JPH10338516A - 粘土鉱物にインターカレートした金属酸化物の製造方法 - Google Patents

粘土鉱物にインターカレートした金属酸化物の製造方法

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JPH10338516A
JPH10338516A JP16063097A JP16063097A JPH10338516A JP H10338516 A JPH10338516 A JP H10338516A JP 16063097 A JP16063097 A JP 16063097A JP 16063097 A JP16063097 A JP 16063097A JP H10338516 A JPH10338516 A JP H10338516A
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clay mineral
metal oxide
sol
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clay
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JP16063097A
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Yoshie Kitayama
淑江 北山
Yasuhiro Matsuda
泰宏 松田
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JGC Catalysts and Chemicals Ltd
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Nikki Kagaku KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来法で避けられなかった金属酸化物の粒子
表面上の沈着/分散を防ぎ、粘土鉱物の層状構造内に分
散させ閉じこめることができる粘土鉱物にインターカレ
ートした金属酸化物の製造方法を提供する。 【解決手段】 粘土鉱物にインターカレートした金属酸
化物の製造方法であって、以下の工程 (a)層状構造を有する粘土鉱物を水で膨潤および希釈
してゾルを形成する工程、(b)有機金属化合物を有機
酸を含む水溶液に添加して金属化合物含有ゾルを形成す
る工程、(c)前記膨潤させた粘土鉱物のゾルを前記金
属化合物含有ゾルに添加、撹拌して、前記膨潤させた粘
土鉱物の層間に前記金属化合物をインターカレートする
工程、および(d)このように金属化合物が層間にイン
ターカレートされた粘土鉱物を洗浄、脱水、乾燥及び焼
成する工程からなることを特徴とする前記方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘土鉱物にインター
カレートした金属酸化物の製造方法に関し、さらに詳し
くは、粘土鉱物の層状構造を維持しながら金属酸化物を
前記層間の間隙にインターカレートすることができる製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで報告されている金属酸化物を粘
土鉱物にインターカレートする技術では、塩酸などの強
酸で解膠/安定化させた金属酸化物前駆体を、粘土鉱物
を膨潤させたゾルと混合している(Bull.Che
m.Soc.Jpn.,65,2494−2500(1
992)、Journa1 of Porous Ma
terials,1,29−41( 1995))。
【0003】このような手法で得られた粘土鉱物と金属
酸化物の混合物は、X線回折で層間架橋構造に起因する
回折ピークを得ることが難しい。これは粘土鉱物が酸性
溶液中で凝集するため、金属酸化物前駆体が層間に浸潤
するのを妨げることと、強酸性の塩酸が粘土鉱物の層間
金属イオンだけでなくシート内の金属イオンまで溶出さ
せるため、粘土鉱物がその層状構造を維持できず、その
結果として層状構造としての特色を失うためと考えられ
る。
【0004】従って、得られる金属酸化物は大きな比表
面積と比較的シャープな細孔分布を有すが、カードハウ
ス構造の空隙や表面に沈着凝集するのが主体である。触
媒反応では、反応物と生成物の分子サイズを制御し選択
性を持たせるために、触媒成分が細孔内に限定して分散
していることが望まれるが、金属酸化物が層状構造外の
表面に多く分散するため、細孔構造を利用した触媒反応
の選択性、いわゆる形状選択性という面での効果が十分
得られない。
【0005】触媒成分を無機基材表面に担持あるいは薄
膜化する場合に、基材に含まれる成分が触媒性能を低下
させる場合がある。また、プラスチック表面に薄膜化し
たり紙/布に漉き込んだり織り込んで分散させる場合
に、触媒成分が直接接触していると、これら有機物を分
解/劣化してしまう場合がある。これらを防ぐ方法とし
ては、触媒成分の金属酸化物を不活性物質である粘土鉱
物にインターカレートし被覆/遮断しようとするが、凝
集粒子表面に多く分散するため、その効果も十分得られ
ない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】触媒反応では、その反
応部位を細孔内に限定することで反応物と生成物の分子
サイズを制御し選択性を持たせることができる。また触
媒成分を粘土鉱物で被覆することにより、光触媒として
機能させる場合も支持体の分解/劣化を防ぐことができ
る。
【0007】従って本発明の目的は、従来法で避けられ
なかった粒子表面上への金属酸化物前駆体の沈着/分散
を防ぎ、粘土鉱物の層状構造内にのみ分散させ閉じこめ
ることができる、粘土鉱物にインターカレートした金属
酸化物の製造方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意検討した結果、水で十分に膨潤さ
せた層状構造を有する粘土鉱物のゾルを、有機酸を含む
有機金属化合物含有ゾルに添加することにより、粘土鉱
物の層状構造を維持しながら金属酸化物を前記層間の間
隙にインターカレートすることができる本発明を完成す
るに至った。
【0009】すなわち、本発明は粘土鉱物にインターカ
レートした金属酸化物の製造方法であって、以下の工程 (a)層状構造を有する粘土鉱物を水で膨潤および希釈
してゾルを形成する工程、(b)有機金属化合物を有機
酸を含む水溶液に添加して金属化合物含有ゾルを形成す
る工程、(c)前記膨潤させた粘土鉱物のゾルを前記金
属化合物含有ゾルに添加、撹拌して、前記膨潤させた粘
土鉱物の層間に前記金属化合物をインターカレートする
工程、および(d)このように金属化合物が層間にイン
ターカレートされた粘土鉱物を洗浄、脱水、乾燥及び焼
成する工程からなることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の製造方法を詳細に
説明する。本発明の粘土鉱物にインターカレートした金
属酸化物の製造方法では、先ず、粘土鉱物を水で膨潤さ
せて粘土鉱物に十分な層間水を取り込ませ層間隙が最大
限広がったゾルとする。また、別に金属酸化物前駆体で
ある有機金属化合物も有機酸を含む水溶液に添加し、混
合及び撹拌して解膠させ安定なゾルを得る。
【0011】ここで用いる粘土鉱物は層状構造を有すフ
ィロケイ酸塩であり、サポナイト・モンモリロナイト等
のスメクタイトや、バーミキュライト、膨潤性の雲母な
どが挙げられる。インターカレートする金属酸化物は触
媒活性を有する一般的な金属酸化物で、その中でも光触
媒機能を有すものとしてチタン、亜鉛、鉄及びスズ等の
酸化物が挙げられる。有機金属化合物として、金属のア
ルコキシド、アシレート及びキレート等が挙げられる。
【0012】前記金属のアルコキシドとしては、例え
ば、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノル
マルブトキシド、鉄トリイソプロポキシド、鉄トリノル
マルブトキシド、スズテトラノルマルブトキシドなどを
用いることができる。また、前記金属のアシレートとし
ては、例えば、トリノルマルブトキシチタンモノステア
レート、ジイソプロポキシチタンジステアレートなどを
用いることができる。さらに、前記金属のキレートとし
ては、例えば、プロパンジオキシチタンビスエチルアセ
トアセテート、亜鉛アセチルアセトネートなどを用いる
ことができる。
【0013】ゾルの安定化に用いる有機酸としては、酢
酸、蓚酸、蟻酸などのカルボン酸が挙げられる。この有
機酸は有機金属化合物に対して当量以上、ゾル混合後の
濃度として3N以下であることが好ましい。有機金属化
合物の当量に不足すると、金属酸化物前駆体ゾルの安定
性に欠け再現性良くインターカレートすることができな
いという点から好ましくない。一方、濃度が3Nより高
いと、粘土鉱物ゾルの凝集が著しくなり、インターカレ
ートが阻害されるという点から好ましくない。このよう
に調製された2種類のゾルを混合して粘土鉱物に取り込
ませた層間水と金属酸化物前駆体ゾルを置換させ、粘土
鉱物の交換性陽イオンと交換させる。さらに、その間の
空隙にも金属酸化物前駆体が挟み込まれ、粘土鉱物が本
来持っていた陽イオン交換容量以上の金属酸化物前駆体
がインターカレートされる。次に、このように金属酸化
物前駆体をインターカレートした粘土鉱物は遠心分離機
により沈降させ、インターカレートされていない余剰の
金属酸化物前駆体を含むゾルを懸濁部分として除去す
る。さらに沈降物をイオン交換水で分散/沈降させて洗
浄を行う。イオン交換水による洗浄は、混合ゾルと同容
積にして3〜10回繰り返すことが好ましい。
【0014】本発明の製造方法において、金属酸化物前
駆体の安定化に用いる酸は、粘土鉱物のゾルを凝集させ
ないことと、シート構造を破壊しないために弱酸として
の有機酸を使用する。有機酸は比較的低い温度で分解す
るので、金属酸化物前駆体を加熱して酸化する過程で除
去される。
【0015】インターカレートされた金属酸化物前駆体
を熱分解して酸化物とするための焼成は、生成する金属
酸化物によって異なるが、200〜850℃の温度範囲
で加熱して酸化することが好ましく、酸化のための保持
時間は1〜24時間の範囲であることが好ましい。酸化
のための加熱速度は特に限定されず、薄膜化を目的とす
る場合は緩やかに昇温することが好ましいが、噴霧乾燥
などの急速加熱を施しても層状構造が破壊されることは
ない。またインターカレートされた金属酸化物前駆体の
酸化後も、粘土鉱物としての性質を維持するため膨潤/
希釈してゾル化が可能で、このゾルにより薄膜化ができ
る。
【0016】構成イオンの溶出の有無は、熱処理品を組
成分析し、原料粘土鉱物を構成する酸化物間の比を比較
することで判断される。層状構造を確認するには、配向
させて薄膜化したものをX線回折で分析する。層状構造
が維持されていれば、層状構造を示す回折ピークが得ら
れる。また、粒子表面への沈着や不均一分散性は、金属
酸化物に帰属される回折ピークの有無により判断され
る。
【0017】
【作用】金属酸化物をインターカレートした粘土鉱物
は、金属酸化物が有する触媒性能に加え、粘土鉱物の特
徴的な構造による選択性が付与され、優れた固体酸触媒
として位置づけられている。これらは主として、金属酸
化物が粘土鉱物の層間に分子サイズで挿入されているこ
とと、それに伴って生ずる細孔構造に着目したものであ
る。
【0018】近年、触媒機能を有する金属酸化物を不活
性な物質で被覆し、露出させないことが要求される分野
が広がってきた。その代表が、セルフクリーニング機能
を発揮する光触媒の分野である。
【0019】酸化チタンをはじめとする光触媒は、抗菌
/脱臭/防汚用素材としての用途拡大が待されている。
しかし、光触媒が有す強力な酸化性能は、たとえば紙に
漉き込んで触媒機能を付与しようとすると、その紙繊維
を酸化/分解して損傷してしまう。またガラスやタイル
表面に直接薄膜化して触媒機能を付与する場合、ガラス
や釉薬に含まれるナトリウムなどが触媒機能を低下させ
てしまう。
【0020】これに対して、アルミナやシリカで触媒性
能を有す金属酸化物の表面を被覆したり、あるいはあら
かじめこれらの薄膜で遮蔽し、その上に触媒を薄膜化す
るという方法が採られている。
【0021】本発明の製造方法により得られた金属酸化
物は粘土鉱物の層状構造に閉じこめられているため、こ
の被覆/遮蔽効果を有する。従って、紙に漉き込んだり
繊維に織り込んで抗菌/脱臭機能を持たせようとする場
合に紙や繊維を損傷することがなく有効である。
【0022】光触媒のUV吸収を利用した紫外線カット
用の化粧品素材として利用する場合も、皮膚そして有機
系分散媒と光触媒との直接接触が避けられることによ
り、化粧品としての機能とその持続性に優れる。ガラス
やタイル表面で薄膜化して触媒機能を付与する場合に
も、2層コーティングの必要がない。
【0023】また、従来の技術の薄膜化用ゾルに含まれ
る金属酸化物の粒子は、μmオーダーの凝集粒子である
のに対し、本発明による粘土鉱物のゾルは金属酸化物前
駆体をnmサイズで層状構造内にインターカレートし分
散しているので、薄膜化すれば金属酸化物が高分散した
薄膜を得られる。同様の効果は有機媒体を用いるパイロ
ゾル法やゾルゲル法でも期待されるが、本発明の製造方
法における粘土鉱物のゾルは水媒体であることから、取
り扱い易さや安定性の面で優れている。また、制御され
た細孔を持つ触媒及び触媒担体としても有用であること
は言うまでもない。
【0024】
【実施例】以下に実施例および比較例に基づいて本発明
を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。実施例1 粘土鉱物として、スメクタイト系サポナイト(商品名ス
メクトン−SA、クニミネ工業株式会社製、陽イオン交
換容量71.2meq/100g、以下CLAY−Sと
略す)1.0gをイオン交換水100gに分散し、24
時間静置して膨潤させゾルとした。別に、イオン交換水
5gに酢酸20gを加え80%酢酸溶液を作成した。次
に、50℃に保温した酢酸溶液に、有機金属化合物とし
てチタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業株式会
社製試薬1級、以下Ti−IPOと略す)2.82gを
酢酸溶液に加えた(酢酸/Ti−IPO 8.39当
量)。この混合溶液を45分間撹拌して解膠させた後、
放冷して25℃で6時間静置した。
【0025】この解膠させたTi−IPO含有溶液に、
膨潤させたCLAY−Sのゾルを混合し(酢酸濃度
2.7N)、2時間撹拌した。その後、遠心分離機によ
り11,000Xgの遠心力で沈降分離し、さらにイオ
ン交換水中に分散し沈降前と同容積として撹拌洗浄す
る。これを7回繰り返した。得られた沈降物を室温下で
24時間減圧乾燥した後、6時間かけて500℃まで昇
温し、さらに2時間保持して熱分解させ反応物を得た。
【0026】実施例2 8.0gのCLAY−Sを800gのイオン交換水に分
散し、24時間静置して膨潤させた。別に、80%酢酸
溶液200gに22.56gのTi−IP0を加え(酢
酸/Ti−IPO 8.39当量)50℃で40分撹拌
した後、2時間静置放冷して解膠させたゾルとした。そ
の後、このゾルにCLAY−Sの膨潤ゾルを加え(酢酸
濃度 2.7N)20分撹拌した後、16時間静置し
た。以下沈降分離を1,500Xgとした以外は実施例
1とまったく同じ操作により処理して反応物を得た。
【0027】比較例1 0.52gのCLAY−Sを51.2gのイオン交換水
に分散させ、24時間撹拌して膨潤させた。別に、12
5mlの1N−HClに5.7gのTi−IP0を滴下
し、さらに50℃で40分撹拌して透明な状態にした
後、6時間静置放冷して解膠させたゾルとした。次に、
このゾルに膨潤させたCLAY−Sのゾルを混合し20
分撹拌した後、16時間静置放冷した。この混合ゾルを
11,000Xgで遠心沈降と洗浄を行った。以下、実
施例1とまったく同じ操作により処理して反応物を得
た。
【0028】比較例2 6.24gのCLAY−Sを619.2gのイオン交換
水に分散させ、24時間膨潤させた。別に19.5gの
Ti−IP0を375mlの1N−HClに滴下して安
定化させ、解膠させたゾルとした。次に、このゾルに膨
潤させたCLAY−Sのゾルを混合し20分撹拌した
後、2時間静置した。この混合ゾルを1500×gで遠
心沈降と洗浄を行った。以下、実施例1とまったく同じ
操作により処理して反応物を得た。
【0029】実施例3 実施例1のCLAY−Sをスメクタイト系モンモリロナ
イト(商品名クニピア−F、クニミネ工業株式会社製、
陽イオン交換容量115.0meq/g、以下CLAY
−Mと略す)に置き換えた以外は実施例1とまったく同
じ操作により処理して反応物を得た。
【0030】実施例4 実施例2のCLAY−SをCLAY−Mに置き換えた以
外は実施例2とまったく同じ操作により処理して反応物
を得た。
【0031】比較例3 比較例1のCLAY−SをCLAY−Mに置き換えた以
外は比較例1とまったく同じ操作により処理して反応物
を得た。
【0032】比較例4 比較例2のCLAY−SをCLAY−Mに置き換えた以
外は比較例2とまったく同じ操作により処理して反応物
を得た。
【0033】実施例5 酢酸溶液濃度を10%(酢酸/Ti−IPO 1.05
当量)とした以外は実施例2とまったく同じ操作により
処理して反応物を得た。
【0034】比較例5 酢酸溶液濃度を5%(酢酸/Ti−IPO 0.52当
量)とした以外は実施例2とまったく同じ操作により処
理して反応物を得た。
【0035】比較例6 酢酸溶液濃度を100%(酢酸濃度 3.3N)とした
以外は実施例2とまったく同じ操作により処理して反応
物を得た。
【0036】次に、実施例1−4および比較例1−4に
より得られた反応物の細孔分布、比表面積測定、X線回
折及び反射スペクトルの測定をそれぞれ行った。
【0037】[組成分析]以上の操作により得られた実
施例1−5および比較例1−6の反応物の蛍光X線によ
る組成分析結果を表1、表2及び表3にそれぞれ示す。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】表1及び表2の結果から明らかなように、
比較例1−4のSiに対するMgとAlは原料CLAY
−Sと比較すると大量に失われていることが分かる。ま
た混合後の静置時間が短いとMg及びAlの減少は若干
緩和されるが、Ti比が大きくなく、原料CLAY−S
の凝集がインターカレートを阻害していることがうかが
える。
【0042】これに対して本発明の実施例1−4の方法
によれば、混合後の静置時間の長短にかかわらず層間金
属のNa以外は、Mg及びAlの損失が少なく、層状構
造が破壊されていないことが分かる。またTi比も安定
していることが分かる。表3の結果から明らかなよう
に、酢酸濃度がTi−IPOの当量に対して不足したり
(比較例5)、濃度が大きすぎる(比較例6)と、Ti
2 の含有量が少なくなる。
【0043】[細孔分布および比表面積測定]定圧ガス
吸着法により、窒素ガスの吸着−脱着等温線を求めるこ
とで細孔半径および比表面積を求めた。得られた結果を
表4に示す。また、実施例1で得られた反応物の吸着−
脱着等温線と吸着等温線から求めた細孔分布を図1及び
図2にそれぞれ示す。図2から明らかなように、実施例
1で得られた反応物の細孔半径は極めて狭い領域に分布
していることが分かる。
【0044】
【表4】
【0045】[X線回折分析]熱処理前のサンプルをス
ライドガラス上で配向してから乾燥後、500℃で焼成
し、X線回折分析に供して層状構造の間隔を測定した。
またブロック状で500℃で焼成したものを粉砕してX
線回折分析に供し、Ti02 の結晶構造を観察した。そ
れぞれ得られた結果を表4及び表5に示した。また、図
3に実施例1で得られた反応物の昇温に伴う層状構造の
変化を示した。乾燥品はインターカレートにより原料粘
土鉱物の層間距離(1.18nm)よりも若干広がって
いる (1.38nm) ことが分かる。昇温に伴って、こ
の間隔を与える回折ピークが小さくなり、2.45nm
を与えるピークが現れる。これは層間にインターカレー
トされた金属酸化物前駆体が焼成により酸化物になり、
ピラーとして層間間隙を押し広げていくことによる。
【0046】図4では実施例1と比較例1の結晶構造比
較を示すが、実施例1で得られた反応物はサボナイトに
帰属される回折ピ一クであり、結晶構造が帰属できるよ
うなTiO2 のピークが認められない。これに対し比較
例1で得られた反応物では明確にアナターゼ型TiO2
の回折ピークとなる。
【0047】以上の結果から明らからなように、実施例
1で得られた反応物では成長したTiO2 結晶が存在せ
ず、層間によくインターカレートされながら分散した状
態で存在していることが分かるのに対し、比較例1で得
られた反応物では層状構造が維持されずTiO2 結晶の
成長が起きていることが分かる。酢酸濃度がTi−IP
Oの当量に不足したり(比較例5)、濃度が大きすぎる
(比較例6)と、層状構造外にも金属酸化物前駆体が沈
着し、焼成後にアナターゼ型TiO2 が観察されるよう
になる。
【0048】
【表5】
【0049】[反射スペクトルの測定]紫外可視分光光
度計により紫外−可視領域の反射スペクトルを測定し
た。図5には実施例1で得られた反応物(乾燥品と焼成
品)、原料サポナイトおよびTiO2 (アナターゼ型と
ルチル型)の反射スペクトルの結果を示す。また、波長
毎の反射率 (%) を比較した結果を表6に示す。実施例
1で得られた反応物はTiO2 含有率が約5O%で粘土
鉱物によって被覆されているにもかかわらず、100%
TiO2 と同等の反射率であることから、優れたUV吸
収能を有す素材であることが分かる。
【0050】以上のように本発明の製造方法によれば、
粘土鉱物の層状構造をよく維持しながら金属酸化物を層
間間隙にインターカレートすることができる。そして得
られた金属酸化物は、粘土鉱物によく遮蔽されながら大
きなUV吸収能を有し光触媒としての機能が発揮でき
る。
【0051】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたCLAY−Sにインター
カレートした金属酸化物の吸着−脱着等温線を示す。
【図2】 実施例1で得られたCLAY−Sにインター
カレートした金属酸化物の吸着等温線から求めた細孔分
布を示す。
【図3】 実施例1の昇温に伴う層状構造の変化を示
す。
【図4】 実施例1と比較例1のX線回折分析による結
晶構造比較を示す。
【図5】 実施例1で得られたCLAY−Sにインター
カレートした金属酸化物の紫外−可視分光光度計により
紫外−可視領域の反射スペクトルを示す。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘土鉱物にインターカレートした金属酸
    化物の製造方法であって、以下の工程 (a)層状構造を有する粘土鉱物を水で膨潤および希釈
    してゾルを形成する工程、 (b)有機金属化合物を有機酸を含む水溶液に添加して
    金属化合物含有ゾルを形成する工程、 (c)前記膨潤させた粘土鉱物のゾルを前記金属化合物
    含有ゾルに添加、撹拌して、前記膨潤させた粘土鉱物の
    層間に前記金属化合物をインターカレートする工程、お
    よび (d)このように金属化合物が層間にインターカレート
    された粘土鉱物を洗浄、脱水、乾燥及び焼成する工程か
    らなることを特徴とする前記方法。
  2. 【請求項2】 前記粘土鉱物がフィロケイ酸塩鉱物であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記フィロケイ酸塩鉱物がスメクタイ
    ト、バーミキュライトまたは雲母であることを特徴とす
    る請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記有機酸が蓚酸、酢酸または蟻酸であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物が酸化チタン、酸化亜
    鉛、酸化第二鉄または酸化スズであることを特徴とする
    請求項1に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有機金属化合物が金属のアルコキシ
    ド、アシレートまたはキレートであることを特徴とする
    請求項1に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記焼成が200〜850℃で加熱して
    酸化することを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化のための保持時間が1〜24時
    間であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
JP16063097A 1997-06-04 1997-06-04 粘土鉱物にインターカレートした金属酸化物の製造方法 Withdrawn JPH10338516A (ja)

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Cited By (17)

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