JPH10446A - 廃棄物処理剤および処理方法 - Google Patents

廃棄物処理剤および処理方法

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Publication number
JPH10446A
JPH10446A JP8156471A JP15647196A JPH10446A JP H10446 A JPH10446 A JP H10446A JP 8156471 A JP8156471 A JP 8156471A JP 15647196 A JP15647196 A JP 15647196A JP H10446 A JPH10446 A JP H10446A
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JP
Japan
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waste
silicate
additive
treatment agent
treatment
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Application number
JP8156471A
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English (en)
Inventor
Hidetoshi Kuromatsu
秀寿 黒松
Toru Yoshida
融 吉田
Takashi Funahashi
孝 舟橋
Masakazu Kamikita
正和 上北
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Pbなどの重金属を含有する廃棄物からの重
金属の溶出を抑制する処理剤および処理方法を提供す
る。 【解決手段】 可溶性珪酸塩と、添加剤A(カルシウ
ム,マグネシウム,鉄(II),鉄(III),およびアルミ
ニウムから選択される少なくとも1種の多価金属イオン
を含有する物質)、および水とからなり、ゾル状あるい
は水分散状の処理剤を、水とともにPbなどの重金属を
含有する廃棄物を収容した水槽に添加することからなる
廃棄物の処理方法であり、廃棄物中の重金属の溶出を抑
制するのに有効で、特に、廃棄物焼却主灰および/また
はばいじん中のPbの安定化に有効である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Pb、Cd、Cr
6+、As、Hg、Cu、Znなどの重金属を含有する廃
棄物からの前記重金属の溶出を抑制する処理剤および処
理方法に関するものであり、特に、鉛(Pb)の溶出を
抑制することが困難な廃棄物焼却主灰やばいじん(飛
灰)を安定化処理するのに有効な処理剤および処理方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、重金属などの有害物質を含有する
廃棄物の処分には、運搬中の飛散を防止するため加湿処
理が行われたり、固化成型を主たる目的としてセメント
処理が行われてきた。しかしながら、これらの方法は、
廃棄物からの重金属の溶出を抑制するといった観点から
は、問題が多く、その取扱に充分注意を払わなければ、
重金属が溶出し、二次公害が発生する恐れがある。
【0003】例えば、都市ごみの焼却施設は、代表的に
は、焼却炉、排ガスの冷却を目的とした熱交換機や水噴
霧装置、塩化水素ガスなどの酸性ガスの中和を目的とし
た消石灰吹き込み装置(排ガス誘導管内への吹き込
み)、および集塵機などから構成されており、更に硫黄
酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ダイオキシ
ンなどの有害成分除去装置・機器が付加されていること
もある。このような焼却施設における廃棄物の焼却時に
発生するばいじんには、粉塵、消石灰と塩化水素ガスな
どの酸性ガスとの反応生成物、消石灰の未反応分、およ
びPbなどの重金属類などが含有されている。このばい
じんは、重金属が溶出しないように中間処理を行った
後、最終処分地に埋め立てられる。上記した廃棄物処理
に関するPbなどの重金属溶出の問題は、このような都
市ごみ等の廃棄物の焼却時に発生する排ガスから集塵機
で捕捉されるばいじんにおいて特に顕著である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来では、
Pbなどの重金属を含有する廃棄物からの重金属の溶出
を確実に抑制することは困難であり、廃棄物中の重金属
などが確実に封入され、陸上埋立処分時においても再溶
出しないように処理可能な処理剤や処理方法が望まれて
いた。本発明は、このような廃棄物処理の現状に鑑み、
廃棄物、特に都市ごみ焼却時に発生する、ごみのもえが
らである主灰や、焼却時の排ガスから捕集されるばいじ
ん中の種々の重金属を確実に安定化し、その溶出を抑制
することが可能な廃棄物処理剤および処理方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のよ
うな従来の廃棄物処理における問題点を解決する目的で
鋭意検討した結果、この目的を達成しうる新たな処理剤
および処理方法を得るに至った。即ち、本発明の廃棄物
の処理剤は、可溶性珪酸塩、並びに、カルシウム、マグ
ネシウム、鉄(II)、鉄(III)、およびアルミニウムか
らなる群から選択される少なくとも1種の多価金属イオ
ンを含有する物質である添加剤A、更に水とからなり、
その形態がゾル状あるいは固体(ゲル)が水に分散した
液状である廃棄物処理剤を内容とする。また、本発明の
廃棄物処理方法は、水とともにPbなどの重金属を含有
する廃棄物を収容した水槽に、前記処理剤を添加するこ
とを内容とするものである。
【0006】このような本発明の廃棄物処理剤および処
理方法は、都市ごみ焼却施設などで発生する、ごみのも
えがらからなる主灰や、焼却時の排ガスから電気集塵機
やバグフィルターで捕捉されるばいじんに含有されるP
bなどの重金属の溶出の抑制に高い性能を示す。
【0007】本発明の処理剤における可溶性珪酸塩の作
用について説明する。この作用については、充分解明さ
れていないが、以下のように推定しうる。即ち、 (1)処理剤中の可溶性珪酸塩が、廃棄物から溶出す
る、または、廃棄物中に存在するPbなどの重金属イオ
ンと反応し、不溶性の重金属珪酸塩を生成する。 (2)処理剤中の可溶性珪酸塩が、廃棄物から溶出す
る、または、廃棄物中に存在する多価金属イオン(排ガ
ス中の塩化水素ガスなどの酸性ガスを中和する目的で吹
き込まれる消石灰に由来するCaイオンなど)と反応
し、その反応物中に重金属を包含するか、あるいは、そ
の表面に重金属を吸着する。 以上の(1)、(2)の作用によって重金属を安定化す
ると考えられる。しかしながら、前記(1)の作用にお
いては、珪酸塩の重金属に対する選択性が充分高いとは
いえず、この作用のみでPbの埋立基準値である0.3
mg/L以下を達成することが困難な場合がある。ま
た、前記(2)の作用においては、珪酸塩と廃棄物に由
来する多価金属イオンとの反応物の性状が、それらの量
的関係に強く依存するにもかかわらず、経時的に性状が
変化する廃棄物焼却主灰やばいじんなどの廃棄物中の多
価金属イオンと珪酸塩との量的関係を最適値近傍に制御
するのは甚だ困難なことである。
【0008】このように、処理剤として珪酸塩を単独で
使用したのは、常に所望の性能を発現して廃棄物中の重
金属を安定化するのが困難な場合もある。そこで、本発
明の処理剤には、このような欠点を補う目的で、あらか
じめ珪酸塩をゲル化するための添加剤Aが添加されてい
る。この添加剤Aの作用については、次のように推定し
うる。珪酸塩と、廃棄物中の多価金属イオンとの反応物
(ゲル化物)は、処理剤として添加される珪酸塩と廃棄
物に由来する多価金属イオンとの量的関係により、著し
く異なる形態を示すことが明らかとなっている。即ち、
珪酸塩に対して、多価金属イオンの量が過剰に存在する
と、重金属の包含や吸着の能力が乏しい反応物を生成す
る傾向がある。また、そのときの反応物の形態は流動性
を示さない完全なゲル化物や固体である場合が多い。一
方、珪酸塩に対して多価金属イオンの量が少ないと、そ
の反応物は水中に浮遊しやすく、廃棄物と充分接触しに
くくなり、所望の性能を示さない傾向にある。また、そ
のときの反応物の形態は、均一な液状のものである場合
が多い。
【0009】これに対し、本発明では、可溶性珪酸塩
と、該珪酸塩のゲル化剤となる添加剤Aとで処理剤を調
製することにより、処理剤中にあらかじめ好ましい形態
の反応物を存在させ、これを廃棄物に作用させることが
可能となる。このときの処理剤の形態は、概ねゾル状あ
るいは固体(ゲル)が水に分散した液状となることが好
ましい。上記処理剤が完全なゲルや固体となった場合に
は、処理剤の運搬、供給、その他のハンドリング性が著
しく低下する。また、既に述べたように、性能面でも好
ましくないことが多い。一方、このときの処理剤が均一
な液体、あるいは、非常に希薄なゾル状物であった場
合、添加したゲル化剤が充分に作用しているとはいえ
ず、好ましくない。これらに対し、処理剤がゾル状ある
いは固体(ゲル)が水に分散した液状である場合には、
処理剤が水中に浮遊することなく、珪酸塩と添加剤Aと
の反応物は沈降し、廃棄物と接触することが可能であ
り、好ましい。また、このような状態において、重金属
の包含や吸着能にも優れる。
【0010】本発明の処理剤中の珪酸塩による重金属の
安定化性能は、前述したように、廃棄物に由来する多価
金属イオンの量に依存するため、廃棄物に由来する多価
金属イオンの量をより少ない方へ適宜調節するために、
炭酸塩やリン酸塩など多価金属イオンと反応して不溶性
あるいは難溶性の塩を生成する化合物をあらかじめ処理
剤に配合することも好ましい。
【0011】次に、本発明の処理剤における水の作用に
ついて説明する。本発明の処理剤の性能および形態は、
珪酸塩と添加剤Aの量的関係とともに、処理剤中のそれ
らの濃度にも強く依存することが明らかとなっている。
従って、より好ましい処理剤を調製するために、必要に
応じて水を添加し、珪酸塩および添加剤Aの濃度を調節
することが好ましい。更に、処理剤のハンドリング性、
特に、流動性を維持する目的で水を添加することも、好
ましい。なお、処理剤の調製後、余分な水分が生じた場
合には、処理剤の単位重量当たりの性能を向上させると
いった観点から、余分な水分を分離除去することがよ
い。
【0012】従来、廃棄物から溶出する重金属を安定化
する技術としては、リン酸塩やカルバミン酸系のキレー
ト剤を添加する方法があったが、このような方法では廃
棄物から溶出した重金属のみしか安定化することができ
ず、また、廃棄物中の重金属は水槽内で水と接触しても
短時間では溶出せず、廃棄物中に残存している重金属
が、処理後、処分地で新たに溶出する危険性が伴う。こ
れに対して、本発明の処理剤および処理方法は、前述し
たように廃棄物から溶出した重金属のみならず、溶出し
ていない廃棄物中の重金属も、処理剤中の珪酸塩と添加
剤Aとの反応物、または処理剤中の珪酸塩と廃棄物に由
来する多価金属イオンとの反応物内部、あるいは、その
表面に安定化することが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明に使用される珪酸塩につい
て詳細に説明する。本発明に使用される珪酸塩は可溶性
である。ここで、可溶性とは、珪酸塩がある程度の濃度
(10重量%以上)で水に溶解する性状を示すことを意
味する。既に述べたように、本発明の処理剤の性能は、
珪酸塩と添加剤Aを反応させ、ゾル状あるいは固体(ゲ
ル)が水に分散した液状となるように調製することによ
って発現する。つまり、珪酸塩と添加剤Aをあらかじめ
反応せしめることが必須条件となる。従って、珪酸塩は
可溶性のものを使用する必要があり、水溶液のものがよ
り好ましい。この珪酸塩は汎用のものでよく、珪酸リチ
ウム、珪酸ソーダ(珪酸ナトリウム)、珪酸カリウム、
珪酸アンモニウムなどが例示できる。中でも、重金属の
安定化性能、工業的入手の容易さ、価格の点から珪酸ソ
ーダが好ましく、水溶液であるJIS規格品の珪酸ソー
ダ3号などが好適なものとして例示できる。
【0014】次に、添加剤Aについて説明する。添加剤
Aは、カルシウム、マグネシウム、鉄(II)、鉄(II
I)、およびアルミニウムからなる群から選択される少な
くとも1種の多価金属イオンを含有する物質からなる。
これらは、固体でも液体でも構わないが、前述した珪酸
塩と同様の理由から、水溶液である方が好ましい。ま
た、固体の場合は、可溶性珪酸塩の水溶液や必要に応じ
て添加した水に速やかに溶解しなければならない。これ
らの添加剤Aは、重金属の安定化性能、工業的入手の容
易さ、価格などを考慮して選択すると、塩化カルシウ
ム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化ア
ルミニウム、塩化鉄(III)、硫酸マグネシウム、硫酸ア
ルミニウム、硫酸鉄(II)、アルミン酸ナトリウム、お
よびミョウバンの中から選択するのが好ましい。
【0015】可溶性珪酸塩に対する添加剤Aの添加量
は、処理剤の性能および形態を左右する非常に重要な因
子である。その量は、可溶性珪酸塩中のカチオン(例え
ば、可溶性珪酸塩が、珪酸ソーダの場合は、ナトリウ
ム)100mol部に対して、添加剤A中の多価金属イ
オンのmol部とその価数の積が0.125(1/8)
〜0.75(3/4)当量の範囲であることが好まし
い。上記範囲を超えて添加剤Aが添加される場合や、添
加剤Aの添加量が上記範囲よりも少ないときには、処理
剤の形態がゾル状あるいは固体(ゲル)分散液とならな
い場合がある。即ち、可溶性珪酸塩に対する添加剤Aの
添加量が少ないときには、これらの処理剤を使用し、本
発明に従って処理を実施した場合に、反応物が水中に浮
遊しやすくなるため、廃棄物と充分接触しにくくなり、
所望の性能を示さない可能性がある。また、可溶性珪酸
塩に対する添加剤Aの添加量が多いときには、処理剤の
形態が重金属の包含や吸着の能力が乏しい反応物を生成
する傾向にある。従って、可溶性珪酸塩に対する添加剤
Aの添加量は、上記範囲であることが好ましい。さらに
は、可溶性珪酸塩中のカチオン100mol部に対し
て、添加剤A中の多価金属イオンのmol部とその価数
の積が0.25(1/4)〜0.50(1/2)当量の
範囲とした場合は、重金属の包含や吸着の能力が優れ、
廃棄物の処理を実施した際に、反応物が水中に浮遊する
ことなく、速やかに水槽底部に沈降して、廃棄物と充分
接触することとなり、より好ましい。
【0016】本発明において、処理剤を調製する際、可
溶性珪酸塩と添加剤A、更に必要に応じて水を添加した
後、混合・攪拌することは好ましい。上記操作によっ
て、より均一で形態および性能にばらつきが少ない処理
剤を得ることが可能となる。一方、攪拌を行わない場
合、珪酸塩と添加剤Aの接触近傍とその他の部分とでは
異なる形態の反応物が生成する恐れがあり、好ましくな
い。また、処理剤を運搬・保管する際に、固形物の沈降
を防止するためにも、処理剤を攪拌することは好まし
い。
【0017】本発明の廃棄物の処理方法の好適な実施形
態について説明する。本発明の廃棄物処理方法は、水と
ともにPbなどの重金属を含有する廃棄物を収容した水
槽に、前記のような処理剤を添加するというものである
が、この場合の水槽とは、廃棄物とともに、その数10
倍の水を収容しうるものであればよく、例えば、主灰や
ばいじん等の乾物の廃棄物を加湿・冷却するために使用
される水槽であり、その構造については特に限定はな
い。
【0018】本発明において、廃棄物と処理剤が均一に
反応する、あるいは、廃棄物と処理剤の混合物(処理
物)が均一なものであることは、処理剤の性能を充分発
現せしめるために重要である。従って、水槽内を攪拌
し、廃棄物と処理剤を混合するのは好ましい。
【0019】本発明の廃棄物処理方法は、バッチ式、あ
るいは、連続式で実施される。バッチ式とは、水槽内に
廃棄物と処理剤をある一定量供給し、所定の時間が経過
した後、廃棄物と処理剤の混合物(処理物)を完全に排
出してから、次の処理を行うものである。この方式は、
比較的規模が小く、簡便な設備で済む利点がある。特
に、郊外にある比較的小規模の都市ごみ焼却施設や産業
廃棄物処理施設などには適しており、好ましい。なお、
この処理方式においては、処理物を回収した後、水槽内
の残液を再び利用して、次の処理を実施することもでき
る。
【0020】また、連続式とは、水槽内に廃棄物と処理
剤が連続して供給され、その混合物(処理物)が連続し
て排出される方式である。この方式は、都市ごみ焼却施
設に併設される湿式灰冷却装置(クリンカチャンネル、
灰出しフライトコンベア、灰出し装置)などがこれに該
当するが、本発明はこれに限定されるものではない。特
に大都市近郊の都市ごみ焼却施設は、昼夜を問わず、ご
みの焼却が行われており、主灰およびばいじんが連続的
に排出される。このように定常的に廃棄物が排出される
場合には、連続的に処理を実施する方が好ましく、作業
効率に優れる。
【0021】図1に前記湿式灰冷却装置を用いて本発明
の廃棄物処理方法を連続式で実施する際のフロート図を
示す。この湿式灰冷却装置は、都市ごみ焼却施設に併設
される装置の一例であるが、この装置内に供給された廃
棄物は、処理物払い出しコンベアにて水槽から処理物と
して排出されるのである。
【0022】本発明における廃棄物に対する処理剤の添
加量は、可溶性珪酸塩および添加剤Aの種類や両者の配
合比、さらには必要に応じて添加する水の量、即ち、珪
酸塩や添加剤Aの濃度などによって処理剤単位重量当た
りの性能が異なるため、一概にはいえないが、廃棄物中
の重金属含有量、無処理の場合の廃棄物からの重金属の
溶出量、更には目標とする重金属の溶出許容量などを考
慮し、実用的にはコスト的な面から最も少ない処理剤の
添加で目標溶出量以下にすることが、添加量を決定する
要因となる。そして、実際には、処理剤の添加量が、廃
棄物の乾燥重量100重量部に対し、処理剤中の珪酸塩
の固形分が0.1〜5重量部となる量の添加で重金属の
溶出量を法規制値以下に抑制することが可能である。処
理剤がこの範囲を超えて添加された場合、廃棄する処理
物の体積(重量)が増大し、固化物の埋立地が確保でき
ない、運送コストがアップするなどの問題が生じる。ま
た、珪酸塩の固形分が0.1重量部未満となる量では、
ほとんど重金属の溶出がないような廃棄物を除いては、
その効果を示すには不充分な量である。前記理由から、
本発明の処理剤の添加量は、廃棄物の乾燥重量100重
量部に対し、珪酸塩の固形分が0.1〜5重量部となる
量が好ましい範囲であり、特に溶出抑制が困難なPbに
対しても、その溶出量を法規制値である0.3mg/L
以下に抑制することが可能である。
【0023】
【作用】本発明の廃棄物処理剤および処理方法がPbな
どの重金属の溶出を抑制する機構は必ずしも明らではな
いが、以下のように推定しうる。 (1)処理剤中の珪酸塩が、Pbなどの重金属イオンと
反応し、不溶性の重金属珪酸塩を生成し、重金属の溶出
を抑制する。 (2)処理剤中の珪酸塩と添加剤Aとの反応物、および
処理剤中の珪酸塩と廃棄物に由来する多価金属イオンと
の反応物の内部に重金属が包含される。 (3)上記反応物表面に重金属が吸着される。従って、
本発明の廃棄物処理剤および処理方法を用いることによ
り、廃棄物中の重金属、特に廃棄物焼却主灰やばいじん
中のPbを安定化し、その溶出を抑制することが可能と
なる。
【0024】
【発明の効果】本発明の廃棄物処理剤および処理方法を
用いて、重金属を含有する廃棄物を処理することによ
り、特に廃棄物焼却主灰やばいじん中のPbが安定化さ
れ、溶出量が減少する。また、本発明で得られる廃棄物
と処理剤との配合物は、重金属の溶出量が極めて少ない
材料として、路盤材、セメントの骨材などに再利用する
ことができ貴重な資源となり得る。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】(比較例1)都市ごみ焼却施設より排出さ
れた廃棄物A(主灰とばいじんの混合物)100gを1
000gの水が入った水槽に添加し、30分間水槽内を
攪拌した(図2(a)参照。)。30分間静置後、沈降
した廃棄物を回収し、環境庁告示13号法(日本)に従
って、溶出試験を行い、Pb溶出量を測定した。
【0027】(比較例2)30分水槽内を攪拌した後、
珪酸ソーダ3号(日本化学工業株式会社製:J珪酸ソー
ダ3号,固形分濃度38.5%)を3.0g(廃棄物乾
燥重量100重量部に対し、珪酸塩の固形分が1.2重
量部)添加し、更に10分攪拌した(図2(b)参
照。)以外は、比較例1と同様にした。
【0028】(比較例3)珪酸ソーダ3号を5.0g
(廃棄物乾燥重量100重量部に対し、珪酸塩の固形分
が1.9重量部)添加した以外は、比較例2と同様にし
た。
【0029】以上の比較例1〜3の溶出試験結果を下記
表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(処理剤の調製)下記表2に示す配合に従
って調製したものを処理剤とした。
【0032】
【表2】
【0033】(実施例1〜15)珪酸ソーダ3号を3.
0g添加する代わりに、下記表3に示す処理剤を添加
(廃棄物乾燥重量100重量部に対し、珪酸塩の固形分
が0.58重量部)した以外は、比較例2と同様にし
た。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】比較例1、2と実施例1〜6の比較より、
本発明の廃棄物の処理方法を実施することによって、廃
棄物乾燥重量100重量部に対して、珪酸ソーダ固形分
の添加量が0.58重量部と半減しているにもかかわら
ず、低いPb溶出量を示した。この結果、本発明の処理
剤および処理方法が有効であることが示された。また、
添加剤Aの添加量は、可溶性珪酸塩のカチオン100m
ol部に対し、添加剤A中の多価金属イオンのmol部
とその価数の積が0.125〜0.750当量が好まし
く、更に0.250〜 0.500当量であることがよ
り好ましいことが示された。
【0036】比較例1〜3および実施例7〜16の比較
より、本発明の処理剤および処理方法を実施することに
より、可溶性珪酸塩のみを処理剤とする方法に比して、
優れた性能を示すことが明らかとなった。また、添加剤
Aとして、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ア
ルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化鉄(III)、硫
酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄(II)、ア
ルミン酸ナトリウム、およびミョウバンが有効であるこ
とが示された。
【0037】更に、処理物および処理物を回収した後の
溶液を観察したところ、比較例2および3では、溶液中
に浮遊するゲルが多量に観察された。また、処理物中に
は僅かにゲルが存在するのみであった。一方、実施例1
〜15の場合、溶液中に浮遊するゲルは観察されなかっ
た。また、処理物中には白色のゲルが混在しているのが
観察された。これらから、あらかじめ珪酸塩を添加剤A
とを反応せしめ、処理剤とすることによって、廃棄物と
混合されやすく、性能が発現しやすいことが明らかとな
り、本発明の処理剤および処理方法が有効であることが
示された。
【0038】(実施例16)実施例4と同様の実験を行
い、任意に2点サンプリングし、Pb溶出量を測定し
た。
【0039】(実施例17)処理剤添加後の攪拌を行わ
なかった以外は、実施例16と同様にした。
【0040】以上の実施例16、17の結果を表4に示
す。
【0041】
【表4】
【0042】実施例16と実施例17の比較から、水槽
内を攪拌することによって、処理物が均一となり、処理
剤の性能がより発現されやすくなることが明らかとなっ
た。よって、本発明の処理方法が有効であることが示さ
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の処理方法を連続式で実施する場合の
1例を示すフロート図である。
【図2】 (a)、(b)は、いずれも実施例における
廃棄物処理方法を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上北 正和 大阪府摂津市鳥飼西5丁目1番1号 鐘淵 化学工業株式会社内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Pbなどの重金属を含有する廃棄物の処
    理剤であって、可溶性珪酸塩と、下記添加剤A、および
    水とからなり、ゾル状あるいは水分散状であることを特
    徴とする廃棄物処理剤。 添加剤A:カルシウム、マグネシウム、鉄(II)、鉄
    (III)、およびアルミニウムからなる群から選択される
    少なくとも1種の多価金属イオンを含有する物質。
  2. 【請求項2】 前記珪酸塩が水溶液である請求項1記載
    の処理剤。
  3. 【請求項3】 前記珪酸塩が珪酸ソーダである請求項1
    記載の処理剤。
  4. 【請求項4】 前記珪酸ソーダがJIS規格品の珪酸ソ
    ーダ3号である請求項3記載の処理剤。
  5. 【請求項5】 前記添加剤Aが、塩化カルシウム、塩化
    マグネシウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウ
    ム、塩化鉄(III)、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウ
    ム、硫酸鉄(II)、アルミン酸ナトリウム、およびミョ
    ウバンからなる群から選択される少なくとも1種である
    請求項1記載の処理剤。
  6. 【請求項6】 前記添加剤Aの添加量が、可溶性珪酸塩
    中のカチオン100mol部に対して、添加剤A中の多
    価金属イオンのmol部とその価数の積が0.125〜
    0.75当量の範囲となる量である請求項1記載の処理
    剤。
  7. 【請求項7】 前記添加剤Aの添加量が、可溶性珪酸塩
    中のカチオン100mol部に対して、添加剤A中の多
    価金属イオンのmol部とその価数の積が0.25〜
    0.50当量の範囲となる量である請求項1記載の処理
    剤。
  8. 【請求項8】 前記添加剤Aが水溶液である請求項1ま
    たは請求項5記載の処理剤。
  9. 【請求項9】 前記処理剤を調製するにあたり、可溶性
    珪酸塩の水溶液、および、添加剤A、更に必要に応じて
    水を添加した後、混合、攪拌することを特徴とする請求
    項1に記載された処理剤を調製する方法。
  10. 【請求項10】 水とともにPbなどの重金属を含有す
    る廃棄物を収容した水槽に、前記請求項1〜8のいずれ
    かに記載の処理剤を添加することを特徴とする廃棄物処
    理方法。
  11. 【請求項11】 前記処理方法において、水槽内を攪拌
    する請求項10記載の処理方法。
  12. 【請求項12】 前記廃棄物が、都市ごみ焼却施設から
    排出される主灰、ばいじん、またはそれらの混合物であ
    る請求項10または請求項11記載の処理方法。
  13. 【請求項13】 前記処理方法が、バッチ式で行われる
    請求項10または請求項11記載の処理方法。
  14. 【請求項14】 前記処理方法が、廃棄物と処理剤が連
    続して水槽内に供給され、廃棄物と処理剤の混合物が連
    続して水槽内から排出されて連続式で行われる請求項1
    0または請求項11記載の処理方法。
  15. 【請求項15】 前記水槽が、廃棄物処理施設に併設さ
    れる湿式灰冷却装置である請求項12記載の処理方法。
  16. 【請求項16】 前記処理剤の添加量が、廃棄物乾燥重
    量100重量部に対して、処理剤中の珪酸塩の固形分が
    0.1〜5重量部となる量である請求項10記載の処理
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4716686A (en) * 1984-06-14 1988-01-05 Peter Lisec Device for treating the edge zones of plate-shaped elements
JP2006181432A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Kyushu Institute Of Technology 廃棄物の処理方法及び廃棄物処理用吸着材

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