぼす他の
不純物の非存在下で、組成物に処方される。蛋白性安定化剤は、ヒト、特にヒト
の目に投与するための治療用または外科用組成物に使用するには適していない。
また、コンドロイチナーゼIIの分析も提供する。コンドロイチナーゼIおよび
IIは、目の神経網膜から硝子体を選択的かつ完全に辺縁部剥離させるために一
緒に使用される。
コンドロイチナーゼII
コンドロイチナーゼIIは、コンドロイチナーゼIとは区別される酵素である
が、2つの酵素は、各々が網膜硝子体接着に関与するプロテオグリカン類の完全
な分解に関与する点で相互に補足し合う。コンドロイチナーゼIをSDS−PA
GEで分割すると、それは、約110kDaの1つの明らかな分子塊として泳動
する(図1)。しかしながら、コンドロイチナーゼIは、コンドロイチナーゼI
の蛋白分解生成物も同様に検出できるので、ダブレットとしても現れることがあ
る。本発明者らは、特異的抗体を使用して、さらにこれらの分解生成物を90k
Daと18kDa種の等モル量と同定した。図1は、抗体アフィニティ・クロマ
トグラフィーによる効率的な調製物分画のSDS−PAGEを示す。分画は以下
のとおり行った。
夾雑蛋白質(より高分子量を有する)フリーの4M尿素中のGPCにより、(
90+18)kDaコンドロイチナーゼからコンドロイチナーゼ(18kDa)
のフラグメントを精製した。18kDaフラグメントに対する抗体を製造した。
組換体コンドロイチナーゼのアミノ基をゲルに共有結合させることにより、コン
ドロイチナーゼ・アフィニティ・ゲルを調製した。このアフィニティ・カラムを
用いて血清からの精製18kDa特異的IgGを調製した。この18kDa特異
的IgGを蛋白質A−ゲルに共有的に結合させた。蛋白質AはIgGの定常部と
結合するので、その結合方向に正しく配向する。コンドロイチナーゼからの小成
分を、ゲルを使用して分画した。分解生成物の両方の種は、多分、典型的なコン
ドロイチナーゼI調製物における不純物からと同様に、コンドロイチナーゼIそ
のものの内部で少なくとも1箇所エンドプロテアーゼにより切断されて形成され
る。
単離され、精製されたコンドロイチナーゼII蛋白質の物理化学的性質を分析
した。
SDS−PAGEおよびマススペクトル分析
コンドロイチナーゼIIは、あるSDS−PAGE条件下で、無傷のコンドロ
イチナーゼI蛋白質よりも、ゆっくりと泳動する。しかしながら、コンドロイチ
ナーゼIIは従来のSDS−PAGEシステムでは検出できなかった。それは、
本発明者らにより、約0.1%(w/v)SDSの存在下、pH8.5において
23mMトリス/192mMグリシン緩衝液中のアクリルアミドのグラディエン
トから単離、精製された。7%ゲルも使用できる。
コンドロイチナーゼIIは、上記のごとくSDS−PAGEにより電気泳動す
ると、112kDaの1つの明らかな分子塊を有する。それは、図2、レーンD
の従前に分割されていないダブレットの上方のバンドとして観察される。
マス・スペクトル分析により認められた精製天然コンドロイチナーゼIIにつ
いての質量は、エレクトロスプレー(electrospray)で111,725±27ダ
ルトンであり、レーザーデソープション(laser desorption)で111,725
±20ダルトンである。これらのデータは、コンドロイチナーゼIIをコードす
るDNA配列から予測される質量および組換体コンドロイチナーゼIIに観察さ
れる質量に相当する。SDS−PAGEゲルにおいて、コンドロイチナーゼII
のバンドはダブレットの上方のバンドではあるが、コンドロイチナーゼIIの質
量はコンドロイチナーゼIよりは、700〜800ダルトンも少ない。
等電点
コンドロイチナーゼIIの等電点電気泳動(IEF)は、約8.4〜8.45
の等電点(pI)を生じ、これは、各々、約8.3〜8.35と8.4〜8.4
5の等電点を有するコンドロイチナーゼIの2つのイソフォーム(isoform)の
ものと類似している。(図3参照)。IEF条件はつぎのとおりである。
用いたアンホライン範囲は5%ポリアクリアミド・ゲル中pH8〜9.5であ
る。pHグラディエントは、各々、1Mリン酸および1M NaOHで誘導した。
シーケンシング
コンドロイチナーゼIおよびIIの誘導されたアミノ酸配列を、各々、SEQ
ID No.1およびSEQ ID No.2に示す。標準的なSDS−PA
GEによれば、これら2つの蛋白質は単一のバンドとして見えうるが、ここに記
載する特別なSDS−PAGE条件では、それらはダブレットととして分割され
る。これら2つの蛋白質のはっきりした性質は、さらに、各蛋白質のアミノ末端
の最初の40アミノ残基の配列およびそれらの塩基配列から推定されるそれらの
アミノ酸配列の残りの部分から確認される。
単離され、精製された天然のコンドロイチナーゼII蛋白質のアミノ末端配列
は、塩基配列から予測され、組み換えにより製造されたコンドロイチナーゼII
蛋白質のアミノ末端シーケンシング[プロシーケンサー・モデル600(ProSequ
encer Model 600,Milligen/Bioserch,Milford,MA)を用い、製造者のマニ
ュアルに従って実施]により決定されたと同じアミノ酸配列を有する。
特に、アミノ末端の最初の20残基(SEQ ID No.2)は、組換体コ
ンドロイチナーゼIIが天然の蛋白質には存在しないアミノ末端メチオニン残基
を含む以外は、天然および組換体コンドロイチナーゼIIと一致する。残基21
〜41のシーケンシングは、非特異的エドマン分解の増加により困難であった。
しかし、この領域における残基の信頼できる同定が行える程度に行ったところで
は、残基は、(上記したところを除いて)天然および組換体コンドロイチナーゼ
IIと同じである。天然および組換体コンドロイチナーゼI(SEQ ID N
o.1)のアミノ末端シーケンシングについても同じである。
抗体結合研究
コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIの差異を示すさらなる証
拠はウエスターン・ブロットにおけるポリクローナル抗体結合研究によって提供
される。コンドロイチナーゼIは、予想どおり、コンドロイチナーゼIに対する
ポリクローナル抗体と結合するが、コンドロイチナーゼIIに対するポリクロー
ナル抗体には結合(交差反応)しない。同様に、コンドロイチナーゼIIは、予
想どおり、コンドロイチナーゼIIに対するポリクローナル抗体と結合するが、
コンドロイチナーゼIに対するポリクローナル抗体とは結合(交差反応)しない
。
また、天然および変性条件下で、2つの異なる挙動が観察される。SDSによ
る洗剤処理のような変性条件下では、2つのコンドロイチナーゼ蛋白質間に交差
反応はない。このことは、分子が広げられると、共用する(配列依存)エピトー
プがないことを示している。非変性条件(天然)下では、抗体アフィニティ・ク
ロマトグラフィーに基づき少なくとも1つのエピトープが共用される証拠があり
、そこで共精製される。特別な理論に縛られるものではないが、このエピトープ
は、これらの蛋白質のコンドロイチン硫酸結合/認識部位に位置しているものと
考えられる。この領域は、コンドロイチン硫酸基質に結合するアミノ酸類の保存
され
た三次元配置を示しうる。配置依存エピトープと異なり、高次(conformational
)エピトープは、蛋白質が変性されると失われる。かくして、抗体は、天然の蛋
白質にのみ結合し、変性した蛋白質には結合しない。
コンドロイチナーゼII蛋白質は、コンドロイチナーゼIがそうであるように
、ヘパリン硫酸に強い親和性も有する。
生物学的活性
コンドロイチナーゼII蛋白質の生物学的活性も、コンドロイチナーゼIとは
異なる。コンドロイチナーゼIIの生物学的活性を、まず、従前にin vivoで活
性であることが示されてるコンドロイチナーゼ酵素調製物の1つのバッチからコ
ンドロイチナーゼII蛋白質を選択的に除去することにより試験した。コンドロ
イチナーゼIIを欠くこのバッチを試験すると、それは最早、in vivoで十分に
は有効ではなく、不完全な硝子体辺縁部剥離をもたらした。
コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIのプロテオグリカンに対
する作用を、さらに、TLCを用いてin vitroで試験した。以下に詳細に記載す
るように、ランダムなエンド分解的(endolytic)切断により、コンドロイチナ
ーゼIは最初の段階で糖類の混合物を生じる。コンドロイチナーゼIによる広範
な消化は3つの最終生成物を生じ、その1つは、最終生成物二糖類(主として6
S形)である。しかし、2つのさらなる消化生成物が見られ、1つは、該二糖類
についてのR.F.の約1/3のところに泳動し、他の1つは約2/3のところ
に泳動する。
これとは違って、コンドロイチナーゼIIそれ自体はプロテオグリカンを消化
しない。しかし、コンドロイチナーゼIIをコンドロイチナーゼIに添加すると
、これら2つの消化生成物のいずれもが見られず、その代わり、全ての物質が完
全に消化、すなわち、二糖類に消化される。これらの結果は、プロテオグリカン
をコンドロイチン硫酸に置き換えても繰り返される。この完全消化は、コンドロ
イチナーゼIIの低い割合でも見られる。90%コンドロイチナーゼI:10%
コンドロイチナーゼII(w/w)混合物は、プロテオグリカンまたはコンドロ
イチン硫酸の二糖類への完全な消化を与える。これらの結果は、以下に記載する
in
vivo実験でも繰り返された。
目において、コンドロイチナーゼ蛋白質はプロテオグリカンのコンドロイチン
硫酸側鎖を分解するが、プロテオグリカンの蛋白質核は分解しない。したがって
、in vitro研究について、該蛋白質によって攻撃される部分がコンドロイチン硫
酸であり、コンドロイチン硫酸を得るコストの方が、プロテオグリカンよりも非
常に低いので、プロテオグリカンの代わりにコンドロイチン硫酸を使用すること
が許容される。
コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質によるコンドロイ
チン硫酸の分解生成物の性質をTLC(図4参照)、GPCおよびマス・スペク
トル分析で試験した。
まず、シリカゲル・ベースのTLCを展開し、コンドロイチン硫酸およびプロ
テオグリカンの二糖類分解生成物を分離し、未知の糖を同定した。二糖類0S、
4Sおよび6Sは全て分離した。用いた溶媒系は種々の割合の酢酸エチル、酢酸
および水を含有するものであった。二糖類は、還元糖を褐色に着色させるアルカ
リ性硝酸銀で見えるようにした。TLCは、わずか0.025mlの試料を必要
とするだけなので、コンドロイチン硫酸と比較して高価なプロテオグリカンの使
用も許容された。
生成物の分析に一次元TLCを使用すると、コンドロイチナーゼIがプロテオ
グリカンに作用する場合、主生成物である二糖類とは別に生成した未知の組成の
2つのオリゴ糖が存在した。これら2つのオリゴ糖は、二糖類についてのR.F
.の1/3および2/3のところに移動した。2/3R.F.糖は、結局、コン
ドロイチナーゼIによって長時間かかって(コンドロイチナーゼIIがこの糖を
切断する速度の少なくとも100倍遅い速度)切断されたものであった。反対に
、1/3R.F.糖は長時間のインキュベーション後も切断されなかった。しか
しながら、コンドロイチナーゼI蛋白質の10重量%をコンドロイチナーゼII
蛋白質に置き換えると、2/3R.F.および1/3R.F.糖両方共に、検出
レベルで蓄積されない程に迅速に消化された。
このTLC実験を、最初はコンドロイチナーゼIでの消化、ついでコンドロイ
チナーゼIIの消化による二次元で繰り返した。プロテオグリカンをコンドロイ
チナーゼIで消化し、ついでTLCの第一の次元に沿ってクロマトグラフィーに
付した。分離した糖を、ついで、TLCプレート上で、純コンドロイチナーゼI
I蛋白質で消化した。プレートを、ついで、第一の次元に用いたと同じ条件で、
第二の次元に沿って展開した。かくして、コンドロイチナーゼII蛋白質によっ
て切断されない糖は対角線に沿って移動し、切断された糖は、生成物が異なった
移動特徴を有し、生成物が対角線から遠ざかるように移動した。
この結果は、R.F.の約1/3のところに移動したオリゴ糖を除いて全ての
スポットが対角線にあったことを示している。これは、コンドロイチナーゼIに
よるプロテオグリカンの消化によって生成した大部分の糖は、コンドロイチナー
ゼII蛋白質により、さらに消化されなかったことを意味する。しかしながら、
この特定のオリゴ糖は対角線位置から完全になくなり、その代わり、より速く移
動する2つのスポットを示し、2つのより小さい糖に切断されたことを示してい
る。
ついで、マイクロ・プレパラティブ(micro-preparative)法を用いてTLC
を繰り返し、TLCプレートからこれらの未知の糖を掻き取り、抽出して単離し
た。これらの単離した糖を、ついで分析した。10mgのプロテオグリカン(IN
C Biomedical Costa Mesa,CA)を、組換体または精製した天然のコンドロイチ
ナーゼI蛋白質8μgで37℃にて1時間消化し、生成物をTLCプレート上、
試料をストリーク(streaks)で負荷してクロマトグラフィーに付した。クロマ
トグラフィー後、TLCプレートから5mmづつ離れたバンドとしてシリカ・ゲ
ルを掻き取った。これらのシリカ・ゲルをプールし、脱イオン水を用いて3回抽
出した。これは、これらのフラクションに存在する大部分のオリゴ糖を可溶化す
るものと予想された。これらのフラクションを、ついで、TLC上でクロマトグ
ラフィーに付し、目的とするオリゴ糖を含有するフラクションを同定した。二糖
類を含有するフラクションも同定し、以降の実験における対照として使用した。
マイクロ・プレパラティブTLCから回収された糖試料(1/3R.F.糖)
の分析は十分には成功しなかった。これは、多分、TLCプレートからの抽出さ
れたシリケートと糖の干渉によるものであった。この方法で回収された糖の量が
少ないことも、さらなる分析を困難にした。プロテオグリカンは少量でも高価で
あり、また、商業的に多量に入手できないので、この物質を基質として使用する
と、大規模な消化生成物の回収は非常に困難である。別のアプローチとして、豊
富で、比較的安価な基質であるコンドロイチン硫酸を使用した。この基質は、少
量の、部分的に分解したプロテオグリカンで汚染されていた。さらに、GPCを
糖の単離に使用した。
GPCは、糖の良好な分離を提供し、分析に適した量で回収された。また、シ
リケート汚染も除去された(マイクロ・プレパラティブTLCとは異なり)。消
化物を得るために、組換的に発現されたコンドロイチナーゼI蛋白質を用いた。
この消化物を、ついで、GPCを用いてクロマトグラフィーに付した。2つの天
然コンドロイチナーゼ蛋白質では、上記の精製法を使用しても、痕跡量(1%以
下)の各蛋白質が他の蛋白質中に認められ、これは、所望の四糖類の収率を低下
させて結果に影響した。これは、in vivoでは関係ないものと理解される。した
がって、天然の精製したコンドロイチナーゼ蛋白質は、目における完全な硝子体
辺縁部剥離を起こさせるのに適当である。天然のコンドロイチナーゼIIと共に
組換体コンドロイチナーゼIを使用するのが好ましいのは、in vitroの研究にお
いてのみである。組換体コンドロイチナーゼIは、アメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクションに寄託した試料(ATCC 69234)の使用により、コ
ンドロイチナーゼIをコードする遺伝子のイー・コリ(E.coli)における発現
で得た。
組換体コンドロイチナーゼIはコンドロイチン硫酸を、溶媒として0.1%ト
リフルオロ酢酸(TFA)で展開するGPC(Spectra/Gel TAc,Spectrum Med
ical Industries Inc.,Los Angeltes,CA)からの4つのピークとして回収した
生成物に消化する。Iと称する第1のピークは、空隙容量で溶出する小さいピー
クであり、還元糖を含有していなかった。これは主にコンドロイチナーゼIであ
った。IIと称する第二のピークは、IIaおよびIIbと称する2つの別々の
成分からなっていた。IIaは、1/3R.F.糖を豊富な形で含有してお
り、IIbは過剰硫酸化二糖類となっていた。IIIと称される最も大きい第三
のピークは床容量に近く溶出され、ほとんど純粋な二糖類からなっていた。この
GPCを図5に示す(ピークIIIはIIIaおよびIIIbと表示している)
。ピークIVは、非糖成分からなる。(コンドロイチン硫酸の代わりに、少量の
プロテオグリカンを用いるGPC−HPLC系で、この操作を繰り返すと、同様
な結果が得られた)。
図5のGPCからのピークをTLCで分析し、目的のオリゴ糖(ピークIIa
)が上記の溶媒系で、消化物の主成分フリーの二糖類を溶出することを認めた。
フラクションを凍結乾燥してTFA/水を除去し、分析した。消化された物質の
約1/4が、オリゴ糖からなり、塩フリーの白色結晶粉末として得られた。この
TLCの結果を図6に示す。
すべて1000:1の基質:蛋白質比率として、異なるコンドロイチナーゼ蛋
白質標品と精製オリゴ糖をインキュベーションした。純粋なコンドロイチナーゼ
II蛋白質は迅速にオリゴ糖を二糖の位置に移動する生成物にまで消化した。試
験した最初の時点(15分)において完全な消化が得られた。期待されたように
、無傷のコンドロイチナーゼI蛋白質はこのオリゴ糖に影響を及ぼさず、試験の
最終時点(4時間)においてさえも二糖は生成されなかった。純粋なコンドロイ
チナーゼII蛋白質ほど迅速ではないが、コンドロイチナーゼIおよびコンドロ
イチナーゼII蛋白質の共精製混合物(60:40 w/w)も、このオリゴ糖
を開裂した。重要なことに、オリゴ糖の開裂速度は、コンドロイチナーゼII蛋
白質含量と非常によく対応していた。この観察結果により、オリゴ糖は、活性コ
ンドロイチナーゼII蛋白質を定量するための、コンドロイチナーゼIを妨害し
ない特異的基質として有用であることが示される。
エレクトロスプレー・マス・スペクトル法(electrospray mass spectrometry
)を用いてピークIIaに対応するオリゴ糖を分析し、918ダルトンに相当す
るスペクトルを得た。この観察された質量は組成「A−B−A−B」からなる四
糖の計算質量と非常によく一致する。ここに、2種の糖AおよびBはそれぞれD
−グルクロン酸および硫酸基が1個ついたN−アセチルD−ガラクトサミンであ
り、
それらはコンドロイチン硫酸の繰り返し単位である。唯一プロトン化された糖で
あると同定された919ダルトン(M+H)の主ピークのほかにも数個の小ピー
クが存在し、試験的な同定とともにそれらの質量を強度順に示すと:
839ダルトン(M−SO3):1個硫酸基が失われた糖
901ダルトン(M−H2O):1個水が失われた糖
941ダルトン(M+Na):1ナトリウム塩
811ダルトン(M−SO3−H2O)、759ダルトン(M−2SO3)、7
41ダルトン(M−2SO3−H2O)であり、あとは他の組み合わせに由来する
痕跡程度の他の関連ピークであった。さらに、いくつかの小さな未同定ピークも
検出され、特に、431ダルトンと531ダルトンの2つのピークが検出された
。後者の質量は2個硫酸基のついた二糖の予想質量と非常によく一致した。
コンドロイチナーゼIはコンドロイチン硫酸を部分的に分解し、不飽和の、2
個硫酸基がついた四糖を生じ、四糖は、その化学式から計算され、さらにエレク
トロスプレー・マス・スペクトル法により観察された918ダルトンの分子量を
有する。四糖の主要形態(約60%)の構造を図7に示し、ここに硫酸結合側鎖
は左から2番目および4番目の環の6位にある。四糖の主要でない形態(約40
%;示さず)は、この硫酸結合側鎖を2番目および4番目の環の4位に有する。
該4Sおよび6Sの糖は、コンドロイチナーゼIIにより、同様な速度で消化さ
れて二糖を生じる。該四糖を、Δ4,5−D−グルクロン酸−β(1→3)−2−
N−アセチル,6−スルホ,D−ガラクトサミン−β(1→4)−D−グルクロン酸
−β(1→3)−2−N−アセチル,6−スルホ,D−ガラクトサミン(図7)と称
す。
下表1はコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIの特徴を掲載す
る。
アッセイ
四糖は、コンドロイチナーゼIによる開裂に耐性であるので、コンドロイチナ
ーゼIIのアッセイの開発のための良好な候補である(コンドロイチナーゼIに
より四糖の二糖への少しの開裂が起こるが、消化速度はコンドロイチナーゼII
について見られる速度の数百分の一である)。逆に、コンドロイチン硫酸はコン
ドロイチナーゼIIによる開裂に耐性がある。in vitroでは、コンドロイチナー
ゼIIにより四糖は2〜3分のうちに完全に開裂されるが、同量のコンドロイチ
ナーゼIによっては数時間かけても開裂されない。
上記情報を用いて、コンドロイチナーゼII蛋白質の活性測定のためのアッセ
イを開発した。このアッセイは、四糖の二糖への変換を、高品質液体クロマトグ
ラフィー(HPLC)によりモニターする。コンドロイチナーゼII蛋白質は四
糖を二糖に変換し、ポリメタクリル酸をマトリックスとして用いるショーデック
ス−OHパックKB−802(日本国、東京のショーコー(Shoko)社製)のご
ときGPC−HPLCカラムによるHPLCにより二糖は基質から分離される。
アッセイを以下のように行う。まず、四糖基質を適当な溶液中に調製する。純
粋な四糖を水に溶解して約2倍のごとく適当に希釈する。好ましくは、0.1M
NaOHのごとき適当な塩基性溶媒を用いてpHを約8ないし9に合わせる。ス
トック用ホウ酸バッファー,pH8.5のごときバッファーを添加して最終バッフ
ァーモル分率を5mM,pH8.5とする。体積を調節して、濃度0.2〜20m
g/mlのごとき適当な四糖基質溶液とする。
次に、0.1〜5μg/mlのごとき適当に希釈(好ましい希釈は2μg/m
l)したいずれか一方の、あるいは両方のコンドロイチナーゼ蛋白質の混合物を
基質溶液に添加する。コンドロイチナーゼ蛋白質に対する基質溶液の好ましい比
率は6:1(v/v)である。
アッセイ溶液を10〜50℃、好ましくは37℃で適当時間、例えば15分イ
ンキュベーションし、次いで、ショーデックス−OHパックKB−802(日本
国、東京のショーコー(Shoko)社製)のごときGPC−HPLCカラムを用い
るHPLCによりクロマトグラフィーを行う。アニオン交換、疎水性相互作用、
および逆相のごとき他のクロマトグラフィー法も適する。
上記のごときGPC−HPLCカラムに消化基質を負荷することにより二糖生
成物を検出し、評価する。移動相は水中0.03%TFAである。アセトニトリ
ル−水、またはリン酸およびホウ酸のようなバッファーのごとき他の移動相を用
いることもできる。不飽和四糖基質および二糖生成物のベースライン分離が存在
する。これら2つのピークの下での物質の相対量を、例えば、一定の波長におけ
る吸光度の測定、質量分析、誘電率、屈折率および粘度を測定し、すでに精製さ
れTLCおよび他の方法により同定された標準物質と比較することにより評価す
る。232nmにおける吸光度を測定することが、しばしば好ましい。
GPCを用いると、四糖は二糖の前に溶離する。NaOHでpHを8.5に合
わせ、37℃で短時間(30分まで)インキュベーションするような数段階の工
程の間は、四糖は安定であることが示されている。
コンドロイチナーゼ蛋白質に対する基質が高い比率である場合、例えば、20
000:1(w/w)でさえも、精製コンドロイチナーゼII蛋白質は、初期の
時点の間、ほぼ直線的な割合で四糖を二糖に変換する。組み換えコンドロイチナ
ーゼI蛋白質はこの変換を行うことができない。しかしながら、予想されたよう
に、コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質の精製混合物(
85:15 w/w)はこの変換を触媒する。この変換の速度は、純粋なコンド
ロイチナーゼII蛋白質について見られる速度よりも正比例的に遅く、さらに予
想されたように、そのことはコンドロイチナーゼII蛋白質が低含量であること
と一致する。
コンドロイチナーゼ蛋白質の濃度が100倍増加した場合(200:1 基質
:コンドロイチナーゼ蛋白質)、純粋なコンドロイチナーゼII蛋白質および8
5:15の共精製蛋白質混合物は、15分で二糖への完全な変換を引き起こす。
この高濃度を組み換えコンドロイチナーゼIに用いても、有意な活性は検出され
ない。よって、このin vitroアッセイは、コンドロイチナーゼII含量のみに依
存する四糖の二糖への変換をモニターする有用な方法を提供する。しかしながら
、コンドロイチナーゼII蛋白質の混入(約1ないし2%)が知られているプロ
テウス(Proteus)由来のコンドロイチナーゼIを単独で用いる場合、コンドロ
イチナーゼIは高度に精製した場合でさえも検出可能な変換を示す。
精製
種々の方法を用いて無傷のコンドロイチナーゼII蛋白質を単離し、精製する
ことができるが、好ましい方法を説明する。この方法は、まず、ピー・バルガリ
ス(P.Vulgaris)発酵物の粗抽出物からのコンドロイチナーゼIおよびコンドロ
イチナーゼII蛋白質の共精製を包含する(図9参照)。
典型的には、共精製プロセスは、重量比率で約60%のコンドロイチナーゼI
:40%のコンドロイチナーゼIIを生じるが、約80%のコンドロイチナーゼ
I:20%のコンドロイチナーゼIIの比率も得られることがわかる。次いで、
さらなるカチオン交換クロマトグラフィーのごときさらなる処理工程により共精
製蛋白質を相互に分離する。
コンドロイチン硫酸を認識するコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナー
ゼII蛋白質の共精製のためにアフィニティ・クロマトグラフィー系を用いる。
最初に、カチオン交換樹脂を用いてピー・バルガリス(P.Vulgaris)発酵物の粗
抽出物からコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質を結合さ
せる。樹脂に結合しない混入蛋白質をカラムから洗浄する。コンドロイチン硫酸
溶液を用いてコンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質のアフ
ィニティ溶離を行う。共溶離された蛋白質にはコンドロイチン硫酸およびその消
化生成物が混入している。
純粋でない混合物をアニオン交換樹脂に負荷することにより最終的な共精製を
行う。樹脂はコンドロイチン硫酸、他の蛋白質、DNAおよびエンドトキシンな
らびに消化生成物を結合するが、コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナー
ゼII蛋白質は結合せずに流出する。大規模に行う場合には、塩化ニッケルで帯
電していて平衡化された樹脂を用いて最後の共精製を遂行する。大部分の残存混
入蛋白質は流出するが、対象とする2種の蛋白質は結合する。次いで、コンドロ
イチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質を樹脂から溶離する。ニッケ
ル塩が好ましいが、亜鉛、銅および鉄のごとき他の塩も許容される。
単純なクロマトグラフィー系を用いてピー・バルガリス発酵物から蛋白質を溶
離する。さらに蛋白質を精製するが、蛋白質は効力の損失なくその生物学的活性
を保持する。
このプロセスに用いる樹脂を容易に調製でき、酸、アルカリサイクルでの再生
という単純な処理により再利用できる。さらにそのうえ、イオン交換樹脂は比較
的安価である。
共精製蛋白質は、目の手術における硝子体の完全な辺縁部剥離における使用に
適する。所望ならば、さらなるイオン交換クロマトグラフィーを包含するさらな
る処理工程により共精製蛋白質を相互に分離することができる。別々に分離され
た蛋白質を共精製法により得られる割合とは異なる割合で使用することができる
。
詳細には、2種の蛋白質の共精製を下記のごとく行う。誘導されたピー・バル
ガリス発酵物を遠心分離し、得られたペレットをpH6.8のリン酸ナトリウム
バッファーに懸濁し、次いで、均質化する。pHは6.5ないし7.0の範囲が最
も好ましい。5.8ないし7.4の範囲も好ましい。5.8未満のpHでは酸性条
件下での蛋白質沈殿により活性が消失する。活性の消失はpH5未満において最
も重大である。リン酸以外のバッファーを用いることもできる。好ましくは、酢
酸を用いて上清をpH6.8かつ少なくとも3ミリシーメンス(milliSiemens)
/cmまたはそれ未満の誘電率に合わせる。適当な誘電率は、引き続き行うカチ
オン交換樹脂へのコンドロイチナーゼ蛋白質の完全な結合を行うために重要であ
る。誘電率は3ミリシーメンス/cm未満でなければならないことが実験で決定
されている。
これらの工程を行うことによって、コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチ
ナーゼII蛋白質が次の工程のカチオン交換樹脂に結合する効率が増大する。約
4〜5ミリシーメンス/cmの誘電率までは少量のものは結合する。より高い誘
電率により、蛋白質の大部分が非結合フラクションへと失われる。
pHを合わせ、清澄化し、均質化した抽出液をカチオン交換樹脂支持体マクロ
プレプ・ハイS(Macro-PrepTMHigh S)(ニューヨーク州メルビルのバイオーラ
ッド・ラボラトリーズ(Bio-Rad Laboratories))上に負荷する。好ましいカチ
オン交換樹脂は最小量の樹脂を用いることのできる高効率カチオン交換樹脂であ
る。他の負に帯電した基も本発明における使用に適する荷電支持体樹脂材料に含
まれる。例えば、カルボキシメチル(CM)を用いることもできる。いくつかの
市販支持体を用いることができる。例えば、負に帯電し、正に帯電した蛋白質に
結合しうる限り、アルリル支持体であるMacro-PrepTM、または他の通常使用され
るデキストラン、アガロース、ポリアクリルアミド、シリカ、もしくはポリメタ
クリル酸のごとき支持体を用いることができる。コンドロイチナーゼIおよび
コンドロイチナーゼII蛋白質は樹脂に結合するが、大部分の蛋白質混入物は流
出する。樹脂をpH6.8のリン酸ナトリウムバッファーで洗浄して280nm
における吸光度をゼロ近くにし、次いで、pH8.3のホウ酸ナトリウム溶液で
平衡化する。
次の工程における有効/特異的溶離のためにこのpH調節は重要である。この
pHはコンドロイチナーゼ活性の最適pHに近い。このpHにおいて、樹脂に結
合したコンドロイチナーゼ蛋白質と過剰の遊離基質との間の非常に高度な特異的
相互作用が存在して特異的溶離が引き起こされるが、非コンドロイチナーゼ蛋白
質(混入物質)は結合したままである。このpHは蛋白質の等電点にも近く、そ
のことにより溶離がより容易になる。pH8.3ないし8,5が最良の結果をもた
らし、最も好ましいのであるが、8ないし9のpHを用いることができる。この
pH範囲にある他のバッファーも許容される。
8.5ないし9の好ましいpH範囲のコンドロイチン硫酸1%水溶液を用いて
アフィニティ溶離を行う。溶離pHが7未満の場合には効率が低下する。pHを
水酸化ナトリウムで合わせる。他のアルカリを用いることもできる。基質濃度は
0.2%程度ないし10%程度であってよい。しかしながら、より低いパーセン
テージはより低い収率となり(0.5%未満)、より高いパーセンテージは溶離
液の誘電率を高めるため、高レベルの混入蛋白質を生じる。コンドロイチナーゼ
活性の回収率は約72%であり、蛋白質純度90ないし99%のコンドロイチナ
ーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質混合物となる(図9参照)。
溶液中にバッファーがないので(コンドロイチン硫酸は脱イオン水に溶解され
ている)コンドロイチン硫酸溶液のpHを調節するが、pHを樹脂の平衡pH近
く(先に溶離に使用したホウ酸バッファーのpH)に維持し、この場合pH8.
3である。基質を用いる溶離により、塩溶液を用いるよりも高いコンドロイチナ
ーゼ蛋白質純度が得られる。さらに、塩で溶離された蛋白質は、次のイオン交換
工程の前にさらなる脱塩/透析濾過工程を必要とするが、アフィニティ溶離され
た蛋白質には必要ない。このことは、塩溶離に必要な誘電率は1%コンドロイチ
ン硫酸溶液の約20倍以上であるからである。
好ましくは酢酸で、アフィニティ溶離された蛋白質プールを簡単にpH6.8
に合わせ、アニオン交換樹脂支持体マクロプレプ・ハイQ(Macro-PrepTMHigh Q
)(バイオーラッド;Qは4級アンモニウムを表す)または同等の効果の樹脂に
負荷する。好ましいアニオン交換樹脂は最小量の樹脂の使用が可能な高効率アニ
オン交換樹脂ある。
DEAEのような他の正に帯電した基も使用可能である。
コンドイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質の両方がカラムから
共溶離され、コンドロイチン硫酸およびその消化生成物が他の蛋白質、DNA、
およびエンドトキシンとともに樹脂に結合する。樹脂はコンドロイチン硫酸を除
去し蛋白質純度を高めることができるのみならず、エンドトキシンの除去におい
ても非常に効率的である。この工程における回収率は86%であり、コンドイチ
ナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質の純度は95〜99%まで上昇す
る(図10参照)。
1000リットルの醗酵スケールでは、カチオン交換カラムおよびアニオン交
換カラムによる連続精製後の共精製コンドロイチナーゼIおよびII酵素蛋白質
純度は研究室スケールの精製で得られる純度よりも低い。金属キレートアフィニ
ティ・クロマトグラフィー(MCAC)を用いる第3のクロマトグラフィー工程
を用いて蛋白質純度を改善する。分離は、不溶性支持体に結合したキレート金属
と相互作用する蛋白質の能力の相違に基づく。蛋白質は、主としてそのヒスチジ
ンまたはシステイン含量により結合する。金属イオンおよび負荷バッファーのp
Hならびに塩濃度を変化させることにより、混入蛋白質が流出してコンドロイチ
ナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質のみが結合する条件が確立される
。pH8の50mMトリス−酢酸中、0.2M NaCl存在下のの50mMイ
ミダゾールを溶離バッファーとして溶離することにより、in vivo活性を失うこ
となく98%の蛋白質純度が得られる。イミダゾールが溶離蛋白質中に存在して
もよく、水またはバッファーに対する透析または透析濾過により蛋白質から分離
することができる。
さらなる処理工程により共精製蛋白質を相互に分離することができる。その後
、
別々に精製された蛋白質を、共精製法により得られる割合とは異なる割合で再処
方することができる。
共精製コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質を含有する
溶離液をpH6.8に合わせる。ホウ酸バッファー,pH8.5でカラムを洗浄す
る。ホウ酸バッファー中0〜150mM NaClのグラディエントで、2種の
コンドロイチナーゼ蛋白質をカラムから溶離する。別法として、ホウ酸バッファ
ー中50mM NaClの単一モル濃度溶液も同等に効果的である。各場合にお
いて、コンドロイチナーゼI蛋白質は初めの方のフラクションに溶離され、後の
方のフラクションに溶離されるコンドロイチナーゼII蛋白質から分離される(
図11参照)。精製コンドロイチナーゼIフラクションのアミノ末端配列は単一
配列を生じ;精製コンドロイチナーゼIIフラクションのアミノ末端配列も別の
単一の配列を生じる。各蛋白質は98〜99%の純度、85〜95%の収率で共
精製蛋白質混合物から回収される。辺縁部剥離および治療組成物
硝子体は目の5分の4の体積を占める結合組織コンパートメントであり、目の
組織に対する構造上および代謝上の維持を提供する一方で、眼内圧の維持および
網膜への光の到達を可能にしている。しばしば硝子体は、変性または炎症傷害部
位の縁において網膜への2次的付着を形成する。次に、こらの付着は網膜表面上
にピボット点を形成し、しばしば網膜は辺縁部剥離を起こす。
硝子体切除術は硝子体の一部の外科的除去であり、処置されないならば失明を
引き起こしうる病理学的状態、術中もしくは術後の状態の治療または予防に必要
である。選択的および完全に目の硝子体を辺縁部剥離する方法を用いて硝子体切
除術を行うことが好ましい。該方法は、コンドロイチン含有プロテオグリカンが
硝子体網膜付着に関与しており、そのプロテオグリカンに作用する組成物は目の
残りの部分に悪影響を与えることなく硝子体の辺縁部剥離を行うであろうという
知識を利用する。
単離され精製された無傷のコンドロイチナーゼIおよびII蛋白質は、外科的
硝子体切除術に必要な完全な辺縁部剥離を引き起こすのは個々の蛋白質のいずれ
かというよりはむしろ該2種の蛋白質の組み合わせであることを示す。
本発明の1の態様は、硝子体網膜付着部位に特異的に局在化しているコンドロ
イチン硫酸グリコサミノグリカン/プロテオグリカンを分解する有効量の2種の
コンドロイチナーゼ酵素、すなわち、コンドロイチナーゼIおよびコンドロイチ
ナーゼIIを目に投与することからなる。コンドロイチン硫酸は、比較的高分子
量のプロテオグリカンに結合したグリコサミノグリカンである。コンドロイチン
硫酸は硝子体網膜付着の原因であり、コンドロイチン硫酸の分解は硝子体の完全
な辺縁部剥離を引き起こす。
これら2種の蛋白質の使用は硝子体網膜界面の酵素的崩壊を、特に、目の硝子
体の酵素的辺縁部剥離(完全除去)のために提供する。
in vivoで、目の硝子体の完全辺縁部剥離に必要とされる2種のコンドロイチ
ナーゼ蛋白質の用量を治療時間に応じて変更する。一般的には、治療期間が短い
ほど用量は多いが、その用量が網膜または繊毛体の損傷を引き起こすほど多くて
はならないという制限がある。治療時間は1分から数時間までである。
一般的には、目の網膜神経からの硝子体の選択的および完全辺縁部剥離には、
外科用または治療用組成物は1ないし10000単位(CI活性単位)の間のコ
ンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質混合物を含有する。好
ましくは、外科用または治療用の用量は約150ないし約1500単位の間であ
ろう。1単位は、37℃、pH8.0において1分間にコンドロイチン硫酸から
1マイクロモルの不飽和二糖の生成を触媒する蛋白質量である。完全に辺縁部剥
離されるべき硝子体1ミリリットルあたりの蛋白質の単位についても用量が計算
され、かくして用量は、1mlあたりかかる単位数として0.05〜0.1程度で
あってよい。
医薬上許容される緩衝化溶液1ミリリットルあたりのミリグラム数について蛋
白質活性を表すのがより好ましいかもしれない。コンドロイチナーゼIに関して
は500単位/mlが1mg蛋白質/mlと等価である。好ましい用量範囲は1
〜10mg全蛋白質/0.4ml緩衝セイライン溶液(BSS)であり、4mg
全蛋白質/0.4ml BSSの用量が特に好ましい。次に、好ましい蛋白質の
比率は、90%コンドロイチナーゼI:10%コンドロイチナーゼII(w/w
)ないし60%コンドロイチナーゼI:40%コンドロイチナーゼII(w/w
)の範囲である。
好ましくは、濃縮蛋白質を緩衝液と混合することにより得られる医薬上許容さ
れる緩衝化溶液中に入れてコンドロイチナーゼ蛋白質を投与する。いかなる適当
な緩衝液を用いてもよいが、適当な緩衝液は酢酸ナトリウム、Tris、または
Balanced Salt Solution(テキサス州フォート・ワースのアルコン(Alcon)社
製)を包含する。pH範囲4.5〜9.0、好ましくは約pH8.0において蛋白
質は有効である。それゆえ、蛋白質用の緩衝化溶液について好ましいpH範囲は
約7〜8である。
典型的な処方または1回分の剤型は、共精製もしくは単離された酵素および医
薬上許容される賦形剤の両方を含有する滅菌凍結乾燥ケークを包含する。適当な
賦形剤はクエン酸バッファーおよびデキストロースを包含するが、これらに限ら
ない。医薬上許容される希釈剤を添加してもよい。適当な希釈剤は、例えば、塩
化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸ナトリ
ウム、クエン酸ナトリウム、および例えばBSS(コネチカット州ストールスの
アルコン・サージカル・インコーポレイテッド(Alcon Surgical Inc.))のご
とき水を含有するバランス塩希釈剤のようなバランス塩である。
典型的には、凍結乾燥ケークは賦形剤を含み、典型的には、使用前に体積0.
5ないし2.0mlの希釈剤中に復元される。
例えば、マトリックスを確定し、各用量を患者に割り当てることにより、適当
な用量が当業者により決定されうる。
処方に関する非限定的な実施例を下表2に示す:
サルにおけるin vivo試験により治療構成を示す。サルを麻酔し、硝子体内、
硝子体下、レンズ下および後眼房投与のごとき当業者に知られた手段により2種
のコンドロイチナーゼ蛋白質を目に投与する。1の手順において、目における第
1の孔を通して挿入した硝子体切除器具により硝子体の一部を除去する。目にお
ける第2の孔を通して挿入したエンドイルミネーター(endoilluminator)によ
り外科医用の光を供給する。注入ターミナルと呼ばれる第3の孔を通して本発明
蛋白質溶液を注入することにより硝子体の残りを除去する。溶液は硝子体を通っ
て拡散し、2種のコンドロイチナーセ蛋白質が作用して、硝子体を網膜に付着さ
せているコンドロイチン硫酸を分解する。15分程度のうちに分解完了後、完全
に辺縁部剥離された硝子体を吸引により除去し、目をセイライン溶液ですすぐ。
次いで、注入ターミナルを通して適正な圧力の緩衝液を投与する。時間がたつと
、身体は硝子体を本質的に再構成するのに必要な分子を合成する。
動物を屠殺し、肉眼試験、組織学ならびに病理学的試験、ソノグラフィー、透
過型電子顕微鏡、および抗コンドロイチン硫酸抗体の使用のごとき方法により目
を分析する。辺縁部剥離が不完全である場合、例えば、コンドロイチナーゼIの
みを投与する場合、硝子体床の領域の硝子体の一部は大型で、鉗子によって掴む
ことができる。完全な辺縁部剥離が行われる場合に網膜に対する損傷が観察され
ないという点で、2種のコンドロイチナーゼ蛋白質の選択性が示される。
一連のサルの硝子体切除実験を行い、種々の精製プロテウス・コンドロイチナ
ーゼ標品を試験した。これらの実験を以下にまとめる。いくつかの醗酵バッチの
うちの1つから単離され精製された両方のコンドロイチナーゼ蛋白質を含有する
組成物を与えられたサルは硝子体を辺縁部剥離した。コンドロイチナーゼII蛋
白質を除去するために分画されたバッチは不完全な辺縁部剥離を引き起こした。
組織に関する組織学により、コンドロイチナーゼIIが投与された用量中に含ま
れていなかった場合に未消化コンドロイチン硫酸が存在することが示された。
コンドロイチナーゼIIを欠く分画されたバッチに精製コンドロイチナーゼI
I蛋白質を添加し直した場合(全蛋白質の約12重量%まで)、うまく辺縁部剥
離が行われた。外科的判断基準によるこれらの標品の評価に基づくと、コンドロ
イチナーゼII蛋白質は完全な硝子体辺縁部剥離を行うことにおいて必須の役割
を果たすと結論される。コンドロイチナーゼIIを含まない場合、コンドロイチ
ナーゼIのみでは動物モデルにおける完全な硝子体の辺縁部剥離の遂行には効果
的でなかった。好ましい具体例の記載
以下の実施例は本発明を制限することなく説明する。実施例1
. 精製
誘導されたプロテウス・バルガリスのマッシュ(10L容量)を6,400g
で20分間遠心分離に付した。ペレットをpH6.8で10mMのリン酸ナトリウ
ム緩衝液に再び懸濁させ、ついで再び遠心分離に付した。洗浄したペレットを前
記の緩衝液に再び懸濁させ、Gaulinホモジナイザーを介して〜9000p.s.i.
で3回ホモジネートした。そのホモジネート(1.8リットル)を17,700g
で1時間遠心分離に付した。大部分の清澄液(1.7リットルのうち1.4リット
ル)を1M酢酸を用いてpH6.8に、および脱イオン水で希釈することで3ミリ
ジーメンス/cmの伝導度に調整した。これらの工程は共にコンドロイチナーゼ
蛋白質の以下に示すカチオン交換体への有効結合を確実にした。
調整かつ清澄ホモジネート(62.4K単位のコンドロイチナーゼI酵素活性
を含有する2.4リットル(EC#4.2.2.4))を、184単位/mlの樹脂
を負荷した、床容量340mlのマクロプロプ・ハイS カチオン交換カラム(
Bio-Rad,Melville、N.Y.)に載せた。コンドロイチナーゼ蛋白質は樹脂に
結合していたが、夾雑蛋白質の大部分は結合せずに、流れ出た。該カラムを〜4
床容量の10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で洗浄し、280nmで
の吸光度をベースライン近くにした。該樹脂をpH8.3で〜6床容量の40mM
ホウ酸ナトリウムで平衡にした。
アフィニティ溶出を、NaOHでpHを約8.5〜9に調整した、コンドロイチ
ン硫酸(Fluka Biochemicals)の水中1%溶液を用いて行った。2種の蛋白質
が、床容量の約半分にて、鋭いピークで特異的に溶出した。コンドロイチナーゼ
活性の回収は72%であり、蛋白質の96〜98%はコンドロイチナーゼIとコ
ンドロイチナーゼII蛋白質の混合物であった。
アフィニティ溶出した蛋白質プールを酢酸を用いてpH6.8に調整し、pH6.
8で平衡にした、床容量85mlのマクロプロプ・ハイQアニオン交換樹脂(B
io-Rad,Melville、N.Y.)に載せた。コンドロイチナーゼ蛋白質は共に結合
せず溶出したが、コンドロイチン硫酸およびその消化生成物はハイQ樹脂に結合
した。コンドロイチン硫酸およびその分解生成物の除去を、負荷物および流出物
中の硫酸塩を微量分析に付し確認した。この工程により、負荷物中の硫酸塩の9
9.6%が除去され、残りの0.4%は主として灰化の間に蛋白質のメチオニンの
硫黄が部分酸化されたことによると説明することができる。コンドロイチン硫酸
およびその生成物の除去に加えて、純度が約98〜99%まで上昇した。この工
程の回収物は38.3K単位のコンドロイチナーゼ(86%)であった。実施例2
− 精製
誘導されたプロテウス・バルガリスのマッシュ(2.6L容量)を6,400g
で20分間遠心分離に付した。得られたペレットをpH6.8で350mlの10
mMリン酸ナトリウム緩衝液に再び懸濁させ、ついで再び遠心分離に付した。ペ
レット(142g)を脱イオン水(350ml)に再び懸濁させ、約10,00
0p.s.i.で3回ホモジネートした。そのホモジネートを17,000gで1時間
遠心分離に付すことで清澄化し、清澄化ホモジナートを1M酢酸を用いてpHを
6.8に調整し、脱イオン水で3ミリジーメンス/cmの伝導度にまで希釈した
。調整かつ清澄化されたホモジナート(850ml中に16.2K単位)を、床
容量105ml(154単位/mlの樹脂)のマクロプロプ・ハイSカラム(B
io-Rad,Melville、N.Y.)に載せた。ついで、該カラムを約2床容量の10
mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で洗浄し、つづいて約8床容量の40
mMホウ酸ナトリウム(pH8.3)で洗浄した。コンドロイチナーゼ蛋白質を次
に1M NaOHでpH9に調整した脱イオン水中1%コンドロイチン硫酸塩で共
溶出し、約96−98%の純度および88%の回収率であった。この溶出したフ
ラクションをついで0.1M酢酸でpH6.8に調整し、10mMリン酸ナトリウ
ム緩衝液(pH6.8)で平衡にした、床容量10.5mlのマクロプロプ・ハイ
Qカラム(Bio-Rad,Melville、N.Y.)に載せた。コンドロイチナーゼ蛋白
質が流れ出て、95%の回収率および約98〜99%の純度で収集した。マッシ
ュから精製蛋白質までの回収率は全体で73%であった。
実施例3− 精製
7.9u/mlの最終コンドロイチナーゼ能を有するプロテウス・バルガリス
醗酵物(1000リットル)を生成した。醗酵物を脱イオン水(2000リット
ル)で希釈し、12℃に冷却した。希釈したマッシュを流速ないし80L/分で
遠心分離に付し、細胞固体からの醗酵ブロスを分離した。湿ったマッシュ固体を
均質化の前に脱イオン水で希釈した。湿式細胞(200リットル)をGaulin M
3ホモジナイザーを用い、8000p.s.i.および5リットル/分の流速で3回ホ
モジネートした。該ホモジナートをさらに伝導率を下げるために清澄化の前に脱
イオン水で希釈し、ついで遠心分離に付し、細胞残骸を除去した。清澄化ホモジ
ナートをさらに希釈し、伝導率を3ミリジーメンス/cm以下に下げた。
この物質(570L)を、10mMリン酸ナトリウム(pH6.8)で平衡にし
た24Lのマクロプロプ・ハイSカラムカチオン交換(Bio-Rad、Melville、
N.Y.)に載せた。流速は1L/分であった。載せた後、樹脂を約3床容量の1
0mMリン酸塩(pH6.8)で洗浄し、ついで溶出についての適当なpHが得ら
れるまで、40mMホウ酸塩(pH8.3)(5床容量)で平衡処理した。負荷し
たコンドロイチナーゼI活性のうち15%部は樹脂に結合せず、流出物中に検出
された。溶出をpH8.9で1%コンドロイチン硫酸で行い、280nmでの吸光
度でモニター観察した。9Lを溶出し、吸光度が上昇し始めた後、5Lのフラク
ションを収集した。各フラクションをSDS−PAGEおよび酵素活性アッセイ
で分析した。所望のフラクションを合し、5.35百万単位の回収量および82
%のステップ収率を得た。SDS−PAGEによるコンドロイチナーゼIおよび
IIの純度は81%であった。
ハイS溶出液のpHを、3Lマクロプロプ・ハイQカラム(Bio-Rad、Melvi
lle、N.Y.)に載せる前に1M酢酸で6.9に調整した。フィードを見かけ上リ
ニアーな100cm/時間の速度で1780u/ml樹脂で樹脂に載せた。コン
ドロイチナーゼ蛋白質が流出物中にて回収され、それを1のプールで収集した。
アニオン交換カラムからのステップ収率は96%であった。流出物(5.14百
万単位を含有する9.95L)を、注射用水に対する透析濾過に付す前に、30
K螺旋状溝を有するカートリッジを用いて限外濾過により約2Lまで濃縮した。
ついで、保持体を凍結乾燥した。最終凍結乾燥粉末の純度はSDS−PAGE由
来の染色領域%によれば94%であった。実施例4
− 精製
10Lの醗酵物より得られるコンドロイチナーゼ調製物を用いた。そのマッシ
ュを実施例1に記載されているように加工処理した。夾雑蛋白質を含有する副フ
ラクションを用い、大規模生産で得られる低純度を模擬実験した。これは大規模
生で得られる純度(すなわち、約90%純度)と同様なハイQ工程後の調製を可
能
とした。これにより出発調製物が第3の金属アフィニティ精製工程に標準化され
るようになる。SDS−PAGEによるマクロプロプ・ハイQからの溶出液の純
度は約90%であった。
最終金属アフィニティ精製工程について、23mlの床容量を有するキレート
化セファロース(Pharmacia LKB Biotechnology,Inc.、Piscataway、N
.J.)カラムを調製した。樹脂を脱イオン水で洗浄し、ついで1床容量の0.1
M塩化ニッケルを充填した。樹脂を水で洗浄し、非結合ニッケルを除去し、つい
で負荷緩衝液(50mMトリス−酢酸塩(pH8.0)、0.2M NaCl)で平衡
処理した。低濃度のリン酸塩を含有するハイQカラムからの溶出液に、1Mトリ
ス酢酸塩(pH8)および2M NaClを加え、負荷緩衝液の最終濃度の蛋白質溶
液を調製した。調製試料を430u/ml樹脂でカラムに載せた。流速は75c
m/時間の見かけのリニアー速度に対応する150ml/時間であった。試料を
負荷した後、樹脂を負荷緩衝液(約5床容量)で洗浄した。活性アッセイおよび
SDS−PAGEによる流出体の分析により、負荷された活性の0.5%より少
ないが、夾雑蛋白質の大部分はこのフラクションにて回収されることがわかった
。出発緩衝液中50mMイミダゾールで溶出し、単一の蛋白質ピークの溶出液を
得、フラクションを収集し、それをSDS−PAGEで分析した。所望のフラク
ションを合し、89%の収率および96−98%の推定コンドロイチナーゼ純度
を得た。実施例5
− 精製
負荷量を増加させる以外(900u/ml樹脂)、実施例4と同一条件で精製
を繰り返した。カラムの収率は75%であり、SDS−PAGEによるコンドロ
イチナーゼ純度は98%であった。溶出液を濃縮し、水中に透析濾過し、凍結乾
燥した。実施例6
− 精製
7.5u/mlマッシュの誘導されたプロテウス・バルガリスの醗酵(100
0L)を、最初、実施例2に記載されているように処理した。SDS−PAGE
によるマクロプロプ・ハイQ(Bio-Rad,Melville、N.Y.)カラムからの溶
出液のコンドロイチナーゼIおよびII純度は83.9%であった。18cm径
のカラムに約9Lのキレート化セファロースのファースト・フロー樹脂(Pharm
acia LKB Bioteclmology,Inc.、Piscataway、N.J.)を充填した。該樹
脂を水で洗浄した後、塩化ニッケルをチャージさせ、0.2M NaCl含有の50
mMトリス酢酸塩緩衝液(pH8)で平衡にした。ハイQ流出物を50mMトリ
ス酢酸塩(pH8)および0.2M NaClの最終濃度に調整した。調製されたフ
ィードを、75cm/時間の見かけのリニアー速度に対応する19.2L/時間
の流速で600u/ml樹脂でカラムに載せた。コンドロイチナーゼ蛋白質を該
カラムから出発緩衝液中50mMイミダゾールとした溶出緩衝液で溶出した。ス
テップ収率は89%であり、コンドロイチナーゼIおよびIIの純度は83.9
%から96.4%に上昇した。実施例7
−コンドロイチナーゼ活性のアッセイに用いるための四糖類基質の単離
精製された天然のコンドロイチナーゼI(5.8mg)を、0.1M NaOHを
含む、pH8.8に調整された、水(600ml)中のコンドロイチン硫酸(Flu
ka Chemicals、Bushs、スイス国)(8g)に加えた。別法として、イー・コ
リ発現の組換えコンドロイチナーゼI(ATCC69234の発現により利用可
能)を用いた。その混合物を37℃で3時間インキュベートし、部分凍結乾燥処
理により55mlに濃縮した。濃縮物を水中0.1%TFAで1:1(v/v)
に希釈した。コンドロイチナーゼIはコンドロイチン硫酸を生成物に消化し、そ
れは溶媒として0.1%TFAで溶出することにより、ゲル浸透カラム(Spectr
a/Gel TAc、Spectrum Medical Industries Inc.、Los−Angeles,C
A)より4つのピークとして回収された。第1のピーク(Iと称する)は空隙容
量で溶出する小さなピークであり、コンドロイチナーゼIからなり、いずれの還
元糖をも含まなかった。第2のピーク(IIと称する)はIIaおよびIIbと
称される2種の異なる化合物からなっていた。IIaは1/3R.F.
糖を豊富な形で含有しており、一方IIbは過剰硫酸化二糖類であった。第3の
ピーク(IIIと称する)は床容量に近く溶出される最も大きいものであり、ほ
とんど純粋な二糖類からなっていた。このGPCを図3(Fig.019)(ピー
クIIIはIIIaおよびIIIbと表示されている)に示す。ピークIVは非
糖成分からなる。
GPCからのピークをTLCにより分析し、目的の四糖類(ピークIIa)が
消化物の主成分不含の二糖類を溶出することがわかった。フラクションを凍結乾
燥してTFA/水を除去し、分析した。消化された物質の約1/4は、白色結晶
の塩不含の粉末として、約200mgの収量で、かつ約95%の純度で、四糖類
からなっていた。実施例8
− 四糖類を二糖類に変換することにおけるコンドロイチナーゼII
蛋白質の活性についてのin vitroアッセイ
アッセイを以下のように行った。第1に、四糖類基質を適当な溶液に調製した
。純粋な四糖類を水中に約2.5mg/mlまで溶かし、そのpHを0.1M Na
OHで約8ないし9に調整した。ストックのホウ酸緩衝液(pH8.5)を加えて
5mMの最終モル濃度(pH8.5)とした。容量を調整し、四糖類の2mg/m
l溶液を得た。
次に、基質溶液(60μL)に、例えば0.1〜5μg/mlのコンドロイチ
ナーゼ蛋白質と、2μg/mlの好ましい希釈体のいずれか、または両方の適当
に希釈した混合物(10μL)を加えた。アッセイ溶液を37℃で15分間イン
キュベートし、ついで20μlの消化基質をHPLC、Shodex−OH pakK
B−802.5 GPC−HPLCカラム(Shoko Co.Ltd、東京、日本国)を
用い、GPCでのクロマトグラフィーに付した。移動相は水中0.03%TFA
であった。四糖類基質および二糖類生成物のベースライン分離があり、2つのピ
ークを、232nmでの吸光度、および以前に精製され、TLCで同定された標
品との比較で評価した。
これらのGPCの条件下、四糖類は約5.2mlで溶出し、一方、二糖類は約
6.3mlで溶出し、その場合、床容量は約10mlであった。四糖類は、例え
ば、NaOHを用いてpHを8.5に調整し、37℃で短時間(30分まで)イン
キュベートするなどの、数工程のアッセイの間、安定であることがわかった。操
作時間は12分間であるため、選択されるアッセイ時間は、新たにインキュベー
トされた反応物の連続的な負荷を可能とする15分間であった。
20,000:1(w/w)の基質のコンドロイチナーゼ蛋白質に対する比率
でさえ、精製されたコンドロイチナーゼII蛋白質は、少なくとも初期の時点の
間、ほぼ直線的な割合で四糖類を二糖類に変換した。組換えコンドロイチナーゼ
I蛋白質はこの変換を行うことができなかった。しかしながら、予想どおり、コ
ンドロイチナーゼIおよびコンドロイチナーゼII蛋白質の共精製混合物(85
:15 w/w)はこの変換を触媒した。この変換の速度は、純粋なコンドロイ
チナーゼII蛋白質について見られる速度よりもずっと遅く、さらに予想される
ように、そのことはコンドロイチナーゼII蛋白質が低含量であることと一致す
る。
コンドロイチナーゼ蛋白質の濃度が100倍増加した場合(200:1の比率
)、純粋なコンドロイチナーゼII蛋白質および共精製した蛋白質の混合物は共
に、二糖類への完全な変換を引き起こした。この高濃度を組換えコンドロイチナ
ーゼIに用いても、有意な活性は検出されなかった。しかしながら、既知のコン
ドロイチナーゼII蛋白質の混入物(約1ないし2%)を含有するプロテウス由
来のコンドロイチナーゼIを単独で用いた場合、コンドロイチナーゼIはこの高
比率で部分的な変換を示した。かくして、このin vitroアッセイは、コンドロイ
チナーゼIIによる四糖類の二糖類への変換をモニターするための有用な方法を
提供する。実施例9
− サルにおける硝子辺縁部剥離
一連のサル硝子体切除実験を行い、種々の精製したプロテウス・コンドロイチ
ナーゼ調製物を試験した。健康なサルを5つの群に分けた。4つの群に、以下の
ように0.4mlのBSS中合計4mgの用量のコンドロイチナーゼ蛋白質を投
与した:群1にはコンドロイチナーゼIを単独で投与した;群2にはコンドロイ
チナーゼIIを単独で投与した;群3にはコンドロイチナーゼIとコンドロイチ
ナーゼIIの60:40(w/w)混合物を投与した;および群4にはコンドロ
イチナーゼIおよびコンドロイチナーゼIIの88:12(w/w)混合物を投
与した。第5の群は陰性対照として用い、0.4mlのBSSだけを投与した。
サルを麻酔し、目の第1の孔を介して挿入された硝子体切除器具によって硝子
体の一部を摘出した。外科医用の光は目の第2の孔を介して挿入されたエンドイ
ルミネーターによって供給された。注入ターミナルと称される第3の孔を通して
蛋白質溶液を注入することにより硝子体の残りを摘出した。あるとしたなら、分
解が完了した後(15分間)、動物を殺し、肉眼試験、組織学ならびに病理学的
試験、ソノグラフィー、透過型電子顕微鏡、および抗コンドロイチン硫酸抗体の
使用のごとき方法により目を分析した。
結果を以下の表3に示す:
本明細書に記載のすべての特許、出願、文献、刊行物および試験方法は出典明
示により本明細書の一部とする。
当業者であれば、前記した詳細な記載を考慮して、本発明の種々の修飾は明ら
かである。そのような明らかな修飾は添付した請求の範囲の意図する範囲内にあ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12Q 1/34 9051−4C A61K 37/54 ABL
//(C12N 9/88
C12R 1:01)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),AU,CA,JP,NZ,U
S
(72)発明者 オイル,ウルスラ
アメリカ合衆国07446ニュージャージー州
ラムジー、クレセント・ハーロウ4番