JPH10286911A - 積層体 - Google Patents

積層体

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JPH10286911A
JPH10286911A JP11195797A JP11195797A JPH10286911A JP H10286911 A JPH10286911 A JP H10286911A JP 11195797 A JP11195797 A JP 11195797A JP 11195797 A JP11195797 A JP 11195797A JP H10286911 A JPH10286911 A JP H10286911A
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JP
Japan
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norbornene
dodecene
polymer
weight
polar group
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Pending
Application number
JP11195797A
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English (en)
Inventor
Susumu Hosaka
享 保坂
Yasuo Tsunokai
靖男 角替
Yasuhiro Wakizaka
康尋 脇坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP11195797A priority Critical patent/JPH10286911A/ja
Publication of JPH10286911A publication Critical patent/JPH10286911A/ja
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    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/032Organic insulating material consisting of one material
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K3/00Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
    • H05K3/38Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal
    • H05K3/386Improvement of the adhesion between the insulating substrate and the metal by the use of an organic polymeric bonding layer, e.g. adhesive

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  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 誘電特性、耐湿性(低吸水性)、耐熱性、耐
久性、及び密着性に優れる積層体、その製造方法、及び
多層基板を提供すること。 【解決手段】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)から
なる誘電層の少なくとも片面に、極性基を有するノルボ
ルネン系樹脂(b)からなる接着層が形成され、該接着
層の上に導電層が形成されている積層体、その製造方
法、及び該積層体を2個以上重ねてなる多層基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電層の上に接着
層を介して導電層が形成された積層体に関し、さらに詳
しくは、誘電特性、耐熱性、低吸水性、耐久性、及び密
着性に優れた積層体、その製造方法、及び該積層体を用
いた多層基板に関する。本発明の積層体及び多層基板
は、電気・電子機器分野における多層回路基板などの用
途に特に有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体実装技術における高密度化
及び高速化の要求に対応して、配線ピッチの高密度化が
図られているが、それに伴って、回路基板に関する技術
は、従来のガラスクロス含浸銅張積層板方式から、マル
チチップモジュール(MCM)や高密度実装基板のビル
ドアップ方式、フィルムラミネート多層板方式などによ
る多層基板の開発に向けられてきている。例えば、特開
平8−186376号公報には、熱硬化性のポリイミド
フィルムの両面に熱可塑性ポリイミドからなる接着層を
設け、その片面に銅配線を形成した積層体を、4個以上
重ねて、加熱溶融圧着して多層基板を製造する方法が開
示されている。しかしながら、この方法では、誘電層と
なるフィルムを形成する熱硬化性ポリイミド樹脂の誘電
特性、耐湿性(低吸水性)、及び耐久性が充分ではない
という問題があった。
【0003】特開昭62−29191号公報には、エチ
レンとノルボルネン系モノマーとの付加共重合体からな
る基板に銅箔を積層した積層体が開示されている。しか
しながら、この積層体は、基板と銅箔との密着性が充分
ではなく、しかも多層化が困難である。特開昭62−3
4924号公報には、エチレンとノルボルネン系モノマ
ーとの付加共重合体に架橋剤を加えた混合物をプレス成
形し、得られた基板上に銅箔を積層してから架橋させる
積層体の製造方法が開示されている。しかしながら、こ
の方法により得られる積層体は、層間の密着性が充分で
な。特開平2−298510号公報には、エチリデンノ
ルボルネンやジシクロペンタジエンを付加重合させた
後、付加重合体の炭素−炭素不飽和結合をエポキシ化し
たエポキシ基含有熱可塑性ノルボルン系樹脂が、リード
フレーム等との接着性に優れ、封止材として好適である
ことが報告されている。しかしながら、このエポキシ基
含有熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなる基板に、銅箔
等の導電層を積層すると、層間の密着性や耐熱性には優
れるものの、誘電特性、耐湿性、及び耐久性が充分では
ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、誘電
特性、耐湿性(低吸水性)、耐熱性、耐久性、及び密着
性に優れる積層体、その製造方法、及び多層基板を提供
することにある。本発明者らは、上記従来技術の問題点
を解決すべく鋭意研究を行った結果、熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂からなる誘電層表面に、極性基含有ノルボル
ネン系樹脂からなる接着層を介して金属箔等の導電層を
形成することにより、誘電特性、耐湿性、耐熱性、耐久
性、及び層間の密着性に優れた積層体が得られること、
そして、この積層体を2個以上多層に重ねると、誘電特
性、耐湿性、耐熱性、耐久性、及び各層間の密着性に優
れた多層基板が製造できることを見いだした。本発明
は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)からなる誘電層
の少なくとも片面に、極性基を有するノルボルネン系樹
脂(b)からなる接着層が形成され、該接着層の上に導
電層が形成されていることを特徴とする積層体が提供さ
れる。また、本発明によれば、熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(a)からなる誘電層の少なくとも片面に、極性基
含有ノルボルネン系樹脂(b)からなる接着層を形成
し、次いで、該接着層の上に導電層を形成することを特
徴とする積層体の製造方法が提供される。さらに、本発
明によれば、前記積層体を2個以上重ねてなることを特
徴とする多層基板が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に述べる。 1.積層体 本発明の積層体は、以下の誘電層、接着層、及び導電層
とからなる。(1)誘電層 (1−1)熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a) 誘電層を形成する熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)と
しては、格別な制限はなく、ノルボルネン系モノマー、
またはノルボルネン系モノマーとその他のオレフィン系
モノマーを(共)重合したものを用いることができる。
【0007】<モノマー>ノルボルネン系モノマーとし
ては、ノルボルネン環を有するノルボルネン系モノマー
であれば格別な制限はなく、例えば、特開平2−227
424号公報、特開平2−276842号公報、特開平
5−97719号公報、特開平7−41550号公報、
特開平8−72210号公報などに開示されている公知
のモノマーを使用することができる。環上に側鎖を有す
るノルボルネン系モノマー及び環上に側鎖を持たないノ
ルボルネン系モノマーのいずれをも使用することがで
き、両者を併用することもできる。環上の側鎖の炭素数
は、通常1〜20、好ましくは1〜10、より好ましく
は1〜6である。側鎖としては、例えば、アルキル基、
アルケニル基、アルキリデン基、アルコキシ基、アルコ
キシアルキレン基、アシルオキシアルキレン基などが挙
げられ、これらの中でも、アルキル基、アルケニル基、
アルキリデン基が耐湿性の観点から好ましい。
【0008】具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.
1]ヘプト−2−エン誘導体、テトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体、ヘキサシ
クロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14
−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8
12,17]−5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ[6.
6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン誘
導体、ヘプタシクロ−5−エイコセン誘導体、ヘプタシ
クロ−5−ヘンエイコセン誘導体、トリシクロ[4.
3.0.12,5]−3−デセン誘導体、トリシクロ
[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導体、ペン
タシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−
ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘
導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.0
8,13]−3−ペンタデセン誘導体、ヘプタシクロ[8.
7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16
−4−エイコセン誘導体、ノナシクロ[10.9.1.
4,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21
14,19]−5−ペンタコセン誘導体、ペンタシクロ
[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサ
デセン誘導体、ヘプタシクロ「8.8.0.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17」−5−ヘンエイコセ
ン誘導体、ノナシクロ[10.10.1.15,8.1
14,21.116,19.02,11.04,9.013,22.015,20
−5−ヘキサコセン誘導体、1,4−メタノ−1,4,
4a,9a−テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4−
メタノ−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒド
ロアントラセン誘導体、及びシクロペンタジエン−アセ
ナフチレン付加物などが挙げられる。
【0009】より具体的には、例えば、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、6−メチルビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、6−イソブチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、7−メチル
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、などのビシ
クロ[2.2.1]ヘプト−2−エン誘導体;テトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−ブチテルトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11,12−ジ
メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−
エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−
2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9
−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,
8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン
−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテ
トラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデ
セン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−
エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ド
デセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8
−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プ
ロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピ
リデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデ
ンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプ
ロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピ
リデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,
9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、などのテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体;ヘキサシ
クロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14
−4−ヘプタデセン、12−メチルヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプ
タデセン、12−エチルヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、
12−イソブチルヘキサシクロ[6.6.1.13,6
10,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、1,
6,10−トリメチル−12−イソブチルヘキサシクロ
[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4
−ヘプタデセン、などのヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン誘
導体;オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.1
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、1
5−メチルオクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン、
15−エチルオクタシクロ[8.8.0.12,9
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ド
コセン、などのオクタシクロ[8.8.0.12,9.1
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコ
セン誘導体;ペンタシクロ[6.6.1.13,6
2,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1,3−ジメチ
ルペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14
−4−ヘキサデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ
[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデ
セン、15,16−ジメチルペンタシクロ[6.6.
1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、など
のペンタシクロ[6.6.1.13,6 .02,7
9,14]−4−ヘキサデセン誘導体;ヘプタシクロ
[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.0
12,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.8.
0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−
ヘンエイコセン、などのヘプタシクロ−5−エイコセン
誘導体あるいはヘプタシクロ−5−ヘンエイコセン誘導
体;トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、
2−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デ
セン、5−メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]−
3−デセン、などのトリシクロ[4.3.0.12,5
−3−デセン誘導体;トリシクロ[4.4.0.
2,5]−3−ウンデセン、10−メチルトリシクロ
[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、などのトリ
シクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン誘導
体;ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7
9,13]−4−ペンタデセン、1,3−ジメチルペンタ
シクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペ
ンタデセン、1,6−ジメチルペンタシクロ[6.5.
1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、1
4,15−ジメチルペンタシクロ[6.5.1.
3,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、などのペ
ンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4
−ペンタデセン誘導体;ペンタシクロ[6.5.1.1
3,6.02 ,7.09,13]−4,10−ペンタデカジエン、
などのジエン化合物;ペンタシクロ[7.4.0.1
2,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、メチル置
換ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12
8,13]−3−ペンタデセン、などのペンタシクロ
[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタ
デセン誘導体;ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.1
10,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
ジメチル置換ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.1
10,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、
などのヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.1
12,15.02,7.011,16]−4−エイコセン誘導体;ノ
ナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18
3,8.02,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセ
ン、トリメチル置換ノナシクロ[10.9.1.
4,7.113,20.115,18.03,8.02,10.012,21
14,19]−5−ペンタコセン、などのノナシクロ[1
0.9.1.14,7.113,20.115,18.03,8
2,10.012,21.014,19]−5−ペンタコセン誘導
体;ペンタシクロ[8.4.0.12,5 .19,12.0
8,13]−3−ヘキサデセン、11−メチルペンタシクロ
[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサ
デセン、11−エチル−ペンタシクロ[8.4.0.1
2,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、10,1
1−ジメチル−ペンタシクロ[8.4.0.12,5.1
9,12.08,13]−5−ヘキサデセン、などのペンタシク
ロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキ
サデセン誘導体;ヘプタシクロ[8.8.0.14,7
11,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコ
セン、15−メチル−ヘプタシクロ[8.8.0.1
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘン
エイコセン、トリメチル−ヘプタシクロ[8.8.0.
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘ
ンエイコセン、などのヘプタシクロ[8.8.0.1
4,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘン
エイコセン誘導体;ノナシクロ[10.10.1.1
5,8.114,21.116,19.02,11.04,9.013,22.0
15,20]−6−ヘキサコセン、などのノナシクロ[1
0.10.1.15,8.114,21.116,19.02,11.0
4,9.013,22.015,20]−6−ヘキサコセン誘導体;
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−
4,11−ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ
[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペ
ンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.
1.13,6.02,7.09,13]−4,11−ペンタデカジ
エン、メチル置換ペンタシクロ[6.5.1.13,6
2,7.09,13]−4,11−ペンタデカジエン、トリ
メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5
8,13.19,12]−3−ペンタデセン、ペンタシクロ
[4.7.0.12,5.08,13.19,12]−3,10−
ペンタデカジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.
0.12,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカ
ジエン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.
2,5.08,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエ
ン、メチル置換ペンタシクロ[4.7.0.12,5.0
8,13.19,12]−3,10−ペンタデカジエン、メチル
置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.1
10,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリメ
チル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7.1
10,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、テトラ
メチル置換ヘプタシクロ[7.8.0.13,6.02,7
10,17.011,16.112,15]−4−エイコセン、トリ
シクロ[4.3.0.12,5]−3,7−デカジエン
(すなわち、ジシクロペンタジエン)、2,3−ジヒド
ロジシクロペンタジエン、5−フェニル−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン(すなわち、5−フェ
ニル−2−ノルボルネン)、5−メチル−5−フェニル
−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベン
ジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−
トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5
−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト
−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ
[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニル−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ベンジ
ル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3
−ドデセン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−(エチルフェニ
ル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−(ビフェニル)
−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−
ドデセン、8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(α−
ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テト
ラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、11−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.1
3,6.02,7.09,14]−4ヘプタデセン、6−(α−ナ
フチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エ
ン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]
−ヘプト−2−エン、5−(ビフェニル)−ビシクロ
[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチ
ル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、
5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト
−2−エン、9−(2−ノルボルネン−5−イル)−カ
ルバゾール、1,4−メタノ−1,4,4a,4b,
5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレン類;1,
4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオ
レン、1,4−メタノ−8−メチル−1,4,4a,9
a−テトラヒドロフルオレン、1,4−メタノ−8−ク
ロロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレン、
1,4−メタノ−8−ブロモ−1,4,4a,9a−テ
トラヒドロフルオレン等の1,4−メタノ−1,4,4
a,9a−テトラヒドロフルオレン類;1,4−メタノ
−1,4,4a,9a−テトラヒドロジベンゾフラン
類;1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒド
ロカルバゾール、1,4−メタノ−9−フェニル−1,
4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾール等の1,4
−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロカルバゾ
ール類;1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,1
0a−ヘキサヒドロアントラセンなどの1,4−メタノ
−1,4,4a,5,10,10a−ヘキサヒドロアン
トラセン類;7,10−メタノ−6b,7,10,10
a−テトラヒドロフルオランセン類;シクロペンタジエ
ン−アセナフチレン付加物にシクロペンタジエンをさら
に付加した化合物、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ
[6,5,1,13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデ
セン、11,12−ベンゾ−ペンタシクロ[6,6,
1,13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、1
4,15−ベンゾ−ヘプタシクロ[8.7.0.
2,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイ
コセン、シクロペンタジエン−アセナフチレン付加物な
どが挙げられる。これらのノルボルネン系モノマーは、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0010】その他のオレフィン系モノマーとしては、
ノルボルネン系モノマーと共重合可能なものであれば格
別な制限はなく、例えば、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1
−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1
−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−
1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,
4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−2−ヘキセ
ン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デ
セン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデ
セン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数
2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチ
ルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−
(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオ
クテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−
メタノ−1H−インデンなどのシクロオレフィンなどが
挙げられる。その他のオレフィン系モノマーは、それぞ
れ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いること
ができる。その他のオレフィン系モノマーの共重合割合
は、通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、
より好ましくは10重量%以下である。
【0011】<重合方法>ノルボルネン系モノマーの重
合方法は、格別な制限はなく、一般に公知の方法から適
宜選択することができる。具体的な重合方法としては、
例えば、開環重合法及び付加重合法を挙げることができ
るが、Tgの高い熱可塑性ノルボルネン系樹脂を得るに
は、付加重合法が好適である。ノルボルネン系モノマー
の開環重合体(開環共重合体を含む)は、開環重合触媒
を用いた公知の重合方法により得ることができる。開環
重合触媒としては、例えば、ルテニウム、ロジウム、パ
ラジウム、オスミウム、イリジウム、及び白金などから
選ばれる金属のハロゲン化物、硝酸塩またはアセチルア
セトン化合物と、還元剤とからなる触媒;あるいは、チ
タン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン、及び
モリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物またはアセ
チルアセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とから
なる触媒を用いることができる。
【0012】上記触媒系に、第三成分を加えて、重合活
性や開環重合の選択性を高めることができる。具体例と
しては、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化
物、カルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケ
トン、含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合
物、分子状ヨウ素、その他のルイス酸などが挙げられ
る。含窒素化合物としては、脂肪族または芳香族第三級
アミンが好ましく、具体例としては、トリエチルアミ
ン、ジメチルアニリン、トリ−n−ブチルアミン、ピリ
ジン、α−ピコリンなどが挙げられる。開環重合は、溶
媒を用いなくても可能であるが、不活性有機溶媒中でも
実施することができる。溶剤としては、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、n−ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シ
クロヘキサンなどの脂環族炭化水素、スチレンジクロリ
ド、ジクロルエタン、ジクロルエチレン、テトラクロル
エタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロ
ルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられ
る。重合温度は、通常−50℃〜100℃、好ましくは
−30℃〜80℃、より好ましくは−20℃〜60℃で
あり、重合圧力は、通常、0〜50kg/cm2、好ま
しくは0〜20kg/cm2である。
【0013】開環重合後に、開環重合体を水素添加する
ことができる。開環重合体は、ノルボルネン環の開環に
より、その主鎖に炭素−炭素二重結合が形成される。ま
た、ノルボルネン系モノマーとして、アルケニル基やア
ルキリデン基などの炭素−炭素二重結合を有する置換基
を有するものを用いた場合には、これらの炭素−炭素二
重結合が残存する。開環重合体は、炭素−炭素二重結合
が残存しているものであってもよいが、耐熱性、耐候性
などの観点から、少なくとも主鎖の炭素−炭素二重結合
を水素添加したものであることが好ましい。水素添加物
は、常法に従って、開環重合体を水素添加触媒の存在下
に、水素により水素化する方法により得ることができ
る。水素添加触媒としては、遷移金属化合物とアルキル
金属化合物の組み合わせからなる触媒、例えば、酢酸コ
バルト/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルア
セトナート/トリイソブチルアルミニウム、チタノセン
ジクロリド/n−ブチルリチウム、ジルコノセンジクロ
リド/sec−ブチルリチウム、テトラブトキシチタネ
ート/ジメチルマグネシウム等の組み合わせが挙げられ
る。水素添加反応は、通常、不活性有機溶媒中で、開環
重合体を−20℃〜120℃、好ましくは0〜100
℃、より好ましくは20〜80℃の温度で、0.1〜5
0kg/cm2、好ましくは0.5〜30kg/cm2
より好ましくは1〜20kg/cm2の水素圧力の条件
で行う。
【0014】側鎖に炭素−炭素二重結合がある場合、主
鎖の炭素−炭素二重結合の水素添加と同時に水素添加さ
れる。多環構造中に芳香環がある場合、そのまま残存さ
せてもよいが、芳香環を水素添加する場合には、例え
ば、水素添加温度を150〜250℃程度の高温にす
る。水素添加率は任意であるが、できるだけ高いことが
望ましい。ノルボルネン系モノマーの付加重合法、ある
いはノルボルネン系モノマーとその他のオレフィン系モ
ノマーとの付加共重合法としては、例えば、J.Org
anomet.Chem.,358,567−588
(1988)、特開平3−205408号公報、特開平
4−63807号公報、特開平5−262821号公
報、WO95/14048号公報などに開示されている
触媒や重合方法などを採用することができる。
【0015】触媒としては、周期律表第VIII族に属
する遷移金属が主成分となるものが用いられる。周期律
表第VIII族に属する遷移金属としては、例えば、
鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラ
ジウム、白金等を挙げることができる。これらの中で
も、コバルト、ニッケル、パラジウムなどが好ましい。
以下に、かかる遷移金属を主成分とする触媒の具体例を
示す。鉄化合物としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(I
II)、酢酸鉄(II)、鉄(II)アセチルアセトナ
ート、フェロセンなどが挙げられる。コバルト化合物と
しては、酢酸コバルト(II)、コバルト(II)アセ
チルアセトナート、コバルト(II)テトラフルオロボ
レート、塩化コバルト、コバルト(II)ベンゾエート
などが挙げられる。ニッケル化合物としては、酢酸ニッ
ケル、ニッケルアセチルアセトネート、炭酸ニッケル、
塩化ニッケル、ニッケルエチルヘキサノエート、ニッケ
ロセン、NiCl2(PPh3)2 (Ph=フェニル
基)、ビスアリルニッケル、酸化ニッケルなどが挙げら
れる。パラジウム化合物としては、塩化パラジウム、臭
化パラジウム、酸化パラジウム、PdCl2(PPh3
2 、PdCl2(PhCN)2 、PdCl2(CH3
N)2 、[Pd(CH3CN)4][BF42 、[Pd
(C25CN)4][BF42 、パパラジウムアセチル
アセトナート、酢酸パラジウムなどが挙げられる。これ
らの中でも、塩化パラジウム、ニッケルアセチルアセト
ナート、PdCl2(PhCN)2 、[Pd(CH3
N)4][BF42 などが特に好ましい。
【0016】これらの触媒は、それぞれ単独で、あるい
は2種以上を組み合わせて用いられる。触媒の使用量
は、重合条件等により適宜選択されればよいが、全重合
モノマー量に対するモル比で、通常1/1,000,0
00〜1/10、好ましくは、1/100,000〜1
/100である。付加重合に際し、必要に応じて、助触
媒を用いてもよい。助触媒としては、例えば、アルミノ
キサンが好ましく、メチルアルミノキサンが特に好まし
い。助触媒は、単独でも、2種以上を組み合わせてもよ
く、また、その使用量は、助触媒の種類等により適宜選
択される。助触媒としてアルミノキサンを使用する場
合、その使用量は、アルミノキサン中のアルミニウムと
触媒中の遷移金属の比、すなわち、アルミニウム/遷移
金属の比(モル比)で、通常1〜100,000、好ま
しくは5〜10,000の範囲である。
【0017】重合反応は、溶媒を用いずに塊状重合で行
ってもよいし、また、有機溶媒等の溶媒中で行ってもよ
い。溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば格
別な制限はないが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素類;n−ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン
などの脂環族炭化水素;スチレンジクロリド、ジクロル
エタン、ジクロルエチレン、テトラクロルエタン、クロ
ルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンな
どのハロゲン化炭化水素類;ニトロメタン、ニトロベン
ゼン、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどの含窒素炭
化水素類;などが挙げられる。重合温度は、通常−50
℃〜250℃、好ましくは−30℃〜200℃、より好
ましくは−20℃〜150℃の範囲であり、重合圧力
は、通常、0〜50kg/cm2、好ましくは0〜20
kg/cm2の範囲である。重合時間は、重合条件によ
り適宜選択されるが、通常30分〜20時間、好ましく
は1〜10時間の範囲である。
【0018】<物性>本発明の誘電層として使用される
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)のガラス転移温度
(Tg)は、使用目的に応じて適宜選択されればよい
が、ハンダ耐熱等の耐熱性の観点から、通常100〜5
00℃、好ましくは150〜450℃、より好ましくは
200〜400℃の範囲である。熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(a)の分子量は、格別な制限はないが、トルエ
ンを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラ
フィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の数
平均分子量(Mn)で、通常500〜500,000、
好ましくは1,000〜200,000、より好ましく
は2,000〜100,000の範囲である。熱可塑性
ノルボルネン系樹脂の数平均分子量(Mn)がこの範囲
にあるときに、機械的強度や成形加工性が高度にバラン
スされ好適である。これらの熱可塑性ノルボルネン系樹
脂(a)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて用いられる。
【0019】(1−2)配合剤 本発明の誘電層は、上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(a)以外に、必要に応じて、各種配合剤を添加するこ
とができる。各種配合剤としては、一般に誘電層に使用
される通常の配合剤であれば格別な制限はなく、例え
ば、架橋剤、架橋助剤、難燃剤、その他のポリマー成
分、その他の配合剤などが挙げられる。
【0020】<架橋剤>架橋剤としては、特に限定され
ないが、一般的には、有機過酸化物が用いられる。有機
過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオ
キシド、シクロヘキサノンパーオキシドなどのケトンパ
ーオキシド類;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタ
ール類;t−ブチルハイドロパーオキシド、2,5−ジ
メチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキシドなど
のハイドロパーオキシド類;ジクミルパーオキシド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキシン−3,α,α′−ビス(t−ブチルパーオ
キシ−m−イソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルパ
ーオキシド類:オクタノイルパーオキシド、イソブチル
パーオキシドなどのジアシルパーオキシド類;パーオキ
シジカーボネートなどのパーオキシエステル類;が挙げ
られる。これらの中でも、硬化後の樹脂の性能から、ジ
アルキルパーオキシドが好ましく、アルキル基の種類
は、成形温度によって変えるのがよい。
【0021】また、架橋剤として、光によりラジカルを
発生する光架橋剤を用いることができる。光架橋剤とし
ては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾイン
イソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル系
化合物;ベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベン
ゾエート、4,4′−ジクロロベンゾフェノン等のベン
ゾフェノン系化合物;ジベンジル、ベンジルメチルケタ
ール等のベンジル系化合物;2,2−ジエトキシアセト
フェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノ
ン、4−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、
2,2−ジエトキシアセトフェノン、4′−フェノキシ
−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン
系化合物;2−クロロチオキサントン、2−メチルチオ
キサントン、2−イソプロピルチオキサントン等のチオ
キサントン系化合物;2−エチルアントラキノン、2−
クロロアントラキノン、ナフトキノン等のアントラキノ
ン系化合物;2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェ
ノン、4′−ドデシル−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオフェノン等のプロピオフェノン系化合物;オクテ
ン酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクテン酸マンガ
ン、ナフテン酸マンガン等の有機酸金属塩;等の光架橋
剤を挙げることができる。これらの架橋剤は、それぞれ
単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることが
できる。架橋剤の配合量は、熱可塑性ノルボルネン系樹
脂(a)100重量部に対して、通常0.001〜30
重量部、好ましくは0.001〜15重量部、より好ま
しくは0.1〜10重量部、最も好ましくは0.5〜5
重量部の範囲である。架橋剤の配合量がこの範囲にある
ときに、架橋性及び架橋物の電気特性、耐水性などの特
性が高度にバランスされ好適である。
【0022】<架橋助剤>本発明においては、架橋助剤
を使用することにより、架橋性及び配合剤の分散性をさ
らに高めることができるので好適である。本発明で使用
する架橋助剤は、特に限定されるものではないが、特開
昭62−34924号公報等に開示されている公知のも
のでよく、例えば、キノンジオキシム、ベンゾキノンジ
オキシム、p−ニトロソフェノール等のオキシム・ニト
ロソ系架橋助剤;N,N−m−フェニレンビスマレイミ
ド等のマレイミド系架橋助剤;ジアリルフタレート、ト
リアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等
のアリル系架橋助剤;エチレングリコールジメタクリレ
ート、トリメチロールプロパントリメタクリレート等の
メタクリレート系架橋助剤;ビニルトルエン、エチルビ
ニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどのビニル系架橋助
剤;等が例示される。これらの中でも、アリル系架橋助
剤、メタクリレート系架橋助剤が、均一に分散させやす
く好ましい。架橋助剤の添加量は、架橋剤の種類により
適宜選択されるが、架橋剤1重量部に対して、通常0.
1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部である。
架橋助剤の添加量は、少なすぎると架橋が起こりにく
く、添加量が多すぎると、架橋した樹脂の電気特性、耐
水性、耐湿性等が低下するおそれが生じる。
【0023】<難燃剤>難燃剤としては、特に制約はな
いが、架橋剤によって分解、変性、変質しないものが好
ましく、通常、ハロゲン系難燃剤が用いられる。ハロゲ
ン系難燃剤としては、塩素系及び臭素系の種々の難燃剤
が使用可能であるが、難燃化効果、成形時の耐熱性、樹
脂への分散性、樹脂の物性への影響等の面から、ヘキサ
ブロモベンゼン、ペンタブロモエチルベンゼン、ヘキサ
ブロモビフェニル、デカブロモジフェニル、ヘキサブロ
モジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキ
サイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ペンタブロ
モシクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールA、及
びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェノールA
−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロモビ
スフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエー
テル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(ブロモ
エチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビ
ス(アリルエーテル)等]、テトラブロモビスフェノー
ルS、及びその誘導体[例えば、テトラブロモビスフェ
ノールS−ビス(ヒドロキシエチルエーテル)、テトラ
ブロモビスフェノールS−ビス(2,3−ジブロモプロ
ピルエーテル)等]、ハロゲン化ビスフェノールエポキ
シ樹脂、テトラブロモ無水フタル酸、及びその誘導体
[例えば、テトラブロモフタルイミド、エチレンビステ
トラブロモフタルイミド等]、エチレンビス(5,6−
ジブロモノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミ
ド)、トリス−(2,3−ジブロモプロピル−1)−イ
ソシアヌレート、ヘキサクロロシクロペンタジエンのデ
ィールス・アルダー反応の付加物、トリブロモフェニル
グリシジルエーテル、トリブロモフェニルアクリレー
ト、エチレンビストリブロモフェニルエーテル、エチレ
ンビスペンタブロモフェニルエーテル、テトラデカブロ
モジフェノキシベンゼン、臭素化ポリスチレン、臭素化
ポリフェニレンオキサイド、臭素化エポキシ樹脂、臭素
化ポリカーボネート、ポリペンタブロモベンジルアクリ
レート、オキタブロモナフタレン、ヘキサブロモシクロ
ドデカン、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、
N−メチルヘキサブロモジフェニルアミン等を使用する
のが好ましい。これらの難燃剤は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて用いることができる。難
燃剤の添加量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)1
00重量部に対して、通常3〜150重量部、好ましく
は10〜140重量部、特に好ましくは15〜120重
量部である。難燃剤の難燃化効果をより有効に発揮させ
るための難燃助剤として、例えば、三酸化アンチモン、
五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、三塩化ア
ンチモン等のアンチモン系難燃助剤を用いることができ
る。これらの難燃助剤は、難燃剤100重量部に対し
て、通常1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の
割合で使用する。
【0024】<その他のポリマー成分>その他のポリマ
ー成分としては、例えば、ゴム質重合体やその他の熱可
塑性樹脂を配合することができる。ゴム質重合体は、ガ
ラス転移温度が0℃以下の重合体であって、通常のゴム
状重合体、及び熱可塑性エラストマーが含まれる。ゴム
質重合体のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、使
用目的に応じて適宜選択され、通常5〜200である。
ゴム状重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフ
ィン系ゴム質重合体;エチレン−α−オレフィン−ポリ
エン共重合体ゴム;エチレン−メチルメタクリレート、
エテレン−ブチルアクリレートなどのエチレンと不飽和
カルボン酸エステルとの共重合体;エチレン−酢酸ビニ
ルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体;アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルな
どのアクリル酸アルキルエステルの重合体;ポリブタジ
エン、ポリソブレン、スチレン−ブタジエンまたはスチ
レン−イソプレンのランダム共重合体、アクリロニトリ
ル−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重
合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル共重合体、ブタジエン−(メタ)アクリル酸アルキル
エステル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−
(メタ)アクリル酸アルキルエステル−アクリロニトリ
ル−スチレン共重合体などのジエン系ゴム;ブチレン−
イソプレン共重合体などが挙げられる。
【0025】熱可塑性エラストマーとしては、例えば、
スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレ
ンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエン系ブロッ
ク共重合体、低結晶性ポリブタジエン樹脂、エチレン−
プロピレンエラストマー、スチレングラフトエチレン−
プロピレンエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラス
トマー、エチレン系アイオノマー樹脂などを挙げること
ができる。これらの熱可塑性エラストマーのうち、好ま
しいのは、水素化スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、水素化スチレン−イソプレンブロック共重合体など
であり、具体的には、特開平2−133406号公報、
特開平2−305814号公報、特開平3−72512
号公報、特開平3−74409号公報などに記載されて
いるものを挙げることができる。その他の熱可塑性樹脂
としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチ
レン、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリフェニレ
ンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、
ポリエステル、ポリカーボネート、セルローストリアセ
テートなどが挙げられる。これらのゴム状重合体及びそ
の他の熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、
本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。
【0026】<その他の配合剤>その他の配合剤として
は、例えば、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、ス
リップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染
料、顔料、天然油、合成油、ワックス、有機または無機
の充填剤などを挙げることができる。これらのその他の
配合剤は、適量添加することができる。具体的には、例
えば、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′−オ
キザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェ
ノール系酸化防止剤;トリスノニルフェニルホスファイ
ト、トリス(2,4−ジ−t−ブリルフェニル)ホスフ
ァイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホ
スファイト等のリン系安定剤;ステアリン酸亜鉛、ステ
アリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カ
ルシウム等の脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレー
ト、グリセリンモノラウレート、グリセリンジステアレ
ート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタ
エリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトール
トリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステル;
合成ハイドロタルサイト;アミン系の帯電防止剤;シラ
ンカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミ
ニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリ
ング剤等のカップリング剤;可塑剤;顔料や染料などの
着色剤;などを挙げることができる。有機または無機の
充填剤としては、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミ
ナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バル
ーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カル
シム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシ
ウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊
維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウ
ム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、
アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケ
イ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ホ
リエステル繊維、ポリアミド繊維などを例示できる。こ
れらの配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を
組み合わせて配合することができる。配合割合は、それ
ぞれの機能及び使用目的に応じて適宜定めることができ
るが、少ないほど好ましい。
【0027】(1−3)誘電層 本発明の誘電層は、上記成分[熱可塑性ノルボルネン系
樹脂(a)あるいは熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)
と各種配合剤]を成形したものが用いられ、通常は、フ
ィルムまたはプリプレグとして用いられる。
【0028】<フィルム>フィルム成形法としては、常
法に従えばよく、格別な限定はなく、例えば、溶融成形
法や溶液流延法などの方法が用いられ、これらの中で
も、電気的に良好な物性のフィルムが得やすい点で、溶
液流延法が好適である。溶液流延法は、常法にしたがっ
て行うことができ、例えば、各成分を溶媒に溶解または
微分散させた液状組成物を、適当なキャリヤー(支持
体)上に流延し、次いで、溶媒を乾燥除去することで行
うことができる。キャリヤーとしては、格別な制限はな
く、一般的な溶液流延法で用いられるものが使用され、
例えば、ガラス板、金属ドラム、スチールベルト、ポリ
エステルフィルム、PVCフィルム、フッ素樹脂ベル
ト、金属箔などの平板、ベルトまたはロールなどを挙げ
ることができる。溶媒としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキ
サンなどの脂環式炭化水素類;酢酸ブチルなどのエステ
ル類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエ
ーテル類;メタノール、エタノール、イソプロパノール
などのアルコール類;メチルエチルケトンなどのケトン
類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化
エチレンなどのハロゲン化溶媒;など用いることができ
る。これらの溶媒は、それぞれ単独で、あるいは2種以
上を組み合わせて用いることができる。
【0029】溶媒中の熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(a)の濃度は、製造するフィルム厚や作業性などに応
じて適宜選択されるが、通常0.1〜60重量%、好ま
しくは1〜50重量%、より好ましくは5〜45重量%
の範囲である。熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)濃度
がこの範囲にある時に、フィルムの厚さの調整が容易で
かつ製膜性にも優れ好適である。熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(a)または熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)
と各種配合剤とを均一に溶解または分散させた液状組成
物をキャリヤー上に流延する方法としては、特に限定さ
れず、例えば、バーコーター、Tダイ、バー付きTダ
イ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コート、
ダイ・コートなどを用いて行うことができる。液状組成
物の流延は、スプレー、ハケ、ロール、スピンコート、
デッピングなどで塗布することにより行ってもよい。1
回の塗布で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗
布することができる。
【0030】溶媒の乾燥除去法には、格別な制限はな
く、常法に従ってできるが、残留溶媒濃度が5重量%以
下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%
以下、最も好ましくは0.5重量%以下にするには、通
常、2段階以上に分けて乾燥させる。まず、第1段階の
乾燥としては、平板またはロール上のフィルムを室温〜
100℃、好ましくは室温〜80℃の温度範囲で、残留
溶媒温度が10重量%以下、好ましくは5重量%以下に
なるまで乾燥する。この場合、乾燥温度が高すぎると、
溶媒の揮発に際し、フィルムが発泡する。次いで、平板
またはロールからフィルムを剥離し、第2段階の乾燥と
して、室温から60℃以上、好ましくは70℃から熱可
塑性ノルボルネン系樹脂(a)のガラス転移温度(T
g)までの温度範囲に昇温させ、残留溶媒濃度が2重量
%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.
5重量%以下になるまで乾燥する。乾燥温度が低すぎる
と乾燥が進まず、温度が高すぎると発泡しやすくなる。
第1段階の乾燥を行い、乾燥終了後にシートを平板また
はロールから剥離し、第2段階の乾燥を行っても、ある
いは第1段階の乾燥後、一旦冷却してシートを平板また
はロールから剥離し、第2段階の乾燥を行ってもよい。
溶媒の乾燥は、必要に応じて、減圧で行うことができ
る。
【0031】溶融成形法でシートを作製する場合は、T
ダイを用いた方法やインフレーション法などの溶融押出
法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などがあ
る。中でも、厚さムラが小さく、10〜500μm程度
の厚さに加工し易い、Tダイを用いた溶融押出法が好ま
しい。溶融成形法の条件は、同程度のTgを有する光学
材料に用いられる一般的な条件と同様であり、例えば、
Tダイを用いる溶融押出法では、樹脂温度240〜30
0℃程度で、引き取りロールの温度を100〜150℃
程度の比較的高温として、樹脂シートを徐冷できる条件
を選択することが好ましい。ダイライン等の表面の欠陥
を小さくするためには、ダイには滞留部が極力少なくな
るような構造が必要であり、ダイの内部やリップにキズ
等が極力無いものを用いることが好ましい。フィルムの
厚さは、通常0.5μm〜5mm、好ましくは1μm〜
2mm、さらに好ましくは5μm〜0.5mmの範囲で
ある。フィルムの厚さがこの範囲である時に、溶媒乾燥
が容易となり、しかも、フィルムの外観性にも優れ好適
である。
【0032】<プリプレグ>プリプレグとしては、トル
エン、シクロヘキサン、キシレン等の溶媒中に熱可塑性
ノルボルネン系樹脂(a)または熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(a)と各種配合剤を均一に溶解ないしは分散さ
せ、次いで、補強基材を含浸させた後、乾燥させて溶媒
を除去して製造される。一般に、プリプレグは、50〜
500μm程度の厚さになるようにすることが好まし
い。溶媒としては、前記の如きものを使用することがで
きる。溶媒の使用量は、固形分濃度が、通常1〜90重
量%、好ましくは5〜85重量%、より好ましくは10
〜80重量%、最も好ましくは20〜80重量%になる
ように調整される。補強基材としては、例えば、紙基材
(リンター紙、クラフト紙など)、ガラス基材(ガラス
クロス、ガラスマット、ガラスペーパークォーツファイ
バーなど)及び合成樹脂繊維基材(ポリエステル繊維、
アラミド繊維など)を用いることができる。これらの補
強基材は、シランカップリング剤などの処理剤で表面処
理されていてもよい。これらの補強基材は、それぞれ単
独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることがで
きる。補強基材に対する熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(a)の量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、補
強基材に対して1〜90重量%、好ましくは10〜60
重量%の範囲である。
【0033】(2)接着層 本発明の積層体は、接着層を極性基含有熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂(b)を用いて形成することを特徴とす
る。 (2−1)極性基含有熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(b) 極性基含有ノルボルネン系樹脂(b)は、通常、側鎖に
極性基を有するが、その極性基の好ましい例としては、
例えば、少なくとも一種のヘテロ原子またはヘテロ原子
からなる原子団を有する置換基が挙げられる。ヘテロ原
子としては、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、
ハロゲン原子などが挙げられ、これらの中でも、酸素原
子、窒素原子が好ましく、酸素原子がより好ましい。極
性基の具体例としては、例えば、ヒドロキシル基、エポ
キシ基、オキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、エ
ステル基、シリルオキシ基などの酸素原子含有極性基;
スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフ
ィニル基、チオカルボニル基などの硫黄原子含有極性
基;アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アンモニウム
基、アミド基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ
基などの窒素原子含有極性基;クロル基、ブロモ基など
のハロゲン原子;等が挙げられる。これらの中でも、酸
素原子含有極性基が好ましく、ヒドロキシル基、エポキ
シ基、カルボキシル基、シリルオキシ基が特に好まし
い。かかる極性基を含有する熱可塑性ノルボルネン系樹
脂(b)としては、格別な限定はなく、例えば、極性基
含有ノルボルネン系モノマーの(共)重合したもの(b
−i)、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を極性基含有不飽
和化合物でグラフト変性したもの(b−ii)などが用
いられる。これらの中でも、誘電特性、密着性、低吸水
性及び耐久性などの特性を高度にバランスさせる上では
(ii)のグラフト変性方法が好適である。
【0034】(b−i)極性基含有ノルボルネン系モノ
マーの(共)重合体 極性基含有ノルボルネン系モノマーの結合単位を含む熱
可塑性ノルボルネン系樹脂(b−i)は、常法に従って
製造することができ、例えば、特開平7―196736
号公報に従って、極性基含有ノルボルネン系モノマーを
(共)重合して得ることができる。
【0035】(b−i−1)極性基含有ノルボルネン系
モノマー 極性基含有ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、
8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.
4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル
−8−カルボキシエチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−プロピルテトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,1 0]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシイソプロピルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,1 0]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシn−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシ
sec−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17
,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシt
−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシシクロヘ
キシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17 ,10]−
3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシ(4′−t
−ブチルシクロヘキシル)テトラシクロ[4.4.0.
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カ
ルボキシメンチルテトラシクロ[4.4.0.12,5
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシ
ボルニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10
−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシイソボル
ニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1 0]−3
−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシアダマンチル
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1 0]−3−ド
デセン、8−メチル−8−カルボキシビシクロ[2.
2.1]−2−ヘプチルテトラシクロ[4.4.0.1
2,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カル
ボキシテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−
3−ドデシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシト
リシクロ[5.2.1.02,6]−8−デシルテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−カルボキシペンタシクロ[6.5.
1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデシルテトラ
シクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセ
ン、8−メチル−8−カルボキシトリシクロ[6.2.
1.02,7]−9−ウンデシルテトラシクロ[4.4.
0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8
−カルボキシペンタシクロ[6.6.1.13,6
2,7.09,14]−4−ヘキサデシルテトラシクロ
[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−
メチル−5−カルボキシメチルビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、5−メチル−5−カルボキシシクロヘ
キシルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メ
チル−5−カルボキシ(4′−t−ブチルシクロヘキシ
ル)ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチ
ル−5−カルボキシメンチルビシクロ[2.2.1]−
2−ヘプテン、5−メチル−5−カルボキシボルニルビ
シクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5
−カルボキシアダマンチルビシクロ[2.2.1]−2
−ヘプテン、5−メチル−5−カルボキシビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプチルビシクロ[2.2.1]
−2−ヘプテン、5−メチル−2−カルボキシテトラシ
クロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデシルビ
シクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5
−カルボキシトリシクロ[5.2.1.02,6]−8−
デシル−ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−
メチル−5−カルボキシペンタシクロ[6.5.1.1
3,6.02,7.09,13]−4−ペンタデシルビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチル−5−カル
ボキシトリシクロ[6.2.1.02,7]−9−ウンデ
シルビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン、5−メチ
ル−5−カルボキシペンタシクロ[6.6.1.
3,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデシルビシクロ
[2.2.1]−2−ヘプテンなどを挙げることができ
る。
【0036】(b−i−2)触媒及び重合方法 付加重合に用いる重合触媒は、配位子を4個有するパラ
ジウム(II)塩、好ましくはテトラキスハイドロカル
ビルニトリルパラジウム(II)塩、[Pd(R−C
N)4]X(Rは炭素数1〜8の1価の炭化水素基、X
は2個の1価の陰イオンまたは1個の2価の陰イオンを
表す)、より好ましくはテトラキスアセトニトリルパラ
ジウム(II)塩である。また、この塩を構成する陰イ
オンとしては、例えば、BF4イオン、ハロゲンイオ
ン、硝酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリール
スルホン酸イオン、PF6イオンから選ばれる2個のイ
オン、硫酸イオン等があり、特にBF4イオンが好まし
い。配位子を4個有するパラジウム(II)塩として
は、例えば、[Pd(CH3CN)4(BF4)2]、[P
d(CH3CH2CN)4(BF42]、[Pd(CH3
2CH2CN)4(BF42]、[Pd(C65CN)4
(BF42 ]、[Pd(CH3CN)4(PF62]、
[Pd(CH3CN)4(NO32]、[Pd(CH3
N)42]、[Pd(CH3CN)4Cl2]、[Pd
(CH3CN)4Br2]、[Pd(CH3CN)4
4]、[Pd(CH3CN)4(p−CH3−C64SO
32]などが挙げられ、中でも[Pd(CH3CN)
4(BF4)2]であるテトラキスアセトニトリルパラジウ
ムジテトラフルオロボレートが好ましい。例えば、[P
d(CH3CN)4(BF42]は、パラジウムとNOB
4をアセトニトリルの存在下に酸化することにより得
られる(R.F.Schramm etal.J.ch
em.Soc.,Chem.Comm.898(196
8))。これらの配位子を4個有するパラジウム(I
I)塩の使用割合は、極性基含有ノルボルネン系モノマ
ー100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部
である。
【0037】本発明において、空気中の水分、酸素や温
度に感受性のある化合物を用いる場合は乾燥した不活性
気体に置換した環境下で重合することが好ましく、通
常、乾燥窒素で置換した環境下で重合する。本発明にお
いては、極性基含有ノルボルネン系モノマーを不活性有
機溶媒中で重合することが好ましい。不活性有機溶媒と
しては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの
芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂
肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサ
ン、デカリン、などの脂環族炭化水素、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロ
エタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロ
ロベンゼン、などのハロゲン化炭化水素、ニトロメタ
ン、ニトロベンゼン、ニトロトルエン、などのニトロ化
炭化水素などが挙げられ、これらの2種以上を混合して
使用してもよい。不活性有機溶媒の使用割合は、極性基
含有ノルボルネン系モノマー100重量部に対して、通
常、100〜1000重量部である。本発明の重合体を
得るための重合反応は、発熱反応であるので、必要に応
じて冷却しながら反応することが好ましい。一般には、
−20〜100℃の任意の温度に保ちながら反応させ
る。また、重合時の圧力は、特に限定されないが、通
常、0〜50Kg/cm2の任意の圧力にすることが好
ましい。反応開始後、、モノマーの消費に応じて、さら
にモノマーを追加してもよく、特に、高分子量の重合体
を得るためには、モノマーを重合中に追加することが好
ましい。本発明において、適当な分子量まで重合した任
意の時点で、重合反応を停止させる。重合反応を停止さ
せる方法は、特に限定されないが、例えば、反応溶液を
多量の溶媒で希釈したり、水、アンモニア、アミンなど
の触媒失活成分を添加したり、遠心分離、ろ過などによ
り触媒を除去したりすることにより重合を停止すること
ができる。重合体の回収方法は、特に限定されないが、
一般には、重合触媒残渣を除去した重合液を、重合体の
貧溶媒、例えばイソプロピルアルコール、アセトンなど
と混合して重合体を凝固させる。
【0038】(b−ii)グラフト変性 グラフト変性により得られる極性基含有熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂(b−ii)としては、例えば、前記熱可
塑性ノルボルネン系樹脂(a)に極性基含有不飽和化合
物をグラフト変性させて得られる。極性基含有不飽和化
合物のグラフト変性に用いる熱可塑性ノルボルネン系樹
脂としては、前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)と
同様なものを用いることができ、好ましくは、環上に側
鎖を有するノルボルネン系モノマーと環上に側鎖を有さ
ないノルボルネン系モノマーとを共重合したものであ
る。本発明において、誘電特性、密着性、耐吸水性、及
び耐久性を高度にバランスさせる上で、誘電層には前記
熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)を用い、かつ、接着
層には熱可塑性ノルボルネン系樹脂のグラフト変性体
(b−ii)を用いるのが好ましい。その場合、誘電層
に用いる熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)としては、
環上に側鎖を有さないノルボルネン系モノマー及び/ま
たは環上に側鎖を有するノルボルネン系モノマー中の側
鎖の炭素数が1〜4のノルボルネン系モノマー由来の結
合単位が多いもの、通常50モル%超過、好ましくは7
0モル%以上、より好ましくは90モル%以上のものが
望ましく、接着層に用いるグラフト変性熱可塑性ノルボ
ルネン系樹脂としては、環上に側鎖を有するノルボルネ
ン系モノマー中の側鎖の炭素数が5〜10、好ましくは
5または6のノルボルネン系モノマー由来の結合単位が
多いもの、通常50モル%超過、好ましくは70モル%
以上、より好ましくは90モル%以上のものを用いるこ
とが望ましい。
【0039】<グラフト変性> (1)グラフトモノマー 本発明に使用されるグラフトモノマーとしては、不飽和
エポキシ化合物及び不飽和カルボン酸化合物を代表的な
ものとして挙げることができる。不飽和エポキシ化合物
としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジ
ルメタクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル
等の不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;エンド
−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−
2,3−ジカルボン酸、エンド−シス−ビシクロ[2,
2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカ
ルボン酸等の不飽和ポリカルボン酸のモノグリシジルエ
ステルあるいはポリグリシジルエステル類;アリルグリ
シジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテ
ル、o−アリルフェノールのグリシジルエーテル、m−
アリルフェノールのグリシジルエーテル、p−アリルフ
ェノールのグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエ
ーテル類;2−(o−ビニルフェニル)エチレンオキシ
ド、2−(p−ビニルフェニル)エチレンオキシド、2
−(o−アリルフェニル)エチレンオキシド、2−(p
−アリルフェニル)エチレンオキシド、2−(o−ビニ
ルフェニル)プロピレンオキシド、2−(p−ビニルフ
ェニル)プロピレンオキシド、2−(o−アリルフェニ
ル)プロピレンオキシド、2−(p−アリルフェニル)
プロピレンオキシド、p−グリシジルスチレン、3,4
−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチ
ル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、
3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6
−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノ
オキシド、アリル−2,3−エポキシシクロペンチルエ
ーテル等が挙げられる。これらの中でも、アリルグリシ
ジルエステル類及びアリルグリシジルエーテル類が好ま
しく、アリルグリシジルエーテル類が特に好ましい。
【0040】不飽和カルボン酸化合物としては、不飽和
カルボン酸またはその誘導体を使用することができる。
このような不飽和カルボン酸の例としては、アクリル
酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、
イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2,2,1]
ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)を挙げるこ
とができる。さらに、上記の不飽和カルボン酸の誘導体
としては、不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸
ハライド、不飽和カルボン酸アミド、不飽和カルボン酸
イミド及び不飽和カルボン酸のエステル化合物などを挙
げることができる。このような誘導体の具体的な例とし
ては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無
水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジ
メチル、グリシジルマレエートなどを挙げることができ
る。これらの中でも、不飽和ジカルボン酸またはその酸
無水物が好ましく、さらにマレイン酸、ナジック酸また
はこれらの酸無水物が特に好ましい。これらのグラフト
モノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて用いることができる。
【0041】グラフト変性ノルボルネン系樹脂は、上記
のようなグラフトモノマーとノルボルネン系重合体と
を、従来公知の種々の方法を採用してグラフト変性する
ことにより製造することができる。例えば、(1)ノル
ボルネン系重合体を溶融させ、グラフトモノマーを添加
してグラフト重合させる方法、あるいは(2)ノルボル
ネン系重合体を溶媒に溶解させてからグラフトモノマー
を添加してグラフト共重合させる方法などがある。さら
に、変性ノルボルネン系重合体を製造する方法として
は、未変性ノルボルネン系重合体を所望のグラフト変性
率になるようにグラフトモノマーを配合して変性する方
法、予め高グラフト変性率のグラフト変性ノルボルネン
系重合体を調製し、この高変性率のノルボルネン系重合
体を未変性ノルボルネン系重合体で希釈して、所望の変
性率のグラフト変性ノルボルネン系重合体を製造する方
法などがある。本発明においては、いずれの製造方法を
も採用することができる。
【0042】(2)ラジカル開始剤 このような反応は、前記グラフトモノマーを効率よくグ
ラフト共重合させるためには、通常ラジカル開始剤の存
在下に実施することが好ましい。ラジカル開始剤として
は、例えば、有機パーオキシド、有機パーエステルなど
が好ましく使用される。このようなラジカル開始剤の具
体的な例としては、ベンゾイルパーオキシド、ジクロル
ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−
tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(パーオキシドベンゾエート)ヘキシン−
3,1,4−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプ
ロピル)ベンゼン、ラウロイルパーオキシド、tert
−ブチルパーアセテート、2,5−ジメチル−2,5−
ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,
5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン、tert−ブチルパーベンゾエート、t
ert−ブチルパーフェニルアセテート、tert−ブ
チルパーイソブチレ−ト、tert−ブチルパー−se
c−オクトエート、tert−ブチルパーピパレート、
クミルパーピパレート及びtert−ブチルパージエチ
ルアセテートを挙げることができる。本発明では、ラジ
カル開始剤としてアゾ化合物を使用することもできる。
アゾ化合物の具体例としては、アゾビスイソブチロニト
リル、及びジメチルアゾイソブチレートを挙げることが
できる。
【0043】これらの中でも、ラジカル開始剤として、
ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−
tert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシド)ヘキシン
−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチ
ルパーオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−ブ
チルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキル
パーオキシドが好ましく用いられる。これらのラジカル
開始剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合
わせて用いることができる。ラジカル開始剤の使用割合
は、未変性ノルボルネン系重合体100重量部に対し
て、通常0.001〜10重量部、好ましくは0.01
〜5重量部、より好ましくは0.1〜2.5重量部の範
囲である。グラフト変性反応は、特に限定はなく、常法
に従って行うことができる。反応温度が、通常0〜40
0℃、好ましくは60〜350℃で、反応時間が、通常
1分〜24時間、好ましくは30分〜10時間の範囲で
ある。
【0044】(3)変性ノルボルネン系重合体 本発明の変性ノルボルネン系重合体のグラフト変性率
は、使用目的に応じて適宜選択されるが、重合体中の総
モノマー単位数を基準として、通常0.1〜100モル
%、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは5〜3
0モル%の範囲である。変性ノルボルネン系重合体のグ
ラフト変性率がこの範囲にあるときに、誘電率と金属層
との引剥強度が高度にバランスされ好適である。グラフ
ト変性率は、下式(1)で表される。 グラフト変性率(モル%)=(X/Y)×100 (1) X:グラフトモノマー変性残基全モル数(1H−NMR
で測定する。) Y:ポリマーの総モノマー単位数(ポリマーの重量平均
分子量/モノマーの平均分子量)
【0045】<物性>極性基含有熱可塑性ノルボルネン
系樹脂(b)の極性基量は、使用目的に応じて適宜選択
されるが、樹脂(b)中の総モノマー繰り返し単位に対
して極性基含有モノマーの繰り返し単位の割合が、通常
1〜50mol%、好ましくは2〜20mol%、より
好ましくは5〜10mol%が望ましい。極性基含有熱
可塑性ノルボルネン系樹脂(b)の極性基含有モノマー
量が、この範囲であるときに、耐湿性や誘電層や導電層
との密着性が高度にバランスされ好適である。極性基含
有熱可塑性ノルボルネン系樹脂(b)のTgは、使用目
的及び塗布方法などに応じて適宜選択されるが、通常5
0〜400℃、好ましくは100〜350℃、より好ま
しくは150〜300℃の範囲である。極性基含有熱可
塑性ノルボルネン系樹脂(b)の分子量は、格別な制限
はないが、トルエンを溶媒とするゲル・パーミエーショ
ン・クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリ
スチレン換算の数平均分子量(Mn)で、500〜50
0,000、好ましくは1,000〜200,000、
より好ましくは2,000〜100,000の範囲であ
る。極性基含有熱可塑性ノルボルネン系樹脂(b)の数
平均分子量(Mn)が今この範囲にあるときに、機械的
強度や成形加工性が高度にバランスされ好適である。
【0046】(2−2)接着層 本発明の接着層は、上記極性基含有熱可塑性ノルボルネ
ン系樹脂(b)それぞれ単独で、あるいは2種以上を組
み合わせて成形したものが用いられる。 <配合剤>本発明の接着層は、極性基含有熱可塑性ノル
ボルネン系樹脂(b)以外に、必要に応じて、各種配合
剤を添加することができる。各種配合剤としては、格別
な限定はなく、一般的な粘接着剤分野で通常用いられる
配合剤を使用することができ、具体的には、前記誘電層
に添加する各種配合剤以外に、粘着付与剤などを用いる
ことができる。粘着付与樹脂としては、粘着剤組成物で
一般に用いられるものが格別な制限なく用いられ、例え
ば、ロジン;不均化ロジン、二量化ロジンなどの変性ロ
ジン類;グリコール、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル等の多価アルコールとロジン又は変性ロジン類とのエ
ステル化合物;テルペン系樹脂;脂肪族系、芳香族系、
脂環族系もしくは脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹
脂またはこれらの水素化物;フェノール樹脂;クマロン
−インデン樹脂などが挙げられる。特に好ましい粘着付
与樹脂は、該ブロック共重合体と相溶性のよい脂肪族ま
たは脂肪族−芳香族共重合系の炭化水素樹脂である。こ
れらの粘着付与樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、
極性基含有熱可塑性樹脂(b)100重量部に対して、
通常1〜300重量部、好ましくは10〜250重量
部、より好ましくは50〜200重量部の範囲である。
【0047】<形成方法>接着層の形成は、前記誘電層
表面の少なくとも一面に行い、後記多層基板を構築する
上では誘電層表面の両面に接着層を形成し、その内の一
面に導電層を形成させるのが好適である。接着層の形成
方法としては、薄膜化した接着層を誘電層フィルム上に
圧着する方法や、接着層用極性基含有熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂(b)を有機溶媒に溶解させた溶液を、誘電
層フィルム上に塗布して、溶剤を除去する方法などが挙
げられるが、接着層の平滑性や密着性などの面から考慮
して、好ましくは以下に示す塗布方法を用いる。塗布方
法としては、誘電層の熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(a)を溶解させないが、接着層の極性基含有熱可塑性
ノルボルネン系樹脂(b)を良好に溶解させる有機溶媒
を用いて、該極性基含有熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(b)の固形分濃度を1〜10重量%に溶解させ、スピ
ンコート、カーテンコート法等を用いて行うことができ
る。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;シクロヘキサン
などの脂環式炭化水素類;酢酸ブチルなどのエステル
類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエー
テル類;メタノール、エタノール、イソプロパノールな
どのアルコール類;メチルエチルケトンなどのケトン
類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化
エチレンなどのハロゲン化溶媒;などが挙げられる。
【0048】<厚さ>本発明に用いる接着層の厚さは、
通常、誘電層の1/5以下であり、通常は、2μm〜
0.2mm、好ましくは4μm〜0.1mm、より好ま
しくは5μm〜40μmである。接着層がこの範囲であ
る時に、誘電特性や各層との密着性が高度にバランスさ
れ好適である。
【0049】(3)導電層 (3−1)材料 本発明に使用される導電層としては、格別な限定はな
く、一般のエレクトロニクス分野で用いられるものが使
用される。好適な材料としては、高導電率であって、
温度依存性が少ない、マイグレーションがない、熱
サイクルに耐えうる、最外層表面の場合ハンダ付けが
可能等の条件を備える金属が用いられる。金属材料とし
ては、Ag、Au、Cu、Ni、Al、Wなどが挙げら
れ、コスト面から通常Cuが用いられる。
【0050】(3−2)膜、厚さ 導電層の膜の厚さは、使用目的に応じて適宜選択される
が、通常1〜10μm程度、好ましくは4〜6μm程度
である。配線幅は、銅ペーストや銀ペースト印刷の場合
は100μm程度、銅の無電界メッキ等の場合は40〜
60μm程度である。導電層のフィルムへの密着性を向
上させる目的で、クロム蒸着等の下地処理を施すのが好
ましい。導電層とハンダとの密着性を向上させる目的
で、導電層上にクロムやNi蒸着をほどこすのが好まし
い。MCMなどのより高密度配線ピッチを要求する用途
の場合、配線幅を10〜20μmまで短縮し、逆に膜の
厚みを15μm程度まで厚くするのが好ましい。
【0051】(3−3)膜形成方法 導電膜の形成方法は、薄膜形成方法としては、乾式プロ
セス技術や湿式プロセス技術などの方法が用いられる。 <乾式成膜プロセス技術>乾式成膜プロセス技術として
は、例えば、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)
などの方法が用いられる。 a)物理蒸着法 物理蒸着法としては、真空蒸着(普通の真空蒸着、フラ
ッシュ蒸着、ガス散乱蒸着、電界蒸着、反応性蒸着
等)、イオンプレーティング蒸着(DCイオンプレーテ
ィング、高周波イオンプレーティング、イオンビーム蒸
着、HCD法、アーク放電型イオンプレーティング
等)、スパッタリング(DCスパッタリング、高周波ス
パッタリング、マグネトロンスパッタリング、イオンビ
ームスパッタリング等)などが挙げられる。 b)化学蒸着法 化学蒸着法としては、熱CVD(熱CVD,MOCV
D)、プラズマCVD(直流プラズマCVD,高周波C
VD,マイクロ波プラズマCVD),光CVD(エキシ
マレーザー励起、水銀ランプ励起、CO2レーザー励
起),プラズマ重合(直流放電励起、マイクロ波励起、
高周波励起)などが挙げられる。 <湿式成膜プロセス>湿式成膜プロセス技術としては、
電界めっき技術、無電界めっき技術などの方法が挙げら
れる。厚膜形成方法としては、スクリーン印刷法に代表
される印刷法と、描画法が挙げられる。
【0052】(3−4)導体配線パターン形成方法 接着剤層上に積層させた導電層は、通常、配線パターン
が形成される。導電層の配線パターンを形成する方法と
しては、大きく分けて、a)全面に施された金属層か
ら、配線として必要な部分を残して、不要部分を除去し
ていくサブトラクティブ法と、b)配線パターン層を後
から無電解メッキと電解メッキなどによって形成してい
くアディティブ法に分けらる。 a)サブトラクティブ法 接着剤層全面に、真空蒸着、スパッタリング、無電解
めっき等によって金属膜を形成する。 配線回路パターンとして残したい部分に、エッチング
レジスト膜を塗布する。エッチング液を用いて不要部分
の金属膜を除去した後、レジスト膜を剥離して、配線パ
ターンを形成する。 b)アディティブ法 金属膜の蒸着されていない接着剤層上の、配線パター
ンを形成したくない部分に、メッキレジスト膜をドライ
フィルムレジスト等を用いて塗布する。 無電解メッキ法等を用いて金属膜を形成した後、レジ
スト膜を剥離して配線パターンを形成する。 以上のような方法によって形成された配線パターンは、
MCMや高密度実装基板(ビルドアップ基板)に対応す
るために、配線ピッチはできる限り細く、配線ピッチも
狭く、配線密度もできる限り高密度であるのが好まし
い。具体的には、配線幅および配線ピッチは100μm
以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μ
m以下である。配線密度は10cm/cm2以上、好ま
しくは50cm/cm2以上、より好ましくは100c
m/cm2以上である。
【0053】2.多層基板 本発明の多層基板は、誘導層、接着層、及び導電層を備
えた積層体を2個以上積み重ね、接着して製造される。
積層体としては、誘導層の両面に接着層を形成し、その
片面に導電層を形成したものが好ましい。また、接着の
方法としては、以下に挙げられる方法を適用することが
できる。
【0054】1)加熱圧着法 誘電層を形成するポリマーのTgと接着層を形成するポ
リマーのTgとの間に適当な温度差を設け、両Tgの間
の温度にてプレス機等を用いて加熱圧着する。この場
合、加熱温度は、誘電層の熱可塑性ノルボルネン系樹脂
(a)のTgと、接着層の極性基含有熱可塑性ノルボル
ネン系樹脂(b)のTgとの間の温度であり、通常は、
150〜300℃程度である。したがって、接着層の極
性基含有熱可塑性ノルボルネン系樹脂(b)のTgが、
誘電層の熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)のTgより
も小さくなるように、各樹脂を選択することが好まし
い。加熱圧着時の圧力は、通常10〜200kgf/c
2、好ましくは20〜150kgf/cm2、より好ま
しくは30〜80kgf/cm2程度である。
【0055】2)溶媒法 誘電層上に接着層形成用のポリマーを溶液状態でオーバ
ーコートする際に、誘電層を形成しない方の面は、接着
する直前にオーバーコートし、溶媒が残存している半乾
燥状態で、プレス機等を用いて圧着した後、溶媒を除去
しながら接着する。この場合、溶媒の残存量は、通常1
0〜80%、好ましくは30〜60%、より好ましくは
40〜50%である。圧着前の接着層の膜厚は、圧着後
の膜厚の通常1.2〜3.0倍、好ましくは1.5〜
2.5倍、より好ましくは1.8〜2.0倍程度であ
る。圧着時の圧力は、前記加熱圧着時の圧力と同様であ
る。圧着後の溶媒乾燥温度は、用いる溶媒の沸点より1
0℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは50
℃以上であるのが望ましく、さらに、溶媒除去が容易に
行えるように、圧着は、真空プレスを用いるのが好まし
い。また、この接着方法の場合には、接着層の極性基含
有熱可塑性ノルボルネン系樹脂(b)のTgが、誘電層
の熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)のTgよりも必ず
しも低い必要はないが、密着性、溶媒除去性等の面から
考えて、低い方が好ましい。
【0056】3)熱硬化法 前記の加熱圧着法において、接着層を溶融させながら圧
着する際に、Tgが比較的低いポリマーを用いて、比較
的低い温度で加熱圧着する過程で、接着層に使用するポ
リマー中に熱で反応する架橋剤を配合して、加熱硬化さ
せながら圧着する。
【0057】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例を挙げて、本発
明を具体的に説明する。 (1)ガラス移転温度Tgは、示差走査熱量法(DSC
法)により測定した。 (2)分子量は、特に断りのない限り、トルエンを溶媒
とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー
(GPC)によるポリスチレン換算値として測定した。 (3)共重合比率は、1H−NMRにより測定した。 (4)エポキシ基含有量は、1H−NMRにより測定
し、前記式により算出した。 (5)密着性は、JIS K5400に従ってゴバン目
剥離強度試験を行い評価した。 (6)耐久性は、90℃、95%湿度の条件で1000
時間放置し、フクレ等の外観の異常、及び銅の腐食や変
色等を観察した。 (7)耐熱性は、300℃のハンダを1分間接触させた
後、外観を観察し、下記基準で判断した。 良好:剥離やフクレのないもの 不良:剥離またはフクレの見られるもの (8)誘電率は、JIS K6911に従って1MHz
で測定した。 (9)吸水率は、JIS K6911に従って、試験片
を24時間浸水した後に増加した質量の、浸水前の試験
片の質量に対する百分率を求めた。
【0058】[製造例1]窒素置換した内容積300m
lのガラス製容器に、トルエン100mlとメチルアル
ミノキサン5.0ミリモル、及びニッケルビスアセチル
アセトナート25マイクロモルを加えた。次に、2−ノ
ルボルネン8.1gと5−ブチル−2−ノルボルネン2
1.9gとの混合物を添加し、50℃で2時間重合反応
を行った。反応終了後、反応混合物を多量のメタノール
中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、減圧乾燥
することにより、25gのポリマーA(Mn=80,7
00、Tg=259℃)を得た。
【0059】[製造例2]窒素置換した内容積300m
lのガラス製容器に、トルエン100mlとメチルアル
ミノキサン5.0ミリモル、及びニッケルビスアセチル
アセトナート25マイクロモルを加えた。次に、5−ブ
チル−2−ノルボルネン30gを添加し、50℃で2時
間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物を多量の
メタノール中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄
後、減圧乾燥することにより、18gのポリマー(Mn
=81,150、Tg=220℃)を得た。得られたポ
リマー10g、5,6−エポキシ−1−ヘキセン6g、
及びジクミルパーオキシド1gをシクロヘキサン25g
中に溶解して、オートクレーブ中にて、150℃で6時
間反応を行った。得られた反応生成物溶液を50gのイ
ソプロピルアルコール中に注ぎ、反応生成物を凝固させ
た。凝固したエポキシ基変性重合体を100℃で20時
間真空乾燥し、エポキシ変性のポリマーBを10g得
た。このポリマーBのMnは82,000で、Tgは2
21℃であった。このポリマーBの1H−NMRにて測
定したエポキシ基含有量は、ポリマーの繰り返し構造単
位当たりで18.6モル%であった。
【0060】[製造例3]窒素置換した内容積1リット
ルのオートクレーブに、トルエン360ml、2−ノル
ボルネン100gとメチルアルミノキサン36ミリモル
を添加した後、オートクレーブを20℃に保ちながら1
kg/cm3のエチレンガスを圧入した。ジメチルシリ
レンビス(t−ブチルアミド)チタニウムジクロリドを
0.10ミリモル含むトルエン溶液を加えて重合を開始
した。エチレン圧を1kg/cm3に維持し、20℃で
1時間反応した後、多量のメタノール中に注いでポリマ
ーを析出させ、濾別洗浄後、減圧乾燥することにより、
35gのポリマーC(Mn=81,150、Tg=14
0℃)を得た。
【0061】[製造例4]窒素置換した内容積300m
lのガラス製容器に、トルエン100mlとメチルアル
ミノキサン6.0ミリモル、及びビス(シクロペンタン
ジエニル)ジルコニウムジクロリド0.3ミルモルを加
えた。次に、5−ビニル−2−ノルボルネン15mlを
添加して、80℃で24時間重合反応を行った。反応終
了後、反応混合物を多量のメタノール中に注いでポリマ
ーを析出させ、濾別洗浄後、減圧乾燥することにより、
2.8gのポリマーを得た。得られたポリマー50重量
部をキシレン100重量部に130℃で溶解させ、t−
ブチルヒドロパーオキシド2重量部とヘキサカルボニル
モリブテン0.15重量部を加えて130℃で1時間反
応を行った。反応終了後、反応混合物を多量のメタノー
ル中に注いでポリマーを析出させ、濾別洗浄後、減圧乾
燥することにより、50重量部のポリマーDを得た。ポ
リマーDのMnは1,200で、Tgは246℃であっ
た。ポリマーDは、1H−NMRの測定結果より、炭素
−炭素不飽和結合のエポキシ基の転化率は85%であっ
た。
【0062】[製造例5]製造例1によって得られたポ
リマーAを用いる以外は、製造例2と同様の方法でポリ
マーAのエポキシ変性を行い、エポキシ変性のポリマー
Eを得た。このポリマーEのMnは81,200で、T
gは260℃であった。このポリマーEの1H−NMR
にて測定したエポキシ基含量は、ポリマーの繰り返し単
位当たりで18.6モル%であった。
【0063】[実施例1]製造例1により得られたポリ
マーA10gをトルエン100gに溶解させ、キャスト
製膜法により厚さ80μmのフィルムを形成した。得ら
れたポリマーAのフィルムの両側に、製造例2により得
られたポリマーBのシクロヘキサン溶液(濃度10重量
%)をオーバーコートして、厚さ10μmの接着層を形
成した。次いで、接着層の片面に、配線パターンを形成
するためのメッキレジスト膜をドライフィルムレジスト
膜として塗布した後に、無電解銅メッキ法を用いて、幅
50μm、厚さ5μmの銅配線パターンを形成した。得
られた積層体の誘電率、密着性、吸水性、耐熱性及び耐
久性を評価し、その結果を表1に示した。
【0064】[実施例2]実施例1で得られた積層体を
5個重ね、その両側を特開平8−186376号広報に
記載される方法に従って製造したポリイミド4層構成フ
ィルム(銅配線/熱可塑性ポリイミド接着層/熱硬化性
ポリイミドフィルム/熱可塑性ポリイミドフィルム接着
層)の2個でサンドイッチして、真空プレス(圧力50
kg)により250℃で溶融圧着して多層基板とした。
得られた7層多層基板の誘電率、密着性、吸水性、耐熱
性、及び耐久性を評価し、その結果を表1に示した。
【0065】[実施例3]実施例1と同じ方法でポリマ
ーAの厚さ80μmのフィルムを形成し、その片面のみ
に実施例1と同様の方法でポリマーBの接着層及び導電
層を形成した。得られた積層体の他方の片面に製造例5
で得られたポリマーEのシクロヘキサン溶液(濃度10
重量%)をオーバーコートして、シクロヘキサン残存量
が40%の厚さ20μmの接着層を形成した。以上の状
態で積層体を上記未乾燥の接着層が同方向に向くように
5個重ね、さらに最外層の導電層形成面に上記ポリマー
Eの接着層を同様にオーバーコートした後に、その両側
を実施例1と同様なポリイミド4層構成フィルムでサン
ドイッチして、真空プレス(圧力50kg)によって圧
着し、次いで、残存シクロヘキサンを100℃で乾燥除
去して、多層基板とした。得られた7層多層基板の誘電
率、密着性、吸水性、耐熱性、及び耐久性を評価し、そ
の結果を表1に示した。
【0066】[比較例1]実施例2と同様にして製造し
た銅ポリイミド4層構成フィルムのみを7個用いて7層
とした以外は、実施例2と同様にして7層多層積層基板
を作製し、実施例2同様の方法で評価を行い、その結果
を表1に示した。
【0067】[比較例2]製造例3で得られたポリマー
C50重量部をキシレン100重量部に溶解させた後、
t−ブチルハイドロパーオキサイド2重量部とトリアリ
ルイソイアヌレート0.5重量部を加えて、無色透明な
均一溶液を得た。この溶液を用いて80μmのキャスト
フィルムを製造し、ポリマーBの接着剤を形成しない以
外は実施例1と同様に行い積層体を製造し、次いで、実
施例2と同様にして7層の多層基板を製造した。得られ
た多層基板の誘電率、密着性、吸水性、耐熱性、及び耐
久性を評価し、その結果を表1に示した。
【0068】[比較例3]製造例4で得られたポリマー
D10gをトルエン100gに溶解させ、キャスト製膜
法により厚さ80μmの塗膜を得た。この塗膜上に、実
施例1と同様にして導配線を形成させた後、7層を重ね
て250℃で真空プレス成形し多層基板を得た。この多
層基板の誘電率、密着性、吸水性、耐熱性、及び耐久性
を評価し、その結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性ノルボルネン
系樹脂からなる誘電層の少なくとも片面に、極性基を有
するノルボルネン系樹脂からなる接着層を介して導電層
を形成することにより、誘電特性、耐湿性(低吸水
性)、耐熱性、耐久性、及び密着性に優れる積層体が提
供される。この積層体を用いて、誘電率、密着性、吸水
性、耐熱性、及び耐久性に優れた多層基板を得ることが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)から
    なる誘電層の少なくとも片面に、極性基を有するノルボ
    ルネン系樹脂(b)からなる接着層が形成され、該接着
    層の上に導電層が形成されていることを特徴とする積層
    体。
  2. 【請求項2】 誘電層の両面に接着層が形成され、か
    つ、一方の接着層の上のみに誘電層が形成されている請
    求項1記載の積層体。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ノルボルネン系樹脂(a)から
    なる誘電層の少なくとも片面に、極性基含有ノルボルネ
    ン系樹脂(b)からなる接着層を形成し、次いで、該接
    着層の上に導電層を形成することを特徴とする積層体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の積層体を2個以
    上重ねてなることを特徴とする多層基板。
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