JPH1039155A - 分散補償ファイバ及びそれを含む光伝送システム - Google Patents
分散補償ファイバ及びそれを含む光伝送システムInfo
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- JPH1039155A JPH1039155A JP9096133A JP9613397A JPH1039155A JP H1039155 A JPH1039155 A JP H1039155A JP 9096133 A JP9096133 A JP 9096133A JP 9613397 A JP9613397 A JP 9613397A JP H1039155 A JPH1039155 A JP H1039155A
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Abstract
適用される伝送システム全体の波長分散及び分散スロー
プを改善することを目的とする。 【解決手段】 この発明に係る分散補償ファイバ100
は、波長1.55μm帯の光に対して、少なくとも、−
40ps/km/nm以上かつ0ps/km/nm以下
の波長分散と、−0.5ps/km/nm2以上かつ−
0.1ps/km/nm2以下の分散スロープとを有
し、当該分散補償ファイバ100と補償対象である分散
シフトファイバ500とを適切な長さの比で縦続接続す
ることにより、1.55μm波長帯において、当該分散
補償ファイバ100を含むシステム全体の波長分散及び
分散スロープを改善することができる。
Description
長帯の波長多重信号光を利用した長距離かつ大容量の光
通信を可能にする光ファイバ伝送路網に適用される分散
補償ファイバ及びそれを含む光伝送システムに関するも
のである。
社会的ニーズから、光ファイバ伝送路網を利用した画像
通信などの大容量高速通信や、国際通信などの長距離通
信に関する研究開発が盛んに行われている。
光ファイバ伝送路網では、まず、伝送路が単一モードの
伝搬のみを許す光ファイバである必要がある。なぜな
ら、多モード通信の場合には、モード分散(伝搬モード
ごとの群速度の差による分散)で表される)が不可避的
に発生するからである。
が、単一モードの伝搬のみが許されるシングルモード光
ファイバである。ところが、シングルモード光ファイバ
では、モード分散が発生することはないが、材料分散
(光ファイバの材料に固有の屈折率の波長依存性による
分散)と構造分散(伝搬モードの群速度の波長依存性に
よる分散)との和で表される波長分散が伝送容量を制限
する。すなわち、光源から出力される光の波長が単一で
あると言っても、厳密には一定のスペクトル幅を有する
ので、このスペクトル幅を有する光パルスが、所定の波
長分散特性を有するシングルモード光ファイバ中を伝搬
すると、光パルスの幅が拡がりパルス形状が崩れてしま
う。この波長分散は、単位スペクトル幅(nm)及び単
位光ファイバ長(km)あたりの伝搬遅延時間差とし
て、単位(ps/km/nm)で表される。
る石英ガラス(silica glass)では、材料分散は波長
1.26〜1.29μm付近でゼロになることが知られ
ている。また、構造分散は光ファイバのパラメータによ
り変化するため、光ファイバのパラメータを最適に設計
すると、波長1.3〜1.32μm付近で材料分散と構
造分散とが相殺されて波長分散をゼロとすることができ
る。したがって、シングルモード光ファイバを用いれ
ば、波長1.3μm付近において、多モード光ファイバ
に比べてより長距離かつ大容量の光通信が可能であり、
実際に、通信距離が数百kmで通信容量が数百Mbit
/秒の光通信に用いられている。
1.55μm波長帯で最も小さく、このことから、1.
55μm波長帯の光を利用して、光通信を行うことが望
まれた。このため、波長分散がゼロとなる波長(零分散
波長)がこの波長帯にシフトされた分散シフトファイバ
が開発された。この分散シフトファイバは、材料分散に
ついては大きく変更することができないため、その屈折
率プロファイルを最適に設計して構造分散の値を変える
ことにより、零分散波長が1.55μm付近に設定され
る。また、この分散シフトファイバは、エルビウム(E
r)添加光ファイバ増幅器とともに、1.55μm波長
帯の波長多重信号光を利用した、長距離で通信容量が数
Gbit/秒の光伝送システムに採用される。
れまでに既に多数敷設されており、既存のシングルモー
ド光ファイバの伝送路網を利用して1.55μm波長帯
の光通信を行いたいとのニーズがある。そこで、1.5
5μm波長帯において正の波長分散を有するシングルモ
ード光ファイバに、負の波長分散及び負の分散スロープ
を有する分散補償ファイバを縦続接続して、これにより
光伝送路全体として波長分散及び分散スロープを相殺し
ようとする試みがなされている(例えば、特開平6−1
1620号公報)。
ラフにおける、該グラフの傾きで与えられる。
イバでは、波長1.55μm付近の所定波長においてそ
の波長分散がゼロになるよう設計されている。しかしな
がら、その波長(零分散波長)の周辺では波長分散はゼ
ロではなく、波長分散の符合を正とすると、一般に波長
が長いほど波長分散が大きくなる。換言すれば、分散ス
ロープ(波長分散の波長依存性であって、単位(ps/
km/nm2)で表される)が正符合である。このこと
は、さらに伝送容量を大容量化すべく、互いに異なる波
長の信号光成分を多重化する波長分割多重(WDM: Wa
velength Division Multiplex)方式による通信の場合
に問題となる。つまり、1.55μm波長帯の波長多重
信号光(複数の波長を有する)のうち、より長い波長の
信号光成分に対して波長分散がより大きく(正の値)な
り、波長のより短い信号光成分に対して波長分散がより
小さく(負の値)なる傾向(正の分散スロープを有す
る)があるので、これによりWDM方式の大容量化の限
界が生じる。
散及び分散スロープの双方が略ゼロとなる分散フラット
光ファイバの研究について、例えば、久保ら、「二重ク
ラッド型低分散SMファイバの諸特性」、1990年電
子情報通信学会春季全国大会予稿集、C−374、及
び、P.K. Bachmann et.al., "Dispersion-Flattened Si
ngle-Mode Fibers Prepared with PCVD: Performance,
Limitations, Design Optimization", J. of Lightwave
Technol., Vol.LT-4, No.2, pp.858-863 (1986))に報
告されている。しかしながら、当該分散フラットファイ
バは、コア径等のサイズや屈折率プロファイルを極めて
精密に制御する必要があり製造が困難であるため、未だ
実用化には至っていない。
めになされたもので、補償対象である従来の光ファイバ
伝送路と、この発明に係る分散補償ファイバとをそれぞ
れ適当な長さにして光学的に接続することにより、1.
55μm波長帯において光伝送路全体の波長分散及び分
散スロープを改善し(波長分散及び分散スロープの絶対
値をゼロに近づける)、長距離かつ大容量の光通信を可
能にする分散補償ファイバ、及びそれを含む光伝送シス
テムを提供することを目的としている。
ファイバは、主に、零分散波長が1450〜1650n
mの範囲に設定された分散シフトファイバ及びこの分散
シフトファイバを含む光ファイバ伝送路を、その補償対
象としている。さらに、好ましくは、この発明に係る分
散補償ファイバは、零分散波長が1450〜1550n
mの範囲に設定された分散シフトファイバ及びこの分散
シフトファイバを含む光ファイバ伝送路を、その補償対
象としている。これら分散補償対象は、いずれも正の分
散スロープを有する。
イバは、1.55μm波長帯の光に対する諸特性とし
て、−40ps/km/nm以上かつ0ps/km/n
m以下の波長分散と、−0.5ps/km/nm2以上
かつ−0.1ps/km/nm2以下の分散スロープ
と、0.5dB/km以下の伝送損失と、0.7ps・
km-1/2以下の偏波モード分散と、4.5μm以上かつ
6.5μm以下のモードフィールド径と、2mの基準長
において0.7μm以上かつ1.7μm以下のカットオ
フ波長と、そして、100dB/m以下の、直径20m
mでの曲げ損失とを有することを特徴としている。
波長帯とは、波長1500〜1600nmの範囲の帯域
を意味する。
光ファイバ(主に、分散シフトファイバあるいはこの分
散シフトファイバを含む伝送システム)とが所定長比で
光学的に接続されることにより、1.55μm波長帯に
おいて伝送路全体の波長分散、及び分散スロープを改善
することが可能となる。さらに、これらの特性、並び
に、伝送損失、偏波モード分散、モードフィールド径、
カットオフ波長(2mの基準長におけるカットオフ波
長)及び曲げ損失(直径20mmでの曲げ損失)それぞ
れの条件から、長距離かつ大容量の光通信が可能とな
る。
は、1.55μm波長帯の光に対して、その波長分散
が、−20ps/km/nm以上かつ−5ps/km/
nm、そして、分散スロープが、−0.4ps/km/
nm2以上かつ−0.13ps/km/nm2以下である
ことがより好ましい。このように、波長分散及び分散ス
ロープを設定することにより、当該分散補償ファイバを
含む光伝送システム(零分散波長が、波長1450〜1
650nm、好ましくは1450〜1550nmの範囲
に設定された分散シフトファイバを含む)全体を、さら
に好適に補償することができる(全体の波長分散及び分
散スロープの絶対値をよりゼロに近づけられる)。
散補償ファイバは、少なくとも、所定の屈折率を有する
ガラス領域であって、3.5μm以上かつ6.0μm以
下の外径を有するコア領域と、コア領域の外周に設けら
れ、かつ該コア領域よりも低い屈折率を有する内側クラ
ッド領域と、そして、内側クラッド領域の外周に設けら
れ、かつ該内側クラッド領域よりも高くコア領域よりも
低い屈折率を有する外側クラッド領域とを備えた、石英
ガラスを主成分とするシングルモード光ファイバであ
る。特に、当該分散補償ファイバは、上記内側クラッド
領域の外径に対する上記コア領域の外径の比は、0.3
以上かつ0.5以下であり、上記外側クラッド領域と上
記コア領域における最大屈折率の部位との比屈折率差
は、0.6%以上かつ1.4%以下であり、そして、上
記外側クラッド領域と上記内側クラッド領域における最
小屈折率を有する部位との比屈折率差は、0.25%以
上かつ0.65%以下であることを特徴としている。
ッド構造を有する場合、当該分散補償ファイバは、上記
内側クラッド領域と外側クラッド領域との間に、該外側
クラッドよりも高くコア領域よりも低い屈折率を有する
中間クラッド領域を備える。なお、この中間クラッド領
域における最大屈折率を有する部位と外側クラッド領域
との比屈折率差は、0.2%以上かつ0.5%以下であ
る。
補償ファイバは、上記コア領域に、ゲルマニウム元素が
添加され、そして、上記内側クラッド領域に、フッ素元
素が添加されていることが、少ないドーパント濃度で十
分な比屈折率差を得る上で好ましい。加えて、上記外側
クラッド領域にも、フッ素元素が添加された構成も実現
可能である。
は、該分散補償ファイバと光学的に接続された、光伝送
路の一部を構成する他の光ファイバ(補償対象)ととも
に光伝送システムを構成する(図1参照)。当該分散補
償ファイバを含む光伝送システムは、光伝送路全体とし
て、1.5μm波長帯の光に対し、−0.02ps/k
m/nm2以上かつ0.05ps/km/nm2以下の分
散スロープを有するのが好ましく、このような光伝送シ
ステムでは、長距離でかつ大容量の光伝送が可能とな
り、特に、WDM方式により多波長の光を利用した光通
信を実現する場合には、さらに長距離でかつ大容量の光
通信が可能となる。
送システムの光伝送路を構成する、分散補償の対象であ
る光ファイバ伝送路は、その零分散波長が1560nm
以下にシフトされた分散シフトファイバであることが好
ましい。補償対象が1.56μm以下の零分散波長を有
する分散シフトファイバである場合には、該分散シフト
ファイバの波長分散及び波長分散スロープは、この発明
に係る分散補償ファイバにより容易に補償される。
バと補償対象である分散シフトファイバを含む光伝送シ
ステムは、さらに光伝送路の一部を構成する光ファイバ
増幅器を備えてもよい。この光ファイバ増幅器は、コア
領域にエルビウム元素が添加された増幅用光ファイバ
と、該増幅用光ファイバ内のエルビウム元素を励起する
励起光を、該増幅用光ファイバに出力するための励起光
源と、そして、該励起光源と該増幅用光ファイバとを光
学的に結合させるための光結合器とを、少なくとも備え
る。なお、この該光伝送システム中に挿入される増幅用
光ファイバの長さは、当該分散補償ファイバの補償対象
である、分散シフトファイバあるいは該分散シフトファ
イバを含む光伝送路全体の長さと比較して、非常に短い
ため、光伝送路全体として補償すべき波長分散及び分散
スロープへの寄与は無視できる。
は、そのコア領域に、エルビウム元素が添加された構成
でもよい。このようにエルビウム元素を含む当該分散補
償ファイバは、増幅用光ファイバとして機能することが
できる。
添加された当該分散補償ファイバを含む光伝送システム
は、この発明に係る分散補償ファイバと、該分散補償フ
ァイバと光学的に接続された、光伝送路の一部を構成す
る他の光ファイバ(補償対象)と、該分散補償ファイバ
内のエルビウム元素を励起する励起光を、該分散補償フ
ァイバに出力するための励起光源と、そして、該励起光
源と該分散補償ファイバとを光学的に結合させるための
光結合器とを備える。この構成により、当該分散補償フ
ァイバを含む光伝送システムは、光伝送路全体として、
1.5μm波長帯の光に対し、−0.02ps/km/
nm2以上かつ0.05ps/km/nm2以下の分散ス
ロープを有する。このような光伝送システムでは、より
長距離かつ大容量で低損失の光通信が可能となる。
係る分散補償ファイバを有する)を含む光伝送システム
において、上記分散補償の対象は、その零分散波長が1
560nm以下にシフトされた分散シフトファイバであ
ることが好ましい。
ァイバ及びそれを含む光伝送システムについて、図1〜
図11を用いて説明する。なお、図面の説明において同
一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略す
る。
55μm波長帯において以下のような特性を有する。す
なわち、波長分散は−40〜0ps/km/nmの範
囲、分散スロープは−0.5〜−0.1ps/km/n
m2 の範囲、伝送損失は0.5dB/km以下、偏波モ
ード分散(PMD)は0.7ps・km-1/2以下、モー
ドフィールド径(MFD)は4.5〜6.5μmの範
囲、カットオフ波長は0.7〜1.7μmの範囲、そし
て、直径20mmでの曲げ損失は100dB/m以下で
ある。
合、一般に、2mの基準長(CCITT−G.650に
よる測定法)で信号光波長よりも短い1.55μm以下
のカットオフ波長が選択される。カットオフ波長の一般
的な評価の基準である2mという短い長さでは、当該分
散シフトファイバの場合、伝送光の基底モードばかりで
はなく高次モードも伝搬することもある(例えば2mの
基準長でのカットオフ波長が1.7μmの場合)。しか
しながら、高次モードは基底モードと比べて分散シフト
ファイバ中の伝搬における減衰率が高いので、数kmの
伝搬長であれば基底モードに比べて十分に小さくなる。
したがって、海底通信ケーブルのように伝搬距離が数百
から数千kmに及ぶ場合には、高次モードによる問題が
生じることはない。また、上記曲げ損失は、直径20m
mの心棒(mandrel)に巻きつけられた状態で測定され
た、当該分散補償ファイバの伝送損失の増加分である。
そして、この明細書において、1.55μm波長帯と
は、1500〜1600nmの範囲の帯域である。
するように、補償対象である他の光ファイバ(例えば、
シングルモード光ファイバ、分散シフトファイバ、これ
らファイバを含む光ファイバ伝送路全体)の波長分散だ
けでなく分散スロープをも補償するものである。特に、
分散シフトファイバの波長分散及び分散スロープを補償
するのに好適である。また、波長分散が−20〜−5p
s/km/nmの範囲内であり、かつ分散スロープが−
0.4〜−0.13ps/km/nm2 の範囲内であれ
ば、分散シフトファイバの波長分散及び分散スロープを
補償する上でより好ましい。
む光伝送システムの構成について図1及び図2を用いて
説明する。
100と主な補償対象である分散シフトファイバ500
とが光学的に接続された光伝送システムの構成を示す図
である。この光伝送システムにおいて、当該分散補償フ
ァイバ100の一端(入射端)は光ファイバ伝送路10
(シングルモード光ファイバ)を介して送信器TXと光
学的に接続されるとともに、他端(出射端)は分散シフ
トファイバ500の一端(入射端)に光学的に接続され
ている。さらに、分散シフトファイバ500の他端(出
射端)は、光ファイバ伝送路10(シングルモード光フ
ァイバ)を介して光学的に受信器RXに接続されてい
る。なお、図1では、当該分散補償ファイバ100は、
分散シフトファイバ500の上流側に配置されている
が、該分散シフトファイバ500の下流側に配置されて
もよい。また、図1に示された光伝送システムの光伝送
路は、双方向通信可能な光伝送路網であってもよい。
ァイバを含む光伝送システムであって、その光伝送路中
に光ファイバ増幅器600が配置されている。特に、こ
の光ファイバ増幅器600の増幅用光ファイバ610
(少なくともコア領域にエルビウム元素が添加されてい
る)は、当該光伝送システムの伝送路の一部を構成して
いる。
端)が光ファイバ伝送路10(シングルモード光ファイ
バ)を介して送信器TXと光学的に接続された光ファイ
バは、この発明に係る分散補償ファイバ100と分散シ
フトファイバ500とが縦続接続された図1に示された
構造の光ファイバ伝送路と同様の構成にすることが可能
である。一方、この光ファイバ伝送路700の他端(出
射端)と光学的に接続される上記光ファイバ増幅器60
0の一端(入射端)との間には光アイソレータ800は
配置され、該光ファイバ増幅器600の増幅用光ファイ
バ610中のエルビウム元素を励起するための励起光
が、当該光伝送路中を伝搬するのを防止している。この
光ファイバ増幅器600の他端(出射端)は、光ファイ
バ伝送路10(シングルモード光ファイバ)を介して受
信器RXと光学的に接続されている。なお、上記光ファ
イバ伝送路700及び光ファイバ増幅器600の配置位
置には特に制限はなく、また、当該光伝送システムにお
ける光伝送路は双方向光通信が可能な構成であってもよ
い。
中に配置された光ファイバ増幅器600は、少なくとも
コア領域にエルビウム元素が添加された増幅用光ファイ
バ610と、この増幅用光ファイバ610内のエルビウ
ム元素を励起する励起光を、該増幅用光ファイバ610
に出力するための励起光源640と、そして、該励起光
源640と該増幅用光ファイバ610とを光学的に結合
させるための光結合器620とを備えている。なお、図
2中の630は無反射終端である。また、この光ファイ
バ増幅器600の増幅用光ファイバ610の長さは、光
伝送路全体への波長分散及び分散スロープの寄与は無視
できるほど、光伝送路全体の長さに比べて十分に短い。
おいて、上記光ファイバ増幅器600の増幅用光ファイ
バ610を、この発明に係る分散補償ファイバ100で
構成することも可能である。すなわち、この発明に係る
分散補償ファイバ100のコア領域中にエルビウム元素
が添加されることにより、当該分散補償ファイバ100
は、増幅用光ファイバ610として機能する。なお、こ
の構成では、光ファイバ伝送路700は、当該分散補償
ファイバ100を除く分散シフトファイバ500だけを
含む。
波長分散及び分散スロープの補償について説明する。図
3は、この発明に係る分散補償ファイバによる波長分散
の補償及び分散スロープの補償を説明するためのグラフ
である。このグラフにおいて、横軸は信号光の波長(単
位はnm)であり、縦軸は波長分散(単位はps/km
/nm))である。
この発明に係る分散補償ファイバの波長分散特性である
(以下、当該分散補償ファイバをDCFで示す)。な
お、この発明に係る分散補償ファイバDCFは、上述さ
れたように、1.55μm波長帯において波長分散が−
40〜0ps/km/nmの範囲、かつ分散スロープが
−0.5〜−0.1ps/km/nm2 の範囲内に設定
されている。
た曲線は、分散シフトファイバの波長分散特性である
(以下、この分散シフトファイバをDSF−1で示
す)。この分散シフトファイバDSF−1は、構造分散
が適切に設計されて、波長1.5μm付近で波長分散が
ゼロであり、1.55μm波長帯において分散スロープ
が正の値である。この分散シフトファイバDSF−1
は、例えば、波長1.55μmにおいて、波長分散が3
ps/km/nmであり、分散スロープが0.065p
s/km/nm2 である。
DCFと分散シフトファイバDSF−1とをそれぞれ適
切な長さの比で縦続接続された光伝送路(この光伝送路
全体の波長分散特性は、グラフ中の”DCF+DSF−
1”で表された曲線で示される)では、全体の波長分散
は略ゼロになり、また、全体の分散スロープは、−0.
02〜+0.05ps/km/nm2 の範囲内に納り略
フラットになる。このように、光伝送路全体の波長分散
及び分散スロープそれぞれは、当該分散補償ファイバD
CF及び分散シフトファイバDSF−1のいずれか一方
の、単独の波長分散及び分散スロープよりもその絶対値
が小さくなる。すなわち、分散シフトファイバDSF−
1の波長分散及び分散スロープの双方が、1.55μm
波長帯において当該分散補償ファイバDCFにより効果
的に補償される。
CFと上記分散シフトファイバDSF−1とを接続した
場合の光伝送路全体の伝送損失及び偏波モード分散(P
MD)それぞれについては、長距離かつ大容量の光通信
を行うに際して何等問題が生じることはない。また、モ
ードフィールド径(MFD)、カットオフ波長及び曲げ
損失それぞれは、この発明に係る分散補償ファイバDC
F及び上記分散シフトファイバDSF−1それぞれ単独
にて評価されるべきものであるが、両者が縦続接続され
た光伝送路でも、長距離かつ大容量の光通信を行うに際
して何等問題が生じることはない。したがって、WDM
方式による通信であっても、1.55μm波長帯の各信
号光成分に対して波長分散が改善され、また、他の特性
値についても光通信を行う上で何等問題がないので、さ
らに長距離かつ大容量の光通信が可能となる。
で表された曲線は、波長1.6μm付近で波長分散がゼ
ロとなるような分散シフトファイバの波長分散特性を示
している(以下、この分散シフトファイバをDSF−2
で示す)。この分散シフトファイバDSF−2とこの発
明に係る分散補償ファイバDCFとが縦続接続された光
伝送路(この光伝送路全体に波長分散特性は、グラフ中
の”DCF+DSF−2”で表された曲線で示される)
では、1.55μm波長帯において、全体の波長分散ス
ロープは略フラットになるものの、全体の波長分散は負
の値であってさらにその絶対値が大きくなっている。
散補償ファイバの第1実施例(2重クラッド構造を有す
る)の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図で
ある。
構造を有する分散補償ファイバ100a(第1実施例)
は、石英ガラスを主成分とするシングルモード光ファイ
バであって、所定の屈折率を有するコア領域110と、
コア領域110の外周に設けられたガラス領域であっ
て、該コア領域110よりも低い屈折率を有する内側ク
ラッド領域111と、そして、内側クラッド領域111
の外周に設けられ、かつ該内側クラッド領域111より
も高くコア該領域110よりも低い屈折率を有する外側
クラッド領域112とを備えてる。
に対するコア領域110の外径2aの比Ra(=2a/
2b)は、0.3以上かつ0.5以下であり、コア領域
の外径は3.5μm以上かつ6.0μm以下である。ま
た、外側クラッド領域112とコア領域110における
最大屈折率の部位との比屈折率差Δ+は、0.6%以上
かつ1.4%以下であり、外側クラッド領域112と内
側クラッド領域111における最小屈折率を有する部位
との比屈折率差Δ-は、0.25%以上かつ0.65%
以下である。
aの横軸は、当該分散補償ファイバ100aの断面(伝
搬する信号光の進行方向に対して垂直な面)における線
L1上の各位置に相当している。さらに、この屈折率プ
ロファイル200aにおいて、領域210は上記コア領
域110の線L1上の各部位における屈折率
(ncore)、領域220は上記内側クラッド111の線
L1上の各部位における屈折率(nclad1)、そして領
域230は上記外側クラッド領域112の線L1上の各
部位における屈折率(nclad2)に対応している。そし
て、この実施例では、コア領域110の径方向に屈折率
プロファイルは、グレーディッドインデックス型であっ
て、内側クラッド領域111の屈折率は他のガラス領域
の屈折率よりも低くなっており、当該分散補償ファイバ
100aの屈折率プロファイル200aに凹みA(depr
ession)が形成されている。特に、このような凹みAが
設けられた屈折率プロファイルを、ディプレスト・クラ
ッディング型プロファイル(depressed cladding type
profile)という。
以下のように定義されている。
パラメータは、以下のように設定されている。
百分率で表示されている。
ような比屈折率差は、石英ガラスを主成分とする光ファ
イバの場合、例えば、屈折率増加材であるゲルマニウム
元素(Ge)が添加されたコア領域110と、屈折率低
下材であるフッ素元素(F)が添加された内側クラッド
領域111によって実現することができる。また、外側
クラッド領域112もフッ素元素を含んでもよい。な
お、この第1実施例の分散補償ファイバ100aは、例
えば、VAD法(Vapour-phase Axial Deposition)に
より容易にえられる。また、上記パラメータの許容範囲
が比較的広いので、この点でも製造が容易である。
散補償ファイバの第2実施例(3重クラッド構造を有す
る)の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図で
ある。
構造を有する分散補償ファイバ100b(第2実施例)
は、石英ガラスを主成分とするシングルモード光ファイ
バであって、所定の屈折率を有するコア領域120と、
コア領域120の外周に設けられたガラス領域であっ
て、該コア領域120よりも低い屈折率を有する内側ク
ラッド領域121と、内側クラッド領域121の外周に
設けられ、かつ該内側クラッド領域121よりも高くコ
ア領域120よりも低い屈折率を有する中間クラッド領
域122と、そして、中間クラッド領域122の外周に
設けられ、該中間クラッド領域122よりも低くかつ内
側クラッド領域121よりも高い屈折率を有する外側ク
ラッド領域123とを備えてる。
に対するコア領域120の外径2aの比Ra(=2a/
2b)及びコア領域120の外径は、上述された第1実
施例の範囲(Ra=0.3〜0.5;2a=3.5μm
〜6.0μm)よりも広い範囲に設定されるのが好まし
い。であり、コア領域の外径は3.5μm以上かつ6.
0μm以下である。また、外側クラッド領域123とコ
ア領域120における最大屈折率の部位との比屈折率差
Δ+は、0.6%以上かつ1.4%以下、外側クラッド
領域123と内側クラッド領域121における最小屈折
率を有する部位との比屈折率差Δ-は、0.25%以上
かつ0.65%以下であり、上述された第1実施例のこ
れらと同様である。
aの横軸は、当該分散補償ファイバ100bの断面(伝
搬する信号光の進行方向に対して垂直な面)における線
L2上の各位置に相当している。さらに、この屈折率プ
ロファイル300aにおいて、領域310は上記コア領
域120の線L2上の各部位における屈折率
(ncore)、領域320は上記内側クラッド121の線
L2上の各部位における屈折率(nclad1)、領域33
0は上記中間クラッド領域122の線L2上の各部位に
おける屈折率(nclad2)、そして領域340は上記外
側クラッド領域123の線L2上の各部位における屈折
率(nclad3)に対応している。そして、この実施例で
は、コア領域120の径方向に屈折率プロファイルは、
グレーディッドインデックス型であって、内側クラッド
領域121の屈折率は他のガラス領域の屈折率よりも低
くなっており、当該分散補償ファイバ100bの屈折率
プロファイル300aに凹みA(depression)が形成さ
れている。特に、このような凹みAが設けられた屈折率
プロファイルを、ディプレスト・クラッディング型プロ
ファイル(depressed cladding type profile)とい
う。
以下のように定義されている。
は、中間クラッド領域122における最大屈折率を有す
る部位と外側クラッド領域123との比屈折率差Δrは
以下のように与えられている。
(2重クラッド構造)と同一の範囲であって、コア領域
120の外径2a及び外径比Raの範囲は該第1実施例
の範囲よりも広い範囲である。また、この明細書では各
ガラス領域間の比屈折率差は、百分率で表示されてい
る。
300aは、屈折率増加材であるゲルマニウム元素が添
加されたコア領域120及び中間クラッド領域122
と、屈折率低下材であるフッ素元素が添加された内側ク
ラッド領域121によって実現できる。また外側クラッ
ド領域123もフッ素元素を含んでもよい。
散補償ファイバの第3実施例(3重クラッド構造を有す
る)の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図で
ある。なお、この第3実施例は、上述された第2実施例
と比較して、中間クラッド領域の径方向の屈折率プロフ
ァイルがグレーディッドインデックス型になっている点
が異なっている(第2実施例の中間クラッド領域の径方
向の屈折率プロファイルはステップインデックス型)。
構造を有する分散補償ファイバ100c(第3実施例)
は、石英ガラスを主成分とするシングルモード光ファイ
バであって、上述された第2実施例と同様に、所定の屈
折率を有するコア領域130と、コア領域130の外周
に設けられたガラス領域であって、該コア領域130よ
りも低い屈折率を有する内側クラッド領域131と、内
側クラッド領域131の外周に設けられ、かつ該内側ク
ラッド領域131よりも高い屈折率を有する中間クラッ
ド領域132と、そして、中間クラッド領域132の外
周に設けられ、該中間クラッド領域132よりも低くか
つ内側クラッド領域131よりも高い屈折率を有する外
側クラッド領域133とを備えている。
aの横軸は、当該分散補償ファイバ100cの断面(伝
搬する信号光の進行方向に対して垂直な面)における線
L3上の各位置に相当している。さらに、この屈折率プ
ロファイル400aにおいて、領域410は上記コア領
域130の線L3上の各部位における屈折率
(ncore)、領域420は上記内側クラッド131の線
L3上の各部位における屈折率(nclad1)、領域43
0は上記中間クラッド領域122の線L3上の各部位に
おける屈折率(nclad2)、そして領域440は上記外
側クラッド領域133の線L3上の各部位における屈折
率(nclad3)に対応している。そして、この実施例で
は、コア領域130の径方向に屈折率プロファイルは、
グレーディッドインデックス型であって、内側クラッド
領域131の屈折率は他のガラス領域の屈折率よりも低
くなっており、当該分散補償ファイバ100cの屈折率
プロファイル400aに凹みA(depression)が形成さ
れている。特に、このような凹みAが設けられた屈折率
プロファイルを、ディプレスト・クラッディング型プロ
ファイル(depressed cladding type profile)とい
う。
Δ-、及びΔr、並びに他のパラメータRa、2aの定義
及び数値については、上述された第2実施例と同様であ
る。
ロファイル200a〜400aは、この発明に係る分散
補償ファイバの屈折率プロファイルの例示であって、当
該分散補償ファイバの屈折率プロファイルは、これらに
限定されるものではなく、例えば図7〜図9に示された
形状の屈折率プロファイルであってもよい。
イル200a(第1実施例)の変形例を示す図である。
図中左上に示された屈折率プロファイルは、図4の屈折
率プロファイル200aである。屈折率プロファイル2
00bは、図4の屈折率プロファイル200aにおい
て、コア領域110の中央部に屈折率の落ち込みが生じ
たものであり、MCVD(Modified Chemical Vapour D
eposition )法で製造する場合に発生し易いとされてい
るものである。また、屈折率プロファイル200cは、
図4の屈折率プロファイル200aで、コア領域110
における径方向の屈折率を一定としてステップインデッ
クス型としたものである。
00fは、それぞれ上述された屈折率プロファイル20
0a〜200cに対応しており、内側クラッド領域11
1における径方向の屈折率が、一定ではなく、中心から
周辺部に向かって次第に減少している。また、屈折率プ
ロファイル200g〜200iは、それぞれ上述された
屈折率プロファイル200a〜200cに対応してお
り、内側クラッド領域111における径方向にの屈折率
が、一定ではなく、中心から周辺部に向かって一旦減少
し再び増加している。これらの内側クラッド領域111
における屈折率プロファイルの径方向の形状は、実際の
製造において生じ易いものである。
0iを有する分散補償ファイバは、図4に示された屈折
率プロファイル200aを有する分散補償ファイバと同
等の特性を有するものである。
ロファイル300a(第2実施例)の変形例を示す図で
ある。図中左上の屈折率プロファイルは、図5の屈折率
プロファイル300aである。また、屈折率プロファイ
ル300bは、図5の屈折率プロファイル300aにお
いて、コア領域120の中央部に屈折率の落ち込みが生
じたものである。屈折率プロファイル300cは、図5
の屈折率プロファイル300aにおいて、コア領域12
0における径方向の屈折率を一定としてステップインデ
ックス型としたものである。
0fは、それぞれ上述された屈折率プロファイル300
a〜300cに対応しており、内側クラッド領域121
における径方向の屈折率が、一定ではなく、中心から周
辺部に向かって次第に減少している。また、屈折率プロ
ファイル300g〜300iは、それぞれ上述された屈
折率プロファイル300a〜300cに対応しており、
内側クラッド領域121における径方向の屈折率が、一
定ではなく、中心から周辺部に向かって一旦減少し再び
増加している。
0iを有する分散補償ファイバは、図5に示された屈折
率プロファイル300aを有する分散補償ファイバと同
等の特性を有するものである。
400a(第3実施例)の変形例を示す図である。図中
左上の屈折率プロファイルは、図6の屈折率プロファイ
ル400aと同じものである。屈折率プロファイル40
0bは、図6の屈折率プロファイル400aにおいて、
コア領域130の中央部に屈折率の落ち込みが生じたも
のである。屈折率プロファイル400cは、図6の屈折
率プロファイル400aにおいて、コア領域130にお
ける径方向の屈折率を一定としてステップインデックス
型としたものである。
0fは、それぞれ上述された屈折率プロファイル400
a〜400cに対応しており、内側クラッド領域131
における径方向の屈折率が、一定ではなく、中心から周
辺部に向かって次第に減少している。また、屈折率プロ
ファイル400g〜400iは、それぞれ上述された屈
折率プロファイル400a〜400cに対応しており、
内側クラッド領域131における径方向の屈折率が、一
定ではなく、中心から周辺部に向かって一旦減少し再び
増加している。
0iを有する分散補償ファイバは、図6に示された屈折
率プロファイル400aを有する分散補償ファイバと同
等の特性を有するものである。
200aを有する分散補償ファイバの諸特性についてシ
ミュレーションを行った実験結果について説明する。図
10は、シミュレーション結果を示す表である。4つの
パラメータΔ+ 、Δ- 、2a及びRa(=2a/2b)
について11通りの条件を設定して、光ファイバの特性
値を求めた。各条件に対応して用意されたファイバ(試
料)は、それぞれNo.1〜No.11と表されてい
る。
ァイバ)No.1〜No.11それぞれについて、波長
分散(表中 Disp@1550で示し、単位はps/km/nm)、分
散スロープ(表中Slope@1550で示し、単位はps/km/n
m2)、主な補償対象である分散シフトファイバと上述の
各光ファイバNo.1〜No.11のいずれかとが縦続
接続されて構成された光伝送路全体の分散スロープ(表
中Total Slope@1550で示し、単位はps/km/nm2)、伝送
損失(表中Loss@1550で示し、単位はdB/km)、偏波モ
ード分散(表中PMDで示し、単位はps・km-1/2)、2mの
基準長におけるカットオフ波長(表中Cut-Offで示し、
単位はμm)、及び直径20mmでの曲げ損失(表中Ben
d Lossで示し、単位はdB/m)それぞれを シミュレーシ
ョンにより求めた。
補償対象である分散シフトファイバは、波長1.50μ
mにおいてその波長分散がゼロであり、波長1.55μ
mにおいて波長分散および分散スロープそれぞれが3p
s/km/nmおよび0.065ps/km/nm2 で
ある。また、上述されたNo.1〜No.11の分散補
償ファイバと上記分散シフトファイバとから構成された
光伝送路全体の分散スロープは、この分散シフトファイ
バとファイバNo.1〜No.11のいずれかとを所定
長比で縦続接続して全体の波長分散が1.55μmでゼ
ロとなるときの値である。
o.7及びNo.8は、上記補償対象(上述の特性を有
する分散シフトファイバ)を含む伝送システムに適用す
るのは好ましくない。また、ファイバNo.9の場合
は、コア領域の外径2aが条件(3)を満たしていない
ため、それぞれこの発明に係る分散補償ファイバとして
実現することができない。
〜No.6、ファイバNo.10、及びファイバNo.
11)は、条件(1)から(4)の条件を全て満たして
いるので、これらの試料については、この発明に係る分
散補償ファイバが実現できる。さらに、これらの試料の
いずれかと上記分散シフトファイバとが縦続接続された
ときの光伝送路全体の分散スロープは、−0.02〜
0.05ps/km/nm2となり、略フラットである
と言える。したがって、1.55μm波長帯でWDM方
式により波長多重信号光(複数の波長を含む)で光通信
を行うとき、各信号光成分の波長範囲において分散スロ
ープが十分低減されるため、長距離かつ大容量の光通信
が可能となる。
は、波長分散が−20〜−5ps/km/nmの範囲で
あり、分散スロープが−0.4〜−0.13ps/km
/nm2の範囲であるので、また、分散シフトファイバ
と縦続接続したときの光伝送路全体の分散スロープが
0.01〜0.02ps/km/nm2となるので、分
散シフトファイバで生じた各信号光成分の波長分散及び
分散スロープを補償する上でさらに好適であり、WDM
方式による通信にさらに好適に用いられ得る。
率プロファイル300aを有する分散補償ファイバ(3
重クラッド構造)の諸特性についても、同様なシミュレ
ーションを行った。図11は、そのシミュレーション結
果を示す表である。5つのパラメータΔ+ 、Δ- 、
Δr、2a及びRa(=2a/2b)について3通りの
条件を設定して、光ファイバの特性値を求めた。各条件
に対応して用意されたファイバ(試料)は、それぞれN
o.12〜No.14と表されている。
た2重クラッド構造の場合と同様である。また、想定さ
れた分散シフトファイバ(補償対象)も上述されたファ
イバと同様である。
(光ファイバ)No.12〜No.14は、波長分散が
−30〜−5ps/km/nmの範囲であり、分散スロ
ープが−0.39〜−0.06ps/km/nm2の範
囲であるので、また、分散シフトファイバと縦続接続し
たときの光伝送路全体の分散スロープが0.03ps/
km/nm2となるので、分散シフトファイバで生じた
各信号光成分の波長分散及び分散スロープを補償する上
でさらに好適であり、WDM方式による通信にさらに好
適に用いられ得る。
00が適用された光伝送システムでは、図2に示された
ように、当該分散補償ファイバ100と分散シフトファ
イバ500とを縦続接続して使用するだけでなく、例え
ば光ファイバ増幅器600をさらに縦続接続した構成も
可能である。また、この発明に係る分散補償ファイバ1
00、分散シフトファイバ500(分散補償ファイバ1
00とともに光ファイバ伝送路700を構成する)及び
光ファイバ増幅器700は、如何なる順序で縦続接続さ
れても構わない。光ファイバ増幅器600の増幅用光フ
ァイバ610としては、希土類元素(例えばEr元素)
が添加された光ファイバ(EDF: Erbium Doped Fibe
r)を利用した光ファイバ増幅器(EDFA: Erbium Do
ped FiberAmplifier)を用いれば、1.55μm波長帯
の波長多重信号光を光増幅するのに好適である。当該分
散補償ファイバ100及び分散シフトファイバ500そ
れぞれの長さ、並びに、光ファイバ増幅器600の配置
間隔及び増幅率は、当該分散補償ファイバ100及び分
散シフトファイバ500それぞれの波長分散及び伝送損
失に基づいて最適に決定される。以上のような構成によ
り、当該光伝送システムにおける光伝送路全体の波長分
散及び分散スロープを効果的に改善(ゼロに近づける)
することができるだけでなく、伝送損失も十分低減する
ことが期待できる。したがって、このような構成におい
ても、大容量の信号光が長距離の光伝送路を低損失に伝
送され得る。
体のコア領域にEr元素を添加してもよい。この場合、
励起光源640から出力された波長1.48μmの励起
光を光結合器620を介して当該分散補償ファイバに伝
搬させることにより反転分布が形成され、分散補償ファ
イバ内を伝搬する信号光は増幅される。すなわち、この
分散補償ファイバは、波長分散及び分散スロープを補償
するだけでなく、増幅用光ファイバとしても作用するこ
とになる。したがって、このEr添加の分散補償ファイ
バを増幅用光ファイバとして用い、さらに、励起光を出
力する励起光源640と、励起光を分散補償ファイバに
導く光結合器と、信号光の伝搬方向にのみ光(信号光、
励起光、自然放出光)を透過させる光アイソレータ80
0と、励起光及び自然放出光を遮断し信号光のみを透過
させるフィルタ等とを一体化して、光ファイバ増幅器6
00を構成してもよい。この場合、分散シフトファイバ
の波長分散及び分散スロープは、分散補償ファイバによ
り補償されるだけでなく、分散シフトファイバにおいて
生じた伝送損失は、分散補償ファイバにおける光増幅作
用により相殺され得る。
してもよい。すなわち、信号光の波長とは異なるがその
波長値に近い波長を有し且つ十分に光量の大きい励起光
を、光結合器620を介して分散補償ファイバに伝搬さ
せることにより、ラマン効果により信号光を増幅させ
る。この場合も、分散シフトファイバの波長分散及び分
散スロープは、分散補償ファイバにより補償されるだけ
でなく、分散シフトファイバにおいて生じた伝送損失
は、分散補償ファイバにおける光増幅作用により相殺さ
れ得る。
ファイバの、1.55μm波長帯における諸特性は、波
長分散が−40ps/km/nm以上かつ0ps/km
/nm以下、分散スロープが−0.5ps/km/nm
2 以上かつ−0.1ps/km/nm2 以下、伝送損失
が0.5dB/km以下、偏波モード分散が0.7ps
・km-1/2以下、モードフィールド径が4.5μm以上
かつ6.5μm以下、カットオフ波長が0.7μm以上
かつ1.7μm以下、そして直径20mmでの曲げ損失
が100dB/m以下である(特に、波長分散は−20
ps/km/nm以上かつ−5ps/km/nm以下で
あり、分散スロープは−0.4ps/km/nm2 以上
かつ−0.13ps/km/nm2 以下であることが好
ましい)。
(特に、分散シフトファイバあるいは分散シフトファイ
バを含む光伝送路)とを所定長比で光学的に続接続すれ
ば、1.55μm波長帯において光伝送路全体の波長分
散を効果的に低減することができるとともに、全体の分
散スロープも改善される。これらの特性、並びに、伝送
損失、偏波モード分散、モードフィールド径、カットオ
フ波長及び曲げ損失それぞれの条件から、長距離かつ大
容量の光通信が可能となる。特に、WDM方式による光
通信において、利用される波長多重信号光の各成分の波
長についても、光伝送路全体の波長分散が改善されるの
で、より長距離かつ大容量の光通信が可能となる。
は、2重クラッド構造、3重クラッド構造のいずれを備
えてもよく、それぞれの構造において、所定のパラメー
タ条件(寸法比、各ガラス領域間の比屈折率差)を満た
すことにより実現することができる。また、石英ガラス
を主成分とする分散補償ファイバの場合、所定の比屈折
率差を得るには、各ガラス領域にゲルマニウムやフッ素
を選択的に添加することに実現できる。そして、そのパ
ラメータの許容範囲は広いので製造は容易であり、製造
において各パラメータのばらつきが生じた場合であって
も、許容範囲内であれば長距離かつ大容量の光通信を行
うに際して何等支障はない。
にエルビウム元素が添加された構成も実現できる。すな
わち、当該分散補償ファイバに励起光を伝搬させること
により、波長分散及び分散スロープを補償するだけでな
く、信号光の増幅をも行うことができる。
この発明に係る分散補償ファイバと他の光ファイバ(特
に、分散シフトファイバ)とが光学的に接続され、1.
55μm波長帯において当該光伝送路全体の分散スロー
プが−0.02ps/km/nm2 以上0.05ps/
km/nm2 以下に設定されている。したがって、この
光伝送システムでは、長距離かつ大容量の光通信が可能
であり、特にWDM方式で複数の波長を用いて光通信が
行われる場合に、さらに長距離かつ大容量の光通信が可
能となる。さらに、この発明に係る分散補償ファイバと
してエルビウム元素が添加されたものを用いれば、当該
光伝送路は、長距離かつ大容量だけでなく低損失な光通
信が可能となる。
散シフトファイバを含む光伝送システムの構成を示す図
である。
ファイバ増幅器を含む光伝送システムの構成を示す図で
ある。
分散補償及び分散スロープ補償を説明するためのグラフ
である。
の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図であ
る。
の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図であ
る。
の断面構造及びその屈折率プロファイルを示す図であ
る。
に適用可能な屈折率プロファイル(図4)の、種々の応
用例を示す図である。
に適用可能な屈折率プロファイル(図5)の、種々の応
用例を示す図である。
に適用可能な屈折率プロファイル(図6)の、種々の応
用例を示す図である。
バの実験結果を示す表である。
バの実験結果を示す表である。
イバ、110、120、130…コア領域、111、1
21、131…内側クラッド領域、122、132…中
間クラッド領域、112、123、133…外側クラッ
ド領域、500…光ファイバ伝送路(分散シフトファイ
バ)、600…光ファイバ増幅器、610…増幅用光フ
ァイバ(又はエルビウム元素を含む分散補償ファイ
バ)、700…光ファイバ伝送路(分散シフトファイバ
のみ、又は分散シフトファイバ及び分散補償ファイ
バ)。
Claims (11)
- 【請求項1】 1.55μm波長帯の光に対する諸特性
として、 波長分散が−40ps/km/nm以上かつ0ps/k
m/nm以下であり、 分散スロープが−0.5ps/km/nm2以上かつ−
0.1ps/km/nm2以下であり、 伝送損失が0.5dB/km以下であり、 偏波モード分散が0.7ps・km-1/2以下であり、 モードフィールド径が4.5μm以上かつ6.5μm以
下であり、 2mの基準長におけるカットオフ波長が0.7μm以上
かつ1.7μm以下であり、そして、 直径20mmでの曲げ損失が100dB/m以下である
ことを特徴とする分散補償ファイバ。 - 【請求項2】 1.55μm波長帯の光に対する諸特性
として、 波長分散が−20ps/km/nm以上かつ−5ps/
km/nm以下であり、 分散スロープが−0.4ps/km/nm2以上かつ−
0.13ps/km/nm2以下であり、 伝送損失が0.5dB/km以下であり、 偏波モード分散が0.7ps・km-1/2以下であり、 モードフィールド径が4.5μm以上かつ6.5μm以
下であり、 2mの基準長におけるカットオフ波長が0.7μm以上
かつ1.7μm以下であり、そして、 直径20mmでの曲げ損失が100dB/m以下である
ことを特徴とする分散補償ファイバ。 - 【請求項3】 石英ガラスを主成分とし、少なくとも、 所定の屈折率を有するガラス領域であって、3.5μm
以上かつ6.0μm以下の外径を有するコア領域と、 前記コア領域の外周に設けられ、かつ該コア領域よりも
低い屈折率を有するガラス領域であって、該コア領域の
外径に対して2倍以上かつ3.3倍以下の外径を有する
内側クラッド領域と、そして、 前記内側クラッド領域の外周に設けられ、かつ該内側ク
ラッド領域よりも高く前記コア領域よりも低い屈折率を
有するガラス領域であって、該コア領域における最大屈
折率を有する部位との比屈折率差が0.6%以上かつ
1.4%以下であるとともに、前記内側クラッド領域に
おける最小屈折率を有する部位との比屈折率差が0.2
5%以上かつ0.65%以下である外側クラッド領域と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の分散補
償ファイバ。 - 【請求項4】 前記内側クラッド領域と前記外側クラッ
ド領域との間に設けられたガラス領域であって、該外側
クラッド領域よりも高く前記コア領域よりも低い屈折率
を有する中間クラッド領域をさらに備えるとともに、当
該中間クラッド領域における最大屈折率を有する部位と
該外側クラッド領域との比屈折率差が、0.2%以上か
つ0.5%以下であることを特徴とする請求項3記載の
分散補償ファイバ。 - 【請求項5】 前記コア領域には、ゲルマニウム元素が
添加され、そして、前記内側クラッド領域には、フッ素
元素が添加されていることを特徴とする請求項3又は4
記載の分散補償ファイバ。 - 【請求項6】 前記コア領域には、エルビウム元素が添
加されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか
一項記載の分散補償ファイバ。 - 【請求項7】 前記外側クラッド領域には、フッ素元素
が添加されていることを特徴とする請求項5又は6記載
の分散補償ファイバ。 - 【請求項8】 伝送路全体として、1.5μm波長帯の
光に対し、−0.02ps/km/nm2以上かつ0.
05ps/km/nm2以下の分散スロープを有する光
伝送システムであって、少なくとも、 請求項1又は2記載の分散補償ファイバと、そして、 前記分散補償ファイバと光学的に接続された、前記伝送
路の一部を構成する光ファイバ伝送路とを備えた光伝送
システム。 - 【請求項9】 前記伝送路の一部を構成するとともに、
少なくとも、 コア領域にエルビウム元素が添加された増幅用光ファイ
バと、 前記増幅用光ファイバ内のエルビウム元素を励起する励
起光を、該増幅用光ファイバに出力するための励起光源
と、そして、 前記励起光源と前記増幅用光ファイバとを光学的に結合
させるための光結合器とからなる光ファイバ増幅器を、
さらに備えたことを特徴とする請求項8記載の光伝送シ
ステム。 - 【請求項10】 伝送路全体として、1.5μm波長帯
の光に対し、−0.02ps/km/nm2以上かつ
0.05ps/km/nm2以下の分散スロープを有す
る光伝送システムであって、少なくとも、 請求項6記載の分散補償ファイバと、 前記分散補償ファイバと光学的に接続された、前記伝送
路の一部を構成する光ファイバ伝送路と、 前記分散補償ファイバ内のエルビウム元素を励起する励
起光を、該分散補償ファイバに出力するための励起光源
と、そして、 前記励起光源と前記分散補償ファイバとを光学的に結合
させるための光結合器とを備えたことを特徴とする光伝
送システム。 - 【請求項11】 前記光ファイバ伝送路は、その零分散
波長が1560nm以下にシフトされた分散シフトファ
イバであることを特徴とする請求項8〜10のいずれか
一項記載の光伝送システム。
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