JPH10286905A - 密封性が優れた容器用キャップ及びその製造方法 - Google Patents

密封性が優れた容器用キャップ及びその製造方法

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JPH10286905A
JPH10286905A JP9099353A JP9935397A JPH10286905A JP H10286905 A JPH10286905 A JP H10286905A JP 9099353 A JP9099353 A JP 9099353A JP 9935397 A JP9935397 A JP 9935397A JP H10286905 A JPH10286905 A JP H10286905A
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resin
aluminum plate
resin layer
container cap
cap
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JP9099353A
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Masanobu Fukui
正信 福井
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工程が簡素であり、長い焼付け炉及び排気処
理装置を必要とする焼付け処理が不要であると共に、キ
ャップ部材の成形後に挿入される密封材を省略又は薄化
することができる密封性が優れた容器用キャップ及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 表面に予めリン酸クロメート処理皮膜、
有機樹脂と3価Crとにより構成される皮膜、Zrを含
む化成処理皮膜及びTiを含む化成処理皮膜からなる群
から選択された1種の皮膜を形成され予熱されたアルミ
ニウム板1と、冷却された圧着ロール6との間の圧着部
6aに、流動化樹脂4、例えば、流動化ポリエステル樹
脂、流動化ポリエチレン樹脂、流動化ポリプロピレン樹
脂又は流動化ナイロン樹脂を押出機3から流下して、圧
着ロール6によりアルミニウム板1に押圧し、樹脂層を
3乃至1000μmの厚さでアルミニウム板1の表面に
被着する。そして、この樹脂層が内側となるようにアル
ミニウム板1を絞り加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は食品又は飲料の保存
等に使用される容器用キャップ材及びその製造方法に関
し、特に、密封性が重視される容器に使用されるピルフ
ァーキャップ(以下、PPキャップという)及びティア
オフキャップ(以下、TOキャップという)等に好適な
密封性が優れた容器用キャップ及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、アルミニウム板を成形するこ
とにより製造される容器のキャップ等の耐腐食性の向上
を目的として、このアルミニウム板の表面を樹脂層で被
覆する方法が使用されている。例えば、PPキャップ及
びTOキャップ等は、脱脂処理を施されたアルミニウム
板又はりん酸クロメート処理若しくはジルコニウム化合
物を含む水溶性樹脂の塗装処理を施すことにより塗装下
地皮膜を設けられたアルミニウム板に塗装及び印刷を施
し、絞り加工等の加工を行うことにより成形されてい
る。更に、キャップの密封性を保持させるために成形さ
れたキャップの内面にポリエチレン樹脂又はポリ塩化ビ
ニル樹脂等の密封材を挿入することによりキャップが製
造される。この密封材を挿入する方法として、キャップ
の内面にポリエチレンを直接型押成形する方法、ポリエ
チレンシートを円板状に打抜きキャップの内面に装着す
る方法、射出成形等により形成されたポリエチレンディ
スクをキャップの内面に装着する方法又はポリ塩化ビニ
ルをキャップの内面に全体に若しくはリング状に塗布し
て焼付け、更に乾燥する方法等が行われている。
【0003】通常、上述の塗装処理はアルミニウム板の
切板の1枚毎に片面ずつ塗装することにより行われてい
る。脱脂処理されたアルミニウム板に塗装する場合、先
ず、アルミニウム板の切板の一方の面に外面サイズコー
トを塗布する。そして、加熱することによりこの外面サ
イズコートを焼付けた後、他方の面に内面塗料を塗布す
る。次に、この内面塗料を焼付け、外面コートが焼付け
られた面に外面トップコートを塗布する。更に、この外
面トップコートを焼付けることにより塗装処理が行われ
ている。また、塗装下地処理を設けられたアルミニウム
板に塗装する場合、先ず、アルミニウム板の切板の一方
の面に内面塗料を塗布し、これを焼付ける。更に、他方
の面に外面塗料を塗布し、これを焼付けることにより塗
装処理が行われている。
【0004】しかし、これらの切板に塗装する従来技術
によりキャップを製造すると、工程が繁雑であり生産性
が劣る。そこで、この工程の煩雑さを軽減するため、コ
イル状のアルミニウム板の両面に樹脂を塗装する方法が
提案されている(USP 5,407,702)。この
従来技術においては、塗布される樹脂の融点近くまでヒ
ータによりアルミニウム板を予め加熱する。そして、加
熱されたアルミニウム板の両面に、押出機により溶融状
態で押し出された樹脂を冷却しながら被着させる。次
に、樹脂を被着されたアルミニウム板を、更にヒータに
より適切な温度に加熱することにより、樹脂のアルミニ
ウム板への密着性を向上させる。その後、水を噴射して
急冷することにより樹脂を非晶質化させる。そして、洗
浄して乾燥させることにより樹脂が塗装されたアルミニ
ウム板が製造される。この従来技術によれば、簡単な工
程でアルミニウム板の両面に密着性が優れた塗装を施す
ことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
脱脂処理されたアルミニウム板に塗装する場合には、外
面サイズコートと内面塗料とを同時に塗布して焼付ける
ことができるものの、その後に外面サイズコートが塗装
された面のみに外面トップコートを塗布し焼付けなけれ
ばならないので生産性の向上は十分ではない。
【0006】また、この従来技術によりアルミニウム板
に塗装した場合、塗装後にキャップ部材を成形し、この
部材の内面に1個ずつ密封材を挿入しなければならない
ので製造コストが高くなる。このため、密封材を省略又
は薄化する方法が要望されている。
【0007】更にまた、塗料を塗布することにより金属
板表面を樹脂層で被覆する場合、一般的に、溶剤を除去
すると共に樹脂層を硬化させるためには、工業的に約1
0秒間以上の長い焼付け時間が必要となり、そのために
は、例えば、炉の長さを50m程度にする必要がある。
更に、焼付け炉内で加熱することにより揮発した溶剤を
大気中に害がない状態で排出させるためには、排気処理
装置が必要となり、処理装置が大型化する。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、工程が簡素であり、長い焼付け炉及び排気
処理装置を必要とする焼付け処理が不要であると共に、
キャップ部材の成形後に挿入される密封材を省略又は薄
化することができる密封性が優れた容器用キャップ及び
その製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る密封性が優
れた容器用キャップは、予熱されたアルミニウム板の表
面に押出機から流下した流動化樹脂を冷却された圧着ロ
ールにより押圧することにより被着した樹脂層を有し、
この樹脂層が被着された面が内面となるように絞り加工
された形状を有することを特徴とする。
【0010】この樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はナイロン樹脂である
ことが望ましい。更に、被着される樹脂層の厚さは3乃
至1000μmであることが好ましく、アルミニウム板
の表面には、リン酸クロメート処理皮膜、有機樹脂と3
価Crとにより構成される皮膜、Zrを含む化成処理皮
膜及びTiを含む化成処理皮膜からなる群から選択され
た1種の皮膜が形成されていることが望ましい。
【0011】本発明に係る密封性が優れた容器用キャッ
プの製造方法は、予熱されたアルミニウム板と、冷却さ
れた圧着ロールとの間に、押出機により成形した流動化
樹脂を流下して、前記圧着ロールにより前記流動化樹脂
を前記アルミニウム板に押圧し、樹脂層を前記アルミニ
ウム板の表面に被着する工程と、前記樹脂層が内側とな
るように前記アルミニウム板を絞り加工する工程とを有
することを特徴とする。この樹脂として、ポリエステル
樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はナイ
ロン樹脂を使用することが好ましく、樹脂層は3乃至1
000μmの厚さで前記アルミニウム板の表面に被着す
ることが望ましい。
【0012】また、樹脂としてポリエステル樹脂又はナ
イロン樹脂を使用した場合、前記樹脂の融点をT(℃)
としたとき、前記アルミニウム板を(T−150)乃至
T(℃)の予熱温度で予熱することが好ましく、樹脂と
してポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂を使用し
た場合には、前記樹脂の融点をT(℃)としたとき、前
記アルミニウム板を(T−50)乃至T(℃)の予熱温
度で予熱することが好ましい。
【0013】更に、アルミニウム板の表面に予めリン酸
クロメート処理皮膜、有機樹脂と3価Crとにより構成
される皮膜、Zrを含む化成処理皮膜及びTiを含む化
成処理皮膜からなる群から選択された1種の皮膜を形成
することが望ましい。
【0014】更にまた、圧着ロールは、前記アルミニウ
ム板に積層される流動化ポリエステル樹脂が10乃至2
00(℃/秒)の冷却速度で冷却される温度とすること
が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】本願発明者等が前記課題を解決す
るために鋭意実験研究を重ねた結果、アルミニウム板の
表面に、押出機から押出して流動化させた特定の流動化
樹脂を流下させ、これを冷却された圧着ロールにより押
圧して樹脂層をアルミニウム板に被着することにより得
られた積層材は、製造コストが低いと共に、容器キャッ
プ用素材として必要である特性、即ち、樹脂層のアルミ
ニウム板への密着性、絞り加工性、耐熱水処理性及び外
観が優れていることを見い出した。また、この積層材を
食品又は飲料等の容器の蓋として成形した場合、樹脂層
の内容物中への溶出量が少なく、内容物の風味及び香味
を保持する効果が高いものとなる。更に、キャップが成
形されたときに内面になる面、つまり、容器と接触する
面の樹脂層を厚くすることにより、密封材を使用しなく
ても密封性を向上させることができる。
【0016】図1は本発明の実施例に係る密封性が優れ
た容器用キャップの製造方法を説明するための押し出し
ラミネート装置を示す模式図である。
【0017】予熱炉2はその両端部に開口部2a及び2
bが形成されており、開口部2aからアルミニウム板1
が導入され、開口部2bから導出されるようになってい
る。また、開口部2bに近接して補助ロール7aが配置
されており、その下流側には巻き付けロール5及び圧着
ロール6が当接して配置されている。巻き付けロール5
と圧着ロール6との間の圧接部6aの上方には、Tダイ
3が吐出口3aを下方に向けて配置されており、流動化
樹脂4がTダイ3から、巻き付けロール5と圧着ロール
6との間の圧接部6aに流下されるようになっている。
更に圧着ロール6の下流側には、補助ロール7bが配置
されている。
【0018】次に、積層材の製造方法を説明する。アル
ミニウム板1は予熱炉2内を通されて所望の温度に予熱
された後、補助ロール7aによりその進行方向を変更さ
れ、巻き付けロール5と圧着ロール6との間の圧接部6
aに導入される。このとき、圧着ロール6は所望の温度
に冷却されている。これと同時に、巻き付けロール5と
圧着ロール6との間の圧接部6aの上方に配置されたT
ダイから、流動化樹脂4が流下され、圧着ロール6と巻
き付けロール5との間でアルミニウム板に圧着される。
そして、アルミニウム板1は流動化樹脂4と共に圧着ロ
ールを、例えば、半周巻回された後、補助ロール7bに
よりその進行方向を変更されて、例えば、コイル状に巻
き取られる。このようにすることにより、アルミニウム
板1の片面に樹脂層が被着するので、アルミニウム板1
と樹脂層との積層材8を製造することができる。
【0019】前述のようにして製造された積層材8にお
いては、アルミニウム板1が予熱された後に、その表面
に流動化樹脂4を流下するので、樹脂4の流動性が高ま
り、樹脂4とアルミニウム板1との密着性が向上する。
アルミニウム板1の予熱を実施しないとき、又は予熱温
度が低いときには、樹脂層のアルミニウム板に対する密
着性が十分に得られないため、絞り加工後の密着性が低
下したものとなる。
【0020】アルミニウム板に被着される固体樹脂の融
点をT(℃)としたとき、樹脂がポリエステル樹脂又は
ナイロン樹脂である場合、アルミニウム板の予熱温度が
(T−150)℃未満であると、樹脂層のアルミニウム
板への密着性が低下する。一方、アルミニウム板の予熱
温度がT(℃)を超えると、樹脂の流動性はより一層向
上するが、この樹脂が分解するため、好ましくない。従
って、アルミニウム板の予熱温度は、被着される樹脂が
ポリエステル樹脂又はナイロン樹脂である場合、(T−
150)乃至T(℃)とすることが好ましい。例えば、
ポリエステル樹脂としてポリエチレンテレフタレート
(PET)樹脂を使用する場合、この固体PET樹脂の
融点Tは255℃であるので、アルミニウム板の予熱温
度を105乃至255℃とすることが望ましい。
【0021】また、樹脂がポリエチレン樹脂又はポリプ
ロピレン樹脂である場合、アルミニウム板の予熱温度が
(T−50)℃未満であると、樹脂層のアルミニウム板
への密着性が低下する。一方、アルミニウム板の予熱温
度がT(℃)を超えると、樹脂の流動性はより一層向上
するが、この樹脂が分解するため、好ましくない。従っ
て、アルミニウム板の予熱温度は、被着される樹脂がポ
リエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂である場合、
(T−50)乃至T(℃)とすることが好ましい。例え
ば、ポリエチレン樹脂を使用する場合、この固体ポリエ
チレン樹脂の融点Tは125℃であるので、アルミニウ
ム板の予熱温度を75乃至125℃とすることが望まし
い。
【0022】また、流動化樹脂が圧着ロールによって冷
却される冷却速度が10(℃/秒)未満であると、積層
された樹脂の結晶化が進行し、アルミニウム板に被着さ
れた樹脂の加工性が劣るので絞り加工性が低下する。一
方、冷却速度が200(℃/秒)を超えると、流動化樹
脂がアルミニウム板の表面の凹凸に十分に接触しなくな
るので、密着性が低下する。従って、圧着ロールの冷却
温度は、アルミニウム板に積層される流動化樹脂が、1
0乃至200(℃/秒)の範囲の冷却速度で冷却される
ような温度とすることが好ましい。
【0023】本発明において使用されるアルミニウム板
としては、容器のキャップとしての機能を満足するもの
であれば、その組成等を規制することなく使用すること
ができる。例えば、JIS H 4000に規定された
合金番号1100及び1200等のアルミニウム系合金
並びに合金番号3003及び3004等のAl−Mn系
合金の展伸材等が好適である。また、その形態は、アル
ミニウム板の少なくともキャップ内面となる面に樹脂層
を被着することができるものであればよく、コイル状で
あることが好ましい。
【0024】このキャップ内面となる面とは、アルミニ
ウム板の片面若しくは両面又はその一部であって、製造
された積層材を容器のキャップとして成形した場合に、
そのキャップ内面となる部分に樹脂層を被着させること
ができればよい。
【0025】また、アルミニウム板の厚さについては特
に制限はなく、所望の形状のキャップを成形することが
でき、長時間使用することができる厚さであれば、適宜
決定することができる。
【0026】本発明においては、アルミニウム板の耐腐
食性の向上及び被着される樹脂層との密着性の向上を目
的として、アルミニウム板に表面処理が施されているこ
とが好ましい。この表面処理とは、具体的には、リン酸
クロメート処理皮膜、有機樹脂と3価Crとにより構成
される皮膜又はZr若しくはTiを含む化成処理皮膜を
形成することであり、これらの表面処理をアルミニウム
板に施すと、アルミニウム板の表面には、皮膜中の金属
成分の酸化物と結合水を含む皮膜が化学的に生成され
る。この結合水は樹脂層の極性基と親和力が強いので、
樹脂層のアルミニウム板の表面への密着性を向上させる
ことができる。また、金属成分の酸化物は、樹脂層を透
過してくる酸素、水分及び各種イオンのバリヤ層として
作用し、アルミニウム板の表面を保護する効果がある。
【0027】なお、リン酸クロメート処理皮膜は、クロ
ム酸、リン酸及びフッ酸の混合水溶液にアルミニウム板
を浸漬するか、アルミニウム板の表面に、これらの混合
水溶液を噴射又は塗布することにより生成することがで
きる。これらの皮膜は、所望の耐腐食性及び積層される
樹脂層との所望の密着性を得ることができる皮膜量で形
成されることが好ましい。
【0028】更に、本発明において使用される樹脂層
は、アルミニウム板に被着されるので、キャップの内面
となるように成形されると、内容物と長時間接触するこ
とになる。従って、この容器の内容物が食品又は飲料で
ある場合には、食品衛生上の安全性を確保する必要があ
る。従って、食品又は飲料の品質を保持すると共に、風
味及び香味を維持するためには、アルミニウム板に被着
される樹脂層とアルミニウム板との密着性が優れている
こと及び内容物中に樹脂成分が溶出しないか又は溶出量
が極めて少ないことが必要である。
【0029】そこで、本発明においてアルミニウム板に
被着される樹脂層は、流動化された状態でアルミニウム
板の表面に流下され、その表面で冷却固化するときにア
ルミニウム板に対して高い密着性を得ることが必要であ
る。ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピ
レン樹脂及びナイロン樹脂は食品衛生上の安全性を確保
し、アルミニウム板との密着性を向上させることができ
る樹脂である。また、高分子量化した樹脂を原料として
押し出し成形されるので、分子量が高くなり、樹脂が容
器の内容物に溶出することを防止することができる。そ
の中でも、特に、ポリエチレンテレフタレート樹脂は大
量生産されているため入手しやすく、食品等の風味及び
香味を維持する保香性が優れているので好適である。
【0030】また、この樹脂層の厚さについても特に制
限するものではないが、樹脂層の厚さが3μm未満であ
ると、押出機からの押し出し作業性が著しく低下すると
共に、キャップとしての密封性が著しく低下することが
ある。一方、樹脂層の厚さが1000μmを超えるよう
に加工されていても、キャップとしての密封性等を向上
させる効果をそれ以上に向上させることはできないと共
に、原料コストが高くなってしまうので好ましくない。
従って、アルミニウム板に被着される樹脂層の厚さは3
乃至1000μmであることが好ましい。特に、キャッ
プ内面となる面に密封性を高めるために比較的厚い樹脂
層を積層し、キャップ外面となる面には比較的薄い樹脂
層を積層することが経済的であり好ましい積層形態であ
る。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について、その特許請
求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明す
る。
【0032】先ず、厚さが、例えば0.23mmである
JIS A 1200Pのアルミニウム板について、表
面処理を施していないものと、種々の表面処理を施して
皮膜を形成したものとを準備した。次いで、図1に示す
押し出しラミネート装置を使用して、このアルミニウム
板を予熱炉2において種々の予熱温度で予熱した後、巻
き付けロール5と圧着ロール6との間の圧接部6aに導
入した。これと同時に、Tダイ3により成形された流動
化ポリエステル樹脂を圧接部6aに押し出し流下して、
種々の厚さの樹脂層とアルミニウム板との積層材を製造
した。但し、巻き付けロール5と圧着ロール6の径を共
に300mmとした。
【0033】次に、このようにして得られた積層材を絞
り加工し、樹脂層が被着された面が内面となるように絞
りキャップを成形し、これらのサンプルを実施例とし
た。但し、絞り加工の成形条件としては、ブランクの直
径を60mm、ポンチの直径を30mmとし、絞り比を
2.0とした。
【0034】また、比較例17は、予熱されていないア
ルミニウム板の表面に、押出機により成形した流動化ポ
リエチレンテレフタレート樹脂を流下することにより積
層材を製造したものである。なお、このときの樹脂層の
厚さは10μmとした。更に、比較例18は、ポリエス
テル樹脂をメチルエチルケトンに溶解させることにより
塗料を製造し、この塗料をアルミニウム板の表面に塗布
した後、加熱することにより溶剤を除去すると共に、樹
脂皮膜を硬化させて積層材を製造したものである。な
お、これらの積層材からの絞りキャップの加工方法につ
いては、実施例と同様である。
【0035】次いで、実施例及び比較例のサンプルにつ
いて、外観を評価した後、樹脂層の絞り加工前及び絞り
加工後の密着性、耐腐食性を評価すると共に、過マンガ
ン酸カリウム消費量を測定することにより、絞りキャッ
プの保香性を評価した。また、溶出試験により蒸発残留
物量を測定すると共に、キャップの密封性を評価した。
各試験の試験方法を以下に示す。
【0036】樹脂層の絞り加工前の密着性の評価方法と
しては、先ず、ビーカー内の沸騰した蒸留水中にサンプ
ルを浸漬して30分間保持した後、これを取り出して、
水滴を紙タオルで拭き取った。その後、樹脂層が被着さ
れた面にカッターナイフでクロスカットを入れ、粘着テ
ープをクロスカットした部分に当て、これを剥がすこと
により樹脂層の剥離性を観察した。一方、樹脂層の絞り
加工後の密着性の評価方法としては、絞りキャップの樹
脂層を被着された面に粘着テープを当て、これを剥がす
ことにより樹脂層の剥離性を観察した。
【0037】また、耐腐食性は、サンプルである絞りキ
ャップの中に1重量%食塩水を入れ、95℃の温度で1
週間保持した後の絞りカップの内表面を観察することに
より評価した。
【0038】更に、キャップの容器蓋としての保香性
は、60℃の蒸留水中にサンプルを30分間浸漬し、樹
脂成分を蒸留水中に溶出させた後に、過マンガン酸カリ
ウムで滴定し、過マンガン酸カリウムの消費量を測定す
ることにより評価した。即ち、過マンガン酸カリウムの
消費量が多いほど、樹脂成分の蒸留水中への溶出量が多
く、保香性が低いことを示している。そこで、過マンガ
ン酸カリウムの消費量が10ppm以下の場合を保香性
が良好であると評価した。
【0039】蒸発残留物量の評価は、60℃の4体積%
酢酸溶液又は20体積%エタノール溶液中にサンプルを
30分間浸漬し、サンプルを取り出した後、この溶液を
濃縮及び蒸発乾固し、蒸発残留物の重量を測定する方法
により行った。蒸発残留物が30ppm以下の場合を食
品適正が良好であると評価した。
【0040】また、密封性の評価は、水が充填されたガ
ラス瓶にサンプルであるキャップを巻き締め、このガラ
ス瓶を45℃に設定された恒温槽中に横向きにして24
時間放置して、内容物である水の漏れの有無により行っ
た。
【0041】これらの積層材の製造条件等を下記表1に
示し、評価結果を下記表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】上記表2に示すように、予熱されたアルミ
ニウム板の表面に、流動化ポリエチレンテレフタレート
樹脂、流動化ナイロン−6、流動化ポリエチレン又は流
動化ポリプロピレンを流下し、これを圧着ロールで押圧
することにより樹脂層を被着させた実施例1乃至16
は、過マンガン酸カリウムの消費量が10ppm以下で
あり、優れた保香性を示すと共に、蒸発残留物が30p
pm以下であり、食品適正に適していることを示した。
特に、実施例1乃至10及び12乃至16はアルミニウ
ム板に表面処理を施しているので、樹脂層のアルミニウ
ム板表面への密着性が優れたものとなった。この中でも
特に、実施例2乃至10及び12乃至16は3μm以上
の厚さで樹脂層を被着しているので、耐腐食性及び密封
性も優れたものとなった。
【0045】一方、アルミニウム板を予熱しなかった比
較例17については、剥離及び腐食が発生した。更に、
樹脂を溶解させた塗料をアルミニウム板の表面に塗布す
ることにより樹脂層を形成した比較例18は、実施例と
比較して蒸発残留物が多く、食品適正に劣ったものとな
った。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶剤に溶解した樹脂塗料等を使用することなく積層材を
製造するので、長い焼付け炉及び排気処理装置を必要と
する焼付け処理が不要である。また、アルミニウム板を
予熱した後に、押出機により成形した流動化樹脂を流下
することにより積層するので、樹脂層のアルミニウム板
の表面への密着性、絞り加工性及び外観特性等の容器の
キャップ材としての適性が優れていると共に、容器内の
食品又は飲料等の風味及び香味等を優れた状態で保存す
ることができるキャップ用積層材を得ることができる。
更に、樹脂層を積層する前に、アルミニウム板の表面に
所望の皮膜が形成されていると、樹脂層のアルミニウム
板への密着性及び積層材の耐食性がより一層優れたもの
となる。更にまた、使用する樹脂の種類、樹脂層の厚さ
及び予熱温度を適切に選択すると、保香性、密着性、耐
食性及び密封性を更に一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る密封性が優れた容器用キ
ャップの製造方法を説明するための押し出しラミネート
装置を示す模式図である。
【符号の説明】
1;アルミニウム板 2;予熱炉 3;Tダイ 4;流動化樹脂 5;巻き付けロール 6;圧着ロール 6a;圧接部 7a、7b;補助ロール

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予熱されたアルミニウム板の表面に押出
    機から流下した流動化樹脂を冷却された圧着ロールによ
    り押圧することにより被着した樹脂層を有し、この樹脂
    層が被着された面が内面となるように絞り加工された形
    状を有することを特徴とする密封性が優れた容器用キャ
    ップ。
  2. 【請求項2】 前記樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリエ
    チレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はナイロン樹脂であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の密封性が優れた容
    器用キャップ。
  3. 【請求項3】 前記樹脂層の厚さは3乃至1000μm
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の密封性
    が優れた容器用キャップ。
  4. 【請求項4】 前記アルミニウム板の表面には、リン酸
    クロメート処理皮膜、有機樹脂と3価Crとにより構成
    される皮膜、Zrを含む化成処理皮膜及びTiを含む化
    成処理皮膜からなる群から選択された1種の皮膜が形成
    されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか
    1項に記載の密封性が優れた容器用キャップ。
  5. 【請求項5】 予熱されたアルミニウム板と、冷却され
    た圧着ロールとの間に、押出機により成形した流動化樹
    脂を流下して、前記圧着ロールにより前記流動化樹脂を
    前記アルミニウム板に押圧し、樹脂層を前記アルミニウ
    ム板の表面に被着する工程と、前記樹脂層が内側となる
    ように前記アルミニウム板を絞り加工する工程とを有す
    ることを特徴とする密封性が優れた容器用キャップの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記樹脂層は3乃至1000μmの厚さ
    で前記アルミニウム板の表面に被着することを特徴とす
    る請求項5に記載の密封性が優れた容器用キャップの製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記樹脂として、ポリエステル樹脂、ポ
    リエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂又はナイロン樹脂
    を使用することを特徴とする請求項5又は6に記載の密
    封性が優れた容器用キャップの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記樹脂として、ポリエステル樹脂又は
    ナイロン樹脂を使用し、前記樹脂の融点をT(℃)とし
    たとき、前記アルミニウム板を(T−150)乃至T
    (℃)の予熱温度で予熱することを特徴とする請求項5
    又は6に記載の密封性が優れた容器用キャップの製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記樹脂として、ポリエチレン樹脂又は
    ポリプロピレン樹脂を使用し、前記樹脂の融点をT
    (℃)としたとき、前記アルミニウム板を(T−50)
    乃至T(℃)の予熱温度で予熱することを特徴とする請
    求項5又は6に記載の密封性が優れた容器用キャップの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記アルミニウム板の表面に予めリン
    酸クロメート処理皮膜、有機樹脂と3価Crとにより構
    成される皮膜、Zrを含む化成処理皮膜及びTiを含む
    化成処理皮膜からなる群から選択された1種の皮膜を形
    成することを特徴とする請求項5乃至9のいずれか1項
    に記載の密封性が優れた容器用キャップの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記圧着ロールは、前記アルミニウム
    板に積層される流動化ポリエステル樹脂が10乃至20
    0(℃/秒)の冷却速度で冷却される温度とすることを
    特徴とする請求項5乃至10のいずれか1項に記載の密
    封性が優れた容器用キャップの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004009662A (ja) * 2002-06-11 2004-01-15 Toyo Kohan Co Ltd 滑剤を含有しない有機樹脂被覆金属板およびその製造方法
JP2016137625A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 株式会社Uacj 樹脂被覆アルミニウム材及びその製造方法、並びに、アルミニウム樹脂接合材及びその製造方法
JP2018171933A (ja) * 2018-07-02 2018-11-08 株式会社神戸製鋼所 アルミニウム複合材、複合構造体及びその製造方法
CN110475655A (zh) * 2017-03-28 2019-11-19 电化株式会社 层叠体的制造方法、层叠体的制造装置以及层叠体

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