JPH10500013A - 乳酸菌の培養物の増殖を阻害し、所望により該細菌細胞を溶解する方法および得られる溶菌培養物の用途 - Google Patents

乳酸菌の培養物の増殖を阻害し、所望により該細菌細胞を溶解する方法および得られる溶菌培養物の用途

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JPH10500013A JP7529536A JP52953695A JPH10500013A JP H10500013 A JPH10500013 A JP H10500013A JP 7529536 A JP7529536 A JP 7529536A JP 52953695 A JP52953695 A JP 52953695A JP H10500013 A JPH10500013 A JP H10500013A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、乳酸菌培養物の増殖を阻止する方法、または該培養物を含む製品、例えばチーズ製品を提供し、該方法は、乳酸菌の細胞内において、グラム陽性菌のバクテリオファージ、特に乳酸菌のバクテリオファージから得られ得るholinをin situで産生し、該holinをコードする遺伝子は第一調節プロモーターのコントロール下にあり、該holinは、それがある系によって産生される細胞に対して静菌作用を示すことができ、それにより、自己溶菌酵素の自然産生は好ましくは損なわないで、細胞膜に穴をあけることができる。好ましくは、さらに、乳酸菌の細胞内で、乳酸菌またはそのバクテリオファージから得られ得る溶解素がin situ産生され、該溶解素をコードする遺伝子は第二調節プロモーターのコントロール下にあり、それにより、産生される溶解素は、乳酸菌の細胞の溶解を行なう。第二調節プロモーターは第一調節プロモーターと同じであってもよく、holinおよび溶解素をコードする遺伝子は各々、一つのオペロンにおいて、同じ調節プロモーター下におくことができる。好ましくは、プロモーターは、食品等級成分またはパラメーターによって規制することができる。本発明の他の用途としては、溶菌の後に遊離されるペプチダーゼによって変形されるペプチドの混合物の製造、溶菌培養物を有害細菌または病原性細菌に対する殺菌剤として使用することによる、溶菌培養物を含む製品の貯蔵期間の改善が挙げられる。

Description

【発明の詳細な説明】 乳酸菌の培養物の増殖を阻害し、所望により該細菌細胞を 溶解する方法および得られる溶菌培養物の用途 発明の背景および公知技術 本発明は、乳酸菌の培養物の増殖を阻害し、所望により該細菌の細胞を溶解す る方法に関する。 本明細書では、微生物の名前について下記の略号を使用する。 E.=Escherichia(例えば、大腸菌(E.coli)) L.=Lactococcus(例えば、L.lactis) M.=Micrococcus(例えば、M.lysodeikticus) S.=Streptococcus(例えば、糞便連鎖球菌(S.faecalis)および肺炎連鎖球菌(S .pneumonia)) 本発明は、一態様において、例えば発酵食品の製造(例えば、チーズの製造) において、溶解素により乳酸菌の培養物を溶解する方法、または該培養物を含む 物質に関する。該方法は、WO 90/00599(;参考文献A1)から公知である。そ の特許明細書によれば、チーズ製造中に、Lactococcus(好ましくは、伸長形頭 部)由来の溶解素を使用して、細菌由来の培養物が溶解された。例として、Lact ococcus lactis ML3のバクテリオフ ァージφvML3の溶解素が挙げられている。特に、該溶解素は、チーズ製品または 、例えばホエイの除去、粉砕および塩処理の後のチーズの前段階混合物に添加す ることができる。しかし、この溶液は、溶菌細胞の内容物とチーズ製品との完全 な混合が容易に得られないという欠点がある。別の欠点は、溶解素が、食品等級 でない大腸菌細胞によって産生されるという点である。宿主細胞の細胞壁自体が 該溶解素によって分解されないならば、該溶解素を分泌する形質転換宿主が、該 溶解素による溶解を受けやすい細菌集団の抑制に有用と考えられることが明瞭に 述べてある。が、チーズの風味の改善における形質転換宿主細胞の添加に関して は、何も言及していないし、形質転換された乳酸菌に関してはもちろん言及して いない。 その代わりとして、その特許明細書には、「溶解素を被包して、その添加時期 に左右されぬようにする。被包剤は、チーズ製造の完了後に溶解し、従って、酸 性化の役割が完了する前に出発菌に影響を及ぼすことはない。」ことが示唆され ている。 この示唆による代替法は、(a)被包物質を使用しなければならず、また、( b)該物質は、チーズの製造工程終了まで溶 解してはいけないという欠点を有する。さらに、被包溶解素をチーズ製造工程の 始めに、例えばチーズ初期培養物をミルクに添加する際に加えると、その約90% はホエイとともに除去される。すなわち、必要な有効量の約10倍を添加しなけれ ばならず、それは、経済的に魅力的なものではない。後に公開されたC.A.Shear man,K.Jury & M.J.Gasson(参考文献A2)には、クローン化された lactoc occalバクテリオファージφvML3溶解素遺伝子を発現する自己溶菌Lactococcus l actisが記載されている。特に、彼らは、「クローン化した溶解素の発現は、Lac tococcus lactis subsp.lactisおよびLactococcus lactis subsp.cremoris菌 株の乳糖代謝能およびミルクを凝固させ、酸を産生する能力を損なわなかった( データは示していない)」と述べている。 指数増殖期中は、溶解素は発現されないか、十分には発現されないことが示唆 された。ただ、通常の発酵工程の終わりに生じる定常期には、かなりの割合の細 胞を溶解するのに十分な量が発現されるだろう。該文献は、形質転換されたlact ococcal菌株の保持が問題と考えられると述べている。30℃未満の温度での保持 は、溶解の開始をわずかに遅らせたが、 30℃では、溶解素耐性細菌の再増殖が発生した。代替法として、ショ糖の割合が 20%より高いショ糖培地での緩衝作用を施した。これは、発酵段階が30℃以上で 生ずるチーズ製造のような発酵工程には適さず、20%より多いショ糖の存在は許 容されないと思われる。 さらに、その文献の最後には、定常期の発現は完全には制御されないことが示 してある。さらに、チーズ成熟工程での浸透性緩衝液の使用は、時間に関して恐 らくあまり効果的でない。所望の程度の塩の風味を達成するためにゴーダチーズ をブライン浴に浸すのに必要な時間の長さを考慮すると、塩濃度の浸透効果はあ まり速くは現れないだろう。チェダーチーズの製造法は、塩の添加工程がより効 率的であるので、恐らくより適しているだろう。しかし、混合工程を必要とする 。 どちらの開示も、lactococcalバクテリオファージ溶解素由来の溶解素の使用 を記載している。これは、バクテリオファージのような望ましくない物質によっ て天然に産生される酵素であることを意味する。なぜならば、酪農の大規模な工 業的発酵法では、バクテリオファージ汚染が大きな問題であるからである。 総説であるR.Young(参考文献A3)は、バクテリオファージ溶解に関する技 術の状態を、機構および調節の両方で概括したものである。特に、第468〜472頁 の「グラム陽性宿主のファージ感染における溶解」の項では、Shearman c.s.( 参考文献18)によって見いだされたDNA配列(このDNA配列は、参考文献 A1にあるものと同じであると思われる)は恐らく誤りであり、それから推測さ れるアミノ酸配列は、読み取り枠のフレームずれを引き起こす突然変異により、 全く異なる可能性があることを示している。特に、pneumococcalファージ関連溶 解素遺伝子のような溶解素遺伝子のDNA配列には、細胞質膜を通り抜ける分泌 をもたらすシグナルペプチドがないと推測される。しかし、このことは、典型的 なN−末端シグナル配列がなく、溶菌酵素がどのように細胞質から脱出し、細胞 壁への通路を獲得するかの疑問が持ち上がる点で当惑させられるものであった。 R.Youngの上記した総説(参考文献A3、特に第469頁の両方の欄にかかるパ ラグラフおよび第472〜473頁のHOLIN FAMILYの項)では、感染細胞の細胞壁に対 するバクテリオファージ溶解素の作用に対してはさらに別のタンパク質が必要で あると論じている。この別のタンパク質は、ムレイン加水分解酵素(これは、バ クテリオファージ溶解素に対する、より科学的な名称である)のムレイン基質へ の通路に対して必要である。その総説では、「holin」がこの別のタンパク質に 対して使用された。その総説では、holinが細胞壁に穴を作ることにより溶解素 の細胞壁通過を可能にし、その結果、溶解素は細胞壁のムレイン部分を加水分解 することができると記載された。本明細書でも、「holin」は、溶解素の、その 基質、すなわち細胞壁のムレイン部分への通過に対して必要なタンパク質または ペプチドを意味する。 Youngらの総説では、Shearmanの配列を再編成し、配列分析の誤りが開始コド ンを不明瞭にしているという仮定の下に、このファージによりコードされるムレ イン加水分解酵素の放出にholinが影響を及ぼすための要件を確立する可能性が 示されると述べている。Youngらはさらに、「我々の分析が、今までのところ何 かを我々に教えたとすると、それは、リゾチーム遺伝子を有するファージはいず れも、holin遺伝子を有するはずであるということである。」と述べている。し かし、この記載は、同じ論文で、holinをコードする配列を有していないと思わ れ るmvlのlys Aクローンが溶菌活性を示すとして説明されている点で、多少矛盾し ている。 Youngらはさらに、holin科とされるものを調べて、holin機能の遺伝的または 生理学的証拠が存在する、一次配列が類似しない8種類のタンパク質を開示して いる。構造および機能に関していくつかの仮定が成されているが、この問題に関 しては、明確なものは何も解決されていないように思われる。彼らは、これらの タンパク質は小さく、疎水性で、酵素機能がなく、猛毒であるので、多数の生化 学者を引きつけるような特徴ではないことを示している。すなわち、この分野は かなり複雑であって、事実上の知見はほとんどなく、推測が多いことが記載され ている。 Ward c.s.(参考文献26)の文献でも、Shearmanら(参考文献18)の配列 は恐らく誤りであることを示唆している。非常に類似したファージ溶解素遺伝子 との比較により、Shearmanら(参考文献18)の配列にフレームずれがないと、 二つのDNA配列を対比できぬことが確認された。さらに、この比較は、真のフ ァージ溶解素が、Shearmanら(参考文献18)の開示よりも恐らく45塩基長い開 放読み枠によってコードされるこ とを示している。 C.PlatteeuwおよびW.M.de Vos(参考文献14)は、Lactococcus lactisバ クテリオファージφUS3の溶菌酵素をコードする遺伝子であるlytAの位置、配列 決定および大腸菌での発現を記載している。広範囲のlactococcal菌株に対して 活性であるφvML3溶解素は、公知溶菌酵素との相同性に欠けていることが記載さ れている。バクテリオファージφUS3は、チーズ製造菌株Lactococcus lactis SK 11(NIZO)に対して特異的なバクテリオファージの研究中に確認された。その結果 、推定される LytAのアミノ酸配列は、Streptococcus pneumoniaの自己溶菌酵 素のものと類似していることが分かり、このことは、バクテリオファージφUS3 がリゾチーム型のムラミダーゼでなくむしろアミダーゼをコードすることを示唆 した。上記は、種々の生物からのDNA配列の単離をめざす当業者が面する困難 性を示している。配列に関する情報の欠如および既知配列間の相同性の欠如のた め、既知配列由来のプローブおよびプライマーを使用しても、種々の生物からho linをコードする正しいDNA配列がうまく単離されそうもない。 EP-A2-O 510 907(参考文献A4)には、食品汚染性もしく は病原性の細菌のバクテリオファージまたはその溶解素を使用して該細菌を殺す ことが記載されている。実施例として、Listeria monocytogenes(ファージφLM 4)およびClostridium tyrobutyricum(ファージφP)のバクテリオファージか らの溶解素が挙げられている。また、細菌汚染に対するテストは、適切なバクテ リオファージまたはその溶解素を使用し、細胞がそれによって溶解されるかどう かを測定することにより、特定の細菌に対して特異的に行なうことができる。そ の欧州特許は、従って、食品汚染性または病原性ですらある細菌のファージから 得られる溶解素の使用を記載しているが、それは、食品用としては望ましくない 。さらに、該溶解素の使用は、以下で説明する本発明の主題とは、それが乳酸菌 の自己溶菌によって得られる食品の風味の改善にあるのではないので、かなり離 れている。 本発明の別の態様は、細胞を溶解することなく乳酸菌の培養物の増殖を阻害す る方法に関する。 乳酸菌の増殖は、いくつかの方法で阻害することができる。 例えば、乳酸菌による通常の発酵(例えば、ヨーグルト製造)では、一定の低 いpHになると、多量の乳酸により発酵が停止 する。増殖は、対数増殖期から定常期に変わり、これは事実上、一種の増殖阻害 である。 別の可能性として、栄養素が不足してくると、いわゆる飢餓状態が生じること が考えられる。なぜならば、細菌の増殖に必要な成分がもはや利用できないから である。これは、それ以上増殖しないことを意味する。 さらに別の可能性として、細胞死を引き起こす高温殺菌または滅菌作用が考え られる。発明の要旨 本発明により、holinはそれ自体、大腸菌のようなグラム陰性菌および乳酸菌 のようなグラム陽性菌に対してすでに静菌作用を有することが分かった。すなわ ち、本発明の第一の態様によれば、請求項1に記載した方法、すなわち、グラム 陽性菌のバクテリオファージ、特に乳酸菌のバクテリオファージから得られ得る holinを、乳酸菌の細胞内でin situ産生することを含み、該holinをコードする 遺伝子は第一調節プロモーターのコントロール下にあり、該第一調節プロモータ ーは、通常は該holin遺伝子と関係なく、該holinは、それがある系によって産生 される細胞に対して静菌作用を示すことができ、それによ り、自己溶菌酵素の自然産生は好ましくは損なわないで、細胞膜に穴をあけるこ とができる、乳酸菌培養物の増殖を阻止する方法を提供する。 本発明の第二の態様によれば、請求項2に記載した方法、すなわち、第一の態 様による方法にさらに、乳酸菌、他の食品等級のグラム陽性菌またはそれらのバ クテリオファージから得られ得る溶解素を乳酸菌の細胞内でin situ産生するこ とを含み、該溶解素をコードする遺伝子は第二調節プロモーターのコントロール 下にあり、それにより、産生した溶解素がグラム陽性菌またはグラム陰性菌、好 ましくは乳酸菌の細胞の溶解を行なう方法を提供する。 好ましくは、第二調節プロモーターは第一調節プロモーターと同じであり(請 求項3)、より好ましくは、holinをコードする遺伝子および溶解素をコードす る遺伝子が、同一オペロンにおいて、同じ調節プロモーターのコントロール下に おかれる(請求項4)。第一もしくは第二プロモーターまたは両方が食品等級成 分またはパラメーターによって調節することができると、食品発酵に有利である (請求項5)。本発明の方法は、乳酸菌培養物そのものに使用できるが、該培養 物を含む製品に使 用することもできる(請求項6)。後者の特定の態様は、乳酸菌培養物を、乳酸 菌の発酵作用によって得られ得る発酵食品の製造に使用し、次いで、その発酵食 品中の乳酸菌を溶解する方法である(請求項7)。該方法の特定の例は、発酵食 品がチーズ製品である(請求項8)。次いで、さらにチーズの成熟工程を行なう と、溶解した細胞を除去した後の構成成分のいくつかにより、チーズ製品の組成 物を変えることができる(請求項9)。 本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様による方法によって得られた溶解 した培養物を殺菌剤として使用する、有害細菌または病原性細菌の除去法に関す る(請求項10)。殺菌剤としての使用法の一つは、商品の可貯蔵期間を改善す る方法であり、本発明の第一または第二の態様による方法によって得られ、遊離 のholinもしくは遊離の溶解素またはその両方を含む物質をある量で該商品に混 入して、得られた商品における有害細菌または病原性細菌の増殖を阻害し、ある いは、それらの生存力を大幅に低下させる方法である(請求項11)。そのよう な商品には、食品、化粧品ならびに繊維、硬質表面および皮膚の洗浄用製品が含 まれる(請求項12)。 該製品の例としては、パンおよびパン改良剤;バター、マーガリンおよびそれ に代わる低カロリー製品;チーズ;ドレッシングおよびマヨネーズ様製品;肉製 品;ペプチド含有食品成分;シャンプー;皮膚用クリームまたはローション;石 鹸および石鹸代用品;粉末または液体洗剤;ならびに調理機器および台所用品の 洗浄剤が挙げられる。 本発明の第四の態様は、ペプチド混合物の変性方法であり、該方法は、(1) 乳酸菌培養物をタンパク質のタンパク質分解によって得られたペプチド混合物と 結合する工程で、該培養物の細胞は、第一調節プロモーターのコントロール下で holinをコードする遺伝子および第二調節プロモーターのコントロール下で溶解 素をコードする遺伝子の両方を含み、第二および第一プロモーターは同じであっ てもよく、第一および第二プロモーターは通常は各遺伝子と関係しない工程、な らびに(2)該プロモーターを誘発してholinおよび溶解素の両方を、乳酸菌の 細胞が溶解され、ペプチダーゼを含む細胞の中身がペプチド混合物の組成物を変 性するような量で産生する工程を含む(請求項13)。細菌の十分な増殖を達成 するために、宿主細胞は、あまり速く溶解してはいけない。好ましくは、溶解が 、対数増 殖期の終わりまたは定常期の始めに生じるようにする。 あるいは、タンパク質のタンパク質分解によって得られたペプチド混合物を、 本発明の第二の態様による方法によって得られた溶菌培養物で処理することを含 む、ペプチド混合物の変形法がある(請求項14)。 タンパク質分解されるべきタンパク質としては、例えば、乳タンパク質もしく は植物性タンパク質、またはその両方が挙げられる(請求項15)。 請求項1〜15に記載の上記方法には、holinが、請求項18〜20のいずれ か一項に記載の核酸配列によってコードされ、および/または請求項21〜24 のいずれか一項に記載の組換えベクターから発現され、および/または請求項2 5〜27のいずれか一項に記載の組換え細胞によって発現されたものも、本発明 の範囲内として含む。さらに、本発明の方法の別の適する態様は、配列番号7の アミノ酸配列を有する、またはそれと機能的に同等である溶解素の誘発性発現に 向けることができる。 乳酸菌などのグラム陽性菌、特にL.lactisまたは該グラム陽性菌由来のバク テリオファージから得られるholinをコード する核酸配列も本発明の範囲内である。そのような核酸配列は、例えば、配列番 号6のアミノ酸配列またはそれと機能的に同等のものをコードする(配列番号5 のヌクレオチド103〜328の核酸配列など)ことができる。本発明に係る核酸配列 はさらに、通常はholinをコードする配列と関係がない第一調節プロモーターで 作動するよう連結することができる。 また、本発明は、いずれかの請求項の核酸配列を含む組換えベクターも含み、 好ましくは、該ベクターが食品等級のものである。さらに、本発明に係る該組換 えベクターは、好適にはさらに、holinおよび乳酸菌などのグラム陽性菌、特にL .lactisまたは該グラム陽性菌由来のバクテリオファージから得られ得る溶解素 の両方である溶解素をコードする核酸配列を含むことができる。本発明に係る組 換えベクターの好ましい態様は、さらに、バクテリオファージの天然の付加/組 込み系を含む。バクテリオファージの天然の付加/組込み系は、バクテリオファ ージ付加部位、ならびにholinおよび所望により溶解素遺伝子の組込みが生じる ように位置したインテグラーゼ遺伝子を含むことができ、該系は、好ましくは、 食品等級の宿主細胞、好ましくは乳酸菌から得られ得るバクテリオファージに由 来す る。本発明の適する組換えベクターは、holinをコードする核酸配列および溶解 素をコードする核酸配列を、食品等級メカニズムによって誘発することができる 食品等級誘発性プロモーターで作動するよう連結して含む。そのようなプロモー ター系としては、例えば、EP94201355に開示され、プラスミドpIR14に存在する 、温度感受性複合誘発性プロモーターが挙げられる。天然のバクテリオファージ 以外の環境にある請求項18〜20のいずれか一項に記載の核酸配列および/ま たは請求項21〜24のいずれか一項に記載の組換えベクターを含む組換え宿主 細胞が請求されている。上記態様の組換え宿主細胞のいずれにおいても、さらに 溶解素をコードする核酸配列を含み、該溶解素が好ましくは乳酸菌などのグラム 陽性菌、特にL.lactisまたは該グラム陽性菌由来のバクテリオファージから得 られ得て、溶解素をコードする該核酸配列が好ましくはその天然のバクテリオフ ァージまたは細菌以外の環境にあるものも好適である。本発明の組換え宿主細胞 は、好ましくは、食品等級宿主細胞、好ましくは乳酸菌である。最も好ましくは 、該宿主細胞が、holinおよび/または溶解素をコードする核酸配列を得たもの と同じ種類のものである。図面の簡単な説明 図1Aは、lytP、lytR、ならびにlytPおよびlytRの結合の増幅に使用したポリ メラーゼ連鎖反応(PCR)の概略を図で示したものである。開放読み枠(ORF)は、斜 線を付けた矢印で示す。増幅プライマー1〜4(lyt1〜lyt4)の配列は表2および 配列表の配列番号1〜4に示す。単位はキロベース(kb)である。 図1Bは、プラスミドの構築を図示する。詳細は、材料および方法の項を参照 。略号:EmR:エリスロマイシン耐性マーカー;AmpR:アンピシリン耐性マーカ ー;CmR:クロラムフェニコール耐性マーカー;Pspac:YansuraおよびHenner(29 )によって構築されたハイブリッド調節領域で、初期SP01プロモーターのRNA ポリメラーゼ認識配列およびlacオペレーターを含む;lacI:Ppen(29)と示され るBacillus licheniformisペニシリナーゼ転写および翻訳シグナルのコントロー ル下にあるlacリプレッサー;P1およびP2:バクテリオファージR1-tのプロモー ターP1およびP2;T:転写終結因子;ori:複製起点;rro:R1-tリプ レッサー遺伝子。 図2は、ORF23およびL.lactis subsp.cremoris c2溶解素(c2)の配列である 。アミノ酸残基が同じ場合は星印で示し、保存変化は点で示す。 図3は、配列番号5で表される、lytPおよびlytRを有するR1-tの1200塩基対D NA断片のヌクレオチド配列である。これから推論される lytPおよびlytRのア ミノ酸配列は、各々、配列番号6および7で示す。推定上のリボソーム結合部位 (RBS)は下線で示す。星印は停止コドンを示す。lytRの下流にあるステム− ループ構造は実線の矢印で示す。 図4は、lytR遺伝子産物の溶菌活性の分析を示す。プラスミドpAG58(レーン 1および2)またはpAG58R(レーン3および4)を有する大腸菌細胞の無細胞抽 出物が、IPTG添加の2時間後に得られた。略号:ni:非誘発;i:誘発。矢 印は、lytR遺伝子産物によって示された溶菌活性の結果としての透明化ゾーンの 位置を示す。 図5Aは、lytP遺伝子産物の推論されるアミノ酸配列(配列番号6)である。 予測されたトランスメンブラン部分は下線で示し、予測されるβ折返し領域はt で示す。荷電アミノ酸残 基は、電荷の符号に応じて+または−で示す。 図5Bは、コンピューター予測に基づく LytPのトポロジーモデルを示す。膜 を貫通しているアミノ酸を示す。 図6Aは、大腸菌MC1000細胞の光学密度に対するlytP、lytR、またはlytPおよ びlytRの結合の発現の効果を示す。pAG58(a)、pAG58R(b)、pAG58P(c)またはpAG5 8PR(d)のいずれかを有する大腸菌の、誘発剤(IPTG)を添加した場合(●) または添加しなかった場合(○)の光学密度測定値を時間の関数として示す。時 間の目盛りは、誘発時(矢印で示す)からの前後の時間である。 図6Bは、誘発の前(左の一群)および誘発の2時間後(右の一群)の、pAG5 8(白)、pAG58R(チェック)、pAG58P(斜線)またはpAG58PR(黒)のいずれか を有する大腸菌細胞1ml当たりコロニー形成単位数を示す。 図7は、L.lactis subsp.cremoris LL302細胞の光学密度に対するlytP、lyt R、またはlytPおよびlytRの結合の誘発発現の効果を示す。各々、pIR12(●)、 pIR1P(△)、pIR1R(▲)またはpIR1PR(□)のいずれかを有する、誘発された L.lactis細胞の光学密度測定値を、増殖の関数とし て示す。pIR1PRを有するL.lactisの光学密度(OD)測定値の、マイトマイシ ンCに曝さなかった場合を(○)で表す。時間の目盛りは、マイトマイシンC( 1μg/ml)による誘発後の時間である。 図8は、pBTS1構築クローン化経路を示す図である。EmR:エリスロマイシン耐 性遺伝子;rro:R1-tリプレツサー遺伝子;po:バクテリオファージR1-t由来の プロモーター(p1/p2)/オペレーター領域;tec:λcroのトポロジー等価物;lyt P:R1-t holin遺伝子;lytR:R1-t溶解素遺伝子;T:prtPの転写集結因子;ORI+ :lactococcalプラスミドpWV01の複製起点;p32:L.lactis のORF32のプロモー ター配列;lacZ:大腸菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子;′intR:5’−切頭R1 -tインテグラーゼ遺伝子;amp:アンピシリン耐性遺伝子。関係する制限酵素部 位のみを示す。 図9は、バクテリオファージR1-tのインテグラーゼ遺伝子が5’−切頭型であ る pUC18Intd構築のクローン化経路を示す図である。intR:R1-tインテグラー ゼ遺伝子;lacZ:大腸菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子;amp:アンピシリン耐 性遺伝子;′intR:5’−切頭R1-tインテグラーゼ遺伝子。関係する制 限酵素部位のみを示す。 図10は、pORI13(32)(□)およびpBTS1(▲)を含むL.lactis LL108の OD600に対するマイトマイシンCの影響を示す図である。培養物の誘発は、時間 0(縦線)に1μg/mlのマイトマイシンCにより行なった。 図11は、R1-tプロファージのゲノムDNAのほとんどを食品等級的に除去し て、鋳型バクテリオファージの誘発性調節領域が、そのプロファージによってコ ードされる溶菌機能のすぐ上流に位置するようにする操作を表す図である。一例 として、インテグラーゼ遺伝子における pBTS1の組込みを示し、第二の組換え は、溶菌機能の領域で生じる。(A):インテグラーゼ領域;(B):調節領域 ;(C)溶菌機能の領域;attR:「右」ファージ−宿主結合;intR:R1-tインテ グラーゼ遺伝子;rro:R1-tリプレツサー遺伝子;tec:λcroのトポロジー等価 物;PROPHAGE:R1-tプロファージのゲノムDNA;lytP:R1-t holin遺伝子;ly tR:R1-t溶解素遺伝子;attL:「左」ファージ−宿主結合;EmR:エリスロマイ シン耐性遺伝子;lacZ:大腸菌のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子;′intR:5’− 切頭R1-tインテグラーゼ遺伝子。プラスミドpBTS1由来の遺伝子 には陰をつけている。プライマーである attBR、R100、attBLおよびR40は、表 4に示す。 図12は、L.lactis R1K10およびMG1363のattB領域を比較した図である。att B部位には陰をつけてある。星印は、同一のヌクレオチドを示す。Lactococcus lactis subsp.cremorisバクテリオファージR1-t溶菌機能によって 仲介されるLactococcus lactisの誘発性溶解 要旨 本研究は、鋳型Lactococcus lactis subsp.cremorisバクテリオファージR1-t の二つの遺伝子である、lytRおよびlytPの、その宿主を溶解する際の関与を記載 する。lytRの遺伝子産物は、Micrococcus lysodeikticusの加圧滅菌した細胞壁 を加水分解したので、溶菌活性を有するとされる。lytPの遺伝子産物は、細胞溶 解の目安としての光学密度を監視する誘発実験によって示されたように、lytRと 共存して、大腸菌での有効なin vivo溶解を得るために必要である。lytRのみの 発現では、大腸菌細胞の十分な溶解は生じなかったが、lytPおよびlytRの同時発 現により、この細菌の溶解が生じた。従って、 lytPは、大腸菌ファージλのSタンパク質と同じ機能、すなわちムレイン基質を 溶解しやすくする機能を有すると考えられる。lytPおよびlytRの両方を、L.lac tisに対する誘発性発現ベクターでサブクローン化した。両遺伝子をL.lactis中 で誘発し、光学密度の減少によって監視すると、細胞の溶解が生じたことが分か った。序論 鋳型バクテリオファージによる宿主細胞の溶解は、少なくとも2つの原理が異 なる機構によって行なわれる(30)。小さい一本鎖DNAファージφX174は、完全 なファージ粒子を宿主の細胞質から環境へ輸送するための通路を形成するタンパ ク質をコードする(4、7、27)。しかし、既知ファージのほとんどは、ムレイン分 解活性を有する酵素をコードする。これらのいわゆる溶解素は、ペプチドグリカ ン層の破壊を生じ、次いで、宿主の溶解およびファージ粒子の放出が生じる。 これまで解析されたグラム陰性菌のバクテリオファージの溶解素は、内膜を通 過するための分泌に必要なシグナル配列に欠ける。効果的な溶解には、溶解素遺 伝子のすぐ上流に位置する遺伝子によってコードされる第二の溶解機能が必要で ある。こ の遺伝子は、いわゆるholinをコードし、これは、細胞膜に穴を形成し、それに よってムレイン基質を溶解素と接触しやすくすると考えられる(30)。 最近まで、グラム陽性菌では、ファージによって仲介される溶解は、ファージ によってコードされる溶解素の作用によってのみ行なわれると考えられた。ファ ージによってコードされる溶解素の膜の通過は、一般的な分泌経路により生じる と考えられた。しかし、この種の輸送に必要なシグナル配列が、確認された多く の溶解素には存在しないという知見から、ムレイン分解活性部分がどのようにし て細胞壁に接近するかという疑問が持ち上がった。現在、これらのファージの多 くは、そのグラム陽性菌宿主の溶解に対する二次機能を必要とするという考えに 対する支持が高まっている。最近、その溶解素遺伝子のすぐ上流に位置する Ba cillus subtillisファージφ29、遺伝子14が、ファージ溶解素の、その基質を含 有する環境への効果的な放出に必要なタンパク質を特定することが分かった(20) 。完全なL.lactis subsp.cremorisバクテリオファージR1-tゲノムの配列分析 により、他のバクテリオファージのいくつかの溶解素と同様の開放読み枠(ORF) の存在が明らかになった。本研究 では、対応する遺伝子(lytRと命名)が実際に、in vitroで細胞壁分解活性を有す るタンパク質をコードすることを示す。 バクテリオファージ R1-t P335型、小さい誘導 lactococcalファージ、 L.lactis subsp.cremoris R1から単離 9,11 Emr、AprおよびCmr は、各々、エリスロマイシン、アンピシリンおよびクロラムフェニコールに対す る耐性を表す。 二つの種特異的誘発性発現系を使用すると、大腸菌(E,coll)およびL,lactisの 有効なin vivo溶解に対して、lytRは、lytRの上流にあるlytPによって特定され る別の遺伝子産物が必要であることが分かる。材料および方法 細菌菌株、ファージ、プラスミドおよび培地 本研究で使用した細菌菌株、ファージおよびプラスミドを表1に示す。 大腸菌は、TY培養基(17)中または1.5%の寒天で固化したTY培養基上で増殖させ た。L.lactisは、グルコースM17培養基(21)中またはグルコースM17寒天上で増 殖させた。エリスロマイシンは、大腸菌およびL.lactisに対して、各々、100μ g/mlおよび5μg/mlを使用した。大腸菌に対しては、アンピシリンおよびクロラ ムフェニコールを、各々、100μg/mlおよび5μg/mlの濃度で使用した。DNA技法 プラスミドDNAを、本質的にBirnboimおよびDolyの方法(1)によって単離し た。制限酵素、クレノウ酵素、T4DNAリガーゼおよびT4 DNAポリメラーゼ は、Boehringer GmbH(Mannheim,Germany)から入手し、使用説明書に従って使用した。合成オリ ゴヌクレオチドは、Applied Biosystems 381A DNA合成装置(Applied Biosyst ems Inc.,Foster City,Calif.)を使用して合成した。PCR反応は、Ventポリ メラーゼ(New England Biolabs Inc.,Beverly,MA)を使用して行なった。サン プルを2分間94℃に加熱した後、標的DNAを、94℃1分、50℃2分、73℃1分 の条件下、25サイクルで増幅した。増幅に使用したプライマーは、表2および配 列表の配列番号1〜4に示す。大腸菌を宿主として使用して組換えプラスミドを 得た。大腸菌の形質転換は、MandelおよびHigaの方法(12)によって行なった。プ ラスミドは、複製が有効になるように細胞質上にpWV01 repA遺伝子のコピーを含 むL.lactis subsp.cremoris LL302に、電気穿孔法(23)によって導入した。D NAおよびタンパク質配列の分析は、Stadenによって開発されたプログラム(19) を使用して行なった。lytPタンパク質の分析は、PC/Geneプログラム(version 6 .7;IntelliGenetics,Inc.,Geneva,Switzerland)で解析し、膜通過ドメイン 探査プログラムSOAPまたはβターン探査プログラムBETATURNを使用して行なった 。 IPTGおよびマイトマイシンC誘発 一夜培養した培養物を、新しいグルコースM17培地(L.lactis)または0.5%のグ ルコースを補充したTY培地(大腸菌)で100倍に希釈し、培養物のOD600が0.3に 達するまで増殖させ、その時点で、イソプロピル−β−D−チオールガラクトピ ラノシド(IPTG)またはマイトマイシンC(Sigma Chemical Co.,St.Louis ,MO.)を添加して、最終濃度を各々5mMまたは1μg/mlとした。大腸菌細胞は、I PTGを添加する前に、遠心分離によって集め、等量のTY培地(グルコースは添 加しない)に再懸濁した。溶菌活性測定法 溶菌活性の測定は、本質的にはPotvinら(15)の記載によって行い、小変更をBu istら(2)の報告にあるようにいくつか行なった。プラスミドの構築 lytPおよびlytRを含むR1-tゲノム断片を、PCR反応を使用して増幅した。ly tPおよびlytRの両方を含むR1-tゲノムの4.1-kb XbaI/NheI断片をpUC18のユニー クなXbaI部位でサブクローン化すると、プラスミドpXNBが得られた。pXNBを鋳型 として使用し、プライマーの3種類の組み合わせ(lyt1−lyt2、lyt3−lyt4、お よびlyt1−lyt4;図1A参照)により増幅すると、各々、lytP、lytRまたはlytP およびlytRの結合を有する3種類のDNA断片が得られた。SphIおよびHindIII による消化の後、これら3種類のPCR産物をHindIIIおよびSphIで切断したpAG 58でサブクローン化し、IPTG誘発性Pspacプロモーターのコントロール下で 各々、lytP、lytR、ならびにlytPおよびlytRの結合を有するプラスミドpAG58P、 pAG58R、およびpAG58PRを得た(図1B)。L.lactisでの溶解の研究は、プラス ミドpAG58P、pAG58R、 およびpAG58PRをまず、SphIおよびSalIで切断した。次いで、lytP、lytRならび にlytPおよびlytRの結合を有するDNA断片を、SphI/SalIで切断したpUC18で サブクローン化した。これら3個の構築物(pUC18P、pUC18RおよびpUC18PRと命 名)のHindII/HindIII断片をpIR12のNruIおよびHindIII部位でクローン化すると 、R1-tプロモーター−オペレーター領域の転写コントロール下で、各々、lytP、 lytR、ならびにlytPおよびlytRの両方を含むプラスミドpIR1P、pIR1RおよびpIR1 PRが得られた(図1B)。これらのプラスミドは、pWV01由来のプラスミドの複 製を有効にするために細胞質上にpWV01 repA遺伝子のコピーを含むL.lactis su bsp.cremoris LL302に対して形質転換された。 プラスミドpIR12の構築は、同日に、「溶解素による乳酸菌培養物の溶菌法お よび得られる溶菌培養物の用途」と題して出願した、共に審査中のEP-94201353. 3に記載した(該明細書は参考文献として本明細書に添付する。)。結果 R1-t溶菌機能のクローン化および配列分析 鋳型L.lactis subsp.cremorisファージR1-tの溶原サ イクルから溶菌サイクルへの変換は、ファージによってコードされる溶菌機能に より引き起こされる宿主細胞の溶解をもたらし、次いで、ファージ粒子が放出さ れる。R1-tのDNA配列を調べると、計算による分子量が30,214 Daである270個 のアミノ酸のタンパク質を特定するORF 23が、L.lactisバクテリオファージc2 (配列番号8)およびφML3(26,18)の溶解素遺伝子とかなり類似していること が分かった。ORF 23の推論されるアミノ酸配列とc2溶解素との類似性を図2に示 す。さらに、ORF 23は、Streptococcus pneumoniaeバクテリオファージHB-3のア ミダーゼHb1(16)およびS.pneumoniae LytA自己溶菌酵素(5)のN−末端タンパク 質のアミノ酸配列に類似したアミノ酸配列を有する。従って、ORF 23(以降、ly tRと言う(図3)(配列番号7))は、ファージによってコードされる溶解素遺 伝子である可能性がある。このことは、先に引用したYoungの文献から明らかな ように、予想できなかったことである。 この推測をテストするために、lytRをIPTG誘発性発現ベクターに入れてク ローン化すると、pAG58Rが得られた(図1B)。pAG58Rを含む大腸菌細胞の無細 胞抽出物の溶菌活性を、 Micrococcus lysodeikticusの加圧滅菌した細胞壁を共重合させて、SDS−ポ リアクリルアミドゲルで測定した。細胞壁含有ゲルをメチレンブルーで染色した 後、挿入した細胞壁の破壊による溶菌タンパク質に対応する位置に透明化ゾーン 出現が予想される。図4に示すように、pAG58を含む大腸菌細胞の無細胞抽出物 では、lytRによってコードされるタンパク質の予想分子量を有するタンパク質に 対応する位置に透明化ゾーンは存在しなかった。しかし、pAG58Rを含む細胞の無 細胞抽出物は、予想した位置に透明化ゾーンを生じた。未誘発細胞の無細胞抽出 物は、lytR遺伝子の発現が少なく、弱い透明化ゾーンが得られた。誘発したpAG5 8R含有細胞の無細胞抽出物は広い透明化ゾーンを示し、誘発の2時間後に得られ た抽出物では非常に大きくなった。 von Heijneの規則(25)によれば、lytRは、分泌輸送系により分泌されたタンパ ク質に対して特異的なシグナル配列は含んでいないと思われる。このシグナル配 列の見かけ上の欠如は、グラム陰性菌およびグラム陽性菌両方の他のバクテリオ ファージの溶解素においても認められている。宿主細胞が溶解してこれらのファ ージを発生するためには、細胞質膜に穴を形成して、 宿主細胞のペプチドグリカン層が溶解素の作用を受けやすくなるようにするタン パク質が必要である(30)。lytRの上流に位置するORF22は、7,688Daの予想分子量 を有する75個のアミノ酸のタンパク質を同定する(配列番号6)。その予想され るアミノ酸配列は、他のファージで穴形成性推定タンパク質とは類似性を示さな いけれども、ORF22のタンパク質産物(以降、lytPと言う)をコンピューター解 析すると、これらのタンパク質との構造上の類似性が予測された。コンピュータ ー解析すると、lytPとされるタンパク質は、βターン立体配置をとる可能性が高 い配列を介する、一対のトランスメンブランドメインを含む確率が高いことが分 かった(図5)。さらに、帯電したC末端を含み、かなり疎水的である。従って 、このタンパク質は、R1-tによってコードされるlytRが細胞質膜を通り抜けて放 出されるのに必要な穴形成タンパク質として機能すると考えられる。大腸菌での溶菌にはlytPおよびlytRが必要である。 lytPおよびlytR遺伝子産物が宿主細胞の溶解に関与するかどうかを調べるため に、lytP、 lytR、ならびにlytPおよびlytRの結合を誘発性発現ベクターpAG58で サブクローン化し、 各々、pAG58P、pAG58RおよびpAG58PRを得た(図1B)。これらのプラスミドを 有する大腸菌MC1000を用いて誘発試験を行い、細胞の光学密度に対するクローン 化遺伝子の発現の影響を調べた(図6A)。lytR発現の誘発は、光学密度測定に よって示されるように、pAG58Rを含む大腸菌細胞の溶解を引き起こさなかった。 しかし、lytP発現の誘発は、ほとんどすぐに、pAG58P含有細胞の光学密度の増加 を停止した。大腸菌でのlytPおよびlytRの両方の発現は溶菌を招いた。IPTG をpAG58PR含有細胞に添加するとほとんどすぐに溶菌が起こった。これは、光学 密度の減少によって示され、未誘発の対照と比較してコロニー形成単位(CFU )の劇的な減少と関連した(図6B)。pAG58を有する細胞とpAG58Rを有する細 胞との間のCFUの相違はあまり認められなかった。しかし、lytPの誘発は、pA G58P含有細胞の生存力にかなり影響を及ぼした。CFUの数は、2時間内に200 倍以上低下した。Lactococcus lactisでのlytPおよびlytRの発現 L.lactis細胞の光学密度に対するlytP、lytRまたはlytPおよびlytRの結合の 発現の影響を調べるために、プラスミドpIR1P、pIR1R、およびpIR1PRを構築した (図1B)。 これらのプラスミドにおけるlytP、lytRならびにlytPおよびlytRの両方の転写は 、その同族オペレーター領域の他にR1-tのリプレッサー(rro)を特定する遺伝子 を組み入れる、ファージR1-tの調節領域によってコントロールされる(図1B参 照)。発現は、DNAを害する物質であるマイトマイシンCの添加によって誘発 した。誘発試験は、上記プラスミドを有するL.lactis subsp.cremoris LL302 細胞に対して行なった。図7は、pIR12を有するL.lactis細胞にマイトマイシン Cを添加すると、pIR1P含有L.lactis細胞と同様に光学密度の増加が遅くなるこ とを示す。マイトマイシンCを、遺伝的に修飾されていないlactococciに添加す ると、細胞のごく一部の溶解を引き起こした(結果は示していない)。lytRの発 現ならびにlytPおよびlytRの同時発現は、マイトマイシンCが添加したpIR12含 有細胞と比較して、光学密度の減少を招いた。これは、細胞の溶解を示す。考察 本発明者らは、最近、鋳型L.lactis subsp.cremorisバクテリオファージR1- tのヌクレオチド配列を決定した。推論されるアミノ酸配列と種々の(自己)溶 菌酵素との類似性に基づ いて、ORF23(lytRと命名)がそのファージによってコードされる溶解素を同定 すると仮定した。lytR遺伝子産物は、270個のアミノ酸から成り、推定分子量が3 0,214Daである。lytRを発現する大腸菌細胞の無細胞抽出物を分析することによ り、lytRが実際に溶菌活性を有するタンパク質を同定することが分かった。 lytRの類似性は、主に、lactococcalバクテリオファージc2およびφvML3の溶 解素のC−末端部分に限られ、lytRのN−末端部分は、S.pneumoniae LytA自己 溶菌酵素のN−末端部分のアミノ酸配列に類似している。LytAは、二つの機能性 モジュール、すなわち、ムレイン基質に対する結合部位を特定するC−末端ドメ インおよび酵素の特異性を決定するN−末端ドメインから成ることが提案されて いる(16)。LytAはN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ(6)である ので、lytRもN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼであると推測さ れる。 見かけ上シグナルペプチドがないため、lytRは、ファージによってコードされ る他の多くの溶解素と同様、細胞壁に接近するための別の因子が必要であるとい う仮説を立てた。lytRのす ぐ上流に位置するORF22(lytPと命名)は、いわゆるholinの特徴を有する75個の アミノ酸のタンパク質を同定する。holinは、他のファージの場合、ムレイン基 質が、シグナルペプチドのない溶解素の影響を受けやすくなるようにすることが 分かっている(30)。 この仮説は、大腸菌の有効なin vivoの溶解には、実際、lytPの発現が必要で あるという観察によって実証された。事実、lytR発現の誘発は、大腸菌の溶解を 生じなかった。しかし、lytRの他にlytPも発現させると、大腸菌は溶解した。こ れらの結果から、内膜をlytRが通過するのは、lytP遺伝子産物に依存する。lytP のみの誘発は、ほとんど直ちに光学密度の増加を止め、誘発細胞の生存力に劇的 な影響を及ぼした。これは、恐らく、内膜の非特異的な傷害およびそれによる膜 ポテンシャルの消散を含む、タンパク質の脂質二重層への自然挿入によって引き 起こされる(20)。恐らく、lytPは、細胞質膜に穴を形成し、こうして、lytRの細 胞壁への接近を可能にする。 最近、本発明者らの研究室で、Lactococciに対する誘発性発現系が開発され、 L.lactisでのlytP、lytRならびにlytP およびlytRの結合の発現の影響を調べることが可能になった。L.lactisでのlyt PおよびlytRの結合の発現の結果、細胞の溶解が生じた。大腸菌とは対照的に、l ytRのみの発現でも溶解が認められた。lytRだけを発現する細胞の溶解は、恐ら く、マイトマイシンCおよびlytRの結合効果により引き起こされる。マイトマイ シンCは、細胞の小部分を溶解するので(結果は示さない)、lytRが培地に広が り、こうして、外部から細胞壁に作用し、大腸菌の場合のように溶菌作用を及ぼ すためのlytPに対する別の要件は遮蔽される。 グラム陰性菌およびグラム陽性菌の両方のバクテリオファージの場合、ムレイ ン加水分解酵素および該加水分解酵素がそのムレイン基質に接近するために必要 な第二のタンパク質に基づく系が溶菌法における一般的な現象であると考えられ る。最近、B.subtilisファージφ29によってコードされる溶解素の他に、大腸 菌の有効な溶解も遺伝子14産物を必要とすることが分かった。また、いくつかの lactococcalバクテリオファージは、宿主細胞の溶解に必要なさらに別の因子を コードすると考えられる。構造上の類似性に基づいて、バクテリオファージc2お よびφvML3はholinをコードすると仮定された(26,30)。L.lactis SK11(14)か ら単離したビルレントバクテリオファージφU53のORF2の推論されるアミノ酸配 列も、holinの特徴的な構造特性を共有し、それは、恐らく、そのファージによ ってコードされる溶解素lytAの翻訳に関与すると考えられる。しかし、本報告は 、Lactococcusで特定されるholinがファージによって誘発される溶菌に必要であ ることを初めて証明するものである。鋳型Lactococcus lactis subsp.cremorisバクテリオファージR1-tの調節領域お よび溶解機能を使用する、食品等級の熱誘発性溶菌系の開発 序論 この系は、鋳型lactococcalバクテリオファージのゲノムDNAのほとんどを 食品等級的に除去して、その鋳型バクテリオファージの誘発性調節領域がそのプ ロファージによってコードされる溶菌機能のすぐ上流に位置するようにすること に基づく。同様の遺伝子構造を有するプロファージに対するこの方法の一般的応 用の例として、バクテリオファージR1-tを取り上 げた。所望の欠失を得るために、プラスミドpBTS1を構築した(図8)。将来は 、rroをrroTSで置き換えられて熱誘発性としたpBTS2を構築する予定である。実験方法 細菌菌株、ファージ、プラスミドおよび培地 この系で使用した細菌菌株、ファージおよびプラスミドを表3に示す。大腸菌 JM101は、激しく攪拌しながらTY培養基(17)中、またはTY寒天上、37℃で増 殖した。必要な場合は、アンピシリン、イソプロピル−β−D−チオガラクトピ ラノシド(IPTG)および5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルβ−ガラ クトピラノシド(X−ガル)(全て、Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO.)製 )を、各々、100μg/ml、1mMおよび0.002%(重量/体積)の濃度で使用した。L .lactis subsp.cremorisは、M17培養基(21)中、またはM17寒天上、0.5%の グルコースまたはラクトースを補充して、30℃で増殖した。適切な場合、エリス ロマイシン(Boehringer Mannheim,GmbH,Germany)およびX−ガルを、各々5 μg/mlおよび0.004%(重量/体積)の濃度で使用した。一般的DNA技法および形質転換 一般的DNA技法は、Sambrookら(40)の記載に従って行なった。プラスミドD NAの単離は、BirnboimおよびDoly(1)の方法により、QIAGEN Midi-Plasmid単離 カラム(Qiagen Inc.,Chatsworth,CA.)を使用して行なった。制限酵素、アル カリ性ホスファターゼおよびT4 DNAリガーゼは、Boehringer Mannheimから入 手し、使用説明書に従って使用した。大腸菌の形質転換は、MandelおよびHiga(1 2)の記載に従って行なった。L.lactis LL108の形質転換は、Gene Pulser(Bio-R ad Laboratories,Richmond,CA.)を使用する電気穿孔法によって、HoloおよびN es(31)の記載に、LeenhoutsおよびVenema(32)の示唆による改良を加えて行なっ た。L.lactis R1、R131およびR1K10の電気穿孔法は、van der Lelieら(41)の記 載に従って行なった。オリゴヌクレオチドは、Applied Biosystems 381A DNA合 成装置(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)を使用して合成した。P CR反応は、Ventポリメラーゼ(New England Biolabs,Inc.,Beverly,MA.)を 使用して行なった。サンプルを2分間94℃に加熱した後、標的DNAを、94℃で 1分、50℃で2分、73℃で3分の条件下、30 サイクルで増幅した。PCR断片を、QIAEX DNAゲル抽出キット(Qiagen Inc. )を使用して精製した。R1-tファージ粒子およびDNAの単離 L.lactis R1を一夜培養し、500mlの新しいラクトースM17培地で100倍に希釈 して、培養物のOD600が0.8に達するまで増殖させ、その時点で、マイトマイシン C(Sigma)を2.5μg/mlの最終濃度まで添加した。インキュベーションを30℃、 暗所で、溶菌が生じるまで続けた。細胞破片を、6000rpmで10分間、遠心分離す ることにより除去した。ファージ粒子は、NaCl(0.5M)およびポリエチレング リコール6000(10%〔重量/体積〕)とともに、氷上で3時間インキュベートす ることにより沈殿させ、Sambrookら(40)に記載のCsCl勾配法により精製した 。バクテリオファージR1-t懸濁物を、150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナト リウムに対して数回透析した。その懸濁物をフェノールで2回抽出することによ りファージDNAを得た。次いで、DNA溶液を、10mMのトリス−HCl/1mM のEDTA(pH8.0)に対して透析した。attB−部位の配列分析 バクテリオファージR1-t溶原菌L.lactis R1の結合部位attLおよびattRは、Ve nt(exo-)DNAポリメラーゼを有するCircumVent熱サイクルジデオキシDNA配 列分析キット(Biolabs,New England)を使用して、サイクル配列分析により決 定した。隣にXbaIおよびPstI部位を有するプライマーattBLおよびattBR(表4) を使用して、L.lactis MG1363のattB部位をクローン化した。attBLおよびattBR によって得た272-bpのPCR断片をXbaIおよびPstIで切断し、pUC18のXbaI/PstI 部位でクローン化し、ジデオキシ−チェインターミネーター法(39)およびT7 配列分析キット(Pharmacia AB,Uppsala,Sweden)を使用して配列分析を行な った。ファージ力価測定 L.Lactis R131から得た上清を、1mMのMgSO4で希釈した。指示菌株L.lac tis R1K10を、OD600が0.7になるまでGM17で増殖させた。2mlの培養物を遠心分 離し、細胞を2mlの1mM MgSO4に再懸濁した。希釈した100μlのファージ 粒子を200μlの細胞に添加した。室温で20分インキュベートした後、3mlのTop 寒天(0.7%のGM17寒天、0.25%の グリシン、10mM のCaCl2)を添加して混合し、グリシン(0.25%)およびC aCl2(10mM)を含むGM17寒天−プレート(1.5%)に集めた。そのプレートを 30℃で一夜インキュベートし、プラーク数を求めた。L.Lactis R1K10の再溶原化 L.lactis R1K10にR1-tファージ粒子を感染させた後、濁りプラークを拾い出 し、プロファージのUV誘発を付与する能力をテストする。対数増殖期の培養物 の細胞を遠心分離して1mlの1mM MgSO4に再懸濁し、Mineralight U.V.ラ ンプ(UVG-54型、254nm、3.2 Jm-2s-1: Ultra-violet Products Inc.)で10秒間 照射した後、1mlのGM17+10mMCaCl2を2回添加する。溶菌が生じるまで培 養物を30℃でインキュベートする。マイトマイシンC誘発 L.lactisを一夜培養し、新しいグルコースM17培地で100倍に希釈し、OD600が 0.3になるまで増殖させ、その時点で、マイトマイシンCを1μg/mlの最終濃度 まで添加した。プラスミドの構築 pIR1PRの2864-bp EcoRI/SphI断片を、EcoRIおよびSphI で切断したpORI280に入れてサブクローン化することにより、プラスミドpORIR1P RをL.lactis中に構築した(図8)。相同性分析により、R1-tゲノムのORF25は 、バクテリオファージphi LC3の(34)のインテグラーゼ遺伝子と98%同一であるこ とが分かり、従って、intRと命名した。intR領域を、PCR法ならびにプライマ ーint1およびint2(表4)を使用して、隣のSacIおよびXbaI部位とともに増幅さ せた。得られた1326-bpのPCR断片をSacIおよびXbaIで消化し、pUC18のSacI/X baI部位に入れてクローン化することにより、プラスミドpUC18Intを構築した。 5’−切頭intRを含むpUC18Intの1047-bp HindII断片を、pUC18のアルカリ性ホ スファターゼ処理したSmaI部位に入れてサブクローン化した。得られたプラスミ ドpUC18IntdおよびpUC18Intは両方共、大腸菌JM101中に構築した(図9)。この 5’−切頭intRを、EcoRIおよびBamHIによりpUC18Intdから切り出し、pORIR1PR のEcoRIおよびBamHI部位に入れてサブクローン化すると、pBTS1が得られた(図 8)。後者の構築は、L.lactis LL108中で行なった。 将来、この温度誘発性リプレッサーが入手できれば、rroを rroTSで置き換える。これは、pBTS1の946-bp NcoI-EcoRI断片をrroTSを含む対応 する断片で置き換えることにより行なわれる。この結果、pBTS2が得られる。Cen traal Bureau voor Schimmelcultures(Baarn、オランダ)に寄託されているプ ラスミドpIR14は、そのような温度感受性rroを含む。詳細は、欧州特許出願9420 1355.8に記載されている。結果 プラスミドpBTS1をL.lactis LL108に導入した。図10に見ることができるよ うに、pBTS1は、マイトマイシンC誘発の後も誘発性溶菌を生じることができる 。 最初の考えは、pBTS1をL.lactis R1に導入することであった。pBTS1は、L.l actisで複製することができないので(プラスミド複製タンパク質RepAのための 遺伝子を欠く)、選択的条件下では、R1の染色体に融合する。融合は、3つの相 同領域、すなわち、intR領域(A)、調節領域(B)または溶菌機能領域(C)のいずれ かで生じる(図11)。適切なプライマーの組み合わせにより、融合の場所を消 すことができる(表5および図11)。領域AまたはCにおける最初の組換え工 程の後、各々、領域CまたはAでの二次組換え工程によって、所望の機 能を除き、菌株R1の染色体からプロファージ全体およびプラスミドが削除される 。これら二つの組換え工程は、L.lactisの染色体の十分特定された安定な場所 にある一複製状態で、溶菌機能をR1-tの調節領域の直接のコントロール下におく 。組込みが領域B(調節領域)で起こる場合、二次組換え工程により、intRおよ びrroが、各々、5’−切頭intRおよびrroTS(今後の研究)で置き換えられるこ とはないだろう。intRの触媒作用による切り出しを防ぐために、インテグラーゼ の欠失が必要とされる。 L.lactis R1の形質転換効率が極めて低いので(1形質転換体/μg pVE6007未 満)、その天然のプラスミドの菌株の保蔵処理を試みた。L.lactis R1をグルコ ース上で増殖し、37℃でインキュベートすることにより、約50kbおよび2kbの二 つのプラスミドの保蔵処理に成功した。得られた菌株L.lactis R131は、なおも R1-tプロファージを含むことがUV−誘発によって分かった。 これまで、pBTS1のL.lactis R131への導入は成功していない。プロファージ は、電気穿孔法の後に誘発されると考えられる。これは、回収培地中のMgCl2 およびCaCl2の存 在とともに、細胞を溶解させる(表6)。 従って、最近、二つの付加的手法によってpBTS1組込み体を得ることを試みて いる。最初に、pBTS1およびpVE6007を共にL.lactis R1K10に導入する。pVE6007 は、pBTS1を複製することができる温度感受性RepAタンパク質をコードする。得 られる二重形質転換体をファージR1-tで再溶原化した後、温度を37℃に上げると 、pBTS1が染色体に組み込まれる。「食品等級的」誘発性溶菌系を得るための第 二の方法は、pBTS1およびpVE6007を共にL.lactis MG1363に導入することである 。この菌株のattB領域の配列分析を行なうと、L.lactis R1K10のattB領域との 相同性が99%であることが分かった(図12)。L.lactis MG1363はそのcos部位 で連結したR1-t DNAによって形質転換される。R1-t染色体がMG1363の結合部 位にintR触媒作用により組込まれた後(図12)、温度を37℃に上げると、pBTS 1を組み込むことができる。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1996年7月12日 【補正内容】 請求の範囲 1.グラム陽性乳酸菌のバクテリオファージから得られ得るholinを乳酸菌の細 胞内でin situ産生することを含み、該holinをコードする遺伝子は第一調節プロ モーターのコントロール下にあり、該第一調節プロモーターは、通常は該holin 遺伝子と関係なく、該holinは、それがある系によって産生される細胞に対して 静菌作用を示すことができ、それにより、自己溶菌酵素の自然産生は好ましくは 損なわないで、細胞膜に穴をあけることができる、乳酸菌培養物の増殖を阻止す る方法。 2.さらに、グラム陽性菌またはそれらのバクテリオファージから得られ得る溶 解素を乳酸菌の細胞内でin situ産生することを含み、該溶解素をコードする遺 伝子は第二調節プロモーターのコントロール下にあり、該第二調節プロモーター は、通常は該溶解素遺伝子と関係なく、それにより、産生した溶解素が乳酸菌の 細胞の溶解を行なう、請求項1に記載の方法。 3.グラム陽性菌が乳酸菌である、請求項2に記載の方法。 4.第二調節プロモーターが第一調節プロモーターと同じである、請求項2また は3に記載の方法。 5.holinをコードする遺伝子および溶解素をコードする遺伝子が、一つのオペ ロンにおいて、同じ調節プロモーターのコントロール下におかれる、請求項4に 記載の方法。 6.第一もしくは第二プロモーターまたは両方が食品等級成分またはパラメータ ーによって規制される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 7.乳酸菌培養物が、該培養物を含む製品の一部である、請求項1〜3のいずれ か一項に記載の方法。 8.乳酸菌培養物を、乳酸菌の発酵作用によって得られる発酵食品の製造に使用 し、次いで、その発酵食品中の乳酸菌を溶菌する、請求項7に記載の方法。 9.発酵食品がチーズ製品である、請求項8に記載の方法。 10.さらにチーズの成熟工程を行ない、溶菌した細胞を除去した後の構成成分 のいくつかにより、チーズ製品の組成物を変える、請求項9に記載の方法。 11.請求項2または3に記載の方法によって得られた溶菌培養物を殺菌剤とし て使用する、有害細菌または病原性細菌の除去法。 12.商品の貯蔵期間を改善する方法であって、請求項1〜3 のいずれか一項に記載の方法によって得られ、遊離のholinもしくは遊離の溶解 素またはその両方を含む物質を、ある量で該商品に混入して、得られる商品にお ける有害細菌または病原性細菌の増殖を阻害し、あるいは、それらの生存力を著 しく低下させる方法。 13.商品が、食品、化粧品ならびに繊維、硬質表面および皮膚の洗浄用製品か ら成る群から選択される、請求項12に記載の方法。 14.ペプチド混合物の変性方法であり、該方法が、(1)乳酸菌培養物をタン パク質のタンパク質分解によって得られたペプチド混合物と結合する工程で、該 培養物の細胞は、第一調節プロモーターのコントロール下でholinをコードする 遺伝子および第二調節プロモーターのコントロール下で溶解素をコードする遺伝 子の両方を含み、第二および第一プロモーターは同じであってもよく、第二およ び第一プロモーターは通常は各遺伝子と関係しない工程、ならびに(2)プロモ ーターを誘発してholinおよび溶解素の両方を、乳酸菌の細胞が溶菌され、ペプ チドを含む細胞の中身がペプチド混合物の組成物を変性するような量で産生する 工程を含む方法。 15.タンパク質のタンパク質分解によって得られたペプチド混合物を、請求項 2または3に記載の方法によって得られる溶菌培養物で処理することを含む、ペ プチド混合物の変性法。 16.タンパク質が、乳タンパク質もしくは植物タンパク質、またはその両方を 含む、請求項14または15に記載の方法。 17.holinが、請求項19〜22のいずれか一項に記載の核酸配列によってコ ードされ、および/または請求項23〜31のいずれか一項に記載の組換えベク ターから発現され、および/または請求項32〜40のいずれか一項に記載の組 換え細胞によって発現される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。 18.溶解素が配列番号7のアミノ酸配列を有するか、またはそれと機能的に均 等である、請求項2〜17のいずれか一項に記載の方法。 19.グラム陽性乳酸菌または該グラム陽性菌由来のバクテリオファージから得 られるholinをコードする核酸配列。 20.乳酸菌がL.lactisである、請求項19に記載の核酸配列。 21.配列番号6のアミノ酸配列をコードする請求項19また は20に記載の核酸配列またはそれと機能的に均等のもの(配列番号5のヌクレ オチド103〜328の核酸配列など)。 22.さらに、通常はholinをコードする配列と関係がない第一調節プロモータ ーに作動可能に連結した、請求項19〜21のいずれか一項に記載の核酸配列。 23.請求項19〜22のいずれか一項の核酸配列を含む組換えベクターであっ て、好ましくは、該ベクターがさらに食品等級のものである組換えベクター。 24.さらに溶解素をコードする核酸配列を含み、holinはグラム陽性乳酸菌か ら得られ得、溶解素はグラム陽性菌から得られ得るか、あるいは、holinはグラ ム陽性乳酸菌のバクテリオファージから得られ得、溶解素はグラム陽性菌のバク テリオファージから得られ得る、請求項23に記載の組換えベクター。 25.グラム陽性菌が乳酸菌である、請求項24に記載の組換えベクター。 26.乳酸菌がL.lactisである、請求項25に記載の組換えベクター。 27.さらに、バクテリオファージの天然の結合/組込み系を含み、該系が、例 えば、バクテリオファージ結合部位、ならび にholinおよび所望により溶解素遺伝子の組込みが生じるように位置したインテ グラーゼ遺伝子を含む、請求項23〜26のいずれか一項に記載の組換えベクタ ー。 28.該系が、食品等級の宿主細胞から得られ得るバクテリオファージに由来す る、請求項27に記載の組換えベクター。 29.食品等級の細菌が乳酸菌である、請求項28に記載の組換えベクター。 30.holinをコードする核酸配列および溶解素をコードする核酸配列が、食品 等級メカニズムによって誘発することができる食品等級誘発性プロモーターに作 動可能に連結している、請求項23〜29のいずれか一項に記載の組換えベクタ ー。 31.誘発性プロモーターが温度感受性複合誘発性プロモーターである、請求項 30に記載の組換えベクター。 32.その天然のバクテリオファージ以外の環境にある請求項19〜22のいず れか一項に記載の核酸配列および/または請求項23〜31のいずれか一項に記 載の組換えベクターを含む組換え宿主細胞。 33.さらに溶解素をコードする核酸配列を含む、請求項32に記載の組換え宿 主細胞。 34.溶解素をコードする該核酸配列が、その天然のバクテリオファージまたは 細菌以外の環境にある、請求項33に記載の組換え宿主細胞。 35.該溶解素がグラム陽性菌または該グラム陽性菌由来のバクテリオファージ から得られ得る、請求項33または34に記載の組換え宿主細胞。 36.グラム陽性菌が乳酸菌である、請求項35に記載の組換え宿主細胞。 37.乳酸菌がL.lactisである、請求項36に記載の組換え宿主細胞。 38.食品等級宿主細胞である、請求項32〜37のいずれか一項に記載の組換 え宿主細胞。 39.食品等級宿主細胞が乳酸菌である、請求項38に記載の組換え宿主細胞。 40.宿主細胞が、holinおよび/または溶解素をコードする核酸配列が得られ るのと同じ種類のものである、請求項38または39に記載の組換え宿主細胞。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12R 1:92) (C12N 1/21 C12R 1:225) (C12N 9/14 C12R 1:225) (72)発明者 コク,ヤン オランダ国、エヌ・エル−9714・ハー・エ ル・フロニンゲン、フアン・ハメルストラ ート・34 (72)発明者 レデブール,アート・エム オランダ国、エヌ・エル−3955・エヌ・エ ル・ロツテルダム、モンテイニープレイ ン・8

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.グラム陽性菌のバクテリオファージ、特に乳酸菌のバクテリオファージから 得られ得るholinを乳酸菌の細胞内でin situ産生することを含み、該holinをコ ードする遺伝子は第一調節プロモーターのコントロール下にあり、該第一調節プ ロモーターは、通常は該holin遺伝子と関係なく、該holinは、それがある系によ って産生される細胞に対して静菌作用を示すことができ、それにより、自己溶菌 酵素の自然産生は好ましくは損なわないで、細胞膜に穴をあけることができる、 乳酸菌培養物の増殖を阻止する方法。 2.さらに、グラム陽性菌、好ましくは乳酸菌またはそれらのバクテリオファー ジから得られ得る溶解素を乳酸菌の細胞内でin situ産生することを含み、該溶 解素をコードする遺伝子は第二調節プロモーターのコントロール下にあり、該第 二調節プロモーターは、通常は該溶解素遺伝子と関係なく、それにより、産生し た溶解素が乳酸菌の細胞の溶解を行なう、請求項1に記載の方法。 3.第二調節プロモーターが第一調節プロモーターと同じであ る、請求項2に記載の方法。 4.holinをコードする遺伝子および溶解素をコードする遺伝子が、一つのオペ ロンにおいて、同じ調節プロモーターのコントロール下におかれる、請求項3に 記載の方法。 5.第一もしくは第二プロモーターまたは両方が食品等級成分またはパラメータ ーによって規制される、請求項1または2に記載の方法。 6.乳酸菌培養物が、該培養物を含む製品の一部である、請求項1または2に記 載の方法。 7.乳酸菌培養物を、乳酸菌の発酵作用によって得られ得る発酵食品の製造に使 用し、次いで、その発酵食品中の乳酸菌を溶菌する、請求項6に記載の方法。 8.発酵食品がチーズ製品である、請求項7に記載の方法。 9.さらにチーズの成熟工程を行ない、溶菌した細胞を除去した後の構成成分の いくつかにより、チーズ製品の組成物を変える、請求項8に記載の方法。 10.請求項2に記載の方法によって得られた溶菌培養物を殺菌剤として使用す る、有害細菌または病原性細菌の除去法。 11.商品の貯蔵期間を改善する方法であって、請求項1また は2に記載の方法によって得られ、遊離のholinもしくは遊離の溶解素またはそ の両方を含む物質を、ある量で該商品に混入して、得られる商品における有害細 菌または病原性細菌の増殖を阻害し、あるいは、それらの生存力を著しく低下さ せる方法。 12.商品が、食品、化粧品ならびに繊維、硬質表面および皮膚の洗浄用製品か ら成る群から選択される、請求項11に記載の方法。 13.ペプチド混合物の変性方法であり、該方法が、(1)乳酸菌培養物をタン パク質のタンパク質分解によって得られたペプチド混合物と結合する工程で、該 培養物の細胞は、第一調節プロモーターのコントロール下でholinをコードする 遺伝子および第二調節プロモーターのコントロール下で溶解素をコードする遺伝 子の両方を含み、第二および第一プロモーターは同じであってもよく、第二およ び第一プロモーターは通常は各遺伝子と関係しない工程、ならびに(2)プロモ ーターを誘発してholinおよび溶解素の両方を、乳酸菌の細胞が溶解され、ペプ チドを含む細胞の中身がペプチド混合物の組成物を変性するような量で産生する 工程を含む方法。 14.タンパク質のタンパク質分解によって得られたペプチド 混合物を、請求項2に記載の方法によって得られる溶菌培養物で処理することを 含む、ペプチド混合物の変性法。 15.タンパク質が、乳タンパク質もしくは植物タンパク質、またはその両方を 含む、請求項13または14に記載の方法。 16.holinが、請求項18〜20のいずれか一項に記載の核酸配列によってコ ードされ、および/または請求項21〜24のいずれか一項に記載の組換えベク ターから発現され、および/または請求項25〜27のいずれか一項に記載の組 換え細胞によって発現される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。 17.溶解素が配列番号7のアミノ酸配列を有するか、またはそれと機能的に均 等である、請求項2〜16のいずれか一項に記載の方法。 18.乳酸菌などのグラム陽性菌、特にL.lactisまたは該グラム陽性菌由来の バクテリオファージから得られるholinをコードする核酸配列。 19.配列番号6のアミノ酸配列をコードする請求項18に記載の核酸配列また はそれと機能的に均等のもの(配列番号5のヌクレオチド103〜328の核酸配列な ど)。 20.さらに、通常はholinをコードする配列と関係がない第一調節プロモータ ーに作動可能に連結した、請求項18または19に記載の核酸配列。 21.請求項18〜20のいずれか一項の核酸配列を含む組換えベクターであっ て、好ましくは、該ベクターがさらに食品等級のものである組換えベクター。 22.さらに、溶解素をコードする核酸配列を含み、holinおよび溶解素が共に 乳酸菌などのグラム陽性菌、特にL.lactisまたは該グラム陽性菌由来のバクテ リオファージから得られる、請求項21に記載の組換えベクター。 23.さらに、バクテリオファージの天然の結合/組込み系を含み、該系が、例 えば、バクテリオファージ結合部位、ならびにholinおよび所望により溶解素遺 伝子の組込みが生じるように位置したインテグラーゼ遺伝子を含むことができ、 該系が、好ましくは、食品等級の宿主細胞、好ましくは乳酸菌から得られ得るバ クテリオファージに由来する、請求項21または22に記載の組換えベクター。 24.holinをコードする核酸配列および溶解素をコードする核酸配列が、食品 等級メカニズムによって誘発することができ る食品等級誘発性プロモーターに作動可能に連結し、該プロモーターが例えば温 度感受性複合誘発性プロモーターである、請求項21〜23のいずれか一項に記 載の組換えベクター。 25.その天然のバクテリオファージ以外の環境にある請求項18〜20のいず れか一項に記載の核酸配列および/または請求項21〜24のいずれか一項に記 載の組換えベクターを含む組換え宿主細胞。 26.さらに溶解素をコードする核酸配列を含み、該溶解素が好ましくは乳酸菌 などのグラム陽性菌、特にL.lactisまたは該グラム陽性菌由来のバクテリオフ ァージから得られ得、溶解素をコードする該核酸配列が好ましくはその天然のバ クテリオファージまたは細菌以外の環境にある、請求項25に記載の組換え宿主 細胞。 27.食品等級宿主細胞、好ましくは乳酸菌であり、最も好ましくは、該宿主細 胞が、holinおよび/または溶解素をコードする核酸配列が得られるのと同じ種 類のものである、請求項25または26に記載の組換え宿主細胞。
JP7529536A 1994-05-12 1995-05-12 乳酸菌の培養物の増殖を阻害し、所望により該細菌細胞を溶解する方法および得られる溶菌培養物の用途 Pending JPH10500013A (ja)

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