JPH10274825A - 長尺状写真フィルム用支持体 - Google Patents

長尺状写真フィルム用支持体

Info

Publication number
JPH10274825A
JPH10274825A JP9532797A JP9532797A JPH10274825A JP H10274825 A JPH10274825 A JP H10274825A JP 9532797 A JP9532797 A JP 9532797A JP 9532797 A JP9532797 A JP 9532797A JP H10274825 A JPH10274825 A JP H10274825A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
polyester
support
photographic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP9532797A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Takahito Miyoshi
孝仁 三好
Yukio Shirokura
幸夫 白倉
Takanori Sato
隆則 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP9532797A priority Critical patent/JPH10274825A/ja
Publication of JPH10274825A publication Critical patent/JPH10274825A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレン−2,6−ナフタレート単位とエチ
レンテレフタレート単位からなるポリエステルからなる
加熱により皺の発生のない長尺状写真フィルム用支持体
を提供する。 【解決手段】 70〜90モル%のエチレン−2,6−
ナフタレート単位および10〜30モル%のエチレンテ
レフタレート単位からなる繰り返し単位を有するポリエ
ステルからなり、且つ膜厚が110〜128μmの範囲
にある長尺状ポリエステルフィルムであって、更に18
0℃における幅方向及び長手方向の寸法変化が−0.6
〜0.6%の範囲にあり、そして120℃における幅方
向及び長手方向の寸法変化が、−0.5〜0.5%の範
囲にあることを特徴とする長尺状写真フィルム用支持
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般のカメラ用の
ハロゲン化銀写真フィルムとして広く使用されている1
35型またはブローニー型写真フィルム等の幅が35m
m以上の長尺状写真フィルムに好適に使用することがで
きる写真フィルム支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にハロゲン化銀写真感光材料(写真
フィルム)の代表的な例としては、X線撮影用フィル
ム、製版用フィルム及びカットフィルムの如くシート状
の形態のもの、そしてロール状の形態のものがある。ロ
ールフィルムの代表的なものとしては、35mm幅でパト
ローネ内に収められた、一般のカメラに装填して撮影に
用いられるカラーフィルム又は黒白ネガフィルムである
135型フィルム、さらに幅広タイプのブローニーフィ
ルム(例、120型、220型)を挙げることができ
る。135型あるいはブローニー型フィルムの支持体に
は、従来からセルローストリアセテート(TAC)フィ
ルムが用いられている。TACフィルムは、光学的に異
方性が無く透明度が高いこと、更には現像処理後のカー
ル解消性についても優れており、写真用支持体として良
好な性質を有している。
【0003】一方、カメラの小型化、あるいはパトロー
ネの小型化の要望に応えて、写真用支持体の薄膜化が検
討され、既に実用化されている。その際、上記TACの
利用も検討されたが、TACを薄膜化すると写真用支持
体に必要な強度を満足しないとの問題があった。このた
め、高い強度のあるポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)
等のポリエステルを用いて検討が進められた。従来シー
ト状フィルムに使用されているPETで薄膜フィルムを
作製した場合、得られるフィルムは巻きぐせによるカー
ルを起こし易いとの問題があったが、PENを用いると
このカールの発生がほとんどなく、写真用支持体として
優れた特性を示したことから、このPENを用いて薄膜
フィルムが実現された(EP0606070A1、特開
平7−72584号公報)。このPENフィルムは、新
しいカメラシステムであるアドバンスドフォトシステム
(APS)の支持体として使用されている。
【0004】一方、従来の135型あるいはブローニー
型フィルムの支持体としては、前記のTACフィルムが
使用されている。このTACフィルムは、セルロースト
リアセテートを塩化メチレン等の有機溶媒に溶解し、得
られた溶液を金属ベルト等の支持体に流延、乾燥するこ
とにより得られるため、作業環境を汚染し易いとの問題
がある。上記作業環境の問題を回避するため、前記ポリ
エチレン−2,6−ナフタレート(PEN)を用いて、
従来の135型あるいはブローニー型フィルムの支持体
を作製する方向での検討も行なわれた。しかしながら、
135型あるいはブローニー型フィルムの支持体は、従
来からこれらの写真フィルムに使用されるシステムとの
互換性を維持するため、比較的厚い(120μm前後)
膜厚にする必要があり、PENフィルムをこれらの支持
体として用いた場合、カメラへのフィルムの自動ローデ
ィングや自動巻き上げの際にトラブルが発生し易いとの
問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等はPENフ
ィルムを、135型あるいはブローニー型フィルム用の
支持体として使用できるようにするため、即ち膜厚が1
10〜128μmの範囲において上記問題が発生しない
ようなフィルム用支持体を得るため種々検討を行った。
その結果、ポリエステルを形成する二塩基酸成分とし
て、2,6−ナフタレンジカルボン酸と共にテレフタル
酸を用いることにより(共重合体)、あるいはこのよう
な組成を有するように二種以上のポリエステルを混合す
ることにより、写真フィルム用支持体として好適な物性
(例、コアセットカール値、ループスティフネス)が得
られ、135型あるいはブローニー型フィルム用の支持
体として使用できることが明らかとなった。本発明者等
は、このような写真フィルム用支持体について既に出願
している(特願平8−113256号、特願平8−18
0071号、特願平9−25921号)。
【0006】このような写真支持体は、通常、その上に
写真乳剤層の接着性を改善するために下塗層が設けられ
る。上記ポリエステルから得られるフィルムの上に、下
塗層形成用塗布液を塗布し、乾燥した場合、皺が発生し
易いことが、本発明者の検討により明らかとなった。特
に、この皺発生の問題は、下塗層形成用塗布液の溶媒が
水を主成分とする場合に、乾燥温度を高くする必要があ
るため発生し易い。
【0007】本発明の目的は、溶剤を使用することなく
製造することができる長尺状写真フィルム用支持体を提
供することにある。また本発明の目的は、エチレン−
2,6−ナフタレート単位とエチレンテレフタレート単
位からなるポリエステルからなる加熱により皺の発生の
ない長尺状写真フィルム用支持体を提供することにあ
る。さらに、本発明の目的は、巻癖カールが付きにく
く、取扱い性に優れ、かつ加熱により皺の発生のない長
尺状写真フィルム用支持体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記皺の発生の原因は、
本発明者の検討によれば下記のように考えられる。上記
の2,6−ナフタレンジカルボン酸と共にテレフタル酸
を用いて得られるポリエステル、即ち、PENとPET
の共重合体あるいは混合物を用いてフィルムを作製した
場合、硬さが緩和され写真用として適当なものとなる
が、PENのホモポリマーに比較した場合、2種のカル
ボン酸が使用されているため、ポリマー鎖が整列し難い
ことから結晶構造を形成し難いと考えられる。このよう
な結晶性の低いポリエステルフィルムは、加熱された場
合、部分的に融解し易い部分を有することから、フィル
ム上に下塗層形成用塗布液を塗布し、乾燥した際にも、
その乾燥時の加熱により部分的な融解を起こして、皺が
発生すると推測される。本発明者の検討によれば、この
ようなポリエステルフィルムは、高温時の寸法変化が大
きく、この寸法変化が乾燥時に皺が発生し易さの尺度と
なることが判明した。本発明者は更に検討を重ね、フィ
ルム延伸後の熱固定、熱緩和を充分に行なうことによ
り、本発明の高温時の寸法変化の極めて小さいフィルム
が得られることが明らかとなった。
【0009】本発明は、70〜90モル%のエチレン−
2,6−ナフタレート単位および10〜30モル%のエ
チレンテレフタレート単位からなる繰り返し単位を有す
るポリエステルからなり、且つ膜厚が110〜128μ
mの範囲にある長尺状ポリエステルフィルムであって、
更に180℃における幅方向及び長手方向の寸法変化が
−0.6〜0.6%の範囲にあり、そして120℃にお
ける幅方向及び長手方向の寸法変化が、−0.5〜0.
5%の範囲にあることを特徴とする長尺状写真フィルム
用支持体にある。
【0010】本発明の支持体は、135型写真フィルム
及びブローニー型写真フィルムなどの幅が35mm以上
の長尺状写真フィルムの支持体として特に好適に使用す
ることができるものである。上記135型写真フィルム
は、JIS K 7519−1982の「135型フィルム
・パトローネ」に規定されたフィルムである。135型
(ライカ)写真フィルムは、上記規定された寸法を有す
ると共に、上記規定されたパトローネに充填等が容易に
行なうことができ、かつ前述したように135型写真フ
ィルム用に設計されたカメラでトラブルなく使用するこ
とができ、更に撮影したフィルムの現像、定着等の処理
操作においても支障のないことが要求される。また、上
記ブローニー型写真フィルムは、例えば、JIS K
7512−1994「120型及び220型フィルム」に規
定されたフィルムである。ブローニー型写真フィルム
は、120型(61.5×806mm、裏紙付)、22
0型(61.5×1651mm、遮光用リーダー紙及び
トレーラー紙付きの細軸に巻いたタイプ)が主であり、
他に、620型、828型、616型、116型が知ら
れている。ブローニー型写真フィルムも135型写真フ
ィルムと同様、ブローニー型写真フィルム用に設計され
たカメラでトラブルなく使用することができ、更に撮影
したフィルムの現像、定着等の処理操作においても支障
のないことが要求される。
【0011】本発明の長尺状写真フィルム用支持体の好
ましい態様は下記の通りである。 1)ポリエステルフィルムが、示差走査熱量計により測
定される吸熱ピークとして、200〜300℃の温度範
囲内に主ピーク(通常融点と呼ばれる)と主ピークより
ピークの小さい副ピークとからなる二個の吸熱ピークを
有し、かつ該副ピークが主ピークの温度より5〜20℃
低い温度範囲内にある。 2)ポリエステルフィルムが、エチレン−2,6−ナフ
タレート単位およびエチレンテレフタレート単位からな
る共重合体である。 3)ポリエステルフィルムが、ポリエチレン−2,6−
ナフタレートおよびポリエチレンテレフタレートからな
る混合物である。 4)ポリエステルフィルムのループスティフネスが、2
2〜55g(好ましくは30〜50g)の範囲にある。 5)ポリエステルフィルムのコアセットカール値が70
-1以下(好ましくは5〜70m-1)である。 6)ポリエステルフィルムのヤング率が、400〜60
0kg/mm2 の範囲にある。 7)ポリエステルフィルムが、二軸延伸フィルムであ
る。る。 8)ポリエステルフィルムの示差走査熱量計から得られ
るガラス転移温度が103〜110℃の範囲にある。 9)ポリエステルフィルムのヘイズが2%以下である。 10)ポリエステルフィルムが、さらに平均粒子径が
0.1〜1μmの範囲にある不活性微粒子を300pp
m以下の量で含む。 11)上記10)の不活性微粒子の粒子径分布が0.0
1〜5μmの範囲にある。 12)上記10)の不活性微粒子が、1μm以上の粒子
の面積基準分率の割合が20%以下である。 13)上記10)の不活性微粒子が破砕型シリカであ
る。 14)ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の写真支持体用フィルム
は、70〜90モル%のエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位および10〜30モル%のエチレンテレフタレー
ト単位からなる繰り返し単位を有するポリエステル、す
なわち主繰り返し単位をエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位とするポリエステルからなり、高温下で極めて低
い寸法変化(率)しか示さないか、寸法変化を示さない
ものである。このようなフィルムは、上記ポリエステル
を後述するように充分に熱固定、熱緩和処理を施してフ
ィルム化することにより得ることができる。上記ポリエ
ステルフィルムは、これらの単位を含む共重合体、それ
ぞれの単位を含む単独重合体の混合物、さらにはこれら
の重合体の混合物から得られるフィルムのいずれでも良
い。
【0013】本発明のポリエステルフィルムの作製に使
用することができるポリエステルとしては、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート/テレフタレート(エチレン
−2,6−ナフタレート単位とエチレンテレフタレート
単位を有する共重合体)、PEN及びPETを挙げるこ
とができる。例えば、PENは、ナフタレン−2,6−
ジカルボン酸またはその誘導体(無水物、低級アルキル
エステル等のエステル形成可能な誘導体)およびエチレ
ングリコールまたはその誘導体(アルキレンオキサイド
等のエステル形成可能な誘導体)、更に所望により他の
二価のアルコールとを触媒の存在下で適当な反応条件の
下に反応(重合)させることによって合成される。ま
た、PETは、例えば、テレフタル酸又はその誘導体、
およびエチレングリコールまたはその誘導体(アルキレ
ンオキサイド等のエステル形成可能な誘導体)、更に所
望により他の二価のアルコールとを触媒の存在下で適当
な反応条件の下に反応(重合)させることによって合成
される。また、上記共重合体は、例えば、ナフタレン−
2,6−ジカルボン酸またはその誘導体(無水物、低級
アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)、テ
レフタル酸又はその誘導体、およびエチレングリコール
またはその誘導体(アルキレンオキサイド等のエステル
形成可能な誘導体)、更に所望により他の二価のアルコ
ールとを触媒の存在下で適当な反応条件の下に反応(重
合)させることによって合成される。また、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレートの重合完結前に、テレフタル
酸またはその誘導体を添加し、共重合としたものでもよ
い。
【0014】上記以外の二塩基酸で、本発明で使用する
ことができるベンゼンジカルボン酸またはその誘導体と
しては、イソフタル酸、フタル酸、およびナトリウムイ
ソフタル酸スルホネート(ナトリウムスルホイソフタル
酸)及びこれらの低級アルキルエステル(無水物、低級
アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を挙
げることができる。また、上記ベンゼンジカルボン酸以
外の他のジカルボン酸又はその誘導体として、2,7−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジ
カルボン酸などの芳香族ジカルボン酸及びその低級アル
キルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエス
テル形成可能な誘導体);シクロプロパンジカルボン
酸、シクロブタンジカルボン酸及びヘキサヒドロテレフ
タル酸などの脂環式ジカルボン酸及びその誘導体(無水
物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導
体);及びアジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライ
ン酸、セバシン酸及びダイマー酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸及びその誘導体(無水物、低級アルキルエステルな
どのエステル形成可能な誘導体)を挙げることができ
る。これらの二塩基酸は、全二塩基酸の10モル%以下
の量で使用することができる。
【0015】本発明で使用することができるエチレング
リコール以外の他の二価のアルコールとしては、プロピ
レングリコール、トリメチレングリコール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、テトラメチレン
グリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチル
グリコール、p−キシレングリコール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノ
ールAのエチレンオキサイド付加体、p,p’−ジヒド
ロキシフェニルスルフォン、1,4−ビス(β−ヒドロ
キシエトキシフェニル)プロパン、ポリアルキレン
(例、エチレン、プロピレン)グリコール、及びp−フ
ェニレンビス(ジメチロールシクロヘキサン)などを挙
げることができる。これらは二価のアルコールの10モ
ル%以下の量で使用しても良い。
【0016】上記ポリエステルは、例えば安息香酸、ベ
ンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシ
ポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によっ
て末端の水酸基および/またはカルボキシル基を封鎖し
たものであってもよく、あるいは、例えば極く少量のグ
リセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能
エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られ
る範囲内で変性されたものでもよい。
【0017】ポリエステルを製造する際、エステル交換
反応、エステル化反応、重縮合にはそれぞれ公知の触媒
を使用することができる。更に公知の熱安定剤、酸化防
止剤、帯電防止剤、滑材、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、
顔料、染料、遮光剤、フィラー類等を添加しても良い。
エステル交換反応の触媒としては、酢酸マンガン、酢酸
コバルト、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸カ
ドミウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酸化マグネシウム及び酸
化鉛等が一般に使用される。これらは単独で使用しても
混合して使用しても良い。エステル化反応は特に触媒を
添加しなくても進行するが、上記の触媒を用いることに
より効率よく反応を進めることができる。また、重縮反
応触媒には、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三
弗化アンチモン、硫化アンチモン、アンチモントリブチ
レート、アンチモンエチレングリコラート、アンチモン
酸カリウム、酢酸アンチモン、三塩化アンチモン、二酸
化ゲルマニウム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、
酢酸亜鉛、酢酸鉛、安息香酸アルカリ金属塩、チタンア
ルコキシド(例、チタンブトキサイド)、及びチタン酸
のアルカリ金属塩等が一般に使用される。これらは単独
で使用しても混合して使用しても良い。
【0018】熱安定剤として、燐酸、亜燐酸もしくはこ
れらのエステル化合物を添加しても良い。例えば、燐酸
トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニル、亜燐
酸トリフェニル、亜燐酸トリメチル、亜燐酸トリエチ
ル、亜燐酸トリフェニル及び燐酸または亜燐酸のモノあ
るいはジエステル等を挙げることができる。また、酸化
防止剤として、公知のヒンダードフェノール類を添加し
ても良い。例えば、イルガノックス1010、同スミラ
イザーBHT、同スミライザーGA−80等の商品名で
市販されているものを使用することができる。また、こ
れらの一次酸化防止剤に二次酸化防止剤を組み合わせる
ことも可能である。二次酸化防止剤としては、例えばス
ミライザーTPL−R、同スミライザーTPM、同スミ
ライザーTP−D等の商品名で市販されているものを使
用することができる。
【0019】上記ポリエステルは、例えば、2,6−ナ
フタレンジカルボン酸や2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル等のジカルボン酸又はその誘導体とエチレン
グリコール等の二価アルコールをエステル交換反応ある
いはエステル化反応(エステル反応槽)させることによ
りオリゴマーを得、次いで真空下で重縮合反応(重縮合
反応槽)を行って合成することができる。即ち、エステ
ル交換反応は、多塩基酸と多価アルコールを、1〜2kg
/cm2の加圧下あるいは大気圧下で、180〜280℃
(好ましくは230〜270℃)で0.5〜8時間(好
ましくは2〜4時間)反応させ、アルコールの留出を終
了させることにより行なう。エステル化反応は、同様に
水の流出を終了させることにより行なう。次いで、槽内
の圧力を50〜1mmHgの真空にすると共に、240〜2
90℃に昇温し、必要により1mmHg以下の高真空にし
て、合計1〜3時間加熱してポリエステルを得る。
【0020】本発明のポリエステルフィルムは、表面の
滑り性付与剤として、平均粒子径0.1〜1.0μmの
不活性微粒子を300ppm以下(好ましくは50〜3
00ppm)の量で含むことが好ましい。不活性微粒子
としては、タルク、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸カ
ルシウムなどのポリエステルに不溶な無機化合物や、架
橋されたアクリル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の架橋
高分子などの有機化合物を挙げることができる。これら
の中でシリカが好ましく、特に破砕型シリカが好まし
い。不活性微粒子の粒子径分布は、0.01〜5μmの
範囲が好ましく、特に0.01〜3μmの範囲が好まし
い。平均粒子径が5μmを超える粗大粒子は、フィルム
表面の平滑性を低下させたり、またフィルム形成時にボ
イドを発生させてヘイズを高くする傾向にある。また、
0.01μm未満の粒子では滑り性向上の効果がほとん
どない。さらに不活性微粒子(好ましくは破砕型シリカ
粒子)の1.0μmを超える粒子の面積基準分率が全粒
子の20%以下であることが好ましい。上記面積基準分
率が全粒子の20%以下であるとは、面積基準で表わし
た累積分布曲線で1μm篩以上の粒子が20%以下であ
ることを意味する。平均粒子径が1μm以上の粒子は、
ボイドを発生し易いため、上記のように1μm以上の粒
子の面積基準分率が全粒子の20%以下である不活性微
粒子粒子を使用することが好ましい。また破砕型シリカ
粒子の細孔容積は、0.1mL/g以下であることが好
ましく、特に0.01〜0.05mL/gの範囲にある
ことが好ましい。その比表面積は、10〜30m2 /g
の範囲にあることが好ましい。
【0021】本発明では、ポリエステルフィルム中に、
ポリエステル重合工程で、金属化合物とリン化合物とを
反応させ、リン酸金属塩として析出させた粒子(いわゆ
る内部粒子)を含んでいても良い。
【0022】本発明のポリエステルフィルムは、前記の
ように幅が35mm以上の長尺状写真フィルム用支持体
用として好適な物性を有するものである。このフィルム
は、70〜90モル%のエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位および10〜30モル%のエチレンテレフタレー
ト単位からなる繰り返し単位を有するポリエステルを後
述する最適の延伸条件、熱処理条件(通常、ヘイズが高
くならない範囲で充分に熱固定、熱緩和処理を行なう)
にて、膜厚が110〜128μmの範囲になるように成
膜処理することにより作製される。本発明のポリエステ
ルフィルムは、下記の高温下での低い寸法変化を示す。
即ち、幅方向及び長手方向の180℃での寸法変化が−
0.6〜0.6%の範囲にあり、かつ幅方向及び長手方
向の120℃での寸法変化が−0.5〜0.5%の範囲
にある。このように180℃及び120℃の高温におけ
る寸法変化が極めて小さいため、乳剤層の接着性を向上
させるために形成される下塗層の、その形成時の乾燥の
ための長時間の加熱により、フィルム表面に皺が発生す
ることはほとんどない。特に下塗層形成用塗布液の主な
溶媒として水を用いた場合、乾燥温度を高くする必要が
あることから、本発明の支持体の使用が好適である。な
お、上記寸法変化は、通常の熱収縮率を測定する方法に
準じて測定することができる。
【0023】又、本発明のポリエステルフィルムは、2
%以下(好ましくは1%以下)のヘイズを示すことが好
ましい。これにより、写真フィルムの支持体として要求
されるフィルムの透明性を得ることができる。即ち、寸
法変化を小さくするために、熱処理(加熱時間、温度)
を過剰に行なった場合、ヘイズが上昇する。したがっ
て、本発明ではこの点も考慮してフィルムを製造する必
要がある。
【0024】更に、本発明のポリエステルフィルムは、
示差走査熱量計により測定される吸熱ピークとして、2
00〜300℃の温度範囲内に主ピーク(通常融点と呼
ばれる)と主ピークよりピークの小さい副ピークとから
なる二個の吸熱ピークを有し、かつその副ピークが、主
ピークの温度より5〜20℃低い温度範囲内にあること
が好ましい。副ピークは、ピークの肩である場合もあ
る。2,6−ナフタレンジカルボン酸と共にテレフタル
酸を用いて得られるポリエステル、即ち、PENとPE
Tの共重合体あるいは混合物を用いてフィルムを作製し
た場合、硬さが緩和され写真用として適当なものとなる
が、PENのホモポリマーに比較した場合、2種のカル
ボン酸が使用されているため、ポリマー鎖が整列し難い
ことから結晶構造を形成し難い。このような結晶性の低
いポリエステルフィルムは、加熱された場合、部分的に
融解し易いため、フィルム上に下塗層形成用塗布液を塗
布し、乾燥した際、その乾燥時の加熱により皺が発生す
ると考えられる。熱固定、熱緩和処理が充分に行なえる
ように、ポリマー組成に応じた熱固定温度及び所要時
間、熱緩和温度及び所要時間、そして熱緩和率を適切に
設定することにより、フィルムを形成した場合、多くは
融点直前に現れる小さい吸熱ピーク(副ピーク)あるい
は吸熱ピークの肩を融点より5〜20℃低い温度範囲に
持つようになる。即ち、この吸熱ピークがこの温度範囲
より低い場合は、上記下塗層の加熱温度でポリマーの一
部が融解してフィルムの寸法変化が生じ、皺を発生させ
る一因となると推測される。
【0025】本発明のポリエステルフィルムは、更に下
記の物性を有することが好ましい。 22〜55gの範囲のループスティフネス ポリエチレン−2,6−ナフタレート(PEN)は、巻
き癖が付きにくく低いコアセットカール値を示すが、幅
が35mm以上の長尺状写真フィルム用支持体に好適な
110〜128μmの膜厚にするとフィルムの剛性(ス
ティフネス)が大きい(即ちループスティフネスが大き
い)。このため、このようなフィルムを支持体として用
いた写真フィルムをカメラに装填した場合、カメラへの
フィルムの自動ローディングや自動巻き上げの際にトラ
ブルが発生することが多い。さらにはそのフィルムの高
い剛性のため、例えば現像時の現像ムラ、あるいは現像
後写真印画紙に画像を形成させる焼き付け工程等で、ス
リ傷の発生、搬送時のジャミング等の問題が発生する場
合もある。ループスティフネスは、ポリエステルの構成
単位の影響が大きいが、本発明の特定の構成で、最適な
フィルム形成条件にでフィルムを作成することにより、
適当な範囲の値を有するようにできる。ループスティフ
ネスは30〜50gの範囲が好ましい。
【0026】70m-1以下のコアセットカール値 コアセットカール値は、巻き癖の付き易さの程度を示す
ものである。コアセットカール値は、一般にエチレン−
2,6−ナフタレート単位の多いポリエステルが低い値
となり良好であるが、これに反してループスティフネス
が高くなり上記カメラへのフィルムの自動ローディング
や自動巻き上げの際の問題が解決できない。と同様、
ポリエステルの組成と形成条件により決定される。また
コアセットカール値は、ANSIカール値で5〜70m
-1の範囲にあることが好ましい。 400〜600kg/mm2 の縦方向及び横方向のヤ
ング率 ヤング率が600kg/mm2 を超えた場合、フィルム
が強靭過ぎて、カメラ内でジャミングが発生する。 100℃以上の(示差走査熱量計から得られる)のガ
ラス転移温度 写真フィルムは、真夏の自動車内等に放置されることが
あり、耐熱性も要求される。上記のTgを有すること
が、少なくとも必要である。ガラス転移温度は103〜
110℃の範囲にあることが好ましい。
【0027】本発明のポリエステルフィルムは、前記特
定の組成を有するポリエステル共重合体または混合物を
用いて作製される。本発明のポリエステルフィルムは、
二軸方向に配向されたポリエステルフィルム(二軸延伸
ポリエステルフィルム)であることが好ましい。二軸延
伸は一般にテンター式延伸機で行われる。70〜90モ
ル%のエチレン−2,6−ナフタレート単位および10
〜30モル%のエチレンテレフタレート単位からなる繰
り返し単位を有するポリエステル、例えば、前記微粒子
を含む上記組成のポリエステル共重合体あるいは上記組
成となるように混合されたポリエステル混合物を、あら
かじめ乾燥させ、280℃〜330℃でシート状に溶融
押し出した後、30〜110℃で冷却固化して無定型シ
ートを作製する。次いで、100℃〜160℃(110
℃〜150℃が好ましく、特に120℃〜135℃が好
ましい)の温度にて縦方向(長尺方向)に一般に2〜5
倍(好ましくは2.5〜4倍)に延伸され、次いで11
0〜160℃(110℃〜150℃が好ましく、特に1
30℃〜150℃が好ましい)の温度にて横方向(幅方
向)に2〜5倍(好ましくは2.8〜4.5倍)に延伸
した後、下記のように熱固定、熱緩和を行うことにより
二軸延伸ポリエステルを得ることができる。
【0028】即ち、熱固定は、ポリエステルの融点(上
記吸熱ピークの主ピークに相当;PEN/PET=8/
2(モル比)で250℃付近)より2〜15℃低い温度
で、フィルムがその温度に達した後、3〜20秒保持す
ることが好ましく、特に、4〜15秒保持することが好
ましい。熱固定後の熱緩和は、ポリエステルの融点より
5〜20℃低い温度で、フィルムがその温度に達した
後、3〜20秒保持することが好ましく、特に、4〜1
5秒保持することが好ましい。熱緩和時(熱固定時でも
良い)の緩和率は、2〜8%の範囲が好ましく、特に3
〜7%の範囲が好ましい。熱緩和率は、熱緩和の際両側
のテンター幅を狭めることにより収縮を緩和することに
より得られる。さらに、得られたフィルムに、上記ポリ
エステルのガラス転移温度以下の温度で後述するアニー
ル処理を施すことが好ましい。
【0029】本発明の特定の物性を有するポリエステル
フィルムは、前記特定の組成を有するポリエステル共重
合体または混合物を用いて上記のように二軸延伸するこ
とにより得られるが、本発明では、特定の物性を有する
ように、フィルムの作製は、一般にポリエステルの組成
により上記延伸条件を変更して行われる。例えば、ポリ
エステルが80モル%のエチレン−2,6−ナフタレー
ト単位および20モル%のエチレンベンゼンジカルボキ
シレート単位からなる共重合体(あるいは混合物;融点
は250℃程度)の場合、縦延伸は120℃前後の温
度、3.5倍程度の延伸倍率で行ない、横延伸は135
℃前後の温度、4.0倍程度の延伸倍率で行ない、熱固
定は235〜245℃位で、5〜8秒程度(フイルムが
熱固定温度に達してからの秒数)で行ない、熱固定に続
く熱緩和は235〜242℃位(通常熱固定温度より5
℃程度低い温度)で、4〜6秒程度で行ない、その際の
熱緩和率を3〜7%程度で行なうことが特に好ましい。
このようにして得られるポリエステルフィルムは、上記
特定の低い熱収縮率及び低いヘイズを示すことができ
る。熱固定、熱緩和が短か過ぎると、上記低い熱収縮率
が得られず、一方長過ぎる場合はヘイズが高くなる。
【0030】上記ポリエステルフィルムは、カール特性
(巻いた状態で放置後のカールの程度)が大幅に改善さ
れており、巻癖カールが付きにい。従って現像処理時の
フィルムが折れるようなことも、カメラ内に装填後フィ
ルム巻取時等にフィルムの穿孔部分から引き裂かられる
ようなこともない。
【0031】本発明では、上記二軸延伸フィルムは、二
軸延伸後、乳剤塗布前までに50℃以上ガラス転移温度
以下の範囲の温度でアニール処理(熱処理)を行なって
も良い。アニール処理を行なうのに要する時間は、0.
1〜1500時間が一般的である。この効果は熱処理温
度が高いほど早く進む。しかし熱処理温度がガラス転移
温度を超えるとフィルム内の分子がむしろ乱雑に動き逆
に自由体積が増大し、分子が流動し易い、即ち巻きぐせ
の付き易いフィルムとなる。従ってこのアニール処理は
ガラス転移温度以下で行うことが必要である。
【0032】上記ポリエステルフィルムを用いて長尺状
写真フィルム(一般に、135型またはブローニ型写真
フィルム等の幅が35mm以上の長尺状写真フィルム)
を作成する場合、ポリエステルフィルムが疎水性の表面
を有するため、支持体上にゼラチンを主とした保護コロ
イドからなる写真層(例えば感光性ハロゲン化銀乳剤
層、中間層、フィルター層等)を強固に接着させる事は
非常に困難である。この様な難点を克服するために試み
られた従来技術としては、(1)薬品処理、機械的処
理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処
理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処
理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理
をしたのち、直接写真乳剤を塗布する方法、あるいは接
着力を得たのち下塗層を設け、この上に写真乳剤層を塗
布する方法を設ける方法と、(2)これらの表面処理な
しで、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を塗布する方法
との二法がある。
【0033】これらの表面処理は、いずれも、本来は疎
水性であった支持体表面に多少共、極性基を形成させる
事、表面の架橋密度を増加させることなどによるものと
思われ、その結果として下塗液中に含有される成分の極
性基との親和力が増加すること、ないし接着表面の堅牢
度が増加すること等が考えられる。また、下塗層の構成
としても種々の工夫が行なわれており、第1層として支
持体によく接着する層(以下、下塗第1層と略す)を設
け、その上に第2層として写真層とよく接着する親水性
の樹脂層(以下、下塗第2層と略す)を塗布する所謂重
層法と、疎水性基と親水性基との両方を含有する樹脂層
を一層のみ塗布する単層法とがある。
【0034】下塗層の構成としても種々の工夫が行なわ
れており、第1層として支持体によく接着する層(以
下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第2層として
写真層とよく接着する親水性の樹脂層(以下、下塗第2
層と略す)を塗布する所謂重層法と、疎水性基と親水性
基との両方を含有する樹脂層を一層のみ塗布する単層法
とがある。(2)の下塗法は、重層法における下塗第1
層で、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエ
ン、スチレン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン
酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発
原料とする共重合体を始めとして、種々のポリマーを使
用することができる。例えば、スチレン/ブタジエン共
重合体、塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有
共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニ
ル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体などのラテッ
クスポリマーを挙げることができ、スチレン/ブタジエ
ン共重合体が好ましい。このようなポリマーと共に、
2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン等
のトリアジン系の架橋剤を使用することが好ましい。下
塗第2層には主としてゼラチンが使用される。
【0035】単層法においては、多くの支持体を膨潤さ
せ、親水性下塗ポリマーと界面混合させることによって
良好な接着性を達成している場合が多い。本発明に使用
する親水性下塗ポリマーとしては、水溶性ポリマー、セ
ルロースエステル、ラテックスポリマー、水溶性ポリエ
ステルなどが例示される。水溶性ポリマーとしては、ゼ
ラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸
ソーダ、でんぷん、ポリビニールアルコール、ポリアク
リル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体などであり、
セルロースエステルとしてはカルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースなどである。ラテック
スポリマーとしては塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニ
リデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合
体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体
などである。本発明のポリエステルフィルム(支持体)
は、上記下塗層形成用塗布液を塗布、乾燥した際に、乾
燥時の加熱によりしわの発生がほとんどないものであ
る。特に、溶媒(あるいは分散媒)として水を多く使用
した下塗層形成用塗布液を支持体上に塗布、乾燥した
際、さらにはこのような下塗層を2層形成した場合に
は、乾燥温度が高く(また長時間と)なるため皺が発生
し易くなるが、本発明のポリエステルフィルムを使用す
ることにより、皺を発生させることなく下塗層を形成す
ることができる。従って、ゼラチンなどの水溶性樹脂、
ラテックスを、下塗層形成用塗布液に用いた場合に、一
般主成分となるので本発明は有効といえる。
【0036】バック層のバインダーとしては、疎水性ポ
リマーでもよく、下塗層に用いる如き親水性ポリマーで
あってもよい。バック層には、帯電防止剤、易滑剤、マ
ット剤、界面活性剤、染料等を含有することができる。
帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO
2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、SiO2 、M
gO、BaO、MoO3 2 5 の中から選ばれた少く
とも1種の結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸
化物の微粒子である。
【0037】次に長尺状写真フィルムの写真層(ハロゲ
ン化銀乳剤層)について記載する。ハロゲン化銀乳剤層
としては黒白用カラー用何れでもよい。ここではカラー
ハロゲン化銀写真感光材料について説明する。本発明の
感光材料は、支持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感
色性層のハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けら
れていればよく、ハロゲン化銀乳剤層および非感光性層
の層数および層順に特に制限はない。典型的な例として
は、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度
の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を
少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料であ
り、該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れ
かに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン
化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性
層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性
層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて
上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異な
る感光性層が挟まれたような設置順をも取り得る。上
記、ハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層に
は各層の中間層等の非感光性層を設けてもよい。該中間
層には、カプラー、DIR化合物等が含まれていてもよ
く、通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよ
い。
【0038】ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十
四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状
のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結
晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよ
い。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2ミクロン以下の微
粒子でも投影面積直径が約10ミクロンに至るまでの大
サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよ
い。また、アスペクト比が約5以上であるような平板状
粒子も、本発明に使用できる。結晶構造は一様なもので
も、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるもので
もよく、層状構造をなしていてもよい。また、エピタキ
シャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合さ
れていてもよく、また例えばロダン銀、酸化鉛などのハ
ロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また
種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。ハロゲン
化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感
を行ったものを使用する。本発明の効率は、金化合物と
含イオウ化合物で増感した乳剤を使用したときに特に顕
著に認められる。このような工程で使用される添加剤は
リサーチ・ディスクロージャーNo. 17643および
同No. 18716に記載されている。
【0039】写真層には、種々のカラーカプラーを使用
することができ、その具体例は前出のリサーチ・ディス
クロージャー(RD)No. 17643、VII −C〜G
に記載された特許に記載されている。
【0040】感光材料は乳剤層を有する側の全親水性コ
ロイド層の膜厚の総和が28μm以下であり、かつ、膜
膨潤速度T1/2 が30秒以下が好ましい。膜厚は、25
℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味
し、膜膨潤速度T1/2 は、当該技術分野において公知の
手法に従って測定することができる。例えばエー・グリ
ーン(A.Green)らによりフォトグラフィック・
サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photog
r.Sci.Eng.)、19巻、2号、124〜12
9頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用する
ことにより測定でき、T1/2 は発色現像液で30℃、3
分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を
飽和膜厚とし、このT1/2 の膜厚に到達するまでの時間
と定義する。
【0041】135型フィルムを装填するためのパトロ
ーネのスプールの直径は、通常10〜14mmで、特に
11〜13mmある。また、ブローニー型フィルムの場
合、120型及び220型で11〜13mmが一般的で
ある。
【0042】
【実施例】以下、実施例にて本発明をさらに具体的に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。なお、実施例中の「部」とは重量部を意味する。
【0043】[合成例1] (ポリエチレン−2,6−ナフタレートの製造)エステ
ル交換反応槽に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ル100部とエチレングリコール58部、酢酸マンガン
四水和物0.029部および三酸化アンチモン0.02
8部を投入した後、攪拌しながら内容物を200℃まで
加熱した。次いで、反応によって副生するメタノールを
精留塔から除去しつつ系内温度を上昇させて235℃に
した。メタノールの副生が終了したことを確認した後、
反応生成物を重縮合槽に移し、トリメチルリン酸0.0
30部を添加した。内容物を285℃まで加熱しながら
徐々に槽内を減圧にし、最終的に0.3Torrの真空
度まで減圧した。この状態で約2時間重縮合反応を行
い、極限粘度0.58の破砕型シリカ(平均粒子径:
0.5μm)を150ppm含有ポリエチレン−2,6
−ナフタレートを得た。
【0044】[合成例2] (ポリエチレンテレフタレートの製造)合成例1で、
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部の代
わりにテレフタル酸ジメチル80部を用いて以外は、合
成例1と同様にしてシリカ粒子含有ポリエチレンテレフ
タレートを得た。得られたポリエステルの極限粘度は
0.65であった。
【0045】[合成例3] (ポリエチレン2,6−ナフタレート/テレフタレート
(共重合ポリエステル)の製造)合成例1で、2,6−
ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部の代わりに
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル83.3部
(80モル%)およびテレフタル酸ジメチル16.7部
(20モル%)を用いて以外は、合成例1と同様にして
シリカ粒子含有ポリエチレン−2,6−ナフタレート/
テレフタレート(共重合ポリエステル)を得た。得られ
たポリエステルの極限粘度は0.59、融点は250℃
であった。
【0046】[実施例1]合成例3で得られたポリエチ
レン−2,6−ナフタレート/テレフタレート(ナフタ
レート/テレフタレートのモル比80/20)のペレッ
トを100℃で減圧下12時間乾燥した。乾燥したペレ
ットを、ホッパーから10μmメッシュのフィルターを
備えた押出機に投入した。加熱された押出機内でポリエ
ステルを4分間(滞留時間)溶融混合し、300℃に加
熱された溶融ポリエステルを、Tダイから表面温度50
℃のキャスティングドラム上に、シート状に溶融押し出
しして、厚さ1.5mmの無定型シートを得た。次い
で、無定型シートを、120℃の温度にて縦方向(長尺
方向)に3.6倍に延伸し、次いで冷却した後、135
℃の温度にて横方向(幅方向)に4.0倍に延伸した
後、240℃で8秒間熱固定し、次いで235℃、6秒
間で、幅方向に3%の緩和率で熱緩和し、冷却して厚さ
120μmの二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸は
テンター式延伸機を用いて行なった。
【0047】[実施例2〜6]実施例1において、縦方
向延伸条件、横方向延伸条件、熱固定条件、及び熱緩和
条件を表1に示したように変更して行なった以外は、実
施例1と同様にして表1に示す厚さの二軸延伸ポリエス
テルフィルムを得た。
【0048】[実施例7]合成例1で得られたPENペ
レットと合成例2で得られたPETペレットを、エチレ
ン−2,6−ナフタレート単位とエチレンテレフタレー
ト単位がそれぞれ90モル%及び10モル%となるよう
に混合し、100℃で減圧下12時間乾燥した。乾燥し
たペレット混合物を、ホッパーから10μmメッシュの
フィルターを備えた押出機に投入した。加熱された押出
機内でポリエステルを4分間(滞留時間)溶融混合し、
300℃に加熱された溶融ポリエステルを、Tダイから
表面温度50℃のキャスティングドラム上に、シート状
に溶融押し出しして、厚さ1.5mmの無定型シート
(融点260℃)を得た。次いで、無定型シートを、1
25℃の温度にて縦方向(長尺方向)に3.6倍に延伸
し、次いで冷却した後、140℃の温度にて横方向(幅
方向)に4.0倍に延伸した後、247℃で16秒間熱
固定し、次いで245℃、12秒間で、幅方向に5%の
緩和率で熱緩和し、冷却して厚さ120μmの二軸延伸
フィルムを作製した。二軸延伸はテンター式延伸機を用
いて行なった。
【0049】[実施例8]合成例1で得られたPENペ
レットと合成例2で得られたPETペレットを、エチレ
ン−2,6−ナフタレート単位とエチレンテレフタレー
ト単位がそれぞれ75モル%及び25モル%となるよう
に混合し、160℃で減圧下19時間乾燥した。乾燥し
たペレット混合物を、実施例7と同様に溶融押し出しし
て、無定型シート(融点245℃)を得た。次いで、無
定型シートを、117℃の温度にて縦方向(長尺方向)
に3.6倍に延伸し、次いで冷却した後、133℃の温
度にて横方向(幅方向)に4.0倍に延伸した後、23
5℃で5秒間熱固定し、次いで230℃、4秒間で、幅
方向に5%の緩和率で熱緩和し、冷却して厚さ125μ
mの二軸延伸フィルムを作製した。二軸延伸はテンター
式延伸機を用いて行なった。
【0050】[比較例1〜5]実施例1において、縦方
向延伸条件、横方向延伸条件、熱固定条件、及び熱緩和
条件を表1に示したように変更して行なった以外は、実
施例1と同様にして表1に示す厚さの二軸延伸ポリエス
テルフィルムを得た。
【0051】上記二軸延伸フィルムを作製する条件を下
記の表1にまとめて示す。
【0052】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── フィルム 縦延伸 横延伸 熱固定 熱緩和 樹脂組成 厚さ 倍率/ 倍率/ 温度/秒 温度/秒/率 (EN/ET(モル%)) (μm) 温度(℃)温度(℃)(℃) (℃) (%) ──────────────────────────────────── 実施例1 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/8 235/ 6 / 3 実施例2 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/8 235/ 6 / 5 実施例3 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/8 235/ 6 / 7 実施例4 80/20 共重合 115 3.5/120 4.1/135 235/5 235/ 4 / 5 実施例5 80/20 共重合 118 3.6/120 4.0/135 245/5 235/ 4 / 5 実施例6 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/5 242/ 4 / 5 実施例7 90/10 混合 120 3.6/125 4.0/140 247/16 245/ 12 / 5 実施例8 75/25 混合 125 3.6/117 4.0/135 235/5 230/ 4 / 5 ──────────────────────────────────── 比較例1 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/2 235/ 2 / 5 比較例2 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 230/8 230/ 6 / 5 比較例3 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 230/8 225/ 6 / 5 比較例4 80/20 共重合 118 3.6/120 4.0/135 240/8 235/ 6 / 9 比較例5 80/20 共重合 120 3.6/120 4.0/135 240/8 235/ 6 / 1 比較例6 80/20 共重合 115 3.6/120 4.0/135 240/22 235/ 22 / 5 ──────────────────────────────────── 尚、熱固定条件及び熱緩和条件における温度は、放射温
度計にてフィルム表面の温度を測定した。
【0053】上記で得られた二軸延伸フィルムは、更に
95℃、24時間アニール処理を行なった後、特性の評
価を行なった。上記で得られたポリエステルあるいは二
軸延伸フィルムを、下記の測定法に従って測定し、評価
した。 (1)吸熱主ピーク(融点(Tm)) 得られたポリエステル又は未延伸シート(混合物)50
mgを示差走査熱量計(DSC−50、(株)島津製作
所製)を用いて窒素気流下10℃/分の昇温速度で測定
した。DSCサーモグラムを得る。DSCサーモグラム
において200〜300℃の範囲内で、最大の吸熱ピー
クを示す温度(図1のTmに相当)とした。 (2)吸熱副ピーク(融点プレピークの温度) 得られた二軸延伸ポリエステルフィルム50mgを示差
走査熱量計(DSC−50、(株)島津製作所製)を用
いて窒素気流下10℃/分の昇温速度で測定した。図1
(実施例2で得られらたもの)に示すようなDSCサー
モグラムが得られる。DSCサーモグラムにおいて、2
00〜300℃の範囲内で最大の吸熱ピークを示す温度
(図1のTm)より低い温度領域の吸熱ピーク(上記融
点プレピーク)を示す温度(図1のTp)を得る。 (3)寸法変化 得られた二軸延伸ポリエステルフィルムを、縦(長手)
方向に1.5cm、幅方向に20cmの帯状に裁断し、
得られたサンプルを180℃に設定された空気恒温槽及
び120℃に設定された空気恒温槽に入れて3分間放置
し、その後取り出した。縦方向(MD)、幅方向(T
D)のそれぞれについて、恒温槽に入れる前の長さと、
恒温槽から取り出した長さから、下記の式で計算して寸
法変化を求めた。
【0054】(4)ヘイズ(透明性) ポリエステルフィルムのヘイズを、ヘイズメーター(N
DH−1001DP、日本電色工業(株)製)を用いて
測定した。 (5)ループスティフネス(剛度) 得られたポリエステルフィルムを10mm×180mm
の帯状に切断し、フィルム中央付近の長さ100mmの
部分でループを作り、このループを外側から10mm押
し込んだ時にかかる荷重を測定した。この測定は、「ル
ープスティフネステスター」((株)東洋精機製作所
製)を用いて行なった。 (6)コアセットカール値 得られたポリエステルフィルムを35mm×120mm
の帯状に切断し、直径11.5mmのコアに巻きつけ8
0℃の雰囲気に2時間放置した後、コアからフィルムを
取りはずした。得られたフィルムのカール値(巻き癖)
を測定した。カール値は、1/R[m-1](Rはカール
の半径)で表示した。
【0055】上記で得られた結果を表2に示す。
【0056】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── EN/ET 主ピ 副ピ 180 ℃ 120 ℃ ヘイズ ループ カー ーク ーク 寸法変化 寸法変化 スティ ル値 MD TD MD TD フネス (モル%) (℃)(℃) (%) (%) (%) (%) (%) (g) (m-1) ──────────────────────────────────── 実施例1 80/20 250 238 0.2 0.6 0.1 0.3 0.2 39 35 実施例2 80/20 250 237 0.4 0.4 0.1 0.2 0.2 40 34 実施例3 80/20 250 237 0.3 0.1 0.2 0.2 0.3 39 37 実施例4 80/20 250 232 -0.4 0.6 0.6 0.4 0.2 35 36 実施例5 80/20 250 242 0.1 0.1 -0.3 -0.1 0.3 42 35 実施例6 80/20 250 237 -0.1 -0.1 -0.3 -0.2 0.3 35 33 実施例7 90/10 260 246 0.2 -0.1 0.1 -0.2 0.5 46 30 実施例8 75/25 245 230 0.3 -0.5 0.1 -0.5 0.2 32 44 ──────────────────────────────────── 比較例1 80/20 250 --* 1.9 1.5 1.2 1.3 0.2 29 37 比較例2 80/20 250 228 1.6 0.6 0.9 0.2 0.3 31 36 比較例3 80/20 250 227 0.7 1.4 0.5 1.0 0.3 32 38 比較例4 80/20 250 228 0.7 -0.5 0.4 -0.7 0.6 40 35 比較例5 80/20 250 238 0.4 1.8 0.2 1.3 0.2 38 39 比較例6 80/20 250 238 0.1 0.1 -0.5 0.1 2.6 52 38 ──────────────────────────────────── 備考) * ピークが検出されなかった。
【0057】表1より明らかなように、熱固定、熱緩和
の温度、時間が十分でない比較例1〜3では、寸法変化
が大きく、熱緩和が大き過ぎる比較例4及び熱緩和が小
さ過ぎる比較例5も同様であった。熱固定、熱緩和の時
間が長過ぎる比較例6では、ヘイズが上昇した。
【0058】後述の評価(7)〜(11)については、
得られたポリエステルフィルムに下記のように下塗層を
設け、更に乳剤層を設けたのち行なった。前記のように
アニール処理がなされたポリエステル二軸延伸フィルム
をグロー放電処理したのち、その片面に、下記の組成よ
りなる第一下塗層及び第二下塗層を下記のように形成し
た。次にフィルムの反対側の面に帯電防止層及び表面層
をこの順で下記のように形成した。次いで、第二下塗層
上に感光層(高感度写真乳剤層)を下記のように形成し
て、写真フィルム(感材)を作製した。
【0059】上記表面処理した支持体上に下記の第一下
塗層形成用布液を塗布して、180℃で30秒間乾燥
し、膜厚0.3μmの第一下塗層を形成した。 [第一下塗層形成用布液] スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス 6.3重量部 (スチレン:ブタジエン=67:30(モル比)、固形分40重量%) 2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン 0.2重量部 ナトリウム塩 蒸留水 73.5重量部
【0060】上記第一下塗層上に下記の第二下塗層形成
用布液を塗布して、170℃で30秒間乾燥し、膜厚
0.15μmの第二下塗層を形成した。 [第二下塗層形成用布液] ゼラチン 1.6重量部 ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm) 0.06重量部 下記(1)の化合物 0.006重量部 下記(2)の化合物 0.006重量部 グリシン 0.05重量部 蒸留水 98.278重量部
【0061】
【化1】
【0062】下塗層形成後、上記支持体の下塗層を設け
た側とは反対側の面に下記組成の耐電防止層と表面層を
塗設した。
【0063】 [帯電防止層用塗布液] アクリル樹脂水分散液((メタ)アクリル酸エステルの 3.1重量部 共重合体;ジュリマー ET410 (水分散液、固形分20重量%、日本純薬(株)製)) 酸化スズ−酸化アンチモン分散物 16.5重量部 (平均粒径:0.1μm;30重量%) ポリオキシエチレンフェニルエーテル 0.1重量部 メラミン化合物 0.2重量部 (スミテックスレジンM-3 (水溶性メラミン化合物、 有効成分濃度80重量%、住友化学工業(株)製) 蒸留水を加えて合計が100重量部となるように調製し
た。上記帯電防止層用塗布液を、上記ポリエチレンテレ
フタレートフィルムの下塗層を設けなかった表面に塗布
し、180℃で30秒間乾燥して、0.03μmの層厚
の帯電防止層を形成した。
【0064】 [表面層用塗布液] ポリオレフィン 3.0重量部 (ケミパールS−120、27重量%、三井石油化学(株)製) コロイダルシリカ(スノーテックスC、日産化学(株)製) 2.0重量部 エポキシ化合物 0.3重量部 (デナコールEX−614B;ナガセ化成(株)製) ポリエチレンスルホン酸塩(分子量1000〜5000) 0.1重量部 蒸留水 94.6重量部 上記表面層用塗布液を、上記帯電防止層上に塗布し、1
70℃で30秒間乾燥して、層厚0.03μmの表面層
を形成した。
【0065】感光層の塗設上記方法で得た支持体の第二
下塗層)上に下記に示すような組成の各層を重層塗布
し、多層カラー感光材料を作成した。 [感光層組成]各層に使用する素材の主なものは下記の
ように分類されている; ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤 ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤 ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤 ExS:増感色素
【0066】各成分に対応する数字は、g/m2 単位で
表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については、銀換算
の塗布量を示す。ただし増感色素については、同一層の
ハロゲン化銀1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
【0067】第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 銀 0.18 ゼラチン 1.40 ExM−1 0.18 ExF−1 2.0×10-3 HBS−1 0.20
【0068】第2層(中間層) 乳剤G 銀 0.065 2,5−ジ−t−ペンタデシルハイドロキノン0.18 ExC−2 0.020 UV−1 0.060 UV−2 0.080 UV−3 0.10 HBS−1 0.10 HBS−2 0.020 ゼラチン 1.04
【0069】第3層(低感度赤感乳剤層) 乳剤A 銀 0.25 乳剤B 銀 0.25 ExS−1 6.9×10-5 ExS−2 1.8×10-5 ExS−3 3.1×10-4 ExC−1 0.17 ExC−3 0.030 ExC−4 0.10 ExC−5 0.020 ExC−7 0.0050 ExC−8 0.010 Cpd−2 0.025 HBS−1 0.10 ゼラチン 0.87
【0070】第4層(中感度赤感乳剤層) 乳剤D 銀 0.70 ExS−1 3.5×10-4 ExS−2 1.6×10-5 ExS−3 5.1×10-4 ExC−1 0.13 ExC−2 0.060 ExC−3 0.0070 ExC−4 0.090 ExC−5 0.025 ExC−7 0.0010 ExC−8 0.0070 Cpd−2 0.023 HBS−1 0.010 ゼラチン 0.75
【0071】第5層(高感度赤感乳剤層) 乳剤E 銀 1.40 ExS−1 2.4×10-4 ExS−2 1.0×10-4 ExS−3 3.4×10-4 ExC−1 0.12 ExC−3 0.045 ExC−6 0.020 ExC−8 0.025 Cpd−2 0.050 HBS−1 0.22 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.20
【0072】第6層(中間層) Cpd−1 0.10 HBS−1 0.50 ゼラチン 1.10
【0073】第7層(低感度緑感乳剤層) 乳剤C 銀 0.35 ExS−4 3.0×10-5 ExS−5 2.1×10-4 ExS−6 8.0×10-4 ExM−1 0.010 ExM−2 0.33 ExM−3 0.086 ExY−1 0.015 HBS−1 0.30 HBS−3 0.010 ゼラチン 0.73
【0074】第8層(中感度緑感乳剤層) 乳剤D 銀 0.80 ExS−4 3.2×10-5 ExS−5 2.2×10-4 ExS−6 8.4×10-4 ExM−2 0.13 ExM−3 0.030 ExY−1 0.018 HBS−1 0.16 HBS−3 8.0×10-3 ゼラチン 0.90
【0075】第9層(高感度緑感乳剤層) 乳剤E 銀 1.25 ExS−4 3.7×10-5 ExS−5 8.1×10-5 ExS−6 3.2×10-4 ExC−1 0.010 ExM−1 0.030 ExM−4 0.040 ExM−5 0.019 Cpd−3 0.040 HBS−1 0.25 HBS−2 0.10 ゼラチン 1.44
【0076】第10層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 銀 0.030 Cpd−1 0.16 HBS−1 0.60 ゼラチン 0.60
【0077】第11層(低感度青感乳剤層) 乳剤C 銀 0.18 ExS−7 8.6×10-4 ExY−1 0.020 ExY−2 0.22 ExY−3 0.50 ExY−4 0.020 HBS−1 0.28 ゼラチン 1.10
【0078】第12層(中感度青感乳剤層) 乳剤D 銀 0.40 ExS−7 7.4×10-4 ExC−7 7.0×10-3 ExY−2 0.050 ExY−3 0.10 HBS−1 0.050 ゼラチン 0.78
【0079】第13層(高感度青感乳剤層) 乳剤F 銀 1.00 ExS−7 4.0×10-4 ExY−2 0.10 ExY−3 0.10 HBS−1 0.070 ゼラチン 0.86
【0080】第14層(第1保護層) 乳剤G 銀 0.20 UV−4 0.11 UV−5 0.17 HBS−1 5.0×10-2 ゼラチン 1.00
【0081】第15層(第2保護層) H−1 0.40 B−1(直径 1.7 μm) 5.0×10-2 B−2(直径 1.7 μm) 0.10 B−3 0.10 S−1 0.20 ゼラチン 1.20
【0082】更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力
耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくする
ために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F
−1ないしF−17の化合物及び、鉄塩、鉛塩、金塩、
白金塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
各層に使用した乳剤の組成を表3に示す。
【0083】
【表3】
【0084】表3において、 (1)乳剤A〜Fは特開平2−191938号公報の実
施例に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用い
て粒子調製時に還元増感されている。 (2)乳剤A〜Fは特開平3−237450号公報の実
施例に従い、各感光層に記載の分光増感色素とチオシア
ン酸ナトリウムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増
感が施されている。 (3)平板状粒子の調製には特開平1−158426号
公報の実施例に従い、低分子量ゼラチンを使用してい
る。 (4)平板状粒子および粒子構造を有する正常晶粒子に
は特開平3-237450号公報に記載されているような転位線
が高圧電子顕微鏡を用いて観察されている。
【0085】次に、各層に使用した化合物の化学式等を
示す。
【0086】
【化2】
【0087】
【化3】
【0088】
【化4】
【0089】
【化5】
【0090】
【化6】
【0091】
【化7】
【0092】
【化8】
【0093】
【化9】
【0094】
【化10】
【0095】
【化11】
【0096】
【化12】
【0097】
【化13】
【0098】
【化14】
【0099】
【化15】
【0100】
【化16】
【0101】
【化17】
【0102】
【化18】
【0103】
【化19】
【0104】得られた写真フィルム(感材)を、JIS
K K7519-1982 を満足する寸法に切断し、巻き
芯(11.5mm)に巻いて35mmのロールフィルム
を作製し、このフィルムをJIS K K7519-198
2 を満足する寸法を有するパトローネ内に装填した。こ
の写真フィルムが装填されたパトローネを用いて下記の
試験を行なった。
【0105】(7)下塗層形成時の表面状態 得られた写真フィルムの表面に下塗層形成用塗布液を塗
布し、加熱乾燥して下塗層を形成した際の、表面状態を
観察し、下記のように評価した。 AA:皺の発生が無い BB:わずかに皺の発生があるが、皺のない部分を選ん
で写真用支持体として使用可 CC:皺の発生が有り写真用支持体として使用不可 (8)現像斑 得られらた写真フィルムが装填されたパトローネを用い
て、その装填されている写真フィルムを、自動現像機で
現像処理を行なった。現像処理後に見られる現像ムラに
起因する現像斑の有無を観察した。 AA:現像斑無し BB:現像斑有り (9)かぶり 得られた写真フィルムを、温度75℃、湿度80%の環
境に96時間放置し、未露光のままで現像して下記のよ
うに評価した。 AA:カブリが観察されなかった。 BB:カブリが少し観察された。 CC:カブリが多数観察された。 (10)ピンボケの発生 得られらた写真フィルムが装填されたパトローネをカメ
ラに装填し、実際に撮影を行ない、現像後、ネガフィル
ムを観察してピンボケの有無を調査した。 AA:ピンボケの発生無し BB:ピンボケの発生有り (11)カメラに装填後のハンドリング 得られらた写真フィルムが装填されたパトローネをカメ
ラに装填し、自動ローディング及び自動巻き上げを実施
した。これらの作業の際に、ジャミング(詰まり)の発
生の有無を観察した。 AA:ジャミングの発生無し BB:ジャミングの発生有り CC:ジャミングの発生が顕著に有り
【0106】上記で得られた結果を表4に示す。
【0107】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── フィルム 下塗層の 現像斑 かぶり ピンボケ ハンドリング 樹脂組成 表面状態 (ジャミング) (EN/ET(モル%)) ──────────────────────────────────── 実施例1 80/20 AA AA AA AA AA 実施例2 80/20 AA AA AA AA AA 実施例3 80/20 AA AA AA AA AA 実施例4 80/20 AA AA AA AA AA 実施例5 80/20 AA AA AA AA AA 実施例6 80/20 AA AA AA AA AA 実施例7 90/10 AA AA AA AA AA 実施例8 75/25 AA AA AA AA AA ──────────────────────────────────── 比較例1 80/20 CC AA AA AA AA 比較例2 80/20 CC AA AA AA AA 比較例3 80/20 CC AA AA AA AA 比較例4 80/20 BB AA AA AA AA 比較例5 80/20 BB AA AA AA AA 比較例6 80/20 AA* −− −− −− −− ──────────────────────────────────── * 但し、透明性が低く写真用支持体として使用することができない。
【0108】
【発明の効果】本発明の写真フィルム用支持体は、13
5型またはブローニーフィルム等のロール状フィルムに
必要な性能である、巻くぐせが付き難い等の特性に加え
て、写真乳剤層と支持体との接着性を向上させるために
設けられる下塗層形成時に、その形成のための加熱によ
り支持体表面に皺や凹凸が発生しないとの特性を有する
ので、トラブルなく写真フィルムの作製を行なうことが
できるとの利点を有している。この皺発生の問題は、下
塗層形成用塗布液の溶媒が水を主成分とする場合に、乾
燥温度を高くする必要が有る場合に、特に発生し易い。
また本発明のポリエステルフィルムを支持体として用い
た135型またはブローニー型写真フィルムは、カメラ
装填後のハンドリングにまったく問題が無く、現像後の
斑の発生や写真画像のピンボケの発生も無い。さらに、
本発明の写真フィルム用支持体は、TACフィルムのよ
うに溶剤を用いてフィルム成形を行なわないので、大気
汚染、作業環境の汚染を懸念することなく製造すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2で得られた写真支持体用フィ
ルムのDSCサーモグラムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 隆則 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 70〜90モル%のエチレン−2,6−
    ナフタレート単位および10〜30モル%のエチレンテ
    レフタレート単位からなる繰り返し単位を有するポリエ
    ステルからなり、且つ膜厚が110〜128μmの範囲
    にある長尺状ポリエステルフィルムであって、更に18
    0℃における幅方向及び長手方向の寸法変化が−0.6
    〜0.6%の範囲にあり、そして120℃における幅方
    向及び長手方向の寸法変化が、−0.5〜0.5%の範
    囲にあることを特徴とする長尺状写真フィルム用支持
    体。
  2. 【請求項2】 該ポリエステルフィルムが、示差走査熱
    量計により測定される吸熱ピークとして、200〜30
    0℃の温度範囲内に主ピークと主ピークよりピークの小
    さい副ピークとからなる二個のピークを有し、かつ該副
    ピークが主ピークの温度より5〜20℃低い温度範囲内
    にある請求項1に記載の長尺状ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 該ポリエステルフィルムが、エチレン−
    2,6−ナフタレート単位およびエチレンテレフタレー
    ト単位からなる共重合体である請求項1に記載の長尺状
    写真フィルム用支持体。
  4. 【請求項4】 該ポリエステルフィルムが、ポリエチレ
    ン−2,6−ナフタレートおよびポリエチレンテレフタ
    レートからなる混合物である請求項1に記載の長尺状写
    真フィルム用支持体。
  5. 【請求項5】 該ポリエステルフィルムが、幅が35m
    m以上の長尺状写真フィルム用支持体である請求項1に
    記載の長尺状写真フィルム用支持体。
JP9532797A 1997-03-28 1997-03-28 長尺状写真フィルム用支持体 Withdrawn JPH10274825A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9532797A JPH10274825A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 長尺状写真フィルム用支持体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9532797A JPH10274825A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 長尺状写真フィルム用支持体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10274825A true JPH10274825A (ja) 1998-10-13

Family

ID=14134641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9532797A Withdrawn JPH10274825A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 長尺状写真フィルム用支持体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10274825A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007001286A (ja) * 2005-05-27 2007-01-11 Fujifilm Holdings Corp 熱可塑性フィルムの製造方法
WO2007055214A1 (en) * 2005-11-08 2007-05-18 Fujifilm Corporation Method for producing thermoplastic film

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007001286A (ja) * 2005-05-27 2007-01-11 Fujifilm Holdings Corp 熱可塑性フィルムの製造方法
JP4636263B2 (ja) * 2005-05-27 2011-02-23 富士フイルム株式会社 熱可塑性フィルムの製造方法
WO2007055214A1 (en) * 2005-11-08 2007-05-18 Fujifilm Corporation Method for producing thermoplastic film
KR101001933B1 (ko) 2005-11-08 2010-12-17 후지필름 가부시키가이샤 열가소성 필름의 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5462824A (en) Silver halide photographic material
US6174655B1 (en) Biaxial oriented polyester film and method of manufacturing same, photographic substrate, and photographic light-sensitive material
JPH10274825A (ja) 長尺状写真フィルム用支持体
EP0583787B1 (en) Silver halide photographic material
US5674672A (en) Continuous silver halide photographic sheet and process for preparation of the same
JPH10293381A (ja) 長尺状写真フィルム用支持体及びその製造方法
JP2864077B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP2864074B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料及びその製造方法
JP3112761B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH10207008A (ja) 幅が35mm以上の長尺状写真フィルム用支持体
JPH09281648A (ja) 135型写真フィルム用支持体
JPH1069027A (ja) 135型写真フィルム用支持体
JPH0772584A (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JPH1115108A (ja) 幅が35mm以上の長尺状写真フィルム用支持体
JPH10213879A (ja) 幅が35mm以上の長尺状写真フィルム用支持体
JP2975217B2 (ja) ロール状ハロゲン化銀写真感光材料
JP2906305B2 (ja) ロール状ハロゲン化銀写真感光材料
JPH1010678A (ja) 135型写真フィルム用支持体
JP2893155B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP2896477B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP2840903B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP3016169B2 (ja) フイルム一体型カメラ
JP3496166B2 (ja) 写真用支持体及びそれを用いた写真感光材料
JP2864082B2 (ja) ハロゲン化銀写真感光材料
JP3458197B2 (ja) 写真用支持体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20040601