JPH10288491A - 熱交換器用偏平チューブ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一で優れた伝熱特性を保持しつつ，部品点
数の減少及びコストダウンを図ることができる，熱交換
器用偏平チューブ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 偏平チューブ１は，断面形状が偏平であ
ると共にその内部に流体通路１５を有する偏平管１０
と，偏平管１０の流体通路１５に挿設されて流体の流れ
を攪乱するインナフィン２とよりなる。インナフィン２
は，斜め平行に配された複数のリブ２１を有する１枚の
リブ体２０を用いてなると共に，リブ２１が互いに交差
するようリブ体２０を２重に折り畳んだ状態で構成され
ている。また，インナフィン２は長手方向に沿って設け
た係合部２６を有しており，一方，偏平管１０は係合部
２６と係合可能な位置決め部１６を有している。インナ
フィン２は係合部２６を位置決め部１６に係合させて偏
平管１０内に配設されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【技術分野】本発明は，積層型熱交換器における偏平チ
ューブ及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来技術】従来より，車両用の熱交換器として，冷媒
流路を構成する偏平チューブと空気との伝熱を図るフィ
ンとを交互に積層してなる積層型熱交換器が多く使用さ
れている。かかる積層型熱交換器における上記偏平チュ
ーブは，冷媒からの伝熱を促進するため，その断面形状
を偏平形状とすると共にその内部の流体通路に多数のリ
ブを配設する場合がある。

【０００３】例えば，偏平チューブを構成する金属プレ
ートをプレス加工することにより，偏平チューブの壁面
自体を内方に突出させて一体的にリブを形成したものが
ある。また，特開平６−７４６７８号公報に示されてい
るごとく，偏平管の内部に別途構成したインナフィンを
挿入配置させるタイプの偏平チューブ９がある。

【０００４】図１１に示すごとく，偏平チューブ９は，
偏平形状の偏平管９１とは別個に多数のリブ９２１を有
するリブ体９２を２枚準備して，これをリブ９２１が互
いに交差するように重ね合わせてインナフィン９３とし
て用いる。そして，インナフィン９３を偏平管９１内に
挿入配置することにより偏平チューブ９を構成する。こ
の偏平チューブ９は，上記のプレス加工によりリブを一
体的に設けたタイプの偏平チューブに比べて伝熱効率を
大幅に向上させることができる。

【０００５】

【解決しようとする課題】しかしながら，上記従来の偏
平チューブ９においては，次の問題がある。即ち，偏平
チューブ９は，上記インナフィン９３を用いることによ
り，プレス加工タイプの偏平チューブよりも伝熱効率を
向上させることができる一方，部品点数が増加し，コス
トアップとなる。

【０００６】また，上記偏平チューブ９においては，そ
の製造時におけるインナフィン９３の挿入性を向上させ
るため，インナフィン９３の幅を流体通路の幅よりも十
分に狭くする場合がある。しかし，この場合には，イン
ナフィン９３の挿入後にこれが流体通路内において一方
に片寄って配置されてしまうという問題がある。このイ
ンナフィンの片寄った配置は流体との伝熱性の片寄りに
つながるおそれがある。

【０００７】本発明は，かかる従来の問題に鑑みてなさ
れたもので，均一で優れた伝熱特性を保持しつつ，部品
点数の減少及びコストダウンを図ることができる，熱交
換器用偏平チューブ及びその製造方法を提供しようとす
るものである。

【０００８】

【課題の解決手段】請求項１の発明は，熱交換器用の流
体通路を構成する偏平チューブにおいて，該偏平チュー
ブは，断面形状が偏平であると共にその内部に流体通路
を有する偏平管と，該偏平管の上記流体通路に挿設され
て流体の流れを攪乱するインナフィンとよりなり，上記
インナフィンは，上記偏平管の長手方向に対して斜め平
行に配された複数のリブを有する１枚のリブ体を用いて
なると共に，上記リブが互いに交差するよう上記リブ体
を２重に折り畳んだ状態で構成されており，また，上記
インナフィンは上記長手方向に沿って設けた係合部を有
しており，一方，上記偏平管は上記係合部と係合可能な
位置決め部を有しており，上記インナフィンは上記係合
部を上記位置決め部に係合させて上記偏平管内に配設さ
れていることを特徴とする熱交換器用偏平チューブにあ
る。

【０００９】本発明において最も注目すべきことは，上
記インナフィンは，上記１枚のリブ体を２重に重なるよ
うに折り畳んだ状態で構成してあり，また上記インナフ
ィンと偏平管との位置決めは，上記係合部と上記位置決
め部の係合によりなされていることである。

【００１０】上記偏平管としては，上記インナフィンを
挿入配置するための偏平断面の流体通路を有するもので
あれば種々の構造のものを適用することができる。例え
ば，従来のように２枚の金属プレートをろう付け等によ
り接合して作製したものの他，丸管を偏平状に変形させ
て作製したもの等種々のタイプの偏平管を適用すること
ができる。

【００１１】また，上記インナフィンは，上記のごとく
１枚のリブ体を２重に折り畳んで構成してある。折り畳
み方向は，長手方向に平行な折り曲げ線に沿って折り畳
むことが好ましい。また，折り曲げ方は，幅方向中央の
折り曲げ線に沿って２つ折りにする方法，左右２本の折
り曲げ線にそって両端を中央に向けてそれぞれ２つ折り
にする方法等，種々の方法をとることができる。

【００１２】また，上記インナフィンにはその長手方
向，即ち上記偏平管の軸方向に沿った係合部を設け，一
方上記偏平管には上記係合部と係合可能な位置決め部を
設けてある。上記係合部と位置決め部は，例えば溝と突
起，あるいは突起と溝等の組み合わせにより構成するこ
とができる。

【００１３】次に，本発明の作用につき説明する。本発
明の偏平チューブにおけるインナフィンは，上記のごと
く１枚のリブ体を用いて，これを折り畳んだ状態にして
構成してある。そのため，部品が１点であるにもかかわ
らず，従来の２枚のリブ体を重ねた場合と同等の機能を
有するインナフィンを構成することができる。

【００１４】即ち，上記リブ体には長手方向に斜めに設
けた多数のリブを有している。そのため，これを折り畳
んだ場合には，逆方向に傾斜したリブを有するリブ体を
重ね合わせた場合と同様に，互いにリブが交差した状態
を得ることができる。そのため，本発明におけるインナ
フィンは，従来と同様に流体の流れを十分に攪乱する機
能を維持することができる。

【００１５】また，上記インナフィンには上記係合部
を，上記偏平管には上記位置決め部をそれぞれ設けてあ
る。そのため，偏平管内にインナフィンを挿入配置させ
た場合の幅方向の位置決めを容易かつ確実に行うことが
できる。それ故，流体通路内におけるインナフィンは，
長手方向のいずれの位置においても安定的に中央部に配
置され，均一な伝熱特性を保持することができる。

【００１６】このように，本発明によれば，均一で優れ
た伝熱特性を保持しつつ，部品点数の減少及びコストダ
ウンを図ることができる，熱交換器用偏平チューブを得
ることができる。

【００１７】次に，請求項２の発明のように，上記イン
ナフィンにおける上記係合部は，上記リブ体の両端を上
記長手方向に沿って左右から互いに折り曲げると共に対
面する上記両端の間に設けた間隙部により構成されてお
り，一方，上記偏平管における上記位置決め部は，該偏
平管の管壁内面にその長手方向に沿って設けた突起によ
り構成されていることが好ましい。

【００１８】即ち，上記インナフィンは，長手方向に平
行な２本の折り曲げ線に沿ってその両端をそれぞれ中央
に向けて折り返して構成する。また，折り返し幅は，上
記両端が接触することなく，一定幅の上記間隙部を構成
する幅に設定する。これにより，インナフィンには，溝
状の上記間隙部が形成される。そのため，上記インナフ
ィンにおける上記係合部を形成するに当たり特別な工程
を設ける必要がなく，さらなるコストダウンを図ること
ができる。

【００１９】また，請求項３の発明のように，上記偏平
管は溶接管であって，上記位置決め部は該溶接管の管壁
内面にその長手方向に沿って設けられた溶接ビードより
なることが好ましい。これにより，上記間隙部に対応す
る上記突起を，特別な工程を設けることなく，上記溶接
管の溶接ビードを残存させることにより容易に得ること
ができる。それ故，偏平管の製造コストも低減させるこ
とができ，偏平チューブ全体の一層のコストダウンを図
ることができる。

【００２０】次に，上記優れた偏平チューブを製造する
方法としては，次の発明がある。即ち，請求項４の発明
のように，断面形状が偏平であると共にその内部に流体
通路を有する偏平管と，該偏平管の上記流体通路に挿設
されて流体の流れを攪乱するインナフィンとよりなる熱
交換器用偏平チューブを製造する方法であって，まず管
壁内面にその長手方向に沿った突起を有する断面円状の
丸管を準備し，該丸管を上記突起がその対面する管壁に
近づくように押圧変形させて断面偏平状の上記偏平管を
作製し，一方，上記偏平管の長手方向に対して斜め平行
に配された複数のリブを有する１枚のリブ体を準備し，
該リブ体の両端を上記長手方向に沿って左右から互いに
折り曲げると共に対面する上記両端の間に間隙部を設け
てなるインナフィンを作製し，次いで，上記間隙部を上
記突起に係合させた状態で上記インナフィンを偏平管内
に挿入し，次いで両者を一体的に接合することを特徴と
する熱交換器用偏平チューブの製造方法がある。

【００２１】本製造方法において最も注目すべきこと
は，上記突起を有する丸管を用いて上記偏平管を作製す
る一方，上記一枚のリブ体を用いてこれを折り畳んで上
記間隙部を有するインナフィンを作製することである。
上記丸管の押圧変形は，ロール成形又はプレス成形によ
り行うことができる。また，上記リブ体の折り曲げにつ
いても，ロール成形又はプレス成形により行うことがで
きる。

【００２２】また，上記偏平管とインナフィンとの一体
的な接合は，例えばろう付けにより行うことができる。
この場合には，偏平管及びインナフィンの材料としてろ
う材を表皮材として有するクラッド材をを用いることに
より，容易にろう付けを行うことができる。

【００２３】次に，本製造方法における作用につき説明
する。本製造方法においては，上記偏平管を上記丸管を
用いてこれを押圧変形させて作製する。そのため，従来
のように２枚のプレートを重ね合わせて作製する場合に
比べて部品点数を減少させることができる。また，上記
インナフィンは，上記１枚のリブ体により形成すること
ができ，この場合も従来よりも部品点数を減少させるこ
とができる。

【００２４】また，上記偏平管には上記突起を設けてあ
り，一方上記インナフィンには上記間隙部を設けてあ
る。そのため，インナフィンを偏平管に挿入するに当た
っては，上記間隙部を上記突起に係合させた状態で行う
ことができる。これにより，偏平管内に配置されるイン
ナフィンの幅方向の位置は，容易にかつ確実に位置決め
することができる。

【００２５】また，確実に位置決めされて挿入されたイ
ンナフィンは，その後の一体的な接合においてもその配
設位置が維持される。それ故，得られる偏平チューブ
は，長手方向のいずれの位置に置いても流体通路内のイ
ンナフィンの配設位置が安定しているため，流体の伝熱
特性を均一に保持することができる。

【００２６】したがって，本製造方法によれば，均一で
優れた伝熱特性を保持しつつ，部品点数の減少及びコス
トダウンを図ることができる，熱交換器用偏平チューブ
の製造方法を提供することができる。

【００２７】次に，請求項５の発明のように，上記丸管
は溶接管であって，上記突起は該溶接管の管壁内面にそ
の長手方向に沿って設けられた溶接ビードよりなること
が好ましい。これにより，上記丸管の突起を特別に設け
ることなく，上記溶接ビードを残存させることによりこ
れを有効利用することができる。それ故，製造コストの
低減を図ることができる。

【００２８】

【発明の実施の形態】

実施形態例１ 本発明の実施形態例にかかる熱交換器用偏平チューブ及
びその製造方法につき，図１〜図６を用いて説明する。
本例の熱交換器用の偏平チューブ１は，図１に示すごと
く，断面形状が偏平であると共にその内部に流体通路１
５を有する偏平管１０と，偏平管１０の流体通路１５に
挿設されて流体の流れを攪乱するインナフィン２とより
なる。

【００２９】インナフィン２は，図１，図４に示すごと
く，偏平管１０の長手方向に対して斜め平行に配された
複数のリブ２１を有する１枚のリブ体２０を用いてな
る。そして，図１に示すごとく，このリブ２１が互いに
交差するようリブ体２０を２重に折り畳んだ状態で構成
されている。

【００３０】また，インナフィン２は長手方向に沿って
設けた係合部２６を有しており，一方偏平管１０は係合
部２６と係合可能な位置決め部１６を有している。そし
て，図１に示すごとく，インナフィン２は係合部２６を
位置決め部１６に係合させて偏平管１０内に配設されて
いる。

【００３１】また，図１に示すごとく，本例におけるイ
ンナフィン２における係合部２６は，リブ体２０の両端
を長手方向に沿って左右から互いに折り曲げると共に対
面する両端の間に設けた間隙部により構成されている。
また，上記偏平管１０は溶接管であって，位置決め部１
６は溶接管の管壁内面１２にその長手方向に沿って設け
られた溶接ビードよりなる。

【００３２】この偏平チューブ１を製造するに当たって
は，まず，上記偏平管１０とインナフィン２とをそれぞ
れ別個に作製する。偏平管１０を作製するに当たって
は，図２に示すごとく，管壁内面１２にその長手方向に
沿った溶接ビード１６を有する断面円状の溶接丸管１９
を準備する。なお，本例の溶接丸管１９は，その内面に
ろう材をクラッドしたクラッド材を素材として用いてあ
る。

【００３３】次に，溶接丸管１９を溶接ビード１６がそ
の対面する管壁に近づくように押圧変形させるて断面偏
平状の偏平管１０となす。具体的には，図３（ａ）〜
（ｃ）に示すごとく，３段階のロール成形により行う。
即ち，孔型を若干楕円形状に形取った一対の第１管用ロ
ール５１と，さらに孔型を偏平形状に近い楕円形状に形
取った一対の第２管用ロール５２と，孔型を所望の偏平
形状に形取った第３孔型ロール５３を用いて，溶接丸管
１９を順次成形していく。

【００３４】これにより，溶接丸管１９は，第１中間管
１９１，第２中間管１６２の状態を経て偏平管１０に成
形される。また，この偏平管１０の成形の際には，図３
（ａ）〜（ｃ）に示すごとく，溶接ビード１６を常に上
方中央部に位置させた。これにより，得られた偏平管１
０は，偏平部の中央に溶接ビードを配置した状態で得ら
れた。また，図３（ｃ）に示すごとく，偏平管１０の内
部には，上記流体通路１５が形成される。

【００３５】次に，インナフィン２を作製するに当たっ
ては図４に示すごとく，偏平管１０の長手方向に対して
斜め平行に配された複数のリブ２１を有する１枚のリブ
体２０を準備する。なお，本例のリブ体２０は，両面に
ろう材を配したクラッド材を用い，これをプレスにより
打ち抜き加工することにより作製したものである。

【００３６】次に，リブ体２０の両端を長手方向に沿っ
て左右から互いに折り曲げると共に対面する両端の間に
間隙部２６を設けてなるインナフィン２を作製する。具
体的には，図５（ａ）〜（ｄ）に示すごとく，４段階の
ロール成形により行う。即ち，両端部を若干持ち上げた
孔型形状を有する一対の第１フィン用ロール６１と，両
端を直角状に形取った孔型形状を有する一対の第２フィ
ン用ロール６２と，両端を鋭角状にした孔型形状を有す
る第３フィン用ロール６３と，リブ体２０の２つ折り厚
み分の孔型形状を有する第４フィン用ロール６４を用い
て，リブ体２０を順次成形していく。

【００３７】これにより，リブ体２０は，図（ａ）〜
（ｄ）に示すごとく，鈍角状に両端を折り曲げた第１中
間体２０１，両端を直角状に折り曲げた第２中間体２０
２，両端を鋭角状に折り曲げた第３中間体２０３の状態
を経てインナフィン２に成形される。また，リブ体２０
の成形においては，両端の折り曲げ幅を全幅の１／４よ
りも小さい幅に設定した。これにより，図１，図５に示
すごとく，インナフィン２に上記間隙部２６を形成する
ことができる。

【００３８】次に，図６に示すごとく，得られた偏平管
１０の流体通路１５の中にインナフィン２を挿入配置さ
せる。このとき，インナフィン２は，その間隙部２６を
溶接ビード１６に係合させた状態で偏平管１０内に挿入
する。これにより，インナフィン２は，偏平管１０の流
体通路１５内の幅方向の位置を一定に保ちながら偏平管
１０内に配置される。

【００３９】次いで，インナフィン２を内蔵した偏平管
１０を全体的に加熱する。これにより，インナフィン２
同士，及びインナフィン２と偏平管１０の両者は，それ
ぞれのろう材の作用により一体的にろう接される。これ
により，図１に示すごとく，インナフィン２を一体的に
内蔵した偏平チューブ１が得られる。

【００４０】次に，本例の作用につき説明する。本例の
偏平チューブ１におけるインナフィン２は，１枚のリブ
体２０を用いて，これを折り畳んだ状態で構成する。ま
た，インナフィン２の作製に当たっては，上記ロール成
形によって連続的かつ高効率で作製することができる。
それ故，インナフィン２の作製コストを，部品点数の減
少と工程の合理化の両面から達成することができる。

【００４１】また，本例においては，偏平管１０として
溶接丸管１９を用いて作製する。そそのため，偏平管１
０は，溶接丸管１９を上記ロール成形によって成形する
ことにより，連続的かつ高能率で作製することができ
る。また，偏平管１０における上記突起１６としては，
溶接丸管１９において残存させた溶接ビードをそのまま
利用する。そのため，特別な突起形成工程等を設ける必
要がない。それ故，このような成形工程の合理化によっ
て偏平管１０の製造コストの低減をも図ることができ
る。

【００４２】また，本例の偏平チューブ１は，インナフ
ィン２における間隙部２６を溶接ビード１６に係合させ
た状態で偏平管１０内に挿入配置する。そのため，偏平
管１０の流体通路１５内におけるインナフィンの配置位
置を最適な位置に容易かつ確実に位置決めすることがで
きる。それ故，本例の偏平チューブ１は，長手方向のい
ずれの位置においてもインナフィン２の幅方向の位置を
安定的に確保することができ，均一な伝熱特性を保持す
ることができる。

【００４３】このように，本例によれば，均一で優れた
伝熱特性を保持しつつ，部品点数の減少及びコストダウ
ンを図ることができる，熱交換器用偏平チューブ及びそ
の製造方法を得ることができる。

【００４４】実施形態例２ 本例は，図７に示すごとく，実施形態例１における偏平
管１０にインナフィン２を挿入配置した後，偏平管１０
の溶接部をその外方から凸型治具８を用いて押圧した例
である。その他は実施形態例１と同様である。これによ
り，偏平管１０は，その溶接ビード１６がインナフィン
２の間隙部２６内に強く押し込まれ，インナフィン２と
の結合状態が強固となる。それ故，その後のろう付けに
よって得られる偏平管１０とインナフィン２との接合状
態は非常に強固なものとなる。その他は実施形態例１と
同様の効果が得られる。

【００４５】実施形態例３ 本例は，図８に示すごとく，実施形態例１における偏平
管１０に代えて，ろう付け管３０を用いた。即ち，ろう
付け管３０は，素材の両端部分に折り曲げ部３１を設け
ると共にこれを突き合わせてろう付けすると共に偏平形
状に成形したものである。そして，上記折り曲げ部３１
を偏平管３の管壁内部に位置させるように構成し，これ
を位置決め部３６としたものである。

【００４６】この場合には，偏平管３が上記位置決め部
３６を有するろう付け管であるため，ロール成形後イン
ナフィン２と一体ろう付けすれば良く，溶接工程が不要
となり，工程合理化を図ることができる。その他は実施
形態例１と同様の効果が得られる。

【００４７】実施形態例４ 本例は，図１０に示すごとく，溶接丸管を内面の溶接ビ
ード４６が端部にくるように成形した偏平管４０を用い
た。また，インナフィン７としては，図９，図１０に示
すごとく，多数のリブ７１を有する１枚のリブ体７０を
中央から２つ折りにした構造のものを用いた。

【００４８】まず，偏平管４０は，実施形態例１と同様
の溶接丸管を用い，これを実施形態例１と同様にロール
成形して作製した。このとき，溶接ビード４６は，図１
０に示すごとく，偏平管４０の一端にくるように位置さ
せた。また，この偏平管４０には，インナフィン７の位
置決めのための溝４７を設けた。この溝４７は，成形前
の素材を凸形状のロールを用いて加工することにより設
けた。

【００４９】一方，インナフィン７は，図９に示すごと
く，両端部に折り曲げ部７６を有する１枚のリブ体７０
を用いた。そして，リブ体７０に実施形態例１と同様の
ロール成形を行うことにより，上記折り曲げ部７６が互
いに背面で合わさるように２つ折りにした。これによ
り，図１０に示すごとく，その表裏両方に突出した係合
部（折り曲げ部）７６を一方の端部に有するインナフィ
ン７を得た。

【００５０】次に，偏平管４０の流体通路４５内にイン
ナフィン７を挿入配置する。このとき，インナフィン７
は，その係合部７６を溝４７に係合させた状態で偏平管
４０内に挿入する。次いで，インナフィン７を内蔵した
偏平管４０を全体的に加熱する。これにより，インナフ
ィン２を偏平管４０内の最適な位置に一体的にろう接し
た偏平チューブ４が得られる。

【００５１】この偏平チューブ４は，インナフィン７を
単純に中央からの２つ折り状態とするため，その製造を
容易にすることができ，工程合理化を図ることができ
る。また，偏平管４０の位置決め部を溝４７により構成
し，一方，インナフィン７の係合部７６を上記折り曲げ
た突起により構成することにより，インナフィン７の剛
性が高くなり，偏平管４０への挿入が容易になるという
効果が得られる。その他は，実施形態例１と同様の効果
が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態例１の熱交換器用偏平チューブの構造
を示す説明図。

【図２】実施形態例１における，溶接丸管の斜視図。

【図３】実施形態例１における，偏平管の成形工程を示
す説明図。

【図４】実施形態例１における，リブ体の斜視図。

【図５】実施形態例１における，インナフィンの成形工
程を示す説明図。

【図６】実施形態例１における，偏平管にインナフィン
を挿入している状態を示す説明図。

【図７】実施形態例２における，偏平管溶接部の凸型治
具による押圧変形状態を示す説明図。

【図８】実施形態例３の熱交換器用偏平チューブの構造
を示す説明図。

【図９】実施形態例４における，リブ体の斜視図。

【図１０】実施形態例４の熱交換器用偏平チューブの構
造を示す説明図。

【図１１】従来例の熱交換器用偏平チューブの構造を示
す説明図。

【符号の説明】

１，４．．．熱交換器用偏平チューブ， １０，３０，４０．．．偏平管， １５．．．流体通路， １６，３６．．．溶接ビード（位置決め部）， ２，７．．．インナフィン， ２０，７０．．．リブ体， ２１，７１．．．リブ， ２６．．．間隙部（係合部）， ４７．．．溝（位置決め部）， ７６．．．係合部，

フロントページの続き (72)発明者 山本 憲 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 下谷 昌宏 愛知県刈谷市昭和町１丁目１番地 株式会 社デンソー内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱交換器用の流体通路を構成する偏平チ
   ューブにおいて，該偏平チューブは，断面形状が偏平で
   あると共にその内部に流体通路を有する偏平管と，該偏
   平管の上記流体通路に挿設されて流体の流れを攪乱する
   インナフィンとよりなり，上記インナフィンは，上記偏
   平管の長手方向に対して斜め平行に配された複数のリブ
   を有する１枚のリブ体を用いてなると共に，上記リブが
   互いに交差するよう上記リブ体を２重に折り畳んだ状態
   で構成されており，また，上記インナフィンは上記長手
   方向に沿って設けた係合部を有しており，一方，上記偏
   平管は上記係合部と係合可能な位置決め部を有してお
   り，上記インナフィンは上記係合部を上記位置決め部に
   係合させて上記偏平管内に配設されていることを特徴と
   する熱交換器用偏平チューブ。
2. 【請求項２】 請求項１において，上記インナフィンに
   おける上記係合部は，上記リブ体の両端を上記長手方向
   に沿って左右から互いに折り曲げると共に対面する上記
   両端の間に設けた間隙部により構成されており，一方，
   上記偏平管における上記位置決め部は，該偏平管の管壁
   内面にその長手方向に沿って設けた突起により構成され
   ていることを特徴とする熱交換器用偏平チューブ。
3. 【請求項３】 請求項２において，上記偏平管は溶接管
   であって，上記位置決め部は該溶接管の管壁内面にその
   長手方向に沿って設けられた溶接ビードよりなることを
   特徴とする熱交換器用偏平チューブ。
4. 【請求項４】 断面形状が偏平であると共にその内部に
   流体通路を有する偏平管と，該偏平管の上記流体通路に
   挿設されて流体の流れを攪乱するインナフィンとよりな
   る熱交換器用偏平チューブを製造する方法であって，ま
   ず管壁内面にその長手方向に沿った突起を有する断面円
   状の丸管を準備し，該丸管を上記突起がその対面する管
   壁に近づくように押圧変形させて断面偏平状の上記偏平
   管を作製し，一方，上記偏平管の長手方向に対して斜め
   平行に配された複数のリブを有する１枚のリブ体を準備
   し，該リブ体の両端を上記長手方向に沿って左右から互
   いに折り曲げると共に対面する上記両端の間に間隙部を
   設けてなるインナフィンを作製し，次いで，上記間隙部
   を上記突起に係合させた状態で上記インナフィンを偏平
   管内に挿入し，次いで両者を一体的に接合することを特
   徴とする熱交換器用偏平チューブの製造方法。
5. 【請求項５】 請求項４において，上記丸管は溶接管で
   あって，上記突起は該溶接管の管壁内面にその長手方向
   に沿って設けられた溶接ビードよりなることを特徴とす
   る熱交換器用偏平チューブの製造方法。