JPH10304497A - サラウンド信号処理装置、その信号処理方法、処理プログラムの伝送方法及び記録媒体 - Google Patents

サラウンド信号処理装置、その信号処理方法、処理プログラムの伝送方法及び記録媒体

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JPH10304497A
JPH10304497A JP12301897A JP12301897A JPH10304497A JP H10304497 A JPH10304497 A JP H10304497A JP 12301897 A JP12301897 A JP 12301897A JP 12301897 A JP12301897 A JP 12301897A JP H10304497 A JPH10304497 A JP H10304497A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サラウンド信号処理装置において、音像効果
の広領域化を図る。 【解決手段】 本装置は、受聴者に対して略左右対称で
前方に配置した一対のスピ−カSPL,SPRから、入
力されたリア用モノラルサラウンド信号を、フィルタ手
段23,24により受聴者の左右側方又は左右前後に音
像定位させて再生するようにした装置であり、前記フィ
ルタ手段23,24の出力信号の一部を取り出し、この
取り出した信号を、遅延回路27,29によりそれぞれ
所定時間遅延すると共にゲイン調整回路G1,G2でゲ
イン調整し、その後、これらの信号を加算器28,30
において前記フィルタ手段23,24の出力信号に再度
加算するように構成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチチャンネル
音声信号を再生するサラウンド再生に係り、特に、一般
家庭等で容易にコンピュータのディスプレイと2チャン
ネルステレオスピーカによりマルチチャンネル音声の再
生を可能にするためのサラウンド信号処理装置、その信
号処理方法、処理プログラムの伝送方法及び記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(技術的背景)従来、受聴者の位置より後方までの音場
または音像定位を得ることができる立体音響の再生を行
うには、ステレオ配置の前方2個のスピーカ(フロント
スピーカ)とサラウンド用の後方配置のスピーカ(リア
スピーカ)1個または2個の合計最低3個のスピーカが
必要であり、また、1系統のサラウンド用信号を用いる
サラウンド再生やハイビジョンの3−1方式のように、
センタチャンネルまで再生する場合には、さらにセンタ
スピーカとして1個または2個のスピーカが必要で、再
生するチャンネル分のアンプとケーブルなどが必要であ
る。
【0003】すなわち、サラウンド再生時に必要なスピ
ーカのセッティングとしては、例えば、図14(A)に
示すように、受聴者LMの前方の左右に位置するL及び
Rチャンネルのスピーカセットと、後方の左右に位置す
るSL及びSRチャンネルのサラウンド用のリアスピー
カセット、またはこれに加えて、前方中央部のCチャン
ネルのセンタスピーカが必要であった。
【0004】ところが、一般家庭においては、前記リア
スピーカや前記センタスピーカを配置することはスペー
ス的にも費用的にも困難であり、実際のスピーカセット
としては、図14(B)に示すように、受聴者LMの前
方の左右に位置するL及びRチャンネルのスピーカセッ
トを備えるのみで、その場合、十分なサラウンド効果を
得ることはできなくなる。特に、モノーラルのサラウン
ド用信号(1系統のリア用サラウンド信号)を用いるサ
ラウンド再生方式では、受聴者後方での音場を表現する
ことや音像の移動を表現することを特長としていたが、
リアスピーカを設置しなければその効果を発揮できなか
った。
【0005】しかしながら、最近では、前方左右のスピ
ーカのみによる再生によっても、後方のスピーカセット
を設けた場合と同様な、立体音響効果を得ることができ
るサラウンド信号処理装置が考えられている。
【0006】(従来の技術)これは、所定位置の受聴者
の前方の2つのスピーカに対して、2チャンネルステレ
オの本来のLとRの各チャンネル信号に加えて、リアチ
ャンネルの信号を変換して得られる音像定位信号を与え
たり、あるいは前方に2対のスピーカを設けておき、1
対には本来のLとRの各チャンネルの信号のみを与えて
おき、他の1対には上記音像定位信号をそれぞれ与えた
ものである。かかる音像定位を行うことにより、受聴者
後方のリアスピーカが実在しなくても、あたかも後方か
ら音が聞こえるようなサラウンド再生が可能となる。
【0007】上記リアチャンネルを変換して所望の音像
定位信号を得るためには、実際に配置されている一対の
スピーカから受聴者の左右両耳までのそれぞれの空間の
伝達特性と、音像を定位させたい後方の2つの所定位置
の一方に測定時のみに配置したスピーカから受聴者の左
右両耳までのそれぞれの空間の伝達特性とを用いて演算
が行われる。すなわちコンボルバ(畳み込み演算処理回
路)などを用いたフィルタ演算が行われる。
【0008】この音像定位信号を利用した従来のサラウ
ンド信号処理装置の構成と原理を説明すると、以下の通
りである。図15は、音像定位技術を利用したサラウン
ド信号処理装置のシステムを概略説明するための構成図
である。同図において、100は、4チャンネルの例と
して、2チャンネルのステレオ信号L,R、ステレオ中
央の定位を改善するためのセンタチャンネル信号C、及
びサラウンド立体音響効果を得るためのリアチャンネル
信号Sを受けて、受聴者LMを取り囲むサラウンド再生
を行うために、リアチャンネル信号Sとセンタチャンネ
ル信号Cとを各々空間の意図した位置に定位させる音像
定位信号に変換するサラウンド信号処理装置である。前
記ステレオ信号L,Rと前記音像定位信号とを受聴者L
Mの前方左右に配置するスピーカSP1 ,SP2 から再
生することにより、本来、必要とする受聴者LMの後方
左右に配置するリアスピーカSP3 ,SP4 、受聴者L
Mの前方中央部に配置するセンタスピーカSP5 、受聴
者LMの後方中央に配置するリアスピーカSP6 を不要
にしてサラウンド立体音響効果を得るものである。
【0009】また、図16は、ステレオ配置の2本のス
ピーカSP1 ,SP2 によって受聴者LMを取り囲む空
間の意図した位置に音像を定位させる原理を説明する図
である。同図において、今、左側のスピーカSP1 から
受聴者LMの左右両耳までの伝達特性(インパルス応答
の周波数応答)をh1L,h1R、また、右側のスピーカS
P2 から受聴者LMの左右両耳までの伝達特性をh2L,
h2Rとする。また、目的とする定位位置xに実際のスピ
ーカを配置した時の受聴者LMの左右両耳までの伝達特
性をpLx,pRxとする。なお、ここで、各伝達特性は無
響空間にスピーカと人頭またはダミーヘッド及び両耳位
置のマイクを配置して測定したものに適切な波形処理な
どを施したものを用いている。
【0010】次に、定位させたい音響信号のソースXに
伝達特性がcfLx,cfRxで表せられる信号変換回路1
01A,101Bに通して得られる信号をそれぞれスピ
ーカSP1 ,SP2 で再生することを考える。このと
き、受聴者LMの左右両耳に得られる信号をeL ,eR
とすると、
【0011】 eL =h1L・cfLx・X+h2L・cfRx・X ・・・(11a) eR =h1R・cfLx・X+h2R・cfRx・X ・・・(11b) となる。
【0012】一方、ソースXを目的の定位位置から再生
した時に受聴者LMの左右両耳に得られる信号をdL ,
dR とすると、 dL =pLx・X ・・・(12a) dR =pRx・X ・・・(12b) となる。
【0013】今、スピーカSP1 ,SP2 の再生により
受聴者LMの左右両耳に得られる信号が目的位置からソ
ースを再生したときの信号に一致すれば、受聴者LMは
あたかも目的位置にスピーカが存在するように音像を認
識することになる。すなわち、条件eL =dL 、eR =
dR と、式(11a) (11b) (12a) (12b)より、X
を消去すると、
【0014】 h1L・cfLx+h2L・cfRx=pLx ・・・(13a) h1R・cfLx+h2R・cfRx=pRx ・・・(13b) となる。
【0015】そして、式(13a),(13b)からcfLx,
cfRxを求めると、 cfLx=(h2R・pLx−h2L・pRx)/H ・・・(14a) cfRx=(−h1R・pLx+h1L・pRx)/H ・・・(14b) 但し、H=h1L・h2R−h2L・h1R ・・・(14c) となる。
【0016】したがって、式(14a)〜(14c)により
算出した伝達特性cfLx,cfRxの信号変換回路101
A,101B(以下、位置xのための定位フィルタまた
は単にフィルタと呼ぶ)を用いて定位させたい信号を処
理すれば、目的の位置xの音像を定位させることができ
ることになる。
【0017】つまり、リアスピーカの設置位置を音像定
位置xとした一対の定位フィルタで、サラウンド信号を
処理し、フロントスピーカSP1 ,SP2 から再生すれ
ばよいことになる。そして、一対の定位フィルタを複数
対組み合わせて、例えば、図17,図18に示すような
サラウンド信号処理装置が構成されていた。
【0018】図17はサラウンドデコーダSDから出力
される2チャンネルステレオ信号L,Rと、1チャンネ
ルのセンターチャンネル信号C、2チャンネルのサラウ
ンド(リア)チャンネル信号SL,SRを受けて、リア
チャンネル信号SL,SRを受聴者左右後方の対称位置
に再生するように音像定位処理する装置である。
【0019】同装置では、リアチャンネル信号SL,S
Rごとに一対の定位フィルタ(フィルタ101A,10
1B,101A,101B)が設けられ、図15に示す
仮想的なリアスピーカSP3 ,SP4 の位置に音像定位
させている。つまり、L,R,C信号と音像定位処理さ
れた信号を加算し、前方の一対のスピーカSP1 ,SP
2 から再生している。この装置では、リアチャンネル信
号SL,SRに対して、総計4個のフィルタで音像定位
処理する必要がある。
【0020】また、図18はモノーラルの1系統のリア
のサラウンド用信号を用いるサラウンド再生方式に対応
した従来の装置である。この構成では、1チャンネル分
の一対の定位フィルタ(フィルタ101A,101B)
が設けられ、総計2個のフィルタでリア用サラウンド用
信号Sを、図15に示す仮想的なリアスピーカSP6の
位置に定位させていた。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のサラウンド信号処理装置は、前方一対のスピ−カか
ら受聴者の両耳までの頭部伝達関数(HRTF)と後方
のサラウンドスピ−カからのHRTFを基に信号処理を
行いサラウンド信号成分を後方のスピ−カなしで前方の
一対のスピ−カにより受聴者の左右側方もしくは左右後
方に音像定位させるものである。そのために、HRTF
の条件すなわち左右のスピ−カよりの距離もしくは到達
時間の条件が満たされる受聴者は上記従来装置が目的と
するサラウンド効果音が得られるが、その条件に外れた
場所に位置する受聴者はその効果を楽しむことができな
い。例えば、複数人が並んで受聴しようとしたり、一人
で受聴しようとする場合であって、その効果を得るため
の範囲が非常に制約されてしまうという問題点があっ
た。
【0022】そこで、本発明はそのような制約を広げて
上記の問題に対応したサラウンド信号処理装置及びその
信号処理方法、並びにインターネット等を考慮して、そ
の処理プログラムの伝送方法及びその処理すべき制御方
法が記録された記録媒体を提供することを目的とするも
のである。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、次の(1)〜(10)に記載の手段より
成る。すなわち、 (1)受聴者に対して略左右対称で前方に配置した一対
のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウンド信
号を、フィルタ手段により前記受聴者の左右側方又は左
右前後に音像定位させて再生するサラウンド信号処理装
置において、前記一対のトランジュ−サから前記受聴者
の側方の仮想位置までの夫々の距離の差に基づく時間差
及びレベル差相当分の信号を、前記フィルタ手段の出力
信号より遅延及びレベル調整して取り出し、この取り出
した信号を前記出力信号に再度加算する構成としたこと
を特徴とするサラウンド信号処理装置。
【0024】(2)受受聴者に対して略左右対称で前方
に配置した一対のトランジュ−サから、入力されたリア
用サラウンド信号を、フィルタ手段により前記受聴者の
左右側方又は左右前後に音像定位させて再生するサラウ
ンド信号処理装置において、前記一対のトランジュ−サ
から前記受聴者の側方の仮想位置までの夫々の距離の差
に基づく時間差及びレベル差相当分の信号を、前記リア
用サラウンド信号より遅延及びレベル調整し、この遅延
及びレベル調整した信号と前記リア用サラウンド信号と
の加算した信号を前記フィルタ手段に入力する構成とし
たことを特徴とするサラウンド信号処理装置。
【0025】(3)請求項1記載のサラウンド信号処理
装置において、前記フィルタ手段の前段側に、前記一対
のトランジュ−サから再生される左右一対のサラウンド
信号を互いに非相関性を持たせた疑似ステレオ回路と、
この回路内に一対のリア用サラウンド信号に振幅差を持
たせる振幅調整手段とを設けたことを特徴とするサラウ
ンド信号処理装置。
【0026】(4)請求項3記載のサラウンド信号処理
装置において、遅延時間の異なる複数のリア用サラウン
ド信号を振幅調整して加算することにより疑似ステレオ
化する一対のリア用サラウンド信号に反射音を付加する
反射音付加回路をさらに備えたことを特徴とするサラウ
ンド信号処理装置。
【0027】(5)受聴者に対して略左右対称で前方に
配置した一対のトランジュ−サから、入力されたリア用
サラウンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左
右側方又は左右前後に音像定位させて再生するサラウン
ド信号処理方法において、前記一対のトランジュ−サか
ら前記受聴者の側方の仮想位置までの夫々の距離の差に
基づく時間差及びレベル差相当分の信号を、前記フィル
タ処理した出力信号より遅延及びレベル調整して取り出
し、この取り出した信号を前記出力信号に再度加算する
ステップを含むようにしたことを特徴とするサラウンド
信号処理方法。
【0028】(6)請求項5記載の処理ステップを記録
したことを特徴する記録媒体。
【0029】(7)受聴者に対して略左右対称で前方に
配置した一対のトランジュ−サから、入力されたリア用
サラウンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左
右側方又は左右前後に音像定位させて再生するサラウン
ド信号処理方法において、前記一対のトランジュ−サか
ら前記受聴者の側方の仮想位置までの夫々の距離の差に
基づく時間差及びレベル差相当分の信号を、前記リア用
サラウンド信号より遅延及びレベル調整し、この遅延及
びレベル調整した信号と前記リア用サラウンド信号とを
加算し、この加算信号に前記フィルタ処理を行うステッ
プを含むようにしたことを特徴とするサラウンド信号処
理方法。
【0030】(8)請求項7記載の処理ステップを記録
したことを特徴する記録媒体。
【0031】(9)プログラム供給手段からネットワー
クを介して所定のプログラムを供給し、この供給された
所定のプログラムに基づいてサラウンド信号の処理を行
わせる処理プログラムの伝送方法において、前記プログ
ラムは、受聴者に対して略左右対称で前方に配置した一
対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウンド
信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左右側方又は
左右前後に音像定位させる処理ステップを含む処理プロ
グラムであって、前記プログラムに、前記一対のトラン
ジュ−サから前記受聴者の側方の仮想位置までの夫々の
距離の差に基づく時間差及びレベル差相当分の信号を、
前記フィルタ処理した出力信号より遅延及びレベル調整
して取り出し、この取り出した信号を前記出力信号に再
度加算するステップを更に含ませるようにしたことを特
徴とする処理プログラムの伝送方法。
【0032】(10)プログラム供給手段からネットワ
ークを介して所定のプログラムを供給し、この供給され
た所定のプログラムに基づいてサラウンド信号の処理を
行わせる処理プログラムの伝送方法において、前記プロ
グラムは、受聴者に対して略左右対称で前方に配置した
一対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウン
ド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左右側方又
は左右前後に音像定位させる処理ステップを含む処理プ
ログラムであって、前記プログラムに、前記一対のトラ
ンジュ−サから前記受聴者の側方の仮想位置までの夫々
の距離の差に基づく時間差及びレベル差相当分の信号
を、前記リア用サラウンド信号より遅延及びレベル調整
し、この遅延及びレベル調整した信号と前記リア用サラ
ウンド信号とを加算し、この加算信号に前記フィルタ処
理を行う処理ステップを含ませるようにしたことを特徴
とする処理プログラムの伝送方法。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態につき、好ましい実施例により説明する。本
発明は、本発明者らの次の検証に基づいて成されたもの
である。すなわち、前方のスピ−カ(トラジューサ)か
ら等距離にある受聴者は、多少前後位置に移動してもサ
ラウンド効果が得られること、また、受聴者に到達する
音の成分において、部屋の反射音特性で左右のスピ−カ
から等時間で到達する成分がある場合にも、サラウンド
効果が得られることが検証されているものである。
【0034】つまり、受聴者が本来の理想位置にいなく
ても、左右のスピ−カより、等距離、又は等時間で左右
の耳に音が到達するような位置で、しかも、その音が支
配的信号として再生されるならば、サラウンド音効果が
得られることが検証されている。本発明は、このような
現象を利用して成されたものである。
【0035】図1は、本発明の基本的原理を説明するた
めの図で、スピ−カSPL,SPRに対して受聴者が3
人並んだ場合を想定した図である。特に、本実施例で
は、一般家庭におけるテレビジョンを使用してサラウン
ド効果を得ることを想定したものである。この場合、テ
レビジョンの画面を十分に観賞できる左右のスピ−カの
距離程度を視聴者の座る範囲と考え、ここで、仮に前方
のスピ−カ間の距離wを80cmとし、3人(A,B,
C)が横に並んで座っているスピ−カSPL,SPRま
での距離Lを2mとし、3人が横並びしている頭部中心
からの間隔位置Eを夫々60cmと仮定する。
【0036】このようにして、まず、3人の受聴者A,
B,Cのうち左右のスピ−カSPL,SPRより等距離
の位置にある中心の者Bに対しては、従来と同様の手法
により本来の効果が得られるように音像定位フィルタを
作成する。
【0037】次に、左右の2人A,Cに対しては、次の
ように考える。なお、この場合、A,Cは中心者Bに対
して、互いに対称であるため、説明はAのみにて行な
う。また、説明を簡略化するために距離Lに対し、受聴
者の頭部の大きさは無視し、頭部中心において時間差を
考えることとする。
【0038】ここで、左のスピ−カSPLより受聴者A
の頭部中心への距離TLは、 TL=(L2+(0.2m)21/2 =2.00997
5(m) 同様に、左のスピ−カSPRより受聴者Aの頭部の中心
への距離TRは、 TR=(L2 +(1m)21/2 =2.23606
(m) そして、TLとTRとの差は、22.7cm、音速は常
温で340m/secであるから、これは時間差t=
0.667msecとなる。
【0039】また、スピーカSPLとスピーカSPRと
からの音のレベル差についても考える。ここで、TLの
延長上で、スピーカSPRと等距離にある仮想スピーカ
をSPKとする。本来、視聴者Aに対して等距離にある
スピーカから同一音量が放音されるとすれば、視聴者A
には同一音量で聞こえる筈である。ところが、左スピー
カSPLが視聴者Aに対して右のスピーカSPRよりα
分だけ短い距離に配置されているとしたら、その距離分
(α)の音量を調整する必要がある。
【0040】従って、左スピ−カSPLから放音する信
号をt時間遅らせると共に、スピ−カSPLの音量レベ
ルを右スピーカSPRの音量レベルに比べ、その距離の
差(α)に応じて下げれば、受聴者Aはサランド効果を
得ることができる。また、CについてはAと対称な位置
にいるので、同様に右スピ−カSPRから放音する信号
をt時間遅らせると共に、スピ−カSPRの音量レベル
を左スピーカSPLの音量レベルに比べ、距離の差
(α)に応じて下げるようにすれば良い。
【0041】次に、前記の遅延及びレベル調整した信号
をそれぞれのスピーカから放音した時、それらの左右音
が受聴者A,B,Cにどのように聞こえるかにつき考察
する。中央の受聴者Bは左右のスピ−カより、等距離、
又は等時間という条件の信号をt時間遅れて2度聴くこ
とになるが、一般的に数ms以下で続く同じような信号
はマスキング効果によりかき消され、最初の音だけが聞
こえて本来のサラウンド効果が得られるものである。
【0042】また、次に、左の受聴者Aで考えると、図
2に示すように、通常の左のスピ−カSPLからの音s
plと、これと対となる右のスピ−カSPRからの音s
prと、夫々t時間遅れてゲイン調整された信号g×s
pl(t),g×spr(t)とがタイミングを異にし
て聞こえる。このような条件の信号を、受聴者Aが試聴
したところ、サラウンド効果が認められ、このような条
件のない従来処理の音を試聴したところ、期待する効果
は得られなかった。このことから、受聴者Aには、信号
spl,spr(t)がマスクキングされ、信号g×s
pl(t),g×spr(t)の方が聞こえて、サラウ
ンド効果が得られていることが分かる。また、反対側の
受聴者Cについても同様のことが確認された。
【0043】従って、上記検証結果より、前方の一対の
スピ−カを用い、受聴者がその左右のスピ−カより等距
離に位置し、そのHRTFを用いて音像定位を行なうシ
ステムにおいて、その理想位置よりずれた受聴者に対
し、近い方のスピ−カの信号を左右のスピ−カからの距
離の差に基づく時間差及びレベル差分だけ遅延及びレベ
ル調整し、その後にもとの信号に加えることにより、音
像定位の条件が成り立ってサラウンド効果が確認された
ものである。
【0044】次に、上述した基本的な考え方に基づいて
成された実施例につき説明する。図3は、その第1実施
例に係るサラウンド信号処理装置の概略ブロック図であ
る。同図に示す装置は、リア用モノラルサウンド信号S
の入力に基づいて受聴者に対して略左右対称な前方位置
に配置した一対のスピ−カSPL,SPRからサラウン
ド音を再生するようにしたもので、前記一対のサラウン
ド信号に互いに非相関性を持たせるべく信号処理するの
に、リア用サラウンド信号Sの遅延信号とその遅延前の
信号との和信号及び差信号を生成する櫛形フイルタを有
する疑似ステレオ回路1と、この疑似ステレオ回路1に
より出力された互いに非相関関係を持たせた一対のサラ
ウンド音を、従来に比して広範囲の位置において、略左
右対称な後方位置に音像を定位させることのできる音像
定位回路2とを備えている。
【0045】ここで、前記疑似ステレオ回路1は、サラ
ウンド信号Sに遅延量を与えて遅延信号S´として出力
する遅延回路11と、もとのサラウンド信号Sとして加
算した和信号S+S´を出力する加算器12と、もとの
サラウンド信号Sに遅延信号S´を減算した差信号S−
S´を出力する加算器13とを備えている。
【0046】また、音像定位回路2は、前記疑似ステレ
オ回路1からの一対のサラウンド信号として出力される
和信号と差信号との加算出力を得る加算器21と、その
和信号と差信号との減算出力を得る差分器22と、前記
加算器21の出力を入力してコンボルバ等の畳み込み演
算処理する第1のフィルタ23と、前記差分器22の出
力を入力してコンボルバ等の畳み込み演算処理する第2
のフィルタ24と、第1のフィルタ出力と第2のフィル
タ出力とを減算する差分器25と、第1のフィルタ出力
と第2のフィルタ出力とを加算する加算器26と、前記
差分器25の出力を約1mS遅延する遅延回路27と、
この出力信号のゲインg(0<g<1)を調整するため
のゲイン調整回路G2と、この出力と前記差分器25の
出力とを加算する加算器28と、前記加算器26の出力
を約1mS遅延する遅延回路29と、この出力のゲイン
g(0<g<1)を調整するためのゲイン調整回路G2
と、この出力と前記加算器26の出力とを加算する加算
器30とから構成されている。
【0047】そして、前記第1及び第2のフィルタ2
3,24の伝達特性P,Nは、 P=(F+K)/(S+A) …(1.1) N=(F−K)/(S−A) …(1.2) (ただし、Sは一対のスピ−カから受聴者の同じ側の耳
までの伝達特性、Aは一対のスピ−カから受聴者及び反
対側の耳までの伝達特性、Fはサラウンド信号音像定位
させたい位置から受聴者の同じ側の耳までの伝達数、K
はサラウンド信号を音像定位させたい位置から受聴者の
反対側の耳までの伝達関数)に設定されており、伝達関
数の設定によって音像定位位置に幅を持たせてサラウン
ド再生される範囲を設定できるように成されている。
【0048】以上のように、図3に示す構成において
は、入力のサラウンド音Sは一系統のモノマルチ信号で
あるため、この入力信号Sを非相関化すべく櫛形フィル
タでなる疑似ステレオ処理回路1を通し、一方は遅延回
路11により遅延した信号S´との加算出力を加算器1
2によって得られると共に、もう一方は加算器13によ
って遅延した信号S´との減算出力を得て、後段の音像
定位回路2内の第1のフィルタ23と、第2のフィルタ
24とで前述の演算処理により、音源を所望の位置に定
位させるように処理をし、更に、これらの信号を本願発
明の主要構成部である遅延回路27、ゲイン調整回路G
1及び加算器28と、遅延回路29、ゲイン調整回路G
2及び加算器30とに供給して、従来以上の広範囲に亘
ってサラウンド効果を得るようにしたものである。
【0049】次に、図4を用いて本願発明の第2実施例
に係るサラウンド信号処理装置につき説明する。本実施
例においては、本願発明の主効果である広範囲に亘って
サラウンド効果を得ると共に、さらなる音場の広がり感
を増すために、第1と第2のフィルタ23,24に入力
する信号に振幅差を持たせ、これらの信号を夫々遅延す
る一対の遅延回路11a,11bを設け、後段のフィル
タの遅延時間を自由に変えられるようにしたものであ
る。
【0050】すなわち、一対のサラウンド信号に振幅差
を持たせる振幅調整手段として、第1のフィルタ23へ
の入力側には遅延回路11aの前段に振幅調整用増幅器
4aを設けると共に、第2のフィルタ24への入力側に
は遅延回路11bの前段に振幅調整用増幅器4bを設
け、振幅調整率を異ならせて振幅差をもたせるもので、
疑似ステレオ回路1内に設けられている。特に、本実施
例の装置では、例えば、リスニングル−ムの環境に応じ
て、各フィルタ123,124への入力レベルを変えて
も良く、デッドな部屋では、第1のフィルタ23側入力
を適度に加えられて逆相関を和らげたり、ライブな部屋
では、第1のフィルタ123側の入力を絞って虚音像を
明確にするなど、様々に音場を演出し、広範囲に亘って
サラウンド効果を得るようにしたものである。
【0051】また、DSP(デジタルシグナルプロセッ
サ)で実際の信号処理を行う場合には、サラウンド音は
一系統しか存在しないため、遅延線は一つで良く効率も
よい。さらに、この遅延線から遅延時間の異なる信号を
適宜取り出すことによって反射音を付加することがで
き、虚音像に距離感を得ることができ、ホ−ルや映画館
で受聴するような臨場感が得られる。この構成を第3実
施例として具体的に示せば、図5に示すような構成とな
る。
【0052】すなわち、図5は遅延時間の異なる複数の
リニア用サラウンド信号を振幅調整して加算することに
より疑似ステレオ化する一対のリア用サラウンド信号に
反射音を付加する反射音付加回路5と、遅延回路27、
ゲイン調整回路G1及び加算回路28と、遅延回路2
9、ゲイン調整回路G2及び加算回路30とを用いて音
場の拡大と、その効果の得る領域の拡大とを可能にした
サラウンド信号処理装置を示したものである。
【0053】この反射音付加回路5は、遅延手段として
遅延線11cからの異なる複数のリア用サラウンド信号
Sを取り出して、振幅調整用増幅器51により適当に振
幅調整し、加算器52によって加算することにより、疑
似ステレオ化する一対のリア用サラウンド信号に反射音
を付加して、ド−ムのような大きな空間での受聴から小
さい空間であるミニシアタ−までの様々な音響空間上で
の音場再生が広範囲の領域において極めて良好に再現で
きる。なお、頭部伝達特性の周波数位相特性を完全にシ
ュミレ−トできる構成とした。
【0054】次に、図6は第4実施例に係る装置で、前
述の図12において従来例として示したモノ−ラル1系
統のリア用のサラウンド信号を用いるサラウンド再生装
置において、加算器の前段側に、それぞれ約1mSの遅
延量を有する遅回路27,29を設けた構成である。
尚、この場合、これらの遅延量は、その目的効果に応じ
て互いに異ならせても良い。このような構成によって
も、前述の場合と同様に、受聴者が従来以上に、サラウ
ンド効果を楽しむ領域を広げることができる。
【0055】また、更に、図7は第5実施例に係る装置
で、前述の図6の構成と等化構成となっているものであ
る。この実施例の装置によれば、遅延回路が一つで良
く、回路規模が小さくできると共に、加算演算が1回で
済み、信号処理ステップを簡略化できる。このような処
理ステップで処理した信号を、ディスク、テープ等の記
録媒体に記録することにより、これを再生すると再生時
において上述の処理が不要となる。
【0056】ところで、最近、パーソナルコンピュータ
(以下、PC又はパソコンと称す)のマルチメディア化
が急速に進んだために動画像や音声などをPCで扱うこ
とが普及している。上述したサラウンド信号処理方法を
パソコンを利用して処理する場合の伝送方法及び処理方
法につき、図8を用いて説明する。同図に示すように、
ディスクドライブ104又はネットワークターミナル1
05を介してサラウンド信号処理プログラム及びサラウ
ンドソースが供給されるパソコン106は、MMX(I
NTEL社のP55Cの拡張命令セット:特定用途向け
の命令セットで主として画像・音声などのデジタル信号
処理を効率よく扱うために追加された命令セット)を装
備するCPU(コントローラに相当)106aと、デー
タ処理時のバッファとして使用するRAM106bと、
ディスクドライブ104又はネットワークターミナル1
05を介して入力されるデータをコンバートするデータ
コンバータ106cと、信号処理結果を受聴者に対し略
左右対称な前方位置に配置したスピーカに供給するため
のオーディオインターフェース106dとを備えてい
る。
【0057】ネットワークターミナル105は、TCP
/IP(TransmissionContorol
Protocol/Internetet Proto
col)と呼ばれるプロトコルを用い、データをパケッ
ト単位で伝送又は受信する。このネットワークはインタ
ーネットとして知られている。パケットにはアドレスを
含むヘッダが付加されてホストが特定されるようになっ
ている。処理プログラムを他のホストに転送する場合に
は処理プログラムをディスクドライブにセットし、上記
プロトコルによりパケット転送する。処理プログラムを
他のホストから受信する場合には処理プログラムを上記
プロトコルによりパケット単位で受信してメモリRAM
106aにストアする。
【0058】次に、この図8に示す構成における動作を
図9に示すフローチャートを参照して説明する。図9
は、ディスクドライブ104にサラウンド信号処理プロ
グラムが記録されたディスクをセットした状態で、プロ
グラムロードの命令(コマンド)が図示しないキーボー
ドから入力された場合を示し、この状態でスタートする
と、ステップS1でプログラムロードであることがわか
る(コマンドが入力されるとプログラムロードであると
判断する)。プログラムデータを読み出してCPU10
6aの内部RAMに供給し(ステップS2)プログラム
ロードが終了したときにプログラムロードフラグをセッ
トして(ステップS3)終了する。このとき、CPU1
06aは、MMX対応であるため、高速で信号処理が可
能になる。
【0059】次に、ディスクドライブ104に、サラウ
ンドソースが記録されたディスクをセットした状態で、
プレイ命令が図示しないキーボードから入力され、この
状態でスタートすると、ステップS1でプログラムロー
ドフラグをみてプログラムがセットされているとわかる
ので(ステップS1でNO)ステップS4に進み、ここ
で、ディスクの最初のトラック(特別トラック)をアク
セスしてそのディスクの種類を表すサブコードの読み取
りからサラウンドソースであることを判断してYESで
あれば、ステップS5で次のトラックからデータをリー
ドしデコード処理し、オーディオインターフェース10
6dに処理データをセットして(ステップS6)ステッ
プS5に戻り、上記デコード処理などを繰り返す。オー
ディオインターフェース106dは受け取ったデータを
所定のサンプリング周期でD/A変換してアナログ信号
にしてスピーカに供給する。ステップS4でNOであれ
ば演奏不能を表示して(ステップS7)終了する。
【0060】ここで、上述したステップS5でのデコー
ド処理でなされるサラウンド信号処理プログラムは、例
えば、図10に示す処理ステップで構成される。この処
理ステップは、図6に対応した処理ステップである。す
なわち、ステップS100において、リアサラウンド信
号を含むマルチチャンネル音声信号のデコード処理を行
い、続くステップS101で前記左右一対のリアサラウ
ンド信号の各チャンネル毎に頭部伝達関数に基づいたフ
ィルタ係数が設定されたコンボルバを実現するフィルタ
処理により音像定位処理を行う。更に、この処理した信
号をステップS102で一方側のチャンネル信号を約1
ms遅延し、ステップ102aで、この信号のゲインg
(0<g<1)を調整する。そして、続くステップS1
03で他方のチャンネルの信号を同様に遅延すると共
に、ステップ103aでゲイン調整をし、これらの両チ
ャンネル信号をステップS104でそれぞれ互いに加算
した後、出力ステップS105を介して図8に示すオー
ディオインターフェース106dに出力する。
【0061】また、図7に対応すれば、図11に示した
ような処理ステップとすることもできる。すなわち、ス
テップS200において、リアサラウンド信号を含むマ
ルチチャンネル音声信号のデコード処理を行い、次のス
テップS201において、リアサラウンド信号を約1m
s遅延し、この遅延した信号のゲインg(0<g<1)
を調整すると共に、これらの処理した信号と処理してい
ない信号とを加算し、ステップS202において、リア
サラウンド信号の各チャンネル毎に頭部伝達関数に基づ
いたフィルタ係数が設定されたコンボルバを実現するフ
ィルタ処理により音像定位処理を行う。更に、これら処
理した信号をステップS203で、各加算器において左
又は右信号(L又はR信号)及びセンター信号(C信
号)を加算して、出力ステップS204を介して図8に
示すオーディオインターフェース106dに出力する。
【0062】さらに、ディスクなどの記録媒体として、
記録面に複数のトラックが形成され、かつ各トラックが
複数のセクタに分割され、各セクタに固有のアドレスが
付されているディスクを用い、その記録面に、前記サラ
ウンド信号処理プログラムが複数のセクタに記録された
第1データエリアと、サラウンドソースが前記複数のセ
クタとは異なるセクタに記録された第2データエリア
と、記録面に前記第1と第2データエリアがあることを
示すデータが記録されたTOC(TABLE OF CONTENTS)
エリアとを設けることで、第1データとしてサラウンド
信号処理プログラムを記録し、第2データとしてサラウ
ンドソースを記録するようにすれば、サラウンド信号処
理プログラムとサラウンドソースとの両者が記録された
コンピュータソフトを提供することができる。
【0063】図12は記録媒体の好ましい実施例として
示すデータ記録済ディスクの平面を模式的に示す図であ
る。図12に示すディスクDは、例えばCDプラス(Sy
stemIdentifiierがCD PLUSとされる)あるいは
エンハンストミュージックCDとも呼ばれる規格ディス
クで規定されている直径120mmの光記録媒体であ
り、内周から外周に向かって第1リードインエリアD
1、第1データエリアD2、第1リードアウトエリアD
3、第2リードインエリアD4、第2データエリアD
5、第2リードアウトエリアD6の順で各領域が略同心
円状に配列されている。ここで、第1リードインエリア
D1は、第1データエリアD2の各データのアドレスな
どを記録しておく第1TOCを構成し、また、第2リー
ドインエリアD4は、第2データエリアD5の各データ
のアドレスなどを記録しておく第2TOCを構成してい
る。
【0064】記録媒体として、図12に示すディスクを
用いた場合の図8に示すCPU106aによる動作を図
13に示すフローチャートを参照して説明する。図12
に示すような2つのデータ領域を持つ複合ディスク7が
ディスクドライブ4にセットした状態で、プレイの指示
が図示しないキーボードから入力された場合に、まず、
プログラムのロードが済んでいるかフラグを見て判断し
(ステップS11)、NOであれば、図12に示す内側
の第1データエリアD2の第1リードインエリアD1を
みてCPUのプログラム用データ領域を知り、第1デー
タエリアD2に記録されているプログラムを順次CPU
の内部RAMにロードしてプログラムロードが終了する
まで続ける(ステップS12〜S15)。もし、プログ
ラムが不在であると判断すると(ステップS13でYE
S)終了する。
【0065】プログラムロードが終了した場合(ステッ
プS15でYES)、第1データのプログラムの後に収
納しているテストデータを読み出してRAM106bに
ロードする(ステップS16)(ただし、ない場合には
このステップは行わない)。そして、デコードプログラ
ムを稼働させてテストデコード処理する(ステップS1
7)。その結果、正しくデコードされたと判断された場
合(あらかじめ正しいデコード信号がテストデータに対
になって供給されているので、それらをコンペアするこ
とによって正しいか否かが判断される)、プログラムロ
ードが済んでいることを示すフラグをセットして(ステ
ップS19)ステップS11に戻る。ステップS18で
NOであれば演奏不能をディスプレイ上に表示して終了
する。ステップS11において、YESと判断された場
合、すなわち、プログラムロード済みである場合は、第
2データエリアD5に記録されている第2データをリー
ド(読み出し)し、エンド・オブ・ファイル(EOF)
になるまで上述したのと同様なデコード処理を行いオー
ディオインターフェース106dに出力する(ステップ
S21〜S24)。そして、ステップS22でYESで
あれば終了する。
【0066】尚、前記各実施例において、ゲイン調整を
遅延処理の後で行うようにしているが、遅延処理の前段
側で行うようにしても良いことは勿論である。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、受聴者が従来以上の広
範囲の領域においてサラウンド効果を楽しむことができ
る。特に、請求項3記載の発明によれば、請求項1記載
の効果に加え、リア用サラウンド信号の振幅を操作する
ことで逆位相感を和らげることができ、音響効果を高め
て自然で広がり感が向上したサラウンド空間を創出でき
る。また、特に、請求項4記載の発明によれば、請求項
1記載の効果に加え、反射音を付加しているので、音像
の距離感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的原理を説明するための図であ
る。
【図2】左右再生音のタイミング図である。
【図3】本発明の第1実施例に係るサラウンド信号処理
装置の概略ブロック図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るサラウンド信号処理
装置の概略ブロック図である。
【図5】本発明の第3実施例に係るサラウンド信号処理
装置の概略ブロック図である。
【図6】本発明の第4実施例に係るサラウンド信号処理
装置の概略ブロック図である。
【図7】本発明の第5実施例に係るサラウンド信号処理
装置の概略ブロック図である。
【図8】本発明のサラウンド信号処理方法を実施する装
置として、パソコンで実施する場合の実施例に係る構成
図である。
【図9】図13に示す構成における動作を示すフローチ
ャートである。
【図10】図6の構成に対応したサラウンド信号処理プ
ログラムの処理ステップを示すフローチャートである。
【図11】図7の構成に対応したサラウンド信号処理プ
ログラムの処理ステップを示すフローチャートである。
【図12】記録媒体として用いるデータ記録済ディスク
の平面を模式的に示す図である。
【図13】記録媒体として、図17に示すディスクを用
いた場合の図13に示すCPU6aによる動作を示すフ
ローチャートである。
【図14】一般的なサラウンドシステムを説明するため
の図である。
【図15】従来の音像定位処理を説明するための図であ
る。
【図16】音像定位処理の原理を説明するための図であ
る。
【図17】従来のサラウンド信号処理装置の構成図であ
る。
【図18】従来のサラウンド信号処理装置の構成図であ
る。
【符号の説明】
1 疑似ステレオ回路 2 音像定位回路 4a,4b,51 振幅調整用増幅器 11,11a,11b,27,27a,27b,29,
52 遅延回路 12,13,21,26,28,30 加算器 22,25 差分器 23 第1のフィルタ 24 第2のフィルタ 104 ディスクドライブ 105 ネットワークターミナル 106 パソコン 123,124 フィルタ D ディスク G,G1,G2 ゲイン調整回路 SPL,SPR スピ−カ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】受聴者に対して略左右対称で前方に配置し
    た一対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウ
    ンド信号を、フィルタ手段により前記受聴者の左右側方
    又は左右前後に音像定位させて再生するサラウンド信号
    処理装置において、 前記一対のトランジュ−サから前記受聴者の側方の仮想
    位置までの夫々の距離の差に基づく時間差及びレベル差
    相当分の信号を、前記フィルタ手段の出力信号より遅延
    及びレベル調整して取り出し、この取り出した信号を前
    記出力信号に再度加算する構成としたことを特徴とする
    サラウンド信号処理装置。
  2. 【請求項2】受聴者に対して略左右対称で前方に配置し
    た一対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウ
    ンド信号を、フィルタ手段により前記受聴者の左右側方
    又は左右前後に音像定位させて再生するサラウンド信号
    処理装置において、 前記一対のトランジュ−サから前記受聴者の側方の仮想
    位置までの夫々の距離の差に基づく時間差及びレベル差
    相当分の信号を、前記リア用サラウンド信号より遅延及
    びレベル調整し、この遅延及びレベル調整した信号と前
    記リア用サラウンド信号との加算した信号を前記フィル
    タ手段に入力する構成としたことを特徴とするサラウン
    ド信号処理装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載のサラウンド信号処理装置に
    おいて、前記フィルタ手段の前段側に、前記一対のトラ
    ンジュ−サから再生される左右一対のサラウンド信号を
    互いに非相関性を持たせた疑似ステレオ回路と、この回
    路内に一対のリア用サラウンド信号に振幅差を持たせる
    振幅調整手段とを設けたことを特徴とするサラウンド信
    号処理装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載のサラウンド信号処理装置に
    おいて、遅延時間の異なる複数のリア用サラウンド信号
    を振幅調整して加算することにより疑似ステレオ化する
    一対のリア用サラウンド信号に反射音を付加する反射音
    付加回路をさらに備えたことを特徴とするサラウンド信
    号処理装置。
  5. 【請求項5】受聴者に対して略左右対称で前方に配置し
    た一対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウ
    ンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左右側方
    又は左右前後に音像定位させて再生するサラウンド信号
    処理方法において、 前記一対のトランジュ−サから前記受聴者の側方の仮想
    位置までの夫々の距離の差に基づく時間差及びレベル差
    相当分の信号を、前記フィルタ処理した出力信号より遅
    延及びレベル調整して取り出し、この取り出した信号を
    前記出力信号に再度加算するステップを含むようにした
    ことを特徴とするサラウンド信号処理方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載の処理ステップを記録したこ
    とを特徴する記録媒体。
  7. 【請求項7】受聴者に対して略左右対称で前方に配置し
    た一対のトランジュ−サから、入力されたリア用サラウ
    ンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左右側方
    又は左右前後に音像定位させて再生するサラウンド信号
    処理方法において、 前記一対のトランジュ−サから前記受聴者の側方の仮想
    位置までの夫々の距離の差に基づく時間差及びレベル差
    相当分の信号を、前記リア用サラウンド信号より遅延及
    びレベル調整し、この遅延及びレベル調整した信号と前
    記リア用サラウンド信号とを加算し、この加算信号に前
    記フィルタ処理を行うステップを含むようにしたことを
    特徴とするサラウンド信号処理方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の処理ステップを記録したこ
    とを特徴する記録媒体。
  9. 【請求項9】プログラム供給手段からネットワークを介
    して所定のプログラムを供給し、この供給された所定の
    プログラムに基づいてサラウンド信号の処理を行わせる
    処理プログラムの伝送方法において、 前記プログラムは、受聴者に対して略左右対称で前方に
    配置した一対のトランジュ−サから、入力されたリア用
    サラウンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左
    右側方又は左右前後に音像定位させる処理ステップを含
    む処理プログラムであって、 前記プログラムに、前記一対のトランジュ−サから前記
    受聴者の側方の仮想位置までの夫々の距離の差に基づく
    時間差及びレベル差相当分の信号を、前記フィルタ処理
    した出力信号より遅延及びレベル調整して取り出し、こ
    の取り出した信号を前記出力信号に再度加算するステッ
    プを更に含ませるようにしたことを特徴とする処理プロ
    グラムの伝送方法。
  10. 【請求項10】プログラム供給手段からネットワークを
    介して所定のプログラムを供給し、この供給された所定
    のプログラムに基づいてサラウンド信号の処理を行わせ
    る処理プログラムの伝送方法において、 前記プログラムは、受聴者に対して略左右対称で前方に
    配置した一対のトランジュ−サから、入力されたリア用
    サラウンド信号を、フィルタ処理により前記受聴者の左
    右側方又は左右前後に音像定位させる処理ステップを含
    む処理プログラムであって、 前記プログラムに、前記一対のトランジュ−サから前記
    受聴者の側方の仮想位置までの夫々の距離の差に基づく
    時間差及びレベル差相当分の信号を、前記リア用サラウ
    ンド信号より遅延及びレベル調整し、この遅延及びレベ
    ル調整した信号と前記リア用サラウンド信号とを加算
    し、この加算信号に前記フィルタ処理を行う処理ステッ
    プを含ませるようにしたことを特徴とする処理プログラ
    ムの伝送方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004507952A (ja) * 2000-08-28 2004-03-11 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 音声生成システム

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