JPH10295369A - 造血幹細胞の製造方法 - Google Patents

造血幹細胞の製造方法

Info

Publication number
JPH10295369A
JPH10295369A JP9352216A JP35221697A JPH10295369A JP H10295369 A JPH10295369 A JP H10295369A JP 9352216 A JP9352216 A JP 9352216A JP 35221697 A JP35221697 A JP 35221697A JP H10295369 A JPH10295369 A JP H10295369A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
cell
positive
hess
stromal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9352216A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Tsuji
孝 辻
Yoshihiro Watabe
良広 渡部
Iwao Waga
巌 和賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Tobacco Inc
Original Assignee
Japan Tobacco Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Tobacco Inc filed Critical Japan Tobacco Inc
Priority to JP9352216A priority Critical patent/JPH10295369A/ja
Publication of JPH10295369A publication Critical patent/JPH10295369A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 臍帯血等から取得されるCD34陽性細胞、特に
CD34強陽性CD38弱陽性(またはCD38陰性)造血幹細胞
を、短期間のインビトロ培養で、簡便に大量に増幅、製
造する方法、並びに該製造方法に適した細胞培養器具を
開発する。 【解決手段】 ヒト臍帯血から単離したCD34陽性細胞
を、IL-3及びSCF等のサイトカインの存在下で、哺乳動
物のストローマ細胞と約10日間共培養することによ
り、ソースとして用いた臍帯血由来CD34陽性細胞と同一
の特性を有する多分化能を有するCD34陽性造血幹細胞を
大量に製造することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒトのCD34陽性細
胞の製造方法、細胞培養器具、並びに該培養器具を用い
たヒトCD34陽性細胞の製造方法に関する。さらに詳しく
は、ストローマ細胞との共存下、各種サイトカインを含
有若しくは非含有栄養培地中で、多能性幹細胞及び/又
はHPP-CFCを含むCD34陽性細胞を増殖させ、製造する方
法、並びに該製造に用いる細胞培養器具に関する。
【0002】
【従来の技術】血液中には、生体機能を司る血球細胞と
して酸素運搬に関わる赤血球系、血小板を産生する巨核
球系、感染防御に関わる顆粒球、単球/マクロファージ
などの骨髄球系、免疫を担当するT細胞・B細胞などの
リンパ球系の各細胞系列がある。血球細胞のいずれの細
胞も、共通の起源である多能性造血幹細胞より分化・成
熟することにより、一生を通じて維持、産生されてい
る。多能性造血幹細胞は、リンパ球、赤血球、血小板等
の機能細胞に分化し得る多能性と、そのような多能性を
維持したまま自己増殖する能力(自己複製能)を兼ね備
えており、造血制御機構によって多能性造血幹細胞が枯
渇しないように自己複製を行うと共に、各種血球細胞に
分化・成熟していく。これまでの多くの研究から、多能
性造血幹細胞が各種血球細胞へ分化する過程は多段階の
分化決定によって各血球系列への分化が方向づけられて
おり、図1のようにまとめられている。
【0003】多能性造血幹細胞は、まず骨髄球系及びリ
ンパ球系の2系列へ方向づけられ、それぞれ骨髄系幹細
胞(CFU-GEMM)及びリンパ球系幹細胞へ分化し、さらに
骨髄系幹細胞はBFU-E、CFU-Eを経て赤血球に、CFC-MEG
を経て好中球に、EO-CFCを経て好酸球に、CFU-GMを経て
単球・好中球・好塩基球になり、またリンパ球系幹細胞
はT前駆細胞を経てT細胞に、B前駆細胞を経てB細胞にな
る。骨髄系幹細胞及びこれから派生する各種前駆細胞の
特定方法については、各種サイトカインの存在下におけ
る半流動性培地中でできるコロニーの性状によってこれ
らの細胞を特定するいわゆるコロニー形成法が知られて
いる。この方法によって、骨髄系幹細胞である顆粒球・
赤血球系・単球系・巨核球系コロニー形成細胞(CFU-GE
MM)及び前駆細胞である顆粒球・マクロファージコロニ
ー形成細胞(CFU-GM)、赤血球バースト形成細胞(BFU-
E)、巨核球コロニー形成細胞(CFU-MEG)、好酸球コロ
ニー形成細胞(EO-CFC)等の骨髄系の前駆細胞を特定す
ることが可能である(Exp. Hematol., 11, 721, 198
3)。一方、多能性造血幹細胞やリンパ球系幹細胞、骨
髄系幹細胞等のいわゆる造血幹細胞は、主として骨髄、
臍帯血などに存在し、さらに末梢血中にも存在すること
が明らかにされている(Blood, 87, 3082-3088, 199
6)。多くの研究者がこれら造血幹細胞の実体を明らか
にするために均一の細胞として生体から分離する試みが
行われているものの、現在もなお成功していない。多能
性造血幹細胞とは、放射線照射によって造血幹細胞を含
む血球細胞を完全に死滅させた個体に移植したときに、
その個体で産生されるべきすべての血球細胞系列を再び
構築できる”造血再構築能”をもつことが必須の条件で
あるといわれている。ヒトにおいて、生体外でコロニー
を形成する前駆細胞が、細胞表面抗原であるCD34分子を
発現している細胞集団に濃縮されることから(Blood, 7
5, 1941, 1990)、Berensonらは血球細胞死滅処理した
がん患者へCD34陽性細胞の移植を試みたところ造血系の
再構築が認められ、造血再構築能を有する多能性造血幹
細胞はCD34陽性細胞の集団に含まれることが臨床的にも
認められるようになった(Blood, 77, 1717, 1991)。
しかしながらCD34陽性細胞は、造血幹細胞以外の前駆細
胞をも含んでいるため、さらに亜集団に分画する試みが
なさた。その結果、造血幹細胞はCD34陽性CD38陰性の細
胞集団に最も多く含まれると考えらる様になった(Bloo
d, 77, 1218-1227, 1991、Proc. Natl. Acad. Sci. US
A., 90, 8707-8711, 1993, Blood, 83, 1515-1526, 199
4)。また、上記コロニー形成法に従ってマウスの血球
を解析した結果、高増殖性コロニー形成細胞(HPP-CF
C)が、造血再構築能とよく相関していることから、こ
れらHPP-CFCは多能性造血幹細胞と非常に関連深いこと
が判明した(Exp. Hematol., 10, 26-35, 1982)。最近
になってヒトでも同様の細胞が明らかにされ、これがCF
U-GEMMより幼弱な前駆細胞であることが示された(Bloo
d ,74, 609, 1989)。HPP-CFCは、細胞表面マーカーで
みるとCD34+++細胞分画に濃縮され、非常に幼弱である
ことが明らかにされた(Blood, 81, 41-48, 1993)。ま
たHPP-CFCは、CD34陽性CD38陰性の細胞集団に濃縮され
ることから(Blood, 83, 3170-3181, 1994)、HPP-CFCは
生体外において造血幹細胞を評価する良い指標といえ
る。
【0004】造血再構築能を有する細胞である多能性造
血幹細胞をはじめとするいわゆる造血幹細胞は、主とし
て骨髄中に多く存在することが知られており、骨髄移植
治療をおこなうことによって、一生涯にわたり各種血球
細胞を産生する造血幹細胞を提供者(ドナー)から受容
者(レシピエント)の骨髄に定着させ、血液に関連する
各種疾患を根治できるのではないかと考えられた。初期
には実験的治療法であったものの、現在では確立された
治療法となった(Jpn. J. Pediatr. Hematol.,8, 492,
1994)。現在では、急性白血病をはじめとする腫瘍性血
液疾患や、重症免疫不全、アデノシンデアミナーゼ欠損
症、再生不良性貧血等の疾患に対し、骨髄移植治療が施
されている。さらに、これら造血幹細胞が少量ながら末
梢血にも存在することが明らかになるにつれ、コロニー
刺激因子製剤(CSF)を投与して造血幹細胞を含む末梢
血を用いた移植も普及しつつある(J. Hematother., 2,
513, 1993、Lancet ,341, 1482, 1993)。この方法
は、骨髄移植が大量の骨髄細胞を必要とするためドナー
の心身への負担が大きいのに対して、ドナーに対して心
身への負担が軽減され、また白血球や血小板の回復が早
いという利点がある。また最近になって、臍帯血が骨髄
と同程度の造血幹細胞を含むことが明らかにされ、移植
治療に有用であることが明らかにされた(New England
J. Med., 335, 157, 1996)。臍帯血は、骨髄や末梢血
と比べて重症の急性移植片対宿主病(GVHD)の発生率が
低く、その有用性が期待されている。しかしながら臍帯
血の場合、採取量の少なさが問題とされ、1個体に由来
する臍帯血では体重40kg程度までのレシピエントにのみ
移植可能であると考えられている(Blood, 87, 3082, 1
996)。移植では、ドナー由来のT細胞の混入によるGVHD
の発症や、自己移植の際のがん細胞の混入による再発が
問題となる(Lancet, 341, 85, 1993)。一方、造血幹
細胞は、CD34陽性、特にCD34強陽性細胞の細胞集団とし
て濃縮でき、しかも不要な細胞を除去できる可能性から
(Hematol. Oncol. Ann., 2, 78, 1994)、今日ではCD3
4陽性幹細胞移植が行われるようになった(Blood, 77,
1717, 1991, J. Clin. Oncol., 12, 28, 1994)。この
ような進歩にともなって、移植治療の確実性を高め、よ
り効率的な実施を行なうべく、数多くのドナーに由来す
る造血幹細胞バンクの整備が急務となりつつある(Tran
splant. Proc., 24, 3032-3034, 1992)。同時に、この
ような造血幹細胞を効率的に増幅する試みが行われてい
る(Blood, 87, 3082-3088, 1996)。また、幼弱な造血
幹細胞を多く含む臍帯血についても同様に移植応用への
期待が高まっているものの、前述のとおり採取量が少な
いことから、造血幹細胞を増幅するシステムが期待され
ている(Blood, 87, 3082-3088, 1996)。このように造
血幹細胞を安定かつ確実に入手できるシステムの構築
は、移植以外に治療法のない前記難治性血液疾患の患者
にとっては生命にかかわる問題であり、社会的にも重要
な果たすべき課題であるといえる。
【0005】多能性造血幹細胞をはじめとする造血幹細
胞及びこれら造血幹細胞から派生する各種前駆細胞は、
CD34陽性細胞集団に含まれていることが明らかにされて
いるため、分離、濃縮するのに好適であり、増幅のため
の出発材料として利用されている(Blood, 87, 3082-30
88, 1996)。これらCD34陽性細胞は、骨髄や臍帯血の血
液細胞中に1から2%存在している。CD34陽性細胞の分
離は、細胞表面のCD34分子を認識する抗体と反応性を有
する陽性細胞を回収することが基本原理である。CD34抗
体をビオチンや磁気ビーズで標識し、分離したい細胞群
と反応させ、その後それぞれアビジンビーズや磁石でCD
34陽性細胞を回収する方法や、CD34抗体をコートした培
養器具に細胞を入れ、CD34抗体と反応しない細胞を除去
した後、CD34陽性細胞を回収する方法がよく使用されて
おり、いずれの方法であっても質的には差のないCD34陽
性細胞が回収できる(Hematother., 2, 333, 1993, Ex
p.Hematol., 21, 585, 1993)。臨床では、磁気標識し
たCD34抗体と磁石を利用した機器が開発され、日本でも
医薬審議会において希少疾患治療器具として認定されて
いる。CD34陽性細胞の増幅は、一般に液体培養にて行わ
れるが、個々の造血幹細胞や前駆細胞に対する特異的増
殖因子が明らかになっていないために、それぞれの血球
細胞に作用する各種サイトカインの組み合わせが用いら
れており、これまでに多くの報告がなされている(Bloo
d, 83, 1717, 1996)。サイトカインの組み合わせによ
るCD34陽性細胞の増幅では、培養後の全血球細胞数は増
加するものの、培養中に分化が誘導促進され、結果的に
最終分化したCD34陰性の血球細胞が増加する一方、増幅
の源となったCD34陽性細胞自体はほとんど枯渇されてし
まう傾向があることが知られている(Blood, 87, 3082-
3088, 1996)。これまでに報告されたCD34陽性細胞の増
幅においては、前駆細胞であるCFU-GMの増幅が指標にさ
れていることが多い。例えばHaylockらは、末梢血CD34
陽性細胞をインターロイキン1β(IL-1β)、およびIL
-3、IL-6、顆粒球ーマクロファージコロニー形成因子
(GM-CSF)、顆粒球コロニー形成因子(G-CSF)、幹細
胞因子(SCF)の存在下で14日培養して、CFU-GMを20-60
倍に増幅したと報告している(Blood, 80, 1405, 199
2)。 またCD34陽性細胞をIL-3、IL-6、SCF、G-CSF、G
M-CSFの存在下で7日間培養してCFU-GMを57倍増幅した
との報告もある(Blood, 82, 3600-3609, 1993)。また
骨髄系幹細胞であるCFU-GEMMの増幅の報告もされてお
り、Bruggerらは末梢血CD34陽性細胞をIL-1β、IL-3、I
L-6、インターフェロンγ(IFNγ)、エリスロポエチン
(EPO)で12日間培養し、CFU-GEMMを250倍に増幅した
(Blood, 81,2579-2584, 1993)。またSCFおよびIL-6、
可溶性IL-6レセプター(sIL-6R)での培養によってもCFU
-GEMMの増幅は可能との報告もある(WO96/15230号公
報)。以上の報告では、特定の細胞系列への方向づけが
既に決定された前駆細胞であるCFU-GMや、造血幹細胞で
はあるものの既に分化がおきた骨髄系幹細胞(CFU-GEM
M)を対象としているため、造血再構築能を有する造血
幹細胞の増幅とは言い難いものであった。そのため、CF
U-GEMMよりも多能性造血幹細胞により近い細胞の同定法
として、長期培養を可能にさせる細胞(LTC-IC)を検出
する評価法を用いた解析が試みられたが、ごくわずか増
幅するか維持されるだけで、CFU-GMのように著しい増幅
は認められなかった(Blood, 81, 661, 1993, Blood, 7
5, 2118, 1990, Blood, 81, 2579, 1993, Blood, 84, 2
898, 1994)。またLTC-ICと並んでCFU-GEMMより未熟な
細胞を検出する別の評価法として前述のHPP-CFCが知ら
れている。HPP-CFCの増幅では、Srourらが骨髄CD34陽性
HLA-DR陰性CD15陰性ローダミン123弱陽性細胞集団にHPP
-CFC及びLTC-ICが濃縮されることを見い出し(Blood, 7
9, 634, 1992, Cytometry, 12, 179, 1991)、この細胞
をSCF及びIL-3とGM-CSFの融合蛋白質(PIXY321)で4週
間培養するとHPP-CFCが5.5倍増幅することを報告してい
る(Blood, 81, 661-669, 1993)。しかしながら、培養
期間が長い上に、増幅倍率が低いのが難点であった。さ
らにLuらは、CD34陽性細胞集団中に約20%の割合で含ま
れるCD34+++細胞にHPP-CFCが濃縮されることを見い出し
(Blood, 81, 41-48, 1993)、この細胞をIL-1α、SC
F、IL-3存在下で培養するとHPP-CFCが7日間で160倍に
増幅できることを報告した(Blood Cells, 20, 455-46
7, 1994)。この増幅法では出発材料が、通常のCD34陽
性細胞よりもより5倍程度濃縮が進んだ段階にあるた
め、他の増幅法よりも見かけ上の増幅倍率が5倍高く評
価されているものと考えられる。また培養14日目では、
HPP-CFCが80分の1まで急激に低下してしまう難点があ
り、取り扱いも容易でない。そのためCD34陽性細胞を濃
縮する必要がなく、かつ簡便に安定して増幅が可能な方
法が移植等の臨床上での使用に有用であろうと考えられ
る。
【0006】一方、CD34陽性細胞の増幅方法として、ヒ
ト骨髄由来のストローマ細胞を株化し、この上で造血幹
細胞・前駆細胞の維持・増殖させる方法が試みられてい
る(Exp.Hematol.,22,482-487(1994))。しかし、この
方法ではCD34陽性細胞が分化していくために幼弱な幹細
胞自体はほとんど増幅しないか、むしろ最初の時点より
減少してしまうため、移植してもやがては血球細胞が枯
渇するおそれがあり移植のための技術としては不適合で
ある。また別法として、ストローマ細胞との接触がなく
てもストローマから産生される液性因子のみで培養する
ことにより、増幅することができるとの報告もある(国
際特許出願公開第93/20184号公報)。しかし、この方法
においても造血幹細胞は分化するのみで自己増殖しない
ために上記方法と同様の理由で移植のための技術として
は不適合である。また特開平7-504331号公報には、ある
種の間質細胞と白血病阻害因子(LIF)を必須のサイト
カインとして用い、その他の数種のサイトカインとの共
存下でのCD34陽性細胞の増殖が認められる旨の記載があ
る。しかしながら、培養期間が数週間と長期であり、臨
床で使用して行くには困難であると考えられている。ま
た、CD34陽性細胞の増幅について細胞の絶対数で評価し
た例も報告されている。例えば、Satoらは、IL-3、IL-
6、SCF、G-CSF、GM-CSFの存在下で末梢血CD34陽性細胞
を培養すると、CD34陽性CD33陽性細胞が約300倍増幅可
能であったと報告している(Blood, 82, 3600-3609, 19
93)。この報告におけるCD34分子の発現の強度(量)を
見ると、CD34弱陽性であり、CD34陰性の細胞集団と重な
る領域をも含んでいるため、純粋にCD34陽性細胞の絶対
数の評価とは言い難い。またSrourらは、骨髄CD34陽性H
LA-DR陰性CD15陰性ローダミン123弱陽性細胞集団をSCF
及びPIXY321で7日間培養するとCD34陽性細胞集団とし
て2.9倍増幅することを報告した(Blood, 81, 661-669,
1993)が、増幅倍率としては低いものであった。前述
のように、CD34陽性の細胞集団のなかで、HPP-CFCをは
じめとする幼弱な幹細胞は、CD34強陽性細胞であること
から見ると、少なくとも絶対数における造血再構築能評
価ではCD34強陽性細胞を指標とすることが好ましいとい
える。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べてきたよう
に、造血再構築能を有する多能性造血幹細胞をはじめと
するCD34陽性細胞の増幅は、増幅を行う過程でおこる分
化をいかに抑制してCD34陽性細胞自体の増殖をいかに可
能にするかが大きな課題となっている。また生体外で簡
便に、かつできる限り短い培養期間で、安定して増幅で
きる培養法の開発が待たれていた。本発明で使用するス
トローマ細胞株は、マウス骨髄及び脾臓に由来する細胞
であり、これら細胞株のなかでも、特にHESS-5と命名さ
れた細胞株はマウス骨髄前駆細胞の増殖を誘導し、培養
条件によって骨髄系及びBリンパ球系の長期培養を支持
する優れたストローマ細胞株であることが報告されてい
る(Leukemia, 10,803-812, 1996)。本願発明では、こ
の細胞株、及び他の細胞株をヒトCD34陽性細胞の増幅に
応用したものである。HESS-5細胞株や他のマウスストロ
ーマ細胞株がヒトの造血幹細胞を含めたCD34陽性細胞に
いかなる作用を及ぼすのかという効果に関しては、これ
までに知見がなく、本願発明において初めて明らかにな
った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、CD34陽性細胞で
ある造血幹細胞をストローマ細胞との共存下において、
換言すればある種のストローマ細胞が存在すれば造血幹
細胞を顕著に増殖させることができ、必要に応じて栄養
培地中にサイトカインを混合させると、CD34陽性細胞で
ある造血幹細胞及び/又はHPP-CFCを含む造血幹細胞を
さらに増殖させることを見出し、本発明を完成するに至
った。即ち、本発明によれば造血幹細胞は、ある種のス
トローマ細胞の共存下において増殖することができる。
換言すれば、ある種のストローマ細胞を存在させること
により造血幹細胞を増殖させることができ、必要に応じ
て1種または2種以上のサイトカインを栄養培地中に混
合させることにより、造血幹細胞はさらに自己複製させ
ることができる。また、造血幹細胞より若干分化段階の
進んだ骨髄系前駆細胞群についても同様に増殖を誘導す
る。さらに本発明によれば、培養法の原理を具現化した
培養器具を用いて、造血幹細胞を必要な数だけ自己複製
させ、極めて容易に増殖した細胞を採取することができ
る。なお、CD34陽性細胞としてはこれらの細胞に特に限
定される訳ではないが、特にCD34強陽性細胞が好まし
く、また純粋な血液細胞のみならずこのような細胞を含
む組織であってもよい。
【0009】即ち、本願発明は、下記のとおりの発明で
ある。 (1)ヒトのCD34陽性細胞を、ヒトのCD34陽性細胞を増
殖させる能力を有する哺乳動物由来のストローマ細胞を
含む栄養培地中で培養することにより該ヒトのCD34陽性
細胞を増殖させることを特徴とするヒトのCD34陽性細胞
の製造方法。 (2)培養により製造されるCD34陽性細胞が、CD34強陽
性細胞であることを特徴とする前記(1)に記載の製造
方法。 (3)CD34陽性細胞が、臍帯血、骨髄、肝臓、脾臓又は
末梢血に由来するCD34陽性細胞であることを特徴とする
前記(1)または前記(2)に記載の製造方法。 (4)ストローマ細胞が、マウス由来のストローマ細胞
または該ストローマ細胞を含むマウスの組織であること
を特徴とする前記(1)乃至前記(3)のいずれかに記
載の製造方法。 (5)ストローマ細胞が、HESS-1、HESS-5(国際寄託番
号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM BP
-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)、S
SXL CL.1、SSXL CL3、SSXL CL.7、SSXL CL.9及びSSXL C
L.17と各々命名されたマウス由来のストローマ細胞から
なる群から選ばれる1種又は2種以上のストローマ細胞
であることを特徴とする前記(4)に記載の製造方法。 (6)ストローマ細胞が、HESS-5(国際寄託番号:FERM
BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM BP-618
7)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)及びSSX
L CL.3と各々命名されたマウス由来のストローマ細胞株
からなる群から選ばれるストローマ細胞であることを特
徴とする前記(4)に記載の製造方法。 (7)培養を、サイトカインの存在下で行うことを特徴
とする前記(1)乃至前記(6)のいずれかに記載の製
造方法。 (8)サイトカインが、インターロイキン−3、幹細胞
因子(SCF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒
球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、flk2/
flt3-リガンド、マクロファージ由来炎症性タンパク1
α(MIP-1α)及びエリスロポエチン(EPO)からなる群
から選ばれる1種または2種以上のサイトカインである
ことを特徴とする前記(7)に記載の製造方法。 (9)CD34陽性細胞が、ストローマ細胞と接触状態、非
接触状態または間接接触状態で培養されることを特徴と
する前記(1)乃至前記(8)のいずれかに記載の製造
方法。 (10)CD34陽性細胞が、ストローマ細胞と間接接触状
態で培養されることを特徴とする前記(1)乃至前記
(8)のいずれかに記載の製造方法。 (11)前記(1)乃至前記(10)のいずれかに記載
の製造方法によって得られるヒトのCD34陽性細胞。 (12)前記(1)乃至前記(10)のいずれかに記載
の製造方法によって得られるヒトのCD34陽性細胞と薬学
的に許容され得る担体とからなる医薬組成物。 (13)国際寄託番号FERM BP-6187で識別されるマウス
由来のストローマ細胞株。 (14)国際寄託番号FERM BP-6186で識別されるマウス
由来のストローマ細胞株。 (15)培養容器と該培養容器内に保持された細胞を支
持するための少なくとも1つの支持体からなる培養器具
であって、該支持体はCD34陽性細胞又はストローマ細胞
の少なくとも一方を培地中に播種支持するための支持膜
と該支持膜を容器に固定させるための支持具からなるこ
とを特徴とするCD34陽性細胞を増殖培養するための培養
器具。 (16)細胞を培養するための器具であって、少なくと
も下記の部材から構成されることを特徴とする器具: (a)栄養培地及びサイトカインを透過することがで
き、細胞を通過させることができない第1の膜; (b)該第1の膜の上面側に配備され、二酸化炭素を透
過させることができ、液体を透過させることができない
第2の膜(ここで、該2つの膜は、下記(d)の管が配
備されることによる開口部を除き、該2つの膜の間に、
該器具の外に液体が漏出しないような内容積を有する遮
蔽系が形成されるように配備される。); (c)該第1の膜の下面側に配備され、二酸化炭素を透
過させることができ、液体を透過させることができない
第3の膜(ここで、該2つの膜は、下記(e)の管が配
備されることによる開口部を除き、該2つの膜の間に、
該器具の外に液体が漏出しないような内容積を有する遮
蔽系が形成されるように配備される。); (d)該第1の膜と第2の膜との間に配備され、液体、
栄養培地及び細胞を注入または排出させることができる
第1の管;及び (e)該第1の膜と第3の膜との間に配置され、液体、
栄養培地及び細胞を注入または排出させることができる
第2のの管。 (17)第1の膜と第2の膜との間、または第1の膜と
第3の膜との間に形成される内容積を有する遮蔽系のい
ずれかが、該2つの膜の一方を不溶性の枠の片面に配備
し、また他方の膜を該枠の他の面に配備することにより
形成されることを特徴とする前記(16)に記載の器
具。 (18)第1の膜と第2の膜との間及び第1の膜と第3
の膜との間に形成される内容積を有する遮蔽系の各々に
栄養培地を含んでおり、かつ第1の膜のいずれか一方の
面に細胞が接着していることを特徴とする前記(16)
または前記(17)に記載の器具。 (19)細胞が、哺乳動物のストローマ細胞であること
を特徴とする前記(18)に記載の器具。 (20)第1の膜と第2の膜との間、または第1の膜と
第3の膜との間に形成される内容積を有する遮蔽系のい
ずれかに、哺乳動物のストローマ細胞が含まれているこ
とを特徴とする前記(16)または前記(17)に記載
の器具。 (21)ストローマ細胞が、ヒトのCD34陽性細胞を増殖
させる能力を有するストローマ細胞であることを特徴と
する前記(19)または前記(20)に記載の器具。 (22)ストローマ細胞が、HESS-5(国際寄託番号:FE
RM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM BP-618
7)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)及びSSX
L CL.3と各々命名されたマウス由来のストローマ細胞株
からなる群から選ばれるストローマ細胞であることを特
徴とする前記(21)に記載の器具。 (23)前記(15)乃至前記(22)のいずれかに記
載の器具を用いることを特徴とするヒトのCD34陽性細胞
の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】ここで、本発明に用いられる「造
血幹細胞」とは、あらゆる種類の血球に分化する能力を
有するとともに造血再構築能を有する細胞であり、主に
骨髄、臍帯血、脾臓あるいは肝臓中に存在し、微量なが
ら末梢血にも存在する。これら造血幹細胞は、CD34強陽
性細胞であり、本発明においては高増殖能コロニー形成
細胞(High-Proliferative Potential Colony-Forming
Cells (HPP-CFC))もこれに包含される。「幹細胞」と
は、多能性造血幹細胞及びこれから分化したリンパ球系
幹細胞、骨髄系幹細胞(CFU-GEMM)を意味する。これら
細胞はCD34陽性細胞である。
【0011】「前駆細胞」とは、多能性造血幹細胞から
各系統の血液細胞が分化形態学的には同定できないがす
でに赤血球系など一方向の血液細胞にしか分化し得ない
細胞を意味する。具体的には血小板コロニー形成細胞
(CFC-MEG)、好酸球コロニー形成細胞(EO-CFC)、顆
粒球単球コロニー形成細胞(CFU-GM)、赤血球形成細胞
(BFU-E、CFU-E)、T前駆細胞、B前駆細胞などである。
これらはいずれもCD34陽性細胞である。
【0012】「機能細胞」とは、血球細胞としての機能
を有する細胞を意味する。具体的には赤血球、血小板、
好酸球、単球、好中球、好酸球、T細胞、B細胞などであ
る。
【0013】「分化抗原表現型」とは、哺乳動物の細胞
表面上、好ましくはヒト血球細胞上に存在する分化抗原
の表現型を意味する。通常、この種の抗原はCDの番号を
もって分類される。CDはcluster of differentiationの
略で、モノクローナル抗体によって認識される抗原の一
かたまり(cluster)を意味する。具体的にはCD34、CD
4、CD8、CD10、CD13、CD19、CD33、CD38などを挙げるこ
とができる。他にもThy-1、HLA-DRなどを挙げることが
できる。
【0014】「細胞系」とは、初代培養以後の培養細胞
をすべて指し、初代培養に存在した細胞または細胞群か
らの一連の系統を意味する。この培養細胞は初代細胞と
共存していてもよいし、互いに触れ合っている状態で存
在してもよいし、あるいは水、電解質などの液体、培
地、培養液等の媒介物を介した状態で存在してもよい。
【0015】「組織」とは、特定方向に分化し、同一の
機能、形態をもつ細胞集団をいう。ストローマ細胞を含
む組織としては、具体的には骨髄、脾臓などを挙げるこ
とができる。
【0016】「CD34陽性細胞」とは、抗原表現型の一つ
であるCD34を発現している細胞を意味し、具体的には多
能性造血幹細胞、HPP-CFC等の造血幹細胞、リンパ球系
幹細胞、骨髄系幹細胞等の幹細胞、T前駆細胞、B前駆細
胞、BFU-E、CFU-E、CFU-MEG、EO-CFC、CFU-GM等の前駆
細胞がこれに該当する。
【0017】「CD34強陽性細胞」とは、抗原表現型の一
つであるCD34を特に強く発現している細胞を意味し、具
体的には高増殖能コロニー形成細胞(High-Proliferati
ve Potential Colony-Forming Cells (HPP-CFC))また
は多能性造血幹細胞それ自体、またはこれら細胞をより
多く含んでいるCD34陽性細胞群を意味する。
【0018】「CD34陰性細胞」とは、抗原表現型の一つ
であるCD34を発現していない機能細胞を意味し、具体的
にはT細胞を含むT前駆細胞以後のT細胞系列の細胞、B細
胞を含むB前駆細胞以後のB細胞系列の細胞、赤血球を含
むCFU-E以後の赤血球系列の細胞、血小板を含むCFC-MEG
以後の血小板系列の細胞、好酸球を含むEO-CFC以後の好
酸球系列の細胞または単球、好中球もしくは好塩基球を
含むCFU-GM以後の単球、好中球もしくは好塩基球系列の
細胞である。本願において使用される、上述のような
「陽性」、「強陽性」、「弱陽性」、及び「陰性」なる
用語は、場合によっては、各々単に「+」(プラス)、
「high+」、「low」及び「−」(マイナス)と表記さ
れる。例えば、「CD34high+CD38low/-」とは、CD34を強
く発現しており(強陽性)、かつCD38を弱く発現してい
るか若しくは発現していない(弱陽性または陰性)こと
を意味する。
【0019】「ストローマ細胞」とは、骨髄、脾臓など
に由来する基質細胞または間質細胞を指し、本願発明に
おいては、ヒトのCD34陽性細胞を増殖する能力を有する
ストローマ細胞であれば、どのようなストローマ細胞も
用いることができる。例えば、HESS-1、HESS-5(国際寄
託番号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FER
M BP-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-618
6)、SSXL CL.1、SSXL CL3、SSXL CL.7、SSXL CL.9及び
SSXL CL.17と各々命名されたマウス由来のストローマ細
胞が例示される。好ましくは、HESS-5(国際寄託番号:
FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM BP-618
7)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)、また
はSSXL CL3であり、特に好ましくは、HESS-5(国際寄託
番号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM
BP-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)
である。
【0020】「培養細胞株」とは、生体の組織、臓器な
どに由来する細胞で、生体外で培養することにより無限
自律増殖能を獲得することによって、生体外に継代培養
することが可能となった細胞である。一般に、単一の細
胞に由来する株が作られ、これを細胞株と呼ばれる。培
養細胞株には線維芽細胞株、上皮細胞株などが知られて
いる。
【0021】「非接触状態」とは、所望の細胞と第2の
細胞が培地中で距離を隔てて別々に存在し、互いに直接
的に触れ合っていない状態を示す。
【0022】「接触状態」とは、所望の細胞と第2の細
胞、具体的には造血幹細胞等のCD34陽性細胞とストロー
マ細胞が、任意にいりまじって存在している状態であ
り、この場合培地(培養液)中に所望の細胞と第2の細
胞が懸濁している状態、整然と層状に並んでいる状態、
一方の細胞間に他方の細胞が潜り込んだ状態のいずれの
状態であってもよい。
【0023】「間接接触状態」とは、所望の細胞と第2
の細胞、具体的にはCD34陽性細胞とストローマ細胞が微
孔性の支持膜を介してその表面側と裏面側にそれぞれ隔
てて層状に存在する状態をいう。
【0024】「栄養培地」とは、天然培地、半合成培
地、合成培地、固形培地、半固形培地、液体培地などが
挙げられるが、前述に定義されるCD34陽性細胞を、自己
を含めた増殖、分化、成熟または保存させるために用い
られるものであり、通常、細胞培養に用いられるような
ものであれば如何なる培地であってもよい。例を挙げる
と、たとえばα-MEM培地、RPMI-1640培地またはMEM基本
培地などが挙げることができる。基本成分としてナトリ
ウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、塩
素、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、抗生物質、脂肪
酸、糖または目的に応じてその他の化学成分もしくは血
清のような生体成分を含有することもできる。
【0025】「支持体」とは、CD34陽性細胞及び/又は
ストローマ細胞を培養容器中に支持するためのものであ
り、下記のごとき「支持膜」と「支持具」から構成され
る。特に好ましくはシルクハット形状をしたセルカルチ
ャーインサートと呼ばれるものである。
【0026】「支持膜」とは、所望の細胞と第2の細
胞、具体的にはCD34陽性細胞とストローマ細胞を隔てる
ために使用される部材である。支持膜としては微孔性の
ものが好ましく、このときの孔の大きさは所望の細胞と
第2の細胞、具体的にはストローマ細胞とCD34陽性細胞
の両者とも通過できない大きさの孔であることが好まし
い。具体的には、水、ナトリウムイオンや塩素イオンな
どの電解質などが通過でき、タンパク質、ホルモンなど
が通過できないセロハンのような膜であってもよいし、
水、ナトリウムイオンや塩素イオンなどの電解質、タン
パク質、ホルモンなどが通過できるフィルム状の又は多
孔性の膜であってもよい。好ましくは水、ナトリウムイ
オンや塩素イオンなどの電解質、サイトカイン等のタン
パク質、ホルモンなどの高分子は通過でき、両方の細胞
または一方の細胞の一部が突起状に突き出すことができ
る多孔性の膜が好ましい。
【0027】また、膜の素材はストローマ細胞が維持・
生存でき、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟・自
己複製するのに何ら阻害するものでなければ如何なる素
材であってもよい。素材としては具体的にはポリエチレ
ンテレフタレート、ポリカーボネートなどが挙げられ
る。さらに、膜は形状が一定しないで変化する任意の形
状であってもよいし、形状の一定しているものであって
もよい。具体的には平面状、波状の他、半球状、箱状の
ような一部が開放されている形状、球形、チューブ状ま
たは形状が一定しないで変化する任意の形状でもよい。
このとき、球形などの閉鎖系(密閉系)の膜の場合は膜
の内部に所望の細胞を入れ、膜の外側に第2の細胞を入
れるか、または逆に膜の内部に第2の細胞を入れ、膜の
外側に所望の細胞を入れればよい。また膜の硬さは如何
なるものであってもよい。また、微孔性支持体の例とし
ては、網状、織布状、不織布状、紙状あるいは微孔性を
穿孔してなる微小有孔板等を挙げるとができる。
【0028】「支持具」とは、これら「支持膜」を培養
容器に固定するための部材であり、必要により様々なも
のを使用することができる。具体的には支持体を培養容
器に釣り下げるための吊具、容器壁に固定することがで
きる棚状に固定するための支持片、あるいは支持膜をそ
の上に載置するための支持台等を挙げることができる。
(詳しくは図2乃至図4を参照)。
【0029】本願発明で用いられる「共存」なる用語
は、所望の細胞と第2の細胞、具体的にはCD34陽性細胞
とストローマ細胞が一つの培地(培養液)中で任意の状
態で存在している状態をいい、前述のような接触状態、
非接触状態及び間接的接触状態を包含するものである。
但し、後述の実施例においては、特に断わりのない限り
接触状態を意味する。
【0030】「固定又は接着」とは、ある物質が他の物
質に常に接触し、一カ所に定まって相互に移動しない状
態を示す。具体的にはある播種された細胞(具体的な細
胞としてはCD34陽性細胞またはストローマ細胞)が前記
に示した支持膜に常に接触している状態をいい、該細胞
は該支持膜に常に接触し、一カ所に定まって移動しない
状態であってもよいし、該細胞は該膜に常に接触しなが
ら移動している状態であってもよい。
【0031】「サイトカイン」とは、細胞から放出さ
れ、細胞間相互作用を媒介するタンパク質性因子で、免
疫応答の制御作用、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、細胞
増殖・分化の調節作用などを示す物質であって、具体的
にはインターロイキン−1(IL-1)、インターロイキン
−2(IL-2)、インターロイキン−3(IL-3)、インタ
ーロイキン−4(IL-4)、インターロイキン−5(IL-
5)、インターロイキン−6(IL-6)、インターロイキ
ン−7(IL-7)、インターロイキン−8(IL-8)、イン
ターロイキン−9(IL-9)、インターロイキン−10
(IL-10)、インターロイキン−11(IL-11)、インタ
ーロイキン−12(IL-12)、インターロイキン−13
(IL-13)、インターロイキン−14(IL-14)、インタ
ーロイキン−15(IL-15)、インターロイキン−16
(IL-16)、インターフェロンα(IFN-α)、インター
フェロンβ(IFN-β)、インターフェロンγ(IFN-
γ)、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、顆粒球-単球
コロニー刺激因子(GM-CSF)、単球コロニー刺激因子、
顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子、好酸球コロ
ニー刺激因子、血小板コロニー刺激因子、幹細胞因子
(SCF)、幹細胞増殖因子、flk2/flt3-リガンド、白血
病阻害(阻止)因子、エリスロポエチン(EPO)、マクロ
ファージ由来炎症性タンパク1α(MIP-1α)などが挙
げられ、好ましくはインターロイキン−3、幹細胞因子
(SCF)、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファ
ージコロニー刺激因子、flk2/flt3-リガンド、MIP-1α
またはエリスロポエチンなどが挙げられる。
【0032】「凍結保存剤」とは、凍害防止剤、凍害防
御物質ともいう。生物細胞、具体的にはストローマ細胞
またはCD34陽性細胞を凍結状態で生きたまま保存する場
合の凍害を軽減する目的で培地(培養液)中に加える物
質を意味する。具体的にはグリセリン、エチレングリコ
ール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ショ糖、グルコ
ース、ポリビニルピロリドン(PVP)などである。
【0033】「培養容器」とは、所望の細胞、具体的に
は造血幹細胞等のCD34陽性細胞を増殖させるときに用い
る容器のことであり、ストローマ細胞が維持・生存で
き、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟・自己複製
するのに何ら阻害するものでなければ如何なる素材、形
状のものを用いてもよい。具体的には培養容器の素材と
してはガラス、合成樹脂、天然樹脂、金属、プラスチッ
クなどが挙げられ、形状としては具体的には三角柱、立
方体、直方体などの多角柱、三角錐、四角錐などの多角
錘、ひょうたんのような任意の形状、球形、半球形、円
柱(底面が円形、楕円形または半円形等を含む)などを
挙げることができ、また例えば半球形から球形のように
培養中に必要に応じて形状を変化させてもよい。培養は
開放条件下であってもよいし、閉鎖(密閉)条件下であ
ってもよい。
【0034】「コロニー」とは、固型培地で1個の細胞
から出発してできた可視的な集塊をいう。
【0035】「分化」とは、ここではCDによって表され
る表面抗原分子が変化して、次の段階の細胞になること
をいう。具体的には多能性幹細胞(CD34+CD38-)からリ
ンパ系幹細胞(CD34+CD38+)または骨髄系幹細胞(CD34
+CD38+CD33+)のように分化抗原の表原型が変化するこ
とをいい、リンパ系幹細胞からT前駆細胞またはB前駆細
胞、骨髄系幹細胞からBFU-C、CFC-MEG、EO-CFCまたはCF
U-GM、BFU-EからCFU-E、T前駆細胞からT細胞、B前駆細
胞からB細胞、CFU-Eから赤血球、CFC-MEGから血小板、E
O-CFCから好酸化球、CFU-GMから単球、好中球または好
塩基球になることをいう(CDについては図1を参照)。
【0036】本願の発明の一つである上述の(16)の
発明における「第1の膜」としては、少なくとも細胞を
培養、維持するための栄養培地及びサイトカイン等の蛋
白を透過することができ、細胞を通過させることができ
ないような性質を有するような膜であればどのような膜
も使用可能である。具体的には、多数の微孔を有する膜
が好ましく、孔の大きさは培養する細胞を通過させるこ
とができず、一方で水や培養液等の液体、ナトリウムイ
オンや塩素イオンなどの電解質、上述のようなサイトカ
イン(所望に応じ、脂質や糖など)を透過するような膜
である。さらに、別の態様としては、水や培養液等の液
体、ナトリウムイオンや塩素イオンなどの電解質、上述
のようなサイトカイン(所望に応じ、脂質や糖など)を
透過でき、該微孔を通じて細胞の一部が突起状に突き出
すことができる膜が挙げられる。具体的一例としては、
0.1〜0.6μm(マイクロメーター)、好ましくは、0.4
〜0.5μmの微孔が挙げられる。該膜の微孔の数として
は、膜の強度が保たれる限りできるだけ多い方が好まし
く、例えば5〜20孔/cm、好ましくは約10孔/cm
を挙げることができる。また、膜の素材としては、細胞
が維持・生存でき、細胞の維持、生存、分化、成熟、及
び/または複製を阻害するものでなければ如何なる素材
であってもよい。具体的にはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネートなどが挙げらる。さらに、膜は形
状が一定しないで変化する任意の形状であってもよい
し、形状の一定しているものであってもよい。本願の発
明の一つである上述の(16)の発明における「第2の
膜」及び「第3の膜」としては、少なくとも二酸化炭素
を透過することができ、液体を透過させることができな
いような性質を有するような膜であればどのような膜も
使用可能である。即ち、前記第1の膜と第2の膜との
間、及び/または該第1の膜と第3の膜との間に形成さ
れる内容積を有する遮蔽系中において細胞を培養するた
めに必要な二酸化炭素を透過でき、該遮蔽系内に添加さ
れる栄養培養液等の液体が、該遮蔽系の外(器具の外)
に漏出しないようにすることができる膜を指す。本願の
発明の一つである上述の(16)の発明における「管」
は、前記第1の膜と第2の膜との間、及び/または該第
1の膜と第3の膜との間に形成される内容積を有する遮
蔽系中に、培養液等の液体及び細胞を注入し、また該遮
蔽系から培養液等の液体及び細胞を排出させるために配
備される。該管としては、該遮蔽系中に、培養液等の液
体及び細胞を注入し、また該遮蔽系から培養液等の液体
及び細胞を排出させることができるようなものであれば
どのようなものも使用でき、例えば、シリコンチューブ
を挙げることができる。該少なくとも2層の遮蔽系の各
々には、栄養培地が充填されるが、いずれの系において
も空気を含まない状態(栄養培地で完全に満たされてお
り、気相が存在しない状態)が好ましいことから、各々
の遮蔽系に含まれる空気は、該管を通じて排出すること
ができる。本願の該(16)発明の器具には、図33に
例示されるような構成を有する器具が含まれる。本願に
おける細胞培養は、常法に従って、例えば下記のように
実施することができる。培養容器中に、必要に応じてナ
トリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リ
ン、塩素、アミノ酸、ビタミン、ホルモン、抗生物質、
脂肪酸、糖または目的に応じてその他の化学成分もしく
は血清のような生体成分を含有したα-MEM培地、RPMI-1
640培地またはMEM基本培地などの栄養培地中、ストロー
マ細胞の存在下、必要に応じて5ng/ml乃至200ng/ml、好
ましくは10ng/ml乃至100ng/mlの濃度のインターロイキ
ン−1(IL-1)、インターロイキン−2(IL-2)、イン
ターロイキン−3(IL-3)、インターロイキン−4(IL
-4)、インターロイキン−5(IL-5)、インターロイキ
ン−6(IL-6)、インターロイキン−7(IL-7)、イン
ターロイキン−8(IL-8)、インターロイキン−9(IL
-9)、インターロイキン−10(IL-10)、インターロ
イキン−11(IL-11)、インターロイキン−12(IL-
12)、インターロイキン−13(IL-13)、インターロ
イキン−14(IL-14)、インターロイキン−15(IL-
15)、インターロイキン−16(IL-16)、インターフ
ェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、
インターフェロンγ(IFN-γ)、顆粒球コロニー刺激因
子(G-CSF)、顆粒球-単球コロニー刺激因子(GM-CS
F)、単球コロニー刺激因子、顆粒球-マクロファージコ
ロニー刺激因子、好酸球コロニー刺激因子、血小板コロ
ニー刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞増殖因子、f
lk2/flt3-リガンド、白血病阻害(阻止)因子、エリス
ロポエチン(EPO)、マクロファージ由来炎症性タンパク
1α(MIP-1α)などのサイトカイン の存在下、CD34陽
性細胞を播種し、30℃乃至40℃、好ましくは37℃で5日
間乃至30日間、好ましくは10日間乃至25日間培養するこ
とにより、CD34陽性細胞を増殖させることができる。
【0037】培養中におけるストローマ細胞とCD34陽性
細胞の配置の具体的な例示としては接触培養法、非接触
培養法、間接接触培養法が挙げられ、以下に具体的に培
養方法を記載する。第1に本願図面の図2の例示のよう
に、ストローマ細胞と造血幹細胞等のCD34陽性細胞を培
養液中で直接接触させ、培養する方法である。培養中は
ストローマ細胞とCD34陽性細胞は互いに上下左右の任意
に層状に直接接触することができ、CD34陽性細胞はスト
ローマ細胞とストローマ細胞の間に潜り込んだりするこ
ともできる。逆にストローマ細胞はCD34陽性細胞とCD34
陽性細胞の間に潜り込んだりすることもできる。
【0038】第2に本願図面の図3(a)乃至(d)に
例示するように、ストローマ細胞とCD34陽性細胞を各種
支持具で容器に固定した支持膜で隔て、互いの細胞が接
触していない状態、即ち非接触状態での培養方法であ
る。図3(a)支持体は、支持膜と支持具が一体に形成
されたシルクハット形状のものである。図3(b)のも
のはさらに支持膜を増して2層としたものである。では
下の膜は培養容器の中で培養液(培地)を二分するよう
に設置し、上の膜が支持具で支えられていてもよく、上
の膜と下の膜が両方とも培養液(培地)を分ける状態つ
まり培養容器中の培養液(培地)が2枚の膜で三分割さ
れているように設置してもよい。この場合は膜の支持具
はあってもなくてもよい。また、支持具の素材はストロ
ーマ細胞が維持・生存でき、CD34陽性細胞が維持・生存
・分化・成熟・自己複製するのに何ら阻害するものでな
ければ如何なる素材であってもよい。素材としては具体
的にはガラス、合成樹脂、天然樹脂または金属などが挙
げらる。また、図2(c)は支持膜を容器中に棚状に吊
り下げた場合を示し、図2(d)は支持膜を容器底面に
設けた支持具で下から支えた場合を示すものである。図
3(a)は1枚の膜で隔てられており、図3(b)は2
枚の膜で隔てられている。また図3(b)の上の膜の支
持板と下の膜の支持板は同一の支持板であってもよい
し、それぞれ別の支持板であってもよい。さらに、図3
(a)及び(b)においてはストローマ細胞とCD34陽性
細胞が入れ替わった状態であってもよい。図3(a)及
び(b)の両方ともに、膜は平面のみであってもよい。
膜の支持板部を膜にし、平面を水やナトリウムイオンや
塩素イオンなどの電解質通さない物質にしたもの、平面
及び膜の支持板部を膜にしたもののいずれの場合であっ
てもよい。さらに膜は必要に応じて支持板を取り付け、
球形、チューブ状または互いの細胞が接触しない限り任
意の形状を有してしてもよく、膜の中側にCD34陽性細胞
を入れ、膜の外側にストローマ細胞を入れることもでき
る。逆に膜の中側にストローマ細胞を入れ、外側にCD34
陽性細胞を入れることもできる。
【0039】第3に図4(a)、(b)及び(c)の例
示のように、所望の細胞(具体的にはCD34陽性細胞)と
第2の細胞(具体的にはストローマ細胞)を支持膜を介
して間接接触状態で培養する方法である。支持膜は支持
具で支えられ、互いの細胞が膜を通過し混じり合うこと
はないが、両者が互いに膜を隔てて最も近傍に位置する
状態で培養する方法である。図4(a)における支持体
は図3の場合と同様、シルクハット形状のものが好まし
く用いられる。図4(a)は1枚の膜で隔てられてお
り、図4(b)は2枚の膜で隔てられている。図4
(b)は一方の膜に第2の細胞(具体的にはストローマ
細胞)と所望の細胞(具体的にはCD34陽性細胞)の両細
胞が接着し、互いの細胞に接触できる状態であり、他方
の膜には第2の細胞(具体的にはストローマ細胞)のみ
が接着している状態である。図4(c)は所望の細胞
(具体的にはCD34陽性細胞)が2枚の膜にはさまれ、両
方の膜に接触するように置かれている。所望の細胞(具
体的にはCD34陽性細胞)が接触している2枚の膜の反対
の面に第2の細胞(具体的にはストローマ細胞)を接触
させたものである。図4(c)の状態は、ストローマ細
胞中にCD34陽性細胞が潜り込んだ状態に類似している。
図4(a)、(b)及び(c)においては所望の細胞
(具体的にはCD34陽性細胞)と第2の細胞(具体的には
ストローマ細胞)が入れ替わった状態であってもよい。
図4(a)、(b)及び(c)のいずれも、膜は平面の
みであってもよい。膜の支持板部を膜にし、平面を水や
ナトリウムイオンや塩素イオンなどの電解質通さない物
質にしたもの、平面及び膜の支持板部を膜にしたものの
いずれの場合であってもよい。さらに膜は必要に応じて
支持板を取り付け、球形、チューブ状または互いの細胞
が接触しない限り任意の形状を有して膜の中側に所望の
細胞(具体的にはCD34陽性細胞)を入れ、膜の外側に第
2の細胞(具体的にはストローマ細胞)を入れることも
できる。逆に膜の中側に第2の細胞(具体的にはストロ
ーマ細胞)を入れ、外側に所望の細胞(具体的にはCD34
陽性細胞)を入れることもできる。
【0040】第2及び第3の培養方法で用いる支持膜は
1または2乃至無数の微孔がある膜が好ましく、このと
きの孔の大きさは所望の細胞と第2の細胞、具体的には
ストローマ細胞とCD34陽性細胞の両方とも通過できない
大きさの孔でなけらばならない。具体的には、水、ナト
リウムイオンや塩素イオンなどの電解質などが通過で
き、脂肪酸、糖、タンパク質、ホルモンなどの高分子が
通過できないセロハンのような膜であってもよいし、
水、ナトリウムイオンや塩素イオンなどの電解質、脂肪
酸、糖、タンパク質、ホルモンなどの高分子が通過でき
る膜であってもよい。好ましくは水、ナトリウムイオン
や塩素イオンなどの電解質、脂肪酸、糖、サイトカイン
等のタンパク質、ホルモンなどは通過でき、両方の細胞
または一方の細胞の一部が突起状に突き出すことができ
る膜が好ましい。また、膜の素材はストローマ細胞が維
持・生存でき、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟
・自己複製するのに何ら阻害するものでなければ如何な
る素材であってもよい。素材としては具体的にはポリエ
チレンテレフタレート、ポリカーボネートなどが挙げら
る。さらに、膜は形状が一定しないで変化する任意の形
状であってもよいし、形状の一定しているものであって
もよい。具体的には平面状、半球形、水槽のような一部
が開放されている形状、球形、チューブ状または形状が
一定しないで変化する任意の形状でもよい。このとき、
球形などの閉鎖系(密閉系)の膜の場合は膜の内部に所
望の細胞を入れ、膜の外側に第2の細胞を入れるか、ま
たは逆に膜の内部に第2の細胞を入れ、膜の外側に所望
の細胞を入れればよい。また膜の硬さは如何なるもので
あってもよい。膜は必要に応じて支持具を用いてもよ
い。このときの支持具としてはストローマ細胞が維持・
生存でき、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟・自
己複製するのに何ら阻害するものでなければ如何なる素
材・形状のものを用いてもよい。支持台の素材としては
具体的にはガラス、合成樹脂、天然樹脂または金属など
が挙げらる。
【0041】所望の細胞(具体的にはCD34陽性細胞)を
移植するにあたって、第2の細胞(具体的にはストロー
マ細胞)とが互いに異種動物である場合や同種の動物の
場合であっても別の個体や株化した細胞を用いる場合に
は増殖後のレシピエントの生体内で免疫反応が起こる可
能性があるため、ストローマ細胞とCD34陽性細胞を分離
し、CD34陽性細胞のみを移植に用いることが好ましい。
第2または第3の培養方法を用いれば、ストローマ細胞
とCD34陽性細胞が互いに別の固体または異種動物の場
合、例えばストローマ細胞がマウス由来の細胞でCD34陽
性細胞がヒト由来の細胞である場合でも互いの細胞の分
離・精製が極めて容易に行うことができ、CD34陽性細胞
である造血幹細胞の移植が素早くしかも安全に行うこと
ができる。
【0042】第1、第2及び第3の培養方法のいずれの
培養についても培養するにおいて、適切な培養容器中で
行うことができる。培養容器はストローマ細胞が維持・
生存でき、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟・自
己複製するのに何ら阻害するものでなければ如何なる素
材、形状のものを用いてもよい。具体的には培養容器の
素材としてはガラス、合成樹脂、天然樹脂、金属などが
挙げられ、形状としては具体的には三角柱、立方体、直
方体などの多角柱、三角錐、四角錐などの多角錘、ひょ
うたんのような任意の形状、球形、半球形、円形、楕円
形、半円形などが挙げられる。培養は開放条件下であっ
てもよいし、閉鎖(密閉)条件下であってもよい。培養
液(培地)については、ストローマ細胞が維持・生存で
き、CD34陽性細胞が維持・生存・分化・成熟・自己複製
するのに何ら阻害するものでなければ如何なる培養液
(培地)を用いることができる。培養するにあたり、温
度、浸透圧、光などの物理的環境条件、酸素、炭酸ガ
ス、pH、酸化還元電位などの化学的環境条件としてはス
トローマ細胞が維持・生存でき、CD34陽性細胞が維持・
生存・分化・成熟・自己複製するのに何ら阻害するもの
でなければ如何なる環境条件であってもよい。温度につ
いては具体的には、30℃乃至40℃であり、好ましくは37
℃である。浸透圧については具体的には生理条件におけ
る浸透圧であり、好ましくは生理食塩水と等しい浸透圧
である。光としては暗室ほどの暗い条件であってもよい
し、晴天時の外の明るさほどに明るくてもよい。酸素濃
度としては具体的には培養系が気相中の酸素濃度が10%
の気相と接触している状態での溶存酸素濃度乃至気相中
の酸素濃度が30%の気相と接触している状態での酸素濃
度であってもよく、好ましくは気相中の酸素濃度が20%
の気相と接触している状態での溶存酸素濃度の気相と接
触している状態での酸素濃度である。培養系において一
般的にpHをコントロールするためのpHとして具体的には
pH6.0乃至pH8.0であり、好ましくは生理条件と同等のpH
である。pHをコントロールする為には二酸化炭素を用い
てもよいし、他のいかなる緩衝液を用いてもよい。炭酸
ガスの濃度としては具体的には培養系が5%の気相と接
触している状態での溶存炭酸ガス濃度である。
【0043】さらに、培養容器中の培地(培養液)に
は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウ
ム、リン、塩素などの無機物、アミノ酸、ビタミン、ホ
ルモン、抗生物質、サイトカイン、脂肪酸、糖または目
的に応じてその他の化学成分もしくは血清のような生体
成分を含有することもできる。ストローマ細胞、哺乳動
物から採取したCD34陽性細胞(好ましくはヒト由来のCD
34陽性細胞)または培養し増殖したCD34陽性細胞を保存
(長期間も含む)する場合、通常の方法を用いることが
できる。保存の方法としては例えば凍結保存法が挙げら
れ、この場合必要に応じてグリセリン、エチレングリコ
ール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、蔗糖、グルコー
ス、ポリビニルピロリドン(PVP)などの凍結防御剤を
加え、プログラムフリーザーなどを用い緩速凍結を行
い、その後液体窒素などの中に保存すればよい。
【0044】
【実施例】
実施例1.材料の調製 (1)ヒトサイトカインおよびモノクローナル抗体 本実施例で用いたサイトカインは、精製法によって得ら
れたか又は遺伝子組換え法によって得られた市販のもの
であって、具体的には幹細胞因子(rh-SCF)、顆粒球コ
ロニー刺激因子(rh-G-CSF)、flk2/flt3リガンド(rh-
flk2L)、マクロファージ炎症性タンパク1α(rh-MIP-
1α)、可溶化インターロイキン−6受容体(rh-sIL-6
R)、インターロイキン−3(rh-IL-3、Genzyme社
製)、顆粒球−単球コロニー刺激因子(rh-GM-CSF、Gen
zyme社製)、インターロイキン−6(rh-IL-6)、精製
したエルスロポエチン(EPO、Connaught Laboratorie
s)等である。また、本実施例においてフローサイトメ
トリーによる細胞表面マーカー解析に用いたモノクロー
ナル抗体(mAbs)については、フルオレセインイソチオ
シアネート(FITC)標識した抗CD34抗体(クローンHPCA
-2)はBeckton Dickinson Imunocytometry System(San
Lose社製)から購入し、R-フィコエリスリン(PE)標
識抗CD33抗体(クローンWM-15)、PE-標識抗CD13抗体
(クローンWM-15)、PE-標識抗CD33抗体(クローンWM-5
3)およびPE-標識抗CD38抗体(クローンHIT2)はPharmi
nngenn社から購入した。
【0045】(2)ストローマ細胞株 造血支持能を有する(造血幹細胞の造血機能を助ける作
用)とストローマ細胞株と造血支持能を有しないストロ
ーマ細胞株をマウス骨髄および脾臓から樹立した。造血
支持能の有無については、生体外にてDexter-およびWhi
tlock-Witte-type長期培養によって試験した。本発明に
おいて用いた造血支持能を有するマウス由来ストローマ
細胞株はHESS-5、HESS-1、HESS-18、HESS-M28、SSXL C
L.3、SSXLCL.7、 SSXL CL.9及びSSXL CL.17細胞であっ
た。また、造血支持能のないストローマ細胞としては、
HENS-M28を調製した。これらの細胞株は、37℃で5%二
酸化炭素10%(V/V)馬血清(HS;ニチメンアメリカ社
製)を添加したα−ミニマルエッセンシャルメディウム
(alpha-minimal essential mediumu; α-MEM; 日研バ
イオメディカルラボラトリー社製)にて培養した。
【0046】実施例2.ヒト臍帯血からのCD34陽性細胞
の採取及び調製 ヒト臍帯血は、ドナーに充分なインフォームドコンセン
トを行なったうえで東京専売病院産婦人科において採取
され、東京専売病院と日本たばこ産業株式会社医薬基礎
研究所で確立されたガイドラインの下で使用した。新生
児を出産の後、臍帯を新生児に近い部位にて2カ所クラ
ンプにより結紮し、クランプの間を横に切断した。胎盤
側の臍帯結紮部位の上部から注射器により吸引採取し、
20ユニット/mlになるようにヘパリンを添加した試験
管に採取した。この場合、一つの胎盤より50-120mlの臍
帯血が採取可能であった。血液サンプルは、ドナーから
採取した後、4℃に保存し、48時間内に使用した。臍
帯血サンプルは、リンフォプレップ(Lymphoprep、Nyco
med Pharma AS社製)を用いた密度勾配遠心法に従っ
て、比重が1.077g/ml以下の低比重細胞を採取した。次
に、CD34陽性細胞とCD34陰性細胞をCD34プロジェニータ
ーアイソレーションキット(Progenitor Isolation Kit
(QBend/10)社製)とMACS-マグネチックセル ソーティ
ングシステム(Magnetic Cell Sorting System (Milten
yi Biotec GmbH社製)を用いて、使用説明書マニュアル
とアルファメッドプレス(Alpha Med Press, pp.201-21
3)に従って分離した。
【0047】実施例3.臍帯血CD34強陽性細胞の領域の
決定 CD34陽性細胞(3x103細胞/ml)を12ウェル組織培養
プレート(Falcon社製)の各々のウェル中に2mlのミエ
ロカルトH5100(12.5%馬血清(HS)及び12.5%胎児牛
血清(FCS)、10-4M 2−メルカプトエタノールで増強
されたα-MEM:STEMCELL Technologies Inc.社製)を加
え、20 ng/mlのrh-IL-3及び50のng/ml rh-SCFの存在下
で培養した。培養して10日後、ピペッティングを十分
に行ない、細胞を回収し、ナイロンメッシュで濾過後、
遠心分離(1000g、4℃、5分間)してCD34陽性細胞を回
収した。得られた細胞はイムノフルオレッセンス染色を
行ない、フローサイトメトリー(FACSort)で細胞表面
マーカーを測定した。
【0048】実施例4.フローサイトメトリー測定 まず、ストローマ細胞非存在下における臍帯血由来CD34
陽性細胞の特性等についての実験を行なった。CD34陽性
細胞のフローサイトメトリー解析は以下の手順に従って
行った。前記の遠心分離によって回収した細胞を、さら
に0.5%牛血清アルブミン(BSA)と5mM EDTAを添加した
Ca2+とMg2+を含まないリン酸緩衝液(PBS-)に再分散さ
せ、FITC標識した抗CD34抗体及びPE標識した抗CD33抗体
で染色した。氷上で30分間放置した後、細胞を前述と
同じ緩衝液で3回洗い、同緩衝液に再分散させた。染色
した細胞は、蛍光計測装置FACSort(Becton DickinsonI
mmunocytometry Systems社製)を用いて、その細胞の大
きさ/密度分布の関係及びCD34抗体/CD33抗体に対する
特性分布を測定した。その結果を図5乃至図8に示す。
図5は臍帯血より分離したCD34陽性細胞のForward scat
ter (FSC:CD34陽性細胞の大きさを意味する)とSide sc
atter (SSC:同密度)の関係を示す図であり、図6は及
びFITC標識抗CD34抗体(αCD34)、PE標識抗CD33抗体
(クローンWM-15)で染色したときのFITC及びPEの蛍光
強度、すなわち発現量をそれぞれ示したものである。図
5によれば、実験に供したCD34陽性細胞はその細胞の大
きさ(FSC)及び密度の値(SSC)からみて、破壊死滅し
た細胞やCD陰性細胞を含まない正常なCD34陽性細胞群
(図5のR1領域)であることがわかる。また、図6によ
れば、図5のR1領域に含まれる臍帯血由来CD34陽性細胞
のCD34の蛍光強度はFACSort解析の結果、FITCカウント
が40乃至500の集団であり、また、この細胞集団におけ
るCD33分子の発現は、PEカウントで10乃至1000の集団で
あった。次に、サイトカインの影響を調べるために上記
臍帯血より分離したCD34陽性細胞をインターロイキン-
3(rh-IL-3)及び幹細胞因子(rh-SCF)の存在下に10
日間培養し、上記と同様にしてそのFSC/SSC分布の関係
及び抗CD34抗体/抗CD33抗体に対する特性分布を調べ
た。その結果を図7及び図8に示す。図7によれば、rh
-IL-3及びrh-SCFで10日間培養した後の全血球細胞のFSC
(細胞の大きさ)及びSSC(細胞の密度)は、臍帯血よ
り分離したばかりのCD34陽性細胞のそれら(図5参照)
よりも全体として大きくなっている傾向が見られ、サイ
トカインによって細胞の***や分化が誘導されたことが
示唆される。図8は、図7のR1領域(血球細胞領域)に
含まれる血球細胞画分についてFITC及びPEの蛍光強度を
測定した結果を示す図であるが、これによれば、臍帯血
より分離したばかりのCD34陽性細胞のFITCカウントは40
乃至500の集団であったのに対して、培養後のFITCカウ
ントは4から80に低下していることが判る。また、各種
文献の報告によれば、培養後のCD34陰性細胞の自然蛍光
は、分離したばかりの臍帯血CD34陽性細胞の時より増加
すること即ち、CD34陽性細胞の多くは、in vitroで培養
するとCD34陰性細胞に分化することが知られているが、
本実験によってもこのことが裏付けられた。このため、
培養後のCD34陽性細胞中のCD34弱陽性細胞はCD34陰性細
胞と蛍光強度が重複してしまう可能性が考えられた。そ
こでCD34分子の発現が特に高く、明らかにCD34陰性細胞
と異なる集団として認められる領域(R3領域)に含ま
れるCD34陽性細胞をCD34強陽性細胞として以後の解析に
使用した。図中R4領域はCD34陰性乃至弱陽性細胞集団で
あるが、我々の検討によれば(図8及び後述の図23よ
り)R4領域にしめるCD34弱陽性細胞の比率は極めて小さ
かった。またストローマ細胞と共培養すると、ストロー
マ細胞は通常R2領域に含まれる。そのため以後に実際に
カウントするCD34強陽性細胞数の割合(%)は、R3領域
の細胞のみかけ上の割合(%)に、R2、R3、R4各領域に
含まれる細胞の割合をすべてたしあわせた値をR3、R4各
領域に含まれる細胞の割合をたしあわせた値で割った値
を乗じることによって、FACSort上で混入してくるスト
ローマ細胞の値を除外し、この値に全血球細胞数を乗じ
た後、100で割ることにより行った。即ち、実際のR3領
域中の細胞数の占める割合の計算式は次のとおりであ
る。 実際のR3(%)=見かけの上のR3(%)×(R2+R3+R4)
/(R3+R4)
【0049】実施例5.臍帯血CD34陽性細胞とマウスス
トローマ細胞株の共培養 臍帯血由来のCD34陽性細胞(5x103細胞/ml)を24ウェ
ル組織培養プレート(Falcon社製)の各々のウェル中に
10-6M ハイドロコルチゾンを添加したミエロカルトH51
00(12.5%HS及び12.5%胎児牛血清(FCS)、10-4M 2
−メルカプトエタノールを添加したα-MEM:STEMCELL T
echnologies Inc.社製)を1mlを加え、さらにサイトカ
イン(rh-IL-3及びSCF)の存在下にマウスストローマ細
胞株と共培養(接触培養)した。培養して10日後、ピ
ペッティングを十分に行ない、細胞を回収し、ナイロン
メッシュで濾過後、遠心分離して培養細胞を採取した。
得られた細胞をイムノフルオレッセンス染色を行ない、
フローサイトメトリー(FACSort)で細胞表面マーカー
を測定した。なお、比較のためにマウスストローマ細胞
株を使用しない場合についても同様に実験を行なった。
結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】ここで、投入した細胞はCD34陽性細胞であ
って、統計的にはこれらCD34陽性細胞中、約70%がCD34
強陽性細胞である。従って、表1のCD34強陽性細胞の増
加倍率は単純に投入細胞数(5000)で割った数値を示し
てあるが、実際の増加倍率は統計的な数値(3500)で割
った値であり、増加倍率の数値は更に上昇する。表1に
よれば、ストローマ細胞株の有無に関係なく程度の差は
あるがサイトカインを添加することにより全血球細胞は
増加することがわかる。しかしながら、CD34強陽性細胞
についてはストローマ細胞が存在しなければサイトカイ
ンを添加しても減少してしまう。さらに、ストローマ細
胞株ならびにサイトカイン存在下で全血球細胞の増殖に
おいて、HESS-5細胞が最もよい効果を示し、投入後7日
目で全血球細胞数の増加倍率は70倍以上になり、投入
後10日目では全血球細胞数の増加倍率は270倍以上
になることがわかった。さらにCD34強陽性細胞数につい
ては、ストローマ細胞株のなかでもHESS-5細胞が最も高
い効果を示し、投入後7日目で増加倍率は約6倍、投入
後10日目での増加倍率は約9倍になることがわかっ
た。また、ストローマ細胞の種類によるCD34強陽性細胞
の増加倍率の格差をみると、投入後10日目ではHESS-5、
SSXL CL.3、HESS-1、SSXL CL.7、SSXL CL.17、SSXL CL.
9の順でよい効果を示すことがわかった。ここで、特に
よい増殖効果を示したHESS-5は、国際寄託番号FERM BP-
5768を持って、1996年12月6日付で通産省工業技術院生
命工学工業技術研究所に国際寄託を行った。以上のこと
により、サイトカインのみで培養した場合、これらCD34
陽性細胞は全血球細胞数を増加させるものの造血の源と
なる多能性造血幹細胞(CD34強陽性細胞)数は漸次減少
して最終的には枯渇してしまう傾向にあるが、HESS-5等
のストローマ細胞を共存させるとむしろ、これら多能性
造血幹細胞が自己増殖して著しく増加していくことが判
る。
【0052】実施例6.マウス造血支持ストローマ細胞
株(HESS-5)による臍帯血CD34陽性細胞に及ぼすサイト
カイン(rh-SCF及びrh-IL-3)とハイドロコルチゾンの
効果 臍帯血CD34陽性細胞(5×103細胞)を24ウェル組織培養
プレート(Falcon社製)の各々のウェルに、50ng/mlのS
CF及び20ng/mlのIL-3の共存下または非共存下、また10
-6Mのハイドロコルチゾンの共存下または非共存下の各
条件下でミエロカルトH5100(Stem Cell社製)1ml中に
てHESS-5と共培養(接触培養)することにより、サイト
カイン(rh-SCF及びrh-IL-3)及びハイドロコルチゾン
の効果を検討した。培養して10日後、細胞を回収し、
イムノフルオレッセンス染色を行い、フローサイトメト
リー(FACSort)にて細胞表面マーカーを測定した。全
血球細胞数の増加の結果を図9に、CD34強陽性細胞の増
加の結果を図10に示した。図9によれば、全血球細胞数
はサイトカイン非存在下においてはハイドロコルチゾン
の添加、非添加にかかわらず、約4×105個/ウェルであ
り、ハイドロコルチゾンの効果はないことが明らかにな
った。サイトカインを添加すると全血球細胞数は、ハイ
ドロコルチゾン添加、非添加にかかわらず著しく増加
し、とりわけハイドロコルチゾンが存在すると、非存在
下よりも1.5倍(1.2×106に対し1.8×106)上昇した。
図10によれば、CD34強陽性細胞数は、サイトカイン非存
在下においてハイドロコルチゾンを添加した場合のCD34
陽性細胞数は6×104となり、もとの約12倍であり、ハイ
ドロコルチゾン非添加の場合は1.3×105となり、同じく
もとの約26倍で、ハイドロコルチゾンの非添加の条件の
方がCD34強陽性細胞に対する増殖効果は高かった。一方
サイトカイン存在下では、ハイドロコルチゾンを添加し
た場合のCD34陽性細胞数はもとの約22倍、同非添加の場
合のCD34強陽性細胞数はもとの約68倍にも増加した。以
上のことより、CD34強陽性細胞の増殖については、サイ
トカイン存在下でハイドロコルチゾン非添加が最も増殖
効果が高いことが判る。
【0053】実施例7.rh-SCFおよびrh-IL-3の存在下
での、HESS-5と臍帯血CD34陽性細胞の接触共培養におけ
るCD34強陽性細胞の増殖に及ぼす投入CD34陽性細胞密度
の影響 臍帯血CD34陽性細胞を、12ウェル培養プレートの各々の
ウェルにミエロカルトH5100(Stem Cell社製;12.5%HS
及び12.5%胎児牛血清(FCS))2ml中に、HESS-5が接
触、非接触の条件下において1ウェル中(4cm2)に1×1
03、3×103、1×104、3×104細胞の密度になるように播
種し、10日間培養した。全血球細胞の増加倍率の結果を
図11に示し、CD34強陽性細胞の増加倍率の結果を図12に
示した。図11によれば、HESS-5が存在しない条件下で
は、全血球細胞の増殖倍率は投入細胞数が1000個の時が
約380倍程であり、同3000個の時には350倍、同10000個
のときには約300倍、同30000個のときは約200倍程であ
り、全血球細胞数は投入CD34陽性細胞密度が少ないほど
増加倍率が若干向上した。一方、HESS-5が存在(接触)
するときには、全血球細胞数の増殖倍率はそれぞれ約10
50倍、約800倍、約380倍、約150倍を示し、ストローマ
細胞(HESS-5)が存在すると全血球細胞数の増加倍率が
著しく向上した。またHESS-5の存在下では、全血球細胞
数は投入CD34陽性細胞密度が少ないほど増加倍率が著し
く向上した。図12によれば、HESS-5が存在しないときの
CD34強陽性細胞の増加倍率は、投入細胞数がいずれのと
きも一桁の増加倍率しか示さなかったものの、HESS-5が
存在すると、投入細胞数が1000個のときはCD34強陽性細
胞の増殖倍率が約60倍であるのに対して同30000個のと
きはCD34強陽性細胞の増殖倍率が約10倍程であることが
わかった。このことから投入細胞の数が1000個から1000
0個、好ましくは1000個から3000個の条件で、かつスト
ローマ細胞(HESS-5)を共存させるとき、CD34陽性細胞
の増加倍率が著しく向上することが明らかになった。以
上の結果は、投入時のCD34陽性細胞密度が高すぎると増
殖効率の低下を招くことを示しており、4cm2ウェルおた
り1000から3000個の細胞密度が特に好ましいと考えられ
る。
【0054】実施例8.半固形メチルセルロース分析 造血幹細胞及び前駆細胞の成育状況を観察するため、市
販の半固形のMethocult GF H4434V (Stemcell Technolo
gy Inc. 社製、0.9%Iscoveメチルセルロース、30%FC
S、1%BSA、10-4Mの2-メルカプトエタノール、2mMのL-
グルタミン、3U/mlエリスロポエチン、50ng/mlのrh-SC
F、10ng/mlのrh-G-CSF及び10ng/mlのrh-IL-3を含有して
いる)培養液を用いて臍帯血由来CD34陽性細胞のコロニ
ー形成能を測定した。まず、臍帯血より分離したCD34陽
性細胞を直径35mmの培養ディッシュを用いてミエロカル
トH5100培養液中でストローマ細胞(HESS-5)の存在下
又は非存在下で10日間培養した後、同細胞を上記Methoc
ult GF H4434V培養液を充填した直径35mmのディッシュ
に移し、5%二酸化炭素を含む空気中で21日間、37℃で
インキュベートした。一方、対照として臍帯血より分離
したCD34陽性細胞をミエロカルト培養液で培養すること
なく、これを直接上記Methocult GF H4434V培養液で培
養した。Methocult GF H4434V培養液中に形成されたBFU
-E、CFU-GEMMからなる赤血球系コロニー、CFU-GMコロニ
ー及びHPP-CFCコロニーの数を測定した。HPP-CFCは直径
1.0mm以上の大きさのコロニーであり、それをさらに直
径1.0-2.5mmの小型HPP-CFC、直径が2.5mmより大きい大
型HPP-CFCとして算定した。各種条件下における大型HPP
-CFC(直径が2.5mmより大きい)のコロニー数の増加倍
率の結果を図13に、小型HPP-CFC(直径が1.0-2.5mm)の
コロニー数の増加倍率の結果を図14に、CFU-GMのコロニ
ー数の増加倍率の結果を図15に、赤血球系コロニーのコ
ロニー数の増加倍率の結果を図16に示す。図13によれ
ば、大型HPP-CFCのコロニー数の増加倍率においては、
ストローマ細胞の存在下の方が非存在下よりも著しい増
加効果がみられた。一方ストローマ細胞が存在しない
と、投入細胞のコロニー数の増加倍率は低く、各投入CD
34陽性細胞密度間での有意な差は認められなかった。ま
たストローマ細胞の存在下では、投入細胞数が1000個か
ら3000個ではコロニー数の増加倍率は24-26倍と有意な
差はみられないものの、投入細胞数が10000個から30000
個と増加するにつれて各々13倍、7倍とコロニー数の増
加倍率は低下した。このことから、大型HPP-CFCのコロ
ニー数の増加についても投入CD34陽性細胞密度は4cm2あ
たり1000から3000個が適当であると判断された。図14に
よれば、小型HPP-CFC数の増加倍率についても図13の大
型HPP-CFC数の増加倍率と同じ傾向を示した。但し、最
適初期CD34陽性細胞密度1000から3000個の時の増加倍率
は32-36倍であり、大型HPP-CFCの増加倍率より高かっ
た。図15によれば、CFU-GMの増加においてストローマ細
胞の存在下の方が非存在下よりもコロニー数の増加倍率
において著しい効果があるものの、投入CD34陽性細胞密
度が大型HPP-CFCや小型HPP-CFCがストローマ細胞存在下
の増加倍率が非存在下のそれと比較して約20倍であるの
に対してCFU-GMにおいては約3.5倍と低かった。また初
期CD34陽性細胞密度のCFU-GMの増加に及ぼす効果は、大
型HPP-CFCや小型HPP-CFCの場合と同様にストローマ細胞
存在下で4cm2あたり1000から3000個が最適であり、その
時の増殖倍率は600から650倍を示した。図16によれば、
BFU-EならびにCFU-GEMMを含む赤血球系コロニーの増加
倍率は、ストローマ細胞の存在下の方が非存在下よりも
著しい効果を示した。またストローマ細胞の存在下で
は、投入細胞数が3000個の時に最も増加倍率が高く、約
46倍を示し、投入細胞数が1000個の時には約27倍であっ
た。投入細胞数を10000、30000個と増やすにつれて増加
倍率は低下した。このことから、ストローマ細胞と接触
する条件で投入CD34陽性細胞数を4cm2あたり3000個にす
れば、増加倍率が最も高いことが明らかとなった。
【0055】実施例9.至適培養条件におけるCD34強陽
性細胞増殖に及ぼすサイトカイン(rh-SCF及びrh-IL-
3)及びストローマ細胞(HESS-5)の効果 マウスストローマ細胞株と臍帯血CD34陽性細胞の培養 CD34陽性細胞(3×103細胞/ml)を12ウェル組織培養プ
レート(Falcon社製)の各々のウェル中に2mlのミエロ
カルトH5100(12.5%HS及び12.5%胎児牛血清(FCS)、
10-4M2−メルカプトエタノールを添加したα-MEM:STE
MCELL Technologies Inc.社製)を加え、さらにサイト
カイン(rh-SCF及びrh-IL-3)の存在下又は非存在下にH
ESS-5細胞株の存在下又は非存在下で共培養した。培養
して10日後、ピペッティングを十分に行ない、細胞を
回収し、ナイロンメッシュで濾過後、遠心分離して採取
した。得られた細胞をイムノフルオレッセンス染色を行
ない、フローサイトメトリー(FACSort)で細胞表面マ
ーカーを測定した。さらに前述の半固形のメチルセルロ
ースアッセイによってコロニー形成能を測定した。図1
7にサイトカイン及びストローマ細胞の存在下で10日間
培養したCD34陽性細胞のSSCとFSCのFACSortによる解析
結果を示した。図17によれば、血球細胞数の多くはR
1領域に包含されており、HESS-5が存在しない以外は同
様の条件で培養した図7の結果と比較してみても明らか
にR1領域に属する細胞数が多く存在し、どちらかといえ
ば図5で示した臍帯血より分離したばかりのCD34陽性細
胞と同様の大きさ、及び密度を示す細胞が多く存在して
いることが明らかになった。またR1領域以外のところ
に、HESS-5の細胞やその破片が観察された。図18にサ
イトカイン及びストローマ細胞の存在下での10日間培養
したCD34陽性細胞であって、図17のR1領域に属する血
球細胞をFITC標識CD34抗体とPE標識CD33抗体で染色した
時のFACSortによる解析結果を示した。図18とHESS-5
が存在しない以外は同様の条件で培養した図8を比較す
ると、図8においてはCD34強陽性細胞が存在するR3領
域に、数多くの細胞が存在していることが明らかであ
る。これによれば、図8に示したようにサイトカインの
みの場合はCD34陽性細胞、特に強陽性細胞のほとんどは
分化、成熟することによって消耗されてしまうが、スト
ローマ細胞との共培養した場合は、自己複製能を有する
CD34強陽性細胞(多能性造血幹細胞)が依然として存続
維持されていることが判る。図19にサイトカインの非
存在下で、ストローマ細胞の存在下での10日間培養した
CD34陽性細胞におけるSSCとFSCのFACSortによる解析結
果を示した。図19によれば、図17の場合と同様、そ
のR1領域の細胞分布は、図5で示した臍帯血より分離
したばかりのCD34陽性細胞のパターンと類似しており、
***期の細胞(***期の細胞は大きくなるためFSCが大
きくなる)もサイトカイン存在下、ストローマ細胞非存
在下で培養したときよりは少ないものとなっている。図
20にサイトカインの非存在下で、ストローマ細胞の存
在下での10日間培養したCD34陽性細胞のうちR1領域に含
まれる血球細胞のFITC標識CD34抗体とPE標識CD33抗体で
染色したときのFACSortによる解析結果を示した。図2
0によれば、R3領域に含まれるCD34強陽性細胞の比率
は他の実験群の中で最も多かった。また、表2に上記実
験操作による各種培養条件下における全血球細胞数なら
びにCD34強陽性細胞数の結果を示した。
【0056】
【表2】
【0057】表2によれば、臍帯血CD34陽性細胞をミエ
ロカルトH5100培養液のみで培養した時、全血球細胞数
は1.2倍とあまり変化ないものの、CD34強陽性細胞の割
合は著しく減少するため、計算されたCD34強陽性細胞数
も0.4倍に減少した。一方、rh-IL-3とrh-SCFが存在しHE
SS-5が存在しない培養では、全血球細胞数は315±50.3
倍増加するもののCD34強陽性細胞の増加割合はわずかで
あり、計算されたCD34強陽性細胞の数の増加は約2.0倍
であった。一方、臍帯血CD34陽性細胞をサイトカイン非
存在下でHESS-5細胞の存在下で培養した時、全血球細胞
は出発細胞数より21.0±4.1倍増加した。この増加倍率
はサイトカインのみ添加した培養と比較して低いもの
の、CD34強陽性細胞を23.2±4.8%含んでいるため、CD3
4強陽性細胞の培養数は6.1±1.3倍に増加しており、HES
S-5がCD34強陽性細胞の自己増殖に極めて有効であるこ
とが明らかになった。さらにこの培養条件下にサイトカ
インを添加すると、全血球細胞数はHESS-5細胞の存在し
ていない時(315±50.3倍)よりさらに増加した(848±
166倍)。CD34強陽性細胞数は、サイトカインのみの場
合が約2倍であるのに対して、サイトカイン及びHESS-5
が共存すると74倍となり、両者の組み合わせによって劇
的に上昇した。さらに、種々の培養条件下におけるコロ
ニー形成細胞数の結果を表3に示した。
【0058】
【表3】
【0059】臍帯血CD34陽性細胞をミエロカルトH5100
のみで培養した時、すべてのコロニー数は投入時と比較
して著しく減少した。一方、サイトカイン(rh-IL-3及
びrh-SCF)の存在下での前駆細胞コロニー数の増加は、
投入時(300±35)と比較してCFU-GMは著しく増加(541
00±14100、約180倍)したものの、小型HPP-CFC(1-2.5
mm)と赤血球前駆細胞は投入時(390±60)と比較して
約2倍(800±690)程であった。大型HPP-CFC(>2.5m
m)は、約1.5倍程(投入時192±40から培養後280±17
0)にとどまっていた。これに対して、サイトカイン非
存在下でストローマ細胞(HESS-5)が存在する条件下で
培養すると、CFU-GMコロニー数(7500±840)は投入時
(300±35)のそれよりも約25倍の増加する程度であ
り、赤血球系コロニー数(540±280)も、投入時(300
±35)のそれよりも約1.4倍増加する程度であった。小
型HPP-CFC(1-2.5mm)コロニー数(投入時240±50、培
養後4020±420)は約17倍とサイトカインのみ存在する
条件の時よりも著しく増加した。大型HPP-CFC(>2.5m
m)コロニー数(540±160)もサイトカインのみ存在す
る条件の時よりも増加(約1.5倍から約3.3倍)した。ま
たストローマ細胞(HESS-5)とサイトカイン(rh-IL-3
及びrh-SCF)の存在する条件下では、大型HPP-CFCコロ
ニー数(8420±810)および小型HPP-CFCコロニー数(11
400±1110)は投入時のそれ(それぞれ192±40、240±5
0)と比較してそれぞれ約44倍、約48倍と劇的に増加し
た。CFU-GMのコロニー数(187165±14100)もサイトカ
インのみ存在する条件下(約180倍)よりもさらに増加
し、約620倍であった。赤血球系コロニー数は、他の培
養条件ではわずかしか増加しないものの、HESS-5とrh-I
L-3とrh-SCFの存在する条件下では著しく増加した(投
入時390±60から培養後17700±500、約44倍)。以上の
結果より、ストローマ細胞(HESS-5)が存在すればサイ
トカインの存在の有無にかかわらずHPP-CFCコロニーは
増加することが判る。さらにストローマ細胞(HESS-5)
が存在し、サイトカイン(rh-IL-3及びrh-SCF)が存在
すればいずれのコロニーも劇的に増加することが判る。
【0060】実施例10.増幅後、再分離したCD34陽性
細胞の細胞表面マーカー 臍帯血から分離したCD34陽性細胞と、それを生体外で前
述のストローマ細胞(HESS-5)とサイトカイン(rh-IL-
3及びrh-SCF)の存在する条件下で培養した後、増幅し
た全血球細胞よりCD34陽性細胞を再びCD34プロジェニー
ターアイソレーションキット(Progenitor Isolation K
it(QBend/10)社製)とMACS-マグネチックセルソーティ
ングシステム(Magnetic Cell Sorting System (Milten
yi Biotec GmbH) 社製)を用いて再分離した。再分離し
たCD34陽性細胞の純度は97%以上であった。その後抗CD
34抗体、抗CD33抗体、抗CD38抗体及びα抗D13抗体を用
いてFACSortにてCD34、CD33、CD38及びCD13の発現量を
解析した。分離したばかりの臍帯血CD34陽性細胞と、増
幅後再分離したCD34陽性細胞のFSCとSSCの解析結果をそ
れぞれ図21および図22に示した。再分離したCD34陽
性細胞は、大きさおよび密度が分離したばかりの臍帯血
CD34陽性細胞のそれより大きくなっていることから、細
胞が***期に移行していることが予測される。続いて、
血球細胞領域(図21または図22のR1領域)に含ま
れる細胞について、各種細胞表面マーカーを解析した。
臍帯血CD34陽性細胞と増幅後再分離したCD34陽性細胞の
CD34とCD33の染色パターンをそれぞれ図23及び図24に、
またCD34とCD38の染色パターンをそれぞれ図25及び図26
に、同じくCD34とCD13の染色パターンをそれぞれ図27及
び図28に示した。再分離したCD34陽性細胞中のCD33陽性
細胞(図24)の割合は新鮮な分離されたCD34陽性細胞
(図23)よりも明らかに増加した(それぞれ73.9(1
0.1+63.8)%と93.6(17.2+76.4)%)。このことは、
再分離したCD34陽性細胞が、新鮮なCD34陽性細胞と比較
してCFU-GEMM、CFU-GM、EO-CFC、BFU-Eがより増加して
いることを意味する。しかしながら、再分離のものはCD
34強陽性細胞領域が著しく増加していることは注目すべ
きである。図25、図26から明らかなように、CD34強
陽性CD38強陽性細胞の割合もin vitro増幅後の再分離CD
34陽性細胞においては著しく増加しており、再分離した
CD34陽性細胞中のCD34強陽性CD38低陽性/陰性細胞集団
の割合(3.5%)は、臍帯血の割合(6.2%)より減少し
ていた。しかしながらCD34強陽性CD38低陽性/陰性細胞
数からみれば、CD34強陽性細胞は増幅後74倍増加してい
るため(表2参照)、CD34強陽性CD38低陽性/陰性細胞
数は増幅によって42(74×3.5/6.2)倍増加しているこ
とが明らかになった。この増加倍率は、HPP-CFC数の増
加倍率と良く一致していた。図27、図28によれば臍
帯血CD34陽性細胞のCD34強陽性CD13低陽性/陰性細胞集
団はCD33およびCD38抗原の発現と比較して逆に増加して
いた(それぞれ12.4%、16.1%)。全体の細胞数が増加
し、割合も増加していることから、CD34強陽性/CD13低
陽性/陰性細胞数、つまり骨髄系細胞の分化が決定する
以前の細胞が増加していることがわかる。臍帯血CD34陽
性細胞中のCD34強陽性細胞とCD34低陽性細胞の割合は増
殖後も変化は見られなかった(図23及び図24より、それ
ぞれ79.7(63.8+15.9)%、79.5(76.43.1)%)。Brox
meyerらはCD34陽性細胞中にCD34強陽性細胞が22%含ま
れており、非常に未分化な細胞の性質を示すことを報告
しているが、これと同じレベルでFACSortを解析する
と、in vitro増幅後、このCD34強陽性細胞は再分離した
CD34陽性細胞の中に非常に高い割合で含まれていた(5
5.0%)。
【0061】実施例11.増幅前後のCD34陽性細胞の細
胞周期の解析 臍帯血から分離したCD34陽性細胞を生体外で前述のサイ
トカイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下、ストローマ
細胞(HESS-5)と共培養した後、増幅した全血球細胞よ
りCD34陽性細胞を再びCD34プロジェニーターアイソレー
ションキット(Progenitor Isolation Kit(QBend/10)社
製)とMACS-マグネチックセルソーティングシステム(M
agnetic Cell Sorting System (Miltenyi Biotec GmbH)
社製)を用いて再分離した。このようにして得られた
増幅CD34陽性細胞と、臍帯血から分離したばかりのCD34
陽性細胞をニワトリの赤血球と胸腺細胞の細胞核をコン
トロールとして、G0/G1相、S相及びG2/M相の各相の細胞
周期の割合をFACSortに付属しているCellFIT software
(Becton Dickinson)を用いて解析した。臍帯血CD34陽
性細胞と増幅後再分離したCD34陽性細胞の細胞周期の解
析結果をそれぞれ図29及び図30に示した。一般に増殖相
はS-およびG2/M期の間の周期であることが知られてお
り、臍帯血より分離したばかりのCD34陽性細胞はわずか
に2.6(S相1.3+G2/M相1.3)%だけ増殖相であった。一
方、増幅後再分離したCD34陽性細胞では41.6(S相16.6+
G2/M相25.0)%が増殖相に存在しており、この結果は、
サイトカインとストローマ細胞の存在下での培養は、CD
34陽性細胞に関して静止期の細胞が多い臍帯血CD34陽性
細胞の細胞周期をSまたはG2/M期に促進することを示し
ている。
【0062】実施例12.臍帯血CD34陽性細胞の増殖に
及ぼすHESS-5ならびに各種サイトカインの効果 臍帯血CD34陽性細胞を、12ウェル培養プレートの各々の
ウェルにミエロカルトH5100(Stem Cell社製12.5%HS及
び12.5%胎児牛血清(FCS))2ml中に、HESS-5が接
触、非接触の条件下において1ウェル中(4cm2)に3×1
03細胞の密度になるように播種した。次に種々の濃度の
ヒトサイトカインをウェルに添加し、10日間培養した。
各々のサイトカインの最終濃度は、20ng/mlのIL-3、50n
g/mlのSCF、50ng/mlのflk2L、100ng/mlのMIP-1α、20ng
/mlのG-CSF、1U/mlのEPO、20ng/mlのGM-CSFであった。
培養10日後、細胞を回収し、フローサイトメトリー(FA
CSort)で細胞表面マーカーを測定した。結果を表4に
示す。
【0063】
【表4】
【0064】なお、表4には、HESS-5存在下または非存
在下におけるサイトカインの組み合わせの全血球細胞数
ならびにCD34強陽性細胞数の増加倍率を示した。全血球
細胞数は、HESS-5の存在、非存在にかかわらず、いずれ
の場合も各種サイトカインの存在によりその数は増加し
た。また、逆にサイトカインの有無またはその種類のい
かんを問わずIL-3+SCF+EPOの場合を除いて、HESS-5細胞
の存在により全血球細胞及びCD34強陽性細胞に関する増
加倍率は向上した。全血球細胞数の増加倍率は、HESS-5
細胞の非存在下ではIL-3+SCF+EPOが最も高く、543倍を
示し、以下順にIL-3+SCF+flk2L、IL-3+SCF+G-CSF、IL-3
+SCF+G-CSF+GM-CSF、IL-3+SCF+MIP-1α、IL-3+SCF、IL-
3 、SCF、サイトカインなしの順であった。一方、HESS-
5が存在する条件下では、IL-3+SCF+G-CSF+GM-CSFが最も
高い増加倍率を示した。以下順にIL-3+SCFflk2L、IL-3+
SCF+EPO、IL-3+SCF+G-CSF、IL-3+SCF、IL-3、IL-3+SCF+
MIP-1α、SCF、サイトカインなしの順であった。CD34強
陽性細胞数の増加倍率については、HESS-5が存在しない
条件下では0.1倍から最大3.4倍といずれのサイトカイン
の組み合わせでも顕著な増殖は認められなかった。一
方、HESS-5下に各種サイトカインを組み合わせることに
よってCD34強陽性細胞の増加倍率と比べて10倍以上の増
殖効果は著しく向上された。サイトカインの組み合わせ
に関しては、IL-3+SCF+EPOが最も高く54倍であった。以
下順にIL-3+SCF、IL-3、IL-3+SCF+G-CSF+GM-CSF、SCF、
IL-3+SCF+G-CSF、IL-3+SCF+MIP-1α、IL-3+SCF+flk2L、
サイトカイン無の順であった。
【0065】実施例13.臍帯血CD34陽性細胞とHESS-5
細胞の接触共培養、臍帯血CD34陽性細胞とHESS-5細胞の
非接触共培養及び臍帯血CD34陽性細胞とHESS-5細胞の間
接接触培養 CD34陽性細胞(5×103細胞/ウェル)を6ウェル組織培
養プレート(Falcon社製)の各々のウェル中に、50ng/m
lのSCFおよび20ng/mlのIL-3を添加した4mlのミエロカル
トH5100(12.5%HS及び12.5%胎児牛血清(FCS))、10
-4Mの2−メルカプトエタノールを添加したα-MEM:STE
MCELL Technologies Inc.社製)中でHESS-5の非存在下
またはHESS-5の存在下にて培養した。HESS-5とCD34陽性
細胞の共培養条件としては、図2、図3(a)及び図4
(a)に例示したように単なる接触状態、支持体を介し
た非接触状態及び支持体を介した間接接触状態でそれぞ
れ培養を行なった。図2で例示される接触状態における
共培養は、6ウェルプレート上にHESS-5細胞を播種し、
さらにそのHESS-5細胞上にCD34陽性細胞を層状に播種す
ることによって実施した。また、図3(a)で例示され
る非接触状態における培養は、HESS-5細胞を播種した6
ウェルプレート中に、Cyclopore膜(孔径0.45μm)を取
り付けてあるセルカルチャーインサート(Cell Culture
Insert)(Falcon社製:多数の微細孔を有するシルク
ハット形状のプラスチック製支持体)を挿入するととも
に該支持体の内側にCD34陽性細胞を5×103個播種した
(図3(a)参照)。図4(a)で例示される間接接触
状態における培養は、次のようにして実施した。HESS-5
細胞と臍帯血CD34陽性細胞を支持体を構成するCyclopor
e膜の両側で培養させるために、まず10%馬血清(HS)
を添加したα-MEM200mlを充填した無菌の500mlビーカー
中に上下転置した状態でセルカルチャーインサート(Ce
ll Culture Insert)(Falcon社製)を挿入し、そのの
上面(外側:シルクハット形状支持体の底面)に、HESS
-5細胞のサスペンション(5×105細胞/ml)1mlをピ
ペットで静かに重層し、5%二酸化炭素を含む空気中で3
7℃で培養した。培養48時間後、膜の底面外側にHESS-5
が定着したセルカルチャーインサートを無菌のピンセッ
トでビーカーから取り出し、6ウェル培養プレート中に
図4(a)のごとくセットした。次いで、臍帯血CD34陽
性細胞(5×103細胞/ウェル)をセルカルチャーインサ
ートの底面内側に播種し、前述と同様の条件で共培養
(間接接触培養)した。なお、対照としてHESS-5細胞非
存在下でCD34陽性細胞の培養も行なった。それぞれ10
日間培養の後、細胞をピペッティングし、ナイロンメッ
シュで濾過し、遠心分離を行なって、回収した。これら
の細胞を前述と同様にイムノフルオレッセンスで染色
し、細胞表面マーカーをフローサイトメトリー(FACSor
t)で解析した。全血球細胞およびCD34強陽性細胞の増
加倍率をそれぞれ図31及び図32に示す。図31によれば、
全血球細胞数の増加倍率は、図4(a)のごとく膜の両
面でCD34陽性細胞とHESS-5細胞を間接接触させた状態で
共培養したものが著しい増殖効果を示し、ストローマ細
胞非存在下の増加倍率に比べて約2.5倍であり、このと
きの全血球細胞の増加倍率は約820倍であった。一方、
ストローマ細胞非存在下の増殖倍率と比べてHESS-5との
接触培養、同非接触培養はそれぞれ1.5倍、1.2倍であ
り、HESS-5との接触培養では400倍、HESS-5との非接触
培養では約350倍、ストローマ細胞の非存在下では約270
倍の増殖効果を示した。図32によれば、CD34強陽性細胞
のストローマ細胞の非存在下で4倍、HESS-5との接触培
養では約42倍、HESS-5との非接触培養では約15倍であ
り、3条件の中では接触共培養が最も高い効果を示し
た。非接触共培養では全血球細胞数の増加倍率は接触共
培養と大きな違いはなかったものの、CD34強陽性細胞数
の増加倍率に関しては約1/2.8に低下していた。一方、
支持体膜の両面を用いた間接接触共培養では、CD34強陽
性細胞数の増加倍率は約40倍と接触共培養とほぼ同等の
増殖効果を示した。以上のことから、HESS-5等のストロ
ーマ細胞の存在下にCD34陽性細胞を培養する場合、必ず
しも両細胞を直接接触させる必要はなく、両者を同一培
養容器内で非接触又は間接接触の状態で培養してもよい
ことが伺い知れる。特に非接触培養法及び間接接触培養
法は、培養後に両細胞を分離してCD34陽性細胞を取り出
すのに好都合であって、実用化に大いに役立つものであ
る。
【0066】実施例14.マウスストローマ細胞株HESS
-18及びHESS-M28の調製 C3H/HeNマウスの骨髄から取得したストローマ細胞を、
αMEM培地(10%馬血清、デオキシヌクレオチド及
びデオキシリボヌクレオチドを含む。日研バイオメディ
カルラボラトリー製)中で長期培養し、限外希釈法によ
りクローニングした。得られたストローマ細胞亜株を、
ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞と共培養し、CD34陽性細胞
を増幅する能力が高い細胞株を選択した。得られた細胞
株をHESS-18と命名した。HESS-18は、国際寄託番号FERM
BP-6187を以て通産省工業技術院生命工学工業技術研究
所に1997年11月28日付で国際寄託した。該HESS-18スト
ローマ細胞株を、αMEM培地(10%馬血清、デオキ
シヌクレオチド及びデオキシリボヌクレオチドを含む。
日研バイオメディカルラボラトリー製)中で5カ月間培
養し、限外希釈法によりクローニングした。得られたス
トローマ細胞亜株を、ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞と共
培養し、CD34陽性細胞を増幅する能力が高い細胞株を選
択した。得られた細胞株をHESS-M28と命名した。HESS-M
28は、国際寄託番号FERM BP-6186を以て通産省工業技術
院生命工学工業技術研究所に1997年11月28日付で国際寄
託した。一方、同時に、CD34陽性細胞を増幅する能力の
低い細胞株HENS-M12もクローニングされた。なお、本実
験で使用したヒト臍帯血由来CD34陽性細胞は、実施例2
及び実施例3と同様にして取得した。得られたCD34陽性
細胞の形態及び細胞表面抗原表現型を、実施例3及び実
施例4と同様にして分析した。結果を図34の(a)及
び(b)に示した。
【0067】実施例15.マウスストローマ細胞株のヒ
トCD34陽性細胞の増幅能の分析 前述のようにして調製したマウスストローマ細胞株HESS
-5(国際寄託番号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄
託番号:FERM BP-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FE
RM BP-6186)、及びHENS-M12のCD34high+CD38low/-であ
るヒト造血幹細胞の増幅能力を下記のようにして測定し
た。実施例5と同様にして、、前記ヒト臍帯血CD34陽性
細胞を、組換えヒトIL-3(20ng/ml)及び組換えヒトSCF
(幹細胞因子、50ng/ml)を含む栄養培地中で、上記各
々のストローマ細胞と共に10日間培養(接触培養)し
た。実施例3及び実施例4と同様にして、フローサイト
メーターFACSを用いて、培養後の全造血幹細胞、CD34
high+細胞、並びにCD34high+CD38low/-細胞の特性及び
総数を測定した。なお、対照としていずれのストローマ
細胞も含まない培養を行った。結果を、図35乃至図3
9に示す。また、同様に、フローサイトメーターを用い
て、HESS-5、HESS-18及びHESS-M28とともに共培養して
得られた細胞群から単離した各々のCD34+細胞の特性に
ついても分析した。結果を図40乃至図42に示す。さ
らに、該フローサイトメトリーで得られた結果を、数値
化し、細胞数及び算出した増殖率を表5に示した。
【0068】
【表5】
【0069】表5から明らかなように、HESS-5、HESS-1
8及びHESS-M28は、いずれもCD34+細胞を約100倍の増
幅した。またHESS-5、HESS-18及びHESS-M28は、該CD34+
細胞に含まれる、より未分化な幹細胞であるCD34high+C
D38low/-細胞を、各々92倍、216倍及び333倍の
増幅した。HESS-18及びHESS-M28についてのこれらの値
は、驚くべき値である。
【0070】実施例16.マウスストローマ細胞の共存
下で培養して増幅されるヒトCD34陽性造血幹細胞の性質
の分析(1) 実施例15の実験において、マウスストローマ細胞株HE
SS-5、HESS-18及びHESS-M28の各々が、ヒトCD34陽性造
血幹細胞を有意に増幅する能力を有すること、換言すれ
ば、臍帯血等から取得されるヒトCD34陽性造血幹細胞
を、該細胞株のいずれかとともに共培養することによ
り、ヒトCD34陽性造血幹細胞、特により未分化な幹細胞
であるCD34high+CD38low/-細胞を、短期間の培養で簡便
に大量に製造できることが実証された。本実験の目的
は、そのようにして増幅されたCD34陽性細胞が、ヒト臍
帯血等から単離した新鮮な天然のCD34陽性細胞と何ら異
なることなく、該天然のCD34陽性細胞を同一の性質を有
するCD34陽性細胞であることを確認するものである。本
実験では、該CD34high+CD38low/-細胞が有する、自己複
製能、形態及び分化抗原表現型の観点からの確認を行っ
た。実施例2及び実施例3と同様の方法、即ち、CD34 P
rogenitor Isolation Kit(QBend/10)及びMACS Cell S
orting System(Miltenyi Biotec GmbH, Glandbach, ド
イツ)を用いて、ヒト臍帯血、並びに実施例5において
マウスストローマ細胞株(HESS-5、HESS-18、及びHESS-
M28)との共培養により製造された造血幹細胞群から、
各々CD34陽性細胞を単離した。次いで、単離した各々CD
34陽性細胞群を、FACSortフローサイトメーター(Beckt
on Dickinson Immunocytometry Systems)に供し、細胞
選別(cell sorting)し、より未分化な造血幹細胞で
あるCD34high+CD38low/-細胞を単離した。フローサイト
メーターを用いて分析した、各々のCD34high+CD38low/-
細胞群の特性を図43乃至図46に示した。なお、図3
4(b)からも明らかなように、ヒト臍帯血CD34陽性細
胞に含まれるCD34high+CD38low/-細胞は、通常約3乃至
4.5%である。カルチャーフラスコ(75cm2,Falcon製)
を用い、単離した各々のCD34high+CD38low/-細胞(各々
1×105個/ml)を、組換えヒトIL-3(20ng/ml)及び組
換えヒトSCF(50ng/ml)を加えたMyelocult H5100栄養
培地(30ml,12.5%馬血清、12.5%牛胎児血清、10-4
Mの2−メルカプトエタノールを含むαMEM培地;Ste
mCell Technologies Inc.製)中で、マウスストローマ
細胞HESS-5と共に10日間共培養(接触培養)した。ピ
ペッティングにより細胞を回収し、ナイロンメッシュを
通じて濾過した後、遠心分離した。得られた細胞の特性
を、免疫染色試験法及びフローサイトメーターによる分
化抗原分析により分析した。結果を図47乃至図50に
示した。さらに、該フローサイトメトリーで得られた結
果を、数値化し、細胞数及び算出した増殖率を表6に示
した。
【0071】
【表6】
【0072】該図から明らかなように、実施例5におい
てHESS-5、HESS-18及びHESS-M28の各々との共培養(一
次培養)により増幅、製造された各々のCD34high+CD38
low/-細胞、並びにヒト臍帯血から単離した新鮮なCD34
high+CD38low/-細胞を、HESS-5と再度共培養(二次培
養)することにより、いずれの細胞群においてもCD34
high +CD38low/-細胞が誘導された。また、各々のHESS-5
二次培養系で増幅、製造されるCD34high+CD38low/-細胞
の特性(図48(先にHESS-5上で増幅)、図49(先に
HESS-18上で増幅)及び図50(先にHESS-M28上で増
幅))は、ヒト臍帯血から単離した新鮮なCD34high+CD3
8low/-細胞をHESS-5と共培養して得られるCD34high+CD3
8low/-細胞の特性(図51)と同一であった。また、表
6から明らかなように、各々のHESS-5二次培養系で達成
されるCD34hi gh+CD38low/-細胞の増幅は、増殖細胞数及
び増殖率の観点からも、ヒト臍帯血から単離した新鮮な
CD34high+CD38low/-細胞のHESS-5との共培養による増幅
とほぼ同じであった。このことから、ヒト臍帯血から単
離した新鮮なCD34陽性細胞をマウスストローマ細胞株
(HESS-5、HESS-18、及びHESS-M28)と共培養して増幅
されるCD34陽性細胞は、ソースとして用いたヒト臍帯血
から単離した新鮮なCD34陽性細胞と同一の特性を有する
細胞であり、また本願発明の方法を用いれば、ヒト生体
に存在する天然のCD34陽性細胞、特により未分化な造血
幹細胞であるCD34high+CD38low/-細胞を簡便に大量に製
造できることが明らかとなった。
【0073】実施例17.マウスストローマ細胞の共存
下で培養して増幅されるヒトCD34陽性造血幹細胞の性質
の分析(2) 実施例16で述べた確認の目的のために、本実験では、
該CD34high+CD38low/-細胞が有する細胞分化能の観点か
らの確認を行った。なお、本実験では、一例としてB前
駆細胞への分化能について分析した。B前駆細胞の培養
は、ローリングスらにより報告された方法(B. J. Rawl
ings, Exp. Hematol., 25, 66 (1991))に従って行っ
た。実施例16で単離した各々のCD34high+CD38low/-
胞(即ち、(1)ヒト臍帯血由来のCD34陽性細胞群から単
離した新鮮なCD34high+CD38low/-細胞、(2)HESS-5との
一次共培養から得られたCD34陽性細胞群から単離した新
鮮なCD34high+CD38l ow/-細胞、(3)HESS-18との一次共培
養から得られたCD34陽性細胞群から単離した新鮮なCD34
high+CD38low/-細胞、及び(4)HESS-M28との一次共培養
から得られたCD34陽性細胞群から単離した新鮮なCD34
high+CD38low/-細胞、各々1×108個/ウェル)を、R
PMI-1640培地(2ml,日研バイオメディカルラボラト
リー製。なお、3%牛胎児血清(GIBCO-BRL製)、50mM
の2-メルカプトエタノール、及び50ng/mlの組換えヒトf
lk-2/flt-3リガンド(PeproTech EC製)を含む。)中
で、マウスストローマ細胞株HESS-5と共培養(接触培
養)した。培養後、各々の細胞を回収し、FITC(フルオ
レスセインイソチオシアネート)標識抗CD19モノクロー
ナル抗体及びPE(フィコエリスリン)標識抗CD10モノク
ローナル抗体で染色し、培養により生成されるB前駆細
胞の含量をフローサイトメーターFACSortを用いて分析
した。なお、CD19陽性CD10陽性であることが、B前駆細
胞であることの指標の一つである。結果を図51乃至図
54に示した。さらに、該フローサイトメトリーで得ら
れた結果を、数値化し、細胞数及び算出した増殖率を表
7に示した。
【0074】
【表7】
【0075】該図から明らかなように、実施例5におい
てHESS-5、HESS-18及びHESS-M28の各々との共培養(一
次培養)により増幅、製造された各々のCD34high+CD38
low/-細胞、並びにヒト臍帯血から単離した新鮮なCD34
high+CD38low/-細胞を、HESS-5と再度共培養(二次培
養)することにより、いずれの細胞群においてもB前駆
細胞が誘導された。また、各々のHESS-5二次培養系で増
幅、製造されるB前駆細胞の特性(図52(先にHESS-5
上で増幅)、図53(先にHESS-18上で増幅)及び図5
4(先にHESS-M28上で増幅))は、ヒト臍帯血から単離
した新鮮なCD34high+CD38low/-細胞をHESS-5と共培養し
て得られるB前駆細胞の特性(図51)と同一であっ
た。また、表7から明らかなように、各々のHESS-5二次
培養系で達成されるB前駆細胞への分化の特性は、増殖
細胞数及び増殖率の観点からも、ヒト臍帯血から単離し
た新鮮なCD34high+CD38low/-細胞のHESS-5を用いた二次
培養における結果とほぼ同じであった。このことから、
ヒト臍帯血から単離した新鮮なCD34陽性細胞をマウスス
トローマ細胞株(HESS-5、HESS-18、及びHESS-M28)と
共培養して増幅されるCD34陽性細胞は、ソースとして用
いたヒト臍帯血から単離した新鮮なCD34陽性細胞と同一
の特性を有する細胞であり、また本願発明の方法を用い
れば、B前駆細胞等へ分化することができる多分化能を
有するヒト生体に存在する天然のCD34陽性細胞、特によ
り未分化な造血幹細胞であるCD34high+CD38low/-細胞を
簡便に大量に製造できることが明らかとなった。
【0076】実施例18.細胞培養器具の製造 本願発明の方法によるCD34造血幹細胞の製造を、医療現
場及び/または産業上で簡便に実施するための細胞培養
器具を設計、作成した。なお、下記に記載される器具
は、単なる一例であり、本願発明の器具が該一例に限定
されるものではないことは言うまでもない。本実施例に
示される器具は、図33に例示されるような構成を有
し、各々の要素(部材)は、下記のような性状を有す
る。 (1)第1の膜 <材質>ポリエチレンテレフタレート <孔径>0.4〜0.45マイクロメーター <孔数>約10孔/cm2 <大きさ>縦12cm×横10cm <厚さ>12ミクロン (2)第2の膜、及び第3の膜 <材質>市販品のバッグであるSi CULTURE BAG(Tissue
Culture Supplies &Consumables社製、USA;代理店:
和光純薬)と同一の材質の膜 <大きさ>縦12cm×横10cm <性質>二酸化炭素透過性 (3)不溶性の枠 <材質>硬質プラスチック <厚さ>約1.5ミリメートル <外径>縦12cm×横10cm <内径>縦10cm×横8cm <枠幅>四方ともに1cm (4)管(第1の膜と第2の膜との間及び第1の膜と第
3の膜の間に配備される) <材質>シリコンチューブ <内径>約2〜3ミリメートル <長さ>約16cm。 前記(3)のプラスチック枠の部分に固定される部分
(約1cm。枠より内部には突出しないのが好ましい。)
及び前記(2)のバッグの外に出る約14cmからなる。
チューブの末端(バッグ外)には、開栓及び閉栓できる
ルアーロック式のアダプターを配備した。 (5)器具の構築 第1の膜(1)を、プラスチック枠(3)の四方の枠部
分に常法に従って、剥がれないように強固に圧着させた
(なお、不溶性の接着剤で接着させることも可能であ
る)。次いで、このプラスチック枠の上面及び下面の各
々の四方の枠部分に、常法に従って、第2の膜及び第3
の膜を、剥がれず、また培養液や細胞が器具の外に漏出
しないように強固に圧着させた(なお、不溶性の接着剤
で接着させることも可能である)。なお、該第1の膜を
張り付けたプラスチック枠への第2の膜の圧着に際して
は、枠の一辺にシリコンチューブ(4)を同時に取り付
けた。第3の膜の圧着に際しても同様に該チーブを取り
付けた。このようにして、その内部に2つの遮蔽系を有
し、該各々の系(バッグ内)に空気、液体及び細胞を注
入、及び該系からそれらを排出可能な2本のチューブを
配した2層構造の培養バッグを作製した。第1の膜と第
2の膜との間に形成された遮蔽系に、該シリコンチュー
ブを通じて、Myelocult H5100栄養培地(30ml,12.
5%馬血清、12.5%牛胎児血清、10-4Mの2−メルカプトエ
タノールを含むαMEM培地;Stem Cell Technologies
Inc.製)中に懸濁させた前述の種々のマウスストロー
マ細胞株(例えば、HESS-5)を注入し、該第1の膜上に
該ストローマ細胞を接着させた。次いで、該チューブを
通じて、遮蔽系から空気を除去した。一方、第1の膜と
第3の膜との間に形成された遮蔽系に、シリコンチュー
ブを通じ、組換えヒトIL-3及び組換えヒトSCFを含有す
るMyelocult H5100栄養培地中に懸濁させたヒト臍帯血
由来CD34陽性細胞を注入した。次いで、該チューブを通
じて、遮蔽系から空気を除去した。培養バッグを静置し
て、CO2インキュベーター内で、培養し、CD34陽性造
血幹細胞を増幅させた。
【0077】
【発明の効果】臍帯血は採取量が限られているため、40
kg以下の個体にしか移植が困難であるなど、実際に臍帯
血幹細胞移植が骨髄移植に代わりうる様になるためには
解決すべき点は多かった。しかしながら、本発明の方法
を用いれば、大量のヒトCD34陽性幹細胞(特にCD34
high+CD38low/-細胞)を短期間の培養により簡便に製造
することが可能であることから、任意の成人患者にも移
植できる上に、数回にわたる継続投与が可能となる。臍
帯血を一度採取しておけば必要なときに必要な量だけ造
血幹細胞を供給することができる。また本発明によれ
ば、骨髄移植においても大量の骨髄細胞を必要とせず、
しかも骨髄の採取に伴うドナーの心身への負担や安全性
の問題などを回避することができる。また、造血幹細胞
を自己増殖させることにより、急性白血病をはじめとす
る腫瘍性疾患や重症免疫不全、先天性酵素異常症、再生
不良性貧血などの疾患に対し必要最小限の造血幹細胞の
採取で治療できると共に、出産に伴って世界中で廃棄さ
れている臍帯血を有効に活用し、幅の広い移植抗原を有
する造血幹細胞を保有することによって移植抗原の適合
する移植を可能とするため重症の急性移植片対宿主病
(GVHD)のリスクを極めて軽減することができる。臍帯
血幹細胞を保存する場合、本発明を用いれば、効率的な
保存が可能であると共に、保存量の大幅な減少につなが
り、また一度採取した血液を登録しておくことでより効
率的な造血幹細胞バンクを構築することができる。さら
に、増殖した細胞を凍結保存などの長期保存を行うこと
により、必要なときに必要とされる移植抗原を有するCD
34陽性細胞を素早く使用することができる。さらに、本
発明の細胞培養器具を用いれば、所望の細胞(具体的に
はCD34陽性細胞)と第2の細胞(具体的にはストローマ
細胞)とが互いに異種動物であったり(例えばストロー
マ細胞がマウス由来の細胞でCD34陽性細胞がヒト由来の
細胞である場合)、違う個体から採取した細胞であって
も、互いの細胞を分離・精製することが極めて容易にで
きるため、ヒトCD34陽性細胞の移植を素早くかつ安全に
行うことができる。
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】造血幹細胞(多能性造血幹細胞)から血液中の
血球細胞(T細胞、B細胞、赤血球、血小板、好酸球、単
球、好中球、好塩基球)に分化・成熟していく過程を示
した図。
【図2】ストローマ細胞とCD34陽性細胞が培地(培養
液)中で直接接触し、CD34陽性細胞を増殖させる方法を
示した図。
【図3】ストローマ細胞とCD34陽性細胞を膜で隔て、互
いの細胞が直接接触していない状態でCD34陽性細胞を増
殖させる方法を示した図。(a)は支持膜が1層の場合
であり、(b)は支持膜が2層の場合であり、(c)は
支持膜を支持具で支えた状態であり、(d)は支持膜を
支持台で支えた状態を示している。
【図4】所望の細胞と第2の細胞、具体的にはCD34陽性
細胞とストローマ細胞を膜で隔て、互いの細胞が通過し
混じり合うことはない状態で培養する方法を示した図。
(a)は支持膜が1層の場合であり、(b)は支持膜が
2層の場合であり、かつ一方の支持膜と所望の細胞は離
れた状態であり、(c)は支持膜が2層の場合であり、
かつ所望の細胞が両支持膜に接触している状態を示して
いる。
【図5】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のSSCとFSCに
よる血球細胞の分布を示した図。
【図6】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のFITC標識抗
CD34抗体とPE標識抗CD33抗体による血球細胞の分布を示
した図。
【図7】ストローマ細胞の非存在下、サイトカイン(rh
-IL-3及びrh-SCF)の存在下で10日間培養した後のSSC
とFSCによる血球細胞の分布を示した図。
【図8】ストローマ細胞の非存在下、サイトカイン(rh
-IL-3及びrh-SCF)の存在下で10日間培養した後のFIT
C標識抗CD34抗体とPE標識抗CD33抗体による血球細胞の
分布を示した図。
【図9】ハイドロコルチゾンの存在下または非存在下、
かつサイトカインの存在下または非存在下で増殖する全
血球細胞数を示した図。
【図10】ハイドロコルチゾンの存在下または非存在
下、かつサイトカインの存在下または非存在下で増殖す
るCD34強陽性細胞数を示した図。
【図11】rh-SCF及びrh-IL-3の存在下、HESS-5の存在
下または非存在下における、投入細胞数の違いによる全
血球細胞数の増加倍率を示した図。
【図12】rh-SCF及びrh-IL-3の存在下、HESS-5の存在
下または非存在下における、投入細胞数の違いによるCD
34強陽性細胞の増加倍率を示した図。
【図13】ストローマ細胞の存在下または非存在下で培
養することによるHPP-CFC(直径2.5mm以上)のコロニー
数の増加を示した図。
【図14】ストローマ細胞の存在下または非存在下で培
養することによるHPP-CFC(直径1.0mm以上2.5mm未満)
のコロニー数の増加を示した図。
【図15】ストローマ細胞の存在下または非存在下で培
養することによるCFU-GMのコロニー数の増加を示した
図。
【図16】ストローマ細胞の存在下または非存在下で培
養することによるBFU-E及びCFU-GEMMコロニーからなる
赤芽球系のコロニー数の増加を示した図。
【図17】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下で10日間培養
した後のSSCとFSCによる血球細胞の分布を示した図。
【図18】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下で10日間培養
した後のFITC標識抗CD34抗体とPE標識抗CD33抗体による
血球細胞の分布を示した図。
【図19】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カインの非存在下で10日間培養した後のSSCとFSCによ
る血球細胞の分布を示した図。
【図20】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カインの非存在下で10日間培養した後のFITC標識抗CD
34抗体とPE標識抗CD33抗体による血球細胞の分布を示し
た図。
【図21】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のSSCとFSC
による血球細胞の分布を示した図。
【図22】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下でin vitro培養
し増殖した細胞から再分離したCD34陽性細胞のSSCとFSC
による血球細胞の分布を示した図。
【図23】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のFITC標識
した抗CD34抗体とPE標識した抗CD33抗体によるCD34陽性
細胞の分布を示した図。
【図24】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下でin vitro培養
し増殖した細胞から再分離したCD34陽性細胞のFITC標識
抗CD34抗体とPE標識抗CD33抗体によるCD34陽性細胞の分
布を示した図。
【図25】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のFITC標識
抗CD34抗体とPE標識抗CD38抗体によるCD34陽性細胞の分
布を示した図。
【図26】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下でin vitro培養
し、増殖した細胞から再分離したCD34陽性細胞のFITC標
識した抗CD34抗体とPE標識した抗CD38抗体によるCD34陽
性細胞の分布を示した図。
【図27】臍帯血より分離したCD34陽性細胞のFITC標識
抗CD34抗体とPE標識抗CD13抗体によるCD34陽性細胞の分
布を示した図。
【図28】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下でin vitro培養
し増殖した細胞から再分離したCD34陽性細胞のFITC標識
抗CD34抗体とPE標識抗CD13抗体によるCD34陽性細胞の分
布を示した図。
【図29】臍帯血より分離したCD34陽性細胞の細胞周期
を示した図。
【図30】ストローマ細胞(HESS-5)の存在下、サイト
カイン(rh-IL-3及びrh-SCF)の存在下で10日間培養
した後、再分離したのCD34陽性細胞の細胞周期を示した
図。
【図31】ストローマ細胞を膜に接着させ、CD34陽性細
胞を膜に接着または非接着させることによる培養方法下
での全血球細胞の増加を示した図。
【図32】ストローマ細胞を膜に接着させ、CD34陽性細
胞を膜に接着または非接着させることによる培養方法下
でのCD34強陽性細胞の増加を示した図。
【図33】細胞を培養するための器具の構成を例示的に
示す図。
【図34】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を含む細胞群の
特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を
示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、
細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD
34及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を
示し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割された各々
領域に記載された数値は、該領域内に分布する細胞の総
細胞数に対する百分率を示す。
【図35】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞の非存在下で培養して得られる全造血幹細胞群の特
性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示
し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細
胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34
及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示
し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割された各々領
域に記載された数値は、該領域内に分布する細胞の総細
胞数に対する百分率を示す。
【図36】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-5の共存下で培養して得られる全造血幹細胞
群の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密
度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)
は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗
原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状
態を示し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割された
各々領域に記載された数値は、該領域内に分布する細胞
の総細胞数に対する百分率を示す。
【図37】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-18の共存下で培養して得られる全造血幹細
胞群の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞
密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FS
C)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分
化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発
現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割さ
れた各々領域に記載された数値は、該領域内に分布する
細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図38】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HENS-M12の共存下で培養して得られる全造血幹細
胞群の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞
密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FS
C)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分
化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発
現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割さ
れた各々領域に記載された数値は、該領域内に分布する
細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図39】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-M28の共存下で培養して得られる全造血幹細
胞群の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞
密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FS
C)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分
化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発
現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示す。4分割さ
れた各々領域に記載された数値は、該領域内に分布する
細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図40】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-5の共存下で培養して得られる造血幹細胞群
から単離したCD34陽性細胞の特性を示す図。分図(a)
は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞
密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示す。分
図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現状態を
示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34の発現
状態を示す。4分割された各々領域に記載された数値
は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対する百分率
を示す。
【図41】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-18の共存下で培養して得られる造血幹細胞
群から単離したCD34陽性細胞の特性を示す図。分図
(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)
は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示
す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現
状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34
の発現状態を示す。4分割された各々領域に記載された
数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対する百
分率を示す。
【図42】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞を、ストローマ
細胞株HESS-M28の共存下で培養して得られる造血幹細胞
群から単離したCD34陽性細胞の特性を示す図。分図
(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)
は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示
す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現
状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34
の発現状態を示す。4分割された各々領域に記載された
数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対する百
分率を示す。
【図43】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞群から単離した
CD34high+CD38low/-細胞群の特性を示す図。分図(a)
は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞
密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示す。分
図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現状態を
示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34の発現
状態を示す。4分割された各々領域に記載された数値
は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対する百分率
を示す。
【図44】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞群
から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群の特性を示す
図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸
(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大き
さを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD38
の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横軸
はCD34の発現状態を示す。4分割された各々領域に記載
された数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対
する百分率を示す。
【図45】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-18の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群の特性を示
す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦
軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大
きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD
38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横
軸はCD34の発現状態を示す。4分割された各々領域に記
載された数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に
対する百分率を示す。
【図46】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-M28の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群の特性を示
す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦
軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大
きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及びCD
38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、横
軸はCD34の発現状態を示す。4分割された各々領域に記
載された数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に
対する百分率を示す。
【図47】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞群から単離した
CD34high+CD38low/-細胞群を、マウスストローマ細胞HE
SS-5と共培養して得られたCD34陽性造血幹細胞の特性を
示す図。分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、
縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の
大きさを示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD34及び
CD38の発現状態を示し、縦軸はCD38の発現状態を示し、
横軸はCD34の発現状態を示す。4分割された各々領域に
記載された数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数
に対する百分率を示す。
【図48】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞群
から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらにス
トローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD34
陽性造血幹細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の形
態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示
し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)
は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦
軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示
す。4分割された各々領域に記載された数値は、該領域
内に分布する細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図49】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-18の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらに
ストローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD
34陽性造血幹細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の
形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示
し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)
は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦
軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示
す。4分割された各々領域に記載された数値は、該領域
内に分布する細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図50】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-M28の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらに
ストローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD
34陽性造血幹細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の
形態及び細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示
し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)
は細胞表面分化抗原CD34及びCD38の発現状態を示し、縦
軸はCD38の発現状態を示し、横軸はCD34の発現状態を示
す。4分割された各々領域に記載された数値は、該領域
内に分布する細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図51】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞群から単離した
CD34high+CD38low/-細胞群を、マウスストローマ細胞HE
SS-5と共培養して得られたB前駆細胞の特性を示す図。
分図(a)は細胞の形態及び細胞密度を示し、縦軸(SS
C)は細胞密度を示し、横軸(FSC)は、細胞の大きさを
示す。分図(b)は細胞表面分化抗原CD10及びCD19の発
現状態を示し、縦軸はCD10の発現状態を示し、横軸はCD
19の発現状態を示す。4分割された各々領域に記載され
た数値は、該領域内に分布する細胞の総細胞数に対する
百分率を示す。
【図52】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-5の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞群
から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらにス
トローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたB前
駆細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び細
胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸(F
SC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表面分
化抗原CD10及びCD19の発現状態を示し、縦軸はCD10の発
現状態を示し、横軸はCD19の発現状態を示す。4分割さ
れた各々領域に記載された数値は、該領域内に分布する
細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図53】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-18の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらに
ストローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたB
前駆細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び
細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸
(FSC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表
面分化抗原CD10及びCD19の発現状態を示し、縦軸はCD10
の発現状態を示し、横軸はCD19の発現状態を示す。4分
割された各々領域に記載された数値は、該領域内に分布
する細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
【図54】ヒト臍帯血由来CD34陽性細胞をストローマ細
胞株HESS-M28の共存下で培養して得られたCD34陽性細胞
群から単離されたCD34high+CD38low/-細胞群を、さらに
ストローマ細胞株HESS-5の共存下で培養して得られたB
前駆細胞の特性を示す図。分図(a)は細胞の形態及び
細胞密度を示し、縦軸(SSC)は細胞密度を示し、横軸
(FSC)は、細胞の大きさを示す。分図(b)は細胞表
面分化抗原CD10及びCD19の発現状態を示し、縦軸はCD10
の発現状態を示し、横軸はCD19の発現状態を示す。4分
割された各々領域に記載された数値は、該領域内に分布
する細胞の総細胞数に対する百分率を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 35/50 A61K 35/50 C12M 3/00 C12M 3/00 A //(C12N 5/06 C12R 1:91)

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトのCD34陽性細胞を、ヒトのCD34陽性
    細胞を増殖させる能力を有する哺乳動物由来のストロー
    マ細胞を含む栄養培地中で培養することにより該ヒトの
    CD34陽性細胞を増殖させることを特徴とするヒトのCD34
    陽性細胞の製造方法。
  2. 【請求項2】 培養により製造されるCD34陽性細胞が、
    CD34強陽性細胞であることを特徴とする請求項1に記載
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 CD34陽性細胞が、臍帯血、骨髄、肝臓、
    脾臓又は末梢血に由来するCD34陽性細胞であることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ストローマ細胞が、マウス由来のストロ
    ーマ細胞または該ストローマ細胞を含むマウスの組織で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか
    に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ストローマ細胞が、HESS-1、HESS-5(国
    際寄託番号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番
    号:FERM BP-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM B
    P-6186)、SSXL CL.1、SSXL CL3、SSXL CL.7、SSXL CL.
    9及びSSXL CL.17と各々命名されたマウス由来のストロ
    ーマ細胞からなる群から選ばれる1種又は2種以上のス
    トローマ細胞であることを特徴とする請求項4に記載の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 ストローマ細胞が、HESS-5(国際寄託番
    号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM BP
    -6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERM BP-6186)及
    びSSXL CL.3と各々命名されたマウス由来のストローマ
    細胞株からなる群から選ばれるストローマ細胞であるこ
    とを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 培養を、サイトカインの存在下で行うこ
    とを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 サイトカインが、インターロイキン−
    3、幹細胞因子(SCF)、顆粒球コロニー刺激因子(G-C
    SF)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CS
    F)、flk2/flt3-リガンド、マクロファージ由来炎症性
    タンパク1α(MIP-1α)及びエリスロポエチン(EPO)
    からなる群から選ばれる1種または2種以上のサイトカ
    インであることを特徴とする請求項7に記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 CD34陽性細胞が、ストローマ細胞と接触
    状態、非接触状態または間接接触状態で培養されること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 CD34陽性細胞が、ストローマ細胞と間
    接接触状態で培養されることを特徴とする請求項1乃至
    請求項8のいずれかに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
    記載の製造方法によって得られるヒトのCD34陽性細胞。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項10のいずれかに
    記載の製造方法によって得られるヒトのCD34陽性細胞と
    薬学的に許容され得る担体とからなる医薬組成物。
  13. 【請求項13】 国際寄託番号FERM BP-6187で識別され
    るマウス由来のストローマ細胞株。
  14. 【請求項14】 国際寄託番号FERM BP-6186で識別され
    るマウス由来のストローマ細胞株。
  15. 【請求項15】 培養容器と該培養容器内に保持された
    細胞を支持するための少なくとも1つの支持体からなる
    培養器具であって、該支持体はCD34陽性細胞又はストロ
    ーマ細胞の少なくとも一方を培地中に播種支持するため
    の支持膜と該支持膜を容器に固定させるための支持具か
    らなることを特徴とするCD34陽性細胞を増殖培養するた
    めの培養器具。
  16. 【請求項16】 細胞を培養するための器具であって、
    少なくとも下記の部材から構成されることを特徴とする
    器具: (a)栄養培地及びサイトカインを透過することがで
    き、細胞を通過させることができない第1の膜; (b)該第1の膜の上面側に配備され、二酸化炭素を透
    過させることができ、液体を透過させることができない
    第2の膜(ここで、該2つの膜は、下記(d)の管が配
    備されることによる開口部を除き、該2つの膜の間に、
    該器具の外に液体が漏出しないような内容積を有する遮
    蔽系が形成されるように配備される。); (c)該第1の膜の下面側に配備され、二酸化炭素を透
    過させることができ、液体を透過させることができない
    第3の膜(ここで、該2つの膜は、下記(e)の管が配
    備されることによる開口部を除き、該2つの膜の間に、
    該器具の外に液体が漏出しないような内容積を有する遮
    蔽系が形成されるように配備される。); (d)該第1の膜と第2の膜との間に配備され、液体、
    栄養培地及び細胞を注入または排出させることができる
    第1の管;及び (e)該第1の膜と第3の膜との間に配置され、液体、
    栄養培地及び細胞を注入または排出させることができる
    第2のの管。
  17. 【請求項17】 第1の膜と第2の膜との間、または第
    1の膜と第3の膜との間に形成される内容積を有する遮
    蔽系のいずれかが、該2つの膜の一方を不溶性の枠の片
    面に配備し、また他方の膜を該枠の他の面に配備するこ
    とにより形成されることを特徴とする請求項16に記載
    の器具。
  18. 【請求項18】 第1の膜と第2の膜との間及び第1の
    膜と第3の膜との間に形成される内容積を有する遮蔽系
    の各々に栄養培地を含んでおり、かつ第1の膜のいずれ
    か一方の面に細胞が接着していることを特徴とする請求
    項16または請求項17に記載の器具。
  19. 【請求項19】 細胞が、哺乳動物のストローマ細胞で
    あることを特徴とする請求項18に記載の器具。
  20. 【請求項20】 第1の膜と第2の膜との間、または第
    1の膜と第3の膜との間に形成される内容積を有する遮
    蔽系のいずれかに、哺乳動物のストローマ細胞が含まれ
    ていることを特徴とする請求項16または請求項17に
    記載の器具。
  21. 【請求項21】 ストローマ細胞が、ヒトのCD34陽性細
    胞を増殖させる能力を有するストローマ細胞であること
    を特徴とする請求項19または請求項20に記載の器
    具。
  22. 【請求項22】 ストローマ細胞が、HESS-5(国際寄託
    番号:FERM BP-5768)、HESS-18(国際寄託番号:FERM
    BP-6187)、HESS-M28(国際寄託番号:FERMBP-6186)及
    びSSXL CL.3と各々命名されたマウス由来のストローマ
    細胞株からなる群から選ばれるストローマ細胞であるこ
    とを特徴とする請求項21に記載の器具。
  23. 【請求項23】 請求項15乃至請求項22のいずれか
    に記載の器具を用いることを特徴とするヒトのCD34陽性
    細胞の製造方法。
JP9352216A 1997-02-26 1997-12-04 造血幹細胞の製造方法 Pending JPH10295369A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9352216A JPH10295369A (ja) 1997-02-26 1997-12-04 造血幹細胞の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9-59951 1997-02-26
JP5995197 1997-02-26
JP9352216A JPH10295369A (ja) 1997-02-26 1997-12-04 造血幹細胞の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10295369A true JPH10295369A (ja) 1998-11-10

Family

ID=26401015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9352216A Pending JPH10295369A (ja) 1997-02-26 1997-12-04 造血幹細胞の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10295369A (ja)

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002534393A (ja) * 1998-12-30 2002-10-15 アプライド・リサーチ・システムズ・エイアールエス・ホールディング・ナムローゼ・フェンノートシャップ 多能性造血幹細胞の動員を刺激するためのヒト成長ホルモン
JP2003501081A (ja) * 1999-06-03 2003-01-14 サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク 幹細胞の増殖工程
WO2004078225A1 (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Amniotec Inc. 羊膜由来医用材料、及びその作製方法
JP2006061106A (ja) * 2004-08-27 2006-03-09 Hiroo Iwata 造血幹細胞の製造方法
JP2006509770A (ja) * 2002-11-26 2006-03-23 アンソロジェネシス コーポレーション 細胞治療学、細胞治療単位、およびそれらを利用した治療法
WO2007040123A1 (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Nihon University ヒトt前駆細胞およびb前駆細胞の検出方法
JPWO2005014149A1 (ja) * 2003-08-07 2007-09-27 旭化成株式会社 複合多孔膜とその製造方法
JP2008531007A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 エラスムス ユニバーシティ メディカル センター ヒト造血幹細胞集団を取得する方法
US7556801B2 (en) 2000-11-03 2009-07-07 Kourion Therapeutics Gmbh Human cord blood derived unrestricted somatic stem cells (USSC)
WO2009113595A1 (ja) 2008-03-11 2009-09-17 独立行政法人理化学研究所 造血幹/前駆細胞の特性を有する細胞の製造方法
WO2010098079A1 (ja) 2009-02-24 2010-09-02 学校法人金沢医科大学 有核赤血球の脱核方法及び脱核誘導剤
JP2010263907A (ja) * 2003-04-08 2010-11-25 Yeda Research & Devlopment Co Ltd 化学誘引物質に対する増大させた感受性を有する幹細胞およびそれを産生および使用する方法
JP2013128458A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Hitachi Ltd 包装容器
WO2014132936A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 国立大学法人 富山大学 胎盤・胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法
JP2015065942A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 富士フイルム株式会社 細胞培養担体および細胞培養容器
JP2015065946A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 富士フイルム株式会社 細胞培養担体および細胞培養容器
JP2015074639A (ja) * 2013-10-10 2015-04-20 国立大学法人 東京大学 造血幹細胞移植用の組合せ細胞製剤および生着促進剤並びにこれらの製造方法

Cited By (27)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002534393A (ja) * 1998-12-30 2002-10-15 アプライド・リサーチ・システムズ・エイアールエス・ホールディング・ナムローゼ・フェンノートシャップ 多能性造血幹細胞の動員を刺激するためのヒト成長ホルモン
JP4808316B2 (ja) * 1998-12-30 2011-11-02 メルク・セローノ・ソシエテ・アノニム 多能性造血幹細胞の動員を刺激するためのヒト成長ホルモン
JP2003501081A (ja) * 1999-06-03 2003-01-14 サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シャンティフィク 幹細胞の増殖工程
US7556801B2 (en) 2000-11-03 2009-07-07 Kourion Therapeutics Gmbh Human cord blood derived unrestricted somatic stem cells (USSC)
US7560280B2 (en) 2000-11-03 2009-07-14 Kourion Therapeutics Gmbh Human cord blood derived unrestricted somatic stem cells (USSC)
JP2006509770A (ja) * 2002-11-26 2006-03-23 アンソロジェネシス コーポレーション 細胞治療学、細胞治療単位、およびそれらを利用した治療法
WO2004078225A1 (ja) * 2003-02-26 2004-09-16 Amniotec Inc. 羊膜由来医用材料、及びその作製方法
JPWO2004078225A1 (ja) * 2003-02-26 2006-06-08 アルブラスト株式会社 羊膜由来医用材料、及びその作製方法
JP2010263907A (ja) * 2003-04-08 2010-11-25 Yeda Research & Devlopment Co Ltd 化学誘引物質に対する増大させた感受性を有する幹細胞およびそれを産生および使用する方法
JP4863714B2 (ja) * 2003-08-07 2012-01-25 旭化成クラレメディカル株式会社 複合多孔膜とその製造方法
US8999167B2 (en) 2003-08-07 2015-04-07 Asahi Kasei Medical Co., Ltd. Composite porous membrane and process for producing the same
JPWO2005014149A1 (ja) * 2003-08-07 2007-09-27 旭化成株式会社 複合多孔膜とその製造方法
JP2012006010A (ja) * 2003-08-07 2012-01-12 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 複合多孔膜とその製造方法
JP2006061106A (ja) * 2004-08-27 2006-03-09 Hiroo Iwata 造血幹細胞の製造方法
JP4706208B2 (ja) * 2004-08-27 2011-06-22 株式会社アイル 造血幹細胞の製造方法
JP2008531007A (ja) * 2005-02-25 2008-08-14 エラスムス ユニバーシティ メディカル センター ヒト造血幹細胞集団を取得する方法
WO2007040123A1 (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Nihon University ヒトt前駆細胞およびb前駆細胞の検出方法
JPWO2007040123A1 (ja) * 2005-09-30 2009-04-16 学校法人日本大学 ヒトt前駆細胞およびb前駆細胞の検出方法
WO2009113595A1 (ja) 2008-03-11 2009-09-17 独立行政法人理化学研究所 造血幹/前駆細胞の特性を有する細胞の製造方法
WO2010098079A1 (ja) 2009-02-24 2010-09-02 学校法人金沢医科大学 有核赤血球の脱核方法及び脱核誘導剤
JP2013128458A (ja) * 2011-12-22 2013-07-04 Hitachi Ltd 包装容器
WO2014132936A1 (ja) * 2013-02-28 2014-09-04 国立大学法人 富山大学 胎盤・胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法
JPWO2014132936A1 (ja) * 2013-02-28 2017-02-02 国立大学法人富山大学 胎盤・胎盤周囲組織幹細胞の選択的増幅方法
JP2015065942A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 富士フイルム株式会社 細胞培養担体および細胞培養容器
JP2015065946A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 富士フイルム株式会社 細胞培養担体および細胞培養容器
US9677037B2 (en) 2013-09-30 2017-06-13 Fujifilm Corporation Cell culture carrier and cell culture vessel
JP2015074639A (ja) * 2013-10-10 2015-04-20 国立大学法人 東京大学 造血幹細胞移植用の組合せ細胞製剤および生着促進剤並びにこれらの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Kawada et al. Rapid ex vivo expansion of human umbilical cord hematopoietic progenitors using a novel culture system
Li et al. Human cord cell hematopoiesis in three-dimensional nonwoven fibrous matrices: in vitro simulation of the marrow microenvironment
Danet et al. Dissociation between stem cell phenotype and NOD/SCID repopulating activity in human peripheral blood CD34+ cells after ex vivo expansion
Douay Experimental culture conditions are critical for ex vivo expansion of hematopoietic cells
JPH10295369A (ja) 造血幹細胞の製造方法
Mayani et al. Biology of human hematopoietic stem and progenitor cells present in circulation
CA2565581C (en) Apparatus and methods for amplification of blood stem cell numbers
US8278101B2 (en) Stem cell bioprocessing and cell expansion
EP1904624B1 (en) Method for culturing and proliferating hematopoietic stem cells and progenitor cells using human endometrial cells
JP2007536936A (ja) 幹細胞集団および使用方法
CN109652369B (zh) 利用外周血体外制备成熟红细胞的方法及制剂
US20230106769A1 (en) Serum-free medium and culturing method suited for culturing blood cells such as human hematopoietic stem cells
CA2632288A1 (en) Methods of improving stem cell homing and engraftment
JP4706208B2 (ja) 造血幹細胞の製造方法
Kim et al. Ex Vivo Expansion of Human Umbilical Cord Blood CD34+ Cells in a Collagen Bead—Containing 3-Dimensional Culture System
US20030022363A1 (en) Device and a process for expansion of haemopoeitic stem cells for therapeutic use
JP2004222502A (ja) 造血幹細胞増幅法
CN107864627A (zh) 包含粘附基质细胞的方法和组合物
JP2009296889A (ja) 造血幹細胞の培養方法
CA2219869A1 (en) Human cd-34 hematopoietic stem cells
DAVID et al. Expansion of blood CD34+ cells: committed precursor expansion does not affect immature hematopoietic progenitors
KR100773253B1 (ko) 성체줄기세포와의 공동배양을 통한 조혈모세포의 배양 및증식방법
JP2008237136A (ja) ヒト造血細胞の培養方法
JP2004024089A (ja) 細胞培養器材及び細胞培養培地及び細胞培養キット及び細胞培養方法
Haylock et al. Ex vivo hematopoietic progenitor cell expansion

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051209

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060418