JP2015065942A - 細胞培養担体および細胞培養容器 - Google Patents

細胞培養担体および細胞培養容器 Download PDF

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Abstract

【課題】細胞の生存率を大きく向上することができる細胞培養担体および細胞培養容器を提供する。
【解決手段】厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体であって、複数のマイクロポアの平均密度は、1個/μm2以上15000個/μm2以下であり、平均開口率が51%以上である細胞培養担体。
【選択図】図1

Description

本発明は、細胞培養担体および細胞培養容器に関し、特に、複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜を用いた細胞培養担体および細胞培養容器に関する。
近年、細胞培養技術の発展に伴い、細胞の増殖を促進するための様々な細胞培養担体が開発されている。一般的に、細胞培養担体は、細胞培養容器において細胞培養液を収容する培養室内に備えられ、その表面上に付着した細胞の増殖を促進するためのものであり、細胞の生存率を高く保つことができる。
このような細胞培養担体としては、厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜から構成されたものがあり、例えば、特許文献1には、「アルミニウムの陽極酸化皮膜の表面および/または細孔(マイクロポア)の内部に無機材料を有する細胞培養用メンブレン(細胞培養担体)。」が開示されている(請求項1)。
特開2010−226975号公報
本発明者は、特許文献1に記載された細胞培養担体を用いて細胞培養を行ったところ、細胞の生存率に改善の余地があることを明らかとした。
そこで、本発明は、細胞の生存率を大きく向上することができる細胞培養担体および細胞培養容器を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、細胞培養担体の平均開口率を51%以上とすることにより、細胞の生存率が大きく向上することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の細胞培養担体および細胞培養容器を提供する。
(1)厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体であって、
複数のマイクロポアの平均密度は、1個/μm2以上15000個/μm2以下であり、
平均開口率が51%以上である細胞培養担体。
(2)複数のマイクロポアの平均開口径が、40nm以上100nm以下である(1)に記載の細胞培養担体。
(3)厚みが10μm以上300μm以下である(1)または(2)に記載の細胞培養担体。
(4)細胞培養液を収容する培養室を有する少なくとも1つの培養ウェルと、
細胞が付着する表面が培養室内に位置し且つ表面から裏面まで細胞培養液で満たされるように配置される(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞培養担体とを備える細胞培養容器。
(5)細胞培養担体が、表面および裏面が培養室内に位置するように配置される(4)に記載の細胞培養容器。
(6)培養室より多くの細胞培養液を収容する収容室を有する受容部をさらに備え、
細胞培養担体が、培養ウェルの底板部の少なくとも一部を構成し、
培養ウェルが、底板部が収容室内に位置するように配置され、培養室が複数のマイクロポアを介して収容室に連通する(4)に記載の細胞培養容器。
(7)培養ウェルが、底板部の側部から受容部の側部に向かって平板状に延びる拡張部を有し、
受容部が、側部に拡張部を支持する支持部を有する(6)に記載の細胞培養容器。
(8)拡張部が、厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなり、細胞培養担体と一体に設けられる(7)に記載の細胞培養容器。
本発明によれば、細胞の生存率を大きく向上することができる細胞培養担体および細胞培養容器を提供することができる。
本発明の細胞培養担体の好適な実施形態の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線Ib−Ibからみた断面図である。 本発明の細胞培養担体の変形例を示す断面図である。 本発明の細胞培養担体の他の変形例を示す断面図である。 本発明の細胞培養担体のさらに他の変形例を示す断面図である。 本発明の細胞培養容器の好適な実施形態の一例を示す断面図である。 本発明の細胞培養容器の変形例を示す断面図である。 本発明の細胞培養容器の他の変形例を示す断面図である。 細胞培養容器の細胞培養液を交換する方法の一例を示す断面図である。 細胞培養容器の細胞培養液を交換する方法の変形例を示す断面図である。
以下に、本発明の細胞培養担体および細胞培養容器を詳細に説明する。
本発明の細胞培養担体は、厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体であって、複数のマイクロポアの平均密度は、1個/μm2以上15000個/μm2以下であり、平均開口率が51%以上である細胞培養担体である。
次に、本発明の細胞培養担体について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明の細胞培養担体の好適な実施態様の一例を示す簡略図であり、図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の切断面線Ib−Ibからみた断面図である。
本発明の細胞培養担体1は、表面2から裏面3まで厚み方向Zに貫通する複数のマイクロポア4を有する。この複数のマイクロポア4は、表面側開口部5および裏面側開口部6を有し、表面側開口部5と裏面側開口部6とが厚み方向Zに真っすぐ延びる細胞培養担体1の内周面7により接続されている。すなわち、表面側開口部5の平均開口径Aと裏面側開口部6の平均開口径Bとが同じ値となるように形成されている。
ここで、本発明の細胞培養担体1は、複数のマイクロポア4が1個/μm2以上15000個/μm2以下の平均密度で形成されており、平均開口率が51%以上である。
本発明の細胞培養担体1においては、上述したように、細胞の生存率を大きく向上させるために、平均開口率が51%以上となるように複数のマイクロポア4を形成している。すなわち、細胞培養担体1が後述する細胞培養容器に配置された際に、細胞培養液が複数のマイクロポア4を介して表面2側および裏面3側に流通する流通量を大きく増加することができ、表面2上で培養される細胞の周囲に存在する細胞培養液を順次入れ換えることで、細胞の生存率を大きく向上させることができる。
なお、細胞培養担体の平均開口率は、複数のマイクロポアを流通する細胞培養液の流通量がさらに増加する理由から、58%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましい。また、細胞培養担体の平均開口率は、90%以下であることが好ましい。
ここで、平均開口率は、(表面の開口率+裏面の開口率)/2で表すことができる。なお、表面の開口率は、表面開口部の面積/表面の面積で表され、裏面の開口率は、裏面開口部の面積/裏面の面積で表されるものである。また、開口部の面積は、細胞培養担体の表面および裏面をFE−SEMで撮影し、得られた写真の1μm×1μmの視野について、画像解析ソフト等で2値化してマイクロポア部分と非マイクロポア部分を観察し、マイクロポア部分の等価円直径を算出する方法から求められる幾何学的面積、即ち、2次元的な平面であると仮定した面積を求めた。なお、表面および裏面をそれぞれ5箇所ずつ撮影した写真について上記の開口部の面積を求め、これらの値から算出された開口率の平均値を表面の開口率および裏面の開口率とした。
また、本発明の細胞培養担体1は、図2に示すように、複数のマイクロポア4の表面側開口部5の平均開口径Aと裏面側開口部6の平均開口径Bとが同じ値となるように形成され、且つ、表面側開口部5から表面2と裏面3の中間部9に向かって平均直径が漸減すると共に裏面側開口部6から表面2と裏面3の中間部9に向かって平均直径が漸減する形状に形成することができる。すなわち、表面側開口部5と裏面側開口部6は、中間部9に向かって内側に傾斜する細胞培養担体1の内周面7により互いに接続されている。
また、本発明の細胞培養担体は、複数のマイクロポアの表面側開口部の平均開口径Aと、裏面側開口部の平均開口径Bとが、互いに異なる値であり、複数のマイクロポアは、表面側開口部から裏面側開口部に向かって平均直径が増加または減少する形状を有する担体であってもよい。
例えば、本発明の細胞培養担体1は、図3に示すように、複数のマイクロポア4の表面側開口部5の平均開口径Aの値が裏面側開口部6の平均開口径Bの値より小さくなるように形成することができる。また、表面側開口部5と裏面側開口部6は、裏面側開口部6に向かって拡径するように滑らかに傾斜する細胞培養担体1の内周面7により互いに接続されている。これにより、複数のマイクロポア4は、表面側開口部5から裏面側開口部6に向かって平均直径が漸増する形状を有する。
また、本発明の細胞培養担体1は、図4に示すように、複数のマイクロポア4の表面側開口部5の平均開口径Aの値が裏面側開口部6の平均開口径Bの値より大きくなるように形成することもできる。表面側開口部5と裏面側開口部6は、裏面側開口部6に向かって縮径するように滑らかに傾斜する細胞培養担体1の内周面7により互いに接続されている。これにより、複数のマイクロポア4は、表面側開口部5から裏面側開口部6に向かって平均直径が漸減するように形成される。
また、本発明の細胞培養担体は、複数のマイクロポアが表面側開口部から裏面側開口部に向かって平均直径が段階的に増加または段階的に減少する形状を有することもできる。
このように、複数のマイクロポア4を表面側開口部5から裏面側開口部6に向かって平均直径が増加または減少する形状とすることにより、複数のマイクロポア4を介して表面2側と裏面3側との間でスムーズに細胞培養液を流通させることができ、表面2上で培養される細胞の周囲において細胞培養液を循環して入れ換えることで、細胞の生存率をさらに大きく向上させることができる。
なお、細胞培養液をよりスムーズに流通させる理由から、図3および4に示すように、複数のマイクロポアは、表面側開口部5から裏面側開口部6に向かって平均直径が漸増または漸減する形状とすることが好ましい。
また、開口部が表面2上で培養される細胞の増殖の妨げとならない理由から、図3に示すように、複数のマイクロポア4を表面側開口部5から裏面側開口部6に向かって平均直径が漸増する形状として、表面開口部5の平均開口径Aをより小さく形成することがさらに好ましい。
次に、本発明の細胞培養担体について、材料、寸法、形成等を詳細に説明する。
本発明においては、複数の上記マイクロポアの平均開口径は、40nm以上100nm以下であることが好ましい。
なお、図3および4に示すように、複数のマイクロポアを表面側開口部から裏面側開口部に向かって平均直径が増加または減少する形状とした場合には、複数のマイクロポアの表面側開口部の平均開口径Aおよび裏面側開口部の平均開口径Bのうち、小さい平均開口径が40nm以上80nm以下であることが好ましい。また、複数のマイクロポアの表面側開口部の平均開口径Aおよび裏面側開口部の平均開口径Bのうち、大きい平均開口径が65nm以上100nm以下であることが好ましい。
平均開口径の値を上記の範囲とすることで、細胞培養液が複数のマイクロポアを介して細胞培養担体の表面側および裏面側に流通する流通量をさらに増加させ、細胞の生存率をさらに向上させることができる。また、平均開口径の値を上記の範囲とすることで、細胞培養担体の表面上で培養される細胞の増殖が妨げられるのを抑制することができる。
また、隣接する各マイクロポアの中心間距離(図1においては符号9で表される部分。以下、「ピッチ」ともいう。)は、10nm以上500nm以下が好ましく、30nm以上400nm以下がより好ましく、50nm以上300nm以下がさらに好ましい。ピッチを上記の範囲とすることにより、複数のマイクロポアをバランスよく配置することができ、細胞培養液を均等に供給して細胞の生存率をより向上させることができる。
ここで、平均開口径とは、表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、その1μm×1μmの視野に存在する各マイクロポアの開口径を測定して、それらの平均値を算出した値である。また、中心間距離とは、FE−SEMにより細胞培養担体の5箇所について表面写真(倍率20000倍)を撮影し、それぞれの表面写真において1μm×1μmの視野に存在する各マイクロポアの中心間の距離を測定して、5箇所の表面写真から得られたマイクロポアの中心間距離について平均値を算出した値である。
また、複数のマイクロポアの平均密度は、細胞培養液の流通量をより増加させる理由から、2個/μm2以上1000個/μm2以下であることが好ましく、3個/μm2以上300個/μm2以下であることがさらに好ましい。
ここで、平均密度は、表面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影し、その1μm×1μmの視野に存在するマイクロポアの個数を数え、これにより求められる密度について1μm×1μmの視野の5箇所分の平均値を算出した値である。
また、細胞培養担体の厚み(図1(B)においては符号8で表される)は、細胞培養液の流通量をより増加させる理由から、300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることがさらに好ましい。
また、複数のマイクロポアのアスペクト比(平均長さ/平均開口径)は、細胞培養液の流通量をより増加させる理由から、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましく、2000以下であることがさらに好ましい。
なお、図3および4に示すように、複数のマイクロポアを表面側開口部から裏面側開口部に向かって平均直径が増加または減少する形状とした場合には、複数のマイクロポアの表面側開口部の平均開口径Aおよび裏面側開口部の平均開口径Bのうち、大きい平均開口径の値が、小さい平均開口径の値の1.05倍以上10.0倍以下であるのが好ましく、1.1倍以上5.0倍以下であるのがより好ましく、1.15倍以上3.0倍以下であるのがさらに好ましい。
平均開口径Aの値と平均開口径Bの値の比率を上記の範囲とすることで、複数のマイクロポアを介して表面側と裏面側との間でよりスムーズに細胞培養液を流通させることができ、細胞の生存率をさらに向上させることができる。
次に、本発明の細胞培養担体について、その製造方法を詳細に説明する。
本発明の細胞培養担体の製造方法は特に限定されないが、例えば、少なくとも、アルミニウム基板を陽極酸化してマイクロポアを有する酸化膜を形成する陽極酸化処理(以下、「陽極酸化処理(A)」ともいう。)と、上記陽極酸化処理後にアルミニウム基板を除去し、上記酸化膜をアルミニウム基板から分離する分離処理(以下、「分離処理(B)」ともいう。)と、上記分離処理により分離された酸化膜のマイクロポアを貫通させる貫通化処理(以下、「貫通化処理(C)」ともいう。)と、をこの順に施すことにより細胞培養担体を形成する方法などが挙げられる。
[アルミニウム基板]
後述する各処理を施すアルミニウム基板については、特許文献1(特開2010−226975号公報)の[0010]〜[0012]段落に記載されたものを用いることができる。また、熱処理、脱脂処理、鏡面仕上げ処理についても、特許文献1(特開2010−226975号公報)の[0013]〜[0023]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
[陽極酸化処理(A)]
陽極酸化処理(A)は、アルミニウム基板を陽極酸化することにより、アルミニウム基板の表面にマイクロポアを有する酸化膜を形成する処理である。陽極酸化処理としては、従来公知の方法を用いることができるが、マイクロポアを高い規則性で配列させる観点から、自己規則化法や定電圧処理を用いるのが好ましい。
ここで、陽極酸化処理については、特許文献1(特開2010−226975号公報)の[0024]〜[0071]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
[分離処理(B)]
分離処理(B)は、上記陽極酸化処理(A)後にアルミニウム基板を除去し、陽極酸化膜をアルミニウム基板から分離する処理である。アルミニウム基板の除去には、例えば、アルミナは溶解せず、アルミニウムを溶解する処理液に、上記陽極酸化処理されたアルミニウム基板を接触させることにより、アルミニウム基板を除去した陽極酸化膜を得ることができる。
ここで、分離処理については、特許文献1(特開2010−226975号公報)の[0072]〜[0076]段落に記載された各処理と同様の処理を施すことができる。
[貫通化処理(C)]
貫通化処理(C)は、上記分離処理(B)により分離された陽極酸化膜のマイクロポアを貫通化させる処理である。この貫通化処理により、平均開口率が51%以上の細胞培養担体を得ることができる。
貫通化処理は、上記分離処理により得られた陽極酸化膜を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより、陽極酸化膜を部分的に溶解させる。
ここで、貫通化処理は、特許文献1に記載の貫通化処理(C)と比べて薄い濃度の酸水溶液またはアルカリ水溶液に長時間にわたって接触させることが好ましい。これにより、穏やかに貫通化処理が進行して、51%以上の平均開口率を確実に達成することができる。
ここで、貫通化処理(C)において、処理時間、処理温度、および処理に用いられる酸溶液またはアルカリ溶液の濃度などを変更することにより、細胞培養担体の平均開口率を制御することができる。
貫通化処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は、51%以上の平均開口率をより確実に得られる理由から、0.1〜0.9質量%であるのが好ましい。同様の理由から、酸水溶液の温度は、15〜35℃であるのが好ましい。
貫通化処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は、51%以上の平均開口率をより確実に得られる理由から、0.01〜0.09質量%であるのが好ましい。同様の理由から、アルカリ水溶液の温度は、10〜30℃であるのが好ましい。
具体的には、例えば、5g/L、30℃のリン酸水溶液、0.2g/L、15℃の水酸化ナトリウム水溶液または0.2g/L、15℃の水酸化カリウム水溶液が好適に用いられる。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、51%以上の平均開口率をより確実に得られる理由から、121〜200分であるのが好ましく、130〜190分であるのがより好ましく、135〜180分であるのが更に好ましい。
貫通化処理後、陽極酸化膜を水洗処理する。水和によるマイクロポアの開口径の変化を抑制するため、水洗処理は30℃以下で実施することが好ましい。
また、上記分離処理の後であって上記貫通化処理の前、または、上記貫通化処理の後任意に、上記陽極酸化処理により形成した酸化皮膜を50℃以上の温度で少なくとも10分間加熱する加熱処理を施すこともできる。
なお、図3および4に示すように、複数のマイクロポアを表面側開口部から裏面側開口部に向かって平均直径が増加または減少する形状とする場合には、上述した貫通化処理(C)の後に、貫通化処理により貫通化されたマイクロポアの表面側開口部または裏面側開口部の開口径を拡大させる開口拡大処理(以下、「開口拡大処理(D)」ともいう。)を施すことが好ましい。
[開口拡大処理(D)]
開口拡大処理(D)は、上記貫通化処理により得られた陽極酸化膜の表面部分または裏面部分を、酸水溶液またはアルカリ水溶液に接触させることにより行う。接触させる方法は、特に限定されず、例えば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。中でも、浸せき法が好ましい。
開口拡大処理に酸水溶液を用いる場合は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれらの混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の濃度は0.1〜1質量%であるのが好ましい。酸水溶液の温度は、15〜30℃であるのが好ましい。
開口拡大処理にアルカリ水溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なくとも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は0.01〜1質量%であるのが好ましい。アルカリ水溶液の温度は、15〜30℃であるのが好ましい。
酸水溶液またはアルカリ水溶液への浸せき時間は、0.5〜30分であるのが好ましく、1〜25分であるのがより好ましく、3〜20分であるのが更に好ましい。
以下に、本発明の細胞培養容器について詳細に説明する。
[細胞培養容器]
本発明の細胞培養容器は、細胞培養液を収容する培養室を有する少なくとも1つの培養ウェルと、細胞が付着する表面が培養室内に位置し且つ表面から裏面まで細胞培養液で満たされるように配置される上述した細胞培養担体とを備える細胞培養容器である。
図5は、本発明の細胞培養容器21の好適な実施態様の一例を示す模式的な断面図である。
細胞培養容器21は、上端部が開放された円筒形状を有し、その内部に細胞培養液Mを収容する培養室22を有する培養ウェル23と、表面2および裏面3が培養室22内に位置するように配置された細胞培養担体1とを備える。培養室22内には、円筒形状の支持部24が配置されており、この支持部24が細胞培養担体1を下側から支持することにより、細胞培養担体1の裏面3と培養室22の底板部25との間に細胞培養液Mで満たされた隙間26が生じる。
このように、細胞培養担体1が複数のマイクロポア4を有することにより、細胞培養担体1の表面2上に付着して培養される細胞Cに対して、細胞培養液Mを上側からだけでなく、下側からも接触させることができ、細胞の増殖を促進させることができる。また、上述したように、細胞培養担体1は、平均開口率が51%以上であるため、細胞培養液が複数のマイクロポア4を介して表面2側および裏面3側に流通する流通量を大きく増加することができ、細胞の生存率を大きく向上させることができる。
また、本発明の細胞培養容器は、培養室より多くの細胞培養液を収容する収容室を有する受容部をさらに備え、細胞培養担体は、培養ウェルの底板部の少なくとも一部を構成し、培養ウェルは、底板部が収容室内に位置するように配置され、培養室が複数のマイクロポアを介して収容室に連通するように構成することもできる。
例えば、図6に示すように、上端部が開放された円筒形状を有し、底板部が上述した細胞培養担体1で構成され、その内部に細胞培養液Mを収容する培養室22を有する培養ウェル23と、上端部が開放された円筒形状を有し、その内部に培養ウェル23の培養室22より多くの細胞培養液Mを収容する収容室27を有する受容部28とを備え、この受容部28の収容室27内に培養ウェル23を配置することができる。培養ウェル23は、細胞培養担体1の側縁部29から受容部28の側部30に向かって円盤状に延びる拡張部31を有する。また、受容部28は、拡張部31を下側から支持する支持部32を収容室27内に有し、これにより受容部28の底面と細胞培養担体1の裏面3との間に隙間33が生じ、この隙間33を収容室27に収容された細胞培養液Mで満たすことができる。培養ウェル23の培養室22は、複数のマイクロポア4を介して受容部28の収容室27と連通されており、培養室22に収容された細胞培養液Mと収容室27に収容された細胞培養液Mを複数のマイクロポア4を介して互いに流通させることができる。
なお、図7に示すように、拡張部31は、厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなり、細胞培養担体1と一体に設けることが好ましい。すなわち、培養ウェル23の底板部25と拡張部31を上述した細胞培養担体1で構成することが好ましい。
上述したように、細胞培養担体1は、平均開口率が51%以上であるため、細胞培養液が複数のマイクロポア4を介して培養室22側および収容室27側に流通する流通量を大きく増加することができる。一般的に、細胞培養では、培養される細胞Cが乳酸などを生成することで細胞培養液Mが劣化し、これが細胞Cの生存率の低下を招くことが知られている。本発明の細胞培養容器21では、培養室22側および収容室27側に流通する細胞培養液Mの流通量が増加して、細胞培養担体1の表面2上で培養される細胞Cの周囲において細胞培養液Mが順次入れ換えられるため、細胞Cの生存率を大きく向上させることができる。
また、一般的に、細胞培養では、細胞培養液Mが著しく劣化して細胞の生存率が大きく低下しないように、定期的に培養室22内の細胞培養液Mを交換する必要がある。本発明の細胞培養容器21では、培養室22側および収容室27側に流通する細胞培養液Mの流通量を増加させることにより培養室22内に収容された細胞培養液Mの劣化を抑制しているため、細胞培養液Mを交換する回数を減らすことができる。さらに、後述する細胞培養液の交換方法で示すように、細胞Cへの負荷を低減して細胞培養液Mを交換することができ、細胞の生存率の低下をさらに抑制することができる。
なお、本発明の細胞培養容器で培養される細胞としては、特に限定されるものではないが、例えば、間葉系細胞、肝細胞、繊維芽細胞、内皮細胞、神経細胞、心筋細胞、グリア細胞、角膜上皮細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞等の正常な細胞を用いることができ、癌由来細胞株(例えば、HepG2、HuH−7)、イモータライズ(不死化)された細胞(例えば、HHY41、NKNT−3、Fa2N−4株等)、および染色体異常を有する細胞等の異常な細胞を用いることもできる。また、iPS細胞およびES細胞等を用いることもできる。
また、本発明の細胞培養容器で用いられる細胞培養液としては、培養される細胞の種別に応じて適宜調製されたものを使用することができる。
以下に、図7に示す本発明の細胞培養容器について、細胞培養液の交換方法を詳細に説明する。
まず、図7に示す状態で細胞Cが培養されて細胞培養液Mが劣化すると、図8(A)に示すように、受容部28の収容室27内から培養ウェル23が取り出される。この時、培養室22内の細胞培養液Mは、培養ウェル23の底板部を構成する細胞培養担体1の複数のマイクロポア4を介して収容室27内に流出する。すなわち、細胞培養容器21内の全ての細胞培養液Mが収容室27に収容されることになる。
続いて、図8(B)に示すように、収容室27内に収容された細胞培養液Mが、除かれた後、新しい細胞培養液Mが収容室27内に供給される。そして、図8(C)に示すように、培養ウェル23が受容部28の収容室27内に収容される。この時、培養ウェル23が収容室27の細胞培養液M中に沈められていくのに従って、細胞培養担体1の複数のマイクロポア4を介して収容室27から培養室22に細胞培養液Mが流入し、培養ウェル23が支持部32に当接したところで培養室22内が細胞培養液Mで満たされることになる。
一般的に、培養室22内の細胞培養液Mの交換をピペットなどの器具を用いて行うと、ピペットから細胞培養液Mが強い勢いで供給され、または、ピペットの先端が直接接触するなどして、細胞Cが損傷して細胞Cの生存率の低下を招くことが知られている。図7に示す本発明の細胞培養容器では、上述したように、培養室22内の細胞培養液Mの交換をピペットなどの器具を用いずに穏やかに行うことができ、細胞Cの生存率の低下を抑制することができる。同様にして、図6に示す細胞培養容器についても、細胞培養溶液Mの交換をすることができ、細胞Cの生存率の低下を抑制することができる。
なお、図9に示すように、培養ウェル23の拡張部を構成する細胞培養担体1の一部に、ピペットPを挿入するための挿入孔34を形成し、この挿入孔34を介して収容室27内に収容された細胞培養液Mを交換すると同時に、培養室22内に収容された細胞培養液Mを交換することができる。
このように、培養室22内にピペットPを直接挿入しないため、細胞培養液Mを穏やかに交換することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されない。
(実施例1)
(1)電解研磨処理
高純度アルミニウム基板(住友軽金属株式会社製、純度99.999質量%、厚さ0.4mm)を、10cm四方の面積でカットし、以下の組成の電解研磨液を用いて、電圧10V、液温度65℃の条件で電解研磨処理を行った。陰極はカーボン電極とし、電源は、GP−250−30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。
(電解研磨液組成)
・85質量%リン酸(和光純薬工業株式会社製試薬) 1320mL
・純水 80mL
・硫酸 600mL
(2)陽極酸化処理
上記で得られた電解研磨処理後のサンプルに、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧を40.0V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で25分間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。
さらに、再陽極酸化処理条件として、0.5mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧41.7V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で15時間陽極酸化処理を施した。更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化膜を形成させた。
なお、陽極酸化処理および再陽極酸化処理ともに、陰極はステンレス電極とし、電源は、GP0110−30R(株式会社高砂製作所社製)を用いた。また、冷却装置としては、NeoCool BD36(ヤマト科学株式会社製)を用い、かくはん加温装置として、ペアスターラー PS−100(EYELA東京理化器械株式会社製)を用いた。
(3)分離処理
上記で得られた陽極酸化処理後のサンプルを、20質量%塩酸、および、0.1mol/L塩化第二銅の混合水溶液を用いて、10℃、20分間浸漬させることにより、アルミニウム基板を溶解して除去し、マイクロポアを有する陽極酸化膜からなる微細構造体を
作製した。
(4)貫通化処理
上記で得られた分離処理後のサンプルを、pH緩衝作用のあるKCl溶液に10分間浸漬させ、マイクロポア内部にKCl溶液を充分に進入させた。その後、バリア層側のみを0.01M−KOHに、15℃、140分間浸漬させることにより陽極酸化膜の底部を除去し、裏面開口径を拡大したマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体を作製した。
<細胞培養担体の形状解析>
得られた開口形成拡大処理後の細胞培養担体についてそれぞれ5箇所の表面写真、裏面写真および断面写真(倍率20000倍)をFE−SEMにより撮影した。
平均開口径Aは、5箇所の表面写真について1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアの径を測定して、これらの平均値を算出することにより得られた。
平均開口径Bは、5箇所の裏面写真について1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアの径を測定して、これらの平均値を算出することにより得られた。
中心間距離は、5箇所の表面写真および5箇所の裏面写真について1μm×1μmの視野に存在する全てのマイクロポアの中心間距離を測定して、これらの平均値を算出することにより得られた。
なお、表面は陽極酸化処理においてマイクロポアの形成が開始された面、裏面は分離処理においてアルミニウム基板が除去された面を指す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:75nm、 ・裏面の平均開口径B:75nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(5)滅菌処理
上記で得られた細胞培養担体をエタノールで5min超音波洗浄した後、オーブンで乾燥させ、滅菌処理を行った。
(6)細胞培養工程
滅菌後、室温に戻した細胞培養担体を用いて細胞の培養を行った。
(a)使用細胞:BAE(ウシ大動脈血管内皮細胞)
(b)使用培養液:Eagle最小培地、10%牛胎児血清
(c)前処理:高さ10mm、内径35mmのシャーレを準備し、厚み1mm、外径35mm、高さ5mmのポリスチレンで構成された円筒型の支持部をシャーレ内に設置した。その後、細胞培養液をシャーレ内に高さ8mmまで満たした後、細胞培養液中に細胞培養担体を沈めて支持部に設置した。さらに、細胞培養担体の表面上に、厚み1mm、外径10mm、高さ5mmのポリスチレンで構成された培養ウェル23の側部を設置した。
(d)細胞の播種:予め培養しておいた細胞をトリプシン処理で回収し、細胞濃度を40000cell/mLに調製した。培養ウェルの培養室内の培地を捨てた後、細胞数が7000cell/cmとなるように先程調整した細胞液を培養室内に播種した。
(e)培養:COインキュベーターを用いて37℃で3日間培養した。
(実施例2)
実施例1の(4)貫通化処理において、0.01M−KOHの処理時間を150分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、細胞培養担体を作製して細胞培養を行った。以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:81nm、 ・裏面の平均開口径B:81nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(実施例3)
実施例1の(4)貫通化処理において、0.01M−KOHの処理時間を160分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、細胞培養担体を作製して細胞培養を行った。以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:90nm、 ・裏面の平均開口径B:90nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(実施例4)
実施例1の(4)貫通化処理において、0.01M−KOHの処理時間を170分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、細胞培養担体を作製して細胞培養を行った。以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:95nm、 ・裏面の平均開口径B:95nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(実施例5)
実施例2と同様の方法により細胞培養担体を作製した。続いて、細胞培養工程における使用細胞と使用培養液を以下に示すように変更した以外は、実施例2と同様の方法により、細胞培養を行った。
(a)使用細胞:ラット肝細胞
(b)使用培養液:DMEM培地
(実施例6)
実施例2と同様の方法により細胞培養担体を作製した。続いて、細胞培養工程における使用細胞と使用培養液を以下に示すように変更した以外は、実施例2と同様の方法により、細胞培養を行った。
(a)使用細胞:HepG2細胞(ヒト胚芽腫由来細胞)
(b)使用培養液:ウィリアムズE培地、10%牛胎児血清
(実施例7)
実施例2と同様の方法により細胞培養担体を作製した。続いて、細胞培養工程における使用細胞と使用培養液を以下に示すように変更した以外は、実施例2と同様の方法により、細胞培養を行った。
(a)使用細胞:HuH7細胞(ヒト肝ガン由来細胞)
(b)使用培養液:ウィリアムズE培地、10%牛胎児血清
(実施例8)
実施例2と同様の方法により細胞培養担体を作製した。続いて、細胞培養工程における使用細胞と使用培養液を以下に示すように変更した以外は、実施例2と同様の方法により、細胞培養を行った。
(a)使用細胞:RIN−5F細胞(ラットランゲルハンス島由来細胞)
(b)使用培地:RPMI−1640培地、10%牛胎児血清
(実施例9)
実施例2と同様の方法により細胞培養担体を作製した。続いて、細胞培養工程における使用細胞と使用培養液を以下に示すように変更した以外は、実施例2と同様の方法により、細胞培養を行った。
(a)使用細胞:129SV細胞(マウスES細胞)
(b)使用培地:ES細胞用培地
(比較例1)
特許文献1の段落[0104]に記載されたメンブレン2の作製方法および段落[0127]に記載された比較例1の作製方法を参考にして、以下に示すように細胞培養担体の作製を行った。
(1)電解研磨処理
純度99.99質量%の高純度アルミニウム基板を用いた以外は、実施例1と同様の方法により電解研磨処理を行った。
(2)陽極酸化処理
上記で得られた電解研磨処理後のサンプルに、0.50mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧を40.0V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で2.5時間陽極酸化処理を施した。更に陽極酸化処理後のサンプルに、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬して脱膜処理を施した。この処理を4回繰り返した。
さらに、再陽極酸化処理条件として、0.5mol/Lシュウ酸の電解液で、電圧41.7V、液温度15℃、液流速3.0m/minの条件で10時間陽極酸化処理を施した。更に、0.5mol/Lリン酸の混合水溶液を用いて40℃の条件で20分間浸漬させて脱膜処理を施すことにより、アルミニウム基板表面に、マイクロポアが直管状で且つハニカム状に配列された陽極酸化膜を形成させた。
(3)分離処理
実施例1と同様の方法により分離処理を行った。
(4)貫通化処理
上記で得られた分離処理後のサンプルを、pH緩衝作用のあるKCl溶液に10分間浸漬させ、細孔内部にKCl溶液を充分に浸透させた。その後、バリア層側のみを0.1M−KOHに、30℃、4分間浸漬させることにより陽極酸化膜の底部を除去し、表面側開口部から裏面側開口部まで一様な直径のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体を作製した。
なお、特許文献1の段落[0104]には、(4)アルミ除去、貫通化処理工程において、「バリア層側のみを0.1M−KOHに、30℃、45分間浸漬させることにより陽極酸化膜の底部を除去する」ことが記載されているが、撮影により確認された微細構造体の形状を得る(貫通孔の平均開口径が30nmなど)ためには、その処理時間は長すぎると考えられる。実際に、分離処理後のサンプルを0.1M−KOHに、30℃、45分間浸漬させた結果、そのほとんどが溶解されてしまった。このため、特許文献1の記載は、「0.1M−KOHに、30℃、4分間浸漬させる」などの誤記であると考えられる。
以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 100μm、 ・マイクロポアの深さ:100μm
・表面の平均開口径A:30nm、 ・裏面の平均開口径B:30nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(6)細胞培養工程
実施例1と同様の方法により細胞培養を行った。
(比較例2)
実施例1の(4)貫通化処理において、0.1M−KOHの処理時間を5分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、細胞培養担体を作製して細胞培養を行った。以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:43nm、 ・裏面の平均開口径B:43nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
(比較例3)
実施例1の(4)貫通化処理において、0.1M−KOHの処理時間を9分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、細胞培養担体を作製して細胞培養を行った。以下に、細胞培養担体の形状を確認した結果を示す。
・細胞培養担体の厚さ: 150μm、 ・マイクロポアの深さ:150μm
・表面の平均開口径A:68nm、 ・裏面の平均開口径B:68nm
・マイクロポアの中心間距離:100nm
作製した細胞培養担体の両面の平均開口率は、(表面の開口率+裏面の開口率)/2を算出して得られた。ここで、表面の開口率は、細胞培養担体の表面の5箇所をFE−SEMで撮影し、得られたそれぞれの写真の1μm×1μmの視野について、表面開口部の面積と視野範囲の面積を求めて開口率=表面開口部の面積/視野範囲の面積を算出し、この5箇所の開口率について平均値を算出して得られた。また、裏面の開口率は、細胞培養担体の裏面の5箇所をFE−SEMで撮影し、得られたそれぞれの写真の1μm×1μmの視野について、裏面開口部の面積と視野範囲の面積を求めて開口率=裏面開口部の面積/視野範囲の面積を算出し、この5箇所の開口率について平均値を算出して得られた。この結果を下記第1表に示す。
(評価方法)
細胞生存率は、光学顕微鏡を用いて、100個の細胞を無作為に選択し、その選択された細胞の中で生存している細胞をカウントして算出した。細胞生存率が92.5%以上をA、90%以上92.5%未満をB、90%未満をCとした。この結果を下記第1表に示す。
第1表に示す結果から、細胞培養担体の平均開口率が51%以上である実施例1〜9は、平均開口率が51%未満である比較例1〜3と比較して、細胞生存率が大きく向上することがわかった。
また、細胞培養担体の平均開口率が58%以上である実施例2〜9は、細胞培養担体の平均開口率が58%未満である実施例1と比較して、細胞生存率がより向上することがわかった。
また、異なる細胞腫を培養した実施例2、5〜9は、いずれも高い細胞生存率を示しており、細胞種によらずに細胞生存率を大きく向上できることがわかった。
1 細胞培養担体、2 表面、3 裏面、4 マイクロポア、5 表面側開口部、6 裏面側開口部、7 細胞培養担体の内周面、8 細胞培養担体の厚み、21 細胞培養容器、22 培養室、23 培養ウェル、24 支持部、25 底板部、26 隙間、27 収容室、28 受容部、29 側縁部、30 受容部の側部、31 拡張部、32 支持部、33 隙間、34 挿入孔、A 表面側開口部の平均開口径、B 裏面側開口部の平均開口径、C 細胞、M 細胞培養液。

Claims (8)

  1. 厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなる細胞培養担体であって、
    複数の前記マイクロポアの平均密度は、1個/μm2以上15000個/μm2以下であり、
    平均開口率が51%以上である細胞培養担体。
  2. 複数の前記マイクロポアの平均開口径が、40nm以上100nm以下である請求項1に記載の細胞培養担体。
  3. 厚みが10μm以上300μm以下である請求項1または2に記載の細胞培養担体。
  4. 細胞培養液を収容する培養室を有する少なくとも1つの培養ウェルと、
    細胞が付着する表面が前記培養室内に位置し且つ表面から裏面まで細胞培養液で満たされるように配置される請求項1〜3のいずれか一項に記載の細胞培養担体とを備える細胞培養容器。
  5. 前記細胞培養担体が、表面および裏面が前記培養室内に位置するように配置される請求項4に記載の細胞培養容器。
  6. 前記培養室より多くの細胞培養液を収容する収容室を有する受容部をさらに備え、
    前記細胞培養担体が、前記培養ウェルの底板部の少なくとも一部を構成し、
    前記培養ウェルが、前記底板部が前記収容室内に位置するように配置され、前記培養室が複数のマイクロポアを介して前記収容室に連通する請求項4に記載の細胞培養容器。
  7. 前記培養ウェルが、前記底板部の側部から前記受容部の側部に向かって平板状に延びる拡張部を有し、
    前記受容部が、前記側部に前記拡張部を支持する支持部を有する請求項6に記載の細胞培養容器。
  8. 前記拡張部が、厚み方向に貫通する複数のマイクロポアを有する陽極酸化膜からなり、前記細胞培養担体と一体に設けられる請求項7に記載の細胞培養容器。
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