JPH10306203A - 無機材料を含有する樹脂成形体および樹脂組成物 - Google Patents

無機材料を含有する樹脂成形体および樹脂組成物

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JPH10306203A
JPH10306203A JP9118431A JP11843197A JPH10306203A JP H10306203 A JPH10306203 A JP H10306203A JP 9118431 A JP9118431 A JP 9118431A JP 11843197 A JP11843197 A JP 11843197A JP H10306203 A JPH10306203 A JP H10306203A
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JP
Japan
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resin
inorganic material
weight
molded product
resin molded
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JP9118431A
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English (en)
Inventor
Akihiro Kato
明宏 加藤
Ichiro Midorikawa
一郎 緑川
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂の易成形性、高靱性等の性能に加え、火
災などの極めて高温度条件下においても変形が少なく、
燃焼後の形状保持性を有する防火性の建築材料としても
広く利用できる無機材料を含有する樹脂組成物およびそ
の成形体を提供する。 【解決手段】 粒子径を5ミクロンから100ミクロン
に制御した珪酸カルシウム30〜90重量%を主成分と
する無機材料と樹脂とからなる10ミクロン以下の細孔
分布率が25〜70体積%である無機材料を含有する樹
脂成形体および樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機材料を含有す
る樹脂成形体および樹脂組成物に関する。更に詳しく
は、燃焼時の形状保持性に優れ、建築材料に好適である
無機材料を含有する樹脂成形体および樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】樹脂系材料は、成形性が優れており種々
の形状の成形物を得るための材料として広く使用されて
いる。しかし、樹脂系材料の多くは易燃性であり、燃焼
による形状変形や樹脂成分消失による亀裂の発生が生じ
るなど防火性に劣っており、建築分野での使用はかなり
限定されている。従来、防火性向上法の1つとして、無
機材料との複合化が公知であるが、樹脂のもつ易成形
性、断熱性、軽量性などの性能を保持するためには、無
機材料の添加率はかなり制限され、防火性特に燃焼時お
よび燃焼後の形状保持性に優れた樹脂成形体を得ること
は困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、断熱
性、易成形性などの樹脂の性能を保持し、防火性、特に
燃焼時の形状保持性に優れ、建築材料としても広く利用
できる無機材料と樹脂との複合材料成形体を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明者らは鋭意研究を行った結果、特定の無機材
料と樹脂とからなる樹脂成形体は、特定の細孔分布率を
有し、燃焼時の形状保持性が向上し、防火性に優れるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明
は以下の通りである。
【0005】(1)無機材料を含有する樹脂成形体であ
って、密度が0.7〜2g/cm3であり、かつ10μ
m以下の細孔分布率が25〜70体積%であり、上記無
機材料が含有率30〜90重量%であることを特徴とす
る無機材料を含有する樹脂組成物からなる成形体、であ
り、(2)荷重5kg積載時のメルトフローレート10
以上の熱可塑性樹脂10〜70重量%と、粒子径5μm
〜100μmの無機材料30〜90重量%とが混練され
ていることを特徴とする無機材料を含有する樹脂組成
物、であり、(3)エポキシ樹脂またはフェノール樹脂
より選ばれる熱硬化性樹脂0.1〜50重量%が表面被
覆され、加熱乾燥されている粒子径5μm〜100μm
の無機材料30〜90重量%と、エポキシ樹脂またはフ
ェノール樹脂より選ばれる熱硬化性樹脂10〜70重量
%とが混練されていることを特徴とする無機材料を含有
する樹脂組成物、である。
【0006】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明の無機材料を含有する樹脂成形体は、無機材料の含
有率が30〜90重量%である。好ましくは40〜80
重量%、さらに好ましくは55〜70重量%である。無
機材料、特に珪酸カルシウム、の含有率が低すぎると防
火性に優れる成形体が得られない。一方、無機材料、特
に珪酸カルシウム、の含有率が高すぎると押出成形や射
出成形が困難になるとともに、低吸水性、高断熱性など
の樹脂の特性を有した樹脂成形体が得られなくなる。
【0007】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体
は、密度が0.7〜2.0g/cm3であり、さらに
は、0.7〜1.4g/cm3が好ましい。密度が0.
7g/cm3 以下であるときは、断熱性は高いが強度が
低く燃焼後の形状保持性能に優れた樹脂成形体が得られ
ない。また、密度が2.0g/cm3 以上であるとき
は、樹脂成形体中の大方の無機材料の高次構造が破壊さ
れ比重が増大すると推測され、成形加工性および燃焼時
の形状保持性が低下する。本発明の無機材料を含有する
樹脂成形体は、10μm以下の細孔分布率が25〜70
体積%である。燃焼時の形状保持性および樹脂成形体の
強度を考慮すると細孔分布率は、25〜65体積%が好
ましく、特に好ましくは25〜55体積%である。
【0008】本発明でいう細孔分布率とは、樹脂成形体
中の細孔部の体積割合をいい、樹脂と無機材料間に存在
する空隙や、無機材料の粒子が保有する空隙などの連通
孔を形成している部分の体積割合である。樹脂成形体
が、10μm以下の細孔分布率25体積%以下であると
燃焼時にクラックの発生がみられ、樹脂成形体の強度低
下をもたらし、形状保持性が悪くなり、70体積%以上
であると、成形時に大方の無機材料が微細化されて中空
の一次粒子もしくは一次粒子が凝集し、内部に空隙を含
む嵩高な構造となる2次粒子が破壊されているので、燃
焼時の形状保持性に優れた成形体が得られない。
【0009】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体
は、熱可塑性樹脂と特定の無機材料とを混練し、押出成
形か射出成形する製法により、又は、熱硬化性樹脂と特
定の無機材料とを混練し、加圧圧縮成形する製法により
得ることができる。本発明の無機材料を含有する樹脂成
形体は、特定の無機材料を含有する樹脂を混練し、成形
することで10μm以下の細孔分布率が任意に25〜7
0体積%で成形することが可能である。燃焼時の形状保
持性および樹脂成形体の強度を考慮すると細孔分布率
は、25〜65体積%が好ましく、特に好ましくは25
〜55体積%である。
【0010】本発明に用いる無機材料としては、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化
物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸
化物、シリカ粉、マイカ、タルク、珪酸カルシウム、珪
酸マグネシウム、珪酸ナトリウムなどの珪酸化合物や、
ガラス繊維やガラスバルーン、しらすバルーンなどを例
示することができる。これらは単独で使用することも、
2種類以上のものを混合して用いることも可能である。
【0011】上記の中でも、本発明に用いる無機材料
は、密度が0.2〜0.8g/cm3であることが好ま
しく、一次粒子またはその凝集構造が内部に空隙を含む
嵩高な高次構造を形成しているものであることが好まし
い。本発明に好ましく用いられる、内部に空隙を含む嵩
高な高次構造を形成している無機材料として、一次粒子
が中空構造を有するシラスバルーン、ガラスバルーンや
一次粒子が凝集し内部に空隙を含む嵩高な2次粒子を形
成する珪酸カルシウムの1種であるゾノトライト粉や一
次粒子が凝集した塊状粒子中に微細な空隙を形成してい
るトバモライト粉、ALC粉(軽量気泡コンクリート
粉)などの種々の珪酸カルシウムがあげられる。
【0012】さらに、本発明に用いる無機材料は、無機
材料単独でプレス等の加圧操作後に保形性を有する珪酸
カルシウムが特に好ましい。珪酸カルシウムの結晶形態
としては、具体的には、ゾノトライト、トバモライト等
の結晶性の珪酸カルシウム水和物、CSH−I、CSH
−IIと呼ばれる比較的結晶性の低い珪酸カルシウム水
和物やワラストナイト等を例示できる。これらは単独で
使用することも、2種類以上のものを混合して用いるこ
とも可能である。本発明にに用いる無機材料は、粒子径
が5〜100μmである。さらに好ましくは20〜50
μmである。無機材料の粒径が5ミクロン以下だと一次
粒子またはその凝集構造が内部に空隙を含む嵩高な高次
構造が破壊されており、100μm以上だと樹脂との成
形時に流動性が低下し得られる樹脂成形体の機械的強度
や防火性が低下する。
【0013】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体に
用いる樹脂は、熱可塑性樹脂として、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、など
のオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリメタクリル酸メ
チルなどのアクリル樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹
脂やポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートな
どのポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェニレ
ンエーテルなどのポリエーテル樹脂やポリスルホン、ポ
リビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどを例示
することができ、また、熱硬化性樹脂として、フェノー
ル樹脂やエポキシ樹脂などを例示することができる。
【0014】これらの樹脂を単独で使用しても、2種類
以上のものを混合して用いたり共重合体として使用する
ことも可能である。本発明に用いる熱可塑性樹脂として
は、上記の中でも、樹脂の軟化温度が比較的高く、易炭
化性のポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフェニレンエー
テル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネー
ト、ポリスルホンが好ましく、さらに樹脂自身の難燃性
を考慮すると、塩化ビニル樹脂や塩化ビニル共重合体な
どの塩化ビニル系樹脂が好ましい。
【0015】本発明の熱可塑性樹脂を用いる製法では、
押出成形法や射出成形法を考慮すると流動性が高い材料
であることが好ましく、樹脂単独で射出成形が可能であ
るものが好ましい。熱可塑性樹脂は、具体的には、荷重
5kg積載時のメルトフローレート(JIS K721
0)が10以上であり、これらを単独で使用しても、2
種類以上のものを混合して用いたり、共重合体として使
用することも可能である。一般的に樹脂のメルトフロー
レートは、測定時の荷重が樹脂の種類により異なるが、
本発明においては、荷重5kg積載時のメルトフローレ
ートとする。本発明に用いる熱可塑性樹脂には、一般的
に樹脂の物性改善のために添加される各種副資材、すな
わち、熱・光安定剤、衝撃性改良剤、難燃剤、酸化防止
剤、顔料、染料、離型剤等の添加剤が配合されていても
よい。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂を用いる樹脂成形体
の製法に用いる無機材料は、成形時の流動性を向上させ
るため、粒子表面が表面処理されていてもよい。たとえ
ば、熱可塑性樹脂の成形温度で安定であり強度を保持す
る熱硬化性樹脂で被覆することなどが好ましい。表面処
理により、成形時に、珪酸カルシウムなどの無機材料の
空隙を含む嵩高な高次構造が保護され、樹脂との親和性
が高められることによって、流動性が向上し、また、無
機材料の強度が向上する。このような熱硬化性樹脂とし
ては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂が好ましい。なか
でも、易炭化性のフェノール樹脂が好ましい。
【0017】表面処理する方法は、特に制限されない
が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂から選ばれる熱硬化
性樹脂モノマーをアルコール溶媒や水で希釈した溶液を
スプレードライなどによる方法で表面被覆した後、該熱
硬化性樹脂の熱硬化温度にてあらかじめ硬化させること
により表面処理無機材料の粒子が得られる。熱硬化性樹
脂にて表面処理する際は、無機材料に対して0.1〜5
0重量%であることが好ましく、さらには1〜40重量
%が好ましく、特に好ましくは3〜30重量%である。
0.1重量%以下であると樹脂との親和性が低下し成形
時の流動性向上に寄与せず、50重量%以上だと表面処
理に有する作業工程に時間がかかり生産性が低下する。
【0018】また、表面処理剤には、熱可塑性樹脂との
親和性を向上させるためにカップリング剤や界面活性剤
や成形に使用する熱可塑性樹脂よりも熱分解温度が高い
熱可塑性樹脂エマルジョン等を使用することも可能であ
る。カップリング剤としては、シランカップリング剤お
よびチタン系カップリング剤などがあげられる。本発明
の熱可塑性樹脂を用いる製法は、押出成形および射出成
形などでの流動性改善するために滑剤、可塑剤が配合さ
れていてもよい。滑剤や可塑剤として、パラフィンワッ
クス、流動パラフィン、ポリエチレンワックスなどのワ
ックス類、ステアリン酸、ステアリン酸誘導体などの滑
剤やフタル酸エステルなどの可塑剤を用いることが好ま
しい。配合する段階は特に問わない。滑剤や可塑剤の添
加量は、それぞれ0.01〜10重量%が好ましいが、
0.1〜5重量%がさらに好ましい。0.01重量%以
下であると流動性の改善効果が発現せず、10重量%以
上だと得られる樹脂成形体の機械的強度や防火性が低下
する。
【0019】本発明の熱可塑性樹脂を用いる製法は、流
動性の高い熱可塑性樹脂と、特定の粒径の無機材料によ
る親和性の向上とにより、流動性が発現し、また、滑
剤、可塑剤の混合による相乗効果によりさらに流動性が
増す。次に、本発明の熱硬化性樹脂を用いる製法は、エ
ポキシ樹脂やフェノール樹脂より選ばれる熱硬化性樹脂
を用いる。炭化形成し易い液状のフェノール樹脂が特に
好ましい。本発明の無機材料を含有する樹脂成形体を熱
硬化性樹脂を用いて得る際は、表面処理無機材料と熱硬
化性樹脂とが混練されて得られる組成物を成形すること
が必要である。表面処理無機材料は、無機材料表面に低
分子量の熱硬化性樹脂で表面処理し、予め加熱乾燥さ
せ、重合させて、熱硬化性樹脂の分子量を高めておくこ
とが好ましい。 無機材料に対する熱硬化性樹脂の被覆
量は、0.1〜50重量%であり、好ましくは3〜30
重量%である。
【0020】表面処理無機材料を用いると、熱硬化性樹
脂と混練される際に無機材料の一次粒子の凝集の内部に
熱硬化性樹脂が浸透するのを抑制し、樹脂成形体の細孔
分布率の低下を防止すること、および混練時における無
機材料のの強度を維持することができる。0.1重量%
以下であると熱硬化性樹脂との混練時に樹脂が無機材料
の一次粒子の凝集の内部に浸透し、10μm以下の細孔
分布率が低下し、好ましくない。50重量%以上である
と表面処理中に熱硬化性樹脂が無機材料の2次粒子の凝
集の内部に浸透し、10μm以下の細孔分布率が低下
し、本発明の無機材料を含有する樹脂成形体が得られ
ず、好ましくない。
【0021】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体
は、混練機による混練にて得られる組成物もしくは、そ
れらのペレタイズ品を成形することにより得られる。す
なわち、熱可塑性樹脂を用いる製法では、樹脂を溶融さ
せた後に、特定の粒径の珪酸カルシウムなどが主成分の
無機材料、さらに滑剤、可塑剤を混練機を用いて溶融混
練をしてから成形を行う。混練しペレット状としておく
と、押出成形、射出成形などでの原料投入時の操作性が
良い。
【0022】混練機としては、例えば、一軸押出機や二
軸押出機などの押出機、バンバリミキサー、ミキシング
ロール、ニーダー、ブラベンダーなどをあげることがで
きる。混練時の回転数が高くなるにつれて高トルクがか
かり無機材料の空隙が破壊されやすくなるため、回転数
は1〜100rpmが好ましく、さらに好ましくは、1
0〜30rpmである。また、組成物作成の際の混練に
一軸押出機や二軸押出機を用いた場合は、ペレットを作
成することなく混練と共に押出成形を行うことも可能で
ある。成形方法としては、例えば、プレス成形、押出成
形、射出成形、カレンダー成形などが挙げられる。成形
時の生産性などを考慮するとプレス成形、押出成形、射
出成形が好ましい。
【0023】成形温度などの条件は、樹脂単独の成形温
度などの条件に準じればよいが、成形機内での組成物の
加熱温度は、樹脂単独の場合よりも5〜20℃高めにす
ることが好ましい。樹脂成形体が、10μm以下の細孔
分布率25体積%以下であると燃焼時にクラックの発生
がみられ、樹脂成形体の強度低下をもたらし、形状保持
性が悪くなり、70体積%以上であると、成形時に大方
の無機材料が微細化されて中空の一次粒子もしくは一次
粒子が凝集し、内部に空隙を含む嵩高な構造となる2次
粒子が破壊されているので、燃焼時の形状保持性に優れ
た樹脂成形体が得られない。
【0024】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体
は、上記の製法により、無機材料を含有する樹脂を混練
し、成形することで10μm以下の細孔分布率が任意に
25〜70体積%で成形することが可能である。本発明
の、10ミクロン以下の細孔分布率が25〜70体積%
である樹脂成形体は、燃焼時の形状保持性が向上する。
この形状保持性が向上するメカニズムは明確ではない
が、成形体中の無機材料の高次構造の存在割合が高いほ
ど、燃焼時の形状保持性が高く形状保持性は高次構造の
空隙部の存在割合と相関関係があるように考えられる。
本発明の無機材料を含有する樹脂成形体は、建築材料、
例えば窓枠材やサイデイング材などの用途に幅広く応用
できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により、さらに本発
明を具体的に説明する。なお、用いた原料、および評価
方法を以下に示す。 (1)塩化ビニル樹脂ペレット 実施例に利用するペレットは、荷重5kg積載時のメル
トフローレートが40である射出成形用の塩化ビニル樹
脂(ゼオン化成(株)製、商品名AL4003)を用い
た。比較例に記載した押出成形用の塩化ビニル樹脂ペレ
ットとは、荷重5kg積載時のメルトフローレートが1
である押出成形用塩化ビニル樹脂ペレット(信越ポリマ
ー(株)製、商品名EX206)を用いた。 (2)フェノール樹脂 液状レゾール樹脂(昭和高分子(株)製、商品名ショウ
ノールBRL−120Z)を用いた。 (3)珪酸カルシウム 珪酸カルシウムとしてレーザー光散乱型粒径分布測定装
置により粒径分布を測定し、10〜50μmの粒度の範
囲にあるトバモライト、ゾノトライトをそれぞれ用い
た。
【0026】(4)ALC(軽量気泡コンクリート)粉 トバモライトを原料とするALC粉(旭化成工業(株)
製、商品名ヘーベル)を粉砕加工し、粒径を10〜50
μmに調整した微粉末を用いた。 (5)防火性試験 建築材料燃焼性試験装置((株)東洋精機製作所製)を
用いて、建築物の内装材料及び工法の燃焼性試験方法
(JIS A1321)の表面試験の難燃1級に準じ、
220×220×5mmの平板の試験体に加熱し、加熱
後の試験体の外観のソリ、亀裂の発生などの変形状態を ◎:加熱によるソリおよび加熱裏面に達する亀裂なし ○:加熱によるソリの発生が少なく加熱裏面に達する亀
裂なし △:加熱によるソリの発生が少ないが加熱裏面に達する
亀裂が発生 ×:加熱によるソリの発生が著しく試験体を複数に分割
する亀裂が発生 の4段階に評価した。 (6)細孔分布率測定 細孔分布率測定装置、ポアサイザ9320{(株)島津
製作所}を用いて細孔分布を測定した。
【0027】測定方法は、樹脂成形体の試料細孔中に、
水銀を圧入した際の圧力と、その圧力で水銀が侵入しう
る最小の細孔直径との関係を与えるWasuburn式
に基づく、以下の水銀ポロシメーター法による。まず、
樹脂成形体を1mm〜2mmの範囲の粒度に調整した
後、室温で24時間真空乾燥する。この試料について水
銀ポロシメーター{(株)島津製作所製、商品名ポアサ
イザ9320}で水銀の試料に対する接触角130度、
水銀の表面張力484dyn/cmの条件下、範囲が5
×10-3μm〜100μmである細孔分布および範囲5
×10-3μm〜100μmである累積細孔容積を求め、
10μm以下の細孔分布率を算出した。 10μm以下の細孔分布率(体積%)=(10μm以下
の累積細孔容積/全体の累積細孔容積)×100
【0028】
【実施例1】フェノール樹脂25重量部をエタノールに
て希釈した溶液を調整し、スプレーにて粒径を10〜5
0μmに調整したALC粉100重量部に噴霧し、その
後、170度の乾燥機中に30分間放置しフェノール樹
脂を硬化させ表面処理ALC粉を得た。
【0029】上記の様にして得られた表面処理ALC粉
40重量部(うちフェノール樹脂10重量部)、粒径を
10〜50μmに調整したALC粉35重量部、塩化ビ
ニル樹脂ペレット20重量部、ジオクチルフタレート
(以下DOPと略)2重量部、パラフィンワックス3重
量部をバンバリミキサー((株)東洋精機製作所製)を
にて、210度、回転数30rpmにて10分間混合し
た後にペレット状に粉砕した。このようにしてえられた
複合材料を射出成形機100トン(三菱重工業(株)
製)にて射出圧力80kg/cm2 、金型温度210度
の成形条件で220×220×3mmの形状に射出成形
した。得られた樹脂成形体は、かさ比重1.6g/cm
3 、10μm以下の細孔分布率が48体積%であった。
この平板の防火性試験の結果を表1に示した。
【0030】
【実施例2】フェノール樹脂25重量部をエタノールに
て希釈した溶液を調整し、スプレーにて粒径を10〜5
0μmに調整したゾノトライト100重量部に噴霧し、
その後、170度の乾燥機中に30分間放置しフェノー
ル樹脂を硬化させ表面処理ゾノトライト粉を得た。
【0031】得られた表面処理ゾノトライト粉40重量
部(うちフェノール樹脂10重量部)、ゾノトライト粉
5重量部、ALC粉30重量部、塩化ビニル樹脂ペレッ
ト20重量部、DOP2重量部、パラフィンワックス3
重量部をバンバリミキサー((株)東洋精機製作所製)
をにて、210度、回転数30rpmにて10分間混合
した後にペレット状に粉砕した。このようにしてえられ
た複合材料を射出成形機100トンにて射出圧力80k
g/cm2 、金型温度210度の成形条件で220×2
20×3mmの形状に射出成形した。得られた樹脂成形
体は、かさ比重1.4g/cm3 、10μm以下の細孔
分布率が59.3体積%であった。この平板の防火性試
験の結果を表1に示した。
【0032】
【実施例3】フェノール樹脂30重量部を粒径を10μ
m〜50μmに調整したトバモライト30重量部、ゾノ
トライト15重量部、水酸化アルミ15重量部、ガラス
繊維10重量部を万能ミキサー((株)小平製作所製)
を用い、回転数200rpmで5分間混合して均一なも
のにした。この混合原料を金型温度180度の成形条件
で220×220×5mmの形状に圧縮成形した。得ら
れた樹脂成形体は、かさ比重1.7g/cm3 、10μ
m以下の細孔分布率が68.5体積%であった。
【0033】
【実施例4】実施例2で得られた表面処理ゾノトライト
粉66重量部(うちフェノール樹脂16重量部)、塩化
ビニル樹脂ペレット30重量部、DOP2重量部、パラ
フィンワックス2重量部を二軸押出成形機(プラスチッ
ク工学研究所製)にて、210度、回転数30rpm
で、幅220mm、厚み3mmの平板を押出成形した。
得られた樹脂成形体は、かさ比重1.4g/cm3 、1
0μm以下の細孔分布率が46.0体積%であった。こ
の平板から220×220mmの板をとり防火性試験を
実施した。防火性試験の結果を表1に示した。
【0034】
【比較例1】粒径が100〜150μmに調整したAL
C粉65重量部、塩化ビニル樹脂ペレット30重量部、
DOP2重量部、パラフィンワックス3重量部をバンバ
リミキサー((株)東洋精機製作所製)にて、210
度、回転数30rpmにて10分間混合した後にペレッ
ト状に粉砕した。このようにしてえられた複合材料を射
出成形機100トン(三菱重工業(株)製)にて射出圧
力80kg/cm2 、金型温度210度の成形条件で2
20×220×3mmの形状に射出成形した。得られた
樹脂成形体は、かさ比重2.1g/cm3 、10μm以
下の細孔分布率が22体積%であった。この平板の防火
性試験の結果を表1に示した。
【0035】
【比較例2】実施例2で得られた表面処理ゾノトライト
粉66重量部(うちフェノール樹脂16重量部)、押出
成形用塩化ビニル樹脂ペレット30重量部、DOP2重
量部、パラフィンワックス2重量部を二軸押出成形機
(プラスチック工学研究所製)にて、210度、回転数
30rpmで、幅220mm、厚み3mmの平板を押出
成形した。得られた樹脂成形体は、かさ比重2.1g/
cm3 、10μm以下の細孔分布率が21.5体積%で
あった。この平板から220×220mmの板をとり防
火性試験を実施した。防火性試験の結果を表1に示し
た。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】本発明の無機材料を含有する樹脂成形体
は、無機材料の1次粒子または、それらが凝集し構成す
る嵩高な構造を保持することにより特定の細孔分布率を
有している。そのため従来品に比べて火災などのきわめ
て高温度条件下においても変形が少なく、耐クラック性
および形状保持性を有し、防火性の建築材料などの用途
に好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の押出成形した無機材料を含有する樹脂成
形体の、無機材料と樹脂との混合状態を模式的に示す断
面の説明図
【図2】本発明の押出成形した珪酸カルシウム主成分と
する無機材料を含有する樹脂成形体の、無機材料と樹脂
との混合状態を模式的に示す断面の説明図
【符号の説明】
1:珪酸カルシウム 2:樹脂 3:嵩高な2次粒子による空隙部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 5/00 CFC C08J 5/00 CFC

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機材料を含有する樹脂成形体であっ
    て、密度が0.7〜2g/cm3 であり、かつ10μm
    以下の細孔分布率が25〜70体積%であり、上記無機
    材料が含有率30〜90重量%であることを特徴とする
    無機材料を含有する樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 荷重5kg積載時のメルトフローレート
    10以上の熱可塑性樹脂10〜70重量%と、粒子径5
    μm〜100μmの無機材料30〜90重量%とが混練
    されていることを特徴とする無機材料を含有する樹脂組
    成物。
  3. 【請求項3】 エポキシ樹脂またはフェノール樹脂より
    選ばれる熱硬化性樹脂0.1〜50重量%が表面被覆さ
    れ、加熱乾燥されている粒子径5μm〜100μmの無
    機材料30〜90重量%と、エポキシ樹脂またはフェノ
    ール樹脂より選ばれる熱硬化性樹脂10〜70重量%と
    が混練されていることを特徴とする無機材料を含有する
    樹脂組成物。
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