JPH10337194A - 新規微生物及びアミノ酸の製造法 - Google Patents

新規微生物及びアミノ酸の製造法

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JPH10337194A
JPH10337194A JP24533297A JP24533297A JPH10337194A JP H10337194 A JPH10337194 A JP H10337194A JP 24533297 A JP24533297 A JP 24533297A JP 24533297 A JP24533297 A JP 24533297A JP H10337194 A JPH10337194 A JP H10337194A
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photobacterium
amino acid
hydroxy
acid
optically active
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JP24533297A
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Takahiro Ishikawa
高広 石川
Kasumi Maeda
香寿美 前田
Takakazu Kojima
高和 児嶋
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Nippon Soda Co Ltd
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Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロキシ酸から対応するアミノ酸へ高効率
・高収率で変換する能力を有する微生物を用いて、光学
活性メチオニン等の光学活性α−アミノ酸の実用的な製
造法を提供すること。 【解決手段】 一般式 RCH(OH)COOHで表さ
れるα−ヒドロキシ酸に、該α−ヒドロキシ酸のヒドロ
キシ基をアミノ基に変換する能力を有するアースロバク
ター(Arthrobacter)属、又はフォトバク
テリウム(Photobacterium)属に属する
微生物の培養液、該菌体、該菌体処理物を作用させ、一
般式 RCH(NH2)COOHで表される光学活性α−
アミノ酸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−ヒドロキシ酸
からの光学活性α−アミノ酸の製造法、及びα−ヒドロ
キシ酸を光学活性α−アミノ酸に変換する能力を有する
新規な微生物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光学活性α−アミノ酸の製造法と
して、直接醗酵法,光学分割法等が一般的に知られてい
る。また、ヒドロキシ酸を原料としてアミノ酸に変換す
る方法があり、シュードモナス(Pseudomona
s)属等に属する微生物を用いる方法(日本農芸化学会
誌、48巻、第5号、297〜311頁、1974)、
精製酵素と化学修飾された補酵素を用いる方法(DE3
307094(1984))等が知られている。また、
生体内蔵器中でヒドロキシ酸がアミノ酸に変換されるこ
と(J.Nutrition,114,1716−17
23(1984))も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の光学活性アミノ
酸の製造法の中で、直接醗酵法はアミノ酸の種類によっ
ては製造が困難であるなどの問題点をもっていた。ま
た、光学分割法では、一般にラセミ体の半分のみしか利
用できない。一方、ヒドロキシ酸からのアミノ酸への変
換は、菌体を培養するための栄養源が必要であったり、
高価な酵素や補酵素、生体臓器等を必要とするなど経済
性、実用性に問題があった。本発明の課題は、前駆体で
あるヒドロキシ酸から対応するアミノ酸へ高効率・高収
率で変換する能力を有する微生物を用いる、光学活性メ
チオニン等の光学活性α−アミノ酸の実用的な製造法を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、比較的安
価に入手できるラセミ体のα−ヒドロキシ酸アンモニウ
ム塩を、微生物を用いることによって、他の高価な副原
料を消費することなく光学活性α−アミノ酸に変換する
ことを目標として設定した。そして、この目標達成のた
めアミノ酸の蓄積を指標にして数々の菌の選択を行い、
本発明のフォトバクテリウム・アングスタム(Phot
obacterium angustum)NSSC1
033(FERM P−16119)等の微生物を見出
し、この微生物を用いた光学活性アミノ酸の製造法を確
立し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、一般式(1) RCH(OH)COOH (1) (式中、Rは直鎖又は分岐鎖状のC1-11アルキル基、C
1-11ハロアルキル基、C2-11のアルケニル基、ヒドロキ
シC1-11アルキル基、C1-11アルコキシC1-11アルキル
基、C1-11アルキルチオC1-6アルキル基又はヘテロ原
子を含んでもよいC7-9 アラルキル基、ヒドロキシ、ア
ミノ、ハロゲン、低級アルキル基等の置換基を有しても
よいアリール基を示す。)で表されるα−ヒドロキシ酸
に、該α−ヒドロキシ酸のヒドロキシ基をアミノ基に変
換する能力を有するアースロバクター(Arthrob
acter)属、又はフォトバクテリウム(Photo
bacterium)属に属する微生物の培養液、該菌
体、該菌体処理物を作用させることを特徴とする一般式
(2) RCH(NH2)COOH (2) (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される光学
活性α−アミノ酸の製造法に関する。
【0006】ここで用いられる微生物としては、アース
ロバクター(Arthrobacter)属、フォトバ
クテリウム(Photobacterium)属に属す
る微生物である。特に、その微生物は、フォトバクテリ
ウム・アングスタム(Photobacterium
angustum)NSSC1033(FERM P−
16119)が好ましい。
【0007】また、本発明は、α−ヒドロキシ酸に、該
α−ヒドロキシ酸のヒドロキシ基をアミノ基に変換する
能力を有する微生物の培養液、該菌体、該菌体処理物を
作用させるに際し、反応中に中性アミノ酸を添加するこ
とを特徴とする光学活性α−アミノ酸の製造法に関す
る。
【0008】さらに、本発明は、α−ヒドロキシ酸を光
学活性α−アミノ酸に変換する能力を有する微生物、フ
ォトバクテリウム・アングスタム(Photobact
erium angustum)、特にフォトバクテリ
ウム・アングスタム(Photobacterium
angustum)NSSC1033(FERM P
−16119)に関する。
【0009】上記式(1)において、Rは、メチル、エ
チル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブ
チル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル
基等の直鎖又は分岐鎖状のC1-11アルキル基、クロロメ
チル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロ
エチル等のC1-11ハロアルキル基、ビニル、アリル、ク
ロチル基等のC2-11のアルケニル基、ヒドロキシメチ
ル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1
−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−
ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシイソプロピル、1
−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒド
ロキシブチル、2−ヒドロキシsec−ブチル基等のヒ
ドロキシC1-11アルキル基、メトキシメチル、2−メト
キシエチル、エトキシメチル、2−エトキシエチル、1
−メトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシブチル
基等のC1-11アルコキシC1-11アルキル基、メチルチオ
メチル、1−メチルチオエチル、2−メチルチオエチ
ル、1−メチルチオプロピル、2−メチルチオプロピ
ル、3−メチルチオプロピル、1−メチルチオブチル、
2−メチルチオブチル、3−メチルチオブチル、4−メ
チルチオブチル、エチルチオメチル、1−メチルチオエ
チル、2−エチルチオエチル、1−エチルチオプロピ
ル、2ーエチルチオプロピル、3−エチルチオプロピ
ル、1−エチルチオブチル、2−エチルチオブチル、3
−エチルチオブチル、4−エチルチオブチル基等のC
1-11アルキルチオC1-11アルキル基、又は、ベンジル、
4−ヒドロキシベンジル、α−メチルベンジル、α,α
−ジメチルベンジル、2−ピリジルメチル、3−ピリジ
ルメチル、4−ピリジルメチル、2−フリルメチル、3
−フリルメチル、2−チエニルメチル、3−チエニルメ
チル、4−イミダゾイルメチル、3−インドリルメチル
基等のヘテロ原子を含んでもよい C7-9アラルキル基、
フェニル、p−ヒドロキシフェニル、p−アミノフェニ
ル、p−クロロフェニル、p−メチルフェニル基等の置
換基を有してもよいアリール基等を表す。
【0010】式(1)で表されるα−ヒドロキシ酸のよ
り具体的な例としては、天然アミノ酸の前駆体となりえ
る化合物、例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキ
シプロピオン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタ
ン酸、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸、リンゴ
酸、2−ヒドロキシグルタール酸、2−ヒドロキシ−3
−フェニルプロピオン酸、2−ヒドロキシイソバレリア
ン酸、ロイシン酸、フェニル乳酸、p−ヒドロキシ−3
−フェニル乳酸、マンデル酸、2−ヒドロキシ酪酸等が
ある。
【0011】
【発明の実施の態様】本発明のアミノ酸製造の原料とな
るα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩は対応するシアノヒ
ドリンを加水分解することにより容易に合成することが
できる。また、シアノヒドリンは、対応するアルデヒド
に青酸を付加反応させることにより容易に合成すること
ができる。このα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩は入手
の容易な点でラセミ体(対掌体の混合物)が好ましい
が、対掌体(エナンチオマー)混合比率は、特に限定さ
れるものでなく、いかなる混合比でもよい。
【0012】本発明のアミノ酸製造に用いられる微生物
は、一般式(1)で表されるα−ヒドロキシ酸のヒドロ
キシ基をアミノ基に変換する能力を有する微生物であ
る。例えば、アースロバクター(Arthrobact
er)属、フォトバクテリウム(Photobacte
rium)属に属する微生物である。具体的には、理化
学研究所(微生物系統保存施設)から入手可能なアース
ロバクター・ニコチアネ(Arthorobacter
nicotianae)JCM 1333や、フォト
バクテリウム・アングスタム(Photobacter
ium angustum)NSSC1033(FER
M P−16119)等の菌株を例示することができ
る。
【0013】本発明に含まれるフォトバクテリウム・ア
ングスタム(Photobacterium angu
stum)NSSC1033(FERM P−1611
9)は、5.0g/1の2−ヒドロキシ−4−メチルチ
オブタン酸を含む液体培地(酵母エキス0.2g/l、
硫酸アンモニウム5.0g/l、リン酸二カリウム1.
0g/l、食塩1.0g/l、硫酸マグネシウム・7水
和物2.0g/l、硫酸第一鉄・7水和物0.1g/
l、塩化マンガン・4水和物0.01g/lを含む。p
H=7.0)で集積培養して、生育する微生物として、
環境中より分離した新菌株である。
【0014】本菌の菌学的性質を以下に示す。 細菌の形及び色 :短桿菌、乳白色 グラム染色性 :陰性 運動性 :+ 硝酸塩の還元 :+ 亜硝酸塩の還元 :+ ゼラチンの液化 :− オキシダーゼ :+ カタラーゼ :+ ウレアーゼ :+ 10℃での生育 :− 37℃での生育 :− 食塩濃度0%で生育 :− 食塩濃度6%で生育 :+ O−Fテスト :F DNAのGC含量 :43.52% 無機窒素の利用 :硝酸塩、アンモニウム塩を利用可能 炭水化物の資化性 :グルコース、ラクトース、リボース、アラ ビノース、キシロース、フラクトース、マ ンノースを資化する
【0015】以上の菌学的性質をバージーズ マニュア
ル オブ システマティック バクテリオロジー(Be
rgey’s Manual of Systemat
icBacteriology)に基づいて検索した結
果、本菌はフォトバクテリウム・アングスタム(Pho
tobacterium angustum)に該当す
る新菌株と判断された。本菌は、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸に作用して、対応するアミノ酸であ
るL−メチオニンに変換する能力に特に優れている。そ
こで本発明者らは、本菌をフォトバクテリウム・アング
スタム(Photobacterium angust
um)NSSC1033菌と命名し、工業技術院生命工
学工業技術研究所に寄託した(FERM P−1611
9)。
【0016】本発明のアミノ酸製造の際に用いる菌の培
養のために用いられる培地は、微生物が資化しうる炭素
源、窒素源、無機イオン、更に必要ならば、有機栄養源
を含む通常の培地である。炭素源としては、グルコース
等の炭水化物、エタノール、グリセロール等のアルコー
ル類、有機酸等が適宜使用される。窒素源としては、硝
酸塩、アンモニウム塩、アミノ酸等が用いられる。無機
イオンとしては、ナトリウムイオンが、フォトバクテリ
ウム・アングスタムNSSC1033菌の生育には必須
であるが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄
イオン等が必要に応じ使用される。有機栄養源として
は、ビタミン、アミノ酸等及びこれらを含有するコーン
スティープリカー、酵母エキス、ポリペプトン、肉エキ
ス等が適宜用いられる。必要な菌体を得るための培養は
好気的条件下に、pH6ないし8、温度15ないし30
℃の適切な範囲に制御しつつ行えばよい。
【0017】本発明の微生物を用いるアミノ酸の製造に
おいて、ヒドロキシ酸に微生物を作用させる方法は、ヒ
ドロキシ酸塩を含む培養培地中で微生物を接触させても
よいし、菌体又は菌体処理物を水溶液中で該塩に接触さ
せてもよい。培養液中で微生物を作用させることによ
り、ヒドロキシ酸塩をアミノ酸に変換させる方法として
は、培養当初よりヒドロキシ酸塩を含む培地を用いても
よいし、また、培養途中にヒドロキシ酸塩を培地に添加
してもよい。ヒドロキシ酸塩の濃度を0.1〜30%、
好ましくは0.5〜10%として、上記の方法により1
ないし5日間反応を行うことにより、高濃度の光学活性
アミノ酸が生成蓄積される。一方、微生物の菌体又は菌
体処理物を水溶液にて、ヒドロキシ酸塩と接触させて作
用させる場合には、上記の方法により6ないし72時間
程度菌の培養を行い、微生物を十分増殖させることによ
り菌体を得る。菌体の使用法としては、菌体を含む培養
液をそのまま使用してもよいし、また、菌体を培養液よ
り分離回収したのち、洗浄して用いてもよいし、洗浄せ
ずに使用してもよい。菌体処理物としては、機械的粉砕
菌体、超音波で処理した菌体、凍結融解を施した菌体、
凍結乾燥菌体、アセトン乾燥菌体、リゾチーム等の酵素
で処理した菌体、界面活性剤やトルエン等で処理した菌
体、菌体の蛋白画分、菌株より精製した酵素等が適宜用
いられる。
【0018】反応法としては、菌体培養液、又は菌体も
しくは菌体の処理物を溶解又は懸濁した水溶液にヒドロ
キシ酸塩を添加し、温度5〜50℃、好ましくは10〜
40℃、pH5〜11、好ましくは7〜9に保ちつつ静
置又は撹拌すればよい。この際、適切な緩衝液を用いる
のが望ましい。ヒドロキシ酸塩の濃度は0.1〜30重
量%、好ましくは0.5〜10重量%であり、必要なら
ば、ヒドロキシ酸塩は反応液中に追補添加される。この
方法により1ないし24時間で水溶液中には高収率で、
光学活性アミノ酸が生成蓄積される。上記ヒドロキシ酸
塩としては、アンモニウム塩が好ましい。そして、かか
るヒドロキシ酸のアンモニウム塩を反応系内に添加する
代わりに、ヒドロキシ酸と塩化アンモニウムや硝酸アン
モニウム等のアンモニウム塩とを反応系内に添加するこ
ともできるし、また、ヒドロキシ酸のナトリウム塩やカ
リウム塩と、塩化アンモニウムや硝酸アンモニウム等の
アンモニウム塩とを反応系内に添加することもできる。
【0019】生成アミノ酸として、グリシン、アラニ
ン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、メチオニ
ン、フェニルアラニン、アスパラギン、グルタミン、エ
チオニン、リジン、ノルロイシン、ヒスチジン、チロシ
ン、フェニルグリシン、p−ヒドロキシフェニルグリシ
ン、2−アミノ酪酸等を挙げることができる。
【0020】また、この反応において、反応速度の向上
と反応経路の有効な制御のために、ある種の添加物を加
えてもよい。添加物として、中性アミノ酸が有効であ
る。一般にはL−体が好ましいが、D−体でも有効なも
のがある。そして、菌体を使用する場合、反応後に菌体
を分離回収し、そのまま、あるいは水、生理食塩水又は
適当な緩衝液で洗浄した後、再度同条件での反応に用い
ることができる。菌体を反復使用すれば経済的に有利で
ある。
【0021】以上の方法により生成された光学活性α−
アミノ酸は、再結晶等の方法により分離精製することが
できる。本発明により得られるアミノ酸水溶液は、他に
副原料等を含まないため、容易に能率良くアミノ酸を分
離精製することができるものであり、生成したアミノ酸
はL−体の立体構造を有している。かくして光学活性α
−アミノ酸を経済的に有利に製造することができる。
【0022】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を更に具体的
に説明するが、これにより本発明は何ら限定されるもの
でない。
【0023】実施例1 121℃で15分間滅菌した下記の組成の培地2mlを
10ml容アルミキャップ付き試験管中に入れ、同じ組
成の寒天培地(寒天15%)で30℃で一晩培養したフ
ォトバクテリウム・アングスタム(Photobact
erium angustum)NSSC1033菌
(工業技術院生命工学工業技術研究所寄託番号FERM
P−16119)を1白金耳接種し、30℃で48時
間振盪培養した。
【0024】 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸(aq.70%) 2.9g/l グルコース 10.0g/l コーンスティープリカー 20.0g/l 食塩 1.0g/l リン酸三カリウム 0.5g/l 硫酸マグネシウム・7水和物 0.5g/l 塩化アンモニウム 2.0g/l 培養液中の2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸
は、収率95.5%という高収率で、メチオニンに変換
された。
【0025】この培養液の一部600μl中より、菌体
を遠心分離により採取し、生理食塩水0.3mlで1回
洗浄し、遠心分離により菌体を集めた。この菌体(湿菌
体重量9.6mg相当)を2−ヒドロキシ−4−メチル
チオブタン酸0.50mg及び塩化アンモニウム0.5
3mgを含む50mMトリス緩衝液(pH8.6)0.
12mlに添加して、35℃で24時間振盪し反応を行
った。反応終了後、遠心分離により、菌体を除いた。高
速液体クロマトグラフ法により、0.22mgのメチオ
ニンの生成を確認した。収率は39.1%であった。培
養中及び反応で生成したメチオニンは、キラルプレート
(Machery−Nagel社製、展開液;メタノー
ル:水:アセトニトリル=1:1:4)による分析によ
り、いずれもL−体であると判明した。
【0026】実施例2 実施例1と同様の方法により得たフォトバクテリウム・
アングスタムNSSC1033菌の菌体(湿菌体重量1
0.0mg相当)を、2−ヒドロキシ−4−メチルチオ
ブタン酸0.50mg、塩化アンモニウム0.53mg
及びL−グルタミン0.88mgを含む50mMトリス
緩衝液(pH8.6)0.12mlに添加して、35℃
で23.5時間振盪して反応を行った。反応終了後、同
様に遠心分離により菌体を除き、高速液体クロマトグラ
フ法により定量し、0.52mgのL−メチオニンの生
成を確認した。収率は93.5%であった。
【0027】実施例3 実施例1の方法により得たフォトバクテリウム・アング
スタムNSSC1033菌の菌体(湿菌体重量10.0
mg相当)を、27.8mM2−ヒドロキシ−4−メチ
ルチオブタン酸、50mM塩化アンモニウム及び各種ア
ミノ酸を含む50mMトリス緩衝液(pH8.6)0.
12mlに添加して、35℃で24時間振盪して反応を
行った。反応終了後、遠心分離により、菌体を分離した
上清のメチオニン生成量を高速液体クロマトグラフ法に
より定量した。反応結果を第1表に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例4 実施例1の方法により得たフォトバクテリウム・アング
スタムNSSC1033菌の菌体(湿菌体重量10.0
mg相当)を、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン
酸0.50mg、塩化アンモニウム0.53mg及びL
−グルタミン0.88mgを含む50mMトリス緩衝液
(pH8.6)0.12mlに添加して、各種温度で所
定時間振盪して反応を行った。反応結果を第2表に示
す。
【0030】
【表2】
【0031】実施例5 実施例1の方法により得たフォトバクテリウム・アング
スタムNSSC1033菌の菌体(湿菌体重量10.0
mg相当)を、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン
酸0.50mg、塩化アンモニウム0.53mg及びL
−グルタミン0.88mgを含む50mMトリス緩衝液
(pH8.6)0.12mlに添加して、40℃で24
時間振盪して反応を行った。反応終了後、菌体を水で1
回洗浄し、再び、上記と同じ反応に供した。この反応を
3回反復した。3回の反復による収率の実質的低下はみ
られなかった。反応結果を第3表に示す。
【0032】
【表3】
【0033】実施例6 供試菌として、アースロバクター・ニコチアネ(Art
horobacternicotianae)JCM
1333及びシュードモナス(Pseudomona
s)sp.NS214(FERM P−8877)を用
いた。121℃で15分間滅菌した下記の組成の培地2
mlを10ml容アルミキャップ付き試験管中に入れ、
同じ組成の寒天培地(寒天15%)で30℃で一晩培養
した上記それぞれの菌株を1白金耳接種し、30℃で4
8時間振盪培養したところ、いずれの培養液中の2−ヒ
ドロキシ−4−メチルチオブタン酸も効率よくメチオニ
ンに変換されていた。
【0034】 2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸(aq.70%) 2.9g/l グルコース 10.0g/l コーンスティープリカー 20.0g/l 食塩 1.0g/l リン酸三カリウム 0.5g/l 硫酸マグネシウム・7水和物 0.2g/l 塩化アンモニウム 2.0g/l
【0035】次に、上記培養液の一部それぞれ640μ
l中より、菌体を遠心分離により採取し、生理食塩水
0.3mlで1回洗浄し、遠心分離により菌体を集め
た。得られたそれぞれの菌体を、2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブタン酸0.50mg、塩化アンモニウム
0.53mg及びL−グルタミン0.88mgを含む5
0mMトリス緩衝液(pH8.3)0.12mlに添加
して、35℃で23時間振盪し反応を行った。反応終了
後、遠心分離により、菌体を除いた。
【0036】アースロバクター・ニコチアネ JCM
1333における、高速液体クロマトグラフ法により求
めたメチオニンの収率と原料基質(2−ヒドロキシ−4
−メチルチオブタン酸)の回収率は、それぞれ52.1
%及び34.7%であり、またシュードモナス sp.
NS214(FERM P−8877)においては、そ
れぞれ55.6%及び25.5%であった。
【0037】実施例7 実施例1の方法により得たフォトバクテリウム アング
スタム NSSC1033菌の菌体(湿菌体重量10.
0mg相当)を、83mM 塩化アンモニウム及び50
mM L−グルタミンを含む50mM トリス緩衝液
(pH8.6)0.12mlに添加して、27.8mM
の各種のラセミ体ヒドロキシ酸を加えて35℃で所定時
間振盪して反応を行った。反応終了後、遠心分離により
菌体を分離した上清のアミノ酸生成量を逆相カラムによ
る高速液体クロマトグラフ法又はニンヒドリン発色TL
Cのクロマトスキャナー(485nmの反射吸収、DR
−2島津製作所製)により定量した。生成物の立体構造
はキラルプレートによりいずれもL−体に対応するもの
と判明した。反応結果を第4表に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の微生物
は、特に光学活性アミノ酸の製造に適するものであり、
反応収率が良く、反復使用が可能である。また、一種類
の菌体をそのまま使用しての生産が可能であり、特別の
精製操作、補酵素等の添加、特別な副原料も必要としな
いので、光学活性α−アミノ酸を極めて高効率・高収率
かつ経済的に有利に製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:06)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) RCH(OH)COOH (1) (式中、Rは直鎖又は分岐鎖状のC1-11アルキル基、C
    1-11ハロアルキル基、C2-11のアルケニル基、ヒドロキ
    シC1-11アルキル基、C1-11アルコキシC1-11アルキル
    基、C1-11アルキルチオC1-6アルキル基又はヘテロ原
    子を含んでもよいC7-9 アラルキル基、置換基を有して
    もよいアリール基を示す。)で表されるα−ヒドロキシ
    酸に、該α−ヒドロキシ酸のヒドロキシ基をアミノ基に
    変換する能力を有するアースロバクター(Arthro
    bacter)属、又はフォトバクテリウム(Phot
    obacterium)属に属する微生物の培養液、該
    菌体、該菌体処理物を作用させることを特徴とする一般
    式(2) RCH(NH2)COOH (2) (式中、Rは前記と同じ意味を表す。)で表される光学
    活性α−アミノ酸の製造法。
  2. 【請求項2】 微生物が、フォトバクテリウム・アング
    スタム(Photobacterium angust
    um)NSSC1033(FERM P−16119)
    である請求項3記載の光学活性α−アミノ酸の製造法。
  3. 【請求項3】 反応中に中性アミノ酸を添加することを
    特徴とする請求項1又は2記載の光学活性α−アミノ酸
    の製造法。
  4. 【請求項4】 光学活性α−アミノ酸が、メチオニンで
    ある請求項1〜3のいずれか記載の光学活性α−アミノ
    酸の製造法。
  5. 【請求項5】 α−ヒドロキシ酸を光学活性α−アミノ
    酸に変換する能力を有するフォトバクテリウム・アング
    スタム(Photobacterium angust
    um)。
  6. 【請求項6】 フォトバクテリウム・アングスタム(P
    hotobacterium angustum)が、
    フォトバクテリウム・アングスタム(Photobac
    terium angustum)NSSC1033
    (FERM P−16119)である請求項5記載の微
    生物。
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