JPH10273457A - 環状アルコールの製造方法 - Google Patents

環状アルコールの製造方法

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JPH10273457A
JPH10273457A JP10008209A JP820998A JPH10273457A JP H10273457 A JPH10273457 A JP H10273457A JP 10008209 A JP10008209 A JP 10008209A JP 820998 A JP820998 A JP 820998A JP H10273457 A JPH10273457 A JP H10273457A
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JP
Japan
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reactor
cyclic
producing
cyclic alcohol
water
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Application number
JP10008209A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Mori
寛 森
Tsutomu Yonemori
勉 米盛
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液相でゼオライト触媒の懸濁下に環状オレフ
ィンと水とを反応させて環状アルコールを合成する方法
において、反応成績が安定的に推移し、触媒活性低下が
小さく、工業的な生産にとってきわめて有利な方法を提
供する。 【解決手段】 液相でゼオライト触媒の懸濁下に環状オ
レフィンと水とを反応させて環状アルコールを製造する
方法において、反応器内の接液部へのゼオライト触媒の
付着を防止することを特徴とする環状アルコールの製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼオライト触媒を
懸濁床として用いて、液相で環状オレフィンと水とを反
応させて環状アルコールを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、液相でオレフィンを水和してアル
コールを製造する方法として、鉱酸、芳香族スルフォン
酸、ヘテロポリ酸等の均一系触媒、あるいは強酸性イオ
ン交換樹脂、結晶性アルミノシリケート等のゼオライト
類等の固体酸触媒を用いる方法が数多く知られている
(特公昭47−45323号、特公昭53−15485
号、特開昭57−70828号、特開昭58−1247
23号、特開昭58−194828号、特開昭60−1
04028号、特開昭61−180735号、特公昭6
3−47695号各号公報等)。特に固体酸触媒を用い
たオレフィンの水和反応では、通常触媒、水相、油相の
3相系で反応を行い、触媒である固体酸は水相のみに分
配されるため、生成したアルコールを含有する油相を水
相から分離することにより、同時に生成アルコールの触
媒からの分離も達成されるので、工業的に好ましい方法
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この方法を
工業的に実施する際には、反応成績が安定に推移せず、
触媒活性低下が大きいという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、運転ごと
に反応成績が不安定であることと、活性低下の原因を詳
細に検討した結果、反応器内に付着している触媒が関与
することを見出した。即ち、本発明は、液相でゼオライ
ト触媒の懸濁下に環状オレフィンと水とを反応させて環
状アルコールを合成する方法において、反応器の接液部
へのゼオライト触媒の付着を防止することを特徴とする
環状アルコールの製造方法に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で対象とするゼオライト触
媒は、環状オレフィンの水和反応に有効であることが知
られているゼオライト触媒である。ゼオライト触媒は、
酸性の固体物質である。このゼオライト触媒の使用され
る形態は特に制限はないが、通常粉末状、顆粒状で使用
する。このゼオライトの一次粒子径としては、通常0.
5μm以下、好ましくは0.1μm以下、さらに好まし
くは0.05μm以下が挙げられる。また下限としては
通常0.01μm以上が挙げられる。更に、担体あるい
はバインダ−として、アルミナ、シリカ、チタニア等を
使用していてもよい。本発明で使用するゼオライト触媒
としては特に限定されないが、例えばその骨格構造とし
て、モルデナイト型、エリオナイト型、シャバサイト
型、ホージャサイト型、クリノプチロライト型、フェリ
エライト型、L型、ベータ型、モ−ビルオイル社発表の
ZSMシリーズ;例えばZSM−5型、ZSM−4型、
ZSM−11型、ZSM−12型、ZSM−20型、Z
SM−40型、ZSM−35型、ZSM−48型、MC
M−22型、シェブロン社発表のSSZシリーズ等を有
するものが挙げられる。好ましくはモルデナイト型、ホ
ージャサイト型、フェリエライト型、ベータ型、ZSM
−5型、ZSM−11型、MCM−22型等の構造を有
するゼオライトが挙げられる。特に好ましくはベータ
型、ZSM−5型、ZSM−11型等のペンタシル型構
造のゼオライトであり、最も好ましくはZSM−5型の
構造のものである。さらにこのゼオライト触媒として
は、これらの構造のアルミノシリケ−トであるものの
他、そのアルミニウム原子の一部又は全部をガリウム、
ホウ素、鉄などに置き換えたものも好ましく使用でき、
例えばボロシリケ−ト、ガロシリケ−ト、フェロアルミ
ノシリケ−ト、ガロアルミノシリケート、ボロアルミノ
シリケート等の異元素含有ゼオライトが例示できる。Z
SM−5型とは、X線回折パターンが少なくとも下記表
1に示す面間距離のピークを持つことで特徴づけられ
る。
【0006】
【表1】 面間距離d Å 11.1 ±0.2 10.1 ±0.2 3.85 ±0.07 3.74 ±0.05 3.72 ±0.05 ZSM−5型とは、モービルオイル社によって開発され
た合成ゼオライト(米国特許第3,702,886号明
細書等参照)であるが、近年微妙なX線回折パターンの
違いによって、ZSM−5類縁体が報告されている。本
発明ではこれらを総称してZSM−5類と称す。同様に
ZSM−11類等も存在する。ZSM−5類では、上記
の表1の特徴的な回折ピークはいずれのものにも含まれ
る。これらのZSM−5類を以下に例示する。
【表2】 ZSM−5類 ZSM−5(米国特許第3,702,886号明細書) ZSM−8(ドイツ特許第2,049,755号明細
書) ZETA−1(ドイツ特許第2,548,697号明細
書) ZETA−3(英国特許第1,553,209号明細
書) NU−4(ドイツ特許第3,268,503号明細書) NU−5(ドイツ特許第3,169,606号明細書) TZ−01(米国特許第4,581,216号明細書) Crystaline aluminosilicate(米国特許第4,954,
326号明細書) TRS(ドイツ特許第2,924,870号明細書) MB−28(欧州特許第21445号明細書) TSZ(特開昭58−45111号公報) AZ−1(欧州特許第113,116号明細書) またこれらのゼオライト触媒において、好ましい組成は
SiO2/Al23のモル比が20〜100のものであ
る。本発明で使用するゼオライト触媒としては、好まし
くは (1)ZSMー5類、 (2)ZSMー11類 (3)ZSMー5類又はZSMー11類のアルミ原子の
少なくとも一部がホウ素原子、ガリウム原子及び鉄原子
からなる群から選ばれる少なくとも一種で置換されたゼ
オライト から選ばれる少なくとも一種であるものが選ばれるが、
特に好ましくは、ZSMー5類又はその中のアルミ原子
の少なくとも一部がホウ素原子、ガリウム原子及び鉄原
子からなる群から選ばれる少なくとも一種で置換された
ゼオライトから選ばれる少なくとも一種であるものが挙
げられる。これらのゼオライトは、通常、プロトン交換
型(H型)が用いられるが、その一部がNa、K、Li
等のアルカリ金属元素、Mg、Ca、Sr等のアルカリ
土類金属元素、Fe、Co、Ni、Ru、Pd等の8族
元素などのイオンから選ばれたカチオン種で交換されて
いてもよい。
【0007】本発明においては、上記のようなゼオライ
ト触媒の存在下、液相中で環状オレフィンの水和反応を
行う。該環状オレフィンとしては、炭素数が3から10
の環状オレフィン、例えばシクロペンテン、メチルシク
ロペンテン類、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン
類、シクロオクテン、シクロドデセン等が例示できる
が、好ましくは5〜8員環を有するシクロオレフィンで
あり、特に好ましくはシクロヘキセンである。これらの
環状オレフィン中には不純物として様々な物質が含有さ
れることがある。例えばシクロヘキセンがベンゼンの部
分水添によって製造された場合、微量のシクロヘキサン
やベンゼンを含有することがある。またその貯蔵中にエ
ポキシシクロヘキサンや2−シクロヘキセンー1ーオ
ン、シクロヘキセンハイドロパーオキサイド等のシクロ
ヘキサン酸化物の含有量が増加したりもする。本発明の
反応では、シクロヘキセンが原料の場合、シクロヘキサ
ン酸化物は反応系に少なければ少ない程好ましく、合計
で100ppm以下、好ましくは50ppm以下とする
のが良い。また、この反応系に溶媒あるいは添加物とし
て他の有機物質を共存させてもよい。該有機物質として
は、安息香酸類、カルボン酸類、フェノ−ル類、サリチ
ル酸類、アルコ−ル類、フルオロアルコ−ル類、エ−テ
ル類、エステル類、ケトン類等の含酸素有機化合物、ア
ミド化合物、ニトリル等の含窒素有機化合物や、チオ−
ル類、スルホン酸等の含硫黄有機化合物や、ハロゲン化
炭素等の含ハロゲン有機化合物や、脂肪族炭化水素類、
芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0008】水和反応は、好ましくは連続的に実施され
るが、この場合、ゼオライト触媒と水によって構成され
る触媒スラリーの水相に、環状オレフィンを連続的に供
給して水和反応を行い、環状アルコールを生成させ、反
応液より該水相と、生成した環状アルコールを含む油相
とを相分離して、該油相を連続的に採取する方法が採用
される。反応は、通常、攪拌などで水相と環状オレフィ
ンを含む油相を混合することにより、懸濁状態、例え
ば、連続水相中に油相を液滴状態で分散させて行われ
る。反応液は、混合を弱めた状態か停止した状態におい
ては通常水相と油相に相分離するが、該水相に対する該
油相の容量比は、通常0.001〜10、好ましくは
0.01〜1である。油相あるいは水相のいずれか一方
が、他方に比べて大過剰になる場合は、両相の相分離が
不良となり、かつ反応速度も低下するので好ましくな
い。
【0009】また、環状オレフィンに対する触媒の重量
比は、通常0.001〜50、好ましくは0.01〜2
0、さらに好ましくは0.05〜5、最も好ましくは
0.1〜3の範囲である。触媒が少なすぎる場合には反
応速度が遅くなり、また、多すぎる場合には触媒コスト
が大きくなるので好ましくない。反応系において、水相
には主にゼオライト触媒が含まれ、油相には主に原料の
環状オレフィンと生成した環状アルコールが含まれる。
触媒を含む水相の少なくとも一部は、油相と分離した
後、触媒スラリーとして、反応器に循環して再使用する
ことができる。また、生成した環状アルコールは、分離
した油相より蒸留などの公知の方法により容易に精製回
収することができる。環状アルコールを分離した後の原
料オレフィンを含む油相の残液は、水和反応の原料とし
て再使用することができる。
【0010】水和反応の条件としては、反応温度は使用
する原料環状オレフィンによって最適温度範囲が異なる
が、通常50〜300℃、好ましくは70〜200℃、
より好ましくは80〜160℃、最も好ましくは100
〜140℃の範囲である。反応圧力は特に制限はない
が、環状オレフィンおよび水を液相に保ち得る圧力が好
ましく、通常5MPa以下、好ましくは0.2〜2MP
a、更に好ましくは0.3〜1MPaの範囲である。反
応時間あるいは反応器中の滞留時間は、通常1分〜10
時間、好ましくは5分〜5時間の範囲である。また、反
応系は、窒素、ヘリウム、水素、アルゴン、二酸化炭素
等の不活性ガス雰囲気下に保つことが好ましい。この場
合、不活性ガス中の酸素の含有量は少ない方が好まし
く、酸素含有量が通常100ppm以下、好ましくは2
0ppm以下のものが使用される。の範囲である。
【0011】図2は本発明に用いることができる連続的
水和反応装置の概略図を示したものである。原料供給管
11より原料環状オレフィンが水和反応器13に供給さ
れ、水供給管12より水が該水和反応器13に供給され
る。反応器13には撹拌機20が設けられており、ゼオ
ライト触媒を含有する水相と原料である環状オレフィン
及び生成した環状アルコールを含有する油相との懸濁状
態で反応が進行する。反応器の内容物の一部は管15か
ら抜き出され、油水分離器14にて油水分離される。分
離した油相は管16より抜き出され、環状アルコールを
取得するための蒸留などの次工程に送られる。一方、油
水分離された水相は底部より管17を通じて抜き出さ
れ、その一部は管18から反応器13に戻されるととも
に、残りは管19を通じて再生工程に送られる。この場
合、油水分離された水相のうち反応器に戻すものと再生
工程に送るものとの比は、再生工程の負荷や触媒量など
に応じて適宜決定される。また、これらの管への抜き出
しをそれぞれ間欠的に行っても良い。図3は本発明に使
用できる他の連続的水和反応装置の概略図である。同図
において数字は図2と共通である。図3における操作は
基本的に図2の場合と同様である。異なる点は、反応器
13の内部に油水分離堰21を設けたことにある。油水
分離堰21にて分離された油相は管22から抜き出さ
れ、図2の場合と同様にして油水分離器14にて分離さ
れ管16にて抜き出された油相と合流して次の工程に送
られる。図4は本発明に使用できる更に別の連続的水和
反応装置の概略図である。同図において数字は図2と共
通である。図4の構成は基本的に図3と同様であるが、
油水分離器14と接続する管15が反応器13内に設け
られた油水分離堰21側に設けられている点で相違す
る。前述のように、油水分離堰内で油水分離が行われる
ので油水分離器14を設けなくても管15から抜き出し
たものは相対的に水相を多く含むものである。しかし同
時に油相も含まれているので、さらに油水分離器14で
再度油水分離を行うものである。図4の方法は図3に比
べ、油水分離器14に供給される内容物の殆どが水相な
ので、分離器14の小型化や油水分離器14内での静置
時間の短縮を図ることが出来るという効果がある。図2
〜4のいずれの場合においても、反応器等への管の接続
位置は特に限定されるものではなく、当業者が適宜定め
られるものである。以上のような、ゼオライト触媒を用
いて環状オレフィンの水和反応を行う場合でも、工業的
には、定期点検や、修理のために反応器を停止させるこ
とがしばしば生じる。このような場合、反応に用いたゼ
オライト触媒は、反応再開時に再利用することが経済的
に必須である。しかしながら、水和反応に供した触媒
を、反応停止後に再度水和反応に供すると、中断以前の
活性が得られず、更に反応成績が安定しない。以上のよ
うな、ゼオライト触媒を用いて環状オレフィンの水和反
応を行う場合でも、運転ごとに反応成績が不安定である
等、反応成績が安定に推移せず、触媒活性低下が大きい
ということは、工業的には大きな問題である。特に、ゼ
オライト触媒を用いて液相で環状オレフィンの水和によ
って対応する環状アルコールを得る場合、この反応が平
衡反応であることと、触媒活性が低いことが原因で、得
られるアルコールの収率が低く、用いる触媒量が多量に
なる問題があった。この問題を解決するために、用いる
触媒量を増加する必要があるが、一般には触媒の単価が
高いため、触媒活性低下を小さくすることがきわめて重
要である。しかしながら、これまでの検討によれば、通
常の反応方法ではこの活性低下がきわめて大きく、さら
に、反応中の反応成績の経時変化がばらつき、安定な運
転をすることができなかった。
【0012】本発明は、このような問題を解決するため
には、反応器の接液部にゼオライト触媒が付着しない条
件で行うことが極めて有効であることを見出した。この
理由は明らかではないが、およそ次のように考えること
ができる。すなわち、反応器で触媒の付着が始まると、
その上にどんどんつもる性質があり、これにより付着が
著しい場合は大きな塊となる。付着が進行して塊が大き
くなると、それ自身の重さで着脱して落下する。そのた
め、触媒スラリー中の触媒濃度が変化して、反応成績が
不安定になる。また、上記の塊は、一般に接液部の中で
も反応器上部の気液または液液界面近くに発生し、徐々
に反応液から離れた上方に積もり、塊を形成するように
なる。本発明で使用する触媒は、特に水に浸かっていな
い状態では触媒活性低下が大きくなることがわかったた
め、塊になった触媒は活性が低下し、触媒全体としての
活性低下も大きくなる。
【0013】従って、反応器内の接液部に触媒のゼオラ
イト触媒が付着しない条件で反応を行うことにより、触
媒の塊が生成せず、結果として反応中の反応成績の経時
変化が安定し、安定な運転をすることができることに加
え、触媒活性低下を防止することができるものと考えら
れる。本発明では、反応器の接液部にゼオライト触媒の
付着を防止して反応を行うことを規定するものである
が、この条件とは、たとえば接液部である反応器の内表
面に付着した触媒の割合が、その付着触媒の乾燥重量に
換算して、運転中に使用されていたゼオライト触媒量に
対して3重量%以下、好ましくは2重量%以下、更に好
ましくは1重量%以下となるようにする条件である。こ
の反応器への付着量は、反応器中の触媒濃度を正確に測
定し、この値と供給した触媒量から求めればよい。ゼオ
ライト触媒の乾燥重量は、反応後の触媒スラリーから反
応系に存在する原料、生成物、溶媒を、一般に、洗滌や
乾燥等によって取り除いた状態の触媒を指す。また、運
転中に使用したゼオライト触媒量とは、反応器に保持さ
れた触媒量の反応中の平均重量であり、通常は反応開始
時に使用した量と同等である。
【0014】ところが、ゼオライト触媒の懸濁下に反応
を行うために用いられる懸濁床反応器は、複雑な装置構
造を有するために、通常はゼオライト触媒を反応器に付
着させずに運転を実施することは不可能である。従っ
て、反応器の接液部のゼオライト触媒の付着を防止する
何らかの方法を行う必要がある。この方法としては、た
とえば次のような方法を用いることができる。
【0015】即ち、運転中の反応器に付着した(乾燥)
ゼオライト触媒の割合が、3重量%を越えることがない
ように、あらかじめ反応器内の接液部をゼオライト触媒
が付着しにくい状態に保つことが挙げられる。なお、こ
こで反応器の「接液部」とは、反応中に反応器の内壁の
反応液と接し得る部分だけを指すのではなく、反応器内
部に設置された撹拌翼、撹拌軸などの設備をも指す。こ
の具体的手段としては、反応器内表面または接液部をな
めらかに加工したり、ライニングやコーティングするこ
とが挙げられる。このなめらかさの程度は、JIS B
0601で規定されている表面粗さRyで表すことが
できる。表面粗さRyは市販の装置で測定することがで
き、例えば、触針式表面粗さ測定装置のランクテーラー
ボブソン社製品のタリサーフ4型、東京精密社製品のサ
ーフコム103B等がある。測定方法はJIS B 0
651で定められた方法を用いることができる。表面粗
さの程度は、通常50μmRy以下、好ましくは40μ
mRy以下、更に好ましくは30μmRy以下、特に好ま
しくは20μmRy以下である。一方、ライニングやコ
ーティングによってなめらかにする場合は、グラスライ
ニング、PTFE、PFA、FEP、PVDF、ETF
E、PCTFE、ECTFEなどのフッ素樹脂によるラ
イニング、又はコーティング等を行うことができる。該
フッ素樹脂としては好ましくはテフロン(登録商標)が
挙げられる。表面が金属の場合は、製造工程のうち、特
に削り加工、研磨加工等によってなめらかにすることが
できる。具体的には、鍛造、鋳造、ダイカスト、熱間圧
延、冷間圧延、引き抜き、押し出し、タンブリング、砂
ふき、転造、フライス削り、平削り、形削り、精密中ぐ
り、やすり仕上げ、丸削り、中ぐり、きりもみ、ブロー
チ削り、リーマ通し、シェービング、研削、ホーン仕上
げ、超仕上げ、バフ仕上げ、ペーパー仕上げ、ラップ仕
上げ、液体ホーニング、バニシ仕上げ、ローラ仕上げ、
化学研磨、電解研磨等を挙げることができるが、もちろ
んこれらの方法に限定されるものではない。また、反応
中に反応液によって徐々になめらかになっていくことも
あり得る。本発明においては、このような触媒の付着防
止処理を反応器の接液部の全体に施す必要はなく、接液
部の一部を処理したものでも良い。また、反応中に反応
器の気液界面の上方側の接液部に洗浄用液体を流すこと
も有効である。例えば、反応器の上方から下方に向かっ
て器壁に沿って洗浄用液体を流すことが挙げられる。ゼ
オライト触媒の付着が起きやすいのは、特に気液界面の
直ぐ上であり、その原因は、この部分がゼオライト触媒
を含有する触媒スラリーの飛沫が付着しやすい一方で乾
燥もしやすいためと考えられる。従って、この直上部分
を洗浄用液体で湿らせれば、ゼオライト触媒の強固な付
着を抑えることができる。洗浄用液体は反応器内壁に沿
って流すことのほか、撹拌翼の軸を通じて流してもよ
く、内部に油水分離堰を設けた反応器の場合は、その油
水分離堰を通じて流し入れても良い。使用する洗浄用液
体としては、反応に悪影響を与えない範囲で種々のもの
が使用できる。本発明では反応系に水の存在が必須であ
り、かつ連続反応の場合には反応で消費された水に相当
する部分を供給する必要性があるので、この洗浄用液体
としては、水を含むことが最も好ましい。また、前記し
たように懸濁床反応器内部は複雑化しているが、触媒の
付着を最小限にするように構造を変化させることも有効
である。
【0016】
【実施例】以下、実施例および比較例を示し、本発明を
具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。 [比較例1] (シクロヘキセンの連続流通水和反応)図1に示すよう
な反応器外に油水分離槽を有する連続流通反応装置を用
いてシクロヘキセンの水和反応を行った。すなわち、内
容積2000mlの攪拌装置付きステンレス製オートク
レーブ反応器3に、ゼオライト触媒としてH型ガロシリ
ケート(SiO2/Ga23=50)100gと水25
0gを仕込み、系内を窒素ガス置換した。回転数500
rpmで攪拌しつつ、昇温して温度を120℃とした
後、供給管1よりシクロヘキセンを120g/hrの速
度で供給した。反応液は管4より取り出し、反応器外部
に設置した内容積30mlの油水分離槽5内で油相と、
触媒を含む水相に分離した後、水相は反応器3に管7よ
り戻し、一方、油相を管6より流出させた。また、供給
管2からは、水和反応で消費される水と管4から油相へ
の溶解成分として流出する水の合計量の水を供給するこ
とにより、反応器3内の水量を一定に保った。原料シク
ロヘキセン供給開始から5時間後における管6からの流
出油相中のシクロヘキサノール濃度は12.0重量%、
10時間経過後には11.8重量%、30時間経過後は
11.5重量%、80時間経過後は11.4重量%、9
0時間経過後は11.2重量%、200時間経過後は1
0.7重量%であった。以上のように、運転の経過に対
するシクロヘキサノール濃度のばらつきが大きく、安定
な成績での運転ができなかった。また、触媒活性低下も
大きかった。
【0017】更に、200時間経過後のスラリー濃度
は、27.5重量%であり、スラリー濃度の変化から求
められる反応器内面への付着量は、仕込み触媒の5.2
%にあたる5.2gであった。反応器内面の表面粗さ
(Ry:触針式表面粗さ測定装置により測定、以下同様
にして測定)は61μmRyであった。
【0018】[実施例1]比較例1において、ステンレ
ス製オートクレーブ内面を、#400研磨仕上げ(#1
20、#180、#230、#320、#400という
ように段階的に番手をあげて研磨)を行って、表面粗さ
を0.4μmRyとした反応器を用いて反応を行った以
外は比較例1と同様に行った。シクロヘキセンの連続流
通水和反応では、原料シクロヘキセン供給開始から5時
間後における流出油相中のシクロヘキサノール濃度は1
2.0%重量であったが、200時間経過後の流出油相
中のシクロヘキサノール濃度は11.8重量%であっ
た。このように流出油相中のシクロヘキサノール濃度の
時間変化は殆ど無かった。また、触媒活性低下も極めて
僅かで、しかも一定の割合で低下していることが確認さ
れた。また、200時間経過後のスラリー濃度は28.
4重量%であり、スラリー濃度の変化から求められる触
媒の反応器内面への付着量は、仕込み触媒の0.84重
量%にあたる0.84gであった。
【0019】[実施例2]比較例1において、ステンレ
ス製オートクレーブ内面をテフロン(登録商標)でコー
ティングした以外は比較例1と同様に行った。シクロヘ
キセンの連続流通水和反応では、原料シクロヘキセン供
給開始から5時間後における流出油相中のシクロヘキサ
ノール濃度は12.0重量%であり、200時間経過後
の流出油相中のシクロヘキサノール濃度は11.8重量
%であった。流出油相中のシクロヘキサノール濃度の時
間変化は殆ど無く、触媒活性低下も極めて僅かで、しか
も一定の割合で低下していることが確認された。また、
200時間経過後のスラリー濃度は、28.5重量%で
あり、スラリー濃度の変化から求められる反応器内面へ
の付着量は、仕込み触媒の0.35重量%にあたる0.
35gであった。
【0020】
【発明の効果】本発明の方法、すなわち、液相でゼオラ
イト触媒の懸濁下に環状オレフィンと水とを反応させて
環状アルコールを合成する方法において、反応器の接液
部へのゼオライト触媒の付着を防止することによって、
反応成績が安定的に推移し、触媒活性低下が小さく、工
業的な生産にとってきわめて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例で用いた連続流通反応装置
の概略図を示す。
【図2】 本発明で使用することのできる連続流通反応
装置の一例の概略図を示す。
【図3】 本発明で使用することのできる連続流通反応
装置の一例の概略図を示す。
【図4】 本発明で使用することのできる連続流通反応
装置の一例の概略図を示す。
【符号の説明】
1:シクロヘキセン供給管 2:水供給管 3:反応器 4:反応液取り出し管 5:油水分離槽 6:油相取り出し管 7:水相戻し管 8:触媒スラリー抜き出し管 11:原料供給管 12:水供給管 13:水和反応器 14:油水分離器 15〜19:管 20:撹拌機 21:油水分離堰 22:管

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液相でゼオライト触媒の懸濁下に環状オ
    レフィンと水とを反応させて環状アルコールを製造する
    方法において、反応器内の接液部へのゼオライト触媒の
    付着を防止することを特徴とする環状アルコールの製造
    方法。
  2. 【請求項2】 反応器の接液部へのゼオライト触媒の付
    着量が、乾燥重量に換算して、運転中に使用したゼオラ
    イト触媒に対して3重量%以下の条件で行う請求項1に
    記載の環状アルコールの製造方法。
  3. 【請求項3】 反応器の接液部の材質が、JIS B
    0601で測定される接液部の表面粗さ(Ry)が50
    μmRy以下の金属である請求項1又は2に記載の環状
    アルコールの製造方法。
  4. 【請求項4】 反応器の接液部の材質がフッ素樹脂であ
    る請求項1又は2に記載の環状アルコールの製造方法。
  5. 【請求項5】 反応中に、反応器の気液界面の上方側の
    接液部に洗浄用液体を流す請求項1ないし4のいずれか
    に記載の環状アルコールの製造方法。
  6. 【請求項6】 洗浄用液体が水である請求項5に記載の
    環状アルコールの製造方法。
  7. 【請求項7】 環状オレフィンが炭素数3〜10の環状
    オレフィンである請求項1ないし6に記載の環状アルコ
    ールの製造方法。
  8. 【請求項8】 環状オレフィンがシクロヘキセンである
    請求項1ないし7に記載の環状アルコールの製造方法。
  9. 【請求項9】 ゼオライト触媒がペンタシル型構造を有
    する請求項1ないし8に記載の環状アルコールの製造方
    法。
  10. 【請求項10】 ゼオライト触媒が、以下の(1)、
    (2)及び(3)からなる群から選ばれる少なくとも一
    種である請求項1ないし9に記載の環状アルコールの製
    造方法。 (1)ZSMー5類、 (2)ZSMー11類 (3)ZSMー5類又はZSMー11類のアルミ原子の
    少なくとも一部がホウ素原子、ガリウム原子及び鉄原子
    からなる群から選ばれる少なくとも一種で置換されたゼ
    オライト
  11. 【請求項11】 ゼオライト触媒が、ZSMー5類又は
    その中のアルミ原子の少なくとも一部がホウ素原子、ガ
    リウム原子及び鉄原子からなる群から選ばれる少なくと
    も一種で置換されたゼオライトから選ばれる少なくとも
    一種である請求項1ないし10に記載の環状アルコール
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 水及びゼオライトを保持する反応器に
    環状オレフィンを連続的に供給する工程、反応系より反
    応生成物を連続的に取り出す工程、取り出した反応生成
    物を油水分離して環状オレフィン及び環状アルコールを
    含有する油相と水及びゼオライトを含有する水相とに分
    離する工程、水相の少なくとも一部を反応器に戻す工程
    を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の環状ア
    ルコールの製造方法。
  13. 【請求項13】 水及びゼオライトを保持し、且つ油水
    分離機能を有する反応器に環状オレフィンを連続的に供
    給する工程、反応器内で油水分離しされた環状オレフィ
    ン及び環状アルコールを含有する油相を連続的に抜き出
    す工程を有する請求項1ないし11のいずれかに記載の
    環状アルコールの製造方法。
  14. 【請求項14】 抜き出された油相を蒸留分離し、塔頂
    から環状オレフィンを取り出し、塔底から環状アルコー
    ルを取り出すと共に、取り出した環状オレフィンを反応
    器に戻す請求項12又は13に記載の環状アルコールの
    製造方法。
  15. 【請求項15】 反応温度を50〜300℃とする請求
    項1ないし14のいずれかに記載の環状アルコールの製
    造方法。
  16. 【請求項16】 反応圧力を5MPa以下とする請求項
    1ないし15のいずれかに記載の環状アルコールの製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5867403B2 (ja) * 2010-10-01 2016-02-24 宇部興産株式会社 炭化水素化合物の酸化物の製造方法及び製造装置

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