JPH1029930A - 閉鎖小胞の製造方法 - Google Patents
閉鎖小胞の製造方法Info
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Abstract
ポソームの再水和方法の提供。 【解決手段】 脱水ミセル粒子または脱水両親媒性ミセ
ル二重層からなる閉鎖小胞を再水和溶液で再水和するに
あたり、再水和を低温条件下で行う閉鎖小胞の製造方
法。 【効果】 本発明によれば、脱水閉鎖小胞、例えば脱水
リポソームから閉鎖小胞を再生する過程で生じる導入物
のリーク量を極めて低減化することができ、また再水和
後の安定性も高い閉鎖小胞を得ることができる。
Description
脱水両親媒性ミセル二重層からなる閉鎖小胞を特定の条
件で再水和する工程を含む閉鎖小胞の製造方法および該
方法を用いて得られる閉鎖小胞に関する。
ームは脂質ミセル二重層からなる閉鎖小胞である。この
脂質相に脂溶性物質を、内部水相に水溶性物質を封入で
き、低分子化合物のみならず蛋白質などの高分子物質ま
で担持できること、さらに生体適合性が高いことから、
薬物、タンパク質、核酸などのドラッグ・デリバリー・
システム(DDS)用キャリアーとして数多くの研究が
なされている。近年、薬剤の封入による毒性低減、血中
滞留性の改変に加え、リポソーム表面修飾によるターゲ
ティング機能等が付与されたリポソームの実用化研究も
進展している。
造は熱力学的に安定性が高いとはいいがたく、実用化に
際して長期保存法の確立が不可欠である。長期安定性確
保を目的としてエヴァンスらは特開昭53−14251
4号公報でリポソーム溶液から水を除去し安定な乾燥脂
質状態とした後、必要に応じて水溶液を加える(再水和
する)ことでリポソームを再生する「脱水法」を開示し
た。これにより乾燥粉末形態で長期保管の可能性が示さ
れたが、さらに脱水に伴うリポソームの凝集融合、内封
物の漏れを低減化すべくその後の改良検討がなされてき
た。
公昭61−21449号公報でデキストラン、アラビア
ゴム等、親水性化合物をリポソーム溶液に添加し凍結乾
燥する方法、特表昭62−501631号公報にはトレ
ハロース、シュークロース等の2糖類を含有するリポソ
ーム溶液の凍結乾燥法が開示されている。さらに特開平
7−145041号公報で抗腫瘍剤を内部に封入したリ
ポソームについて凍結乾燥法以外の方法で脱水されたリ
ポソームが、特開平7−145043号公報では前凍結
なしに脱水し、かつ残存水分量を2〜5%にする方法が
開示されている。
142514号公報では凍結乾燥リポソームを50℃〜
70℃で加温分散した例が記載されている。しかしなが
ら、これらの方法では脂質組成、内封物によって数十%
から10%程度の漏出(リーク)が認められ、リポソー
ムの安定性は必ずしも十分でなかった。
のリークによる影響が大きいアッセイ用リポソーム、生
理活性の高い抗腫瘍剤のごとき薬剤を封入したリポソー
ムでは影響が大きい。抗腫瘍剤封入リポソームを臨床応
用する場合、リポソーム化によりなされた副作用の低減
化が妨げられること、ターゲティング等の効果の低下が
考えられ、たとえ10〜30%程度の量であっても重要
な問題であった。
来の問題点を解決すべく検討した結果、従来検討されて
きた方法に加え、むしろ再水和条件が重要であること、
特に再水和時の分散液の温度が影響大であることを見い
だした。驚くべきことに、従来示されていたリポソーム
溶液をはじめとする閉鎖小胞の加温とは逆に再水和時に
冷却することにより内封物のリークが極めて抑制される
こと、さらに一旦低温環境で再水和した閉鎖小胞は常温
に戻したのちも安定性が大きく向上していることを見い
だした。本発明はこの知見を基にして完成されたもので
ある。
脱水両親媒性ミセル二重層からなる閉鎖小胞を再水和溶
液で再水和するにあたり、再水和を低温条件下で行うこ
とを特徴とする閉鎖小胞の製造方法を提供するものであ
る。
件が10℃〜0℃の範囲内の温度である上記方法;閉鎖
小胞が医薬品または診断用薬剤が導入された閉鎖小胞で
ある上記方法;医薬品が抗腫瘍剤である上記方法;抗腫
瘍剤がアドリアマイシン、ダウノマイシン、ビンブラス
チン並びにそれらの薬学的に許容し得る塩および誘導体
から選ばれる抗腫瘍剤である上記方法;薬学的に許容し
得る塩が多価陰イオン性物質と形成される塩である上記
方法;多価陰イオン性物質がクエン酸、酒石酸およびグ
ルタミン酸から選ばれる物質である上記方法;閉鎖小胞
がリポソームである上記方法;リポソームが糖類を含む
リポソームを凍結乾燥または噴霧乾燥して得られるリポ
ソームである上記方法;リポソームが抗体および/また
はポリエチレングリコールを付与されてなるリポソーム
である上記方法;再水和溶液が中性領域のpHを有する
水溶液である上記方法が提供される。
方法により得られる閉鎖小胞;該閉鎖小胞を含有する医
薬組成物が提供される。さらに、本発明の別の態様によ
り、閉鎖小胞を含有する乾燥製剤および該閉鎖小胞を再
水和するための再水和溶液からなることを特徴とする医
薬品キットであって、該乾燥製剤および再水和溶液のい
ずれか一方又は両者が低温であることを特徴とする医薬
品キット;閉鎖小胞を含有する乾燥製剤および該閉鎖小
胞を再水和するための再水和溶液からなることを特徴と
する診断薬キットであって、該乾燥製剤および再水和溶
液のいずれか一方又は両者が低温であることを特徴とす
る診断薬キットが提供される。
はミセルとは、分子中に親水部分及び疎水部分を含む両
親媒性分子の凝集によって得られる水溶性粒子を意味す
る。このようなミセル粒子又はミセルは、小球、楕円体
又は長い円筒形の形態をとり得、また、後述する両親媒
性分子の二つの平行な層から成る二重層、すなわち両親
媒性ミセル二重層でもあり得る。
セル粒子又はミセルより構成される閉鎖構造物を意味す
るものであり、例えば、細胞、ウィルス等の天然閉鎖小
胞、リポソーム、Liposome Technolo
gy 2nd edition vol.1,p142
(1993)に記載されているnovasome(商品
名、Micro Vesicular System
s,Inc.)、同書p157に記載されている非イオ
ン性界面活性ベシクル(nonionic surfa
ctanc vesicles)、高分子マイクロスフ
ェアー等の人工閉鎖小胞を包含するものである。これら
の中で、本発明において好適に用いられる閉鎖小胞はリ
ポソームである。ミセル粒子又はミセルを構成する両親
媒性分子としては、親水部分及び疎水部分を含み、それ
自体既知の通常用いられる方法によりミセル粒子又はミ
セルを形成し得るものであれば如何なるものであっても
よく、それらの中で、好適な両親媒性分子としては脂質
を挙げることができる。
しては、例えば、天然レシチン(例えば、卵黄レシチ
ン、大豆レシチン等)やジパルミトイルフォスファチジ
ルコリン(DPPC)、ジミリストイルフォスファチジ
ルコリン(DMPC)、ジステアロイルフォスファチジ
ルコリン(DSPC)、ジオレオイルフォスファチジル
コリン(DOPC)、ジミリストイルフォスファチジル
エタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルフォス
ファチジルグリセロール(DPPG)、ジミリストイル
フォスファチジン酸(DMPA)等のリン脂質、スフィ
ンゴ糖脂質、グリセロ糖脂質等の糖脂質、脂肪酸、両親
媒性ジアルキルジメチルアンモニウム(dialkyl
dimethylammonium amphiphi
les)、ポリグリセロールアルキルエーテル(pol
yglycerol alkylethers)、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル(polyoxyet
hylene alkyl ethers)等(Lip
osome Technology 2nd edit
ion vol.1 141(1993))、アルキル
クリコシド(alkyl glycosides)、ア
ルキルメチルグルカミド(alkyl methyl
glucamide)、アルキルスクローエステル(a
lkyl sucrose esters)、ジアルキ
ルポリオキシエチレンエーテル(dialkyl po
lyoxyethylene ethers)、ジアル
キルポリグリセロールエーテル(dialkyl po
lyglycerol ethers)等(Lipos
ome Technology2nd edition
vol.1 157(1993))、ポリオキシエチ
レン−ポリ乳酸等の両親媒性ブロック共重合体等(特表
平6−508831号公報)を挙げることができる。こ
れらの脂質は単独又は二種以上、或いはこれらとコレス
テロール等の非極性物質と組合せて用いられる。
には、ステアリルアミン、ジセチルフォスフェートなど
の荷電性物質、ポリエチレングリコール等の水溶性高分
子部分を有するリン脂質誘導体やマレイミド基を有する
リン脂質誘導体を含んでも良い。また、例えば特開平4
−346918号公報にあるようにこれら脂質誘導体を
介し、抗体や水溶性高分子を結合したものであってもよ
い。また、融合リポソームとして知られるリポソームと
センダイウィルスを融合したリポソームのごとき、ウィ
ルスの一部または全部を組み込んだものであってもよ
い。
ても良く、いかなる方法で製造されたものでも良いが、
例えば閉鎖小胞がリポソームである場合は上記した素材
を用いてそれ自体既知の通常用いられる製造技術を用い
て製造できる。例えば、ガラス壁に付着させた脂質薄膜
に水溶液を加え機械的振盪を加え形成するマルチラメラ
リポソーム(MLV)や、超音波処理法、エタノール注
入法、フレンチプレス法により得られるスモールユニラ
メラリポソーム(SUV)、界面活性剤除去法、逆相蒸
発法(リポソーム 砂本順三ら 南江堂 1988)、
MLVを均一ポア径を有するメンブランを加圧して押し
出すイクストゥルージョン法等から得られるラージユニ
ラメラリポソーム(LUV)を用いることができる(L
iposome Technology, Vol.1
2nd Edition)。
ドリアマイシン、ダウノマイシン、ビンブラスチン、シ
スプラチン、5−FU(フルオロウラシル)等の抗腫瘍
剤、チモロール等のアドレナリン遮断剤、クロニジン等
の高血圧剤、プロカイアミド等の制吐剤、クロロキニー
ネ等の抗マラリア剤、並びにそれらの薬学的に許容し得
る塩及び誘導体;リシンAやジフテリアトキシン等の毒
素蛋白およびそれをコードするDNA、TNF等サイト
カインの遺伝子をコードするDNAがあげられる。
しては、薬学的に許容し得る多価陰イオン性物質との
塩、例えばクエン酸塩、酒石酸塩、グルタミン酸塩、及
びそれらの誘導体との塩が好ましい。これら閉鎖小胞に
導入し得る医薬品の中で、抗腫瘍剤を用いるのが好まし
い。閉鎖小胞に導入し得る診断用薬剤としては、放射性
元素、例えばインジウム、テクネシューム等のイメージ
ング薬剤;ヨード、ガドリニウム等の造影剤;ホースラ
デイッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファター
ゼ、β−ガラクロシダーゼ等の酵素;ユーロピウム誘導
体等の蛍光体;N−メチルアクリジウム誘導体等の発光
体等が挙げられる。
の導入は、それ自体既知の通常用いられる方法で行うこ
とができる。例えば、閉鎖小胞がリポソームである場合
は、リポソーム形成時に水溶液として添加し封入しても
良く、またリポソーム形成後ベシクル内外にpH勾配等
の濃度勾配を形成させ、このポテンシャルを駆動力とし
てイオン化可能な薬剤を取り込ませる方法(Cance
r Res.49 5922(1989),BBA 4
55,269(1976))を用いても良い。
燥等の公知の方法を用いることができるが、好ましくは
凍結乾燥である。さらに凍結乾燥助剤として糖類、例え
ばシュークロース、トレハロース等を添加することがで
きる。糖類は、リポソーム脱水時少なくとも外水相に添
加して用いることができる。外水相に添加し得る糖類の
濃度は、通常5〜40%、好ましくは5〜20%が適当
である。
だ水溶液、リン酸緩衝液等の中性緩衝液、ブドウ糖等の
糖溶液あるいはそれらの混合物を用いることができる。
再水和溶液のpHは6から8程度の中性領域が好まし
く、さらに好ましくはpH6.5からpH7.5程度で
ある。pH緩衝剤は、再水和溶液に加えて用いることも
できるが、リポソーム凍結乾燥時点でリポソーム側に含
有するか、あるいは再水和溶液と凍結乾燥リポソームの
両方に含有していても良く、再水和時に閉鎖小胞を含有
する水溶液が中性領域のpHを呈していれば如何なる方
法で加えても良い。pH緩衝剤の濃度は、通常1〜10
0mM、好ましくは5〜50mMが適当である。
は、適当な水性媒体に懸濁された閉鎖小胞及び再水和溶
液を、それぞれ滅菌濾過し次に適当なバイアル又はアン
プル等の薬剤容器に無菌的に充填し、再水和溶液はその
まま、閉鎖小胞は凍結乾燥等により脱水して密封され
る。
に脱水閉鎖小胞を分散させることにより行うことができ
る。ここで、低温条件とは室温よりも低い温度、通常約
20℃程度以下、すなわち、約20℃程度から再水和溶
液が凍結せずに溶液状態として存在し得る程度の温度範
囲をいい、約10℃〜0℃程度の温度範囲が好ましい。
れば如何なる方法で惹起されたものであっても良い。例
えば、脱水閉鎖小胞が入ったバイアル等の薬剤容器及び
再水和溶液のいずれか一方又は両者を予め低温に冷却し
ておいても良いし、或いは再水和時に、適当な冷媒で低
温条件に冷却しながら再水和溶液に脱水閉鎖小胞を分散
させても良い。
一に分散可能な時間であれば特に制限はなく、用いる容
器の大きさ及び攪拌速度等によっても異なるが、通常は
1分間程度以内である。この間上記低温条件に保てば、
導入物のリークが少く、安定に脱水閉鎖小胞の再水和が
できる。
含有する組成物、例えば医薬品が導入されたリポソーム
を含有する医薬組成物は、癌等の各種疾患に対して血管
内投与法や膀胱内、腹腔内投与、局所投与法で用いるこ
とができる。投与量は封入薬剤により適宜調整できる
が、アドリアマイシン封入体を例にとればアドリアマイ
シンとして、10mg/kg以下、好ましくは5mg/
kg、より好ましくは1mg/kg以下で用いることが
できる。
が導入された脱水閉鎖小胞を含有する乾燥製剤および該
閉鎖小胞を再水和するための再水和溶液からなる、2本
セットの医薬品及び診断薬キットの他、医薬品及び診断
用薬剤を含有する凍結乾燥製剤と脱水閉鎖小胞を含有す
る乾燥製剤が、別の薬剤容器に充填され、それらと、再
水和溶液からなる、3本セットの医薬品及び診断薬キッ
トも、その範囲に含まれる。3本セットのキットの場合
は、脱水閉鎖小胞を含有する乾燥製剤を、上記で記載し
たような方法で(低温条件下に)再水和し、この再水和
小胞溶液に、あらかじめ適当な溶媒で溶かした医薬品又
は、診断用薬剤を添加すると、上記で記載したベシクル
内外のポテンシャルにより、閉鎖小胞内に医薬品又は診
断用薬剤を取り込ませることが可能である。
説明をするが、本発明の範囲はこれらに限定されるもの
ではない。
コレステロール(chol)、ε−マレイミドカプロイ
ルジパルミトイルフォスファチジルエタノールアミンを
モル比18/10/0.5でクロロホルムに溶解し、ロ
ータリーエヴァポレーターで減圧乾燥した。さらに真空
ポンプで減圧し残存溶媒を除去した。得られた脂質フィ
ルム100mgに対し1mlの割合で0.3Mクエン酸
緩衝液(pH4.0)を加え60℃で加温しボルテック
スミキサーで振盪乳化することでMLVを作製した。こ
のMLVをイクストゥルーダー法により整粒した。すな
わち0.2μmヌクレオポアメンブランを装着したイク
ストゥルーダー(日油リポソーム社製)、さらに0.1
μmのヌクレオポアメンブランに順次通すことでLUV
リポソームを作製した。リポソーム外水相を1Nの水酸
化ナトリウム溶液で中和し、60℃に加温しつつ20m
g/mlのアドリアマイシン(ADM)水溶液を脂質1
00mgに対し10mgの割合で添加した。95%以上
のADMはリポソーム内外のpH勾配によりリポソーム
に装填された。さらに、未封入ADMをゲル濾過で除
き、リポソーム外液を10%シュクロースに調整したの
ち凍結乾燥により脱水リポソームとした。
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)を凍結乾燥前の容量
になるよう添加しバイアルを振盪し再水和した(再水和
時の温度0℃)。
0(ファルマシア製)カラムでゲル濾過することでリポ
ソーム封入ADMおよびリークしたADMを分離した。
0%エタノールを加え60℃で抽出、500nmの吸光
度により定量した。遊離ADMはそのまま500nmの
吸光度から定量した。その結果、リーク量は3%以下で
あり単に凍結融解したリポソームと同程度であった。ま
た、凝集等も認められなかった。
実施例1と同様にリポソームを調製、再水和した。凝集
等は認められなかったが、15%から25%程度のAD
Mのリークが認められた。
癌反応性モノクロナール抗体)にイミノチオランを反応
させることでチオール基を有する抗体をBiochem
istry,12,3206(1973)に記載の方法
で調製した。また、2,4−ビス(ポリエチレングリコ
ール)−6−クロロ−s−トリアジンにシスチンを反応
後還元して、チオール基を有するポリエチレングリコー
ル(PEG)を調製した。
ームと、チオール化抗体およびチオール化PEGを順次
反応させることで、抗体とPEGを結合したリポソーム
を作製した。外水相を10%シュクロースとし凍結乾燥
した。凍結乾燥したリポソームに0℃〜30℃の50m
Mリン酸緩衝液(pH7.5)を添加、分散後、同様に
ADMリーク量を測定した。その結果、図1に示す様に
再水和溶液の温度に依存したリークの増加が認められ
た。
50mMリン酸緩衝液(pH7.5)を添加、分散後、
ゲル濾過カラム(NAP−10、ファルマシア社製)に
添加し再水和過程で生じたADMを除去した。さらに3
7℃の水浴で1時間加温したのち、新たに生じたADM
のリークを測定したところほぼ全量が保持されており、
一旦低温で再水和された後は加温しても安定であった。
実施例3と同様にして再水和以降のリークを測定したと
ころ、37℃、1時間の加温で約6%のADMのリーク
が新たに生じていた。
で用いたGAH抗体と反応性を有する)を用い実施例2
の抗腫瘍抗体およびPEGを結合したADM封入リポソ
ームのin vitroの抗腫瘍効果を確認した。
細胞がプレートに付着したところで、脱水(凍結乾燥)
後−20℃で5ヶ月間保管し、低温(0℃)の50mM
リン酸緩衝液(pH7.5)で再水和したリポソームお
よび10%シュクロースで5ヶ月間凍結保管後に融解し
たリポソームを添加した。37℃で1時間反応後、リポ
ソームを除き10%血清培地を添加し培養した。5日
後、生細胞率をMTT法(J.Immunol.Met
hods,65,55(1983))により測定し効果
を比較した。
低温再水和リポソームは、凍結保存リポソームと同等の
抗腫瘍活性を保持していた。
脱水リポソームから閉鎖小胞を再生する過程で生じる導
入物のリーク量を極めて低減化することができ、また再
水和後の安定性も高い閉鎖小胞を得ることができる。
の温度の影響を示す図である。図中、横軸は再水和溶液
の温度を示し、縦軸はアドリアマイシンのリーク量を示
す。
再水和リポソームと凍結保存リポソームの抗腫瘍活性を
示す図である。図中、横軸はリポソーム量をアドリアマ
イシン換算量として示し、縦軸は生細胞率を示す。
Claims (17)
- 【請求項1】 脱水ミセル粒子または脱水両親媒性ミセ
ル二重層からなる閉鎖小胞を再水和溶液で再水和するに
あたり、再水和を低温条件下で行うことを特徴とする閉
鎖小胞の製造方法。 - 【請求項2】 低温条件が10℃〜0℃程度の温度範囲
内であることを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 閉鎖小胞が医薬品または診断用薬剤が導
入された閉鎖小胞であることを特徴とする請求項1記載
の製造方法。 - 【請求項4】 医薬品が抗腫瘍剤であることを特徴とす
る請求項3記載の製造方法。 - 【請求項5】 抗腫瘍剤がアドリアマイシン、ダウノマ
イシン、ビンブラスチン並びにそれらの薬学的に許容し
得る塩および誘導体から選ばれることを特徴とする請求
項4に記載の製造方法。 - 【請求項6】 薬学的に許容し得る塩が多価陰イオン性
物質と形成される塩であることを特徴とする請求項4記
載の製造方法。 - 【請求項7】 多価陰イオン性物質がクエン酸、酒石酸
およびグルタミン酸から選ばれることを特徴とする請求
項6記載の製造方法。 - 【請求項8】 閉鎖小胞がリポソームであることを特徴
とする請求項1から7のいずれかに記載の製造方法。 - 【請求項9】 リポソームが、糖類を含むリポソームを
凍結乾燥または噴霧乾燥して得られることを特徴とする
請求項8に記載の製造方法。 - 【請求項10】 リポソームに抗体および/またはポリ
エチレングリコールが付与されていることを特徴とする
請求項8または9に記載の製造方法。 - 【請求項11】 再水和溶液が中性領域のpHを有する
溶液であることを特徴とする請求項1から10のいずれ
かに記載の製造方法。 - 【請求項12】 請求項1から11のいずれかに記載の
製造方法により得られる閉鎖小胞。 - 【請求項13】 請求項12に記載の閉鎖小胞を含有す
る医薬組成物。 - 【請求項14】 脱水閉鎖小胞を含有する乾燥製剤およ
び該閉鎖小胞を再水和するための再水和溶液からなるこ
とを特徴とする医薬品キットであって、該乾燥製剤およ
び再水和溶液のいずれか一方又は両者が低温であること
を特徴とする医薬品キット。 - 【請求項15】 脱水閉鎖小胞が、医薬品が導入された
脱水閉鎖小胞であることを特徴とする請求項14記載の
医薬品キット。 - 【請求項16】 脱水閉鎖小胞を含有する乾燥製剤およ
び該閉鎖小胞を再水和するための再水和溶液からなるこ
とを特徴とする診断薬キットであって、該乾燥製剤およ
び再水和溶液のいずれか一方又は両者が低温であること
を特徴とする診断薬キット。 - 【請求項17】 脱水閉鎖小胞が、診断用薬剤が導入さ
れた脱水閉鎖小胞であることを特徴とする請求項16記
載の診断薬キット。
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