JPH1029488A - エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に加飾面を備えるが、それによる開裂特
性に影響されないエアバッグカバー体を有するエアバッ
グ装置の提供。 【解決方法】 カバー体２表面に、成形と同時に転写に
より加飾面３，４を設けるか、フィルムインモールドに
より加飾面を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、加飾面を有するエ
アバッグカバー体を備えたエアバッグ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】エアバッグカバーは、通常バッグ収納部
側に薄肉のテアラインを形成しているので、射出成形で
成形された製品は、溶融した樹脂の冷却時間差による艶
むら、ヒケ等が発生するので、見栄えをよくするために
塗装をしている。しかし、塗装は作業者がスプレーガン
にて塗装膜厚さ２０μ程度で行うので、塗装むらの発生
を防止することは困難である。（塗装膜厚さ２０μ） 特開平６−２２７３５５では、エアバッグカバーの表面
にシート状表皮材と、エアバッグ展開時に天面部の開裂
を促進する脆弱構造を備えたインナー材とを有し、イン
ナー材はシート状表皮材に一体的に積層されているもの
が、開示されている。しかし、シート状表皮材の好適な
厚さは、５ｍｍ以下、更に好適には、１ないし３ｍｍと
厚く、エアバッグカバーが開裂する際に、Ｖ字状溝の上
のシート状表皮材を開裂させなければならない。シート
状表皮材の開裂についての表示はないが、開裂抵抗が高
くなると思われ、エアバッグのスムーズな膨脹が妨げら
れるおそれがある。

【０００３】実開平１−８１３５１では、エアバッグカ
バーの装飾体を弾性を有する糸で逢着し、テアラインを
装飾体の外周に迂回させたものが開示されている。しか
し、このような方法では装飾体をエアバッグカバーと縫
着する工数が発生し、生産性が低下する。また、通常Ｈ
字状のテアラインが設定されているが、意匠上、装飾体
をカバー体の中央に配置する場合、この部分にテアライ
ンを設けることができなく、テアラインを迂回させなけ
ればならず、そのスムーズな膨張が妨げられるおそれが
ある。

【０００４】特開平７−２５７３０９では、別体オーナ
メントに接続孔を多数設け、インサート成形で一体化し
ている。この方法では、樹脂成形品の裏面に塗装または
印刷を施したカラーリングを貼着し、表面側には透明樹
脂層を被覆したオーメント自体の製作に工数を要する
他、表皮材と前記の接続穴を介して一体化されるオーナ
メントが十分強固に固着されていなければ、エアバッグ
膨脹の際に飛散するおそれがあるので、製造工程の管
理、品質管理を徹底して安全性に十分配慮しなければな
らない。さらにこの方法もテアラインはオーナメントの
位置と重ならないように配置する必要がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、こうした実
情の下に、表面に加飾面を備え、しかもその加飾面によ
りテアラインの配置が何ら制限を受けることなく、それ
にもかかわらず、エアバッグ膨張時には加飾面により妨
げられることなく、テアラインに沿ってスムーズに開裂
して設計どおりエアバッグを膨張させることができ、安
全装置としての信頼性が高く、かつ生産性よく製造する
ことができるエアバッグ装置を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
重ねた結果、加飾面を成形と同時に転写によるか、もし
くはフィルムのインモールド成形により形成したエアバ
ッグ装置が上記の要求を満足することを見出し、本発明
に至った。

【０００７】すなわち、本発明は、（１）内部にエアバ
ッグを収納し、車両の衝突等の際に、テアラインにて開
裂するエアバッグカバー体を有するエアバッグ装置にお
いて、前記エアバッグカバー体の表面の全面又は一部
に、成形同時転写工法にて形成した加飾面を有すること
を特徴とするエアバッグ装置、（２）内部にエアバッグ
を収納し、車両の衝突等の際に、テアラインにて開裂す
るエアバッグカバー体を有するエアバッグ装置におい
て、前記エアバッグカバー体の表面の全面又は一部に、
フィルムインモールドにて形成した加飾面を有すること
を特徴とするエアバッグ装置、（３）前記加飾面に装飾
部を形成したことを特徴とする前記１又は２記載のエア
バッグ装置、（４）前記装飾部の裏面側にテアラインを
配設したことを特徴とする前記３記載のエアバッグ装置
に関する。

【０００８】本発明のエアバッグ装置は、エアバッグカ
バー体の表面の全面又は一部に成形同時転写工法による
かあるいはフィルムインモールド成形によって加飾面を
形成したことが重要であり、その他のエアバッグ装置の
構造、使用材料に関しては特に制限されるものではな
い。エアバッグ装置のエアバッグカバーは、各種の熱可
塑性樹脂、熱可塑性エラストマーが使用される。オレフ
ィン系、スチレン系の熱可塑性エラストマーが特に好ま
しい。また、テアラインは、薄肉部により形成してもよ
く、また嵌合タイプで形成してもよい。その形状も特に
制限はなく、観音開き型でも片開き型でもよい。

【０００９】本発明においてエアバッグカバー体の表面
に形成される加飾面は、成形同時転写工法による場合に
はカバー体表面に転写される図柄層はベースフィルム上
に印刷されたインク層であるからその膜厚はたとえば２
〜５μと数ミクロン程度のきわめて薄いものであり、エ
アバッグ膨脹時のカバー体の開裂に何ら妨げにならな
い。またフィルムインモールド方式による場合であって
もそのフィルム厚は精々２００μ程度にすぎない。した
がって従来のシート状表皮材（厚み１〜３ｍｍ）を積層
したカバー体に比し著しく薄く、その開裂抵抗ははるか
に小さいものであり、実際上カバー体のスムーズな開裂
に支障をきたすものではない。そのため、本願発明にお
いてはエアバッグカバー体に配置されるテアラインは、
加飾面の位置関係に制限されることなく、安全上好適な
形状および位置に設計することができる。

【００１０】本願発明に用いる成形同時転写工法自体
は、すでに公知の方法である。たとえば大日本印刷
（株）のサーモジェクト法、日本写真印刷（株）のサイ
マルトランサーシステム等を利用することができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に図面に基づき本発明の実施
例を説明する。

【００１２】図１は、成形同時転写工法による図柄をカ
バー体の表層に設けた本発明のエアバッグ装置がステア
リングホィールに組み込まれた例を示すものである。図
２は、図１のＡ線断面図であって、Ａは装飾部としての
オーナメントの図柄のみをカバー体表面の一部に転写し
た場合を、Ｂはカバー体表面の全体に図柄のない部分も
含めて転写した場合を示す。図１，２中、１はステアリ
ングホィール、２はエアバッグカバー、３，４はオーナ
メント、５は意匠上のライン、６はテアライン（破断予
定線）である。３，４の装飾部としてのオーナメントの
図柄は転写されたインク層で形成されており厚みは数ミ
クロン（２〜５μｍ）である。

【００１３】図３は、本発明のエアバッグ装置のカバー
体の成形同時転写工法による成形法を説明するものであ
る。図３Ａはベースフィルム１２上に図柄層１１を印刷
により設けた転写用フィルムの位置決め工程を示す。キ
ャビティ型８と中間プレート９の間へ前記転写用フィル
ムを、上方の図示しないフィルム送り装置と下方のフィ
ルム巻き取り装置により上方より下方に向けて連続的に
供給し、図示しない位置決め探知装置により図柄位置を
決める。図３Ａ中、１０はコア型、１３は射出成形機ノ
ズル、１４は溶融熱可塑性樹脂または熱可塑性エラスト
マーを示す。なお、ベースフィルム１２はＰＥＴ、ＰＶ
Ｃ等からなる延伸フィルムで厚さ２０〜８０μｍであ
る。また図３Ｂは、型締め後、樹脂１４を射出する射出
成形工程を示す。さらに、図３Ｃは、成形品の取り出し
工程を示す。成形品２（エアバッグカバー体）の上面に
は図柄層１１が転写され、ベースフィルム１２は下方へ
巻き取られる。この際、図柄層１１上に塗布されていた
接着剤により、図柄層１１は成形品上に強固に接着され
る。該接着剤は成形樹脂の熱（１８０〜２３０℃）によ
り活性化する。

【００１４】図４，５は、本発明の別の実施例を示すも
のでエアバッグカバー体の全面を加飾した例を示す。図
４は光沢面と図柄を付した面とを有する転写層を備えて
いる。図４中、１５は光沢面、１６は意匠上のライン、
１７は模様、１８はステッチ模様、１９はホーン等のマ
ーク、２０は絞面（つや消し）を示す。図５はエアバッ
グカバー体全面をヘアライン−金属のスジ状模様を付し
た例でこれもテアライン上に配置されている。このよう
に全面を転写した場合には、樹脂のウェルドラインやシ
ルバーストリーク、ジェッティング等の外観を覆う効果
があり、また転写層（印刷層）を透明にすれば下地の樹
脂をそのまま現わすことも可能である。さらに転写層
は、同時にエアバッグカバー体の表面保護層としての機
能を有し、耐引かき性、耐摩耗性、耐薬品性等、各種外
的要因に対する耐久性を付与することができる。

【００１５】また、図６は、本発明のさらに別の実施例
を示すもので、カバー体の加飾を転写法によらずにフィ
ルムモールド法にて行う態様を説明するものである。

【００１６】図６Ａはフィルム位置決め工程、Ｂは射出
成形工程、Ｃは成形品（エアバッグカバー体）取り出し
工程をそれぞれ示す。この場合には、図柄入りフィルム
（厚さ１００〜２００μ）が積層されたカバー体が得ら
れる。

【００１７】図７〜９は、さらに別の実施例で、図７は
アシストエアバッグカバーへの採用例を示し、図８はサ
イドエアバッグカバー（ドアの中心部、中はぎ部へシー
ト柄と同一の模様を転写させることで通常のドアのイメ
ージを付与することができる）、図９はシートエアバッ
グカバーへの採用例である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によればエ
アバッグカバー体の表面に成形同時転写工法により厚さ
わずか数ミクロンの図柄を転写することができ、開裂特
性に何ら影響を及ぼすことなく、しかも生産効率よく外
観を向上することができる。またフィルムインモールド
法による態様においても加飾面を従来のシート状表皮材
に比して非常に薄くすることができるので、この場合に
も開裂特性を実質上損なうことなく生産性よく外観を向
上することができる。

【００１９】また、上記のようにカバー体のスムーズな
開裂を妨げることがないから、従来と異なり装飾面と重
なる位置にもテアラインを配置でき、すなわち装飾面の
位置に関係なく安全上所望の位置にテアラインを設定で
きるので、安全装置としての信頼性を向上することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】成形同時転写工法により図柄をカバー体の表層
に設けた本発明のエアバッグ装置。

【図２】図１Ａ線断面図で、Ａは図柄のみをカバー体表
面の一部に転写した場合、Ｂは表面全体に転写した場合
を示す。

【図３】成形同時転写工法の説明図で、Ａは転写用フィ
ルムの位置決め工程、Ｂは射出成形工程、Ｃは成形品
（エアバッグカバー体）の取り出し工程をそれぞれ示
す。

【図４】本発明の別の実施例を示す説明図。

【図５】本発明のさらに別の実施例を示す説明図。

【図６】フィルムインモールド法の説明図でＡはフィル
ム位置決め工程、Ｂは射出成形工程、Ｃは成形品（エア
バッグカバー体）の取り出し工程をそれぞれ示す。

【図７】さらに別の実施例を示す説明図。

【図８】さらに別の実施例を示す説明図。

【図９】さらに別の実施例を示す説明図。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部にエアバッグを収納し、車両の衝突
   等の際に、テアラインにて開裂するエアバッグカバー体
   を有するエアバッグ装置において、前記エアバッグカバ
   ー体の表面の全面又は一部に、成形同時転写工法にて形
   成した加飾面を有することを特徴とするエアバッグ装
   置。
2. 【請求項２】 内部にエアバッグを収納し、車両の衝突
   等の際に、テアラインにて開裂するエアバッグカバー体
   を有するエアバッグ装置において、前記エアバッグカバ
   ー体の表面の全面又は一部に、フィルムインモールドに
   て形成した加飾面を有することを特徴とするエアバッグ
   装置。
3. 【請求項３】 前記加飾面に装飾部を形成したことを特
   徴とする請求項１又は２記載のエアバッグ装置。
4. 【請求項４】 前記装飾部の裏面側にテアラインを配設
   したことを特徴とする請求項３記載のエアバッグ装置。