JPH10306786A - 湿式クラッチ装置を備えた流体機械 - Google Patents

湿式クラッチ装置を備えた流体機械

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JPH10306786A
JPH10306786A JP11716797A JP11716797A JPH10306786A JP H10306786 A JPH10306786 A JP H10306786A JP 11716797 A JP11716797 A JP 11716797A JP 11716797 A JP11716797 A JP 11716797A JP H10306786 A JPH10306786 A JP H10306786A
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JP
Japan
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lubricating oil
space
lubrication
clutch
clutch plate
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Application number
JP11716797A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Ogawa
博史 小川
Mikio Matsuda
三起夫 松田
Shigeki Iwanami
重樹 岩波
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Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 湿式クラッチ装置8の開離状態にも、潤滑専
用の補助ポンプの追加なしで、潤滑必要部位を良好に潤
滑できるようにする。 【構成】 湿式クラッチ装置8の接続時は圧縮機Cの圧
縮部1において発生する冷媒の圧力差により、吐出室2
aで分離された潤滑油を、軸封装置5、クラッチ装置8
等の潤滑必要部位に流通する。また、湿式クラッチ装置
8の開離時には潤滑経路の圧力差がなくなるので、リリ
ーフ弁20を閉弁して、軸封装置5を含む潤滑必要部位
の空間16の下流側通路19を閉塞する。これにより、
空間16内に蓄えられた潤滑油を、湿式クラッチ装置8
の開離時には空間16内に閉じ込める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿式クラッチ装置
により作動が断続される流体機械に関するもので、自動
車用空調装置の冷媒圧縮機に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平2−45680号公報に
は、この種の湿式クラッチを備えた流体機械として、自
動車用空調装置の冷媒圧縮機に用いた例が開示されてい
る。この公報記載のものでは、湿式多板クラッチ装置に
おいて、駆動側クラッチ板および従動側クラッチ板を冷
媒圧縮機の低圧吸入室内の潤滑油内に浸漬して、この両
クラッチ板の潤滑を行うようにしている。
【0003】そして、湿式クラッチ装置の開離(非接
続)状態においても、駆動側クラッチ板の回転により、
低圧吸入室の潤滑油をかき上げて、両クラッチ板の潤滑
を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、吸入室に十
分な潤滑油の存在が期待できない圧縮機に、湿式クラッ
チを適用しようとすると、より積極的に潤滑を行う必要
がある。潤滑を行う一般的な方策として、吐出室にて潤
滑油を冷媒から分離し、圧縮機の吸入、吐出の圧力差を
利用して、この分離した潤滑油を潤滑必要部位に供給す
る方法がある。
【0005】この場合、湿式クラッチの開離状態、つま
り圧縮機の停止状態では、圧縮機内は均圧されており、
圧力差を利用した潤滑油の供給は不可能である。従っ
て、常時回転摺動している駆動軸の軸封装置などに潤滑
を行うことができず、これら機器の耐久性低下の原因と
なっている。このため、潤滑専用の補助ポンプを追加設
置して、軸封装置等の潤滑必要部位に潤滑油を供給する
ことも考えられるが、このような対策では、潤滑専用の
補助ポンプの追加設置により、圧縮機の体格の大型化を
招くとともに、取付スペースの増加を招き、実用的では
ない。
【0006】本発明は上記点に鑑み、湿式クラッチ装置
の開離状態にも、潤滑専用の補助ポンプの追加なしで、
潤滑必要部位を良好に潤滑できるようにすることを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、以下の技術的手段を採用する。すなわち、本
発明では、湿式クラッチ装置(8)の接続時は圧縮機等
の流体機械の主ポンプ(1)が発生する流体の圧力差に
より、吐出室(2a)で分離された潤滑油を、軸封装置
(5)等の潤滑必要部位に流通することは前述の通りで
あるが、湿式クラッチ装置(8)の開離時には潤滑経路
の圧力差がなくなる。そこで、本発明では、主ポンプ
(1)の作動時に潤滑必要部位(5)の空間(16)に
蓄えられた潤滑油を、湿式クラッチ装置(8)の開離時
には前記空間(16)内に閉じ込めるようにしたことを
特徴としている。
【0008】これによると、主ポンプ(1)の停止時で
も、空間(16)内に閉じ込められた潤滑油により軸封
装置(5)等の潤滑必要部位を良好に潤滑でき、流体機
械の耐久性向上を図ることができる。しかも、空間(1
6)内への潤滑油の閉じ込めは簡単な弁手段の追加で実
施でき、潤滑専用の補助ポンプを追加設置する場合に比
して、極めて小型安価な構成で実施でき、実用上、有利
である。
【0009】特に、請求項2記載の発明では、主ポンプ
(1)の作動時に、吐出室(2a)にて分離された潤滑
油を、クラッチ装置(8)の両クラッチ板(9、10)
および潤滑必要部位(5)を含む空間(16)に流通さ
せる潤滑油供給経路(15、17、18、21、22、
23)を有し、主ポンプ(1)の停止時に潤滑油供給経
路のうち潤滑必要部位(5)を含む空間(16)の下流
側を弁手段(20)により閉塞することを特徴としてい
る。
【0010】これによると、主ポンプ(1)の停止時に
潤滑必要部位(5)を含む空間(16)内の潤滑油が下
流側へ流出するのを弁手段(20)により確実に阻止で
き、空間(16)内に潤滑油を確実に閉じ込めることが
できる。また、請求項4記載の発明では、潤滑油供給経
路は、駆動軸(4)に形成された中空室(18)を有
し、この中空室(18)に空間(16)の下流側を閉塞
する弁手段(20)を配置することを特徴としている。
【0011】これによると、弁手段(20)を駆動軸
(4)に内蔵でき、流体機械の小型化に貢献できる。ま
た、請求項5記載の発明では、潤滑油供給経路は、吐出
室(2a)にて分離された潤滑油を潤滑必要部位(5)
を含む空間(16)に導入する経路(15)を有し、こ
の経路(15)を空間(16)よりも上方に位置させる
ことを特徴としている。
【0012】これによると、空間(16)内の液位が種
々な要因(例えば、主ポンプ吐出流体の凝縮等)により
上昇して経路(15)からオーバーフローする場合に
も、経路(15)が空間(16)よりも上方に位置する
ことにより、一定量の潤滑油を空間(16)内に確保で
きる。また、請求項6記載の発明では、潤滑油供給経路
は、吐出室(2a)にて分離された潤滑油を潤滑必要部
位(5)を含む空間(16)に導入する経路(15)を
有し、この経路(15)に吐出室(2a)から空間(1
6)への一方向のみに流体の流通を許容する逆止弁(3
1)を配置することを特徴としている。
【0013】これによると、空間(16)から経路(1
5)を通って潤滑油が流出することも確実に阻止でき
る。なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述す
る実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図に基
づいて説明する。 (第1実施形態)図1は本発明を自動車用空調装置の冷
媒圧縮機に用いた第1実施形態を示すものである。図1
において、圧縮機Cは冷凍サイクルの冷媒を吸入、圧縮
して吐出する圧縮部(主ポンプ)1を有しており、図1
の例では、スクロール型の圧縮部1を図示している。
【0015】このスクロール型の圧縮部1は周知のごと
く公転運動する可動スクロール1aと、この可動スクロ
ール1aと噛み合う固定スクロール1bとを有し、この
両スクロール1a、1bの外周側の上部に配置された吸
入口1cから吸入された低圧冷媒ガスをこの両スクロー
ル1a、1b間の容積縮小により圧縮して、中心部の吐
出ポート1dに吐出する。この吐出ポート1dは、固定
スクロール1bが一体に成形されている中央ハウジング
1eの中心部に開けられている。
【0016】リヤハウジング2は吐出ポート1dから吐
出された高圧冷媒ガスが流入する吐出室2aを形成する
ものであって、吐出室2a内に吐出弁2bおよびこの吐
出弁2bのストッパープレート2cが配設されている。
また、リヤハウジング2の壁面を貫通して冷媒ガスの吐
出口2dが吐出室2aの上部に設けられている。なお、
圧縮部1はスクロール型に限定されるものではなく、回
転型の圧縮部であれば特に型式を選ばない。
【0017】フロントハウジング3は圧縮機Cの駆動軸
4側に位置するハウジング部材であって、その中心部に
駆動軸4が回転自在に軸支されている。この駆動軸4の
一端(図1の左端部)はフロントハウジング3の一端部
に形成された開口部3aを通じて、動力伝達機構に連結
され、そして、この動力伝達機構を経て自動車エンジン
の回転出力部(クランクプーリ)に連結されている。従
って、駆動軸4は自動車エンジンの運転時にはエンジン
回転動力にて常時回転する。駆動軸4の両端部は軸受
(転がり軸受)4a、4bによってフロントハウジング
3および後述の従動軸6に回転自在に支持されている。
【0018】この駆動軸4の外周面と、フロントハウジ
ング3の開口部3aの内周面との間には、フロントハウ
ジング3内部の冷媒が外部へ漏れるのを阻止する軸封装
置5が設けられている。また、駆動軸4の他端側(図1
の右側)には従動軸6が配置され、この従動軸6には拡
大円筒部6aおよび偏心クランク部6bが一体形成され
ている。拡大円筒部6aはフロントハウジング3に対し
て軸受7により回転自在に支持されており、また、偏心
クランク部6bは圧縮部1の可動スクロール1aと嵌合
して、可動スクロール1aを公転運動させる。
【0019】そして、従動軸6の拡大円筒部6aの内周
面と駆動軸4の他端側の外周面との間に、湿式の多板摩
擦クラッチ装置8が配置されている。このクラッチ装置
8には、円板状に形成された駆動側クラッチ板9および
従動側クラッチ板10が備えられており、駆動側クラッ
チ板9は駆動軸4の他端側の外周面に対して軸方向に摺
動可能で、かつ回転方向には一体に係止されている。ま
た、従動側クラッチ板10は従動軸6の拡大円筒部6a
の内周面に対して軸方向に摺動可能で、かつ回転方向に
は一体に係止されている。
【0020】この駆動側クラッチ板9と従動側クラッチ
板10は交互に多数枚配設され、そして、制御ピストン
11(クラッチ変位手段)により、スラスト軸受12を
介して上記両クラッチ板9、10のいずれか一方を他方
に向けて変位させ、これにより、上記両クラッチ板9、
10を圧着して一体に接続するようにしてある。一方、
制御ピストン11からの押圧力から開放されると、上記
両クラッチ板9、10はバネ手段11a(図2参照)の
バネ力にて開離状態にされる。なお、制御ピストン11
はリング状の形状であり、駆動軸4の外周面から所定間
隔をあけて駆動軸4と同心状に配置されている。この制
御ピストン11の背圧室14に加わる制御圧力を圧力制
御装置13により制御して、背圧室14に制御圧力が加
わると制御ピストン11が図1の右方へ変位する。圧力
制御装置13の詳細については図2により後述する。
【0021】リヤハウジング2内に形成される吐出室2
aは上下方向に延びる形状であり、この上下方向に延び
る吐出室2aを流通する間に冷媒ガス中の潤滑油の一部
は重力差にて冷媒から分離され、吐出室2aの底部の油
溜部2eに溜められる。そして、この油溜部2e内に連
通通路15の一端が開口している。この連通通路15は
中央ハウジング1eの底部側から上部側を経て、フロン
トハウジング3の上部側にわたって形成されている。
【0022】この連通通路15の他端は軸封装置5等の
潤滑必要部位を含む、駆動軸4周囲の空間16に連通し
ている。この連通通路15の一部には潤滑油量を調整す
るための絞り(図示せず)が設けられている。この絞り
は例えば、連通通路15の一端と油溜部2eとの接続部
に介在されるシール用のガスケットの開口径を絞ること
により形成できる。また、連通通路15自身の通路径の
選択により絞りと同等の油量調整機能を得るようにして
もよい。
【0023】駆動軸4のうち、空間16に対応する部位
には駆動軸4を半径方向に貫通する連通通路17が設け
てあり、さらに、駆動軸4のうち、従動軸6側の中心部
には中空室18が形成してある。この中空室18と連通
通路17との間を、駆動軸4の中心部を軸方向に延びる
連通通路19にて連通している。中空室18内には、リ
リーフ弁20が収容されており、このリリーフ弁20は
バネ等の押圧部材20aにより通常は閉弁状態を保持し
ている。そして、連通通路19から中空室18の方向へ
予め設定した所定の圧力差が発生すると、リリーフ弁2
0が開弁するようにしてある。
【0024】また、中空室18は転がり軸受4b周囲の
空間21に連通し、この空間21は転がり軸受4b自身
の間隙を経て、湿式クラッチ装置8周囲の空間22に連
通している。さらに、この空間22は軸受7自身の間隙
を経て、フロントハウジング3内において最も圧縮部1
側の空間23に連通している。この空間23は圧縮部1
の吸入圧力室24に連通して、吸入圧力になっている。
吸入圧力室24は可動スクロール1aの外周側に位置
し、吸入口1cに連通している。
【0025】図2は前述した圧力制御装置13の具体例
を示す油圧回路図であり、25は補助ポンプであり、図
1では図示を省略しているが、フロントハウジング3内
に配設され、駆動軸4の回転によりポンプ作動を行う。
例えば、補助ポンプ25として往復動ピストンを有する
往復動タイプのポンプを用い、駆動軸4に一体形成した
偏心部とコイルスプリング(ばね手段)のばね力とによ
り往復動ピストンを往復動させるものである。
【0026】26はリザーバで、その内部圧力の変化に
対応して移動するピストン部材26a、およびピストン
部材復帰用のコイルスプリング26bを有し、このピス
トン部材26aの移動によりリザーバ26の内部圧力
は、制御ピストン11の押圧力(背圧)を開放するに十
分な低圧(大気圧に近似した極低圧)に維持される。こ
こで、リザーバ26の内部を大気に開放して大気圧とし
てもよい。また、リザーバ26の内部には補助ポンプ2
5により圧送される油が蓄えられている。
【0027】補助ポンプ25の吐出側は、吐出通路27
を経て、制御ピストン11の背圧室14に連通してお
り、また、補助ポンプ25の吐出側と吸入側との間に、
電磁弁28およびリリーフ弁29が並列に設置されてい
る。ここで、電磁弁28は、クラッチ装置8の断続、す
なわぢ、スクロール型冷媒圧縮部1の作動断続を切り替
えるための弁手段であって、自動車用空調装置の制御装
置30により通電が断続されて、開閉するものである。
【0028】また、補助ポンプ25が非圧縮性の油(液
体)を圧送するため、制御ピストン11の背圧室14に
加わる制御圧力が異常に上昇する恐れがあり、この制御
圧力の異常上昇を防止するため、リリーフ弁29は制御
圧力が所定値以上に上昇すると、開弁するものである。
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
駆動軸4は自動車エンジンの回転出力部(クランクプー
リ)に連結されているため、自動車エンジンの運転時に
は常時回転している。圧力制御装置13の補助ポンプ2
5は駆動軸4の回転により常時ポンプ作動を行い、油を
圧送する。いま、制御装置30から圧縮作動信号が出さ
れると、圧力制御装置13の電磁弁28は図2(a)の
閉弁状態となる。
【0029】従って、補助ポンプ25によって圧送され
る油により制御ピストン11の背圧室14に制御圧力が
加わるので、制御ピストン11が図1の右方向へ移動
し、従動側クラッチ板10に対して図1の右方への押圧
力が作用する。この結果、従動側クラッチ板10が駆動
側クラッチ板9に圧着して、両クラッチ板9、10が図
3(a)に拡大図示するように一体に接続される。従っ
て、駆動軸4の回転がクラッチ装置8を介して従動軸6
に伝達され、この従動軸6が回転して、圧縮部1は冷媒
の圧縮作動を行う。
【0030】そして、圧縮部1の圧縮作動に伴い、吐出
室2aには潤滑油を含んだ圧縮冷媒が吐出ポート1dを
介して流入する。潤滑油の一部は、ガス状の圧縮冷媒と
の比重差により分離し、吐出室2aの底部の油溜部2e
に蓄えられる。この時、潤滑が必要な各空間の圧力関係
は、吐出室2a(=吐出圧力)>空間16>空間21>
空間22>空間23(=吸入圧力)となる。
【0031】ここで、上記圧力関係のうち、吐出室2a
と空間16との間の圧力差が最も大きくなる。これは、
連通通路15に前述した絞り(図示せず)を設けて、こ
の絞りの前後間に大きな圧力降下を発生させているから
である。油溜部2eに蓄えられた潤滑油は、上記の圧力
関係により連通通路15を通じて空間16に導かれ軸封
装置5を潤滑し、さらに、連通通路17、19に流入し
て、リリーフ弁20を開弁(図3(a)参照)し、中空
室18から空間21、空間22へと導かれ、クラッチ装
置8部の潤滑を行う。空間22から潤滑油は軸受7の間
隙、空間23を通って吸入圧力室24に還流する。
【0032】この時、リリーフ弁20の開弁圧は圧縮部
1の吸入、吐出間の圧力差に対して十分小さい圧力で開
弁するように設定してあるため、上記の潤滑油の流通を
妨げることはない。次に、制御装置30から圧縮停止信
号が出されると、圧力制御装置13の電磁弁28は図2
(b)の開弁状態となる。これにより、補助ポンプ25
の吐出側が電磁弁28を介して吸入側に直結するので、
制御ピストン11の背圧室14の圧力が急速に低下す
る。その結果、制御ピストン11によるクラッチ装置8
への押圧力がなくなり、クラッチ装置8の両クラッチ板
9、10相互の間がバネ手段11aにより開離状態(図
3(b)参照)にされる。そのため、駆動軸4から従動
軸6への回転伝達が遮断され、圧縮部1の作動は停止す
る。
【0033】圧縮部1の圧縮作動の停止に伴い、吸入
側、吐出側の圧力差は次第になくなり、圧縮部1内の圧
力はやがて均圧される。このようにして、圧縮部1内の
圧力差がなくなると、前述のような吐出室2aから潤滑
必要部位への潤滑油の供給はなくなる。ところで、軸封
装置5部分は駆動軸4に接触しているため、駆動軸4が
回転している間(車両エンジンの運転時)は、圧縮部1
の停止時でも、常に潤滑する必要がある。そこで、軸封
装置5を含む潤滑必要部位の空間16に対して、潤滑油
供給経路の下流側に位置する、駆動軸4の連通路19に
リリーフ弁20を設けている。圧縮部1の作動停止時に
はリリーフ弁20前後の圧力差が所定値以下に低下する
ので、リリーフ弁20を閉弁することができる。
【0034】このリリーフ弁20の閉弁により空間16
の下流の潤滑油供給経路が閉塞されるため、圧縮部1の
作動時に空間16内に供給された潤滑油が、空間16か
ら下流側の空間23側に重力にて流出するのを防ぐこと
ができる。従って、空間16内に保持されている潤滑油
A(図3(b)参照)の存在により、常時摺動している
軸封装置5等の潤滑、冷却を圧縮部1の作動停止時でも
良好に行うことができる。
【0035】なお、空間16の上流に位置する連通通路
15は空間16の上方に位置しているため、空間16内
の潤滑油が重力にて連通通路15を通って外部へ流出す
ることはない。このように、第1実施形態によれば、圧
縮機Cの作動時は、圧縮機内部の圧力差を利用して潤滑
油を潤滑必要部位に供給すると共に、圧縮機Cの作動停
止時には軸封装置5等の潤滑必要部位の空間16から潤
滑油が外部へ流出するのを防ぐことにより、圧縮機Cの
作動時、停止時とも潤滑必要部位の潤滑を良好に行うこ
とができる。
【0036】(第2実施形態)図4は第2実施形態を示
すもので、連通流路15に吐出室2a方向への流体の流
れを阻止する逆止弁31を設けている。この逆止弁31
の設置は以下の理由による。すなわち、圧縮機Cの停止
状態においては、圧縮機Cの温度がその周囲温度の変化
に応じて変動する。特に、車両エンジンの運転の断続に
より圧縮機Cの温度が圧縮機停止時に大幅変動する。こ
の温度変動により、空間16および連通流路15内の冷
媒が凝縮したり、蒸発する場合がある。この冷媒の相変
化に伴って、連通流路15の冷媒液面レベルが変動し、
これにより、空間16内の潤滑油が連通流路15を通っ
て吐出室2a側へ持ち出されるという現象が発生するこ
とがある。
【0037】しかるに、第2実施形態によると、連通流
路15に吐出室2a方向への流体の流れを阻止する逆止
弁31を設けているから、上記のごとく冷媒液面レベル
の変動により潤滑油が連通流路15を通って吐出室2a
側へ移動しようとしても、逆止弁31の閉弁により潤滑
油の移動を確実に阻止できる。これにより、空間16内
における潤滑油を確実に保持して、軸封装置5等の潤滑
を圧縮機停止時でも良好に行うことができる。
【0038】(第3実施形態)図5は第3実施形態を示
すもので、第1実施形態ではリリーフ弁20を駆動軸4
の内部の中空室18に配置したが、図5の第3実施形態
のように、潤滑経路の他の部分、具体的には、軸受7の
設置部分に配置してもよい。リリーフ弁20の設置場所
の変更に伴って、駆動軸4の中空室18を廃止し、駆動
軸4の連通通路19を直接空間21に連通させている。
【0039】なお、図5の第3実施形態において用いる
リリーフ弁20は図6に示すリング板状の形態であっ
て、軸受7の内輪7aと、従動軸6の外周鍔部6cとの
間に円板状のリリーフ弁20の内側の中心穴20bの周
縁部が挟み込み固定されている。また、リリーフ弁20
は弾性に富む金属材料で形成することにより自身の弾性
力によって円板形状の外周部分が軸受7の外輪7bに弾
性変形可能に接している。これにより、リリーフ弁20
前後に所定値以上の圧力差がない場合は軸受7の内輪7
aと外輪7bとの間の空間をリリーフ弁20のリング状
の板面で閉塞して、流体の流通を阻止する。一方、軸受
7の上流側(すなわち、空間22側)の圧力が高まる
と、リング板状リリーフ弁20の外周側が図5の右方向
に弾性的に反るので、リリーフ弁20の円板形状の外周
部分と軸受7の外輪7bとの間に隙間が生じる。
【0040】そのため、流体(潤滑油を含む冷媒)が軸
受7の内輪7aと外輪7bとの間の空間を流通できるよ
うになる。図6(b)の矢印Aはこの内輪7aと外輪7
bとの間の空間を流通する潤滑油の流れを示す。このよ
うな作用により、第3実施形態のリング板状リリーフ弁
20でも、第1実施形態と同様な効果を得ることができ
る。
【0041】このように、本発明におけるリリーフ弁2
0としては、機能上、所定圧力差にて開弁するリリーフ
弁機能があれば、どのような形態のリリーフ弁でも使用
できることはもちろんである。(他の実施形態)なお、
上記の実施形態では、制御ピストン11の背圧室14に
制御圧力を加えるための圧力源として、圧縮機C内の冷
媒流路から分離独立した油圧回路を構成する補助ポンプ
25を用いているが、圧縮機C内の吸入圧力室24側か
ら、潤滑油を含む冷媒を吸入して、この冷媒を補助ポン
プ25で圧送して背圧室14の制御圧力を発生するよう
にしてもよい。
【0042】また、補助ポンプ25として、図2の例で
は、駆動軸4の偏心部の回転により往復作動する往復動
タイプのポンプを説明したが、補助ポンプ25として回
転タイプのポンプ等を使用できることはもちろんであ
る。また、上記の実施形態では、本発明を自動車用空調
装置の冷媒圧縮機に用いた場合について説明したが、冷
媒圧縮機以外の種々の流体機械に本発明を適用できるこ
とはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)、(b)は第1実施形態で用いる補助ポ
ンプの油圧回路図である。
【図3】(a)、(b)は第1実施形態で用いる湿式ク
ラッチ装置部の作動説明に供する拡大断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図6】(a)は第3実施形態におけるリリーフ弁設置
部の分解斜視図、(b)は同リリーフ弁の開弁による潤
滑油の流れを示す斜視図である。
【符号の説明】
1…圧縮部(主ポンプ)、4…駆動軸、5…軸封装置、
6…従動軸、8…湿式クラッチ装置、9…駆動側クラッ
チ板、10…従動側クラッチ板、11…制御ピストン、
13…圧力制御装置、20…リリーフ弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩波 重樹 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動源からの回転動力が伝達されて回転
    する駆動側クラッチ板(9)と、 この駆動側クラッチ板(9)に対向配置され、この駆動
    側クラッチ板(9)に圧着すると、この駆動側クラッチ
    板(9)と一体に回転可能な従動側クラッチ板(10)
    と、 この従動側クラッチ板(10)に連結され、この従動側
    クラッチ板(10)を通して回転動力が伝達され、ポン
    プ作用を果たす主ポンプ(1)と、 前記駆動側クラッチ板(9)および前記従動側クラッチ
    板(10)に押圧力を加えて、前記両クラッチ板(9、
    10)を圧着し一体に接続するクラッチ板変位手段(1
    1)と、 このクラッチ板変位手段(11)に作用する流体圧力を
    制御することにより、前記両クラッチ板(9、10)間
    の接続を断続する圧力制御手段(13)と、 前記主ポンプ(1)の潤滑油を含んだ吐出流体を受け入
    れる吐出室(2a)とを備え、 前記両クラッチ板(9、10)が接続状態となり、前記
    主ポンプ(1)が作動している時は、前記主ポンプ
    (1)の吐出側と吸入側との間に発生した圧力差によ
    り、前記吐出室(2a)にて分離された潤滑油を、前記
    両クラッチ板(9、10)および潤滑必要部位(5)に
    流通させるとともに、 前記両クラッチ板(9、10)が開離状態となり、前記
    主ポンプ(1)が停止している時は、前記潤滑必要部位
    (5)を含む空間(16)に前記潤滑油を閉じ込めるよ
    うにしたことを特徴とする湿式クラッチ装置を備えた流
    体機械。
  2. 【請求項2】 前記主ポンプ(1)の作動時に、前記吐
    出室(2a)にて分離された潤滑油を、前記両クラッチ
    板(9、10)および前記潤滑必要部位(5)を含む空
    間(16)に流通させる潤滑油供給経路(15、17、
    18、21、22、23)を有し、 前記主ポンプ(1)の停止時に前記潤滑油供給経路のう
    ち前記潤滑必要部位(5)を含む空間(16)の下流側
    を閉塞する弁手段(20)を備えることを特徴とする請
    求項1に記載の湿式クラッチ装置を備えた流体機械。
  3. 【請求項3】 前記駆動側クラッチ板(9)には、前記
    駆動源からの回転動力を受けて回転する駆動軸(4)が
    連結されており、 前記潤滑必要部位は、前記駆動軸(4)に備えられ、流
    体の外部への洩れを阻止する軸封装置(5)であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の湿式クラッチ装
    置を備えた流体機械。
  4. 【請求項4】 前記潤滑油供給経路は、前記駆動軸
    (4)に形成された中空室(18)を有し、 この中空室(18)に前記弁手段(20)を配置するこ
    とを特徴とする請求項3に記載の湿式クラッチ装置を備
    えた流体機械。
  5. 【請求項5】 前記潤滑油供給経路は、前記吐出室(2
    a)にて分離された潤滑油を前記潤滑必要部位(5)を
    含む空間(16)に導入する経路(15)を有し、 この経路(15)は、前記空間(16)よりも上方に位
    置していることを特徴とする請求項2ないし4のいずれ
    か1つに記載の湿式クラッチ装置を備えた流体機械。
  6. 【請求項6】 前記潤滑油供給経路は、前記吐出室(2
    a)にて分離された潤滑油を前記潤滑必要部位(5)を
    含む空間(16)に導入する経路(15)を有し、 前記経路(15)に前記吐出室(2a)から前記空間
    (16)への一方向のみに流体の流通を許容する逆止弁
    (31)を配置することを特徴とする請求項2ないし4
    のいずれか1つに記載の湿式クラッチ装置を備えた流体
    機械。
JP11716797A 1997-05-07 1997-05-07 湿式クラッチ装置を備えた流体機械 Withdrawn JPH10306786A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009119361A1 (ja) * 2008-03-27 2009-10-01 サンデン株式会社 スクロール型圧縮機
WO2019181334A1 (ja) * 2018-03-23 2019-09-26 サンデン・オートモーティブコンポーネント株式会社 圧縮機

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