JPH10330880A - 耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法 - Google Patents

耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法

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JPH10330880A
JPH10330880A JP15929197A JP15929197A JPH10330880A JP H10330880 A JPH10330880 A JP H10330880A JP 15929197 A JP15929197 A JP 15929197A JP 15929197 A JP15929197 A JP 15929197A JP H10330880 A JPH10330880 A JP H10330880A
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steel
corrosion resistance
less
seawater
seawater corrosion
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JP15929197A
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Masahaya Tanaka
賢逸 田中
Toshiya Nishimura
俊弥 西村
Shinichi Suzuki
伸一 鈴木
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海水と空気とに暴露される海洋環境において
耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼を課題とする。 【解決手段】 重量%で、C : 0.15%以下、Si : 0.7%以
下、Mn : 0.20%〜1.50%、P : 0.03〜0.15%、S : 0.020%
以下、Al : 0.010〜0.10%、Cr : 0.10%以下、Ni : 0.4
〜4.0%、Cu : 0.4% 以下、Mo : 0.10%〜1.50% を含有
し、残部がFeおよび不可避的不純物であることを特徴と
する耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼である。更に、
NiとMoが、Ni+3Mo≧1.2%なる関係を満たし、かつ下記に
示す炭素当量(Ceq):0.4%以下、溶接割れ感受性指数
(Pcm):0.20%以下であると更に望ましい。また、Ni、
MnおよびMoが、Ni+3Mo≧1.2%及びMn×Mo≦0.4%なる関係
を満たすことが望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、桟橋や護岸、又は
船舶など、海水に直接暴露される環境において使用され
る溶接鋼構造物の建造に適した、高耐食性で高溶接性を
有し、かつ靭性の良好な低合金鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】桟橋や護岸、又は船舶などの鋼製の構造
物は、海水に繰り返し暴露されるため、鋼構造の部分が
きわめて腐食されやすい。特に、海洋環境においては、
海水中よりも、海水の付着ー乾燥が繰り返される潮の干
満帯や海水の飛沫の付着ー乾燥が繰り返される飛沫帯に
おいて腐食が極めて大きい。
【0003】したがって、こうした環境で使用される海
洋構造物に、数十年に及ぶ耐久性を付与するためには、
使用する鋼材にポリエチレンライニングなどの耐久性に
優れた被覆を施すか、鋼板表面にチタンなどの高耐食金
属で被覆したチタン・クラッド鋼などを使用する必要が
ある。しかしながら、こうした防食方法は、使用される
材料自体が特に高価であるばかりでなく、溶接施工もい
ちじるしく困難であり、建設費用を高騰させる原因とな
る。
【0004】一方、安価でかつ溶接施工の比較的容易な
耐食鋼材としては、いわゆる耐海水鋼がある。耐海水鋼
は、銅、りん、クロム、ニッケル、タングステン、アル
ミニウムなどの、海水腐食に対して有効な元素を適量含
有することにより、海水中および海上における耐食性を
高めた鋼材である。しかしながら、市販されている耐海
水鋼は通常の炭素鋼に比べて、耐食性の効果は認められ
るものの、その腐食速度は炭素鋼の腐食速度のたかだが
1/2 程度に抑えられる程度であり、長期間の耐久性の点
では十分とはいえない。
【0005】耐食性をさらに向上させるためには、これ
らの有効な元素をさらに多量に含有することが必要であ
る。こうした耐海水鋼については、たとえば特開平2-13
8441号公報では、5〜6%程度のAl、Crを含有した鋼
が、また特開平5-117812号公報では、5〜45%のMnあ
るいは同量のMnとCrを同時に含有する鋼が開示されてい
る。
【0006】しかしながら、海水腐食に対して有効な元
素を大量に含有することは、溶接性にとっては好ましい
方向ではなく、含有成分量を増やすことによって、十分
な耐食性を鋼材に付与しようとすると、溶接欠陥が生じ
易くなり、溶接部の検査と補修に多大な労力とコストが
かかる。すなわち、従来の技術によっては、海洋環境に
おいて十分な耐海水腐食性を有する溶接構造用鋼材を安
価に製造することは、困難であった。
【0007】
【解決しようとする課題】本発明の目的は、このような
事情に鑑みてなされたものあり、その目的とするところ
は、海洋環境において十分な耐海水腐食性を有するとと
もに、溶接性に優れ、かつ、靭性の高い鋼材を提供する
ことにある。これにより、鋼構造物の施工を容易とし、
かつ、靭性が良好なために破壊に対する安全性を高める
ことが可能となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的を
達成すべく、鋼材の成分組成について鋭意検討した。本
発明者らは、先に海岸地域に建設される橋梁や鉄塔など
の、飛来する塩分が関与した腐食環境の溶接構造物材料
に適した、高耐食性を有する耐候性鋼を発明した(特開
平8ー134587号公報)。海洋環境における耐食性は、海岸
地域に使用される鋼材に要求される耐候性よりも、一段
と過酷な環境であるが、本発明は、当該発明を詳細に検
討し、高い耐食性と溶接性を両立させ、靭性の良好な鋼
材の製造が可能であることを見出し、下記発明をするに
至った。
【0009】第1の発明は、重量%にて、C : 0.15%以
下、Si : 0.7%以下、Mn : 0.20%〜1.50%、P : 0.03〜0.
15%、S : 0.020%以下、Al : 0.010〜0.10%、Cr : 0.10%
以下、Ni : 0.4〜4.0%、Cu : 0.4%以下、Mo : 0.10%〜
1.50%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である
ことを特徴とする、耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼
である。本発明により、基本となる鋼材の耐海水腐食性
を向上することができる。
【0010】第2の発明は、前記鋼において、更にNiと
Moが、Ni+3Mo≧1.2%なる関係を満たし、かつ下記に示す
炭素当量(Ceq):0.4%以下、溶接割れ感受性指数(Pc
m):0.20%以下であることを特徴とする、耐海水腐食性
に優れた溶接構造用鋼である。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 本発明により、鋼材の耐海水腐食性と溶接性を同時にさ
らに改善することができる。
【0011】第3の発明は、前記鋼において、更にMnと
Moが、Mn×Mo≦0.4% なる関係を満たすことを特徴とす
る、耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼である。本発明
により、耐海水腐食性に優れた鋼材の靭性を向上でき
る。
【0012】第4の発明は、前記鋼において、更にNi、
MnおよびMoが、Ni+3Mo≧1.2%及びMn×Mo≦0.4% なる関
係を満たし、かつ下記に示す炭素当量(Ceq):0.4%以
下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20%以下であること
を特徴とする、耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼であ
る。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 本発明により、耐海水腐食性、溶接性、靭性を兼ね備え
た鋼材を得ることができる。
【0013】第5の発明は、第1から第4の発明のいず
れか一つの化学成分を有する鋼を、連続鋳造または分解
圧延後、得られた鋼片を再加熱し、熱間圧延をするに際
して、950℃以下における累積圧下率を20%以上と
し、かつ熱間圧延を750℃以上900℃以下の温度範
囲で終了することを特徴とする、耐海水腐食性に優れた
溶接構造用鋼の製造方法である。本発明により、前記の
鋼材の靭性を安定して高めることができるので、製造さ
れた鋼構造物の破壊に対する安全性を高めることができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の基本的思想を以下にのべ
る。 (1) Crは、鋼の耐食性を向上させる効果があるため、従
来製造されてきた耐海水鋼には、しばしば添加されてき
た。しかし、本発明者らが検討したところ、図5に示す
ように、Cr含有量の増加は、最大穴あき深さで評価する
耐海水腐食性を確かに向上させる。しかし、特にCr含有
量が0.5 %以下程度の領域で、Ni、Moを同時に含有する
場合には、Crは局所的な腐食をむしろ助長する作用があ
ることを見出した。
【0015】したがって、Crの含有量を極力減ずるよう
にすることで、海水に直接暴露される環境における鋼の
耐食性を向上させることができる。また、Crは一般に溶
接部の硬さを増し、いわゆる低温割れを起こしやすくさ
せるため、溶接性を劣化させる。したがって、溶接性の
点からも、Crの含有量を極力減ずることが望ましい。
【0016】(2) また、図6に示すように、Ni、Moは単
独でも耐海水腐食性を向上する効果が認められるが、適
量のNi、Moを同時に含有すると、鋼材の耐食性が著しく
向上することを見出した。このことから、NiおよびMoの
含有量を量を限定し、かつCr含有量を0.1%以下に抑
制することで、耐海水腐食性を向上するとともに、溶接
割れ感受性を実用的な範囲に維持することができる。
【0017】(3) 更には、Mn及びMoの含有量を限定し、
併せて、熱間圧延を適切な温度で終了することにより、
鋼材に良好な靭性を付与しうる。次に、本発明におい
て、鋼材の化学成分及び製造方法の限定理由を説明す
る。Cは、所定の強度を確保するために含有するが、0.1
5%を越えると溶接性および靭性が劣化するので、その上
限を0.15%とする。
【0018】Siは、製鋼段階の脱酸剤および鋼材の強度
向上元素として含有するが、過剰に含有すると靭性が著
しく低下するので、その上限を0.7%とする。
【0019】Mnは、所定の強度を確保するために0.20%
以上含有しなければならないが、過剰に含有すると、ベ
イナイト組織が生じやすくなり、機械的特性、特に靭性
が劣化するので、その上限を1.5%とする。
【0020】Pは、本発明において重要な元素であり、
鋼の強度を向上させる作用があるとともに、耐食性を向
上させる効果があるので、必要量含有する。しかし、0.
03%未満の含有では耐食性の向上に効果がなく、また含
有量が0.15%を越えると、溶接性が劣化するので、その
範囲を0.03〜0.15%とする。
【0021】Sは、耐食性に有害な元素であるので、そ
の上限を0.02% とする。Alは、製鋼段階の脱酸剤として
0.01%以上含有するが、過剰に含有すると腐食の起点と
なる介在物が生じやすくなるので、その上限を0.1%とす
る。
【0022】Crは、塩分の多い環境においては、孔あき
腐食を助長し耐海水腐食性を損なう働きをする。また、
溶接時の低温割れ感受性を高める。したがって、その含
有量の上限を0.1%とする。
【0023】Niは、本発明において重要な元素であり、
Moとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上
させる効果がある。しかし0.4%未満の含有では効果がな
い。一方含有量が4.0%を超えると、経済性の点で不利で
あり、また、ベイナイト組織が生じやすくなるため、機
械的特性、特に靭性が劣化するので、その範囲を0.4〜
4.0%とする。
【0024】Cuは、耐食性を向上させる効果があり、必
要量含有するが、含有量が0.4%を超えると効果が飽和
し、また、熱間圧延時に疵を生じやすくなり、経済性の
点で不利であるので、その上限を0.4%とする。
【0025】Moは、本発明において重要な元素であり、
Niとの共存により塩分の多い環境における耐食性を向上
させる効果がある。しかし0.1%未満の添加では効果がな
い。一方1.5%を超える含有では、経済性の点で不利であ
り、また、ベイナイト組織が生じやすくなり、機械的特
性、特に靭性が劣化するので、その範囲を0.1%〜1.5%と
する。
【0026】Ni+3Mo≧1.2%とする。Moは適切量のNiとと
もに含有することにより、耐食性をいちじるしく改善す
る。海水耐食性に与えるNiおよびMoの効果の詳細は、明
らかではないが、次のように考えられる。 Moは錆の地
鉄界面付近において富化し、地鉄界面付近の錆の緻密性
を高めるため、水分や塩分等の腐食因子が鋼表面に接触
するのを妨げる効果があると考えられる。
【0027】一方、Moは錆を脆くする性質があり、クラ
ックなどの欠陥が生じやすくなるが、Niはこの錆の性質
を改善し、クラックなどの欠陥を生じにくくする性質が
ある。これら2つの異なる性質による相乗効果が発揮さ
れるため、適切な量のMoをNiとともに含有することによ
り、耐食性が著しく改善すると考えられる。耐食性の観
点からは、0.1%以上のMoを0.4%以上のNiとともに含有す
ると効果が現れるが、Ni+3Moの量が1.2%未満では効果が
十分でないので、その範囲を1.2%以上とする。
【0028】炭素等量(Ceq) :0.4%以下、溶接割れ感受
性指数(Pcm):0.20%以下とする。ここで、Ceq及びPcmは
次式で示される。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B 鋼構造物の施工において、溶接低温割れを防止する溶接
予熱温度を実用的水準、すなわち50〜70℃以下、と
するため、炭素当量(Ceq)と溶接割れ感受性指数(Pc
m)の上限を、それぞれ0.4%と0.2%としたものである。
【0029】Mn×Mo≦0.4%とする。NiおよびMoは、いず
れも鋼の焼入れ性を高めるため、通常の熱間圧延の条件
では、ベイナイト組織が生成しやすくなり、靭性が不十
分なものとなる。本発明鋼は、NiおよびMoを同時に含有
する鋼であり、かかる欠点を排除するため、Mn含有量の
上限を1.50%とし、かつMoを、Mn×Mo≦0.4% なる関係
を満たす範囲で含有する。
【0030】次に、上記特性を有する鋼の製造方法を説
明する。本発明鋼は、転炉または電気炉で溶製し、つい
で連続鋳造によりまたは鋼塊を分塊圧延によりスラブと
したのち、鋼片を再加熱して熱間圧延により鋼板または
形鋼とする方法により製造することができる。このと
き、鋼材の靭性を向上させるために、熱間圧延は、95
0℃以下における累積圧下率を20%以上とし、かつ熱
間圧延の終了温度を750℃以上900℃以下と比較的
低温に抑制する。これにより、靭性を損なう粗いベーナ
イト組織の生成を抑制して、パーライト組織の生成を促
進し、かつ組織を微細化することができる。この結果、
微細なフェライト−パーライト組織を得ることができ、
良好な靭性を実現する。
【0031】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。図7とし
て示す表1に、本発明鋼および比較鋼に係る各供試材の
化学組成と斜めy型溶接割れ試験による割れ防止予熱温
度及び複合サイクル腐食試験による最大孔あき腐食深さ
を示す。ここで、複合サイクル試験は、海洋の干満帯お
よび飛沫帯を想定した条件としている。
【0032】本実施例では、表1に示す成分組成の鋼塊
を溶製し、1200℃に加熱して熱間圧延を開始し、9
50℃以下で30%の累積圧下率にて850℃で圧延を
終了し、厚さ25mmの鋼板とした。圧延終了後は、室
温まで空冷した。得られた鋼板は、JIS Z 315
8に定められる斜めy型溶接割れ試験および図2に示す
複合サイクル腐食試験を実施した。
【0033】図1は、複合サイクル腐食試験による供試
材の最大孔あき深さの値を、割れ防止予熱温度とともに
示したものである。比較鋼 a〜jとmおよびnは、最大孔
あき深さが0.45mm以上あり、耐海水腐食性が劣る。ま
た、比較鋼 k, l , o , pは、最大孔あき深さは比較的
に小さく、耐海水腐食性に優れるが、割れ防止予熱温度
がそれぞれ100℃、150℃、100℃、150℃であり、溶接性
が良好とはいえない。
【0034】一方、発明鋼 A , B , D , E , G , J , K
は、最大孔あき深さが0.40mm以下であり、また割れ防
止予熱温度も室温である。したがって、耐海水腐食性お
よび溶接性がともに良好である。発明鋼 C , F , H , I
は、溶接割れ防止のための予熱温度が50℃または70℃で
あるが、最大孔あき深さがそれぞれ0.30mm、0.31mm、0.
20mm、0.21mmである。これは、比較鋼で同等の溶接性を
有する d , l , j , oよりも、耐食性が著しく優れてい
る。また、Cuを本発明の範囲内で含有した鋼 H、I は他
の発明鋼よりも、最大孔あき深さが小さく、Cu含有の効
果が認められる。
【0035】図8として示す表2は、発明鋼Gと比較鋼
aを1年間海水に暴露試験し、試験片表面の錆を落とし
後、その孔あき深さを測定した結果である。供試鋼板の
製造方法は、前記と同様である。海水暴露試験片は、幅
40mm、長さ6000mmに切断して用いた。これ
を、広島県福山市にある日本鋼管福山製鉄所内の海水暴
露試験場に、長手方向を垂直に立て、試験片の長手方向
の中央部分が平均海水面の高さとなるように暴露した。
暴露期間は1年間である。
【0036】海水暴露試験の結果を、図3に、平均海水
面からの距離と穴あき深さの関係として示す。腐食は、
いわゆる飛沫帯で最も激しく、孔あき深さは比較鋼 aで
は0.91mmに達するのに対して、発明鋼 Gではわずか0.33
mmであり、発明鋼 Gは耐食性が著しく優れている。ま
た、発明鋼Gは、比較鋼 aに比して、海中部、干満帯の
いずれにおいても優れた耐食性を示している。
【0037】図9として示す表3は、各供試材の化学成
分とその圧延条件および靭性の関係を示す。本発明鋼 G
-0-0からG-5-3は、化学成分を同一とし、圧延条件が靭
性に与える影響を調査したものである。また、発明鋼 G
-2-2 およびHからRまでと比較鋼qからuまでは、圧延条
件を一定とし、成分組成が靭性に与える影響を調査した
ものである。靭性は、シャルピー衝撃試験における破面
遷移温度(vTrs)およびエネルギ遷移温度(vTre)で評価し
た。
【0038】仕上げ圧延温度が900℃を超える鋼 G-0-0
と鋼 G-1-0は、エネルギ遷移温度(vTre)が0 ℃を超え、
靭性が十分でない。また、仕上げ圧延温度が900℃以下
であっても、950℃以下における累積圧下率が20%未満で
ある鋼 G-2-1と鋼 G-3-1は、vTreが0℃を超え、靭性が
十分でない。仕上げ圧延温度が900℃以下であり、950℃
以下の累積圧下率が20%を超える鋼 G-2-2 ,鋼 G-3-2,
鋼 G-4-2 ,鋼 G-4-3は、いずれもvTreが-20℃以下であ
り、靭性が優れている。一方、比較鋼q〜uは、いずれも
vTreが0℃を越え、靭性が十分でない。発明鋼 G〜IとL
〜Rは、いずれもvTreが0℃以下で、靭性が優れている。
【0039】図4は、MnとMoの含有量が靭性に与える影
響を示したものである。図中の数字は、シャルピー試験
のエネルギ遷移温度(vTre)である。Mnが0.2%〜1.5%かつ
Moが0.1%〜1.5%の範囲において、vTreが0℃以下であ
り、特にMn×Mo≦0.4%の範囲では、vTreが-20℃以下
で、特に優れた靭性を有することが明確である。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、桟橋や護岸、または船
舶など、海水を直接被る環境において高い耐食性を有
し、かつ実用的な溶接性を有する溶接用構造用鋼が、経
済的に製造することができる。また、本発明は熱間圧延
のままの状態で鋼材を製造するものであり、熱間圧延の
プロセスは、一般的な厚板圧延プロセスのみならず、形
鋼圧延プロセス、さらには、薄板熱間圧延プロセスであ
るホットストリップミル圧延においても適用可能であ
る。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】発明鋼及び比較鋼の、斜めy型溶接割れ試験に
よる割れ防止予熱温度と複合サイクル腐食試験により生
じた孔あき腐食の最大深さを示す図である。
【図2】複合サイクル腐食試験の試験条件を示す図であ
る。
【図3】1年間海水中に暴露した発明鋼Gと比較鋼aの腐
食量の比較を示す図である。
【図4】発明鋼及び比較鋼の、Mn及び Mo 含有量とシャ
ルピー衝撃試験におけるエネルギ遷移温度の関係を示す
図である。
【図5】複合サイクル腐食試験により生じた穴あき腐食
の最大深さに及ぼすCr含有量の影響を示す図である。
【図6】複合サイクル腐食試験により生じた穴あき腐食
の最大深さに及ぼす、Ni及びMo含有量の影響を示す図で
ある。
【図7】発明鋼及び比較鋼の化学成分、割れ防止予熱温
度、複合サイクル腐食試験により生じた穴あき腐食の最
大深さの結果を、表1として示す図である。
【図8】発明鋼及び比較鋼の1年間の海水暴露試験の結
果を表2として示す図である。
【図9】発明鋼及び比較鋼の化学成分、熱間圧延条件及
びシャルピ衝撃試験における遷移温度の結果を、表3と
して示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C : 0.15 %以下、Si : 0.7 %
    以下、Mn : 0.20% 〜1.50% 、P : 0.03〜0.15 %、S :
    0.020 % 以下、Al : 0.010〜0.10 %、Cr :0.10 % 以
    下、Ni : 0.4〜4.0 % 、Cu : 0.4 %以下、Mo : 0.10 %
    〜1.50 %を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であ
    ることを特徴とする耐海水腐食性に優れた溶接構造用
    鋼。
  2. 【請求項2】 前記溶接構造用鋼において、更にNiとMo
    が、Ni+3Mo≧1.2% なる関係を満たし、かつ下記に示す
    炭素当量(Ceq):0.4 % 以下、溶接割れ感受性指数(P
    cm):0.20 %以下であることを特徴とする、請求項1記
    載の耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  3. 【請求項3】 前記溶接構造用鋼において、更にMnとMo
    が、Mn×Mo≦0.4%なる関係を満たすことを特徴とする、
    請求項1記載の耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼。
  4. 【請求項4】 前記溶接構造用鋼において、更にNi、Mn
    およびMoが、Ni+3Mo≧1.2 % 及びMn×Mo≦0.4 % なる関
    係を満たし、かつ下記に示す炭素当量(Ceq):0.4 %
    以下、溶接割れ感受性指数(Pcm):0.20 %以下である
    ことを特徴とする、請求項1記載の耐海水腐食性に優れ
    た溶接構造用鋼。 Ceq=C+Si/24+Mn/6+Cr/5+Ni/40+Mo/4+V/14 Pcm=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかひとつに記載
    の溶接構造用鋼を、連続鋳造または分解圧延後、得られ
    た鋼片を再加熱し、熱間圧延するに際して、950℃以
    下における累積圧下率を20%以上とし、かつ熱間圧延
    を750℃以上900℃以下の温度範囲で終了すること
    を特徴とする、耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼の製
    造方法。
JP15929197A 1997-06-03 1997-06-03 耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法 Pending JPH10330880A (ja)

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JP15929197A JPH10330880A (ja) 1997-06-03 1997-06-03 耐海水腐食性に優れた溶接構造用鋼及びその製造方法

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020036270A (ko) * 2000-11-09 2002-05-16 이구택 내해수 부식성이 우수한 열연강재
US7717772B2 (en) 2005-05-27 2010-05-18 Nitto Kohki Co., Ltd. Polishing tool

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20020036270A (ko) * 2000-11-09 2002-05-16 이구택 내해수 부식성이 우수한 열연강재
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