JPH10331084A - パルプ化用溶液及びパルプの製造方法 - Google Patents

パルプ化用溶液及びパルプの製造方法

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JPH10331084A
JPH10331084A JP15810897A JP15810897A JPH10331084A JP H10331084 A JPH10331084 A JP H10331084A JP 15810897 A JP15810897 A JP 15810897A JP 15810897 A JP15810897 A JP 15810897A JP H10331084 A JPH10331084 A JP H10331084A
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pulping
pulp
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plant
oxalic acid
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Akio Onda
昭雄 御田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高白色度のパルプを得ることのできる新しい
パルプ化用溶液及びそれを用いるパルプの製造方法と植
物系原料の貯蔵及び輸送方法を提供する。 【解決手段】 シュウ酸又はその可溶性塩と過酸化水素
を含むアルカリ性水溶液からなるパルプ化用溶液。植物
系原料を前記パルプ化用溶液を用いてパルプ化処理する
ことを特徴とするパルプの製造方法。植物系原料を前記
パルプ化用溶液と接触させながら貯蔵又は輸送すること
を特徴とする植物系原料の貯蔵及び輸送方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパルプ化用溶液、そ
れを用いたパルプの製造方法及び植物系原料の貯蔵及び
輸送方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹木は生育する際に大量のリグニンが合
成されながら木質化がすすむ。そのリグニン量は通常2
0〜30%にも及ぶ。多くの種類の木材は種々の程度に
着色しているが、中には白樺のように殆ど着色していな
いものもある。機械パルプ製造の際には一般に白色度の
高い原料木材が選ばれ、白色度の高い未晒しの機械パル
プが得られる。しかし、半化学パルプや化学パルプの製
造に際しては、得られるパルプの色は、使用する原料木
材の色よりも濃く、パルプの色は原木の色よりも、パル
プの製造法、つまり用いるパルプ化用薬液によって大き
く左右される。植物原料中には、リグニン、ヘミセルロ
ース、セルロース及びその他の少量の色素、樹脂及び灰
分等が含まれているが、パルプ化中に薬液と高温下で反
応し、リグニンの大部分と、ヘミセルロースとセルロー
スその他の成分が分解し、溶出し、さらに、これらが蒸
解薬液中で互いに複雑な反応をかさね、色の濃い色素が
新たに生成するためパルプ化薬液(パルプ廃液)は著し
く着色する。それにともなって蒸解物(パルプ)も染色
されて白色度は著しく低下する。特にKPにおいては原
料から想像できないほどに着色が進み、未晒パルプは暗
褐色を呈する。これまでには、白色度の高いパルプを得
るために、未晒パルプに漂白剤として還元剤又は酸化剤
を使用して晒パルプを得てきた。漂白剤としては、一般
に還元剤を用いるよりは酸化剤を用いる方が効果的で、
化学パルプのように通常高白色度の晒パルプに仕上げる
ものにあっては、元素状の塩素の他、次亜塩素酸塩や二
酸化塩素等の塩素化合物で処理することは、漂白に際し
て効果的であるとして広く用いられてきた。その中でも
未晒のKPは、その中に含まれる色素が残存リグニンと
共存するうちは漂白が十分行われないとして、元素状の
塩素による塩素化とアルカリによるリグニンの抽出を行
った後に次亜塩素酸塩や二酸化塩素で処理を繰り返す4
〜7段の処理を行う多段漂白法が必要であるとして一般
に行われてきた。しかし、地球環境問題が深刻化するに
従い以下に示す3つの動きが出て来た。即ち、(1)塩
素を使わず、色は少しぐらい黒くとも我慢しようとする
動き、(2)塩素の使用量を少なくするため、酸素を用
いる漂白工程を導入するなど、漂白方法を手直ししなが
ら白色度を維持しようとする動き、(3)まったく、元
素状の塩素も、塩素系の漂白剤も使わず高白色度の晒パ
ルプを得ようとする最も進んだ動き、である。(3)の
代表的なものとしてはオゾン漂白と過酸化水素漂白がが
ある。オゾンによる未晒パルプの漂白は、セルロース
も、ヘミセルロースも、リグニンも同時に酸化分解する
するためパルプは痛みやすい。その欠点を解消させるた
め、セルロースを分解から保護する助剤などを開発研究
するなど、実用化に向けて種々の試みが続けられてい
る。過酸化水素を含むアルカリ性水溶液によるパルプの
漂白は、パルプ繊維の損傷が少ないパルプの漂白法では
あるが、これまでの過酸化水素漂白法だけでは、高白色
度のパルプを得ることはできない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高白色度の
パルプを得ることのできる新しいパルプ化用溶液及びそ
れを用いるパルプの製造方法と植物系原料の貯蔵及び輸
送方法を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題を解
決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明によれば、シュウ酸又はその可
溶性塩と過酸化水素を含むアルカリ性水溶液からなるパ
ルプ化用溶液が提供される。また、本発明によれば、植
物系原料を前記パルプ化用溶液を用いてパルプ化処理す
ることを特徴とするパルプの製造方法が提供される。さ
らに、本発明によれば、植物系原料を前記パルプ化用溶
液と接触させながら貯蔵又は輸送することを特徴とする
植物系原料の貯蔵及び輸送方法が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で用いるパルプ化原料は、
植物系原料であり、木質系植物原料及び非木質系植物原
料を包含する。木質系植物原料としては、赤松、から
松、もみ等の針葉樹、白樺、みずなら、ぶな等の広葉
樹、ジャイアントイピルイピル、ラワン等の熱帯樹等の
各種の樹木からの木材が挙げられる。非木質系植物原料
としては、みつまた、こうぞ、桑等の植物から得られる
靱皮の他、麻、竹、稲わら、麦わら、バガス(砂糖きび
の搾り粕)、とうもろこし茎及び皮、アバカ、ラミー、
がん皮等が挙げられる。これらの植物系原料は適当な寸
法に切断してパルプ原料とされる。
【0006】本発明のパルプ化用溶液(以下、単に溶液
とも言う)は、シュウ酸又はその可溶性塩と過酸化水素
を含むアルカリ性水溶液からなるものである。この溶液
において、そのシュウ酸又はその可溶性塩の濃度は、シ
ュウ酸(C224)換算量で、0.01〜4wt%、
好ましくは0.05〜2wt%であり、その過酸化水素
濃度は、H22換算量で、0.02〜7wt%、好まし
くは0.05〜5wt%である。蒸解液のpHは、7.
5以上であり、通常、8〜12である。本発明のパルプ
化用溶液は、シュウ酸又はその可溶性塩と過酸化水素又
は過酸化水素発生剤を水中に溶解させることによって得
ることができる。シュウ酸の可溶性塩としては、ナトリ
ウム塩やカリウム塩、アンモニウム塩、亜鉛塩、アルミ
ニウム塩等を挙げることができる。過酸化水素発生剤と
しては、水中で過酸化水素を発生するものであれば任意
のものを用いることができる。このようなものとして
は、過酸化ナトリウムや過酸化カリウム等の水溶性金属
過酸化物;炭酸ナトリウムやホウ酸等の化合物と過酸化
水素より成る水溶性付加体;過炭酸や過ホウ酸等の水溶
性無機過酸又はその水溶性塩;過ギ酸や過酢酸等の水溶
性有機過酸又はその水溶性塩等が挙げられる。
【0007】溶液のpHは、アルカリ性物質の添加によ
って調節することができる。アルカリ性物質としては、
ナトリウムやカリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭
酸塩及び重炭酸塩等が挙げられる。溶液中のアルカリ性
物質の濃度は、Na2O又はK2O換算量で、0.1〜5
重量%、好ましくは0.3〜3重量%である。本発明の
パルプ化用溶液を機械パルプ及び/又は半化学パルプの
ようなリグニン含有量の大きい高収率パルプの製造に適
用する場合には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭
酸ナトリウム、重炭酸カリウム等のアルカリ金属塩を用
い、弱いアルカリ性条件(pH8〜9.5)でリグニン
保存パルプ化を行うことが好ましい。一方、化学パルプ
のようにリグニン含有量の少ないパルプの製造に適用す
る場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ化合物を用い、
強いアルカリ性条件(pH10〜12)で脱リグニンパ
ルプ化することが好ましい。
【0008】本発明で用いる溶液には、必要に応じ、過
酸化水素安定剤を添加することができる。このような安
定剤には、キレート剤やアルカリ金属のケイ酸塩が包含
される。キレート剤としてはクエン酸又はその塩、ED
TA(エチレンンジアミン四酢酸)又はその塩、DTP
A(ジエチレントリアミン五酢酸塩)又はその塩、ホス
ホン酸又はその塩、特に、アミノトリエチレンホスホン
酸又はその塩や、下記一般式(1)で示される1−ヒド
ロキシアルキレン−1,1−ジホスホン酸又はその塩等
が挙げられる。
【化1】 (式中、Rは炭素数1〜11のアルキル基を示す) アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウムやケ
イ酸カリウムが挙げられ、これらのものは水ガラスとし
て溶液に添加することができる。キレート剤の溶液中濃
度は、0.05〜1wt%、好ましくは0.1〜0.5
wt%である。また、アルカリ金属ケイ酸塩の溶液中濃
度は、0.05〜2wt%、好ましくは0.1〜1wt
%である。
【0009】本発明のパルプ化用溶液は、その助剤とし
て、アントラキノン系化合物及び/又は9,10位にヒ
ドロキシル基を有するアントラセン系化合物を含有する
ことができる。これらの助剤の添加こよりパルプ収率が
向上する。アトラキノン系化合物には、アントラキノン
の他、アルキルアントラキノンが包含される。アルキル
アントラキノンとしては、炭素数1〜12、好ましくは
2〜5のアルキル基を1個有するものの使用が好まし
い。9,10位にヒドロキシル基を有するアントラセン
系化合物には、未置換のアントラセンの他、置換アント
ラセン、例えば、アルキルアントラセンが包含される。
9,10−ジヒドロキシルアルキルアントラセンにおい
て、そのアルキル基の炭素数は、通常12以下であり、
好ましくは2〜8、より好ましくは2〜6である。9,
10−ジヒドロキシルアントラセン系化合物の具体例と
しては、9,10−ジヒドロキシルエチルアントラセ
ン、9,10−ジヒドロキシブチルアントラセン、9,
10−ジヒドロキシルプロピルアントラセン、9,10
−ジヒドロキシルアミルアントラセン、9,10−ジヒ
ドロキシルヘキシルアントラセン、9,10−ジヒドロ
キシルオクチルントラセン、9,10−ジヒドロキシル
デシルアントラセン、9,10−ジヒドロキシルドデシ
ルアントラセン等が挙げられる。アントラキノン系化合
物及び/又は9,10−ジヒドロキシルアントラセン系
化合物の溶液中濃度は、0.0003〜1wt%、好ま
しくは0.01〜0.3wt%である。
【0010】本発明のパルプ化用溶液には、必要に応
じ、パルプ化助剤として、マグネシウム化合物を添加す
ることができる。このマグネシウム化合物には、水溶性
及び難水溶性のマグネシウム化合物が包含される。この
ようなマグネシウム化合物を例示すると、酸化マグネシ
ウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マ
グネシウム、硫酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酢
酸マグネシウム等が挙げられる。 酸化マグネシウム
や、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等の水に対
する溶解度の小さい難水溶性マグネシウム化合物は、前
記ホスホン酸又はその水溶性塩、特に、前記一般式
(1)で表される1−ヒドロキシアルキリデン−1,1
−ジホスホン酸又はその水溶性塩とともに使用するのが
好ましく、これにより、難水溶性マグネシウム化合物の
水に対する溶解度を向上させることができる。溶液中の
マグネシウム化合物の濃度は0.001〜0.2wt
%、好ましくは0.003〜0.03wt%である。難
水溶性マグネシウム化合物を、前記一般式(1)の1−
ヒドロキシアルキリデン−1,1−ジホスホン酸又はそ
の塩からなるキレート剤を組合せて用いる場合、そのキ
レート剤の使用割合は、難水溶性マグネシウム化合物1
モル当り、0.3〜5モル、好ましくは0.5〜2.0
モルの割合である。この場合、キレート化剤は難水溶性
マグネシウム化合物の可溶化剤として作用し、難水溶性
マグネシウム化合物の水への溶解を可能にする。難水溶
性マグネシウム化合物を溶液へ添加する場合、その難水
溶性マグネシウム化合物はキレート剤の0.1〜1.0
wt%水溶液1リットル当たり、0.05〜1.5g、
好ましくは0.1〜1.0gの割合で添加してマグネシ
ウムを溶解状態で含む水溶液を作り、この水溶液の形態
で溶液に添加するのが好ましい。マグネシウム化合物
は、溶液中において、セルロースを保護し、パルプ収率
を増加させるとともに、機械的強度、特に引き裂き強
さ、耐折強さの向上したパルプの製造を可能とする。
【0011】本発明のパルプ化用溶液を用いてパルプを
製造するには、植物系原料と溶液を、耐過酸化水素性の
容器、例えばステンレス製容器に入れ、常温〜190
℃、好ましくは50〜150℃で加熱する。この場合の
パルプ化は、酸素加圧下で実施することができる。パル
プ化用容器内における酸素分圧は少なくとも0.1kg
/cm2、好ましくは0.2〜15kg/cm2、より好ま
しくは0.5〜5kg/cm2である。酸素源としては、
純酸素の他、空気、酸素富化空気等が用いられる。植物
系原料に対する溶液の使用割合(液比)は、1〜15L
/kg、好ましくは2〜12L/kg程度である。パル
プを常温で製造する場合には、5〜20時間でそのパル
プ化を達成することができる。短時間でパルプ化を達成
する場合には、50〜150℃、好ましくは50〜10
0℃の加温を採用するのが好ましい。酸素加圧下でパル
プ化を行う場合、そのパルプ化温度は、好ましくは15
0℃、より好ましくは90〜130℃である。この酸素
加圧下でのパルプ化では、従来のパルプ化技術ではパル
プ化困難であったリグニン含有量やタンニン含有量の大
きい植物原料から、白色度が安定し、かつ白色度の高い
パルプを比較的高い収率で得ることができる。
【0012】本発明のパルプ化用溶液は、各種のパルプ
の製造に適用される。このようなパルプには、非木質系
植物パルプ(ワラパルプ、バガスパルプ、靱皮パルプ
等)及び木質系植物パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パル
プ等)が包含される。また、それらのパルプは、化学パ
ルプ、半化学パルプ又は機械パルプ等であることがで
き、特に制約されることはない。本発明のパルプ化用溶
液により得られるパルプの具体例を示すと、砕木パル
プ、レファイナーパルプ、サーモメカニカルパルプ等の
機械パルプ、NSSCP(中性亜硫酸セミケミカルパル
プ)、CTMP(ケミサーモメカニカルパルプ)、SC
P(セミケミカルパルプ)、CGP(ケミカルグラシド
パルプ)等の半化学パルプ;AP(ソーダパルプ)、S
P(亜硫酸パルプ)、KP(クラフトパルプ)等の化学
パルプを挙げることができる。
【0013】本発明においては、植物系原料を150℃
以下の温度で1段階でパルプ化処理した後、得られた処
理物を機械的に解繊することによって、高収率でパルプ
を得ることができる。
【0014】本発明のパルプ化用溶液を用いるパルプの
製造方法は、液相パルプ化法及び気相パルプ化法により
実施することができる。植物系原料に対する溶液との比
(液比)は、液相パルプ化法では、一般的には、4〜1
5L/kgであり、好ましくは、木質系原料では4.5
〜6.0L/kgであり、非木質系原料では6〜9L/
kgである。一方、気相パルプ化法では、1〜4L/k
g、好ましくは1.5〜2.5L/kgである。本発明
のパルプの製造方法は、気相パルプ化法により実施する
のが好ましい。気相パルプ化法の場合、溶液中の薬品濃
度を高くすることができるので、パルプ化温度を下げ、
パルプ化時間を短縮することができ、パルプ廃液を高濃
度かつ少容量で回収できる。その結果、パルプ工場の廃
液濃縮装置等の建設費を節減できるとともに、パルプ化
及びパルプ廃液の濃縮燃焼の際のエネルギーを節減する
ことができる。本発明の方法を気相パルプ化法で実施す
る場合、そのパルプ化に先立ち、あらかじめ植物系原料
に本発明のパルプ化用溶液を接触させ、植物系原料を予
備パルプ化させておくのが好ましい。この場合の予備パ
ルプ化は、常温〜40℃の温度において植物系原料に本
発明の溶液を混合又は含浸させることによって行うこと
ができる。
【0015】本発明のパルプの製造に際して得られるパ
ルプ廃液は、着色の殆どないもので、廃液処理の非常に
容易なものである。また、本発明で得られるパルプは、
廃液による染色のない高白色度のもので、通常、漂白処
理を必要としないものである。
【0016】本発明のパルプ化用溶液は、植物系原料の
保存液として用いることができる。即ち、植物系原料に
本発明の溶液を常温〜40℃で接触させ、この状態で貯
蔵又は輸送することにより、その植物系原料の腐敗を防
止し、長期保存が可能となる。この場合の液比は、1〜
5L/kg、好ましくは1.5〜3L/kgである。本
発明のパルプ化用溶液を用いて貯蔵又は輸送された植物
系原料は、予備パルプ化されたもので、従来公知のパル
プ化原料として有利に用いることができる。
【0017】本発明により貯蔵又は輸送された植物系原
料をパルプ化する場合、そのパルプ化は、その原料の開
繊度にもよるが、従来公知の機械的パルプ化法や、化学
的パルプ化法より行うことができる。この場合の化学的
パルプ化法には、従来公知の各種の化学パルプ化法の
他、半化学パルプ化法が包含される。また、半化学パル
プ化法は、植物系原料を機械的に解繊する前に化学処理
を行う方法であり、このようなパルプ化法としては、セ
ミケミカルパルプ化法、ケミサーモメカニカルパルプ化
法、ケミメカニカルパルプ化法等が挙げられる。
【0018】本発明により貯蔵又は輸送された植物系原
料をパルプ化する場合には、従来の方法により貯蔵又は
輸送された植物系原料をパルプ化する場合に比べて、大
きな利点を得ることができる。即ち、従来の方法で貯蔵
又は輸送された植物系原料をパルプ化するには、このも
のには、アルカリ性溶液の浸透性がなく、脱リグニン等
による解繊は何ら生じていないために、パルプ化用溶液
/植物系原料の比(液比)を大きくとり、大きな耐圧性
の反応装置を用い、かつ高いパルプ化温度で長時間かけ
て蒸解することが必要である。これに対し、本発明によ
り貯蔵又は輸送された植物系原料には、その貯蔵又は輸
送期間中に、アルカリ性溶液が浸透し、植物系原料から
の脱リグニン等により、既にある程度の解繊が達成され
ているので、そのパルプ化は非常に容易であり、その結
果、液比は小さくなり、反応装置も小型化されたもので
よい上、パルプ化温度も低くてすみ、かつパルプ化時間
も短くてすむ。従って、パルプの生産性は著しく向上す
る。例えば、本発明により貯蔵又は輸送された植物系原
料のパルプ化温度及びパルプ化時間を示すと、コールド
ソーダ法では加温の必要が全くなく、ケミサーモメカニ
カル法、ケミメカニカル法、ケミカル法にあっては、そ
のパルプ化温度は常温〜150℃、好ましくは60〜1
30℃と低くてすむ。
【0019】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はこの実施例によって限定されな
い。なお、以下に記す%は重量%である。また、以下に
示す白色度はハンター白色度(%)である。
【0020】実施例1 アバカ(水分14.3%)を約10cmに切断したもの
1,000kgをパルプ化(蒸解)実験に供した。Na
OH190kg、H22の35%水溶液100kg、シ
ュウ酸30kg、1−ヒドロキシアルキリデン−1,1
−ジホスホン酸3kg、アントラキノン2.0kg、ア
ルミアントラキノン0.5kgに水を加えて1,320
リットルのパルプ化用溶液(蒸解液)を調製した。アバ
カに蒸解液を振りかけ十分に撹拌後、ステンレス製の1
0m3容の地球釜で117℃で120分間パルプ化(蒸
解)を行った。得られたパルプ廃液は淡黄色で殆ど透明
であった。精選洗浄した白色度83.5%、裂断長9.
2km、比破裂強度5.8、比引裂強度192、耐折強
度1,920回の未晒パルプを収率63.3%で得た。
【0021】実施例2 バガス(水分52.5%)1,900kgをパルプ化
(蒸解)実験に供した。NaOH173kg、H22
35%水溶液60kg、シュウ酸30kg、DTPA
3.8kg、9,10−ジヒドロキシルアンスラセン
3.0kgに水を加えて1,300リットルの蒸解液を
調製した。バガスに蒸解薬液を振りかけ十分に撹拌後、
5週間輸送貯蔵に供し、ステンレス製の10m3容の地
球釜で114℃で120分間蒸解を行った。得られたパ
ルプ廃液は淡黄色で殆ど透明であった。精選洗浄して白
色度78.5%、裂断長5.1km、比破裂強度3.
8、比引裂強度45、耐折強度3回の未晒パルプを収率
51.1%で得た。バガスのパルプ廃液は実施例1のア
バカのパルプ廃液とともに濃縮燃焼し、得られた灰を水
で抽出後、抽出液を生石灰でい苛性化し、次回の蒸解に
供した。
【0022】実施例3 赤松のチップ(水分43.5%、リグニン含有料26.
2%)1,300kgを蒸解実験に供した。NaOH2
23kg、H22の35%水溶液100kg、シュウ酸
20kg、1−ヒドロキシアルキリデン−1,1−ジホ
スホン酸3kg、アントラキノン2.5kg、アミルア
ントラキン0.3kgに水を加えて1,300リットル
の蒸解液を調製した。木材チップに蒸解薬液を振りかけ
撹拌後42週間輸送貯蔵し、ステンレス製の10m3
の地球釜にいれ、酸素を1.7kg/cm2圧入後14
5℃で120分間蒸解を行った。得られたパルプ廃液は
淡黄色で殆ど透明であった。精選洗浄して白色℃70.
6%、比破裂強度4.8、比引き裂き強度115、耐折
強度450回の未晒パルプを収率50.8%で得た。
【0023】実施例4 広葉樹チップ(水分18.5)1,000kgのコール
ドCGP法によるパルプ化を行った。NaOH105k
g、H22の35%水溶液100kg、シュウ酸20k
g、DTPA3kg、水ガラス3kg、アントラキノン
2.5kg、に水を加えて1,300リットルの蒸解液
を調製した。木材チップに蒸解液を振りかけ撹拌後10
日貯蔵し、ディスクリファイナーでそのまま高濃度叩解
を行いパルプ化した。得られたパルプ廃液は淡黄色で殆
ど透明であった。精選洗浄して白色度73.6%、裂断
長2.9km、比破裂強度28、耐折強度2回の未晒の
コールドCGPを収率80.8%で得た。
【0024】
【発明の効果】本発明のパルプ化用溶液を用いることに
より、後段に晒工程を必要としないほどの高白色度のパ
ルプを得ることができる。また、本発明では、化学パル
プ製造のための気相蒸解が可能である。さらに、本発明
では、晒工程が特に必要とされないため、設備、労力、
排水処理の大幅な節減が可能となる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュウ酸又はその可溶性塩と過酸化水素
    を含むアルカリ性水溶液からなるパルプ化用溶液。
  2. 【請求項2】 該アルカリ性水溶液が、アルカリ金属の
    水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩の中から選ばれる少なく
    とも1種を含有する請求項1のパルプ化用溶液。
  3. 【請求項3】 シュウ酸又はその可溶性塩の濃度がシュ
    ウ酸換算量で、0.01〜4重量%であり、過酸化水素
    の濃度が0.02〜7重量%である請求項1のパルプ化
    用溶液。
  4. 【請求項4】 アントラキノン系化合物、9,10位に
    ヒドロキシル基を有するアントラセン系化合物、キレー
    ト剤及びマグネシウム化合物の中から選ばれる少なくと
    も1種の漂白助剤を含有する請求項1〜3のいずれかの
    パルプ化用溶液。
  5. 【請求項5】 植物系原料を請求項1〜4のいずれかの
    パルプ化用溶液を用いて常温〜190℃の温度でパルプ
    化処理することを特徴とするパルプの製造方法。
  6. 【請求項6】 少なくとも0.1kg/cm2の酸素分圧
    下でパルプ化処理を行う請求項5の方法。
  7. 【請求項7】 植物系原料を請求項1〜4のいずれかの
    パルプ化用溶液と接触させながら貯蔵又は輸送すること
    を特徴とする植物系原料の貯蔵及び輸送方法。
  8. 【請求項8】 請求項7の方法で貯蔵又は輸送した植物
    系原料を使用し、これを機械的又は化学的に解繊するこ
    とを特徴とするパルプの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7186316B1 (en) 2000-06-29 2007-03-06 Cp & P Co., Ltd. Method for preparing pulp from cornstalk
US7306698B2 (en) 2001-03-20 2007-12-11 Biopulping International Method for producing pulp

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