JPH1046078A - 顔料インクの製造方法 - Google Patents

顔料インクの製造方法

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JPH1046078A
JPH1046078A JP20583696A JP20583696A JPH1046078A JP H1046078 A JPH1046078 A JP H1046078A JP 20583696 A JP20583696 A JP 20583696A JP 20583696 A JP20583696 A JP 20583696A JP H1046078 A JPH1046078 A JP H1046078A
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JP
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pigment
dye
ink
pulverization
average particle
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JP20583696A
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English (en)
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Tetsuo Koseki
鉄夫 古積
Hiroko Numayama
ひろ子 沼山
Kazuhiro Oba
和博 大場
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一に微細化された顔料よりなる顔料インク
を製造する方法を提供する。 【解決手段】 層間化合物に対する染料吸着工程後に、
流通管型あるいはアニュラー型のサンドミルを用いて、
顔料の水分散液に対する微粉砕処理を行う。なお、染料
吸着工程の前にも、同様の粉砕装置を用いて、層間化合
物の水分散液に対する予備粉砕処理を行い、層間化合物
の平均粒径が0.5μm以下にしておくことが好まし
い。さらに、これら予備粉砕処理および微粉砕処理に際
しては、粉砕メディアの比重および平均粒径を適正化す
ることが好ましい。このような処理により、層間化合物
がスメクタイトである場合には、最終的な顔料の平均粒
径が0.3μm以下となるように、また、層間化合物が
ハイドロタルサイトである場合には、最終的な顔料の平
均粒径が0.25μm以下となるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるインクジ
ェット記録方式による画像形成にも使用可能な顔料イン
クの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ等の普及
に伴い、該パーソナルコンピュータで作成した画像情報
等を銀塩写真と同じように記録紙に表示することが要求
されている。そして、記録紙に印刷する手段として、電
界や熱、圧力等を駆動源としてノズルより溶液状のイン
クを記録紙上に吐出させ、インクにより画像を形成して
印刷を行うインクジェット記録方式等が使用されてい
る。
【0003】上記インクジェット記録方式においては、
インクとして水性インクが使用され、記録紙として支持
体上に染料受容層の形成された記録紙を使用するのが一
般的である。
【0004】なお、上記水性インクの色材としては、屋
内で用いられるオフィスオートメーション機器による印
刷用途および写真用途には、目詰まりしにくく装置の保
守が容易であるという利便性の観点から、あるいは、画
像が高品位であることから、水溶性の染料が一般的に用
いられている。一方、屋外で用いられるポスターや看
板、あるいは、ダンボール紙への印刷等の産業用途に
は、画像の耐久性に優れた顔料が一般的に用いられてい
る。なお、以下、染料を色材とする水性インクを染料イ
ンクと称し、顔料を色材とする水性インクを顔料インク
と称す。
【0005】顔料インクに用いられる顔料としては、安
全性に問題がある無機顔料より、フタロシアニン類やキ
ナクリドン類に代表される特定の分子構造を有する有機
顔料が用いられる傾向にある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな有機顔料は高価であり、また、種類が限られている
ためにフルカラーを再現するには合成技術的な限界があ
り、任意の調色を得るのは困難である。さらに、粒子サ
イズにも依存するが、顔料を構成する分子の集合体自体
の屈折率が比較的大きい場合には、普通紙に印画したと
きにパルプ上での光散乱が大きくなり、多重内部反射の
影響を受けやすくなって、画像の彩度が低下することが
予想される。また、一般の有機分子は会合により、その
分子吸光係数が低下する傾向があることから、有機顔料
は同一添加量では染料に比較して着色力が低くなる。そ
して、着色力や彩度が低下すると、画像の鮮明さが劣化
することとなる。
【0007】また、顔料インクを実用化するためには、
高精細化に伴い開口が狭まりつつあるノズル先端部分で
目詰まりを誘発しないように、小さな粒子サイズの顔料
を用いること、長期に亘って優れた分散安定性を確保す
ること等も要求される。
【0008】このため、USP4533254に開示さ
れるような、顔料の粒子サイズをコロイドレベルまで微
細化するための製造装置についての提案や、USP45
97794、USP5229786に開示されるよう
な、分散安定性を向上させるための樹脂系分散剤につい
ての提案がなされている。
【0009】しかしながら、これらの技術を適用して
も、依然としてコストや調色の問題は解決されない。
【0010】そこで、本出願人は、層間化合物がイオン
交換作用に基づくインターカレーション反応により染料
を定着保持させることが可能であることを利用して、こ
れを顔料として用いることを提案した。これにより、染
料インクに匹敵する調色が得られ、且つ、簡易なプロセ
スで製造可能で、低コスト化を図れるような顔料インク
を得ることができるようになる。
【0011】但し、このような顔料インクを、インクジ
ェット記録方式による画像形成に使用可能とするために
は、ノズル先端部分で目詰まりを誘発したり、吐出性が
不安定とならないように、顔料を均一に微細化すること
が必要である。
【0012】このため、本発明においては、均一に微細
化された顔料よりなる顔料インクの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る顔料インク
の製造方法は、上述の目的を達成するものであり、層間
化合物における層間イオンの少なくとも一部を、該層間
イオンと逆の極性を示す特定の染料イオンにて置換して
顔料を得る染料吸着工程と、流通管型あるいはアニュラ
ー型のサンドミルを粉砕装置として用い、顔料の水分散
液に対する微粉砕処理を行う微粉砕工程とを有するもの
である。
【0014】十分に微細化された顔料を得るためには、
粉砕装置として、剪断力が大きく、粉砕能力に優れたも
のを用いる必要がある。従来より、粉砕方法としては、
ハンマーミル、ボールミル、ジェット気流ミル、チュー
ブミル、タワーミル等の粉砕装置を用いて乾式粉砕する
方法や、ボールミル、アトライター、ホモジナイザー等
を用いて湿式粉砕する方法が知られているが、これらの
方法では、長時間の粉砕を行っても、インクジェット方
式による画像形成に使用できるような微細化された顔料
を得ることができない。このため、本発明においては、
粉砕装置として、流通管型あるいはアニュラー型のサン
ドミルを粉砕装置として用い湿式粉砕を行う。これによ
り、顔料を短時間で十分に微細化することが可能となる
ため、このようにして得られた顔料インクをインクジェ
ット方式の画像記録に使用すると、ノズルの目詰まりを
防止でき、吐出性も安定する。
【0015】上述したような粉砕処理は、染料吸着工程
後のみならず、染料吸着工程前にも行って好適である。
即ち、染料吸着工程前に、流通管型あるいはアニュラー
型のサンドミルを粉砕装置として用い、層間化合物の水
分散液に対する予備粉砕処理を行う予備粉砕工程を設け
る。そして、これによって層間化合物の平均粒径を0.
5μm以下として好適である。
【0016】なお、予備粉砕処理を行わない、あるい
は、予備粉砕処理が不十分で層間化合物の平均粒径が
0.5μmより大きい場合、染料吸着工程では、大きな
塊状の層間化合物の表面を有機物である塗料が被覆する
こととなるため、層間化合物への染料の導入量が不十分
となるばかりでなく、この後の微粉砕工程にて、十分な
粉砕ができなくなってしまう。これに対し、予備粉砕工
程において、層間化合物を十分に微細化してから、染料
吸着工程を行うと、層間化合物への染料の導入が効率的
に行えるため、発色性に優れた顔料が得られる。また、
その後の微粉砕工程においても、効率的な粉砕が行える
ため、最終的に得られる顔料の平均粒径を十分に小さく
できる。
【0017】上述したような流通管型あるいはアニュラ
ー型のサンドミルは、その内部に粉砕メディアを充填
し、この粉砕メディアの剪断力によって粉砕を行うもの
である。ここでは、予備粉砕処理には、比重が3.5〜
8.0、平均粒径が0.8〜1.6mmの粉砕メディア
を用い、微粉砕処理には、比重が3.5〜8.0、平均
粒径が0.2〜0.8mmの粉砕メディアを用いて好適
である。
【0018】粉砕メディアの比重が3.5未満である
と、粉砕メディアと層間化合物(あるいは顔料)の運動
が同化してしまい、層間化合物(あるいは顔料)に十分
な剪断作用を与えられなくなり、逆に、比重が8.0よ
り大きくなると、粉砕メディアが運動しにくくなるた
め、撹拌翼の動きが粉砕メディアに伝達されなくなり、
かえって層間化合物(あるいは顔料)に十分な剪断作用
を与えることができなくなる。また、予備粉砕処理にお
いては、粉砕メディアの平均粒径を0.8mm未満とす
ると、粉砕メディア1個当たりの運動エネルギーが不足
するため、粗大な凝集塊を破断できなくなり、逆に、
1.6mmより大きくすると、粉砕メディア間への捕捉
効率が低下するため、層間化合物(あるいは顔料)全体
に十分な剪断作用を与えることができなくなる。一方、
微粉砕処理においては、粉砕メディアの平均粒径を0.
2mm未満とすると、粉砕メディアと層間化合物(ある
いは顔料)の運動が同化してしまい、層間化合物(ある
いは顔料)に十分な剪断作用を与えられなくなり、ま
た、微粉砕処理後、粉砕メディアを分離することが困難
となる。逆に、粉砕メディアの平均粒径を0.8mmよ
り大きくすると、粉砕メディア間への捕捉効率が低下す
るため、層間化合物(あるいは顔料)全体に十分な剪断
作用を与えることができなくなり、顔料の平均粒径を所
望のサイズまで微細化することができなくなってしま
う。
【0019】なお、層間化合物として、スメクタイト構
造を有するモンモリロナイト群鉱物を用い、染料イオン
として、塩基性直接染料とカチオン染料の少なくともい
ずれかを用いて顔料を得る場合、微粉砕処理により、顔
料の平均粒径を0.30μm以下として好適である。但
し、このように層間化合物としてモンモリロナイト群鉱
物を用いる場合、水中での粘度増加が著しいため、染料
吸着工程前に予備粉砕処理を行うことが困難となる場合
がある。
【0020】また、層間化合物として、ハイドロタルサ
イト群鉱物を用い、染料イオンとして、直接染料と酸性
染料の少なくともいずれかを用いて顔料を得る場合、微
粉砕処理により、顔料の平均粒径を0.25μm以下と
して好適である。このように層間化合物としてハイドロ
タルサイト群鉱物を用いる場合には、上述したように染
料吸着工程前に予備粉砕処理を行うことが好ましい。
【0021】ところで、本発明においては、顔料を湿式
粉砕するため、微粉砕工程終了後には、微細化された顔
料の水分散液が得られる。したがって、これをそのまま
顔料インクとして用いることもできるが、実用的には、
フィルタによる濾過や、顔料濃度の調整、所望の添加剤
の添加等を行って顔料インクとすることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について示す。
【0023】ここでは、先ず、本発明によって製造され
る顔料インクに含まれる顔料の特徴について説明する。
この顔料は、層間化合物における層間イオンの少なくと
も一部が、該層間イオンと逆の極性を示す特定の染料イ
オンにて置換されているものである。即ち、層間化合物
が、イオン交換作用に基づくインターカレーション反応
により染料を定着保持させることが可能であることを利
用して、これを顔料としたものである。
【0024】ここで、層間化合物は、層状構造を有し、
その親水性の層間に水溶性染料とイオン交換しうる交換
性イオンを有する層状無機高分子であればよい。
【0025】層状無機高分子の交換性イオンとしては、
水溶性染料が水溶性カチオン染料である場合にはナトリ
ウムイオン等の交換性陽イオンであり、水溶性染料が水
溶性アニオン染料である場合にはカルボキシルアニオン
等の交換性陰イオンとなる。
【0026】交換性陽イオンを有する層状無機高分子
(以下、カチオン交換性層間化合物と称する。)として
は、天然もしくは合成層状珪酸塩またはそれらの焼成体
を例示することができ、代表的には3−八面体型スメク
タイト構造を有するモンモリロナイト群鉱物を好ましく
使用することができる。このモンモリロナイト群鉱物
は、下記の化1にて示すことができる。
【0027】
【化1】
【0028】具体的には、XとYの組合わせと置換数に
応じて、モンモリロナイト、マグネシアンモンモリロナ
イト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロ
ナイト、バイデライト、アルミニアンバイデライト、ノ
ントロナイト、アルミニアンノントロナイト、サポナイ
ト、アルミニアンサポナイト、ヘクトライト、ソーコナ
イト等の天然物や合成物を例示することができる。な
お、上記化1中のOH基をフッ素で置換したものも使用
することができる。
【0029】また、化1に示したモンモリロナイト群鉱
物の他にも、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウム
テニオライト、リチウムテニオライト等の雲母群鉱物を
カチオン交換性層間化合物として使用することも可能で
ある。さらに、合成粘土鉱物と同様に、層状構造を有し
且つ交換性陽イオンを有するカチオン交換性層間化合物
として、リン酸ジルコニウム等の酸性塩、層状含水酸化
チタン等がある。これらは光学的隠ぺい性もしくは固有
の色を有するもので、透明性、光沢性、白色度が同時に
要求されない場合に使用することができる。
【0030】また、カチオン染料と強い親和性を示す合
成珪酸塩として無定形の合成シリカ等があるが、これら
は水等の高誘電率媒体中での染料定着能、即ち、イオン
交換能力がモンモリロナイト群鉱物に比して十分でな
い。しかし、高いイオン交換能力が要求されない場合に
は使用することもできる。
【0031】上述したようなカチオン交換性層間化合物
として、夾雑物を含まない合成珪酸塩等の純白色を呈す
る微粉末を使用した場合、その微粉末結晶そのものは光
学的に透明であるので、銀塩系写真に匹敵しうるような
高い彩度を実現する顔料を形成することが可能となる。
【0032】なお、上述したようなカチオン交換性層間
化合物の層間に存在させる交換性陽イオンは、層間距離
を広げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化す
るという効果とを実現する有機陽イオンで置換されてい
てもよい。このような有機陽イオンとしては、第4アン
モニウムイオンやホスホニウムイオン、アルキルホスホ
ニウムイオン、アリールホスホニウムイオン等が挙げら
れる。第4アンモニウムイオンで置換する場合、4つの
アルキル基のうち少なくとも3つは各々炭素数4以上、
好ましくは8以上であって好適である。長鎖アルキルの
数が少ない場合にはピラー効果が十分でなく、定着座席
(交換性無機陽イオン)としての層間を確保することが
困難となる。
【0033】一方、交換性陰イオンを有する層状無機高
分子(以下、アニオン交換性層間化合物と称する。)と
しては、0:1型粘土鉱物の一種であり、AlO6 八面
体シートからなる層状のハイドロタルサイト群鉱物を好
ましく例示することができる。このようなハイドロタル
サイト群鉱物の代表的なものとしては、化2に示される
よう天然のハイドロタルサイトを例示することができ
る。
【0034】
【化2】
【0035】本発明においては、特に、Mg0.7 Al
0.3 1.16なる組成式にて示されるハイドロタルサイト
の焼成体を用いて好適である。
【0036】なお、化2に示される天然のハイドロタル
サイトの組成とは若干異なるが、合成ハイドロタルサイ
トも商業的に入手可能である。この合成ハイドロタルサ
イトの微粉末は夾雑物を含まず、純白色を呈するが、結
晶自体は光学的透明であるので、その微粉末を使用した
場合、銀塩系写真に匹敵しうるような高い彩度を実現す
る顔料を形成することが可能となる。
【0037】また、上述のハイドロタルサイト群鉱物以
外にも、アニオン交換性層間化合物として、チタンやジ
ルコニウム、ランタン、ビスマス等の含水酸化物あるい
は水酸化リン酸塩等があるが、これらは光学的隠ぺい性
もしくは固有の色を有するので、透明性、光沢性、白色
度が同時に要求されない場合に使用することができる。
【0038】なお、上述したようなアニオン交換性層間
化合物の層間に存在させる交換性陰イオンは、層間距離
を広げる効果(ピラー効果)や層間を部分的に疎水化す
るという効果とを実現する有機陰イオンで置換されてい
てもよい。このような有機陰イオンとしては、カルボン
酸アニオン、スルホン酸アニオン、エステルアニオン、
リン酸エステルアニオン等が挙げられる。このようなア
ニオンはアルキル基もしくはアルケニル基を通常有する
が、それらの炭素数が少ない場合にはピラー効果が十分
でなく、定着座席(交換性無機陰イオン)としての層間
を確保することが困難となり、多すぎると置換しにくく
なるので炭素数を5〜20とすることが好ましい。
【0039】イオン交換作用に基づくインターカレーシ
ョン反応により染料を定着保持させることが可能な層間
化合物として、モンモリロナイト群鉱物のようなカチオ
ン交換性層状化合物を用いる場合、ハイドロタルサイト
群鉱物のようなアニオン交換性層状化合物を用いる場合
のいずれにおいても、染料イオンにて置換された残余の
層間イオンの少なくとも一部、理想的には全部が親水性
イオンにて置換されていることが好ましい。また、いず
れにおいても、染料イオンの置換量は、層間化合物が有
する交換容量の5%以上とされて好適である。染料イオ
ンの置換量がこれより少ないと着色力が不十分となるた
め、この顔料を用いた顔料インクを用いて形成された画
像が不鮮明となる。但し、未吸着の染料イオンが残る
と、顔料の水中での分散性が著しく劣化することから、
サブミクロンの粒径を得るためには、染料の種類にもよ
るが、交換容量の50%未満の吸着量とすることが好ま
しい。
【0040】層間化合物がモンモリロナイト群鉱物より
なる場合、層間イオンの少なくとも一部と置換される染
料イオンは、塩基性染料、特に、カチオン染料と塩基性
直接染料の少なくともいずれかであって好適である。
【0041】ここで、カチオン染料としては、アミン塩
または第4級アンモニウム基を有するアゾ染料、トリフ
ェニルメタン染料、アジン染料、オキサジン染料、チア
ジン染料等を使用することができる。これらカチオン染
料は、通常、無機アニオンを対イオンとして有し、その
多くは強酸の塩として存在する。従って、その水溶液は
一般に酸性を示すので、このようなカチオン染料を含む
インク組成物と接触する金属部材の腐食を防ぐには塩基
性塩で中和することが好ましい。例えば、対イオンとし
ての無機アニオンを、カルボン酸イオンなどの有機アニ
オンのソーダ塩等で処理して有機アニオンに置換するこ
とが好ましい。この場合、層間化合物のカチオン染料に
対する親和性を減じないようにするために、有機アニオ
ンとの造塩により層間化合物との親和性を減じないよう
にすることが好ましい。
【0042】また、塩基性直接染料としては、商品名:
Pergasol F(CibaGeigy社製)、商
品名:Cartasol K(Sandoz社製)、商
品名:Levacell C(Bayer社製)、商品
名:Fastusol C(BASF社製)等が挙げら
れる。
【0043】また、上述したような染料イオンで置換さ
れない残余の層間イオンは、水素イオンにて置換されて
好適である。このためには、例えば、モンモリロナイト
群鉱物のようなカチオン交換性層状化合物を塩酸を含む
液中に投入すればよい。以上のような塩基性直接染料や
カチオン染料といった塩基性染料を、水素イオンと共に
モンモリロナイト群鉱物の層間に吸着させると、耐光性
を向上させることができる。これは、塩基性直接染料や
カチオン染料といった塩基性染料は、酸性雰囲気下にて
耐光性が向上するという性質を有するからである。した
がって、モンモリロナイト群鉱物の層間イオンのうち、
立体障害のため上述した染料にて置換されないものは、
できるかぎり水素イオンで置換されることが望ましい。
【0044】また、モンモリロナイト群鉱物の層間イオ
ンを上述したような染料と水素イオンとで十分に置換
し、他のイオンを層間に吸着させないようにしておく
と、これをインクとしたときに、水への分散性が適切に
制御できるようになる。
【0045】一方、層間化合物がハイドロタルサイト群
鉱物よりなる場合、層間イオンの少なくとも一部と置換
される染料イオンは、アニオン染料、即ち、直接染料と
酸性染料の少なくともいずれかであって好適である。
【0046】ここで、アニオン染料としては、発色団と
してモノアゾ基、ジズアゾ基、アントラキノン骨格、ト
リフェニルメタン骨格などを有し、さらに分子中に1〜
3個のスルホン酸基又はカルボキシル基などの陰イオン
性の水溶性基を有するものを使用することができる。こ
れらのアニオン染料は、そのまま層間化合物に保持させ
てもよいが、インク組成物の補助的成分として用いられ
るアルコール類との相溶性を向上させ、また、滲みを防
止するために、それらの対カチオンの一部をオニウムイ
オンなどの有機カチオンで置換してもよい。この場合、
層間化合物のアニオン染料に対する親和性を減じないよ
うにするために、有機カチオンとの造塩により染料を高
度に疎水化しないようにすることが好ましい。
【0047】また、上述したような染料イオンで置換さ
れない残余の層間イオンは、サリチル酸のアニオンまた
はその異性体のアニオンもしくはpKa値が5.0以下
を示すサリチル酸誘導体のアニオンに置換されて好適で
ある。このためには、例えば、ハイドロタアルサイト群
鉱物のようなアニオン交換性層状化合物を水中に膨潤さ
せておき、この溶液に、交換容量に相当するサリチル酸
等を添加して平衡に達せしめればよい。直接染料や酸性
染料といったアニオン染料を、サリチル酸のアニオンま
たはその異性体のアニオンもしくはpKa値が5.0以
下を示すサリチル酸誘導体のアニオンと共にハイドロタ
ルサイト群鉱物の層間に吸着させると、染料の吸着量が
飛躍的に増加し、耐光性を向上させることができる。
【0048】また、ハイドロタルサイト群鉱物の層間イ
オンを上述したようなアニオン染料と芳香酸とで十分に
置換し、他のイオンを層間に吸着させないようにしてお
くと、これをインクとしたときに、水への分散性が適切
に制御できるようになる。
【0049】本発明においては、以上のような構成を有
する顔料を、層間化合物がモンモリロナイト群鉱物より
なる場合には、平均粒径が0.3μm以下となり、層間
化合物がハイドロタルサイト群鉱物よりなる場合には、
平均粒径が0.25μmとなるように微粉砕して用い
る。
【0050】このために、本発明においては、層間化合
物における層間イオンの少なくとも一部を、該層間イオ
ンと逆の極性を示す特定の染料イオンにて置換して顔料
を得た後に、流通管型あるいはアニュラー型のサンドミ
ルを粉砕装置として用い、顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行う。
【0051】また、このような粉砕処理は、染料吸着工
程後のみならず、染料吸着工程前にも予備粉砕処理とし
て行って好適である。そして、これによって層間化合物
の平均粒径を0.5μm以下として好適である。
【0052】なお、予備粉砕処理を行わない、あるい
は、予備粉砕処理が不十分で層間化合物の平均粒径が
0.5μmより大きい場合、染料吸着工程では、大きな
塊状の層間化合物の表面を有機物である塗料が被覆する
こととなるため、層間化合物への染料の導入量が不十分
となるばかりでなく、この後の微粉砕工程にて、十分な
粉砕ができなくなってしまう。これに対し、予備粉砕工
程において、層間化合物を十分に微細化してから、染料
吸着工程を行うと、層間化合物への染料の導入が効率的
に行えるため、発色性に優れた顔料が得られる。また、
その後の微粉砕工程においても、効率的な粉砕が行える
ため、最終的に得られる顔料の平均粒径を十分に小さく
できる。但し、層間化合物としてモンモリロナイト群鉱
物を用いる場合、水中での粘度増加が著しいため、染料
吸着工程前に予備粉砕処理を行うことが困難となる場合
がある。
【0053】ここで、微粉砕処理、予備粉砕処理に用い
る流通管型あるいはアニュラー型のサンドミルは、いず
れもその内部に粉砕メディアを充填し、この粉砕メディ
アの剪断力によって粉砕を行うものである。流通管型の
サンドミルは、例えば内部に撹拌ディスクやピンを有す
る軸を備えた縦型あるいは横型の円筒型槽に、粉砕メデ
ィアを充填しておき、ここに被粉砕物が分散された液体
を連続的に送り込むことにより、被粉砕物を粉砕するも
のであって、具体的には、サンドグラインダー、グレー
ンミル、ダイノーミル、パールミル等が挙げられる。ま
た、アニュラー型のサンドミルは、ロータ(撹拌ピンを
有するものもある。)とステータで構成される間隔の狭
い空隙に粉砕メディアを充填しておき、ロータを回転さ
せた状態で、被粉砕物が分散された液体を連続的に送り
込むことにより、被粉砕物を粉砕するものであって、具
体的には、コニカルボールミル、DCP型パールミル、
スパイクミル等が挙げられる。
【0054】なお、本発明においては、粉砕装置の撹拌
ディスクの外周の周速度、あるいはロータの外周の周速
度が8〜16m/秒となるように、高速回転させること
が望ましい。
【0055】このような粉砕装置を実際に用いるに際し
ては、ディゾルバー等の撹拌機が配設された供給タンク
と上述した流通管型あるいはアニュラー型のサンドミル
とを循環ライン上に組み込んで、循環処理を行えるよう
なシステムとしてもよいし、上述した流通管型あるいは
アニュラー型のサンドミルを2台以上直列に配設して連
続処理を行えるようなシステムとしてもよい。
【0056】なお、本発明においては、予備粉砕工程で
用いる粉砕装置、微粉砕工程で用いる粉砕装置が上述し
たような構成を有するものであれば、両者が同種の形式
であっても、異種の形式であっても構わない。
【0057】ここで、以上のような粉砕装置内に充填さ
せる粉砕メディアとしては、予備粉砕処理に際しては、
比重が3.5〜8.0、平均粒径が0.8〜1.6mm
のものを用い、微粉砕処理に際しては、比重が3.5〜
8.0、平均粒径が0.2〜0.8mmのものを用いて
好適である。
【0058】粉砕メディアの比重や平均粒径が上述の範
囲から外れると、十分な剪断力を与えることができなく
なり、最終的な顔料の平均粒径を所望のサイズまで微細
化することができなくなってしまう。
【0059】なお、粉砕メディアの材質としては、化学
的に安定で、比重3.5〜8.0を満たす各種セラミッ
クが挙げられる。具体的には、ジルコニア、チタニア、
ジルコン、アルミナ、ジルコニア強化アルミナ等が例示
できる。
【0060】ところで、本発明においては、顔料を湿式
粉砕するため、微粉砕工程終了後には、微細化された顔
料の水分散液が得られる。したがって、これをそのまま
顔料インクとして用いることもできるが、実用的には、
フィルタによる濾過や、顔料濃度の調整、所望の添加剤
の添加等を行って顔料インクとすることとなる。
【0061】添加剤としては、分散剤、湿潤剤、消泡
剤、浸透剤、酸化防止剤、表面張力調整剤、粘度調整
剤、pH調整剤、防カビ剤等が、必要に応じて添加され
ればよい。
【0062】例えば、分散剤としては、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ア
クリル酸誘導体、ポリエチレングリコール等の各種水溶
性高分子化合物や、ノニオン性界面活性剤、アニオン性
界面活性剤等の各種界面活性剤より選ばれる1種以上を
適宜選択して使用すればよい。
【0063】また、層間化合物がモンモリロナイト群鉱
物よりなる場合には、分散剤として、特に、ピロリン酸
あるいはその塩を、顔料に対して20重量%〜100重
量%用いて好適である。層間化合物の粒子を細かくする
と、該層間化合物の膨潤により顔料インクの粘度が高く
なってしまうが、ピロリン酸あるいはその塩を添加する
と、その解びゅう効果により粘度を低下させることがで
きる。なお、ピロリン酸あるいはその塩の添加量が20
重量%未満であると、実用的な解びゅう効果が得られ
ず、100重量%を越えると溶解限界を越えてしまう。
【0064】さらに、層間化合物がハイドロタルサイト
群鉱物よりなる場合には、分散剤として、特に、ポリア
クリル酸あるいはその塩を顔料に対して100重量%〜
1000重量%用いて好適である。ハイドロタルサイト
群鉱物よりなる層間化合物においては、染料等の吸着イ
オン種と同極性のイオンを過剰に加えると、複合化した
状態の層間化合物に表面電荷による斥力が生じ、これら
層間化合物の粒子間の凝集が妨げられる。このため、分
散剤として上述したような化合物を添加しておくと、層
間化合物の分散性が安定化すると考えられる。なお、ポ
リアクリル酸あるいはその塩の添加量が100重量%未
満であると、十分な分散効果が得られず、逆に、100
0重量%を越えると、この顔料インクによって形成され
た画像が水中で崩落しやすくなり、画像の耐水性が損な
われる。
【0065】なお、湿潤剤としては、複素環式ケトンと
グリセリンあるいはグリセリン誘導体との両方を用いて
好適である。複素環式ケトン、グリセリンあるいはグリ
セリン誘導体のいずれも、保湿性を有するものである
が、複素環式ケトンは層間化合物の層間に吸着させる染
料に対する溶解性があり、グリセリンあるいはグリセリ
ン誘導体は染料に対する溶解性がない。このため、湿潤
剤として複素環式ケトンのみを用いると染料を吸って膨
潤してしまい、また、形成された画像の滲みが著しくな
る。また、湿潤剤としてグリセリンあるいはグリセリン
誘導体のみを用いると、吐出性が劣化し、形成された画
像にかすれが生じ、最後には目詰まりを生ずることとな
る。したがって、複素環式ケトンとグリセリンあるいは
グリセリン誘導体とは、両方組み合わせて用いられ、そ
の添加量が適正化される必要がある。
【0066】また、顔料インク中には、水溶性有機溶剤
を含有させても良く、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピル
アルコール、イソブチルアルコール等、炭素数1〜4の
アルキルアルコール類や、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール等のポリアルキルアルコール
類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ジエチレングリコール等、アルキレン
基が2〜6個のアルキレングリコール類、グリセリン、
エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコ
ールメチルエーテル等、多価アルコールの低級アルキル
エーテル類が挙げられる。
【0067】以上のように、本発明を適用して、粉砕装
置として流通管型あるいはアニュラー型のサンドミルを
用い、粉砕メディアとして前述した条件を満たすものを
用いて湿式粉砕を行うと、顔料を短時間で微細化するこ
とが可能となる。
【0068】以上のようにして得られた微細な顔料を含
む顔料インクは、幅広い技術分野で有効に活用すること
ができるが、特に、インクジェット方式の画像記録に適
用されて好適である。この画像記録を行うに際しては、
バブル駆動ジエットノズルやピエゾ素子駆動ジェツトノ
ズルなどを供えた通常のインクジエット記録装置を用
い、被記録材に対して、顔料インクを画像信号に応じて
選択的に吐出させればよい。
【0069】本発明により得られる顔料インクをインク
ジェット方式の画像記録に使用すると、ノズルの目詰ま
りを防止でき、吐出性が安定し、また、顔料の発色性が
優れているために形成された画像が印画濃度の高い、鮮
明なものとなる。
【0070】なお、本発明により得られる顔料インク
は、顔料として層間化合物の層間に染料イオンがイオン
交換作用に基づくインターカレーション反応によって強
固に固定されてなるものを用いているため、記録に際し
て被記録材側に染料受容層を必要としないために被記録
材を選ばず、保存性、定着性、耐久性に優れた画像を染
料インクに匹敵する調色にて形成できるようになる。ま
た、この顔料インクを用いて形成された画像は、銀塩写
真像に匹敵し得る彩度、解像度、耐久性を有するものと
なるため、証明写真や屋外展示用印刷物等として十分使
用し得るものとなり、その工業的価値は非常に高い。
【0071】なお、本発明は、顔料インクの製造方法に
係るものであるが、もちろん、製造された顔料インク
(顔料の水分散液)から微細化された顔料を取り出し
て、インク以外の用途に用いることも可能である。例え
ば、本発明により得られる顔料をプラスチックの着色
剤、クレヨン等の筆記具の着色剤、着色塗料等に用いる
ことができる。
【0072】
【実施例】以下、本発明を適用した好適な実施例につい
て実験結果に基づいて説明する。
【0073】実験1 本実験においては、層間化合物として、スメクタイト構
造を有するモンモリロナイト群鉱物(以下、単にスメク
タイトと称する。)を用い、この層間イオンを染料イオ
ンにて置換して顔料を得た後、様々な粉砕装置および粉
砕条件による顔料の水分散液に対する微粉砕処理を行っ
て、顔料インクを作製した。そして、微粉砕処理に用い
る粉砕装置の違いによる顔料インクの特性の違いを調べ
た。
【0074】〔インクサンプルの作製〕先ず、下記に示
すような配合の調合液を用意した。
【0075】 エタノール 1000重量部 純水 700重量部 1モル/lの塩酸 100重量部 そして、この調合液中に、スメクタイト(Laport
e社製、商品名:ラポナイトRDS)を100重量部を
撹拌しながら投入し、さらに30分間撹拌して、スメク
タイトにおける層間イオンを水素イオンに置換させた
後、染料として塩基性染料(保土谷化学工業社製、商品
名:CATHILON YELLOW 7GLH)の1
%エタノール液を1000重量部添加して、スメクタイ
トの層間イオンを染料イオンに置換した。これにより、
黄色の顔料の水分散液を得た。
【0076】その後、このようにして得られた顔料を含
む水分散液に対して、フィルタープレス処理による脱水
を行った後、真空乾燥を行い、粗粉砕して、顔料の粉末
を得た。
【0077】そして、上述のようにして得られた顔料を
下記の配合の水溶液に投入し、ディゾルバー型撹拌機が
配設された撹拌槽内で60分間撹拌した。
【0078】 顔料 100重量部 ポリビニルピロリドン樹脂(BASF社製、商品名:K−17)の 10%水溶液 200重量部 純水 900重量部 ポリエーテルポリオール 2重量部 これにより、顔料の予備分散液を得た。
【0079】<インクサンプルA>その後、上述した予
備分散液に対する微粉砕処理を行って、顔料インクを作
製することとなるが、ここでは、微粉砕処理に際して、
図1に示されるような、ディゾルバー等の撹拌機が配設
された撹拌槽1と流通管型サンドミル3とを循環ライン
上に組み込んで、循環処理を行えるようなシステムを適
用した。
【0080】このシステムにおける撹拌槽1は、上述し
た予備分散液を得るために用いたものである。そして、
ここで撹拌された予備分散液はポンプ2を介し流通管型
サンドミル3に向かって供給されるようになされてい
る。
【0081】一方、流通管型サンドミル3は、内部に撹
拌ディスクを有する軸を備えた横型の円筒型槽に、粉砕
メディアを充填しておき、ここに予備分散液を連続的に
送り込むことにより微粉砕処理を行うものである。そし
て、ここで微粉砕処理された予備分散液は、上述した撹
拌槽1に向かって供給されるようになされている。
【0082】これにより、予備分散液は、撹拌槽1の内
部と流通管型サンドミル3の内部を循環するようにな
り、撹拌と微粉砕処理が繰り返し施されることとなる。
【0083】なお、ここでは、流通管型サンドミル3と
して、ネッチェ社製、商品名:LMZ−10型を用い、
この内部に粉砕メディアとして、比重が3.9、平均粒
径が1.0mmのチタニアビースを充填率80%となる
ように充填した。また、内蔵される撹拌ディスクの外周
の周速度を10m/秒とし、予備分散液の循環流量が3
00リットル/時間の条件にて平均滞留時間が40分と
なるまで微粉砕処理を行った。
【0084】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図1に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、該水分散液100重量部に対して、湿潤剤としてジ
エチレングリコールが20重量部、表面張力調整剤とし
てポリオキシエチレンアルキルエーテルが1重量部添加
される。その後、この水分散液を、絶対精度が0.8μ
mのフィルター7に流量1リットル/分の流量で通過さ
せることにより、顔料インク(インクサンプルAとす
る。)を完成した。なお、完成したインクサンプルは、
ストレージタンク8に溜められた。
【0085】<インクサンプルB>ここでは、前述した
ようにして顔料の予備分散液を調製した後、図2に示さ
れるような、ディゾルバー等の撹拌機が配設された撹拌
槽1の後段側に、流通管型サンドミル3が直列に3台配
設され、連続処理を行えるようなシステムを適用して、
微粉砕処理を行った。
【0086】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液は、ポンプ2を介し最も前段側の流通管型サン
ドミル3に向かって供給されるようになされている。
【0087】各々の流通管型サンドミル3の構成は、イ
ンクサンプルAの作製工程と同様であるが、微粉砕処理
された予備分散液は、撹拌槽1に戻すことなく、順次後
段側の流通管型サンドミル3に向かって供給されるよう
になされている。
【0088】これにより、予備分散液は、3台の流通管
型サンドミル3によって、連続的に微粉砕処理が施され
ることとなる。
【0089】なお、ここでは、流通管型サンドミル3と
して、ウィリー・A・バッコーフェン社製、商品名:ダ
イノーミルKDL−15型を用い、この内部に粉砕メデ
ィアとして、比重が6.0、平均粒径が1.25mmの
ジルコニアビースを充填率80%となるように充填し
た。また、内蔵される撹拌ディスクの外周の周速度を1
0m/秒とし、予備分散液の供給流量が24リットル/
時間の条件にて微粉砕処理を行った。
【0090】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図2に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルAの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルBとする。
【0091】<インクサンプルC>ここでは、前述した
ようにして顔料の予備分散液を調製した後、図3に示さ
れるように、ディゾルバー等の撹拌機が配設された撹拌
槽1の後段側に、アニュラー型サンドミル4が直列に5
台配設され、連続処理を行えるようなシステムを適用し
て、微粉砕処理を行った。
【0092】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液は、ポンプ2を介し最も前段側のアニュラー型
サンドミル4に向かって供給されるようになされてい
る。
【0093】アニュラー型サンドミル4は、ロータとス
テータで構成される間隔の狭い空隙に粉砕メディアを充
填しておき、ロータを回転させた状態で、被粉砕物が分
散された液体を連続的に送り込むことにより、被粉砕物
を粉砕するものである。そして、ここで微粉砕処理され
た予備分散液は、撹拌槽1に戻すことなく、順次後段側
のアニュラー型サンドミル4に向かって供給されるよう
になされている。
【0094】これにより、予備分散液は、5台のアニュ
ラー型サンドミル4によって、連続的に微粉砕処理が施
されることとなる。
【0095】なお、ここでは、アニュラー型サンドミル
4として、FRYMA社製、商品名:COBALL−M
ILL型を用い、この内部に粉砕メディアとして、比重
が3.9、平均粒径が1.0mmのジルコンビースを充
填率90%となるように充填した。また、内蔵されるロ
ータの外周の周速度を14m/秒とし、予備分散液の供
給流量が10リットル/時間の条件にて微粉砕処理を行
った。
【0096】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図3に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルAの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルCとする。
【0097】<インクサンプルD>ここでは、ディゾル
バー等の撹拌機が配設された撹拌槽1の後段側に配設さ
れたアニュラー型サンドミル4の台数を1台とした以外
は、インクサンプルCの作製工程で用いたと同様のシス
テムを適用して、微粉砕処理を行った。
【0098】このシステムにおける撹拌槽1およびアニ
ュラー型サンドミル4はインクサンプルCの作製工程に
て説明したと同様の構成を有するが、ここでは、撹拌槽
1にて撹拌された予備分散液を1台のみのアニュラー型
サンドミル4に送り込んで微粉砕処理を行った。
【0099】なお、アニュラー型サンドミル4の機種、
この内部に充填させる粉砕メディアの比重、平均粒径、
充填率、各種粉砕条件等はインクサンプルCの作製工程
と同様とした。
【0100】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図3に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルAの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルDとする。
【0101】<インクサンプルE>ここでは、前述した
ようにして顔料の予備分散液を調製した後、図4に示さ
れるように、ディゾルバー等の撹拌機が配設された撹拌
槽1の後段側に配設されたボールミル10によって微粉
砕処理を行った。
【0102】撹拌槽1は予備分散液を得るために用いた
ものであり、ここで撹拌された予備分散液は、ポンプ2
を介してボールミル10に向かって供給されるようにな
されている。
【0103】ボールミル10は、横型の円筒型槽内に粉
砕メディアを充填しておき、円筒型槽を回転させること
により、粉砕メディアが内壁面の移動と共に上方へ移動
し、ある程度上方まで移動したら重力により下方へ落下
することを利用して剪断力を得るものであり、ここに予
備分散液を充填することにより微粉砕処理が行われる。
【0104】なお、ここでは、ボールミル10として、
円筒型槽の容量が30リットルであり、回転数が60r
pmであるものを用い、この内部に粉砕メディアとし
て、比重が7.85、平均粒径が6mmのスチールボー
ルを充填率50%となるように充填した。そして、この
ボールミル10内に、予備分散液を有効容積の30%充
填して48時間の微粉砕処理を行った。
【0105】このようにして得られた顔料の水分散液
は、図4に示されるように受けタンク6に溜められ、イ
ンクサンプルAの作製工程と同様にして、湿潤剤、表面
張力調整剤が添加され、フィルター7を通過させて、ス
トレージタンク8に溜められた。このようにして得られ
た顔料インクをインクサンプルEとする。
【0106】<インクサンプルF>ここでは、前述した
ようにして顔料の予備分散液を調製した後、図5に示さ
れるように、ディゾルバー等の撹拌機が配設された撹拌
槽1の後段側に、ホモジナイザー11が直列に多数台配
設され、連続処理を行えるようなシステムを適用して、
微粉砕処理を行った。
【0107】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液は、ポンプ2を介し最も前段側のホモジナイザ
ー11に向かって供給されるようになされている。
【0108】ホモジナイザー11は、湿式の乳化装置で
あり、ここに予備分散液を連続的に送り込むことにより
微粉砕処理が行われる。そして、ここで微粉砕処理され
た予備分散液は、撹拌槽1に戻すことなく、順次後段側
のホモジナイザー11に向かって供給されるようになさ
れている。これにより、予備分散液は、多数台のホモジ
ナイザー11によって、連続的に微粉砕処理が施される
こととなる。
【0109】なお、ここでは、ホモジナイザー11とし
て、GAULIN社製、商品名:コロイドミルを用い、
回転数を10000rpmとなるようにして微粉砕処理
を行った。
【0110】このようにして得られた顔料の水分散液
は、図5に示されるように受けタンク6に溜められ、イ
ンクサンプルAの作製工程と同様にして、湿潤剤、表面
張力調整剤が添加され、フィルター7を通過させて、ス
トレージタンク8に溜められた。このようにして得られ
た顔料インクをインクサンプルFとする。
【0111】〔特性の評価〕ここで、上記のようにして
得られた各インクサンプルについて、含有される顔料の
平均粒径、作製時に濾過工程で目詰まりが発生するか否
か、インクジェットプリンタでの吐出させたときの安定
性、形成された印画の濃度を調査した。
【0112】顔料の平均粒径は、レーザ光散乱粒度分布
測定器(大塚電子社製、商品名:DLS−700)によ
って測定した。
【0113】また、濾過工程での目詰まりの有無は、各
インクサンプルの作製時に、フィルター7に20リット
ルのインクサンプルを流量1リットル/分で通過させて
濾過を行い、その間にフィルター7に目詰まりが発生し
ない場合を○、目詰まりが発生した場合(フィルター通
過前の圧力とフィルター通過後の圧力との差が3kg/
cm2 以上)を×として評価した。
【0114】インクジェットプリンタでの吐出させたと
きの安定性は、各インクサンプルをインクジェットプリ
ンタ(ヒューレットパッカード社製、機種名:1200
C)のカートリッジに充填し、これを使用してインクジ
ェット専用紙(花王社製)に吐出させて、テストパター
ンを印画し、各インクサンプルが安定して吐出されてい
るか否かを目視にて評価した。なお、安定な吐出がなさ
れ、ドット欠損が認められない場合を○、吐出が不安定
で、ドット欠損ならびにサテライトが認められる場合を
×とした。
【0115】さらに、印画濃度は、各インクサンプルを
用いてベタ印字して得た高濃度画像部について、マクベ
ス濃度計(TR924)にて反射濃度を測定することに
より評価した。なお、印画の彩度の観点から、この反射
濃度が1.2以上であることが望ましい。
【0116】各インクサンプルに対するこれらの評価結
果を表1に示す。
【0117】
【表1】
【0118】表1に示されるように、流通管型あるいは
アニュラー型のサンドミルを用いて微粉砕処理がなされ
たインクサンプルA〜Dにおいては、いずれも顔料の平
均粒径が0.3μm以下であり、フィルターの目詰まり
が発生することなく、吐出安定性にも優れていた。ま
た、印画濃度も反射濃度が1.2以上となっており、十
分な彩度が得られた。
【0119】これに対して、ボールミルやホモジナイザ
ーを用いて微粉砕処理がなされたインクサンプルE、F
においては、顔料の平均粒径が0.3μmを越えてお
り、フィルターの目詰まりが発生し、吐出も不安定とな
ってしまった。また、印画濃度も反射濃度が1.2に達
しなかったため、彩度も不十分となった。
【0120】これらの結果より、流通管型あるいはアニ
ュラー型のサンドミルは、微細化効率に優れ、顔料を短
時間で均一に微細化することができることがわかった。
そして、このような粉砕装置を用いて、スメクタイトの
層間に染料を吸着させてなる顔料の平均粒径を0.3μ
m以下の均一なものとすると、インクジェット方式の記
録を行うに際して、ノズルの目詰まりを発生させること
なく、優れた吐出安定性を示す顔料インクを得ることが
できるようになる。また、この顔料インクによって形成
された画像は、非常に発色性に優れたものとなることが
わかった。
【0121】実験2 本実験においては、層間化合物であるハイドロタルサイ
ト群鉱物(以下、単にハイドロタルサイトと称する。)
の層間イオンを染料イオンにて置換してなる顔料より顔
料インクを作製するに際し、染料吸着工程の前に層間化
合物の水分散液に対する予備粉砕処理を行うか否かの違
いにより、顔料インクの特性に違いが生ずるかを調べ
た。また、この予備粉砕処理および染料吸着工程後に行
う微粉砕処理に用いる粉砕装置の違いによる顔料インク
の特性の違いも調べた。
【0122】〔インクサンプルの作製〕先ず、下記に示
すような配合の調合液を用意した。
【0123】 ハイドロタルサイト 100重量部 純水 900重量部 ポリエーテルポリオール 2重量部 なお、ハイドロタルサイトとしては、焼成済みのもの
(協和化学工業社製、商品名:KW2200)を水中で
膨潤させ、このハイドロタルサイトの交換容量(6.7
mmmol/g)に相当するサリチル酸(pKa=2.
81)を添加して2日間放置して平衡に達せしめてから
粉末を回収して乾燥させたものを用いた。
【0124】そして、上述の調合液をディゾルバー型撹
拌機が配設された撹拌槽内で60分間撹拌した。これに
より、ハイドロタルサイトの予備分散液を得た。
【0125】<インクサンプルG>その後、上述した予
備分散液に対する予備粉砕処理、染料吸着処理、微粉砕
処理を行って、顔料インクを作製することとなるが、こ
こでは、図6に示されるようなシステムを適用して、こ
れら一連の処理を行った。
【0126】このシステムは、ディゾルバー等の撹拌機
が配設された撹拌槽1と流通管型サンドミル3とを循環
ライン上に組み込んで、循環処理を行えるようにしたも
のである。なお、このシステムは、インクサンプルAの
作製に用いた図1に示されるものと同様であるため、共
通部材には共通符号を付し、重複説明を省略する。
【0127】これにより、予備分散液は、撹拌槽1の内
部と流通管型サンドミル3の内部を循環するようにな
り、撹拌と予備粉砕処理が繰り返し施されることとな
る。
【0128】ここでは、流通管型サンドミル3として、
ネッチェ社製、商品名:LMZ−10型を用い、この内
部に粉砕メディアとして、比重が3.9、平均粒径が
1.0mmのチタニアビースを充填率80%となるよう
に充填した。また、内蔵される撹拌ディスクの外周の周
速度を10m/秒とし、予備分散液の循環流量が300
リットル/時間の条件にて平均滞留時間が10分となる
まで予備粉砕処理を行った。
【0129】このようにして得られたハイドロタルサイ
トの水分散液におけるハイドロタルサイトの平均粒径を
測定したところ、0.39μmであった。
【0130】そして、この水分散液100重量部に対し
て、染料として直接染料であるC.I.ダイレクトイエ
ロー132(ゼネカ社製、商品名IG)の7.5%水溶
液6重量部を撹拌しながら添加して、30分間、ハイド
ロタルサイトの層間イオンを染料イオンに置換する操作
を行った。これにより、黄色の顔料の水分散液を得た。
【0131】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、再び、撹拌槽1の内部と流通管型サ
ンドミル3の内部に循環させた。なお、この微粉砕処理
は、予備粉砕を行ったときと同様の粉砕条件にて、平均
滞留時間が40分となるまで行った。
【0132】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図6に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、該水分散液100重量部に対して、湿潤剤としてジ
エチレングリコールが20重量部、表面張力調整剤とし
てポリオキシエチレンアルキルエーテルが1重量部添加
される。その後、この水分散液を、絶対精度が0.8μ
mのフィルター7に流量1リットル/分の流量で通過さ
せることにより、顔料インク(インクサンプルGとす
る。)を完成した。なお、完成したインクサンプルは、
ストレージタンク8に溜められた。
【0133】<インクサンプルH>ここでは、前述した
ようにして得られたハイドロタルサイトの予備分散液に
対して、予備粉砕処理、染料吸着処理、微粉砕処理を行
って、顔料インクを作製するに際し、図7に示されるよ
うなシステムを適用した。
【0134】このシステムは、ディゾルバー等の撹拌機
が配設された撹拌槽1の後段側に、予備粉砕処理用の流
通管型サンドミル3が配設され、その後段に、染料吸着
処理槽9、さらにその後段に、微粉砕処理用の流通管型
サンドミル3が直列に3台配設されて、連続処理を行え
るようにしたものである。
【0135】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液は、ポンプ2を介して予備粉砕処理用の流通管
型サンドミル3に向かって供給されるようになされてい
る。
【0136】予備粉砕処理用の流通管型サンドミル3の
構成は、インクサンプルGの作製工程で用いたものと同
様であるが、予備粉砕処理されたハイドロタルサイトの
水分散液は、撹拌槽1に戻すことなく、順次後段側の染
料吸着槽9に向かって供給されるようになされている。
【0137】なお、ここでは、流通管型サンドミル3と
して、ウィリー・A・バッコーフェン社製、商品名:ダ
イノーミルKDL−15型を用い、この内部に粉砕メデ
ィアとして、比重が6.0、平均粒径が1.25mmの
ジルコニアビースを充填率80%となるように充填し
た。また、内蔵される撹拌ディスクの外周の周速度を1
0m/秒とし、予備分散液の供給流量が24リットル/
時間の条件にて予備粉砕処理を行った。
【0138】このようにして得られたハイドロタルサイ
トの水分散液は、染料吸着槽9に溜められる。このと
き、この水分散液中のハイドロタルサイトの平均粒径を
測定したところ、0.41μmであった。
【0139】そして、この染料吸着槽9では、インクサ
ンプルGの作製工程と同様にしてハイドロタルサイトの
層間イオンを染料イオンに置換する操作を行った。これ
により、黄色の顔料の水分散液を得た。
【0140】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
の流通管型サンドミル3のうち最も前段側に配設された
ものに供給した。
【0141】各々の微粉砕処理用の流通管型サンドミル
3の構成は、予備粉砕処理に用いたものと同様であり、
顔料の水分散液は、順次後段側の流通管型サンドミル3
に向かって供給されることにより、連続的に微粉砕処理
が施される。
【0142】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図7に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルGの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルHとする。
【0143】<インクサンプルI>ここでは、前述した
ようにして得られたハイドロタルサイトの予備分散液に
対して、予備粉砕処理、染料吸着処理、微粉砕処理を行
って、顔料インクを作製するに際し、図8に示されるよ
うなシステムを適用した。
【0144】このシステムは、ディゾルバー等の撹拌機
が配設された撹拌槽1の後段側に、予備粉砕処理用のア
ニュラー型サンドミル4が直列に2台配設され、その後
段に、染料吸着処理槽9、さらにその後段に、微粉砕処
理用のアニュラー型サンドミル4が直列に4台配設され
て、連続処理を行えるようにしたものである。
【0145】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液をポンプ2を介して予備粉砕処理用のアニュラ
ー型サンドミル4のうち前段側のものに向かって供給で
きるようになされている。
【0146】予備粉砕処理用のアニュラー型サンドミル
4の構成は、インクサンプルCの作製に用いたものと同
様である。予備分散液は、順次、前段側のアニュラー型
サンドミル4から後段側のアニュラー型サンドミルへ送
り出され、連続的に予備粉砕処理が施されることとな
る。
【0147】ここでは、アニュラー型サンドミル4とし
て、FRYMA社製、商品名:COBALL−MILL
型を用い、この内部に粉砕メディアとして、比重が3.
9、平均粒径が1.0mmのジルコンビースを充填率9
0%となるように充填した。また、内蔵されるロータの
外周の周速度を14m/秒とし、予備分散液の供給流量
が10リットル/時間の条件にて予備粉砕処理を行っ
た。
【0148】このようにして得られたハイドロタルサイ
トの水分散液は、染料吸着槽9に溜められる。このと
き、この水分散液中のハイドロタルサイトの平均粒径を
測定したところ、0.35μmであった。
【0149】そして、この染料吸着槽9では、インクサ
ンプルGの作製工程と同様にしてハイドロタルサイトの
層間イオンを染料イオンに置換する操作を行った。これ
により、黄色の顔料の水分散液を得た。
【0150】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
のアニュラー型サンドミル4のうち最も前段側に配設さ
れたものに供給した。
【0151】各々の微粉砕処理用のアニュラー型サンド
ミル4の構成は、予備粉砕処理に用いたものと同様であ
り、顔料の水分散液は、順次後段側のアニュラー型サン
ドミル4に向かって供給されることにより、連続的に微
粉砕処理が施される。
【0152】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図8に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルGの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルIとする。
【0153】<インクサンプルJ>ここでは、前述した
ようにして得られたハイドロタルサイトの予備分散液に
対して、予備粉砕処理、染料吸着処理、微粉砕処理を行
って、顔料インクを作製するに際し、図9に示されるよ
うなシステムを適用した。
【0154】このシステムは、ハイドロタルサイトの予
備分散液の撹拌を行った図示しない撹拌槽1の後段側
に、予備粉砕処理用のボールミル10が配設され、その
後段に、染料吸着処理槽9、さらにその後段に、微粉砕
処理用のボールミル10が配設されて、一連の処理を行
えるようにしたものである。
【0155】このシステムにおける撹拌槽1は予備分散
液を得るために用いたものであり、ここで撹拌された予
備分散液は、ポンプ2を介して予備粉砕処理用のボール
ミル10に供給される。
【0156】予備粉砕処理用のボールミル10の構成
は、インクサンプルEの作製に用いたものと同様であ
る。ここでは、ボールミル10として、円筒型槽の容量
が30リットルであり、回転数が60rpmであるもの
を用い、この内部に粉砕メディアとして、比重が7.8
5、平均粒径が6mmのスチールボールを充填率50%
となるように充填した。そして、このボールミル10内
に、予備分散液を有効容積の30%充填して48時間の
予備粉砕処理を行った。
【0157】このようにして得られたハイドロタルサイ
トの水分散液は、染料吸着槽9に溜められる。このと
き、この水分散液中のハイドロタルサイトの平均粒径を
測定したところ、0.49μmであった。
【0158】そして、この染料吸着槽9では、インクサ
ンプルGの作製工程と同様にしてハイドロタルサイトの
層間イオンを染料イオンに置換する操作を行った。これ
により、黄色の顔料の水分散液を得た。
【0159】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
のボールミル10に供給した。
【0160】この微粉砕処理用のボールミル10の構成
は、予備粉砕処理に用いたものと同様であり、顔料の水
分散液は、このボールミル10によって微粉砕処理が施
される。
【0161】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図9に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、インクサンプルGの作製工程と同様にして、湿潤
剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7を通過さ
せて、ストレージタンク8に溜められた。このようにし
て得られた顔料インクをインクサンプルJとする。
【0162】<インクサンプルK>ここでは、前述した
ようにして得られたハイドロタルサイトの予備分散液に
対し、予備粉砕処理を行うことなく、染料吸着処理、微
粉砕処理を行って、顔料インクを作製した。この一連の
処理には図10に示されるようなシステムを適用した。
【0163】このシステムは、予備粉砕用のボールミル
が省略された以外は比較例3で適用したと同様のもので
あり、ハイドロタルサイトの予備分散液の撹拌を行った
図示しない撹拌槽1の後段側に、染料吸着処理槽9、そ
の後段に微粉砕処理用のボールミル10が配設されてな
る。
【0164】染料吸着槽9では、インクサンプルGの作
製工程と同様にしてハイドロタルサイトの層間イオンを
染料イオンに置換する操作を行った。これにより、黄色
の顔料の水分散液を得た。
【0165】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
のボールミル10に供給した。この微粉砕処理用のボー
ルミル10の構成は、比較例3の予備粉砕処理および微
粉砕処理に用いたものと同様である。
【0166】そして、このようにして微粉砕処理がなさ
れた顔料の水分散液は、図10に示されるように受けタ
ンク6に溜められ、インクサンプルGの作製工程と同様
にして、湿潤剤、表面張力調整剤が添加され、フィルタ
ー7を通過させて、ストレージタンク8に溜められた。
このようにして得られた顔料インクをインクサンプルK
とする。
【0167】<インクサンプルL>ここでも、ハイドロ
タルサイトの予備分散液に対し、予備粉砕処理を行うこ
となく、染料吸着処理、微粉砕処理を行って、顔料イン
クを作製した。この一連の処理には図11に示されるよ
うなシステムを適用した。
【0168】このシステムは、ハイドロタルサイトの予
備分散液の撹拌を行った図示しない撹拌槽1の後段側
に、予備粉砕用の粉砕装置が配設されることなく、染料
吸着処理槽9、微粉砕処理用のホモジナイザー11が配
設されている。
【0169】染料吸着槽9では、インクサンプルGの作
製工程と同様にしてハイドロタルサイトの層間イオンを
染料イオンに置換する操作を行った。これにより、黄色
の顔料の水分散液を得た。
【0170】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
のホモジナイザー11に供給した。この微粉砕処理用の
ホモジナイザー11の構成は、比較例2の微粉砕処理に
用いたものと同様である。
【0171】そして、このようにして微粉砕処理がなさ
れた顔料の水分散液は、図11に示されるように受けタ
ンク6に溜められ、インクサンプルGの作製工程と同様
にして、湿潤剤、表面張力調整剤が添加され、フィルタ
ー7を通過させて、ストレージタンク8に溜められた。
このようにして得られた顔料インクをインクサンプルL
とする。
【0172】〔特性の評価〕ここで、上記のようにして
得られた各インクサンプルについて、含有される顔料の
平均粒径、作製時に濾過工程で目詰まりが発生するか否
か、インクジェットプリンタでの吐出させたときの安定
性、形成された印画の濃度を調査した。
【0173】これらの評価方法は実験1での評価方法と
同様である。各インクサンプルに対するこれらの評価結
果を表2に示す。
【0174】
【表2】
【0175】表2に示されるように、流通管型あるいは
アニュラー型のサンドミルを用いて予備粉砕処理および
微粉砕処理がなされたインクサンプルG〜Iにおいて
は、いずれも最終的な顔料の平均粒径が0.25μm以
下であり、フィルターの目詰まりが発生することなく、
吐出安定性にも優れていた。また、印画濃度もほぼ満足
できるものとなり、十分な彩度が得られた。
【0176】これに対して、染料吸着処理の前に予備粉
砕処理を行っても、その粉砕装置としてボールミルを用
いたインクサンプルJにおいては、最終的な顔料の平均
粒径が0.25μmを越えており、フィルターの目詰ま
りが発生し、吐出も不安定となってしまった。また、印
画濃度も不足したため、彩度も不十分となった。
【0177】また、染料吸着処理の前に予備粉砕処理を
行わなかったインクサンプルK、Lにおいては、最終的
な顔料の平均粒径がさらに大きくなってしまうため、フ
ィルターの目詰まりが起こり、吐出安定性も劣化した。
また、印画濃度もさらに不足したため、彩度も不十分と
なった。
【0178】これらの結果より、染料吸着処理の前に予
備粉砕処理を行っておくことが必要であること、予備粉
砕処理および微粉砕処理には、流通管型あるいはアニュ
ラー型のサンドミルを用いることが必要であることがわ
かった。
【0179】即ち、染料吸着処理の前に予備粉砕処理を
行い、ハイドロタルサイトを0.5μm以下に微細化し
ておくことにより、ハイドロタルサイトへの染料の導入
が効率的に行えるため、発色性に優れた顔料が得られる
ようになる。また、その後の微粉砕工程においても、効
率的な粉砕が行えるため、最終的に得られる顔料の平均
粒径を十分に小さくできる。そして、ハイドロタルサイ
トの層間に染料を吸着させてなる顔料の平均粒径を0.
25μm以下の均一なものとすると、インクジェット方
式の記録を行うに際して、ノズルの目詰まりを発生させ
ることなく、優れた吐出安定性を示す顔料インクを得る
ことができるようになる。また、この顔料インクによっ
て形成された画像は、非常に発色性に優れたものとな
る。
【0180】実験3 本実験においては、ハイドロタルサイトの層間イオンを
染料イオンにて置換してなる顔料より顔料インクを作製
するに際し、染料吸着処理の前に行う予備粉砕処理、染
料吸着処理の後に行う微粉砕処理で用いる粉砕メディア
の違いにより、作製された顔料インクの特性に違いが生
ずるかを調べた。
【0181】〔インクサンプルの作製〕先ず、実験2に
て行ったと同様にして、ハイドロタルサイトの予備分散
液を得た。
【0182】<インクサンプルM>ここでは、得られた
ハイドロタルサイトの予備分散液に対して、予備粉砕処
理、染料吸着処理、微粉砕処理を行って、顔料インクを
作製するに際し、図7に示されるようなシステムを適用
した。このシステムは、インクサンプルHの作製工程に
て説明したとおりである。
【0183】上述のような一連の処理を行うには、先
ず、撹拌槽1にて撹拌されたハイドロタルサイトの予備
分散液に対して予備粉砕処理を行うため、上述の予備分
散液を予備粉砕処理用の流通管型サンドミル3に供給し
た。ここでは、この流通管型サンドミル3として、ウィ
リー・A・バッコーフェン社製、商品名:ダイノーミル
KDL−15型を用い、この内部に粉砕メディアとし
て、比重が6.0、平均粒径が1.25mmのジルコニ
アビース(東レ社製)を充填率80%となるように充填
した。また、内蔵される撹拌ディスクの外周の周速度を
10m/秒とし、予備分散液の供給流量が24リットル
/時間の条件にて予備粉砕処理を行った。
【0184】このようにして得られたハイドロタルサイ
トの水分散液は、染料吸着槽9に溜められる。そして、
この染料吸着槽9では、ハイドロタルサイトの層間イオ
ンを染料イオンに置換する操作を行った。これにより、
黄色の顔料の水分散液を得た。
【0185】その後、この顔料の水分散液に対する微粉
砕処理を行うため、この顔料の水分散液を微粉砕処理用
の流通管型サンドミル3のうち最も前段側に配設された
ものに供給した。そして、顔料の水分散液は、順次後段
側の流通管型サンドミル3に向かって供給されることに
より、連続的に微粉砕処理が施される。
【0186】なお、各々の微粉砕処理用の流通管型サン
ドミル3の構成は、予備粉砕処理に用いたものと同様で
あるが、この内部には、比重が6.0、平均粒径が0.
5mmのジルコニアビーズ(東レ社製)を、粉砕メディ
アとして充填率が80%となるように充填した。
【0187】そして、このようにして得られた顔料の水
分散液は、図7に示されるように受けタンク6に溜めら
れ、湿潤剤、表面張力調整剤が添加され、フィルター7
を通過させて、ストレージタンク8に溜められた。この
ようにして得られた顔料インクをインクサンプルMとす
る。
【0188】<インクサンプルN>ここでは、予備粉砕
処理および微粉砕処理に用いる粉砕メディアの比重およ
び平均粒径をインクサンプルMの作製工程とは異ならせ
た。
【0189】即ち、予備粉砕処理用の流通管型サンドミ
ル3に充填する粉砕メディアを、比重が3.9、平均粒
径が1.4mmのチタニアビース(富山セラミック社
製)に変更し、微粉砕処理用の流通管型サンドミル3に
充填する粉砕メディアを、比重が3.9、平均粒径が
0.8mmのチタニアビース(富山セラミック社製)に
変更した以外は、全てインクサンプルMの作製工程と同
様にして顔料インクを作製した。これをインクサンプル
Nとする。
【0190】<インクサンプルO>ここでも、予備粉砕
処理および微粉砕処理に用いる粉砕メディアの比重およ
び平均粒径をインクサンプルMの作製工程とは異ならせ
た。
【0191】即ち、予備粉砕処理用の流通管型サンドミ
ル3に充填する粉砕メディアを、比重が3.8、平均粒
径が1.4mmのジルコンビース(SEPR社製)に変
更し、微粉砕処理用の流通管型サンドミル3に充填する
粉砕メディアを、比重が3.8、平均粒径が0.7mm
のジルコンビース(SEPR社製)に変更した以外は、
全てインクサンプルMの作製工程と同様にして顔料イン
クを作製した。これをインクサンプルOとする。
【0192】<インクサンプルP>ここでも、予備粉砕
処理および微粉砕処理に用いる粉砕メディアの比重およ
び平均粒径をインクサンプルMの作製工程とは異ならせ
た。
【0193】即ち、予備粉砕処理用の流通管型サンドミ
ル3に充填する粉砕メディアを、比重が2.5、平均粒
径が3.0mmのソーダガラスビース(東芝バロティー
ニ社製)に変更し、微粉砕処理用の流通管型サンドミル
3に充填する粉砕メディアを、比重が2.5、平均粒径
が1.5mmのソーダガラスビース(東芝バロティーニ
社製)に変更した以外は、全てインクサンプルMの作製
工程と同様にして顔料インクを作製した。これをインク
サンプルPとする。
【0194】<インクサンプルQ>ここでも、予備粉砕
処理および微粉砕処理に用いる粉砕メディアの比重およ
び平均粒径をインクサンプルMの作製工程とは異ならせ
た。
【0195】即ち、予備粉砕処理用の流通管型サンドミ
ル3に充填する粉砕メディアを、比重が6.0、平均粒
径が2.0mmのジルコニアビース(東レ社製)に変更
し、微粉砕処理用の流通管型サンドミル3に充填する粉
砕メディアを、比重が6.0、平均粒径が2.0mmの
ジルコニアビース(東レ社製)に変更した以外は、全て
インクサンプルMの作製工程と同様にして顔料インクを
作製した。これをインクサンプルQとする。
【0196】<インクサンプルR>ここでも、予備粉砕
処理および微粉砕処理に用いる粉砕メディアの比重およ
び平均粒径をインクサンプルMの作製工程とは異ならせ
た。
【0197】即ち、予備粉砕処理用の流通管型サンドミ
ル3に充填する粉砕メディアを、比重が3.2、平均粒
径が1.3mmの結晶性ガラスビース(オハラ社製)に
変更し、微粉砕処理用の流通管型サンドミル3に充填す
る粉砕メディアを、比重が3.2、平均粒径が1.0m
mの結晶性ガラスビース(オハラ社製)に変更した以外
は、全てインクサンプルMの作製工程と同様にして顔料
インクを作製した。これをインクサンプルRとする。
【0198】〔特性の評価〕ここで、上記のようにして
得られた各インクサンプルについて、含有される顔料の
平均粒径、作製時に濾過工程で目詰まりが発生するか否
か、インクジェットプリンタでの吐出させたときの安定
性、形成された印画の濃度を調査した。
【0199】これらの評価方法は実験1での評価方法と
同様である。各インクサンプルに対するこれらの評価結
果を表3に示す。
【0200】
【表3】
【0201】表3に示されるように、インクサンプルM
〜Oにおいては、いずれも最終的な顔料の平均粒径が
0.25μm以下であり、フィルターの目詰まりが発生
することなく、吐出安定性にも優れていた。また、印画
濃度もほぼ満足できるものとなり、十分な彩度が得られ
た。これに対して、インクサンプルP〜Rにおいては、
最終的な顔料の平均粒径が0.25μmを越えており、
フィルターの目詰まりが発生するか、吐出が不安定とな
るか、印画濃度が不足するか、いずれかの不都合が生じ
た。
【0202】インクサンプルM〜Oは、予備粉砕処理に
用いた粉砕メディアの比重が3.5〜8.0、平均粒径
が0.8〜1.6mmを満たし、微粉砕処理に用いた粉
砕メディアの比重が3.5〜8.0、平均粒径が0.2
〜0.8mmを満たしているのに対し、インクサンプル
P〜Rは、上述の範囲を満たさないものであったことか
ら、予備粉砕処理および微粉砕処理には、上述の条件を
満たす粉砕メディアを用いることが必要であることがわ
かった。
【0203】即ち、染料吸着処理の前に予備粉砕処理に
おいてハイドロタルサイトを十分に微細化しておくこと
により、ハイドロタルサイトへの染料の導入が効率的に
行えるため、発色性に優れた顔料が得られるようにな
る。また、その後の微粉砕工程においても、効率的な粉
砕が行えるようになる。そして、染料吸着処理の後に微
粉砕処理によって、ハイドロタルサイトの層間に染料を
吸着させてなる顔料の平均粒径を0.25μm以下の均
一なものとすると、インクジェット方式の記録を行うに
際して、ノズルの目詰まりを発生させることなく、優れ
た吐出安定性を示す顔料インクを得ることができるよう
になる。また、この顔料インクによって形成された画像
は、非常に発色性に優れたものとなる。
【0204】以上、実験1〜実験3より、均一に微細化
された顔料よりなる顔料インクを製造するには、層間化
合物に対する染料吸着工程後に、流通管型あるいはアニ
ュラー型のサンドミルを用いて、顔料の水分散液に対す
る微粉砕処理を行うことが必要であることがわかった。
また、染料吸着工程の前にも、流通管型あるいはアニュ
ラー型のサンドミルを用いて、層間化合物の水分散液に
対する予備粉砕処理を行い、層間化合物の平均粒径が
0.5μm以下にしておくことが好ましいことがわかっ
た。さらに、これら予備粉砕処理および微粉砕処理に際
しては、粉砕メディアの比重および平均粒径を適正化す
ることが好ましいこともわかった。
【0205】そして、このような処理により、層間化合
物がスメクタイトである場合には、最終的な顔料の平均
粒径が0.3μm以下となるように、また、層間化合物
がハイドロタルサイトである場合には、最終的な顔料の
平均粒径が0.25μm以下となるようにすると、イン
クジェット方式の記録を行うに際して、ノズルの目詰ま
りを発生させることなく、優れた吐出安定性を示す顔料
インクとなること、また、この顔料インクによって形成
された画像は、非常に発色性に優れたものとなることが
わかった。
【0206】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用すると、均一に微細化された顔料よりなる顔料
インクを製造することができる。
【0207】このため、例えば、この顔料インクを用い
てインクジェット方式の記録を行うと、ノズルの目詰ま
りを発生させることなく、優れた吐出安定性を示すよう
になる。また、この顔料インクによって形成された画像
は、非常に発色性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクサンプルAの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図2】インクサンプルBの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図3】インクサンプルCの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図4】インクサンプルEの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図5】インクサンプルFの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図6】インクサンプルGの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図7】インクサンプルHの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図8】インクサンプルIの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図9】インクサンプルJの作製に用いたシステムを説
明するための模式図である。
【図10】インクサンプルKの作製に用いたシステムを
説明するための模式図である。
【図11】インクサンプルLの作製に用いたシステムを
説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 撹拌槽、 3 流通管型サンドミル、 4 アニュ
ラー型サンドミル、7 フィルター、 9 染料吸着
槽、 10 ボールミル、 11 ホモジナイザー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 層間化合物における層間イオンの少なく
    とも一部を、該層間イオンと逆の極性を示す特定の染料
    イオンにて置換して顔料を得る染料吸着工程と、 流通管型あるいはアニュラー型のサンドミルを粉砕装置
    として用い、前記顔料の水分散液に対する微粉砕処理を
    行う微粉砕工程とを有することを特徴とする顔料インク
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記染料吸着工程の前に、流通管型ある
    いはアニュラー型のサンドミルを粉砕装置として用い、
    前記層間化合物の水分散液に対する予備粉砕処理を行う
    予備粉砕工程を有することを特徴とする請求項1記載の
    顔料インクの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記予備粉砕処理によって、前記層間化
    合物の平均粒径を0.5μm以下とすることを特徴とす
    る請求項2記載の顔料インクの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記予備粉砕処理は、比重が3.5〜
    8.0、平均粒径が0.8〜1.6mmの粉砕メディア
    を前記粉砕装置内に充填した状態で行い、前記微粉砕処
    理は、比重が3.5〜8.0、平均粒径が0.2〜0.
    8mmの粉砕メディアを前記粉砕装置内に充填した状態
    で行うことを特徴とする請求項2記載の顔料インクの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記層間化合物として、スメクタイト構
    造を有するモンモリロナイト群鉱物を用い、前記染料イ
    オンとして、塩基性直接染料とカチオン染料の少なくと
    もいずれかを用いて顔料を得、 前記微粉砕処理により、顔料の平均粒径を0.30μm
    以下とすることを特徴とする請求項1記載の顔料インク
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記層間化合物として、ハイドロタルサ
    イト群鉱物を用い、前記染料イオンとして、直接染料と
    酸性染料の少なくともいずれかを用いて顔料を得、 前記微粉砕処理により、顔料の平均粒径を0.25μm
    以下とすることを特徴とする請求項1記載の顔料インク
    の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005097335A (ja) * 2003-09-22 2005-04-14 Ricoh Co Ltd 感熱記録材料とその製造方法
JP2007071611A (ja) * 2005-09-06 2007-03-22 Canon Inc カラー画像取得方法、及びカラー撮像装置
JP2011057988A (ja) * 2010-09-22 2011-03-24 Jgc Catalysts & Chemicals Ltd インクジェット記録用インクおよび印刷基材
JP2018053127A (ja) * 2016-09-29 2018-04-05 戸田工業株式会社 白色顔料水系分散体、および、それを用いた塗膜体

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