JPH10273409A - 微生物種子粉衣組成物 - Google Patents

微生物種子粉衣組成物

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JPH10273409A
JPH10273409A JP9078118A JP7811897A JPH10273409A JP H10273409 A JPH10273409 A JP H10273409A JP 9078118 A JP9078118 A JP 9078118A JP 7811897 A JP7811897 A JP 7811897A JP H10273409 A JPH10273409 A JP H10273409A
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JP
Japan
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seed dressing
carrier
dressing composition
microorganism
microbial
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JP9078118A
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Kyo Nagashima
協 長嶋
Toshikazu Takahashi
利和 高橋
Hisashi Koike
寿 小池
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TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI REN
TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI REN
TOKACHI NOGYO KYODO KUMIAI RENGOKAI
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物生菌の保存安定性に優れる微生物種子
粉衣組成物を提供する。 【解決手段】 有用微生物と担体とを含む微生物種子粉
衣組成物において、前記担体が殺菌した有機質物質、好
ましくは殺菌ピートモスを、担体乾燥物全重量に対して
30〜100重量%の割合で配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物種子粉衣組
成物に関し、詳しくは、微生物生菌の保存安定性に優れ
る微生物種子粉衣組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】種子の殺菌や発芽促進、生長促進などを
目的として、使用時に種子に付着させる種子粉衣剤や予
め種子をコートするための種子コート剤等として、従来
より、化学合成の薬剤が研究開発され実用化されてい
る。しかしながら、上記化学合成薬剤は、その薬剤への
耐性菌の出現や使用時の安全性、植物への薬害、ひいて
は環境汚染などを引き起こす原因となることが懸念され
ている。
【0003】一方、植物への薬害がなく、作物内部に残
留することもなく、また土壌中に残留しても環境に悪影
響を与えることがないといった利点から、近年、植物に
とって有用な微生物を含む微生物資材を用いて農業の生
産性を向上させようとする試みがなされている。この様
な有用微生物の代表的な例として、根粒菌、アゾスピリ
ラム属やシュードモナス属に属する細菌、光合成細菌、
VA菌根菌やグリオグラディウム属などに属する真菌等
が知られており、既に実用化されているものもある。
【0004】しかし、これらの有用微生物は多くの場
合、担体と混合されて微生物資材として、植物の育苗時
に育苗用の培土と一定割合で混合したり、あるいは栽培
圃場へのすき込みといった使われ方をしているが、微生
物の保存安定性等に問題があることから、特に長期の保
存安定性が求められる、種子に粉衣する微生物種子粉衣
資材として使用されるものは少ないのが現状であった。
また、上記問題のために効果が期待されているアゾスピ
リラム属に属する細菌等が、微生物種子粉衣資材として
用いられることはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、微生物生菌の保存安定性に優れ
る微生物種子粉衣組成物を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために微生物種子粉衣組成物に用いる担体につ
いて鋭意研究を行った結果、前記担体に殺菌した有機物
質を用いることにより、微生物種子粉衣組成物における
微生物の保存安定性が確保され、長期保存後も確実な効
果を発現することが可能であることを見い出し、本発明
を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、有用微生物と担体とを
含む微生物種子粉衣組成物において、前記担体が殺菌し
た有機質物質を含むことを特徴とする微生物種子粉衣組
成物である。
【0008】本発明の微生物種子粉衣組成物の担体が含
有する殺菌した有機質物質としては、殺菌ピートモスを
好ましく挙げることができる。この場合の殺菌ピートモ
スの含有量として、具体的には、担体乾燥物全重量に対
して乾燥重量で30〜100重量%程度の含有量を挙げ
ることが可能である。
【0009】また、本発明の微生物種子粉衣組成物が含
有する有用微生物の含有量として、具体的には、担体1
gに対して103〜1011個体程度の含有量を挙げるこ
とが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の微生物種子粉衣組成物が含有する有用微
生物について説明する。
【0011】(1)有用微生物 本発明の微生物種子粉衣組成物が含有する有用微生物と
しては、植物に有用な効果を及ぼすとされる微生物であ
れば特に制限されるものではない。この様な微生物とし
て、具体的には、アゾスピリラム属、アゾリゾビウム
属、シュードモナス属、リゾビウム属、シノリゾビウム
属、フォトリゾビウム属、バチルス属、ブラジリゾビウ
ム属、アグロバクテリウム属、ストレプトマイセス属、
キサントモナス属、ラクトバチルス属、アエロモナス
属、アナベナ属、フランキア属、ロドシュードモナス
属、トリコデルマ属、グロムス属、アスペルギルス属、
ペニシリウム属、リゾプス属、フザリウム属、グリオグ
ラディウム属、ギガスポラ属、スクテロスポラ属、ノス
トック属、アゾトバクター属等に属する微生物(以下、
それぞれの微生物について、例えば、「アゾスピリラム
属に属する微生物」であれば「アゾスピリラム菌」とい
う様に省略したかたちで示す)を挙げることができる。
【0012】本発明の微生物種子粉衣組成物において
は、これらの微生物の1種を用いてもよいし、これら微
生物の2種以上を組み合わせて用いることも可能であ
る。微生物を組み合わせて用いる場合には、植物に対し
てそれぞれの微生物が有する有用性を損なわないような
組み合わせや配合量を適宜選択することが好ましい。
【0013】また、上記有用微生物は、一般的には土壌
に生息している微生物であり、土壌より通常の方法に従
ってスクリーニングして得ることができる他、各種微生
物寄託機関より入手することも可能である。上記有用微
生物を本発明の微生物種子粉衣組成物に用いる際には、
通常、上記有用微生物を培養して用いる。有用微生物の
培養に用いられる培地は、これらの微生物ごとにその微
生物の増殖に適した培地がそれぞれ選択されて用いられ
る。また、培養条件についてもその微生物の増殖に適し
た条件が適宜選択される。
【0014】なお、上記有用微生物のうちでも、アゾス
ピリラム菌においては、これまでに微生物種子粉衣組成
物として用いられた例はなく、アゾスピリラム菌を含有
する微生物種子粉衣組成物は、それ自体新規であり、ま
た、前記アゾスピリラム菌種子粉衣組成物が適用植物に
対して優れた生長促進効果を有することから、本発明に
おいて有用微生物としてアゾスピリラム菌を用いること
は好ましいことである。
【0015】さらに、本発明の微生物種子粉衣組成物に
おいては、有用微生物として上記アゾスピリラム菌と、
リゾビウム菌、シノリゾビウム菌、フォトリゾビウム
菌、ブラジリゾビウム菌、アゾリゾビウム菌等の根粒菌
とを組み合わせて用いることにより、それぞれの微生物
を単独で用いた場合に比べて適用植物に対する生長促進
効果が向上することから、本発明に用いられる有用微生
物の好ましい例として、アゾスピリラム菌と根粒菌の組
合せを挙げることができる。また、上記同様に本発明に
用いられる有用微生物の好ましい例として、アゾスピリ
ラム菌とトリコデルマ菌の組合せを挙げることができ
る。
【0016】次に、上記有用微生物と共に本発明の微生
物種子粉衣組成物が含有する担体について説明する。
【0017】(2)担体 本発明の微生物種子粉衣組成物が含有する担体は、殺菌
した有機質物質(以下「殺菌有機質物質」という)を含
有する。殺菌される有機質物質として、具体的には、ピ
ートモス、木炭、パルプ、油粕、魚粕、骨粉、血粉、貝
化石、カニ殻、腐葉土、腐植土などを挙げることができ
るが、本発明の微生物種子粉衣組成物においてはピート
モスが好ましく用いられる。上記有機質物質は1種を単
独で又は2種以上の混合物として用いることが可能であ
る。
【0018】上記有機質物質を殺菌して、殺菌有機質物
質を得る方法であるが、通常の殺菌方法を用いることが
可能であり、殺菌方法として具体的には、オートクレー
ブ殺菌、紫外線殺菌、放射線殺菌、消毒用ガス殺菌、水
蒸気殺菌等による殺菌等の殺菌方法を挙げることができ
る。また、上記殺菌方法のより具体的な例として、有機
質物質としてピートモスを用いる場合についていえば、
ピートモスをオートクレーブで115〜125℃、10
〜80分間程度、オートクレーブ殺菌する方法が挙げら
れる。
【0019】本発明の微生物種子粉衣組成物が含有する
担体における、上記殺菌有機質物質の含有量は、担体乾
燥物全重量に対して乾燥重量で30〜100重量%であ
ることが好ましく、より好ましくは40〜100重量%
である。ここで、本明細書に用いる乾燥重量とは、その
物質を105℃で1日乾燥させた後の重量をいう。
【0020】本発明の微生物種子粉衣組成物が含有する
担体は、上記殺菌有機質物質以外に、通常、微生物資材
に用いられる無機質物質および未殺菌の有機質物質を含
有することが可能である。この様な担体が含有する無機
質物質として、具体的には、赤玉土、焼成赤玉土、鹿沼
土、黒ボク土、アタパルジャイト、バーミキュライト、
モンモリロナイト、パーライト、ゼオライトなどの無機
質物質が挙げられ、未殺菌の有機質物質として、上記殺
菌の対象となる有機質物質と同様の有機質物質が挙げら
れ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として
担体に含有することが可能である。ここで、担体の構成
成分として挙げた、上記無機質物質、有機質物質等にお
いて、その粒子形状については特に制限されるものでは
ないが、粒径が0.05mm〜5.0mm程度のものが
本発明の微生物種子粉衣組成物においては好ましく用い
られる。
【0021】また、本発明の微生物種子粉衣組成物に用
いられる上記担体には、上記成分以外に各種微量成分を
必要に応じて、本発明の微生物種子粉衣組成物の効果を
損なわない範囲において配合することが可能である。こ
の様な微量成分として、具体的には、石灰、苦土、炭酸
カルシウム等のpH調整剤、メタラキシル、オキサジキ
シル、マンゼブ等の防黴剤、チウラム等の殺菌剤、さら
に、モリブデン、コバルト、鉄等のミネラル等を挙げる
ことができる。上記pH調整剤の適当な配合量として具
体的には、担体のpHを5.0〜8.0程度に調整する
量を、上記防黴剤の適当な配合量として具体的には、担
体全量に対して0.001〜0.2重量%程度の配合量
を、それぞれ挙げることができる。
【0022】さらに、上記担体には適度な割合、例え
ば、担体全量に対して20〜90重量%程度の割合で、
水分を含有させることが可能であり、本発明の微生物種
子粉衣組成物においては好ましい。
【0023】上記有用微生物と担体とを含有する本発明
の微生物種子粉衣組成物について以下に説明する。
【0024】(3)本発明の微生物種子粉衣組成物 本発明の微生物種子粉衣組成物は、上記有用微生物と上
記殺菌有機質物質を含有する担体を含む微生物種子粉衣
組成物である。
【0025】本発明の微生物種子粉衣組成物における、
上記有用微生物の好ましい含有量としては、用いられる
有用微生物の種類にもよるが、概ね担体1gに対して1
3〜1011個体程度の含有量を、より好ましくは、担
体1gに対して104〜101 0 個体程度の含有量を挙
げることができる。ここで、有用微生物を2種以上の微
生物の混合物とする場合は、その合計の個体数を上記範
囲とすればよい。
【0026】より具体的には、上記有用微生物としてア
ゾスピリラム菌を用いる場合には、好ましい含有量とし
て、担体1gに対して103〜1011個体程度の含有量
を、より好ましくは、担体1gに対して104〜1010
個体程度の含有量を挙げることができる。また、上記有
用微生物として根粒菌、具体的には、リゾビウム菌、シ
ノリゾビウム菌、フォトリゾビウム菌、ブラジリゾビウ
ム菌、アゾリゾビウム菌等を用いる場合には、好ましい
含有量として、担体1gに対して103〜101 1個体程
度の含有量を、より好ましくは、担体1gに対して10
4〜1010個体程度の含有量を挙げることができる。
【0027】また、例えば、上記有用微生物としてアゾ
スピリラム菌と根粒菌を組み合わせて用いる場合のアゾ
スピリラム菌の含有量として、具体的には、担体1gに
対して103〜1011個体未満程度の含有量、根粒菌の
含有量として、具体的には、担体1gに対して103
1011個体未満程度の含有量で、両者の合計が1011
下となる様な含有量を挙げることができる。
【0028】本発明の微生物種子粉衣組成物の剤形は、
特に制限されず、栽培作物の種子用に通常用いられる種
子粉衣組成物の剤形と同様なものとすることが可能であ
り、各種剤形によって、通常の微生物種子粉衣組成物が
含有する、上記以外の成分を、本発明の微生物種子粉衣
組成物の効果を損なわない範囲において任意に含有する
ことが可能である。
【0029】本発明の微生物種子粉衣組成物が適用され
る種子としては、栽培作物の種子であれば、特に制限さ
れないが、具体的には、マメ科、アブラナ科、キク科、
ナス科、アカザ科、ウリ科、セリ科、ユリ科、イネ科等
から選ばれる作物が挙げられる。これらの内でも、ダイ
ズ、アズキ、エンドウ、インゲン、ラッカセイ、ソラマ
メ、クローバー、アルファルファ、レンゲ(以上、マメ
科作物)、コマツナ、ハクサイ、キャベツ、ダイコン、
カブ、カリフラワー(以上、アブラナ科作物)、レタ
ス、シュンギク、ゴボウ(以上、キク科作物)、トマ
ト、ナス、ピーマン、ジャガイモ(以上、ナス科作
物)、ホウレンソウ(アカザ科作物)、スイカ、キュウ
リ、カボチャ、メロン(以上、ウリ科作物)セロリ、ニ
ンジン(以上、セリ科作物)、ネギ、タマネギ、アスパ
ラガス(以上、ユリ科作物)、トウモロコシ(イネ科作
物)等の作物の種子を、本発明の微生物種子粉衣組成物
を用いて栽培した場合に顕著な効果が得られる作物種子
として挙げることができる。
【0030】本発明の微生物種子粉衣組成物を上記各作
物の種子に粉衣する方法、および粉衣する量に関して
も、通常の微生物種子粉衣組成物を用いる場合と同様と
することが可能であり、例えば、ダイズに上記微生物種
子粉衣組成物を粉衣して本発明の種子とする場合には、
ビニール袋、ペットボトル等の容器に、ダイズとダイズ
1粒に対して1.5〜3.0mg程度の微生物種子粉衣
組成物を入れて振る、あるいは、シートやトレー等の上
にダイズとダイズ1gに対して2.0〜8.5mg程度
の微生物種子粉衣組成物を置き、スプーンなどを用いて
これらを混ぜ合わせる等により粉衣することが好まし
い。
【0031】この様にして得られる上記微生物種子粉衣
組成物が粉衣された種子は、通常の種子と同様に播種さ
れ、栽培されることが可能である。栽培土壌は、畑土、
水田土壌、人工培土などいずれでもよく、適用する植物
に応じて適宜設定すればよいが、砂や人工培土が好まし
い。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実施例を説明する。まず、
実施例の微生物種子粉衣組成物に用いた有用微生物の培
養例について説明する。
【0033】
【製造例】 アゾスピリラム菌および根粒菌の培養 アゾスピリラム・ブラジレンス(ATCC29145)
は、RC培地(DL−リンゴ酸:5g/L、KOH:
4.8g/L、酵母エキス:0.5g/L、K2HP
4:0.5g/L、MgSO4・7H2O:0.2g/
L、NaCl:0.1g/L、FeCl3・6H2O:
0.015g/L、pH7.0)を用い、500mL坂
口フラスコに100mLずつ培地を分注後、別に液体培
養した種菌をフラスコ1本当たり107個細胞ずつ接種
して、これを毎分180回振盪する振盪培養機の中で3
2℃、24時間培養後、遠心分離により集菌した。
【0034】根粒菌(ブラジリゾビウム・ジャポニカム
ATCC10324)は、YM培地(マニトール:10
g/L、酵母エキス:0.4g/L、K2HPO4:0.
5g/L、MgSO4・7H2O:0.2g/L、NaC
l:0.1g/L、pH7.0)を用い、その他の条件
はアゾスピリラム菌と同じ条件で培養後、遠心分離によ
り集菌した。
【0035】
【実施例1〜11】 根粒菌種子粉衣組成物 担体材料として、腐植土、ピートモス、油粕(以上、有
機質物質)、バーミキュライト、モンモリロナイト(以
上、無機質物質)をそれぞれオートクレーブ中、121
℃、15分で殺菌処理して各種殺菌有機質あるいは無機
質担体材料を作製した。これらの他に、未殺菌の腐植
土、ピートモス、油粕を用意した。
【0036】上記殺菌あるいは未殺菌の担体材料を表1
に示す各種組合せと割合で混合した混合物を作製し、こ
れらの混合物について、水分含量を70重量%、粒径を
0.1mm〜1.0mmに調整し、さらに石灰を加えて
pHを5.5〜6.0に調整してこれらを担体として用
いた。次いで、得られた担体のそれぞれに、上記製造例
で得られた根粒菌を担体1gに対して109個体となる
ように均一に混合させて11種類の根粒菌種子粉衣組成
物を作製した。
【0037】さらに、比較のために、未殺菌有機質のみ
を用いた担体として未殺菌ピートモスを、また、殺菌有
機質物質を全く含まない担体として上記殺菌バーミキュ
ライトまたは、殺菌モンモリロナイトを、それぞれ上記
と同様に水分含量を70重量%、粒径を0.1mm〜
1.0mm、さらに石灰を加えてpH5.5〜6.0に
調整したものを作製した。得られた担体のそれぞれに、
上記製造例で得られた根粒菌を担体1gに対して109
個体となるように均一に混合させて比較例の根粒菌種子
粉衣組成物3種類を作製した。
【0038】<本発明の微生物種子粉衣組成物の評価>
上記各実施例および比較例で得られた根粒菌種子粉衣組
成物を25℃に置き、90日後、180日後、360日
後の根粒菌の生存率を測定した。生存率の測定は、上記
各根粒菌種子粉衣組成物1gを採取し、0.1MのMg
SO430mLに懸濁して1時間振盪後、懸濁液を10
000倍に希釈しYM寒天培地(マニトール:10g/
L、酵母エキス:0.4g/L、K2HPO4:0.5g
/L、MgSO4・7H2O:0.2g/L、NaCl:
0.1g/L、寒天:20g/L、pH7.0)に塗布
し出現するコロニーの数より生存根粒菌濃度を求め、こ
の生存菌濃度と上記組成物作製時の初期根粒菌濃度から
以下の計算式により算出することで行われた。結果を表
1に示す。
【0039】
【数1】 生存率(%)=(生存菌濃度×初期菌体濃度)×100
【0040】
【表1】
【0041】この結果から、担体が殺菌有機質物質を含
有する実施例の根粒菌種子粉衣組成物では、担体が殺菌
有機質物質を含有しない比較例の根粒菌種子粉衣組成物
に比べて根粒菌の保存安定性に優れることがわかる。
【0042】
【実施例12〜19】 アゾスピリラム菌種子粉衣組成
物 有機質担体材料として、ピートモス、油粕および腐植土
をそれぞれオートクレーブ中、121℃、15分で殺菌
処理して得られた殺菌ピートモス、殺菌油粕および殺菌
腐植土を用意した。さらに、無機質物質のモンモリロナ
イトを上記同様の方法で殺菌処理した殺菌モンモリロナ
イトを用意した。
【0043】各実施例において、表2に示すような組合
せと混合割合で上記殺菌有機質あるいは殺菌無機質の担
体材料を混合した混合物について、水分含量を70重量
%、粒径を0.1mm〜1.0mmに調整し、さらに石
灰を加えてpHを5.5〜6.0になるように調整した
ものを担体として用いた。前記各担体に、上記製造例で
得られたアゾスピリラム菌を担体1gに対して108
体となるようにそれぞれ均一混合させて、8種類のアゾ
スピリラム菌種子粉衣資材組成物を作製した。
【0044】<本発明の微生物種子粉衣組成物の評価>
上記各実施例で得られたアゾスピリラム菌種子粉衣組成
物を25℃に置き、90日後、180日後、360日後
のアゾスピリラム菌の生存率を測定した。生存率の測定
は、上記実施例1〜11、比較例1〜3の評価におい
て、YM寒天培地をRC寒天培地(DL−リンゴ酸:5
g/L、KOH:4.8g/L、酵母エキス:0.5g
/L、K2HPO4:0.5g/L、MgSO4・7H
2O:0.2g/L、NaCl:0.1g/L、FeC
3・6H2O:0.015g/L、寒天:20g/L、
pH7.0)に替えた以外は、全く上記同様の方法で行
われた。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】この結果から、殺菌有機質物質を含有する
担体を用いたアゾスピリラム菌種子粉衣組成物のうちで
も、殺菌有機質物質として殺菌ピートモスを含有するア
ゾスピリラム菌種子粉衣組成物においては、アゾスピリ
ラム菌の保存安定性が特に優れることがわかる。
【0047】
【実施例20〜34】 アゾスピリラム菌+根粒菌種子
粉衣組成物 担体材料として、ピートモスをオートクレーブ中、12
1℃、15分で殺菌処理して得られた殺菌ピートモスを
用意した。
【0048】各実施例において、前記殺菌ピートモスを
担体材料とし、水分含量を70重量%、粒径を0.1m
m〜1.0mmに調整し、さらに石灰を加えてpHを
5.5〜6.0になるように調整したものを担体として
用いた。この様に得られた担体に、上記製造例で得られ
たアゾスピリラム菌および/または根粒菌を表3に示す
菌体濃度で添加し、これらをそれぞれ均一混合させて1
5種類の微生物種子粉衣資材組成物を作製した。
【0049】<本発明の微生物種子粉衣組成物の評価>
上記各実施例で得られた微生物種子粉衣組成物を25℃
に置き、180日後のアゾスピリラム菌および/または
根粒菌の生存率を測定した。生存率の測定は、上記実施
例1〜11の評価において、YM寒天培地を用いた根粒
菌コロニーの計測に加えて、これと全く同様にしてRC
寒天培地を用いたアゾスピリラム菌コロニーの計測を行
った以外は、全く上記同様の方法で行われた。結果を表
3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】この結果から、有用微生物としてアゾスピ
リラム菌と根粒菌をそれぞれ単独に含有する種子粉衣組
成物についても、その両者を含有する種子粉衣組成物に
ついても、本発明に従って殺菌有機質物質を含有する担
体を用いれば、有用微生物の保存安定性がよいことがわ
かる。
【0052】
【実施例35〜43】 アゾスピリラム菌および/また
は根粒菌含有の種子粉衣組成物 担体材料として、ピートモスおよび腐植土をそれぞれオ
ートクレーブ中、121℃、15分で殺菌処理して、殺
菌ピートモスおよび殺菌腐植土を得た。さらに未殺菌の
腐植土、モンモリロナイトを用意した。
【0053】実施例35および実施例37では殺菌ピー
トモスを、実施例36および実施例38では殺菌腐植土
を、実施例39および実施例41では殺菌ピートモスと
モンモリロナイトを重量比で4:1に混合した混合物
を、実施例40では殺菌腐植土とモンモリロナイトを重
量比で4:1に混合した混合物を、実施例42では殺菌
ピートモスと未殺菌腐植土を重量比で3:2に混合した
混合物を、実施例43では殺菌ピートモスと未殺菌腐植
土とモンモリロナイトを重量比で5:3:2に混合した
混合物を、それぞれ水分含量70重量%、粒径0.1m
m〜1.0mmに調整し、さらに石灰を加えてpH5.
5〜6.0に調整したものを担体として用いた。これら
担体のそれぞれに、上記製造例で得られたアゾスピリラ
ム菌および/または根粒菌を表4に示す菌体濃度で添加
し、これらをそれぞれ均一混合させて9種類の微生物種
子粉衣資材組成物を作製した。
【0054】<本発明の微生物種子粉衣組成物の評価>
上記各実施例で得られた9種類の微生物種子粉衣組成物
を25℃で270日間保存後、種子粉衣組成物としての
評価を行った。
【0055】すなわち、上記270日間保存後の9種類
の微生物種子粉衣組成物を、それぞれ適当な大きさのビ
ニール袋に入れ、各ビニール袋毎にエダマメ(品種:サ
ッポロミドリ)の種を40粒ずつ入れて激しく振る方法
で種子粉衣処理を行い、エダマメ1粒当たり1.5〜
2.5mgの割合で種子粉衣組成物を付着させた。ま
た、コントロールとして、上記同様にpH5.5〜6.
0、水分量70重量%、粒径0.1mm〜1.0mmに
調整したモンモリロナイトをビニール袋に入れ、これに
エダマメ(品種:サッポロミドリ)の種40粒を入れて
激しく振ることで、上記同様に種子粉衣されたエダマメ
を得た。
【0056】エダマメの栽培には、栽培用の培土として
赤玉土、容器として径9cm黒色ビニールポットを用い
た。黒色ビニールポットの20個に、上部2cmの隙間
を残して赤玉土を入れ、上記実施例35で得られた微生
物種子粉衣組成物を付着させエダマメ種子をそれぞれ2
粒ずつ播種した。この様なポットを、残りの各実施例で
得られた微生物種子粉衣組成物をそれぞれ付着させたエ
ダマメ種子、およびコントロールのエダマメ種子ごとに
20ポットずつ作製した。これらのポットをビニール温
室に置き、1日1回潅水し、昼25℃、夜15℃となる
ように管理した。種子が発芽してから1ポット当たり1
本になるように間引きを行い、1ヶ月生育させた。
【0057】発芽後1ヶ月の時点で苗を全て引き抜き、
根に付いた土を水洗いし、地上部と根部を切り分けた
後、茎長を測定し試験区ごとに20株の平均を求め、そ
の後、試料の地上部と根部を別々に105℃で1日乾燥
させ、重量を測定し試験区ごとに20株の平均を求め
た。結果を表4に示す。ここで、各数値はコントロール
の値を100とした相対値である。またT/R率とは、
地上部重量/根部重量である。
【0058】
【表4】
【0059】この結果から、本発明の微生物種子粉衣組
成物は、長期保存の後もエダマメに対して優れた生長促
進効果を有することが明らかであり、これにより本発明
の微生物種子粉衣組成物が有用微生物の保存安定性に優
れることが確認された。
【0060】
【発明の効果】本発明の微生物種子粉衣組成物は、微生
物生菌の保存安定性に優れる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有用微生物と担体とを含む微生物種子粉
    衣組成物において、前記担体が殺菌した有機質物質を含
    むことを特徴とする微生物種子粉衣組成物。
  2. 【請求項2】 前記有機質物質がピートモスである請求
    項1記載の微生物種子粉衣組成物。
  3. 【請求項3】 殺菌ピートモスの含有量が担体乾燥物全
    重量に対して乾燥重量で30〜100重量%である請求
    項2記載の微生物種子粉衣組成物。
  4. 【請求項4】 有用微生物の含有量が担体1gに対して
    103〜1011個体である請求項1記載の微生物種子粉
    衣組成物。
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