JPH10316081A - 自転車用駆動力補助装置 - Google Patents

自転車用駆動力補助装置

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JPH10316081A
JPH10316081A JP26237397A JP26237397A JPH10316081A JP H10316081 A JPH10316081 A JP H10316081A JP 26237397 A JP26237397 A JP 26237397A JP 26237397 A JP26237397 A JP 26237397A JP H10316081 A JPH10316081 A JP H10316081A
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JP
Japan
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peripheral surface
shaft
outer ring
roller
traction
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Application number
JP26237397A
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English (en)
Inventor
Koichi Sakai
幸一 坂井
Ryoichi Otaki
大滝  亮一
Atsushi Ozawa
敦 尾澤
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伝達すべきトルクに応じて、ガイドローラ1
8c及びウェッジローラの外周面と、回転軸4及び外輪
20の内周面との当接圧を変える。又、ペダルを踏まな
い状態で電動モータが抵抗になるのを防止する為の一方
向クラッチを省略可能にする。そして、トルク変動に拘
らず伝達効率が高く、小型・軽量で安価な構造を実現す
る。 【解決手段】 回転軸4の外周面と外輪20の内周面と
を偏心させ、これら両周面同士の間に存在する内部空間
27の幅寸法を、周方向に亙り変化させる。トルク伝達
時には、ウェッジローラを、上記内部空間27のうちで
幅寸法が狭い部分に変位させる。そして、ガイドローラ
18c及びウェッジローラの外周面と、回転軸4及び外
輪20の内周面との当接圧を大きくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の自転車用駆動力補助
装置は、ペダルの踏力を少なくできる電動補助自転車の
駆動系に組み込み、電動モータの回転軸の回転数を減速
してペダル軸に伝達する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】電動モータの動力を利用してペダルの踏
力を低減し、力のない者でも坂道を登れる様にし、又、
自転車に乗る者の疲労軽減を図る電動補助自転車が、近
年普及し始めている。この様な電動補助自転車の構造に
就いては、例えば特開平7−95744号公報に記載さ
れている。この公報に記載された電動補助自転車に組み
込まれている自転車用駆動力補助装置は、図15に示す
様に、ペダル1(本発明の実施の形態を示す図1参照)
を踏む事によりクランク2を介して回転駆動されるペダ
ル軸3に、上記ペダル1を介して加えられるトルクに応
じた大きさの駆動力を、上記ペダル1を介して加えられ
るトルクに足して加えるものである。
【0003】この様な自転車用駆動力補助装置は、図示
しないバッテリーと、このバッテリーからの通電に基づ
いて回転軸を所定方向に回転させる電動モータ5(図
1、2、5参照)と、この電動モータ5の回転軸4と上
記ペダル軸3との間に設けられた減速装置31とを備え
る。そして、この減速装置31は、遊星ローラ式減速機
32を含んで構成している。この様に、自転車用駆動力
補助装置に、遊星ローラ式減速機32を含む減速装置3
1を使用する理由は、次の通りである。
【0004】先ず、電動モータ5の効率を確保し、バッ
テリーの寿命を延ばして走行距離(補助動力を得た状態
で走行できる距離。本明細書全体で同じ。)を長くする
為には、この電動モータ5を高速で回転させる必要があ
る。これに対して、上記ペダル軸3に加える回転駆動力
は、比較的低速で、しかもトルクが大きい必要がある。
そこで、上記電動モータ5とペダル軸3との間に減速装
置31を設け、この電動モータ5の回転軸4の回転速度
を減速すると共にトルクを増大させて、このトルクを上
記ペダル軸3に伝達する様にしている。
【0005】又、遊星ローラ式減速機32は、上記減速
装置31の初段に設けて、この減速装置31が不快な騒
音を発生する事を防止している。即ち、遊星歯車式減速
機等、歯車式の減速機は、伝達効率が良い反面、高速運
転すると耳障りな高周波騒音を発生する。そこで、最も
運転速度が速い減速装置の初段部分に、騒音の少ない遊
星ローラ式減速機32を配置し、上記減速装置31の運
転時に発生する騒音の低減を図っている。ちなみに、前
記特開平7−95744号公報に記載されている自転車
用駆動力補助装置は、初段に上記遊星ローラ式減速機3
2を、中段に傘歯車式減速機33を、終段に遊星歯車式
減速機34を、それぞれ設けている。又、上記遊星ロー
ラ式減速機32と傘歯車式減速機33との間に、ローラ
クラッチ等の一方向クラッチ35を設け、電動モータ5
からペダル軸3に向けてのみ、回転力の伝達を自在とし
ている。この一方向クラッチ35は、惰性走行時、下り
坂走行時等、ペダル1を踏まずに走行する様な状態でペ
ダル軸3と電動モータ5の回転軸4とを切り離し、この
電動モータ5の存在が走行に対する抵抗になる事を防止
する役目を有する。
【0006】尚、上記特開平7−95744号公報に記
載されている自転車用駆動力補助装置に組み込んだ遊星
ローラ式減速機32は、電動モータ5の回転軸4の端部
を覆う状態で固定されたハウジング36と、このハウジ
ング36の内側で上記回転軸4の周囲部分に、この回転
軸4と平行に配置された4本の支持軸37、37と、こ
れら各支持軸37、37により回転自在に支持された4
個の遊星ローラ38、38と、上記ハウジング36の内
側でこれら遊星ローラ38、38を囲む部分に固定し
た、内周面を円筒面とした外輪39とを備える。そし
て、上記各支持軸37、37を支持した連結部材40
を、上記遊星ローラ式減速機32の出力軸として機能自
在とし、上記各遊星ローラ38、38の公転運動を、上
記遊星ローラ式減速機32の回転出力として取り出し自
在としている。又、上記各遊星ローラ38、38の外周
面を、上記電動モータ5の回転軸4の外周面と上記外輪
39の内周面とに当接させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述の様な、特開平7
−95744号公報に記載されている自転車用駆動力補
助装置の場合、遊星ローラ式減速機32の伝達効率を全
範囲に亙って高くする事が難しく、電動補助自転車の走
行距離を長くする上での障害となっている。この理由
は、次の通りである。
【0008】遊星ローラ式減速機32の伝達効率を確保
する為には、各遊星ローラ38、38の外周面と、回転
軸4の外周面及び外輪39の内周面との当接部が滑らな
い様にする必要がある。又、これら各当接部が滑らない
様にする為には、これら各当接部を構成するそれぞれ1
対ずつの周面同士の接触圧を高くする必要がある。そこ
で、従来の自転車用駆動力補助装置に組み込んでいる遊
星ローラ式減速機32の場合には、上記回転軸4の外周
面及び外輪39の内周面との間に上記各遊星ローラ3
8、38を、締まり嵌めにより圧入して、上記各当接部
の接触圧を確保している。
【0009】一方、上記接触圧が一定であると仮定した
場合には、遊星ローラ式減速機32を介して伝達するト
ルクが大きくなる程、上記各当接部が滑り易くなる。こ
の為従来は、例えば急坂を登る場合の様に、上記遊星ロ
ーラ式減速機32を介して伝達するトルクが最大となる
状態でも上記各当接部が滑らない様に、上記当接圧を規
制(大きく)していた。ところが、転がり接触している
周面同士の当接圧を大きくすると、転がり抵抗が増大し
て、上記遊星ローラ式減速機32内での動力損失が大き
くなる。
【0010】より具体的には、平地を定速走行する場合
の様に、遊星ローラ式減速機32を介して伝達するトル
クが小さく、接触圧が低くても上記各当接部に滑りが発
生する可能性がない状態でも、これら各当接部に過大な
当接圧が付与された状態となり、遊星ローラ式減速機3
2の内部損失が大きくなる。この為、最も走行状態とし
て一般的な、平地での定速走行時に於ける伝達効率が悪
く、上記電動モータ5に通電するバッテリーの消費を著
しくする。この結果、電動補助自転車の走行距離を長く
する事が難しくなる。本発明の自転車用駆動力補助装置
は、この様な事情に鑑みて、遊星ローラ式減速機32と
は異なる構造のトラクションローラ式減速機を採用する
と共に、このトラクションローラ式減速機を構成する各
トラクションローラの外周面と回転軸の外周面及び外輪
の内周面との当接部の当接圧を、伝達すべきトルクに対
応して調節する構造とする事により、上記バッテリーの
消費を軽減し、電動補助自転車の走行距離を長くすべく
発明したものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の自転車用駆動力
補助装置は、前述の特開平7−95744号公報に記載
されている自転車用駆動力補助装置と同様に、ペダルを
踏む事によりクランクを介して回転駆動されるペダル軸
に、上記ペダルを介して加えられるトルクに応じた大き
さの駆動力を、上記ペダルを介して加えられるトルクに
足して加えるべく、バッテリーと、このバッテリーから
の通電に基づいて回転軸を所定方向に回転させる電動モ
ータと、この電動モータの回転軸と上記ペダル軸との間
に設けられた減速装置とを備える。又、この減速装置
は、トラクションローラ式減速機を含んで構成してい
る。
【0012】そして、上記トラクションローラ式減速機
は、上記特開平7−95744号公報に記載されている
自転車用駆動力補助装置に組み込まれた遊星ローラ式減
速機とは異なり、上記電動モータの回転軸の端部を覆う
状態で固定されたハウジングと、このハウジングの内側
で上記回転軸の周囲部分に、この回転軸と平行に配置さ
れて、上記回転軸の周囲を公転しない複数本(好ましく
は3本以上)の支持軸と、これら各支持軸により回転自
在に支持された複数個(好ましくは3個以上)のトラク
ションローラと、上記ハウジングの内側でこれらトラク
ションローラを囲む部分に設けられた、少なくとも内周
面を円筒面とした外輪と、この外輪と同心で、一端部を
この外輪に結合固定すると共に上記ハウジングに回転自
在に支持された出力軸とを備える。そして、上記各トラ
クションローラの外周面を、上記回転軸と共に回転する
部分の外周面と上記外輪の内周面とに当接させて成る。
【0013】特に、本発明の自転車用駆動力補助装置に
於いては、上記回転軸の中心と上記出力軸及び外輪の中
心とを偏心させる事により、上記回転軸と共に回転する
部分の外周面と上記外輪の内周面との間に存在して上記
各トラクションローラが設けられた内部空間の幅寸法
を、円周方向に亙って不同にしている。これと共に、上
記複数個のトラクションローラのうちの少なくとも1個
のトラクションローラを、少なくとも上記内部空間の円
周方向に亙る若干の変位自在に支持してウェッジローラ
とし、残りのトラクションローラをガイドローラとして
いる。そして、上記回転軸及び外輪が上記所定方向に回
転した場合に、上記ウェッジローラとなる少なくとも1
個のトラクションローラを、上記内部空間の幅の狭い部
分に向け移動自在としている。
【0014】
【作用】上述の様に構成する本発明の自転車用駆動力補
助装置の場合、電動モータの回転軸の回転は、この回転
軸と共に回転する部分の外周面と複数個のトラクション
ローラの外周面との当接部である内径側当接部を介し
て、これら各トラクションローラに伝わる。更に、これ
ら各トラクションローラの回転は、これら各トラクショ
ンローラの外周面と外輪の内周面との当接部である外径
側当接部を介して、この外輪に伝わる。そして、この外
輪に結合固定した出力軸が回転して、ペダル軸に補助動
力を付与する。
【0015】ペダルの踏み込みに伴って上記ペダル軸に
トルクが加わり、上記電動モータへの通電に基づいて、
上記回転軸及び外輪が所定方向に回転すると、ウェッジ
ローラである少なくとも1個のトラクションローラが、
上記回転軸の外周面と外輪の内周面との間に存在する内
部空間内で、この内部空間の幅の狭い部分に向け移動す
る。この結果、上記ウェッジローラである少なくとも1
個のトラクションローラの外周面が、上記回転軸の外周
面と外輪の内周面とを強く押圧し、当該トラクションロ
ーラの外周面と上記回転軸の外周面との当接部である内
径側当接部、及び、当該トラクションローラの外周面と
外輪の内周面との当接部である外径側当接部の当接圧が
高くなる。これら、内径側、外径側両当接部の当接圧が
高くなり、上記回転軸と外輪との少なくとも一方が、そ
れぞれの直径方向に亙り僅かに変位する結果、ガイドロ
ーラである残りのトラクションローラの外周面と上記回
転軸の外周面との当接部である内径側当接部、及び、こ
の残りのトラクションローラの外周面と外輪の内周面と
の当接部である外径側当接部の当接圧が高くなる。
【0016】上記ウェッジローラである少なくとも1個
のトラクションローラを、上記内部空間内でこの内部空
間の幅の狭い部分に向け移動させようとする力は、上記
回転軸から上記外輪に伝達するトルクの大きさに応じて
変化する。即ち、このトルクが大きい程上記力が大きく
なり、上記各内径側、外径側両当接部の当接圧が大きく
なる。逆に言えば、上記トルクが小さい場合には、これ
ら各内径側、外径側両当接部の当接圧は小さい。
【0017】上述の様に本発明の自転車用駆動力補助装
置によれば、減速装置を構成するトラクションローラ式
減速機を介して伝達するトルクが小さい場合には上記各
当接部の当接圧を小さくし、このトルクが大きい場合に
はこれら各当接部の当接圧を大きくする。従って、伝達
するトルクが大きい場合にもこれら各当接部が滑る事を
有効に防止しつつ、伝達するトルクが小さい場合にこれ
ら各当接部に作用する転がり抵抗を小さく抑える事がで
きる。この結果、トラクションローラ式減速機の伝達効
率を全範囲に亙って高くし、電動モータに通電するバッ
テリーの消耗を抑え、電動補助自転車の走行距離を長く
できる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1〜3は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。尚、本発明の自転車用駆動力補
助装置の特徴は、トラクションローラ式減速機を介して
伝達する回転駆動力のトルクに応じて各当接部の当接圧
を変化させ、この回転駆動力のトルクの変動に拘らず、
トラクションローラ式減速機の伝達効率を高く維持する
為の構造にある。そこで、以下の説明は、トラクション
ローラ式減速機部分の構造及び作用を中心に行なう。
【0019】本発明の自転車用駆動力補助装置は、図1
に略示する様に、ペダル1を踏む事によりクランク2を
介して回転駆動されるペダル軸3に、上記ペダル1を介
して加えられるトルクに応じた大きさの駆動力を、上記
ペダル1を介して加えられるトルクに足す状態で加え
る。この為に本発明の自転車用駆動力補助装置は、図示
しないバッテリーと、このバッテリーからの通電に基づ
いて回転軸4を所定方向に回転させる電動モータ5と、
この電動モータ5の回転軸4と上記ペダル軸3との間に
設けた減速装置6とを備える。又、この減速装置6は、
初段に設けたトラクションローラ式減速機7と、中段及
び終段に設けた歯車式減速機8、9とを、動力の伝達方
向に関して互いに直列に配置して成る。このうち、中段
の歯車式減速機8は、大小2個のはすば歯車10a、1
0bを互いに噛合して成る。又、終段の歯車式減速機9
は、大小2個の傘歯車11a、11bを互いに噛合して
成る。尚、これら中段及び終段の減速機は、設置スペー
ス等の関係で、遊星歯車式減速機、ベルト式減速機等、
従来から知られている各種減速機のうちから適宜選択使
用できる。
【0020】本発明の特徴である、上記トラクションロ
ーラ式減速機7は、上記電動モータ5の回転軸4の端部
を覆う状態で図示しないフレーム等に固定した、ハウジ
ング12を備える。このハウジング12は、有底円筒状
の本体13と、この本体13の基端開口部を塞ぐ蓋体1
4とから成る。上記電動モータ5の回転軸4の先端部
は、この蓋体14の略中央部に形成した通孔24を挿通
して、上記ハウジング12内に挿入している。尚、この
通孔24は、後述する様に、上記蓋体14の中心から少
しだけ外れた位置に設けている。又、この通孔24の内
周面と上記回転軸4の中間部外周面との間には、軸受1
5を設けている。
【0021】又、上記ハウジング12の内側で上記回転
軸4の周囲部分には、3本の支持軸16、16aを、そ
れぞれこの回転軸4と平行に配置している。即ち、これ
ら各支持軸16、16aの一端部(図2の上端部)を上
記蓋体14に支持すると共に、他端部(図2の下端部)
を連結環17に支持している。尚、これら3本の支持軸
16、16aのうち、2本の支持軸16、16は、それ
ぞれの両端部を上記蓋体14及び連結環17に設けた嵌
合孔に圧入固定若しくはほぼがたつきなく挿入してい
る。従って、これら2本の支持軸16、16が、上記ハ
ウジング12内で円周方向或は直径方向に変位する事は
ない。これに対して、残り1本の支持軸16aは、両端
部を上記蓋体14及び連結環17に対し、上記ハウジン
グ12の円周方向(更には必要とすれば直径方向)に亙
る若干の変位自在に支持している。この為に、上記蓋体
14及び連結環17の一部で上記支持軸16aの両端部
に整合する部分には、上記ハウジング12の円周方向に
長い円弧状の係合溝若しくは上記支持軸16aの両端部
の外径よりも大きな内径を有する支持孔(図1〜3には
省略)を形成し、これら両係合溝若しくは支持孔に、上
記支持軸16aの両端部を緩く係合させている。そし
て、これら各支持軸16a、16の中間部周囲に、それ
ぞれがトラクションローラであるウェッジローラ18a
及びガイドローラ18b、18cを、それぞれ軸受19
(図2参照。図3には省略。)により、回転自在に支持
している。尚、上記連結環17の一部は、上記蓋体14
の内面(上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ1
8b、18cを設置した空間側の面で、図2の下面)の
一部で上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ18
b、18cから外れた位置に突設した、突部28に結合
している。
【0022】又、上記ハウジング12の内側で上記ウェ
ッジローラ18a及びガイドローラ18b、18cを囲
む部分には、有底円筒状の外輪20を、回転自在に設け
ている。この外輪20は、円筒部21と、この円筒部2
1の一端(図2の下端)開口を塞ぐ円板部22とから成
る。このうちの円筒部21の内周面は平滑な円筒面とし
て、やはり平滑に形成した、上記ウェッジローラ18a
及びガイドローラ18b、18cの外周面と当接自在と
している。又、上記円板部22の外側面(上記ウェッジ
ローラ18a及びガイドローラ18b、18cを設置し
た空間と反対側面で、図2の下面)には、出力軸23の
基端部(図2の上端部)を結合固定している。そしてこ
の出力軸23を、上記ハウジング12を構成する本体1
3の中央部に設けた第二の通孔25に挿通して、上記ハ
ウジング12外に突出させている。尚、上記出力軸23
の基端寄り部分の外周面と上記第二の通孔25の内周面
との間には軸受26を設けて、上記外輪20及び出力軸
23を、上記ハウジング12に対し回転自在に支持して
いる。又、上記出力軸23の先半部(図2の下半部)で
上記ハウジング12外に突出した部分には、前記歯車式
減速機8を構成する1対のはすば歯車10a、10bの
うち、小径のはすば歯車10bを固定している。
【0023】上記ウェッジローラ18a及びガイドロー
ラ18b、18cの外周面は、前記回転軸4の外周面と
上記外輪20の内周面とに当接させている。特に、本発
明の自転車用駆動力補助装置に於いては、上記回転軸4
の中心と上記出力軸23及び外輪20の中心とを偏心さ
せている。即ち、前述の様に、上記回転軸4を挿通する
通孔24は、上記ハウジング12の中心から少しだけ外
れた位置に設けているのに対して、上記出力軸23を挿
通する第二の通孔25は、上記ハウジング12の中心に
設けている。又、この第二の通孔25の内側に支持した
出力軸23と外輪20とは互いに同心である。従って、
上記回転軸4と上記外輪20及び出力軸23とは、上記
通孔24のハウジング12の中心からのずれ量δ分だ
け、互いに偏心している。そして、上記回転軸4の外周
面と上記外輪20の内周面との間に存在して上記ウェッ
ジローラ18a及びガイドローラ18b、18cが設け
られた内部空間27の幅寸法が、このδ分の偏心量に見
合う分だけ、円周方向に亙り不同になっている。
【0024】この様に、上記内部空間27の幅寸法を円
周方向に亙り不同にした分、上記ウェッジローラ18a
及びガイドローラ18b、18cの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪20に対して回転軸4が偏心してい
る側(図3の左側)に位置するウェッジローラ18a及
びガイドローラ18b(小径ガイドローラ)の径を、互
いに同じとすると共に比較的小径にしている。これに対
して、上記外輪20に対して回転軸4が偏心しているの
と反対側(図3の右側)に位置するガイドローラ18c
(大径ガイドローラ)の径を、ウェッジローラ18a及
びガイドローラ18bよりも大きくしている。そして、
これら3個の、それぞれがトラクションローラであるウ
ェッジローラ18a及びガイドローラ18b、18cの
外周面を、上記回転軸4の外周面と上記外輪20の内周
面とに当接させている。尚、トラクションローラ式減速
機7の減速比は、上記回転軸4の外径と外輪20の内径
との比により定まる。従って、必要な減速比を得る為
に、上記回転軸4の先端部にスリーブを外嵌固定し、こ
のスリーブの外周面と上記ウェッジローラ18a及びガ
イドローラ18b、18cの外周面とを当接させる事も
できる。
【0025】尚、それぞれがトラクションローラであ
る、上記1個のウェッジローラ18a及び2個のガイド
ローラ18b、18cのうち、ガイドローラ18b、1
8cを支持した支持軸16、16は、前述の様に、上記
ハウジング12内に固定している。これに対して、ウェ
ッジローラ18aを支持した支持軸16aは、やはり前
述した様に上記ハウジング12内に、円周方向に亙る若
干の変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジ
ローラ18aも、上記ハウジング12内で、円周方向に
亙る変位自在である。そして、上記回転軸4が上記所定
方向に回転した場合に、上記1本の支持軸16aに回転
自在に支持したウェッジローラ18aを、前記内部空間
27の幅の狭い部分に向け移動自在としている。
【0026】即ち、図示の例では、前記ペダル軸3に補
助動力を付加する際に、上記回転軸4が図3に矢印イで
示す様に、同図の時計方向に回転する様に、構成各部の
組み付け方向を規制している。従って、補助動力の付加
時には、上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ1
8b、18cが、図3に矢印ロ、ロで示す様に、上記各
支持軸16a、16を中心に同図の反時計方向に回転
し、上記外輪20が同じく矢印ハで示す様に反時計方向
に回転する。この様に、上記1個のウェッジローラ18
aが矢印ロで示す様に回転し、このウェッジローラ18
aを上記ハウジング12の直径方向の内外両側から挟持
した回転軸4及び外輪20がそれぞれ矢印イ、ハに示す
様に回転する結果、上記ウェッジローラ18a全体が、
図3に矢印ニで示す様に、図3の時計方向に変位する傾
向となる。即ち、上記ウェッジローラ18aには、矢印
イ方向に回転する上記回転軸4から、上記矢印ニ方向の
力を受け、ウェッジローラ18aが矢印ロ方向に回転す
る事で外輪20の内周面との当接部から受ける反作用に
より、やはり上記矢印ニ方向の力を受ける。この結果、
上記回転軸4の回転時に上記ウェッジローラ18aが、
上記内部空間27の幅の狭い部分に向けて移動する傾向
になる。
【0027】上述の様に構成される本発明の自転車用駆
動力補助装置の場合、電動モータ5の回転軸4の回転
は、この回転軸4の外周面と、それぞれがトラクション
ローラであるウェッジローラ18a及びガイドローラ1
8b、18cの外周面との当接部である、各内径側当接
部29、29を介して、これらウェッジローラ18a及
びガイドローラ18b、18cに伝わる。更に、これら
ウェッジローラ18a及びガイドローラ18b、18c
の回転は、これらウェッジローラ18a及びガイドロー
ラ18b、18cの外周面と上記外輪20の内周面との
当接部である、各外径側当接部30、30を介して、こ
の外輪20に伝わる。そして、この外輪20に結合固定
した前記出力軸23が回転する。この出力軸23の回転
は、更に前記1対の歯車式減速機8、9を介して前記ペ
ダル軸3に伝わり、このペダル軸3に補助動力を付与す
る。
【0028】上記回転軸4及び外輪20が所定方向に回
転すると、1本の支持軸16aに回転自在に支持したウ
ェッジローラ18aが、上記回転軸4の外周面と外輪2
0の内周面との間に存在する内部空間27内で、この内
部空間27の幅の狭い部分に向け図3の矢印二方向に移
動する。この結果、上記1本の支持軸16aに回転自在
に支持したウェッジローラ18aの外周面が、上記回転
軸4の外周面と外輪20の内周面とを強く押圧する。そ
して、当該ウェッジローラ18aの外周面と上記回転軸
4の外周面との当接部である内径側当接部29、及び、
当該ウェッジローラ18aの外周面と外輪20の内周面
との当接部である外径側当接部30の当接圧が高くな
る。
【0029】これら、1個のウェッジローラ18aに関
する内径側、外径側両当接部29、30の当接圧が高く
なると、それぞれがこのウェッジローラ18aの外周面
により押圧される部材である、上記回転軸4と外輪20
とのうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或
は弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に亙り僅か
に変位する。この結果、残り2個のトラクションローラ
である、ガイドローラ18b、18cの外周面と上記回
転軸4の外周面との当接部である2個所の内径側当接部
29、29、及びこれら2個のガイドローラ18b、1
8bの外周面と外輪20の内周面との当接部である2個
所の外径側当接部30、30の当接圧が高くなる。
【0030】上記1本の支持軸16aに回転自在に支持
したウェッジローラ18aを、上記内部空間27内でこ
の内部空間27の幅の狭い部分に向け移動させようとす
る力は、上記回転軸4から上記外輪20に伝達するトル
クの大きさに応じて変化する。即ち、前記ペダル1から
ペダル軸3に加わえられるトルクが大きくなり、このト
ルクを検知したセンサからの信号に基づく、前記電動モ
ータ5の回転軸4の駆動トルクが大きくなる程、上記ウ
ェッジローラ18aを上記内部空間27の幅の狭い部分
に向け移動させようとする力が大きくなる。そして、こ
の力が大きくなる程、上記各内径側、外径側両当接部2
9、30の当接圧が大きくなる。逆に言えば、上記駆動
トルクが小さい場合には、これら各内径側、外径側両当
接部29、30の当接圧は小さい。
【0031】上述の様に本発明の自転車用駆動力補助装
置によれば、減速装置6を構成するトラクションローラ
式減速機7を介して伝達するトルクが小さい場合には上
記各当接部29、30の当接圧を小さくし、このトルク
が大きい場合にはこれら各当接部29、30の当接圧を
大きくする。従って、伝達するトルクが大きい場合にも
これら各当接部29、30が滑る事を有効に防止しつ
つ、伝達するトルクが小さい場合にこれら各当接部2
9、30に作用する転がり抵抗を小さく抑える事ができ
る。この結果、トラクションローラ式減速機7の伝達効
率を全範囲に亙って高くし、電動モータ5に通電するバ
ッテリーの消耗を抑え、電動補助自転車の走行距離を長
くできる。
【0032】例えば、図4は、本発明の対象となる自転
車用駆動力補助装置が伝達するトルク域での、トラクシ
ョンローラ式減速機の伝達効率を示している。横軸は伝
達トルクを、縦軸は伝達効率を、それぞれ表している。
又、○印を連続させた曲線αは、本発明の自転車用駆動
力補助装置の伝達効率を、△印を連続させた曲線βは、
本発明の様な偏心構造を持たせる事なく、最大トルク域
でも滑りが発生しない様な当接圧を付与したトラクショ
ンローラ式減速機を組み込んだ自転車用駆動力補助装置
の伝達効率を、それぞれ表している。又、斜格子部分
は、平地で定速走行する場合の常用トルク域である。こ
の図4から明らかな通り、本発明の自転車用駆動力補助
装置によれば、常用トルク域での伝達効率を2〜5ポイ
ント(%)程度改善して、その分、走行距離を伸ばす事
が可能になる。
【0033】尚、本発明を実施する場合、必要に応じ
て、円周方向に変位する1本の支持軸16aにリターン
スプリングを付設し、この支持軸16aに、中立位置に
復帰する方向の弾力を付与する。尚、中立位置では、上
記支持軸16aに支持したウェッジローラ18aの外周
面を、前記回転軸4の外周面及び外輪20の内周面に軽
く当接させる。又、前記偏心量δ及び上記支持軸16a
の円周方向に亙る変位量は、トルク伝達時に上記各当接
部29、30に必要な当接圧を勘案して設計的に定め
る。更に、本発明の自転車用駆動力補助装置に組み込む
トラクションローラ式減速機の場合には、惰性走行時、
下り坂走行時の様に、回転軸4が回転せず、外輪20が
回転する状態では、ウェッジローラ18aが、内部空間
27のうちの幅が広い部分に移動する傾向となる。この
結果、前記ウェッジローラ18a及びガイドローラ18
b、18cの外周面と上記回転軸4の外周面及び外輪2
0の内周面との当接圧が低くなって、外輪20の回転が
回転軸4に伝わらなくなる。従って、本発明を実施する
場合、従来構造で必要とした、一方向クラッチを省略す
る事も可能になる。
【0034】次に、図5〜7は、本発明の実施の形態の
第2例として、上述の様なトラクションローラ式変速機
の特性を利用して一方向クラッチを省略した構造の具体
例を示している。本例の場合には、3本の支持軸16、
16aを、ハウジング12を構成する蓋体14の内面
(図5の下面)と連結環17との間に掛け渡す様に支持
している。上記3本の支持軸16、16aのうち、ガイ
ドローラ18b、18cを支持する為の2本の支持軸1
6、16は、上記蓋体14及び連結環17に対し、ずれ
動かない様に嵌合固定している。これに対して、中間部
周囲にウェッジローラ18aを回転自在に支持した支持
軸16aの両端部は、上記蓋体14の内面及び上記連結
環17に形成した、上記支持軸16の外径よりも大きな
内径を有する支持孔41に、緩く係合させている。
【0035】更に、上記蓋体14の一部にはシリンダ孔
42を、上記支持孔41の内周面に開口する状態で形成
している。この様なシリンダ孔42は、例えば上記蓋体
14を、アルミニウム合金等のダイキャスト成形により
造る際、同時に形成する。この様にして上記シリンダ孔
42を形成すれば、上記蓋体14の軸方向寸法を有効に
利用して、小型のトラクションローラ式減速機7の設計
が容易になる。何れにしても、上記シリンダ孔42内に
は、圧縮コイルばね等、弱い弾性を有する弾性材43
と、この弾性材43により上記支持孔41の内周面から
突出する方向の弾力を付与された押圧駒44とを挿入し
ている。そして、この押圧駒44の一端面を、上記ウェ
ッジローラ18aを支持した支持軸16aの外周面に弾
性的に突き当てている。そして、この支持軸16a及び
この支持軸16aの中間部に支持した上記ウェッジロー
ラ18aを、回転軸4の外周面と外輪20を構成する円
筒部21の内周面との間に存在する内部空間27の、幅
の狭い部分に向け軽く押圧している。尚、上記押圧駒4
4は、圧縮コイルばねである上記弾性材43の倒れを防
止して、この弾性材43により上記支持軸16aに付与
する弾性荷重を適正値にする為に設ける。即ち、上記シ
リンダ孔42内で上記弾性材43が傾斜すると、この弾
性材43による弾性荷重の作用方向がずれて、上記支持
軸16aに付与する弾性荷重が設定値からずれる可能性
がある。これに対して、上記押圧駒44を設ければ、上
記弾性材43の倒れを防止して、上記支持軸16aに付
与する弾性荷重を設定値に規制できる。又、図示は省略
したが、上記支持軸16aの一部で上記押圧駒44の先
端面が当接する部分には、必要に応じて平坦面を形成
し、上記支持軸16aの回転防止を図る。
【0036】上記外輪20を構成する円板部22の中央
部外面には出力軸23の基端部を結合固定し、この出力
軸23の回転運動を、前述の図15に示した従来構造と
同様に、中段の傘歯車式減速機33と終段の遊星歯車式
減速機34とを介して、ペダル軸3に伝達自在としてい
る。但し、本例の自転車用駆動力補助装置の場合には、
前述の図15に示した従来構造の場合とは異なり、トラ
クションローラ式減速機7と傘歯車式減速機33との間
に、ローラクラッチ等の一方向クラッチを設けていな
い。即ち、上記トラクションローラ式減速機7の出力部
と上記傘歯車式減速機33の入力部とは、凹凸係合によ
り、或は一体的に結合して、両方向の回転力伝達を可能
にしている。
【0037】この様に上記トラクションローラ式減速機
7と傘歯車式減速機33との間に、ローラクラッチ等の
一方向クラッチを設けなくても、本発明の自転車用駆動
力補助装置の場合には、惰性走行時、下り坂走行時等、
ペダル1を踏まずに走行する様な状態でペダル軸3と電
動モータ5の回転軸とを切り離し、この電動モータ5の
存在が走行に対する抵抗となる事を防止できる。即ち、
ペダル1を踏まずに走行する様な状態の様に、回転軸4
が回転せず、外輪20が回転する状態では、ウェッジロ
ーラ18aが、前記弾性材43の弾力に抗して、前記内
部空間27のうちの幅が広い部分に移動する傾向とな
る。この結果、前記ウェッジローラ18a及びガイドロ
ーラ18bの外周面と上記回転軸4の外周面及び外輪2
0の内周面との当接圧が低くなって、各内径側当接部2
9、29及び各外径側当接部30、30が滑り、外輪2
0の回転が回転軸4に伝わらなくなる。
【0038】この様に、一方向クラッチを省略した分、
部品コストの削減に基づくコスト削減を図れるだけでな
く、部品管理、組立作業が容易になる事でもコスト削減
を図れる。更に、一方向クラッチの設置スペースが不要
になる事で、自転車用駆動力補助装置の小型・軽量化も
可能になる。尚、上記ウェッジローラ18aを内部空間
27の幅の狭い部分に押圧する弾性材43及び押圧駒4
4は、設置スペースが許すならば、好ましくは、前記支
持軸16aの両端部と、蓋体14及び連結環17との間
に設ける。
【0039】尚、本例(及び次述する第3例)で、上記
弾性材43である圧縮コイルばねが上記ウェッジローラ
18aを支承した支持軸16aを、上記内部空間27の
幅の狭い部分に押圧する弾力(弾性荷重)は、回転軸4
から外輪20に伝達すべき回転力(トルク)の大きさに
より設計的に定める。例えば、日常的に使用する自転車
用の動力補助装置の場合に、上記弾性荷重の大きさは、
150〜1000gの範囲に規制する事が好ましい。弾
性荷重が150g未満の場合には、自転車が停止状態に
ある場合に上記ウェッジローラ18aの外周面と上記回
転軸4の外周面及び外輪20の内周面との当接圧が小さ
くなり過ぎて、自転車を発進した直後に上記ウェッジロ
ーラ18aの外周面と上記回転軸4の外周面及び外輪2
0の内周面との間で滑りが発生し、十分な補助動力を得
られなくなる。これに対して、上記弾性荷重が1000
gを越えると、上記当接圧が大きくなり過ぎて、上記各
周面同士の当接部(各内径側当接部29、29及び各外
径側当接部30、30)部分での転がり抵抗が増大し、
トラクションローラ式減速機7の伝達効率が低下するだ
けでなく、惰性走行時、下り坂走行時等、ペダル1を踏
まずに走行する様な状態での空転トルクが増大し、自転
車に乗る者に不快感を与える。
【0040】即ち、上記弾性材43により上記ウェッジ
ローラ18aに付与する弾性荷重は、上記トラクション
ローラ式減速機7の始動時に、このウェッジローラ18
aの外周面と上記回転軸4の外周面及び外輪20の内周
面との当接圧を確保し、これら各周面同士の当接部であ
る、内径側、外径側両当接部29、30部分で滑りが発
生しない様にする為に必要である。上記トラクションロ
ーラ式減速機7の始動後、上記ウェッジローラ18aが
上記内部空間27の幅の狭い部分に食い込んだ場合に
は、上記弾性材43による弾性荷重は不要であるだけで
なく、大き過ぎると上記トラクションローラ式減速機7
の伝達効率を低下させると共に空転トルクを増大させ
る。そこで、上記弾性荷重の大きさを、150〜100
0gの範囲に規制する。
【0041】又、上記内部空間27内に装着した上記ウ
ェッジローラ18aに関する軸方向隙間は、0.1〜
1.5mmの範囲に規制する事が好ましい。この理由は、
何らかの原因で上記ウェッジローラ18aを枢支してい
る支持軸16aが上記回転軸4に対し傾斜した場合に、
上記内部空間27の内面と上記ウェッジローラ18aの
周縁とが強く擦れ合い、このウェッジローラ18aを拘
束しない様にする為である。尚、上記軸方向隙間とは、
このウェッジローラ18aを図8に示す様に、上記内部
空間27内でそれ以上傾斜しない状態にまで変位させた
場合の、上記ウェッジローラ18aの端部外周縁と内部
空間27の内面との距離δである。
【0042】次に、図9〜13は、より具体化した、本
発明の実施の形態の第3例を示している。本例に関し
て、基本構造自体は、前述の図1〜3に示した第1例或
は図5〜7に示した第2例と同様であるから、以下、本
例の構造に就いて、構成各部毎に説明する。先ず、電動
モータ5(図1〜2参照)の回転駆動軸であると同時に
トラクションローラ式変速機7の入力軸である回転軸4
は、ウェッジローラ18a及びガイドローラ18b、1
8cの外周面と当接する先端部(図9の下端部)外周面
にのみ、高周波焼き入れ処理を施している。この様にす
る事で、上記回転軸4の先端部外周面の摩耗を防止し、
しかも高周波焼き入れ処理に基づくコスト上昇と回転軸
4の変形とを防止している。又、この様にして高周波焼
き入れ処理を施した、上記回転軸4の先端部外周面は研
磨して、表面粗さを0.4a以下にしている。この様
に、上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ18
b、18cの外周面と当接する、回転軸4の先端部外周
面を平滑にする事により、互いに当接するこれら各外周
面同士の間の油膜を保護し(強度の大きな油膜を形成可
能にし)て、上記回転軸4と上記ウェッジローラ18a
及びガイドローラ18b、18cとの間でのトラクショ
ンドライブを可能にしている。
【0043】上述の様な回転軸4を上記トラクションロ
ーラ式変速機7に組み付ける作業は、次述する外輪20
の内側に上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ1
8b、18cを組み付けた後に行なう。この様な回転軸
4の組み付け作業を容易に行ない、しかも組み付け作業
に伴って上記各外周面を傷付けない様にする為、上記回
転軸4の挿入時には、上記ウェッジローラ18aを、内
部空間27の幅の広い部分に変位させておく。この為に
図示の例では、後述する蓋体14aの一部で上記ウェッ
ジローラ18aを支承した支持軸16aの端部外周面に
対向する部分に、棒状の工具を挿入する為の挿入孔45
を設けている。上記回転軸4の挿入時には、この挿入孔
45に挿入した工具により上記支持軸16aを、弾性材
43である圧縮コイルばねの弾力に抗して上記幅の広い
部分に変位させ、上記ウェッジローラ18a及びガイド
ローラ18b、18cの外周面の内接円の直径を、上記
回転軸4の先端部の外径よりも大きくしておく。更に図
示の例では、この回転軸4の先端部外周縁に面取り46
を形成して、この回転軸4の挿入作業をより容易に行な
える様にしている。この様に構成する事で、上記トラク
ションローラ式変速機7の組立作業を容易にし、このト
ラクションローラ式変速機7を含む自転車用駆動力補助
装置のコスト低減を可能にしている。
【0044】尚、上記回転軸4の中間部先端寄り部分
は、軸受15を構成する内輪の内側に、隙間嵌により支
持する。又、軸受15を構成する外輪は、後述するハウ
ジング12aを構成する蓋体14aに形成した通孔24
に内嵌し、欠円環状の止め輪48により、この通孔24
からの抜け止めを図っている。上述の様に回転軸4の中
間部先端寄り部分を軸受15の内輪に隙間嵌により内嵌
する事は、上記回転軸4の挿入作業を容易に行なえる様
にする為だけでなく、上記トラクションローラ式変速機
7を確実に作動させる為にも必要である。即ち、上記ウ
ェッジローラ18aが上記内部空間27の幅の狭い部分
に変位すると、上記回転軸4が直径方向に変位して、こ
の回転軸4の外周面と上記各ローラ18a、18b、1
8cの外周面との当接部である内径側当接部29、29
並びに次述する外輪20の内周面と上記各ローラ18
a、18b、18cの外周面との当接部である外径側当
接部30、30の当接圧を高める。この際、上記回転軸
4の直径方向に亙る変位を円滑に行なわせ、且つ、上記
各当接部29、30の当接圧を十分に高める為に、構成
各部材の公差等を考慮して、上記軸受15の隙間を、
0.010〜0.2mmの範囲に規制する事が必要であ
る。尚、この場合に於ける軸受15の隙間とは、この軸
受15の内部隙間と、この軸受15を構成する内輪の内
周面と上記回転軸4の外周面との間の隙間と、この軸受
15を構成する外輪の外周面と後述する蓋体14aの内
周面との間の隙間との合計である。
【0045】又、上記トラクションローラ式変速機7を
構成する外輪20は、SCr420相当の炭素鋼等、十
分な剛性並びに硬度を確保でき、しかも加工が比較的容
易に行なえる金属材料に鍛造加工を施す事により造る。
この金属材料に鍛造加工を施して所望の形状にしたなら
ば、表面を硬化する浸炭焼き入れの為の熱処理を施した
後、L3処理(熱入れ後の旋削加工)を施す。その後、
内周面の一部で、上記ウェッジローラ18a及びガイド
ローラ18b、18cの外周面と当接する部分のみを研
削して、この部分を、上記回転軸4の先端部外周面と同
様、平滑(粗さ0.4a以下)に仕上げる。この様な加
工により上記外輪20を、変形を防止しつつ安価に製作
可能にしている。又、他の製造方法としては、S53C
相当の中炭素鋼に鍛造加工を施した後、旋削加工により
所望の形状としてから、転動面のみを高周波焼き入れ、
或はレーザー焼き入れにより硬化させ次いで、この転動
面を研削する事もできる。又、高周波焼き入れ、レーザ
ー焼き入れの場合、変形を少なくできる為、研削加工を
省略する事もできる。
【0046】上述の様な外輪20を構成する円板部22
の外面(図9の下面)には、出力軸23の基端部(図9
の上端部)を結合固定している。そして、この出力軸2
3の基端部を、後述するハウジング12aを構成する本
体13aに形成した第二の通孔25の内側に、軸受26
により回転自在に支持している。この軸受26を構成す
る外輪は、上記第二の通孔25に内嵌し、欠円環状の止
め輪48aにより、この第二の通孔25からの抜け止め
を図っている。上述の様な出力軸23は、上記外輪20
を鍛造により造る際に一体的に設けても、或は後から外
輪20に対し結合固定しても良い。後から結合固定する
場合には、上記外輪20の中心部に形成した取付孔に、
上記出力軸23の基端部を、締り嵌めにより内嵌固定す
る等の方法が考えられる。何れにしても、上記出力軸2
3の先半部(図9の下半部)には、歯車、プーリ等の回
転伝達部材を、圧入、セレーション係合、圧入を伴うセ
レーション係合、キー係合等により外嵌固定する。この
様にして上記回転伝達部材を上記出力軸23の先半部に
外嵌固定する事により、2段目(前記トラクションロー
ラ式変速機7の後に設ける)減速機の設置スペースを小
さくできる。
【0047】又、ハウジング12aを構成する本体13
aと蓋体14aとは、何れも、アルミニウム合金、マグ
ネシウム合金等の軽合金をダイキャスト成形する事によ
り造る。尚、このうちの本体13aは、例えば傘歯車減
速機33、遊星歯車式減速機34等の他の減速装置を組
み込んだケーシング47(図5参照)等、他の部材と一
体に構成する事も可能である。この様な本体13aに
は、前述の様に、外輪20に結合固定した出力軸23の
基端部を、軸受26により回転自在に支持している。
又、上記蓋体14aに関しては、電動モータ5(図5参
照)を構成するモータハウジングの端板等、この電動モ
ータ5の構成部材と一体に形成しても良い。この様な蓋
体14aには、前述の様に、回転軸4の中間部先端寄り
部分を、軸受15により回転自在に支持している。
【0048】又、前記ウェッジローラ18a及びガイド
ローラ18b、18cを支持する為の支持軸16a、1
6は、一端部(図9の上端部)を上記蓋体14aに支持
すると共に、他端部(図9の下端部)を連結環17に支
持している。この連結環17は、上述の様な軽合金をダ
イキャスト成形する事により、図12に示す様な形状に
造っている。即ち、上記連結環17は、全体を円輪状と
し、円周方向3個所位置に、この連結環17を上記蓋体
14aの突部28、28に結合固定するねじ49、49
を挿通する為の通孔50、50を形成している。又、円
周方向に隣り合う通孔50、50同士の間に存在する3
個所の間部分のうち、2個所の間部分には、上記各ガイ
ドローラ18b、18cを支持する支持軸16、16の
他端部を締り嵌めにより、若しくはがたつきなく内嵌す
る為の嵌合孔51、51を形成している。これに対し
て、残り1個所の間部分の内側面には、上記ウェッジロ
ーラ18aを支持する支持軸16aの他端部を緩く係合
させる為、この支持軸16aよりも十分に大径で有底の
支持孔52を形成している。この様な連結環17は、勿
論、鋼板に削り加工を施す事によっても造れるが、複数
の孔を有する為、上述の様にダイキャスト成形による方
が、コスト低減の為には好ましい。
【0049】尚、上記3本の支持軸16、16aはそれ
ぞれ、表面を硬化させる為の熱処理(ずぶ焼き)を施し
て、次述する軸受19を構成するニードルの転動面との
転がり接触に拘らず、十分な転がり疲れ寿命を確保でき
る様にする。尚、これら3本の支持軸16、16aのう
ち、上記各ガイドローラ18b、18cを支持する為の
支持軸16、16は、それぞれの両端部を上記蓋体14
aと連結環17とに形成した嵌合孔に、締り嵌めにより
内嵌固定しても良い。但し、組立作業の効率化を考えた
場合には、上記各支持軸16、16の一端側を上記蓋体
14aに締り嵌めで内嵌固定するのみで、これら各支持
軸16、16の他端側は、上記連結環17に形成した上
記嵌合孔51、51に、隙間嵌により内嵌する事が好ま
しい。即ち、上記蓋体14aに上記各支持軸16、16
aの一端部を支持してから、これら各支持軸16、16
aの周囲に上記各ガイドローラ18b、18c及び前記
ウェッジローラ18aを、軸受19を介して外嵌した
後、上記各支持軸16、16aの他端部を上記連結環1
7に設けた嵌合孔51、51及び支持孔52に、隙間嵌
により支持すれば、組立作業を効率良く行なえる。
【0050】上述の様にして蓋体14aと連結環17と
の間に掛け渡し支持している、上記3本の支持軸16、
16aの周囲には、上記各ガイドローラ18b、18c
及びウェッジローラ18aを、軸受19を介して回転自
在に支持している。本例の場合には、この軸受19とし
て、保持器付のラジアルニードル軸受を使用している。
保持器付のラジアルニードル軸受の場合には、上記軸受
19を構成する複数本のニードルを、保持器により非分
離に保持しているので、この軸受19を上記各支持軸1
6、16aの外周面と上記各ガイドローラ18b、18
c及びウェッジローラ18aの内周面との間に装着する
作業を能率良く行なえる。
【0051】上述の様にして、上記各支持軸16、16
aの周囲に回転自在に支持した、上記各ガイドローラ1
8b、18c及びウェッジローラ18aは、SUJ2等
の高炭素クロム軸受鋼の如き、十分な硬度を確保できる
硬質金属により造る。これら各ローラ18a〜18c
は、それぞれ表面を硬化させる為の熱処理(ずぶ焼き)
を施し、更に前記回転軸4の外周面及び前記外輪20の
内周面と当接する、それぞれの外周面を研削して、これ
ら各ローラ18a〜18cの外周面を、上記回転軸4及
び外輪20の内周面と同様、平滑(粗さ0.4a以下)
に仕上げる。この様に上記各ローラ18a〜18cの外
周面を平滑に仕上げる事により、上記回転軸4及び外輪
20と上記ウェッジローラ18a及びガイドローラ18
b、18cとの間でのトラクションドライブを可能にし
ている。尚、上記ニードルの転動面と当接する、上記各
ローラ18a〜18cの内周面、並びに上記各支持軸1
6、16aの中間部外周面も、上記各ローラ18a〜1
8cの外周面と同様の平滑面としている。
【0052】前述の第1〜2例の説明から明らかな通
り、上記各ガイドローラ18b、18c及びウェッジロ
ーラ18aのうち、各ガイドローラ18b、18cは、
上記各支持軸16、16の周囲で自転のみし、前記回転
軸4の周囲で円周方向に変位する事はない。但し、これ
ら各ガイドローラ18b、18cは、上記ウェッジロー
ラ18cの変位により、それぞれの直径方向に亙って僅
かに変位できる様に、上記各ガイドローラ18b、18
cの内周面と上記各支持軸16、16の外周面との間に
設ける軸受19に、それぞれ隙間を設定している。又、
上記ウェッジローラ18aは、上記支持軸16aの周囲
で自転すると共に、上記回転軸4の周囲で円周方向に亙
り少しだけ変位する。上記ウェッジローラ18aは、上
記支持軸16a自体が変位する事で変位可能であるか
ら、上記ウェッジローラ18aの内周面と上記支持軸1
6aの外周面との間に設ける軸受19には、必ずしも隙
間を設ける必要はないが、ガイドローラ18b、18
c、軸受16、16との間で部品共用化を図り、コスト
低減を図る為、上記隙間を設ける事は自由である。
【0053】又、上記ウェッジローラ18a及びガイド
ローラ18b、18cの軸方向両側面と、前記蓋体14
aの内側面及び前記連結環17の内側面との間には、図
13に示す様なスラストワッシャ53、53を設けてい
る。これら各スラストワッシャ53、53は、上記各ロ
ーラ18a〜18cの軸方向両側面及び上記軸受19を
構成する各ニードルの軸方向両端面と、上記蓋体14a
の内側面及び連結環17の内側面とが擦れ合う事を防止
して、上記各ローラ18a〜18cの回転を円滑に行な
わせると共に、構成各部の摩耗を防止する役目を有す
る。尚、上述の様なスラストワッシャ53、53は、上
記各ローラ18a〜18c毎に独立した形状にする事も
できる。又、何れの形状を採用するにしても、金属板を
プレスにより打ち抜く事により構成したり、或は合成樹
脂を射出成形する事により造る事も可能である。特に、
耐油性並びに低摩擦性を有する合成樹脂により造れば、
コスト低減と長寿命化とを図れる。
【0054】更に、前記内部空間27を含むハウジング
12a内には、トラクショングリースを封入している。
このトラクショングリースは、トラクションオイルをベ
ースとして、リチウム石鹸基を加えたもので、トラクシ
ョン係数が大きく、前記回転軸4と外輪20との間で大
きな回転力の伝達を可能にする。尚、上記トラクション
グリースには、これら回転軸4と外輪20との間での回
転力の伝達を可能にする役目の他、各接触部分を潤滑す
る役目も有する。そこで、上記トラクショングリースと
しては、ちょう度を高く(例えばUw387程度)し
て、潤滑性(流動性)を向上させたものが、好ましく使
用できる。但し、ちょう度を高くして流動性を向上させ
ると、上記ハウジング12aの内外を仕切るシール材の
性能を向上させないと、上記トラクショングリースが外
部に漏洩し易くなる。そこで、シール材の性能との兼ね
合いで、上記トラクショングリースのちょう度を、15
0〜350程度に下げても良い。このトラクショングリ
ースのちょう度をこの程度(150〜350程度)にす
れば、前記軸受15、26に付属したシールリングで
も、上記トラクショングリースの漏洩を、実用上問題な
い程度に抑える事が可能である。尚、上記ハウジング1
2a内に、トラクショングリースに代えてトラクション
オイルを封入しても良い。この場合には、攪拌抵抗の低
減により、トラクションローラ式減速機7の伝達効率を
高める事ができる。反面、トラクションオイルはトラク
ショングリースよりも流動性が高く、漏洩し易い為、上
記回転軸4及び前記出力軸23の貫通部のシール材の性
能を向上させる必要がある。
【0055】尚、従来の自転車用補助装置は、自転車が
停止若しくは低速走行している間は、ペダル1からペダ
ル軸3に加えるのと同じ大きさのトルクを、前記電動モ
ータ5(図1参照)から補助動力として取り出す様な制
御を行なっていた。即ち、図14(A)に示す様に、ペ
ダル1からペダル軸3にαなるトルクを加えると、電動
モータ5もαなる補助動力{図14(A)の斜格子部
分}を発生し、自転車を2αなるトルクで発進させよう
とする。この様な制御によると、自転車を発進させる
際、不用意にペダルを踏み込むと、いきなり大きな補助
動力が加えられて、多少なりともショックを発生する場
合がある。この様な原因で発進時に生じるショックを緩
和する為に、図14(B)に示す様に、発進時並びに発
進直後には、ペダル1からペダル軸3に加えられるトル
クの大きさに対して、電動モータから加えられる補助動
力の割合を小さくする事が考えられる。即ち、発進はほ
ぼペダル1からペダル軸3に加えたトルクに基づいて行
ない、自転車の速度が速くなるに従って、徐々にペダル
1からペダル軸3に加えられるトルクの大きさに対し、
電動モータから加えられる補助動力の割合を多くすれ
ば、上記ショックの発生を防止できる。例えば、次の表
1、2は、図14(B)に示す様な制御パターンを例示
している。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】これら表1、2のうち、表1は、図14
(B)に示した3点α、β、γの速度のパターンの3例
を、表2は同じく2点α、βのトルクのパターンの4例
を、それぞれ示している。表1の単位はkm/h、表2の単
位はkg・mである。制御は、表1に示した3通りのパター
ンと、表2に示した4通りのパターンとを適宜組み合わ
せて行なう。又、自転車に切換スイッチを設け、図14
(A)に示す様な制御も含め、自転車の乗る者が、各種
制御状態を選択できる様にする事もできる。尚、トルク
に関して、走行速度が或る程度上昇した状態でのδの値
は(0.8〜1.0)γとし、βは(α+γ)/2〜
(α+γ)/4とする。又、補助動力の供給を停止する
点δ部分での速度は、20〜30km/h程度に設定する。
尚、上述の様に、自転車の走行速度に応じて補助動力の
大きさを変えるのは、前記電動モータ5への通電量によ
り調節する他、前記内部空間27の幅の狭い部分にウェ
ッジローラ18aを押圧する力を変える事でも行なえ
る。但し、この場合には、このウェッジローラ18aの
押圧をソレノイド等、押圧力の調節を自在な弾性押圧手
段により行なう。
【0059】
【発明の効果】本発明の自転車用駆動力補助装置は、以
上に述べた通り構成され作用するので、伝達効率を向上
させてバッテリーの消耗を抑え、電動補助自転車の走行
距離を長くできて、より使い易い電動補助自転車の実現
に寄与できる。更に、必要に応じて、一方向クラッチを
省略し、コスト削減と小型・軽量化を図る事も可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、略斜視
図。
【図2】図1のA−A断面図。
【図3】一部を省略して示す、図2の略B−B断面図。
【図4】本発明の自転車用駆動力補助装置に組み込むト
ラクションローラ式減速機の伝達効率と、従来から一般
的に使用されていたトラクションローラ式減速機の伝達
効率との違いを示す線図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を示す部分断面
図。
【図6】一部を省略すると共に切断位置を部分的に変え
た状態で示す、図5のC−C断面図。
【図7】図6のD部拡大図。
【図8】ウェッジローラが傾斜した状態を示す略断面
図。
【図9】本発明の実施の形態の第3例を示す部分断面
図。
【図10】図9の下方から見た底面図。
【図11】切断位置を部分的に変えた状態で示す、図9
のE−E断面図。
【図12】連結環を示しており、(A)は図9の下方か
ら見た図、(B)は(A)のF−F断面図。
【図13】スラストワッシャを示しており、(A)は図
9の下方から見た図、(B)は(A)のG−G断面図。
【図14】走行速度と補助動力の大きさとの関係の2例
を示す線図。
【図15】従来構造の1例を示す部分断面図。
【符号の説明】
1 ペダル 2 クランク 3 ペダル軸 4 回転軸 5 電動モータ 6 減速装置 7 トラクションローラ式減速機 8、9 歯車式減速機 10a、10b はずば歯車 11a、11b 傘歯車 12 ハウジング 13 本体 14 蓋体 15 軸受 16、16a 支持軸 17 連結環 18a ウェッジローラ 18b、18c ガイドローラ 19 軸受 20 外輪 21 円筒部 22 円板部 23 出力軸 24 通孔 25 第二の通孔 26 軸受 27 内部空間 28 突部 29 内径側当接部 30 外径側当接部 31 減速装置 32 遊星ローラ式減速機 33 傘歯車式減速機 34 遊星歯車式減速機 35 一方向クラッチ 36 ハウジング 37 支持軸 38 遊星ローラ 39 外輪 40 連結部材 41 支持孔 42 シリンダ孔 43 弾性材 44 押圧駒 45 挿入孔 46 面取り 47 ケーシング 48、48a 止め輪 49 ねじ 50 通孔 51 嵌合孔 52 支持孔 53 スラストワッシャ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペダルを踏む事によりクランクを介して
    回転駆動されるペダル軸に、上記ペダルを介して加えら
    れるトルクに応じた大きさの駆動力を、上記ペダルを介
    して加えられるトルクに足して加えるべく、バッテリー
    と、このバッテリーからの通電に基づいて回転軸を所定
    方向に回転させる電動モータと、この電動モータの回転
    軸と上記ペダル軸との間に設けられた減速装置とを備
    え、この減速装置はトラクションローラ式減速機を含ん
    で構成されており、このトラクションローラ式減速機
    は、上記回転軸の端部を覆う状態で固定されたハウジン
    グと、このハウジングの内側で上記回転軸の周囲部分
    に、この回転軸と平行に配置された複数本の支持軸と、
    これら各支持軸により回転自在に支持された複数個のト
    ラクションローラと、上記ハウジングの内側でこれらト
    ラクションローラを囲む部分に設けられた、少なくとも
    内周面を円筒面とした外輪と、この外輪と同心で、一端
    部をこの外輪に結合固定すると共に上記ハウジングに回
    転自在に支持された出力軸とを備え、上記各トラクショ
    ンローラの外周面を、上記回転軸と共に回転する部分の
    外周面と上記外輪の内周面とに当接させて成るものであ
    る自転車用駆動力補助装置に於いて、上記回転軸の中心
    と上記出力軸及び外輪の中心とを偏心させる事により、
    上記回転軸と共に回転する部分の外周面と上記外輪の内
    周面との間に存在して上記各トラクションローラが設け
    られた内部空間の幅寸法を、円周方向に亙って不同にす
    ると共に、上記複数個のトラクションローラのうちの少
    なくとも1個のトラクションローラを、少なくとも上記
    内部空間の円周方向に亙る若干の変位自在に支持してウ
    ェッジローラとする共に、残りのトラクションローラを
    ガイドローラとする事により、上記回転軸及び外輪が上
    記所定方向に回転した場合に、上記ウェッジローラとな
    る少なくとも1個のトラクションローラを、上記内部空
    間の幅の狭い部分に向け移動自在とした事を特徴とする
    自転車用駆動力補助装置。
  2. 【請求項2】 複数本の支持軸をハウジングの内面と連
    結環との間に掛け渡す様に支持すると共に、中間部周囲
    にウェッジローラを回転自在に支持した支持軸の両端部
    を、上記ハウジングの内面及び上記連結環に形成した支
    持孔に緩く係合させ、上記ハウジング又は連結環と上記
    支持軸の端部外周面との間に設けた弾性材により上記ウ
    ェッジローラを、内部空間の幅の狭い部分に向け軽く押
    圧した、請求項1に記載した自転車用駆動力補助装置。
  3. 【請求項3】 弾性材が圧縮コイルばねであり、この圧
    縮コイルばねによりウェッジローラに付与する弾性荷重
    が150〜1000gである、請求項2に記載した自転
    車用駆動力補助装置。
JP26237397A 1997-01-29 1997-09-26 自転車用駆動力補助装置 Pending JPH10316081A (ja)

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EP98101533A EP0856462B1 (en) 1997-01-29 1998-01-29 Auxiliary drive and reduction gear apparatus
DE69825188T DE69825188T2 (de) 1997-01-29 1998-01-29 Hilfsantrieb und Untersetzungsgetriebe

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