JPH10291225A - ポリエステル樹脂組成物からなるカレンダー成形されたシート状成型品及びその製造方法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物からなるカレンダー成形されたシート状成型品及びその製造方法

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JPH10291225A
JPH10291225A JP10305397A JP10305397A JPH10291225A JP H10291225 A JPH10291225 A JP H10291225A JP 10305397 A JP10305397 A JP 10305397A JP 10305397 A JP10305397 A JP 10305397A JP H10291225 A JPH10291225 A JP H10291225A
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JP
Japan
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melting point
dicarboxylic acid
block copolymer
hard segment
polyester resin
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JP10305397A
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Inventor
Hodaka Yokomizo
穂高 横溝
Noritsugu Saiki
紀次 斎木
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カレンダー成形に適し、生産性に優れ、耐熱
性、耐薬性、薬品の移行防止性、機械的物性に優れた柔
軟性を有するシート状成型品を得ること。 【解決手段】 テレフタル酸及びテトラメチレングリコ
ールがそれぞれ全ジカルボン酸に対して60モル%以上
のポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメン
ト(ア)20〜50重量%と、芳香族ジカルボン酸が全
ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であり、HO
(CH2CH2O)iH (i=2〜5)で表わされるジオ
ールが全ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であ
るポリエステルからなるソフトセグメント(イ)80〜
50重量%とのポリエステルブロック共重合体であっ
て、融点が特定の範囲にあるポリエステルブロック共重
合体(A)100重量部及び、これより融点が20℃以
上高い芳香族結晶性ポリエステル樹脂(B)10〜12
0重量部からなるポリエステル樹脂組成物をカレンダー
成形したシート状成型品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム弾性特性を有
するポリエステル樹脂組成物を用いてカレンダー成形に
より成形されたシート状成型品及びその製造方法に関す
る。更に詳しくはゴム弾性を有する特定のポリエステル
ブロック共重合体に融点の異なる結晶性ポリエステル樹
脂を配合してなるポリエステル樹脂組成物をカレンダー
成形により成形されたシート状成型品及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シート状の成型品を成形する方法
として、Tダイで押出する方法、カレンダー成形を行う
方法が用いられているが、特に製品幅の広い成型品を得
る場合は製造コストの面からカレンダー成形が優れてい
る。
【0003】その為、柔軟性を有する塩化ビニールシー
ト、オレフィン系樹脂シート等は、一般的にカレンダー
成形によって製造されている。
【0004】近年、耐熱性、耐薬性、薬品の移行防止
性、機械的物性に対する要求がより一層高くなったこと
から、上記特性に優れたポリエステルエラストマーを柔
軟性を有するシート状成型品として用いることが増加し
てきた。
【0005】しかし、ポリエステルエラストマーは各特
性には優れるが、単一の融点を有し且つ加水分解性を有
するため、空気雰囲気で長時間溶融混練されるカレンダ
ー成形には適さず、Tダイによるシート成形が一般的で
あった。
【0006】このポリエステルエラストマーの欠点を改
善するため、特開平8−142290号公報では、通常
のポリエステルエラストマーより融点の低い特定のポリ
エステルエラストマーを用ることにより、加工温度を下
げ、酸化劣化、加水分解による物性低下を防ぐ方法を開
示している。
【0007】
【発明の解決しようとする課題】従来のポリエステルエ
ラストマーは芳香族ポリエステルブロック共重合体であ
り、ハードセグメントの融点が高く一般に200℃以上
であるため、加工温度を最低でも200℃以上、好まし
くは220℃以上にしないと加工不可能である。
【0008】そのため、この加工温度では酸化劣化と共
に加水分解が発生し、ポリマーの特性が著しく低下す
る。また加工温度がハードセグメントの融点を超えると
急激に溶融粘度が低下し、樹脂垂れ、ロール巻き付きな
どが発生し、加工性、ハンドリングが共に悪化する。
【0009】本発明の課題は、カレンダー成形に適した
ポリエステル樹脂組成物を見い出し、生産性に優れ、耐
熱性、耐薬性、薬品の移行防止性、機械的物性に優れ、
かつ柔軟性を有するシート状成型品を得ることである。
【0010】本発明において、カレンダー成形に適した
ポリマーとは、加工温度を低くすることができ、ポリマ
ーの熱履歴による劣化が少なく、加工温度における粘度
が高く、ハンドリングに優れ、ロール剥離性が良好なポ
リマーである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ゴム弾性
特性を有する特定のポリエステルブロック共重合体に特
定の結晶性ポリエステル樹脂を配合することにより得ら
れるポリエステル樹脂組成物が、耐熱性に優れ、低い加
工温度でカレンダー成形が可能であり、かつ、ロール剥
離が良好であることを見い出し、本発明に至ったもので
ある。
【0012】即ち、本発明は、 [1] テレフタル酸及びテトラメチレングリコールが
それぞれ全ジカルボン酸に対して60モル%以上のポリ
ブチレンテレフタレートからなるハードセグメント
(ア)20〜50重量%と、芳香族ジカルボン酸が全ジ
カルボン酸成分に対して60モル%以上であり、HO
(CH2CH2O)iH (i=2〜5)で表わされるジオ
ールが全ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であ
るポリエステルからなるソフトセグメント(イ)80〜
50重量%とのポリエステルブロック共重合体であっ
て、融点(T1)が下記式(1)〜(3)を満足するポ
リエステルブロック共重合体(A)100重量部
【0013】
【数6】T0−5℃>T1>T0−60℃ (1) T1>T’+10℃ (2) T1≦210℃ (3) [T0:ハードセグメントを構成する成分からなるポリ
マーの融点 T’:ハードセグメント及びソフトセグメントを構成す
る全成分からなるランダム共重合ポリマーの融点] 及び、融点(T2)が下記式(4)を満足する芳香族結
晶性ポリエステル樹脂(B)10〜120重量部からな
るポリエステル樹脂組成物をカレンダー成形したシート
状成型品。
【0014】
【数7】T2−T1>20℃ (4)
【0015】[2] テレフタル酸及びテトラメチレン
グリコールがそれぞれ全ジカルボン酸に対して60モル
%以上のポリブチレンテレフタレートからなるハードセ
グメント(ア)20〜50重量%と、芳香族ジカルボン
酸が全ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であ
り、HO(CH2CH2O)iH (i=2〜5)で表わさ
れるジオール成分が全ジカルボン酸成分に対して60モ
ル%以上であり、かつ分子量が1200以下のポリオキ
シアルキレングリコールがポリエーテルエステル全体に
対して5〜30重量%であるポリエーテルエステルから
なるソフトセグメント(イ)80〜50重量%とのポリ
エステルブロック共重合体であって、融点(T1)が下
記式(1)〜(3)を満足するポリエステルブロック共
重合体(A)100重量部
【0016】
【数8】T0−5℃>T1>T0−60℃ (1) T1>T’+10℃ (2) T1≦210℃ (3) [T0:ハードセグメントを構成する成分からなるポリ
マーの融点 T’:ハードセグメント及びソフトセグメントを構成す
る全成分からなるランダム共重合ポリマーの融点] 及び、融点(T2)が下記式(4)を満足するポリブチ
レンテレフタレート(B’)10〜120重量部からな
るポリエステル樹脂組成物をカレンダー成形したシート
状成型品。
【0017】
【数9】T2≧210℃ (4) 並びに、これらの製造方法である。以下、本発明を詳細
に説明する。
【0018】[ポリエステルブロック共重合体(A)] [ハードセグメント(ア)]本発明に用いるポリエステ
ルブロック共重合体(A)は、そのハードセグメント
(ア)がテレフタル酸及びテトラメチレングリコールが
それぞれ全ジカルボン酸に対して60モル%以上のポリ
ブチレンテレフタレートである。
【0019】このポリブチレンテレフタレートにはベン
ゼン環又はナフタレン環を含む芳香族ジカルボン酸、炭
素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸、テトラメチレング
リコール以外の炭素数2〜12の脂肪族ジオール、シク
ロヘキサンジメタノールなどの脂環族ジオール等のジオ
ールが共重合されていてもよい。この共重合割合は、全
ジカルボン酸成分に対して40モル%以下、好ましくは
30モル%以下である。この共重合割合は、少ないほど
融点も高く好ましいが、柔軟性を増すために共重合する
ことも行われる。しかし共重合割合が多くなると結晶化
しにくくなり、成形性などが悪くなるため、あまり多く
ても好ましくない。この共重合割合はハードセグメント
の結晶の融点(T0)が160℃以上、好ましくは17
0℃以上となるようにするのが好ましい。
【0020】[ソフトセグメント(イ)]他方、ソフト
セグメントは芳香族ジカルボン酸が全ジカルボン酸成分
に対して60モル%以上であり、HO(CH2CH2O)i
H (i=2〜5)で表わされるジオール成分が全ジカ
ルボン酸成分に対して60モル%以上のポリエステルで
ある。
【0021】このポリエステルソフトセグメントは、テ
レフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸、脂肪族又は脂環
族ジカルボン酸や、短鎖ジオールを共重合したものであ
ってもよいが、この共重合割合は全ジカルボン酸成分に
対し40モル%以下である。この共重合割合が40モル
%を超えると、耐熱性が低下する。
【0022】共重合可能な芳香族ジカルボン酸、脂肪族
ジカルボン酸又は脂環族ジカルボン酸としては、例えば
イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸類、
炭素数4〜12の直鎖状のジカルボン酸、特に炭素数8
〜12の直鎖状ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボ
ン酸が挙げられる。
【0023】ソフトセグメントのポリエステルを構成す
るジオール成分としては、上記のとおり、iが2〜5の
HO(CH2CH2O)iHを用いる。iが1ではシート
状成形品が硬くて、一方6以上ではシート状成形品の吸
湿性が高くなり、本発明に用いるには不適当である。好
ましくはiが3〜4のものである。
【0024】また、ソフトセグメントのポリエステルと
して、上記ポリエステル重合体にポリオキシアルキレン
グリコール成分を共重合させたポリエーテルエステル共
重合体を用いることによって、ポリエステルブロック共
重合体(A)の低温での柔軟性を向上することが可能で
ある。ポリオキシアルキレングリコール成分としてはハ
ードセグメントであるポリブチレンテレフタレートとの
相溶性の観点から分子量1200以下、さらには100
0以下のものが好ましい。この分子量は400以上、さ
らには500以上が好ましい。ポリオキシアルキレング
リコールの共重合量としてはポリエステルブロック共重
合体(A)全体に対し5〜30重量%が低温特性改善か
ら好ましく、更に好ましくは5〜20重量%である。こ
のポリオキシアルキレングリコール成分を上記範囲で共
重合することは、低温特性を改良する意味では好ましい
が、多く用いると耐薬品性、耐熱性などが低下するので
好ましくない。
【0025】ポリオキシアルキレングリコールとしては
炭素数2〜4の繰り返し単位を有するものが好ましく、
特にポリテトラメチレングリコールが好ましい。
【0026】本発明のポリエステルブロック共重合体
(A)に於いて、ハードセグメントとソフトセグメント
の量比(重量%比)は20〜50対80〜50、好まし
くは25〜40対75〜60である。得られるポリエス
テルブロック共重合体がハードセグメントがこれより多
い場合、硬くなって使用しにくいなどの問題が出るので
好ましくなく、一方ソフトセグメントがこれより多い場
合は、結晶性が少なくなり、成形が困難になる。
【0027】ポリエステルブロック共重合体(A)のソ
フトセグメント、ハードセグメントのセグメント長は、
分子量として表現して、好ましくは500〜7000、
さらに好ましくは800〜5000である。このセグメ
ント長は直接測定するのは困難であるが、例えば、ソフ
トセグメントを構成するポリエステル、ハードセグメン
トを構成するポリエステルそれぞれの組成と、ハードセ
グメントを構成する成分からなるポリエステルの融点
(T0)及び得られたポリエステルブロック共重合体の
融点(T1)とから、フローリーの式を用いて推定する
ことが出来る。
【0028】この様な点より、ポリエステルブロック共
重合体(A)の融点(T1)は重要な項目であり、融点
(T1)は、T0−5℃からT0−60℃の範囲、好まし
くはT0−10℃からT0−50℃の範囲、更に好ましく
はT0−15℃からT0−40℃の範囲にあるようにす
る。ここで、T0はハードセグメントを構成する成分か
らなるポリマーの融点である。
【0029】また、この融点(T1)は、ハードセグメ
ント及びソフトセグメントを構成する全成分からなるラ
ンダム共重合ポリマーの融点(T’)より10℃を超え
て高いことが必要であり、好ましくは20℃を超えて高
い。この融点(T1)はランダム共重合体の融点
(T’)が定められないときは150℃以上、さらに好
ましくは160℃以上の融点にするのが好ましい。但
し、この融点(T1)は、本発明の効果を発現するには
210℃以下とする必要があり、好ましくは200℃以
下である。
【0030】本発明に用いられるポリマーがブロック共
重合体ではなくランダム共重合体の場合、このランダム
共重合体は、一般的に、非晶性で融点を持たず、且つガ
ラス転移温度も低いので、室温で水飴状であり、シート
にしようとしても、ローラーに巻き付いたり、たとえ出
来てもシート同士がくっつくいわゆるブロッキング現象
が起こったり、表面がべたべたするなど現実問題として
使用できる物ではない。このランダム共重合体が融点を
持たない場合、T’は0℃とみなすことにする。
【0031】かかるポリエステルブロック共重合体の製
造法は、ソフトセグメント及びハードセグメントを構成
するポリマーをそれぞれ製造し、溶融混合して融点がハ
ードセグメントを構成するポリエステルよりも低くなる
ようにする方法を挙げることができる。この融点は、混
合温度と時間によって変化するので、目的の融点を示す
状態になった時点で、リンオキシ酸等の触媒失活剤を添
加して触媒を失活させたものを本発明に用いることが好
ましい。
【0032】本発明のポリエステルブロック共重合体
(A)は、固有粘度(35℃、オルトクロルフェノール
中で測定)が0.6以上、さらには0.8〜1.5のもの
好ましい。これより固有粘度が低い場合は強度が低くな
るため好ましくない。
【0033】本発明に用いられる芳香族結晶性ポリエス
テル樹脂(B)とは芳香族ジカルボン酸とジオールから
なる結晶性ポリエステルであり、融点(T2)が上記ポ
リエステルブロック共重合体(A)の融点(T1)に対
して、T2−T1>20℃の関係式を満たす結晶性ポリエ
ステルである。融点の差が20℃以下では加工温度幅が
狭くなり粘度低下、ロール巻き付き等が発生し、加工性
が低下する。
【0034】芳香族結晶性ポリエステル樹脂(B)を構
成する芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソ
フタル酸等が好ましく挙げられ、またジオール成分とし
ては炭素数2〜12の直鎖状脂肪族ジオール等、ポリオ
キシアルキレングリコールなどが好ましく挙げられる。
【0035】この芳香族結晶性ポリエステルは、小割合
(例えば・・・・モル%以下、さらには・・・モル%以
下)の第三成分が共重合されていてもよい。第3成分と
しては脂肪族ジカルボン酸(例えば、アジピン酸、セバ
チン酸等)や脂環族ジカルボン酸(例えば、シクロヘキ
サンジカルボン酸)、芳香族ジオール(例えばハイドロ
キノン)等を例示することができる。
【0036】本発明の効果を得るためには、芳香族結晶
性ポリエステル樹脂(B)は、融点が高く、結晶性が高
い方が好ましく、この観点からポリブチレンテレフタレ
ートが好ましい。
【0037】ポリエステルブロック共重合体(A)に芳
香族結晶性ポリエステル樹脂(B)を配合する割合は、
ポリエステルブロック共重合体(A)100重量部に対
して、芳香族結晶性ポリエステル樹脂(B)を10〜1
20重量部、好ましくは20〜80重量部である。これ
以下ではカレンダー成形性の改善効果が発現しない。ま
た芳香族結晶性ポリエステル樹脂(B)が、120重量
部より多いと加工温度を上げないと可塑化不良となり、
本発明の効果は発現しない。
【0038】さらに、本発明のポリエステルブロック共
重合体(A)と芳香族結晶性ポリエステル樹脂からなる
組成物には、加工中の熱劣化を抑制する目的で公知の酸
化防止剤、例えばヒンダードフェノール類、フォスファ
イト類、チオエーテル類、アミン類を添加することが望
ましい。
【0039】また、シート状成形品の耐候性を向上させ
るため、公知の耐光剤、例えばヒンダートアミン類、ベ
ンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類を添加すること
も可能である。
【0040】同様に熱劣化性を向上するためカルボジイ
ミドなど安定剤を配合することも可能である。その他、
加工性を改善するため脂肪族エステルワックス、脂肪族
金属塩、ポリエチレンワックスなどを本発明の目的を損
なわない範囲で添加することが可能である。
【0041】さらに、充填剤、強化剤、可塑剤、顔料、
着色剤、または目的を損なわない範囲で他のポリマーを
任意に配合することが可能である。
【0042】本発明に用いられるカレンダー成形とは、
一般に知られている方法であり、高温のカレンダーロー
ル間の谷間で樹脂を滞留させ可塑化混練し、ロール間隔
で所定の厚みに圧延する方法である。このときの加工温
度、つまりカレンダーロール温度は下記式(4)を満足
する範囲にあることが必要である。
【0043】
【数10】T1−10℃<T3<T2 (4) [T1:ポリエステルブロック共重合体(A)の融点、 T2:芳香族結晶性ポリエステル樹脂(B)の融点、 T3:加工温度(ロール温度)]
【0044】加工温度がこの温度以下では可塑化不良と
なり、この温度以上では熱劣化が激しくなると共にロー
ルからの樹脂剥離が困難となる。このとき剥離性を挙げ
るためワックス類を過剰に配合する場合があるが、ポリ
エステル樹脂組成物の持つ優れた特性を損なう恐れがあ
るため適切は方法とは言えない。
【0045】また、可塑化、粗成形、圧延、冷却の過程
で、他の材、シート状製品等を挿入導入し、ラミネート
などの複合化することも可能である。ロールのフォーメ
ーションとしては、逆L型、L型等の4本、5本ロール
が挙げられる。
【0046】尚、本発明においてポリエステル樹脂組成
物をカレンダー成形に供する前に予め上記組成で混練し
ておくことが好ましい。この混練する方法としては押出
機を用いて連続混練することが一般的である。また加工
時に加水分解による劣化を防ぐ目的で、加工前に予め樹
脂組成物を熱風乾燥しておくことが好ましい。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳述す
る。なお、実施例中「部」とは「重量部」を示す。なお
実施例及び比較例に用いたエラストマー、及び物性の測
定方法を以下に記す。
【0048】[エラストマー1]イソフタル酸ジメチル
175部、セバシン酸ジメチル23部、ヘキサメチレン
グリコール140部をジブチル錫ジアセテート触媒でエ
ステル交換反応後、減圧下に重縮合して、固有粘度1.
06、DSC法によって結晶の溶融に起因する吸熱ピー
クを有さない非晶性のポリエステル(ア)を得た。この
ポリエステルに、別途同様に重縮合して得た固有粘度
0.98のポリブチレンテレフタレート(T0=223
℃)(イ)のチップを乾燥して、107部添加し、24
0℃で更に45分反応させたのち、フェニルフォスフォ
ン酸を0.1部添加して、反応を停止させた。このポリ
エステルブロック共重合体を取り出しチップ化して原料
とした。このチップの融点は190℃で、固有粘度は
0.93であった。なお、上記全成分からなるランダム
共重合体は融点をもたず、この融点(T’)は0℃とみ
なす。
【0049】[エラストマー2]テレフタル酸ジメチル
194部、トリエチレングリコール160部をジブチル
錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下に重
縮合して、固有粘度0.76の水飴状のポリエステル
(ア)を得た。このポリエステルに、別途同様に重縮合
して得た固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレー
ト(イ)のチップを乾燥して、107部添加し、250
℃で更に75分反応させたのち、フェニルフォスフォン
酸を0.1部添加して、反応を停止させた。このポリエ
ステルブロック共重合体を取り出しチップ化して原料と
した。このチップの融点は176℃で、固有粘度は0.
83であった。なお、上記全成分からなるランダム共重
合体は融点をもたず、この融点(T’)は0℃とみな
す。
【0050】[エラストマー3]テレフタル酸ジメチル
245部、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量
2000)399部、テトラメチレングリコール159
部をテトラブトキシチタネートを触媒として、常法によ
り重合して固有粘度1.42、ハードセグメント量38
wt%のポリエステルブロック共重合体を得た。なおハー
ドセグメント量は、重合後のポリマー重量に対するポリ
テトラメチレングリコールの重合仕込み量から求めた。
このポリマーの融点は198℃であった。
【0051】[エラストマー4]テレフタル酸ジメチル
613部、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量
1000)185部、テトラメチレングリコール398
部をテトラブトキシチタネートを触媒として、常法によ
り重合して固有粘度1.61、ハードセグメント量79
wt%のポリエステルブロック共重合体を得た。このポリ
マーの融点は216℃であった。
【0052】[芳香族結晶性ポリエステル1] ポリブチレンテレフタレート(PBT):帝人(株)製
商品名C7000、融点223℃
【0053】[芳香族結晶性ポリエステル2]テレフタ
ル酸ジメチル375部、セバシン酸ジメチル63部、テ
トラメチレングリコール438部を、テトラブトキシチ
タネートを触媒として、常法により重合して融点204
℃の結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0054】[熱安定剤]ヒンダードフェノール系熱安
定剤(チバガイギー社製イルガノックス1010)
【0055】[融点の測定方法]示差走査型熱量計を用
いて、JIS K7121に基づき結晶構造溶融の伴う
吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0056】[熱劣化評価]成形前、成形後のMFR値
を測定し、成形過程での熱劣化による分子量低下の目安
とした。MFRはサンプルを130℃4時間以上乾燥し
た後、240℃で荷重2160gで測定し、成形前のM
FR値に対し成形後のMFR値増加分を百分率で表し
た。MFRの測定はJIS K7210に準拠した。
【0057】[カレンダー成形] 1)18インチφ2本ロール(ロール温度;実施例、比
較例参照 クリアランス3mm)間に原料を投入し可塑化
を行った。 2)その後、逆L型4本ロールに投入し圧延シート化を
行い、最終的に500μmのシートサンプルを得た。加
工速度は10mm/minで行った。
【0058】[カレンダー成形の成形性の評価]可塑化
状態(均一に且つ速やかに可塑化するか)、ロール剥離
性(可塑化ロール及び圧延ロールに張り付きが無く圧延
されるか)について目視にて評価を行った。
【0059】[実施例1〜5、比較例1〜6]表1に記
載の組成、条件でシートをカレンダー成形した。結果を
表1に示す。表1の結果から明らかなように、実施例1
〜5においては、加工温度幅が20℃程度有り、また加
工温度を200℃以下に下げることが可能なため、熱劣
化が少なく安定して生産が可能であった。
【0060】比較例1、2の単独のポリマーを用いた場
合は加工温度幅が狭く融点以下では可塑化不足であり、
融点以上では急激に粘度が低下しカレンダーロールに貼
り付くと共にシート送り自体が困難であった。
【0061】比較例3、4においては融点の異なるポリ
マーを配合していても本発明の効果は発現しなかった。
【0062】比較例5においては、2種類のポリマーの
融点差が20℃以下であるため、加工温度幅が狭くなり
可塑化が良好となると同時に一部ロールに融着する現象
が認められた。
【0063】比較例6においては、加工温度190〜2
00℃にて可塑化性、剥離性、熱劣化による粘度低下が
良好であったが、成形したシートに表面剥離が発生し物
性が著しく低下し実用には耐えられないレベルであっ
た。
【0064】比較例6に用いたエラストマー3は、広く
市場に出ているエステル・エーテルエラストマーであ
る。このタイプのエラストマーは融点を下げるためソフ
トセグメントの量を増加させるとPBTとの相溶性が著
しく低下し、物性の低下が認められるため、本発明の効
果を発現するのに用いることは適さない。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、カレンダー成形に適
し、生産性に優れ、耐熱性、耐薬性、薬品の移行防止
性、機械的物性に優れた柔軟性を有するシート状成型品
を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テレフタル酸及びテトラメチレングリコ
    ールがそれぞれ全ジカルボン酸に対して60モル%以上
    のポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメン
    ト(ア)20〜50重量%と、芳香族ジカルボン酸が全
    ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であり、HO
    (CH2CH2O)iH (i=2〜5)で表わされるジオ
    ールが全ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であ
    るポリエステルからなるソフトセグメント(イ)80〜
    50重量%とのポリエステルブロック共重合体であっ
    て、融点(T1)が下記式(1)〜(3)を満足するポ
    リエステルブロック共重合体(A)100重量部 【数1】T0−5℃>T1>T0−60℃ (1) T1>T’+10℃ (2) T1≦210℃ (3) [T0:ハードセグメントを構成する成分からなるポリ
    マーの融点 T’:ハードセグメント及びソフトセグメントを構成す
    る全成分からなるランダム共重合ポリマーの融点] 及び融点(T2)が下記式(4)を満足する芳香族結晶
    性ポリエステル樹脂(B)10〜120重量部からなる
    ポリエステル樹脂組成物をカレンダー成形したシート状
    成型品。 【数2】T2−T1>20℃ (4)
  2. 【請求項2】 テレフタル酸及びテトラメチレングリコ
    ールがそれぞれ全ジカルボン酸に対して60モル%以上
    のポリブチレンテレフタレートからなるハードセグメン
    ト(ア)20〜50重量%と、芳香族ジカルボン酸が全
    ジカルボン酸成分に対して60モル%以上であり、HO
    (CH2CH2O)iH (i=2〜5)で表わされるジオ
    ール成分が全ジカルボン酸成分に対して60モル%以上
    であり、かつ、分子量が1200以下のポリオキシアル
    キレングリコールがポリエーテルエステル全体に対して
    5〜30重量%であるポリエーテルエステルからなるソ
    フトセグメント(イ)80〜50重量%とのポリエステ
    ルブロック共重合体であって、融点(T1)が下記式
    (1)〜(3)を満足するポリエステルブロック共重合
    体(A)100重量部 【数3】T0−5℃>T1>T0−60℃ (1) T1>T’+10℃ (2) T1≦210℃ (3) [T0:ハードセグメントを構成する成分からなるポリ
    マーの融点 T’:ハードセグメント及びソフトセグメントを構成す
    る全成分からなるランダム共重合ポリマーの融点] 及び融点(T2)が下記式(4)を満足するポリブチレ
    ンテレフタレート(B’)10〜120重量部からなる
    ポリエステル樹脂組成物をカレンダー成形したシート状
    成型品。 【数4】T2≧210℃ (4)
  3. 【請求項3】 カレンダー成形を下記式(5)を満足す
    る加工温度(T3)で行うことを特徴とする請求項1又
    は2に記載のシート状成型品の製造方法。 【数5】T1−10℃<T3<T2 (5) [T2:芳香族結晶性ポリエステル樹脂の融点]
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7030181B2 (en) 2001-04-11 2006-04-18 Eastman Chemical Company Films prepared from plasticized polyesters
US7235623B2 (en) 2003-11-26 2007-06-26 Eastman Chemical Company Polyester compositions for calendering
US7285587B2 (en) 2002-12-20 2007-10-23 Eastman Chemical Company Flame retardant polyester compositions for calendering
JP2008013769A (ja) * 2006-07-07 2008-01-24 Lg Chem Ltd 熱可塑性エラストマーを用いた装飾的なシート用樹脂フィルム及びその製造方法
US7354653B2 (en) 2003-12-18 2008-04-08 Eastman Chemical Company High clarity films with improved thermal properties
CN114407474A (zh) * 2022-03-30 2022-04-29 宁波长阳科技股份有限公司 一种高耐温润滑性聚酯基膜及其制备方法

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