JPH10310838A - 超硬質複合部材およびその製造方法 - Google Patents

超硬質複合部材およびその製造方法

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JPH10310838A
JPH10310838A JP9137676A JP13767697A JPH10310838A JP H10310838 A JPH10310838 A JP H10310838A JP 9137676 A JP9137676 A JP 9137676A JP 13767697 A JP13767697 A JP 13767697A JP H10310838 A JPH10310838 A JP H10310838A
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super
diamond
hard composite
diamond particles
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JP9137676A
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English (en)
Inventor
Yoshio Miyamoto
欽生 宮本
Hideki Moriguchi
秀樹 森口
Akihiko Ikegaya
明彦 池ケ谷
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超高圧容器を用いずに、硬度、耐摩耗性に優
れた高強度複合部材を提供する。 【解決手段】 超硬合金やサーメットなどのマトリック
ス中にダイヤモンド粒子を分散して保持する焼結体をS
HS/HIP焼結により得る。焼結は液相発生温度で短
時間に行われ、ダイヤモンド粒子は粒子相互の直接結合
がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超硬合金などの焼
結体中にダイヤモンド粒子が複合されている超硬質複合
部材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンドを含むWC基超硬合金など
の焼結体が超高圧容器( 5.5GPa,1500℃)を用いて熱力
学的に安定な条件のもとで製造されることはよく知られ
ている(特公昭61-56067号公報、同61-58432号公報、US
P No.5158148など)。この技術によるものは製造コスト
が高く、形状面でも制約をうけるという問題がある。
【0003】特開平7-34157 号公報(従来技術1)は、
この問題を解決しようとする提案の一つで、ダイヤモン
ドが熱力学的に安定でない圧力,温度条件で固相で焼結
することにより、超高圧容器を用いないでダイヤモンド
含有複合部材を作製する技術を開示している。
【0004】また、USP 5,096,465 号(従来技術2)に
は結合相中にメタルコートされた超硬粒子(ダイヤモン
ドやCBN)を保持する複合部材を溶浸法により作製す
る技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の従来技
術1では焼結が固相で行われることなどにより、ダイヤ
モンドと金属結合材との結合が十分でなく、ダイヤモン
ドが脱落するおそれがある。
【0006】また、従来技術2の溶浸法では、ダイヤモ
ンドの分散量は添加するダイヤモンドの粒径に依存す
る。すなわち、ダイヤモンド粒子のパッキング密度に依
存するため、任意のダイヤモンド粒径で任意のダイヤモ
ンド分散量の複合部材を作製することが難しい。また、
溶浸法では緻密な複合部材を作製することが難しく、こ
のことは大型部材や異形部材で特に顕著になる。従っ
て、超高圧容器を用いないで製造され、十分に緻密で、
均一な組織を有する高強度のダイヤモンド含有複合部材
が要望されていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明複合部材はこの要
望に応えるもので、lr、Os、Pt、Re、Rh、C
r、Mo、Wから選ばれた少なくとも一種の金属で外層
被覆が形成されたダイヤモンド粒子と、WC,TiC,
TiNおよびTiCNから選択された少なくとも1種の
硬質相と、鉄族金属からなる結合相金属とを含み、これ
らが一体にSHS/HIP焼結されてなることを特徴と
する。すなわち、超硬合金やサーメットなどのマトリッ
クス中にダイヤモンド粒子を分散して保持する焼結体で
あって、SHS/HIP焼結により得られたことを特徴
とする。
【0008】ここで、ダイヤモンド粒子の外層被覆はダ
イヤモンドの劣化を防止するために形成している。WC
基超硬合金やTiC基サーメットの緻密な焼結体を得る
ためには、1300℃を上回る焼結温度が好ましいが、その
ような条件では発生した液相からダイヤモンド、CBN
がアタックされやすい。そこで、このアタックを防ぐた
めに外層被覆を形成した。前述した金属による外層被覆
は、ダイヤモンドの劣化防止に特に優れた効果を発揮す
る。外層被覆の膜厚としては0.1〜50μmが好ましい。こ
れは、0.1μmよりも薄いと被覆した効果が小さいため
で、50μmよりも厚いと硬質材料としての耐摩耗性が低
下するためこのように限定した。特に好ましいのは5〜2
0μmである。
【0009】上記のダイヤモンド粒子と複合化する部材
としては、WC基超硬合金、すなわちWCを硬質相と
し、CoやNiを結合相とするものを用いることが好ま
しい。これは、WC基硬合金の剛性率が高く、強度、靭
性に優れるためである。結合相金属としては、Co,N
i,Cr,Feなどの鉄族金属が好適である。なお、不
可避的不純物を含んでも構わないことは言うまでもな
い。不可避的不純物には、例えばAl,Ba,Ca,C
u,Fe,Mg,Mn,Ni,Si,Sr,S,O,
N,Mo,Sn,Cr等が挙げられる。
【0010】SHS/HIP焼結では、例えば加圧窒素
雰囲気中で金属珪素粉末と窒素とを化学的に連鎖反応さ
せ、急速に加熱・加圧・冷却できるため、10分以内の
短時間で焼結を終了できる。そのため、従来の焼結で最
高温度保持時間を単に短くした場合よりも被焼結材料が
高温にさらされる時間を短くでき、ダイヤモンドが黒鉛
に変態することなく焼結を終了できる。その上、SHS
/HIP焼結は、等方静水圧を利用して加圧・焼結する
ため、焼結体のニアネットシェイプが可能であるという
大きな利点を有する。このことは本発明部材のようにダ
イヤモンドが分散した超硬質部材には重要なポイント
で、加工費の大幅コストダウンという大きなメリットを
手に入れることができる。さらに、短時間サイクルでの
製造が可能なため、設備の稼働率向上による低コスト化
も期待できる。
【0011】この複合部材には、上記の要件に加えて下
記の要件を単独で、または組み合わせて具備することが
好適である。
【0012】(1) SHS/HIP焼結をダイヤモンドが
熱力学的に準安定にあり、かつ液相の存在する条件下で
行う。従来の超高圧容器を用いる製造法によるものは、
ダイヤモンドと結合相(Coなど)の共融点以上の温度
でダイヤモンドが熱力学的に安定な状態で焼結されてい
るため、焼結中、液相のCo中にダイヤモンドが溶解
し、ダイヤモンド表面に再析出する過程を繰返すこと
で、ダイヤモンド同士の直接結合(D−D結合)が生
じ、スケルトンを形成して焼結体強度を向上すると言わ
れていた。
【0013】それに対し、本発明においてはダイヤモン
ドが準安定な条件で焼結するものであるから、ダイヤモ
ンドの結合金属中への溶解は極力抑制され、液相中にダ
イヤモンドが一旦溶解してしまうとダイヤモンドとして
再析出しない。従って、ダイヤモンド同士の直接結合は
生じず、焼結体の強度は超硬合金などのマトリックス側
が負担することとなる。また、SHS/HIP焼結によ
り短時間で焼結を終了するため、液相の存在下で焼結を
行ってもダイヤモンドの黒鉛への変態を抑制でき、液相
の生成により緻密な焼結体を作製することができる。従
って、マトリックス自体の優れた強度と靭性に加え、ダ
イヤモンドとマトリックスとの結合力の向上により、十
分な焼結体強度が得られる。
【0014】(2) 結合相金属にCoを含み、このCoの
主たる結晶系がfcc である。液相を出現させて焼結を行
った場合には、緻密でダイヤモンド粒子の結合力の高い
超硬質複合部材とすることができ、Coの主たる結晶系
もfcc で安定させることができる。なお、短時間焼結と
急冷によりCoはhcp の結晶系のものを混在させること
ができる。これにより耐衝撃性能が向上する。
【0015】(3) ISO規格でA00〜08、B00〜
B08までの範囲を満たす緻密度を有する。緻密な構造
とすることで、ダイヤモンドの保持力が高く、耐磨耗性
に優れた複合部材とできる。特に好ましいのはA04、
B04の範囲内である。また、理論比重で言えば理論比
重の98%以上を構成していることが好ましい。緻密であ
るかどうかは、この材料の断面を鏡面加工後、光学顕微
鏡により組織観察することによって評価できる。
【0016】(4) 液相出現温度が1300℃よりも高温であ
る。WC基超硬合金が液相を生成する温度は共晶組成の
融点が1320℃であり、この合金を緻密に焼結するために
必要な1350℃以上の焼結温度ではダイヤモンドと超硬合
金の間での反応が期待でき、従来品よりもダイヤモンド
の保持力の大きな複合部材とすることが期待できる。13
00℃を越える温度はダイヤモンドが準安定の条件で焼結
するには従来の方法と比べてかなり高温であるが、本発
明のSHS/HIP焼結では急速昇温、短時間焼結が可
能であるため、ダイヤモンドの黒鉛への変態を抑制した
優れた複合部材を作製することができる。
【0017】(5) 外層被覆とダイヤモンド粒子との間に
Co、Niから選ばれた一種以上の金属からなる内層被
覆を具える。前記外層被覆とダイヤモンド粒子の間にC
o、Niから選ばれた一種以上の金属が被覆されている
と、強い衝撃が加わる用途で使用した場合に、変形能が
小さいWC基超硬合金の欠点を補うことができる。しか
も、ダイヤモンド粒子の保持力が向上するため、特に優
れた性能を発揮する。この内層被覆層の厚みは0.1〜100
μm が好ましい。これは0.1μm よりも薄いと被覆した
効果が認められず、100μm よりも厚いと硬質材料とし
ての耐摩耗性が低下するためである。特に好ましいのは
5〜50μmである。この内層被覆は硬質相粒子に設けても
よい。
【0018】(6) 外層被覆中にW、Ti、Co、Ni、
Cから選ばれた一種以上の元素の拡散が生じている。前
記外層被覆中にW、Ti、Co、Ni、Cから選ばれた
一種以上の元素の拡散が生じていると、WC基超硬合金
やTiC(N)基サーメットと金属を被覆したダイヤモ
ンド粒子との結合力が向上し、優れた性能を発揮する。
【0019】(7) 結晶粒径が3μmより大きいWCを任
意の断面組織で全WCのうち面積率で50%以上含有す
る。結晶粒径が3μmより大きいWCを全WCのうち面
積率で50%以上含有すると、鉱山土木工具のように大き
な衝撃力が付加される用途には優れた特性の複合部材と
することができる。
【0020】(8) −硬質相であるWCの平均粒径が1
μmより小さい。WCの微粒化により高硬度化が達成で
きるからである。 (8) −結晶粒径が1μmより小さく、WCを任意の断
面組織でWCのうち面積率で10〜35%含有する。結晶粒
径が1μmより小さいWCを全WCのうち面積率で10〜3
5%含有すると、超硬合金の硬度が向上する。また、W
C粒径が微細なため、本発明のような短時間焼結でも液
相が毛細管力によりWC粒子に浸透しやすく、焼結性が
向上するため好ましい。
【0021】(9) WCの平均粒径が3μmより小さく、
かつダイヤモンド粒子の平均粒径が10μmよりも小さ
い。特に、WCの平均粒径は0.1μm 〜1.5μm が好まし
い。このような構成により、工作機械の軸受けなどの摺
動耐摩材料、木工チップ、線引きダイスなどの比較的衝
撃力の小さい用途に対して優れた複合部材とすることが
できる。より好ましくは、WCの平均粒径を1μmより
小さくし、ダイヤモンド粒子の平均粒径を3μmより小
さくする。
【0022】(10)内部に遊離炭素が存在していること。
超硬合金中に遊離炭素が存在している、即ち、結合相中
にカーボンが過剰に存在していると、焼結中に液相が生
じたときに、ダイヤモンドがカーボンとして液相中に溶
解しにくいと言う効果も期待できる。また、この遊離炭
素は優れた潤滑性を有するため、摺動耐摩材料などとし
て用いたときに自己潤滑性を有する複合部材として機能
する。
【0023】(11)硬質相とダイヤモンドとの界面の少な
くとも一部に、IVa、Va、VIa族元素の炭化物お
よびSiCから選択された1種以上が析出しているこ
と。原料粉末として、IVa、Va、VIa族元素、S
iから選ばれた1種以上を用いると、ダイヤモンドが結
合金属の液相中にカーボンとして溶解した場合でも、カ
ーボンとIVa、Va、VIa族元素、Siが反応して
炭化物を形成し、複合部材の硬度の向上に寄与し得る。
【0024】(12)ダイヤモンド粒子の平均粒径が10〜10
00μmであること。ダイヤモンド粒子の平均粒径は、10
μm未満の微粒では表面積が大きくてカーボンに変態し
やすく、1000μmを越える大粒となると強度が低下する
問題があり、かつこの中間の粒径のものにおいては、マ
トリックス中への埋め込み効果がよく、脱落が生じにく
いと言う利点もあるので、この中間内の範囲とすること
が好ましい。
【0025】(13)ダイヤモンド粒子の含有量が5〜50体
積%であること。ダイヤモンドの含有量が5体積%未満
ではダイヤモンドを分散させた効果が期待できず、50%
を越えるとダイヤモンドとダイヤモンドが直接接する箇
所が多くなるため、ダイヤモンド粒子のマトリックスに
対する結合力が低下し、ダイヤモンド粒子の脱落が生じ
易くなるのでこの範囲に限定した。
【0026】(14)結合相金属の含有量が10〜50体積%で
あること。複合部材中の結合相量としては、ダイヤモン
ドが準安定な低温で、しかも短時間で緻密な焼結を進め
るためには、10〜50体積%の範囲が好ましい。
【0027】(15)超硬質複合部材の一面側ほどダイヤモ
ンドが多く、他面側ほど少なくなるように厚さ方向にダ
イヤモンドの含有量が変化されてなること。このような
構成により硬度と靱性を兼ね備えた複合部材を得ること
ができる。すなわち、ダイヤモンドの多い側の熱膨張係
数がダイヤモンドの少ない側の熱膨張係数よりも小さく
なることにより、ダイヤモンドの多い側の層に圧縮残留
応力が発生し、強靱でダイヤモンドの保持力に優れる表
面層を作製できる。ダイヤモンド含有量の変化の仕方
は、段階的であっても連続的であってもよい。
【0028】(16)WC基超硬合金、TiC(N)基サー
メットおよび金属材料のいずれかよりなる基体上に接合
されてなること。金属材料としては鋼などが挙げられ
る。また、複合材料と金属材料との間に薄いインサート
材を挿入し、金属材料のカーケンダール効果によるボイ
ド抑制を行うこともできる。複合材料と金属材料との接
合体とすることで、硬度と靱性を具える部材を得ること
ができる。なお、複合部材の接合面側の結合相量を多く
することで基体と複合部材の接合強度を高めることがで
きる。その上、熱膨張係数の関係で表面に圧縮残留応力
を発生できるため好都合である。
【0029】(17)ダイヤモンド粒子の少なくとも一部を
立方晶窒化ホウ素およびウルツ鉱型窒化ホウ素の少なく
とも一方に置き換える。SHS/HIP焼結により、低
温、10分以内の短時間で緻密な焼結体が作製でき、CB
Nなどの品質の劣化防止および界面での反応の抑制が可
能であるため、従来よりも特性に優れた超硬質複合部材
を製造できる。特に、CBNを用いる場合、次の条件の
少なくとも1つを満たすことによりCBNとマトリック
スの結合力を向上させることに効果的である。 マトリックスとしてWC基超硬合金を用いる。 CBNの含有量を5〜50体積%とする。 熱力学的に準安定で、液相の存在する条件でSHS/
HIP焼結する。 1300℃よりも高温で液相の出現する結合相を用いる。
【0030】また、本発明複合材料は、WC,TiCお
よびTiNから選択された少なくとも1種の硬質相と、
結合相金属と、ダイヤモンド粒子とを含み、これらが一
体に焼結されてなる超硬質複合部材であって、下記,
の少なくとも一方を具えていることを特徴とする。 ダイヤモンド粒子がスケルトンを形成していない。 ダイヤモンド粒子同士の直接結合した部分が存在しな
い。この構成の複合部材は、SHS/HIP焼結で得た
ものはもちろん、他の方法で製造する場合も含む。
【0031】さらに、上記の各本発明複合材料は、シー
ルド掘進機用カッタービットとして用いることが望まし
い。トンネル工事などでシールド掘進機は立坑から立坑
をカッタービットの交換なしで掘削することが要求さ
れ、必ず目的の立坑までの掘削を継続する必要があっ
た。そのため、このようなカッタービットには掘削途中
で絶対欠損しないという特性が要求されている。そのた
めの対策として、硬めの超硬合金を使用したり(特開平
7-269293号公報)、カッタービットの個数を増やすこと
(特開平6-74698号公報)などが行われている。しか
し、高硬度の超硬合金は靱性が低下する傾向があり、欠
損が避けられない。また、ビット数を増やすことはコス
トアップにつながる。なお、立て坑の数を増やせば掘削
継続距離を短くできるが、工機の長期化やコスト高を招
く。さらに、海底,川底などでは立て坑を増やすことは
非常なコスト高となる。
【0032】これに対して、本発明の超硬質複合部材
は、ダイヤモンドが有する優れた耐摩耗性と超硬合金が
有する優れた靱性を合わせ持つため、長距離の掘削を安
定して行うことが可能であり、シールド掘進機用カッタ
ービット材料として非常に優れた特性を発揮する。しか
も、従来の超高圧発生容器を用いた製造プロセスを用い
なくても製造ができ、安価なコストで超硬質複合部材を
製造できる。
【0033】上記の複合部材の製造方法は、lr、O
s、Pt、Re、Rh、Cr、Mo、Wから選ばれた少
なくとも一種の金属でダイヤモンド粒子に外層被覆をす
る工程と、この外層被覆ダイヤモンド粒子、硬質相粒子
および結合相金属からなる原料粉末を混合する工程と、
この混合原料をSHS/HIP装置に装入する工程と、
3MPa 以上の窒素ガス圧力下でSHS/HIP焼結する
工程とを具えることを特徴とする。
【0034】原料粉末のうち、ダイヤモンド粒子などに
前述の外層被覆や内層被覆を形成するには、予め公知の
メッキ法、CVD法、PVD法などを利用すれば良い。
【0035】原料粉末を混合する工程では、機械的合金
化法を用いることが好適である。機械的合金化法(メカ
ニカルアロイング)を用いることにより、結合相金属が
硬質相粒子を覆った形の原料粉末となるので焼結時の焼
結性が向上し、緻密化が促進される。
【0036】混合原料をSHS/HIP装置に装入する
工程には、混合粉末をそのままSHS/HIP装置に装
入することはもちろん、予めプレスした圧粉体、中間焼
結体、これらの積層体などを装入する場合も含む。複合
材料と基体との接合体を形成するには、混合原料を基体
の上に配置した複合体をSHS/HIP装置に装入すれ
ばよい。
【0037】SHS/HIP法では、高価な焼結炉を使
用せず、短時間に同時に多数個の焼結が可能であるた
め、低コストでダイヤ焼結体の製造ができる。SHS/
HIP法は燃料に安価な金属珪素を用い、加圧窒素雰囲
気中でこの金属珪素を窒化燃焼してダイヤモンド,硬質
相および結合相粉末を瞬時に焼結する。そのため、高圧
反応容器を用いずにダイヤの炭素への変態を抑止しなが
ら焼結体を緻密化できる。また、燃料に金属珪素を用い
ることで焼結に要する熱源を原料以外から供給できるた
め、原料系を自由に選ぶことができ、原料の燃焼反応に
より熱源を得ているSHSと比べて有利である。ここ
で、加圧窒素雰囲気中で金属珪素を窒化燃焼する具体的
手段としては次の3つが挙げられる。 (1)混合原料を加圧窒素雰囲気中に装填して、該雰囲
気中で金属珪素粉末と化学的連鎖反応をさせ、この反応
熱により焼結する。 (2)混合原料を予備プレスしてカプセルに封入し、こ
れを着火剤とともに金属珪素粉末中に埋め、窒素封入容
器内にセットし、温度を上昇させ着火剤の自然発熱を利
用して金属珪素粉末と窒素とを化学的連鎖反応させる。 (3)混合原料を予備プレスしてカプセルに封入し、こ
れを金属粉末中に埋め、窒素封入容器内にセットし、金
属珪素粉末中に着火ヒーターを挿入し、窒素封入容器外
部からの通電により金属珪素粉末と窒素とを化学的連鎖
反応させる。
【0038】この焼結工程において、窒素ガス圧力が3
MPa よりも低い場合には燃焼反応が生じず、複合部材の
緻密化が進行しにくい。焼結時間は10分以内であること
が好ましい。特に好ましくは1分以内である。超硬合金
の液相生成温度では、生成した液相にダイヤモンドが溶
解し、カーボンとして析出しやすくなる。しかし、この
反応には時間を要するため、液相発生時間を10分以内、
好ましくは1分以内に抑えることにより、カーボンへの
変態は極力抑制することができる。
【0039】なお、ダイヤモンドの含有量が厚さ方向に
変化する複合部材を製造するには、原料粉末を混合する
工程において、ダイヤモンド粒子の混合割合の異なる複
数種を準備しておけばよい。そして、混合原料をSHS
/HIP装置に装入する工程において、これら複数種の
混合粉末をダイヤモンド粒子の含有量順に積層して配置
する。ダイヤモンド粒子の混合割合の異なる原料の種類
が少なければ、厚さ方向に段階的に組成の異なる複合材
料を得ることができ、この種類を多くして積層される各
層の厚みを薄くすれば実質上連続的に組成の変化する複
合材料を得ることができる。このような傾斜組成複合部
材を基体上に接合するには、接合面側のダイヤモンド含
有量を少なく、表面側の含有量を多くすることが望まし
い。その場合、接合面付近の複合部材中には全くダイヤ
モンド粒子が含まれていなくてもよい。
【0040】
【発明の実施の形態】
(試験例1)市販のダイヤモンド粉(平均粒径300μm
)にCrを3μm被覆したもの、WC粉(同2μm)、
Co粉(同2μm)、TiC粉(同 1.5μm)、Ni粉
(同5μm)を用いて表1に示すような割合(体積%)
となる配合粉末(試料 No.1−1〜1−7) を準備し、
この各配合粉末をボールミルで5時間湿式混合したのち
乾燥した。
【0041】
【表1】
【0042】次に、この乾燥粉末を200MPaの圧力で金型
成型した後、ガラスカプセルに真空封入した。これをカ
ーボン坩堝にいれ、燃焼剤としてSi粉末(平均粒径8
μm)を5g充填後、燃焼剤の上下に点火用ペレット
(Fe23 −Al)を配置し、これら全体をHIP装
置の高圧容器中に置いた。そして、780 ℃まで昇温し、
100MPaまで窒素ガスを導入後、引き続いて1150℃まで昇
温し、30分保持した。約950 ℃でペレットが着火し、S
iの窒化を励起した。
【0043】得られた直径13mm、厚み5mmの焼結体を観
察したところ、いずれの試料にもクラックの発生は見ら
れなかった。さらに各試料を平面研削した後、研削面を
200倍の光学顕微鏡で観察したところ、いずれの試料に
も気孔はなかった。
【0044】図1は試料 No.1−1の組織を200 倍で撮
影した写真で、灰色で表されているダイヤモンド粒子が
白地の超硬合金粒子によって結合保持されている。ま
た、X線回折により各試料におけるダイヤモンドの存在
を確認したところ、いずれの試料にも確実にダイヤモン
ド粒子が残存していた。
【0045】さらに、比較のため試料No. 1−1の混合
粉末を従来の製造法(1350℃,1時間,真空中でキー
プ)およびダイヤモンドに被覆をせずに前述の条件でS
HS/HIP焼結した焼結体を作製し、この2つの比較
例焼結体を平面研削・鏡面研磨した後、その組織を倍率
200 倍で撮影した。図2はその顕微鏡写真を示すもの
で、(A)は従来の製造法による焼結体、(B)はCr
被覆なしのダイヤモンドを用いてSHS/HIP焼結し
た焼結体を示す。図から明らかなように、黒く見えるダ
イヤモンドは、比較例ではWCとの界面に黒鉛化による
と思われる劣化が見られ、ダイヤモンド自体にもひび等
の損傷が見られる。これに対して、本発明方法による試
料 No.1−1の焼結体は、図1に示すように、このよう
な劣化や損傷が見られない。
【0046】(試験例2)試験例1で作製した試料 No.
1−1の配合粉末でWCをTiCに、CoをNiに置き
換えた組成の粉末No. 2−1を作製し、実施例1と同様
にして焼結を行った。そして、得られた焼結体を#200
の研削砥石で平面研削し、直径20mm、厚み5mmの円板に
仕上げた。
【0047】この焼結体に平均粒径 300μmのSiCを
用いて、3kg/cm2 で30分間サンドブラストし、焼結体
の重量減少率を調べたところ0.35%であった。それに対
し、試料 No.1−1の焼結体に同様のサンドブラストを
かけたところ、その重量減少率は 0.12 %で、試料 No.
1−1の耐摩耗性が遥かに優れていることがわかった。
このことより、硬質相にはWCが,結合相にはCoが耐
摩耗性に優れていることがわかった。また、試料 No.1
−1の原料から得られた焼結体を鏡面研磨後、表面を電
解エッチングし、WCを除去後、Co相の結晶系をX線
回析(Cu−Kα線)により同定したところ、Coの主
たる結晶系はfcc であることが確認できた。
【0048】(試験例3)試験例1で作製した試料 No.
1−7と同じ組成で、超高圧容器を用いて1600℃、6GP
a の条件で焼結体を作製し、試料 No.3−1とした。試
料 No.1−7と3−1の両焼結体を王水に浸漬して、C
o、Niを溶かしたところ、 No.1−7が粉末状になっ
たのに対し、 No.3−1の形状変化は殆ど見られなかっ
た。
【0049】これは、 No.1−7においては、ダイヤモ
ンド粒子間の直接結合や、スケルトンの形成がなかった
のに対し、 No.3−1においては、超高圧条件下で、ダ
イヤモンド粒子間の直接結合が生じ、スケルトンを形成
しているためと考えられる。
【0050】(試験例4)試験例3と同様にして、試料
No.1−6と同じ組成で、超高圧容器を用い1600℃、6
GPa の条件で作製した焼結体を試料 No.4−1とし、N
o. 1−6と No.4−1の両焼結体に次の試験を行っ
た。
【0051】試料を平面研削し、さらに研削面をダイヤ
モンドペーストで鏡面研磨した後、研磨面をSEMおよ
びTEMを用いて観察した。
【0052】その結果、試料 No.4−1にはダイヤモン
ド粒子同士の直接結合が生じているのに対し、試料 No.
1−6にはそれが生じていないことが判明した。
【0053】(試験例5)ダイヤモンド粒径を2μmと
した以外は実施例1と同様にして表2に示す組成の焼結
体を作製し、試料 No.5−1〜5−6とした。
【0054】
【表2】
【0055】上記各試料を試験例2と同様にしてサンド
ブラストし、その際の焼結体の重量減少率を曲げ強度と
共に表2中に示した。この結果より、ダイヤモンド粒子
の含有量が5〜50体積%において耐エロージョン性能が
優れていることがわかる。特に優れているのは15〜35体
積%のときである。
【0056】(試験例6)試料 No.1−5と組成が同様
で、ダイヤモンド粒子の平均粒径のみを表3のように変
えたものを試料 No.6−1〜6−5とし、その焼結条件
は試験例2と同一にして作製した。
【0057】
【表3】
【0058】各試料を試験例2と同様にしてサンドブラ
ストした際の焼結体の重量減少率および曲げ強度を表3
中に示す。この結果よりダイヤモンド粒子の平均粒径が
10〜1000μmの焼結体において特に優れた耐エロージョ
ン性能を示すことがわかる。
【0059】(試験例7)表4に示す組成の粉末を使用
し、試験例2の焼結条件中Si燃料の量を10gに変更
し、各焼結体(試料 No.7−1〜7−4) を得た。
【0060】
【表4】
【0061】得られた各焼結体を鏡面加工し、この鏡面
をラマン分光法でスペクトル解析した。その結果、試料
No.7−1で検出された炭素のラマン線のピーク強度を
100%としたとき、試料 No.7−2〜7−4では、いず
れもそのピーク強度は小さくなっており、焼結中の黒鉛
の析出をTi、CrなどのIVa、Va、VIa族元素
もしくはSiの添加により抑制できることがわかる。
【0062】また、試料 No.7−2にはTiC、試料 N
o.7−3にはSiC、Cr23 、試料 No.7−4には
ZrCと思われる化合物が析出していることが、オージ
ェ電子分光解析およびX線回析により確められた。ま
た、その析出位置はダイヤモンド表面に多く見られるこ
とが、SEM観察により確かめられた。
【0063】(試験例8)試料 No.7−1を作製する際
に5wt%のカーボンをさらに添加して焼結した試料 No.
8−1を作製した。試料 No.7−1と試料 No.8−1の
両試料を鏡面研磨したところ、試料 No.7−1ではダイ
ヤモンド粒子の周辺部にダイヤモンドが黒鉛化し、鏡面
研磨時に脱落したと見られる穴が一部に見られた。これ
に対し、試料 No.8−1ではダイヤモンド粒子周辺部は
正常で、 200倍の光学顕微鏡で観察すると遊離炭素の存
在が確認された。
【0064】さらに、両試料を試験例2と同様な方法で
サンドブラストテストしたところ、試料 No.7−1の重
量減少率が0.08%であるのに対し、試料 No.8−1のそ
れは0.04%と少なく、試料 No.8−1の方がエロージョ
ン性能が優れていることがわかった。
【0065】(試験例9)表5に示す試料 No.9−1〜
9−6の組成のものを、試験例2と同一の焼結条件で作
製した。各試料を試験例2と同様にしてサンドブラスト
したところ、表5中に示すような重量減少率が見られ
た。この結果より結合相金属を形成する鉄族金属量とし
ては10〜50体積%が好ましいと判断された。
【0066】
【表5】
【0067】(試験例10)表6に示す組成(体積%)
を有する粉末と鋼(SCM435)とを層状にプレスしてガラス
カプセルに真空封入し、燃焼剤にSiを40g充填後、実
施例1と同様にしてSHS/HIP焼結を行った。得ら
れた直径50mm、厚み20mmの円板状焼結体を観察したとこ
ろ、各層の間にクラックの発生はなく、よく接合してい
た。この焼結体の厚み方向の断面を鏡面研磨し、EPM
Aにて組成分析を行ったが、各層間での元素の移動は比
較的少なく、従来の焼結体で問題があった層間の成分の
拡散が抑制されていた。
【0068】本構造の焼結体は表面層はダイヤモンドを
含有していることによる高耐摩耗性、内部層は超硬、鋼
層としたことによる高強度、高靭性を得ることができ、
通常相反する両特性を両立することのできる材料となっ
ている。しかも、超高圧容器を用いず安価にこのような
材料を製造できたメリットは非常に大きい。
【0069】
【表6】
【0070】(試験例11)試験例5で作製した試料N
o. 5−2と同一組成の原料粉末を用い、Si燃料量を
変化させた以外は試験例5と同様にして焼結体を作製し
た。そして、そのすくい面をラッピングし、WC−Co
相中の気孔の存在有無を光学顕微鏡を用いて×200 の倍
率にて観察した。観察結果をISOに基づいてA00〜
B08まで分類し、表7中に記載した。また、表7中に
は各焼結体の曲げ強度も記載した。
【0071】
【表7】
【0072】表7より、Aタイプの気孔が04より少な
く、Bタイプの気孔が存在しない試料 No.11−3と11−
4の試料は特に緻密であり、優れた特性を示すことが確
認できた。
【0073】(試験例12)表1に示した組成の粉末
(試料 No.1−1,1−3,1−5)で、5μmのダイ
ヤモンド粉末の表面にlr、Os、Pt、Re、Rh、
Cr、Mo、Wなどの金属をPVD法で約3μmの厚さ
に被覆した原料粉末を用い、焼結体 No.12−1〜12−1
4)を作製した。試料No.12 −7はダイヤモンド表面に
2層の被覆を有し、外層がW、内層がCrで構成されて
いる。
【0074】このようにして作製した焼結体を#250の
研削砥石で平面研削し、それに試験例2と同様にして10
kg/cm2の圧力で60分間のサントブラストテストを行っ
た。このテストによる重量減少率を表8中に示す。
【0075】
【表8】
【0076】その結果、Ir、Os、Pt、Re、R
h、Cr、Mo、Wなどの金属を被覆したダイヤモンド
粒子を用いた試料は被覆を行なわなかった場合に比べ
て、いずれも重量減少率が低下しており、耐摩耗性が向
上したことが確認できた。しかも驚いたことに金属被覆
を有するダイヤモンドを用いた焼結体の抗折力は向上す
ることも判明した。
【0077】なお、比較のため、Ti、ZrまたはVで
ダイヤモンド粒子を被覆した試料 No.12−12〜14を試作
し、評価を行ったが、いずれもCrを被覆した試料(N
o.12-11) と比較して耐摩耗性は低下した。このように
被覆した金属の種類によって耐摩耗性に性能差が生じた
のは、焼結工程で生成する液相の攻撃からダイヤモンド
を防御できるかどうかによるものと思われる。すなわ
ち、液相生成時にこれらの被覆金属が固相となって液相
とダイヤモンドとの接触を防止できたためと思われた。
【0078】なお、試料 No.12−1〜12−14の外層被覆
中の他の金属元素の有無をオージェ電子分光法により測
定したところ、これら外層被覆中には、W、Co、N
i、C、Ti(Tiは原料組成No. 1−3とNo. 1−5
の焼結体のみ)元素が拡散していることが判明した。こ
れら拡散元素により、ダイヤモンド粒子の保持力は向上
していると考えられる。
【0079】(試験例13)平均結晶粒径5μmのWC
粉末A、平均結晶粒径2μmのWC粉末B、平均結晶粒
径0.5μm のWC粉末C、平均結晶粒径2μmのCo粉末
20vol %、および平均結晶粒径50μmのダイヤモンド粉
末5vol%を用いて、配合比の異なる6種類のプレス用
粉末を作製した。これらの粉末を実施例1と同様にして
焼結体(試料 No.13−1〜6)を得た。そして、焼結体
を5000倍にて撮影した組織写真を2値化処理後、画像解
析装置を用いてWCの粒度分布を測定した。また、これ
らの焼結体を用いて、シャルピー衝撃試験、20mmスパン
の3点曲げ試験を行った。これらの結果を表9に示す。
【0080】
【表9】
【0081】同表に示すように、3μmより大きいWC
粒の存在割合が50%を越える試料No.13 −3〜6のシャ
ルピー衝撃値はその他のものよりも比較的高く、耐衝撃
特性の要求される用途に適すと考えられた。また、これ
らの中でも1μmより小さいWC粒の存在割合が10〜35
%の範囲にある試料 No.13−5と13−6の試料は曲げ強
度について優れた値を示し、優れた性能バランスを有し
ていることが確認できた。
【0082】(試験例14)試験例1と同じ製造条件
で、使用するWC粉末およびダイヤモンド粉末の粒径の
みが異なる焼結体(試料 No.14−1〜9)を作製した。
ダイヤモンドの含有量は30vol%、Co含有量は15vol
%で固定した。作製した焼結体をISO型番RNGN120400
の形状に加工し、刃先に0.2 ×〜25°の面取り加工を施
して、花崗岩を次の条件で切削加工した。そのときの摩
耗量を表10中に示す。切削速度:50m/mim ,送り量:
0.2mm/rev ,切込み量:1.0mm ,切削油なし
【0083】
【表10】
【0084】表10よりWCの平均粒径が3μm以下、
特に1μm以下の焼結体の耐摩耗性が優れており、ダイ
ヤモンドの平均粒径が10μm以下の焼結体の耐摩耗性は
されに優れている。従って、特に好ましいのはWCの平
均粒径が1μm以下、ダイヤモンドの平均粒径が3μm以
下の場合であることがわかる。
【0085】(試験例15)試験例1に記載した試料N
o. 1−1〜1−7のダイヤモンドを平均粒径5μmのC
BNまたは平均粒径10μmのWBNに一部または全てを
置きかえた試料15−1〜15−7を同一の製造条件にて作
製し、直径20mm、厚み5mmの焼結体を作製した。
【0086】
【表11】
【0087】これらの焼結体を#250のダイヤモンド砥
石にて平面研削し、ラッピング後、光学顕微鏡にて観察
した。その結果、いずれの試料にもクラックの発生、C
BN粒子の脱落などは観察されず、緻密な焼結体とする
ことができていた。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば超
高圧容器を用いることなく、極めて硬度・耐摩耗性に優
れたダイヤモンド粒子を、強度・靭性の高い超硬合金や
サーメットなどで強固に分散・保持した超硬質・高強度
の部材を得ることができる。
【0089】従って、本発明の材料は、ケーシングビッ
ト,アースオーガビット,シールドカッタビットなどの
鉱山土木用工具、木工用・金属加工用・樹脂加工用チッ
プなどの切削加工用工具、工作機械の軸受け,ノズルな
どの耐摩材料、線引ダイスなどの塑性加工用工具、研削
加工用の工具などに利用することができる。
【0090】また、本発明の方法では、SHS/HIP
焼結により、短時間に焼結を行うことで硬度・耐摩耗性
に優れ、緻密な超硬質複合部材を得ることができる。ま
た、昇温時間、キープ時間も短時間化できるため、従来
の技術よりもさらに低コスト化が期待できる。
【0091】さらに、ガス圧力を使用して等方的に加圧
焼結し、焼結体をニアネットシェイプで製造できるた
め、加工が非常に難しい本発明部材の製造法として優れ
ている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明超硬質複合部材の組織を示す光学顕微鏡
写真である。
【図2】(A)は従来の製造法による焼結体、(B)は
Cr被覆なしのダイヤモンドを用いてSHS/HIP焼
結した焼結体の光学顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 1/05 C22C 29/02 Z 29/02 C01B 31/06 Z // C01B 31/06 B22F 3/14 E

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 lr、Os、Pt、Re、Rh、Cr、
    Mo、Wから選ばれた少なくとも一種の金属で外層被覆
    が形成されたダイヤモンド粒子と、 WC,TiC,TiNおよびTiCNから選択された少
    なくとも1種の硬質相と、 鉄族金属からなる結合相金属とを含み、 これらが一体にSHS/HIP焼結されてなることを特
    徴とする超硬質複合部材。
  2. 【請求項2】 硬質相がWCで、結合相金属がCoであ
    ることを特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  3. 【請求項3】 ダイヤモンドが熱力学的に準安定にあ
    り、かつ液相の存在する条件下でSHS/HIP焼結を
    行うことを特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  4. 【請求項4】 結合相金属にCoを含み、 このCoの主たる結晶系がfcc であることを特徴とする
    請求項3記載の超硬質複合部材。
  5. 【請求項5】 ISO規格でA00〜08およびB00
    〜B08までの範囲を満たす緻密度を有することを特徴
    とする請求項3記載の超硬質複合部材。
  6. 【請求項6】 液相出現温度が1300℃よりも高温である
    ことを特徴とする請求項3記載の超硬質複合部材。
  7. 【請求項7】 外層被覆とダイヤモンド粒子との間にC
    o、Niから選ばれた一種以上の金属からなる内層被覆
    を具えることを特徴とする請求項3記載の超硬質複合部
    材。
  8. 【請求項8】 外層被覆中にW、Ti、Co、Ni、C
    から選ばれた一種以上の元素の拡散が生じていることを
    特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  9. 【請求項9】 結晶粒径が3μmより大きいWCを任意
    の断面組織で全WCのうち面積率で50%以上含有するこ
    とを特徴とする請求項2記載の超硬質複合部材。
  10. 【請求項10】 結晶粒径が1μmより小さいWCを任
    意の断面組織でWCのうち面積率で10〜35%含有するこ
    とを特徴とする請求項2に記載の超硬質複合部材。
  11. 【請求項11】 WCの平均粒径が1μmより小さいこ
    とを特徴とする請求項2記載の超硬質複合部材。
  12. 【請求項12】 WCの平均粒径が3μmより小さく、
    かつダイヤモンド粒子の平均粒径が10μmよりも小さい
    ことを特徴とする請求項2記載の超硬質複合部材。
  13. 【請求項13】 内部に遊離炭素が存在していることを
    特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  14. 【請求項14】 硬質相とダイヤモンドとの界面の少な
    くとも一部に、IVa、Va、VIa族元素の炭化物お
    よびSiCから選択された1種以上が析出していること
    を特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  15. 【請求項15】 ダイヤモンド粒子の平均粒径が10〜10
    00μmであることを特徴とする請求項1記載の超硬質複
    合部材。
  16. 【請求項16】 ダイヤモンド粒子の含有量が5〜50体
    積%であることを特徴とする請求項1記載の超硬質複合
    部材。
  17. 【請求項17】 結合相金属の含有量が10〜50体積%で
    あることを特徴とする請求項1記載の超硬質複合部材。
  18. 【請求項18】 超硬質複合部材の一面側ほどダイヤモ
    ンドが多く、他面側ほど少なくなるように厚さ方向にダ
    イヤモンドの含有量が変化されてなることを特徴とする
    請求項1記載の超硬質複合部材。
  19. 【請求項19】 WC基超硬合金、TiC(N)基サー
    メットおよび金属材料のいずれかよりなる基体上に接合
    されてなることを特徴とする請求項1記載の超硬質複合
    部材。
  20. 【請求項20】 ダイヤモンド粒子の少なくとも一部を
    立方晶窒化ホウ素およびウルツ鉱型窒化ホウ素の少なく
    とも一方に置き換えたことを特徴とする請求項1記載の
    超硬質複合部材。
  21. 【請求項21】 lr、Os、Pt、Re、Rh、C
    r、Mo、Wから選ばれた少なくとも一種の金属で外層
    被覆が形成されたダイヤモンド粒子と、 WC,TiC,TiNおよびTiCNから選択された少
    なくとも1種の硬質相と、 結合相金属とを含み、 これらが一体に焼結されてなる超硬質複合部材であっ
    て、 下記,の少なくとも一方を具えていることを特徴と
    する超硬質複合部材。 ダイヤモンド粒子がスケルトンを形成していない。 ダイヤモンド粒子同士の直接結合した部分が存在しな
    い。
  22. 【請求項22】 シールド掘進機用カッタービットとし
    て用いられることを特徴とする請求項2記載の超硬質複
    合材料。
  23. 【請求項23】 lr、Os、Pt、Re、Rh、C
    r、Mo、Wから選ばれた少なくとも一種の金属でダイ
    ヤモンド粒子に外層被覆をする工程と、 この外層被覆ダイヤモンド粒子、硬質相粒子および結合
    相金属を含む原料粉末を混合する工程と、 この混合原料をSHS/HIP装置に装入する工程と、 3MPa 以上の窒素ガス圧力下でSHS/HIP焼結する
    工程とを具えることを特徴とする超硬質複合部材の製造
    方法。
  24. 【請求項24】 SHS/HIP焼結は次の1つ以上の
    工程を具備することを特徴とする請求項23記載の超硬
    質複合部材の製造方法。 (1)混合原料を加圧窒素雰囲気中に装填して、該雰囲
    気中で金属珪素粉末と化学的連鎖反応をさせ、この反応
    熱により焼結する。 (2)混合原料を予備プレスしてカプセルに封入し、こ
    れを着火剤とともに金属珪素粉末中に埋め、窒素封入容
    器内にセットし、温度を上昇させ着火剤の自然発熱を利
    用して金属珪素粉末と窒素とを化学的連鎖反応させる。 (3)混合原料を予備プレスしてカプセルに封入し、こ
    れを金属粉末中に埋め、窒素封入容器内にセットし、金
    属珪素粉末中に着火ヒーターを挿入し、窒素封入容器外
    部からの通電により任意の温度で金属珪素粉末と窒素と
    を化学的連鎖反応させる。
  25. 【請求項25】 外層被覆をする前に、ダイヤモンド粒
    子および硬質相粒子の少なくとも一方をCoおよびNi
    の少なくとも一方で被覆しておくことを特徴とする請求
    項23記載の製造方法。
  26. 【請求項26】 原料粉末として、IVa、Va、VI
    a族元素およびSiから選ばれた1種以上の金属を用い
    ることを特徴とする請求項23記載の超硬質複合部材の
    製造方法。
  27. 【請求項27】 原料粉末を混合する工程において、機
    械的合金化法を用いることを特徴とする請求項23記載
    の超硬質複合部材の製造方法。
  28. 【請求項28】 焼結は液相を出現させて行うことを特
    徴とする請求項23記載の超硬質複合部材の製造方法。
  29. 【請求項29】 液相出現下での焼結時間が1分以内で
    あることを特徴とする請求項23記載の超硬質複合部材
    の製造方法。
  30. 【請求項30】 原料粉末を混合する工程において、ダ
    イヤモンド粒子の混合割合の異なる複数種を準備し、 混合原料をSHS/HIP装置に装入する工程におい
    て、これら複数種の混合粉末をダイヤモンド粒子の含有
    量順に配置し、ダイヤモンド粒子の含有量を厚さ方向に
    変化させることを特徴とする請求項23記載の超硬質複
    合部材の製造方法。
  31. 【請求項31】 原料粉末を混合する工程の後、この混
    合原料を基体上に配置する工程を具え、 この基体と混合原料との複合体をSHS/HIP装置に
    装入し、 この複合体を燃焼熱により加熱して混合原料を焼結する
    と共に、この焼結体を基体上に焼結接合することを特徴
    とする請求項23記載の超硬質複合部材の製造方法。
  32. 【請求項32】 原料粉末を混合する工程において、ダ
    イヤモンド粒子の混合割合の異なる複数種を準備し、 混合原料をSHS/HIP装置に装入する工程におい
    て、これら複数種の混合粉末をダイヤモンド粒子の含有
    量順に配置し、ダイヤモンド粒子の含有量を厚さ方向に
    変化させることを特徴とする請求項31記載の超硬質複
    合部材の製造方法。
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