JPH10282336A - 光学フィルム - Google Patents

光学フィルム

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JPH10282336A
JPH10282336A JP9086778A JP8677897A JPH10282336A JP H10282336 A JPH10282336 A JP H10282336A JP 9086778 A JP9086778 A JP 9086778A JP 8677897 A JP8677897 A JP 8677897A JP H10282336 A JPH10282336 A JP H10282336A
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JP
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film
phase difference
optical
optical axis
layer
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Application number
JP9086778A
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English (en)
Inventor
Sadao Fujii
貞男 藤井
Masanori Koshioka
雅則 越岡
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光線透過率が80%以上、厚さが10〜10
00μm、位相差(R0)が20nm以下、フィルム平
面内の光軸のばらつきが±30°以内にあり、かつ、光
軸に対して直交する方向へ45°傾けて測定したときの
位相差(R45)と位相差(R0)との比(R45/R0)が
1〜3である光学フィルムをうる。 【解決手段】 溶液流延法で光学フィルムを連続的に製
造する際に、乾燥工程でのフィルムにかかるテンション
を5kg/m以下に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位相差の視角特性
にすぐれ、光学的に透明で、かつ耐熱性を有する光学フ
ィルム、たとえばLCDなどの偏光を用いた光学系に用
いられる低位相差を有するプラスチックフィルムであっ
て、位相差の視野角依存性が小さい光学フィルムおよび
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器はますます小型化し、ノ
ート型パソコン、ワードプロセッサに代表されるよう
に、軽量・コンパクトという特徴を生かした液晶ディス
プレイが多く用いられるようになってきている。また、
携帯情報端末などさらに小型・軽量化されたツール類が
開発されている。
【0003】このような携帯機器のディスプレイ向けの
液晶ディスプレイには、軽量化を目的として、各種プラ
スチックフィルムの応用が検討されている。
【0004】TNやSTNタイプの液晶ディスプレイの
ように、偏光を取り扱うばあい、用いるプラスチックフ
ィルムは、光学的に透明であることのほか、光学的な均
質性が求められる。ガラス基板をプラスチックフィルム
に代えたプラスチック液晶ディスプレイ用のフィルム基
板のばあい、複屈折と厚さの積で表わされる位相差が、
限りなくゼロに近いことが要求される。
【0005】プラスチックフィルムでは、分子の分極率
が位相差の発現しやすさと関係のあることが知られてお
り、位相差の小さいフィルムをうるには、分子分極率の
小さい材料を用いて、分子の配向を極力抑えた成形条件
を用いてフィルム化する必要がある。
【0006】フィルム化は、通常、樹脂を溶融させダイ
スから押し出してフィルム化する溶融押出法や、樹脂を
溶剤に溶解させてエンドレス基板上に流延したのち溶剤
を乾燥させる溶剤キャスティング法により成形される。
そのほか、ガラスなどで予め成形型を作製し、そのなか
へ未重合樹脂を注入したのち硬化させる注型法が、0.
4mmなどの比較的厚い成形体に対しては用いられるこ
とがある。いずれのばあいも、樹脂の溶融流動・溶剤乾
燥収縮・熱収縮・重合収縮や搬送応力などにより成形中
のフィルム基材に各種応力がかかり、えられるフィルム
には、多少の分子配向が生じ、位相差が残存するのを避
けることはできない。
【0007】そのため、成形体の面内での配向をバラン
ス化させることにより5〜10nmの低位相差を有する
フィルムをえているのが現状である。
【0008】すなわち、連続的にフィルムを成形するば
あいについて説明するならば、フィルム搬送方向(MD
方向)に分子は配向しやすいため、意図的にフィルムの
幅方向(TD方向)に樹脂を配向させ、MD方向への配
向による位相差をTD方向への配向で相殺することによ
り、低位相差化を図ることが行なわれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このようなフィルムを
用いて液晶表示装置(LCD)を組み立てると、LCD
を正面から見たばあいには、基材が低位相差であるた
め、良好な表示特性をうることができるが、斜めから見
たばあいには、コントラストが低下し、色調も変化す
る。これは、基材の位相差が、基材面に対し直角方向か
ら見たばあいには低い値をもつにもかかわらず、斜めか
ら見たばあいにはその値が大きくなり、液晶層との光学
的マッチングがずれることが原因である。通常、LCD
の光学パラメーターの設計は、基板を正面から見たとき
の残存位相差の影響を補償できるように設計されるた
め、正面から見たばあいと斜めから見たばあいの位相差
の変化が大きいことは、設計値からのズレが大きくな
り、LCDの視野角特性を著しく損うこととなる。した
がって、基板フィルムを正面から見たばあい、位相差の
小さいことが重要であると同時に、R45/R0で表わさ
れる視野角依存性も極めて重要であり、1であることが
望ましい。このように、位相差の視野角依存性が小さい
基板はLCDなどの表示装置にとっては重要な要素であ
る一方、低位相差を有しており、かつ視野角依存性の小
さい基材は、未だ見出されていないのが現状である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
状に鑑み鋭意研究を重ねた結果、位相差の視野角依存性
は、基板がTD方向とMD方向の両方向に分子が配向し
ており、いわゆる、基板が二軸性を有しているためであ
ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわ
ち、本発明は、光線透過率が80%以上、厚さが10〜
1000μm、位相差(R0)が20nm以下、フィル
ム平面内の光軸のばらつきが±30°以内にあり、か
つ、光軸に対して直交する方向へ45°傾けて測定した
ときの位相差(R45)と位相差(R0)との比(R45
0)が1〜3であることを特徴とする光学フィルム
(請求項1)、フィルムが非晶性の樹脂からなり、ガラ
ス転移温度が120℃以上である請求項1記載の光学フ
ィルム(請求項2)、フィルムが主鎖に芳香族基を有す
る樹脂からなる請求項1記載の光学フィルム(請求項
3)、フィルムの少なくとも一方の表面に、耐溶剤性の
コーティング層を有する請求項1記載の光学フィルム
(請求項4)、フィルムの少なくとも一方の表面に、ガ
スバリヤー層および(または)透明導電膜層を有する請
求項1記載の光学フィルム(請求項5)、ガスバリヤー
層が、有機系のガスバリヤー層と無機系のガスバリヤー
層との複層からなる請求項5記載の光学フィルム(請求
項6)、光線透過率が80%以上、厚さが10〜100
0μm、位相差(R0)が20nm以下、フィルム平面
内の光軸のばらつきが±30°以内にあり、かつ、光軸
に対して直交する方向へ45°傾けて測定したときの位
相差(R45)と位相差(R0)との比(R45/R0)が1
〜3である光学フィルムを溶液流延法にて連続的に製造
するにあたり、乾燥工程でのフィルムにかかるテンショ
ンを5kg/m以下に保つことを特徴とする光学フィル
ムの製造方法(請求項7)、および請求項1、2、3、
4、5または6記載の光学フィルムを基板として用いる
ことを特徴とする液晶表示装置(請求項8)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルムは、光線透
過率が80%以上、さらには85%以上、厚さが10〜
1000μm、さらには20〜500μm、とくには5
0〜500μm、厚さと複屈折の積で表わされる位相差
(R0)が20nm以下、さらには10nm以下、とく
には5nm以下、フィルム平面内の光軸のばらつきが±
30°以内、さらには±10°以内、とくには±5°以
内であることが必要である。
【0012】本発明の光学フィルムの光線透過率が低く
なりすぎると、たとえば液晶表示装置に用いるのが困難
になる。光線透過率は、全光線透過率および特定波長で
の透過率のいずれも重要であるが、とくに550nmで
の光線透過率は、人間の視覚感度が最も高い波長である
ため重要である。この波長の透過率が低いと、たとえ全
光線透過率が高くても視覚的に暗くなりやすい。フィル
ムのヘイズも表示特性に影響を与え、好ましくは5%以
下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以
下である。また、厚さが薄くなりすぎると取り扱いに支
障を生じるとともに、微少張力でフィルム自体が引き延
ばされ、位相差が増加しやすいという不具合を生じる。
一方、厚くなりすぎると、機器の軽量化を狙った薄型化
に寄与しにくくなり、ガラスの代わりにフィルムを用い
る効果が小さくなるほか、ロール状で連続的に取り扱う
ことができなくなる。好ましい厚さは20〜500μm
であり、さらに好ましくは40〜300μmである。さ
らに、厚さと複屈折の積で表わされる位相差(R0)が
大きくなりすぎても好ましくない。そして、フィルム平
面内の光軸のばらつきは、位相差のばらつきや視野角特
性のばらつきを大きくするため、低く制御されることが
必要である。好ましい光軸のばらつきは限定的でなく、
用途により許容値が変動するが、光軸のばらつきが大き
くなりすぎると、本発明の光学フィルムの主要な用途で
あるLCDに用いるのが困難になる。
【0013】なお、前記フィルム平面内の光軸とは、フ
ィルム面内の遅相軸をいい、フィルム平面に平行でかつ
屈折率の最大の方向を意味する。
【0014】本発明の光学フィルムは、前記特性に加え
て、光軸に対して直交する方向へ45°傾けて測定した
ときの位相差(R45)と位相差(R0)との比(R45
0)が3以下、さらには2以下である。前記位相差
(R45)と位相差(R0)との比(R45/R0)が大きく
なりすぎると、位相差の視野角依存性が大きくなり、斜
めから見たばあいの位相差が大きくなり表示特性の低下
を招く。
【0015】本発明の光学フィルムは、工業的に実施可
能であるという観点から、連続的に広幅で成膜されてい
ることが好ましい。好ましいフィルム幅は300mm以
上であり、さらには1000mm以上である。また、光
学フィルムの長さにはとくに制限はないが、一般的には
100m以上が好ましい。
【0016】本発明の光学フィルムの製造に使用される
材料としては、非晶性の高分子材料が好ましく用いられ
る。
【0017】前記非晶質の高分子材料は、耐熱性が高い
ことが、そのあとにフィルム加工プロセスでの耐久性を
高めるうえで重要である。高分子材料の耐熱性はガラス
転移温度で表わすことができるが、通常120℃以上の
ガラス転移温度が必要であり、好ましくは140℃以
上、さらに好ましくは180℃以上である。主鎖に芳香
族基を有するポリアリレートやポリカーボネート、ポリ
エステルカーボネートは、耐熱性・透明性にすぐれ、フ
ィルムをうるのに適した、好ましい材料である。なお、
これらの高分子材料の詳細は、特開昭57−73021
号公報、特開平1−13583号公報、特開平2−88
634号公報、特開平2−23720号公報、特開平7
−52271号公報、特開平7−52270号公報、特
開平8−54614号公報、特開平8−54615号公
報などに記載されている。
【0018】また、ポリエーテルスルホン、ポリスルホ
ン、ポリアミド、セルローストリアセテートなども、好
適に用いることができる。さらに、位相差の発現しにく
い材料として環状オレフィンやノルボルネン骨格を有す
る変性オレフィンやフルオレン骨格を有するアモルファ
スのポリエステルも好ましい材料である。なお、これら
の高分子材料の詳細は、特開平4−370121号公報
や特開平5−132590号公報、特開平8−3253
88号公報に記載されている。
【0019】これら高分子材料を2種以上ブレンドして
用いることもできる。
【0020】前記高分子材料は複屈折性が反対の材料と
組み合わせて用いるのが好ましい。すなわち、ポリアリ
レートやポリカーボネートなどの、正の複屈折性を示す
高分子材料のばあい、ポリスチレンなどの負の複屈折性
を示す材料とブレンドして用いることにより、フィルム
化の際の張力などで高分子が配向しても複屈折性を示し
にくくなり、好ましい。
【0021】本発明の光学フィルムの製法にはとくに限
定はないが、低位相差のフィルムをえやすいという観点
から、溶剤キャスト法が好ましい。溶剤キャスト法は、
単に、低位相差のフィルムをえやすいというほかに、フ
ィルムの表面性が良好で厚さのばらつきが少なく、極め
て平坦な厚さのそろったフィルムをうることができる点
ですぐれている。このことは、LCD用基板として用い
たばあい、基板表面を平坦にすることができ、表示斑を
低減することができる。Ra(表面粗さ)で表わした表
面性は、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは
0.05μm以下である。また、厚さのばらつきは、フ
ィルム厚さにより変化するが、厚さに対して、ばらつき
の範囲は10%以下、好ましくは5%以下である。
【0022】溶剤キャスト法に用いることのできる溶剤
は、高分子材料の種類により、公知の溶剤から選択され
る。塩化メチレンやトリクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素系溶剤は、高分子材料を溶解しやすく、また、
沸点も低いため、好適な溶剤の1つである。また、ジメ
チルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどの、極性
の高い非ハロゲン系の溶剤も用いることができる。さら
に、トルエン、キシレンやアニソールなどの芳香族系
や、テトラヒドロフラン、ジオキサンやピランなどの環
状エーテル系の溶剤も使用可能である。
【0023】これら溶剤は2種以上を混合して用いるこ
ともできる。また、アルコールなどの非溶剤を混合し
て、溶剤の蒸発速度を制御することも、表面性のすぐれ
たフィルムをうるためには好ましい方法である。
【0024】表面の平坦性改善を目的として、特開平6
−279598号公報に示されるように、シロキサン系
などの公知のレベリング剤を用いることもできる。ま
た、有機リン系や有機ハロゲン系の熱安定剤を添加して
乾燥時のフィルムの劣化を防ぐことも可能である。さら
に、必要により、熱的、力学的特性を改善する目的で可
塑剤などの改質剤を添加してフィルム化することも可能
である。
【0025】前記可塑剤の具体例としては、フタル酸系
可塑剤(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、
フタル酸n−オクチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタ
ル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−ドデシル、フタル
酸ジイソトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタ
ル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ2エチルエキシル
など)、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤(アジピン酸
−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−デシル、ア
ジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘ
キシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチ
ルヘキシルなど)、リン酸エステル系可塑剤(リン酸ト
リブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸2
エチルヘキシル、リン酸トリクレジールなど)、エポキ
シ系可塑剤(エポキシ化大豆油、エポキシ化トール油な
ど)、脂肪酸−2−エチルヘキシル、脂肪酸エステル系
可塑剤(ステアリン酸ブチル、オレイン酸ブチルなど)
などがあげられる。また、高分子可塑剤も用いることが
でき、このばあいには可塑剤のフィルムからの好ましく
ないブリードを防ぐことができる。好ましい高分子可塑
剤としては、エステル基を含有する高分子可塑剤(アジ
ピン酸、セバシン酸、フタル酸など二塩基酸と1,2−
プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールな
どのグリコールとの重縮合物であるエステル系高分子可
塑剤)、エーテル基を含有する高分子可塑剤(ポリエチ
レングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジ安息香酸エステルなど)があげられる。
【0026】溶剤キャスト法に用いる溶液の濃度は、一
般的に、10〜40%(重量%、以下同様)である。溶
液の濃度が低すぎるばあい、揮発すべき溶剤量が多くな
るため効率的でない一方、溶液粘度が小さくなりすぎ、
均質なフィルムをえられないことがある。一方、溶液の
濃度が高すぎるばあいは、溶液粘度が高くなり、均質な
流延が行なわれにくくなるほか、溶液がゲル化しやすく
なり、フィルム中の異物の原因となることがあるため好
ましくない。溶液を流延する前に1〜10μm程度のフ
ィルターを通すことが、溶液中の異物やゲルをフィルム
に混入させないために好ましい。
【0027】溶剤キャスト法によって本発明の光学フィ
ルムを連続的にうるばあい、フィルム化の時点でフィル
ム搬送方向(MD方向)に張力がかかり、MD方向に分
子の配向が起こりやすい。このとき、ポリカーボネート
やポリアリレートなどのような正の複屈折性を示す材料
は、分子の配向方向に最大複屈折を示し、MD方向が光
軸となる。
【0028】光軸方向の屈折率をnx、光軸と直交する
方向の屈折率をny、フィルム厚さ方向の屈折率をnz
する。正面からの位相差を小さくするためには、複屈折
(nx−ny)を小さくする必要がある。従来から、ny
を大きくすることにより、すなわち、TD方向にも若干
の張力を発生させて分子配向を惹き起こすことにより、
低位相差フィルムをえている。ところが、nxおよびny
がともに大きくなると、R45/R0が大きくなり、正面
からの位相差は小さくできるものの、その視野角特性は
悪化し、斜めから見たばあいの位相差はかえって大きく
なる。したがって、TD方向に張力がほとんどかからな
いようにフィルムを乾燥させることにより、R45/R0
を小さく保つことができ、本発明の光学フィルムをうる
ことができる。
【0029】溶剤キャスト法においては、連続した支持
体上に高分子の溶液を流延し、そののち支持体より剥離
したうえで、溶剤乾燥工程に入る。このとき、支持体上
で乾燥を促進させすぎると、溶剤蒸発に伴う収縮が応力
として働く一方、フィルムは支持体に張り付き面内の収
縮が許容されないため面内に配向することとなる。この
ようなフィルムは、R45/R0が大きくなり、本発明の
光学フィルムとして適当でない。支持体より剥離すると
きの乾燥状態は、溶剤の残存量で表わすことができる。
好ましい残存溶剤量は、支持体種やフィルム材料により
最適量が異なるが、少なくとも5%以上、好ましくは1
0%以上、より好ましくは20%以上が、本発明の光学
フィルムをうるのに適している。40%を超す過大な残
存揮発量は、支持体からの剥離がしにくくなるほか、フ
ィルムの強度が不足し搬送により延伸を受けることがあ
るため、好ましくない。
【0030】溶剤乾燥工程では、一般には、フロート法
や、テンターあるいはロール搬送法が用いられる。フロ
ート法のばあい、フィルム自体が複雑な応力を受け、光
学的特性の不均一が生じやすい。また、テンター法のば
あい、フィルム両端を支えているピンあるいはクリップ
の距離により、溶剤乾燥に伴うフィルムの幅収縮と自重
を支えるためのテンションをバランスさせる必要があ
り、複雑な幅の拡縮を行なう必要がある。さらに、フィ
ルムを乾燥後に冷却する際、フィルムの熱収縮によるM
D方向のテンションも加わるため、光学特性の不均一化
を招きやすい。
【0031】一方、ロール搬送法のばあい、安定なフィ
ルム搬送のためのテンションは原則的にMD方向にかか
るため、応力の方向を一定にしやすい特徴を有し、えら
れたフィルムの光軸のばらつきを低く抑えることができ
る。したがって、本発明の光学フィルムを製造するに際
し、最も好ましい方法はロール搬送による乾燥法であ
る。しかし、過剰なテンションによる搬送や乾燥温度
は、フィルムの位相差をあげるため、好ましくない。搬
送に用いるロールとして、ロール軸とロール部が独立に
回転しうる構造を有するテンデンシーロールを用いるこ
とは、搬送テンションを低減するために有効な方法であ
る。フィルムの乾燥温度を低下させるため、すでに述べ
た可塑剤などの添加物を用いることもできる。
【0032】好適な乾燥温度・ロール間テンションは、
フィルムの材質・厚さ・幅・表面性などの諸条件によっ
て異なり、それぞれのばあいで最適な条件を見出すのが
好ましい。過剰なテンションを極力避ける必要があり、
MD方向に10kg/m以下のテンションで搬送するの
が好ましく、より好ましくは5kg/m以下、さらに好
ましくは3kg/m以下である。1kg/m以下のテン
ションではフィルムの走行が不安定となり好ましくな
い。
【0033】乾燥温度は、許容される溶剤の残存量にも
よるが、不要に高温で乾燥することは、位相差を大きく
するため、好ましくない。一般的には、乾燥後にえられ
るフィルムのTgより30℃以下で乾燥を行なうのが好
ましく、さらに好ましくは50℃以下である。とくに、
乾燥初期にはフィルム中に溶剤が残存しているため、見
かけのTgは材料本来のTgより大きく低下しており低
温で乾燥を進めるのが好ましく、溶剤の蒸発が進むにつ
れ乾燥温度を上昇させるのが好ましい。したがって、各
ゾーンごとに独立に温度調節機構をもった多室の乾燥炉
が本発明の光学フィルムを製造するのに適している。ま
た、フィルムを乾燥炉内へ導入するばあいや、炉から引
き出すばあい、フィルムに急激な温度変化を与えると、
フィルムの熱膨張や熱収縮によるTD方向の応力が発生
し、好ましくない分子の配向やフィルムの変形をきたす
ことがある。
【0034】許容される乾燥フィルム中の溶剤残存量
は、目的により変化するため、一概に特定することはで
きない。一般に、溶剤が残存することにより、耐熱寸法
安定性が影響を受ける。フィルムに残存する溶剤が高温
下で揮発し、フィルムの寸法収縮が起こる。必要とされ
る寸法安定性は、許容耐熱温度で概ね0.1%以下であ
り、このレベルを示すまで、残存溶剤量を低減させてお
くのが好ましい。一般的には残存溶剤量はフィルム乾燥
重量に対し0.5%以下、好ましくは0.3%以下、よ
り好ましくは0.1%以下である。また、ばあいによっ
ては、LCD加工時にフィルムが高温にさらされ残存溶
剤量が低減し、つぎの工程以降では耐熱寸法安定性が改
善され問題にならないばあいもある。
【0035】本発明の光学フィルムは、用途によって、
さらに表面加工が施される。光学フィルムの加工時に溶
剤を用いた表面コーティングなどの加工が行なわれるば
あいには、フィルムの少なくとも一方の表面に、耐溶剤
性を付与するコーティング処理を予め施すのが好まし
い。このような耐溶剤性を示す有機系コーティング層と
しては、メラミン樹脂系、アクリル樹脂系、ウレタン樹
脂系、アルキド樹脂系、含フッ素系樹脂系のコーティン
グ層などがあげられる。また、有機−シリコーン複合系
コーティング層も使用しうる。前記有機−シリコーン複
合系コーティング層としては、ポリエステルポリオール
やエーテル化メチロールメラミンにアルキルトリアルコ
キシシラン、テトラアルコキシシランの部分加水分解物
を配合したものがあげられる。また、アミノシランやエ
ポキシシランの部分加水分解物、シランカップリング剤
とアルキルトリアルコキシシラン・テトラアルコキシシ
ランの部分加水分解物、コロイダルシリカとアルキルト
リアルコキシシランの加水分解物などのシリコーン系材
料からのコーティング層も好適に用いることができる。
これら材料を本発明の光学フィルムの片面または両面に
コーティングしたのち、熱硬化により耐溶剤性皮膜を有
するフィルムをうることができる。このとき、低温硬化
型の触媒を同時に用いることは、光学フィルムの好まし
くない熱変性を抑制するために好ましい方法である。ま
た、多官能アクリレートなどのモノマーやオリゴマーに
光増感剤を添加し、紫外線や電子線によりえられる硬化
層も、コーティング層として好適に用いることができ
る。
【0036】また、酸化ケイ素やチッ化ケイ素などの金
属酸化物や金属チッ化物からなる無機系材料も、好適な
耐溶剤性コーティング層として用いることができる。こ
れらのセラミック層は、反応型無機コーティング剤を塗
布後硬化させることによりえられる。このような反応性
無機コーティング剤としてポリシラザン系無機重合体が
好ましい例である。該無機重合体は、特開平1−203
476号公報などに記載される方法でうることができ
る。また、特開平6−240208号公報、特開平6−
122852号公報などに記載されているように、該重
合体を部分的にアルコールなどの活性水素を有する化合
物で変性したポリシラザンも好適に利用可能である。表
面に形成した該無機系重合体層は、加熱硬化により、堅
固な耐溶剤性の無機薄膜を与える。すなわち、チッ素や
アルゴンなどの化学的に不活性な雰囲気下で加熱焼成す
ることにより、チッ化シリコン様の薄膜を与える。ま
た、酸素や水蒸気の存在下に焼成することにより酸化シ
リコン様の薄膜を与える。
【0037】前記フィルムの少なくとも一方の表面に耐
溶剤性のコーティング層を形成するばあいのコーティン
グ層の厚さにはとくに限定はなく、通常の厚さでよい。
【0038】前記耐溶剤性のコーティング層を形成する
ばあいには、フィルムの耐溶剤性が改善される。
【0039】本発明の光学フィルムをLCD用基板とし
て用いるばあい、ガスバリヤー層や透明電極層が形成さ
れうる。
【0040】前記ガスバリヤー層としては、各種ガスバ
リヤー層を用いることができる。ガスバリヤー層を形成
するまえに、フィルムとの密着性をあげるため、アンカ
ーコーティングを施すばあいもある。また、ガスバリヤ
ー層は、前記耐溶剤性コーティング層上に形成させても
よい。
【0041】有機材料系のガスバリヤー層としては、ポ
リビニルアルコール、ビニルアルコール−エチレン共重
合体などのビニルアルコール系重合体、ポリアクリロニ
トリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体
やアクリロニトリル−スチレン共重合体などのアクリロ
ニトリル系重合体、あるいはポリ塩化ビニリデンなどの
有機高分子材料からなる層を用いることができる。これ
らの材料は、本発明の光学フィルム上にグラビアコータ
ーやリバースコーターを用いて湿式コーティング法によ
りガスバリヤー層とすることができる。ポリビニルアル
コール系のバリヤー層を用いるばあい、吸湿により酸素
バリヤー特性が急激に低下しやすいため、別途、水蒸気
バリヤー層を形成させるのが好ましい。
【0042】また、無機系のガスバリヤー層としては、
二酸化ケイ素、二酸化ケイ素を主成分として含み、一酸
化ケイ素、酸化アルミニウムなどの金属酸化物の1種以
上を含む化合物、チッ化ケイ素、チッ化ケイ素を主成分
として含み、チッ化アルミニウムなどの金属チッ化物の
1種以上を含む化合物、二酸化ケイ素または前記二酸化
ケイ素を主成分として含む化合物とチッ化ケイ素または
前記チッ化ケイ素を主成分として含む化合物との混合物
を用いることができる。前記化合物の具体例としては、
たとえばSiOX、SiAlNなどがあげられる。前記
無機系バリヤー薄膜、すなわちケイ素酸化物もしくはケ
イ素酸化物を主体とした金属酸化物、および(または)
ケイ素チッ化もしくはケイ素チッ化物を主体とした金属
チッ化物のうちでもSiOx、とくにxの値が1.3〜
1.8、好ましくは1.5となるものが、酸素ガスおよ
び水蒸気バリヤー性の点から好ましい。これら無機系バ
リヤー層は、スパッタ法や電子ビーム蒸着法のような物
理的気相堆積法(PVD)のほか、化学的気相堆積法
(CVD)によって成膜することもできる。また、ポリ
シラザンなどの有機金属化合物層を本発明の光学フィル
ム上に形成させたのち熱分解することにより形成させる
こともできる。
【0043】これらバリヤー層は、単独層として用いて
もよく、また、複数層を併用してもよい。とくに、有機
系バリヤー層と無機系バリヤー層を併用したばあい、バ
リヤー層のクラックピンホールに対する有機系バリヤー
層のすぐれた耐性と、とくに水蒸気に対する無機バリヤ
ー層のすぐれた耐性が相乗効果をなすため、とくに好ま
しい組み合わせである。なかでも、ポリビニルアルコー
ル系のガスバリヤー層と、電子ビーム蒸着法により成膜
したシリカまたはアルミナのガスバリヤー層との組み合
わせが特性上最も好ましい。このとき、各層の密着性を
向上させる目的でそれぞれの層のあいだに、アンカーコ
ート層を設けることができる。アンカーコート層とし
て、ポリジメチルシロキサンなどのシロキサン系硬化物
や、ウレタン系・エポキシ系の硬化物層が好適に用いら
れる。これらの硬化物層を形成させる方法にはとくに限
定はなく、熱硬化法や紫外線硬化法・電子ビーム硬化法
を用いることができる。
【0044】有機バリヤー層上に密着性を改善するため
の硬化物層を形成させ、さらに無機系バリヤー層を形成
させることが、有機バリヤー層を外界から保護する点か
ら好ましい。硬化物層上に無機バリヤー層を形成させる
際、硬化物層から未硬化の低分子量物が揮発すると形成
される無機バリヤー層の膜質が悪影響を受け、所望の特
性がえられないばあいがある。そのため、硬化物層を形
成させる方法として、電子ビーム硬化法は、高温に加熱
することなく未硬化物を少なくすることができるという
特徴を有しており、好ましい硬化方法である。
【0045】前記フィルムの少なくとも一方の表面にガ
スバリヤー層を形成するばあいのガスバリヤー層の厚さ
にはとくに限定はなく、通常の厚さでよい。
【0046】さらに、前記ガスバリヤー層を形成するば
あいに形成されうるアンカーコート層の厚さにもとくに
限定はなく、通常の厚さでよい。
【0047】なお、前記アンカーコート層は、通常のア
ンカーコート層であればよい。
【0048】これらのバリヤー層を形成させることによ
り、フィルムの酸素ガスバリヤー性を1cc/m2/d
ay以下、水蒸気バリヤー性を1g/m2/day以下
に低減させることができる。
【0049】また、透明導電膜層としては、インジウム
酸化物を主体とする金属酸化物が好ましい。該層は、目
的により、本発明の光学フィルムに直接形成されること
もあれば、前記ガスバリヤー層や耐溶剤性コーティング
層上に形成されることもある。また、基材との密着性改
善のための中間層を設けその上に形成されることもあ
る。該透明導電膜層は、LCDの電極として用いるばあ
い、厚さ20〜400nm程度、さらには50〜200
nm程度、とくには80〜150nm、光線透過率80
%以上、好ましくは85%以上、シート抵抗100Ω/
□以下、好ましくは50Ω/□以下であるのが好まし
い。前記透明導電膜層の厚さが60〜150nm程度の
範囲内のばあいには、シート抵抗および光線透過率の双
方を目的の範囲にしやすい。また、前記透明導電膜層の
光線透過率が85%程度以上のばあいには、透明導電性
フィルムの透明性も良好にしうる。
【0050】前記インジウム酸化物を主体とする金属酸
化物とは、酸化インジウムまたはこれを主成分、具体的
には80%以上、さらには90〜95%含み、酸化ス
ズ、酸化カドミウムなどの他の金属酸化物の1種以上を
20%以下、さらには5〜10%含む金属酸化物であ
り、その化合物の具体例としては、たとえばITO、C
dIn24などがあげられる。前記インジウム酸化物を
主体とした金属酸化物のうちでもITO、とくに金属換
算でスズが10%以下、好ましくは5〜10%のもの
が、高い透明性を維持しつつシート抵抗をさげることが
できる点から好ましい。
【0051】前記透明導電膜層は、無機系ガスバリヤー
層と同じく、PVD法やCVD法のほか、有機金属の熱
分解法によっても形成させることができる。
【0052】また、前述のガスバリヤー層や透明導電膜
層に加えて、LCDのカラー化を目的として、色素など
を用いたカラーフィルター層を設けることもできる。
【0053】このようにしてえられる透明導電性フィル
ムを、たとえばLCD用の電極基板として用いることに
より、公知の方法にしたがってLCDを組み立てること
ができる。
【0054】また、本発明の光学フィルムは、光学等方
性フィルムを用いた、抵抗膜式ペン入力装置用のフィル
ムとしても好適に用いることができる。該装置は、偏光
板と液晶セルとのあいだに配置して用いられるが、従来
の光学等方性フィルムを用いると、表示装置の視野角特
性にわるい影響を与えるため、斜めから見た表示体のコ
ントラストが大きく低下する。本発明の光学フィルムを
用いることにより、表示特性の低下を防ぐことができ
る。
【0055】本用途においても、本発明の光学フィルム
はLCD用基板用と同様に透明導電膜層を表面に有す
る。ペン入力装置用基板フィルムは、LCD用と異なり
ガスバリヤー層は必要としないが、透明導電膜層のシー
ト抵抗値はLCD用のそれより大きく、200〜200
0Ω/□、より好ましくは、300〜1000Ω/□で
ある。対向する表面との接触による好ましくない光干渉
模様(ニュートンリング)を防止する目的で、透明導電
膜層を形成させる表面には、フィラーを含有するコーテ
ィング処理や磨耗処理により予め粗面化しておくことも
可能である。
【0056】光学フィルムの光線透過率を向上させるた
め、透明導電膜層での光反射を防止する目的で、透明導
電膜層の下に、屈折率の異なる層を多層設けて、反射率
を低減することもできる。酸化インジウムを主体とした
透明導電膜層の下層に、シリコン酸化物を主体とした低
屈折率の層を形成させ、さらに、その下層に、チタンや
ジルコニウムの酸化物を主体とした高屈折率層を設け
た、3層からなる多層構造は、好ましい組み合わせであ
る。
【0057】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0058】なお、実施例中の評価はつぎの方法により
行なった。
【0059】位相差:回転検光子法により、測定波長5
90nm、測定径35mmで測定。
【0060】光軸:位相差と同様にして、フィルム幅方
向へ5cmおきに測定。
【0061】ガラス転移温度:DSC法による。
【0062】ヘイズ:JIS K−7105に準拠した
積分球式ヘイズメーターを用いて測定。
【0063】酸素ガスバリヤー性:米国モダンコントロ
ール社製OX−TRAN100を用いて測定。
【0064】水蒸気バリヤー性:防湿包装材料の透湿度
試験方法(カップ法)JIS−Z−0208に準拠して
測定。
【0065】シート抵抗:四探針抵抗率測定法に準拠し
て測定。
【0066】光線透過率:空気を基準として波長550
nmでのフィルム基板を含めた透過率を測定。
【0067】実施例1〜2 ビスフェノールAとホスゲンからなるポリカーボネート
(帝人化成(株)製のパンライト C−1400(商品
名)、ガラス転移温度155℃)を、塩化メチレンに2
0%の濃度になるように溶解させて、フィルム製造用の
ドープとした。ガラス板上にPETフィルムを張り付
け、その上にワイヤーバーを用いてえられたドープを流
延し、室温で10分間放置後フィルムを剥がし、一方を
固定し、対抗する片に1kg/mの加重をかけてフィル
ムに張力を与えた状態で80℃で15分間乾燥させ、さ
らに、100℃で30分間乾燥を行ない、厚さ100μ
mのフィルムをえた。
【0068】えられたフィルムは、光線透過率90%、
ヘイズ0.2%であった。また、フィルム面に直交する
方向(正面)から測定した位相差(R0)は9nmであ
った。このフィルムの光軸は張力を加えた方向を向いて
おり、それと直交する方向へ傾けて位相差(R45)を測
定したところ、13nmであり、R45/R0は1.4で
あった。また、フィルム面内での光軸を張力に対して直
交する方向に5cmおきに測定したところ、該方向を基
準として、測定値は±7°以内であった。
【0069】結果を表1にまとめて示す。
【0070】実施例2 実施例1と同様にして、2kg/mの加重をかけてポリ
カーボネートフィルムをえ、特性を評価した。
【0071】結果を表1に示す。
【0072】比較例1 実施例1と同様にしてポリカーボネートのフィルムを製
造し、評価した。ただし、乾燥時にフィルムの四片を固
定して乾燥させた。
【0073】結果を表1に示す。
【0074】えられたフィルムを、2枚の偏光板をクロ
スニコルの状態に配置した中間に挟んで目視観察を行な
ったところ、正面から見たばあいには光は偏光板により
遮断されたが、斜めから見たばあい、光の透過が認めら
れた。このことは、LCD用基板として用いたばあい、
斜めから見たときに光の漏れが生じることを意味してお
り、表示特性の視野角依存性を悪化させることにつなが
る。
【0075】
【表1】
【0076】表1の結果から、比較例1のばあい、正面
から見た位相差は低くなっているものの、斜めから見た
ばあい20nmを超える位相差を有しており、大きなR
45/R0を示すことがわかる。すなわち、低いR0がえら
れているものの、R45が大きくなり視野角特性の悪化し
ていることがわかる。これは、四片固定により、意図的
に張力を加えていないにもかかわらず、溶剤蒸発による
寸法収縮で張力が発生するため面内に分子が配向し、面
内での屈折率が大きくなるものの、面内での配向がバラ
ンスしているためである。
【0077】実施例3 ポリアリレート(鐘淵化学工業(株)製のエルメックF
−1100、ガラス転移温度220℃)の塩化メチレン
溶液を、エンドレスベルト上に流延し、予備乾燥させた
のち支持体より剥離した。えられた1500mm幅のフ
ィルムを用い、テンデンシーロールを配置したロール搬
送式の乾燥機を用いてMD方向の張力を2.0kg/m
として、最高乾燥温度を160℃としてフィルムの乾燥
を行ない、えられたフィルムをTD方向1000mm幅
につき5cm間隔でサンプリングし、特性を評価した。
結果の最大値を表2に示す。
【0078】比較例2 実施例3でえられた予備乾燥させたフィルムを、クリッ
プ保持によるテンター搬送法を用い、拡縮バランスを取
りながら、残存溶剤の乾燥を行ない、えられたフィルム
の特性を評価した。結果を表2に示す。
【0079】TD方向とMD方向の張力をバランスさせ
ているため光軸は方向が不安定であり、TD方向を基準
として±40°のばらつきを示した。
【0080】実施例4 1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビス
フェノールAがモル比7/3であるポリカーボネート
(ガラス転移温度202℃、以下、PC−1という)を
塩化メチレンに溶解し、28%の溶液とした。この溶液
を用い実施例3と同様にして、ロール搬送式の乾燥機に
より、最大乾燥温度140℃、MD方向の張力を2.5
kg/mとして、厚さ75μmのフィルムをえ、えられ
たフィルムの特性を評価した。結果を表2に示す。
【0081】実施例5 PC−1を塩化メチレンに溶解し、28%の溶液とし
た。この溶液にポリエステル系高分子可塑剤(大日本イ
ンキ化学工業(株)製のW−1000)を固形分換算で
2%添加し、実施例3と同様にしてロール搬送式の乾燥
機により最大乾燥温度130℃、MD方向の張力を2.
5kg/mとして、厚さ75μmのフィルムをえ、えら
れたフィルムの特性を評価した。結果を表2に示す。
【0082】実施例6 ビスフェノールAとホスゲンからなるポリカーボネート
(帝人化成(株)製のパンライト C−1400(商品
名)、ガラス転移温度155℃)を、塩化メチレンに2
0%の濃度になるように溶解させて、フィルム製造用の
ドープとした。えられたドープを用い、実施例3と同様
に流延・予備乾燥させて、ロール搬送方式により、最大
乾燥温度を110℃、MD方向の張力を2.5kg/m
として、厚さ75μmのフィルムをえ、えられたフィル
ムの特性を評価した。結果を表2に示す。
【0083】実施例7 実施例3でえられたロールフィルムを用い、ポリシラザ
ンを主成分とする無機系重合体を20%含有するメチル
セルソルブ溶液をロールコーターを用い約1μm厚さに
塗布し、両表面にポリシラザン系の無機重合体薄膜を有
するフィルムをえた。そののち、空気中で185℃で4
0分間加熱することにより、SiOX様の薄膜を有する
耐溶剤性にすぐれたフィルムをえた。
【0084】えられたフィルムを、メチルエチルケトン
の溶液に浸漬して15分間保持したが、外観上の変化は
認められなかった。一方、耐溶剤コーティングを施して
いないフィルムは外観が変化していた。
【0085】実施例8 実施例3でえられたロールフィルムを用い、フィルム表
面にシリコーン系プライマー(東芝シリコーン(株)製
のPH94)を塗布し、さらに3官能性および4官能性
アルコキシシランを主成分とするイソプロパノール溶液
(トスガード510(東芝シリコーン(株)の登録商
標))を塗布した。溶媒が揮発したのち、120℃で1
時間加熱して硬化させて約2μmの耐溶剤層を形成し
た。
【0086】えられたフィルムの処理面にメチルエチル
ケトンを滴下して15分間保持したが、外観上の変化は
認められなかった。一方、処理をしていない面に滴下す
ると、メチルエチルケトンに接触した部分は変形した。
【0087】実施例9 実施例3でえられたロールフィルムを用い、200×6
60mmのターゲットを3台備えたマグネトロンスパッ
タ装置を用いて、始めにフィルムの片面にガスバリヤー
層を成膜し、さらに、フィルムの他方の面にガスバリヤ
ー膜層、透明導電膜層を順次形成した。バリヤー膜用タ
ーゲットとしてSiO2、透明導電膜用ターゲットとし
て酸化スズ比10%のITO、スパッタガスとしてバリ
ヤー薄膜はアルゴン流量100sccm、酸素1scc
mで総ガス圧2.0mTorr、ITOではアルゴン3
50sccm、酸素3.5sccm、総ガス圧5mTo
rr、パワー条件としてバリヤー薄膜はRF3kW
(2.27W/cm2)、ITOはDC5.0A250
V(0.96W/cm2)となるようにして成膜を行な
った。バリヤー薄膜は3分処理し、45nm、ITOは
3分処理し、100nmとなる透明導電フィルムをえ
た。
【0088】えられたフィルムは、シート抵抗50Ω/
□、光線透過率80%、酸素ガスバリヤー性0.5cc
/m2/day、水蒸気バリヤー性0.1g/m2/da
yである透明導電フィルムがえられた。
【0089】
【表2】
【0090】
【発明の効果】本発明によると、光線透過率が80%以
上、厚さが10〜1000μm、位相差(R0)が20
nm以下、フィルム平面内の光軸のばらつきが±30°
以内にあり、かつ、光軸に対して直交する方向へ45°
傾けて測定したときの位相差(R45)と位相差(R0
との比(R45/R0)が1〜3である光学フィルムをう
ることができ、液晶表示装置などの基板として使用した
ばあい、表示コントラストの視野角依存性を低減させる
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 1/10 G02F 1/1335 510 G02F 1/1335 510 G02B 1/10 Z

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光線透過率が80%以上、厚さが10〜
    1000μm、位相差(R0)が20nm以下、フィル
    ム平面内の光軸のばらつきが±30°以内にあり、か
    つ、光軸に対して直交する方向へ45°傾けて測定した
    ときの位相差(R45)と位相差(R0)との比(R45
    0)が1〜3であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 【請求項2】 フィルムが非晶性の樹脂からなり、ガラ
    ス転移温度が120℃以上である請求項1記載の光学フ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 フィルムが主鎖に芳香族基を有する樹脂
    からなる請求項1記載の光学フィルム。
  4. 【請求項4】 フィルムの少なくとも一方の表面に、耐
    溶剤性のコーティング層を有する請求項1記載の光学フ
    ィルム。
  5. 【請求項5】 フィルムの少なくとも一方の表面に、ガ
    スバリヤー層および(または)透明導電膜層を有する請
    求項1記載の光学フィルム。
  6. 【請求項6】 ガスバリヤー層が、有機系のガスバリヤ
    ー層と無機系のガスバリヤー層との複層からなる請求項
    5記載の光学フィルム。
  7. 【請求項7】 光線透過率が80%以上、厚さが10〜
    1000μm、位相差(R0)が20nm以下、フィル
    ム平面内の光軸のばらつきが±30°以内にあり、か
    つ、光軸に対して直交する方向へ45°傾けて測定した
    ときの位相差(R45)と位相差(R0)との比(R45
    0)が1〜3である光学フィルムを溶液流延法にて連
    続的に製造するにあたり、乾燥工程でのフィルムにかか
    るテンションを5kg/m以下に保つことを特徴とする
    光学フィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5または6記載
    の光学フィルムを基板として用いることを特徴とする液
    晶表示装置。
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