JPH10264301A - 鉄管の防食被覆方法および防食被覆鉄管 - Google Patents

鉄管の防食被覆方法および防食被覆鉄管

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JPH10264301A
JPH10264301A JP7351697A JP7351697A JPH10264301A JP H10264301 A JPH10264301 A JP H10264301A JP 7351697 A JP7351697 A JP 7351697A JP 7351697 A JP7351697 A JP 7351697A JP H10264301 A JPH10264301 A JP H10264301A
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眞好 喜多川
Yoshisada Michiura
吉貞 道浦
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防食被覆層に傷がついたばあいにも孔食が発
生しにくい防食被覆を有する鉄管を提供する。 【解決手段】 鉄管上に、Al含有率が15〜50重量
%のZn−Al擬合金層、ついで吸水率が5〜50重量
%の水系塗料塗膜層、さらに溶剤系塗料塗膜層を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地中に配管する鉄管
の防食被覆方法および該方法を用いた防食被覆鉄管に関
する。
【0002】
【従来の技術】鉄管の外面塗装は、通常、合成樹脂塗装
またはZn系プライマー塗装と合成樹脂塗装とを組み合
わせた塗装が主流である。
【0003】前記合成樹脂塗装に使用される合成樹脂塗
料として、通常、溶剤系塗料のタールエポキシ樹脂塗
料、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹
脂塗料、フタル酸樹脂塗料などが主に使用されている。
【0004】合成樹脂塗装は塗膜が強固で吸水性が少な
く、密着性がよい塗膜を形成し、水分や空気を鉄管と接
触させないことにより鉄管を防食する。
【0005】しかし、この防食方法を適用した鉄管の欠
点は塗膜に傷がついたばあい、塗膜の傷がついた箇所に
水分、酸素などが付着し、健全な箇所との間に電位差が
生じ、傷のついた箇所が集中的に腐食し、孔食になるこ
とである。また、なんらかの影響により水分、空気が塗
膜を透過したばあい、鉄管表面が腐食し、塗膜が剥離
し、塗装の効果が失われることである。
【0006】Zn系プライマー塗装と合成樹脂塗装とを
組み合わせた塗装は、前記合成樹脂塗装の欠点をカバー
する塗装システムで、Znの陰極防食力の働きを利用し
て鉄管を防食する方法である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Zn系
プライマー塗装と合成樹脂塗装とを組み合わせた塗装の
ばあいでも、完全に合成樹脂塗装の前記欠点をカバーす
るに至っていない。すなわち、Zn系プライマー塗装は
水と接触して始めて陰極防食効果を発揮するが、Zn系
プライマーの上塗塗装に吸水性の少ない塗料を塗布する
と、たとえば傷がついたばあい、健全な塗膜部分には水
分がないためZnの陰極防食効果が発揮されないのに対
して、傷箇所は水分と接触するため、初期は傷箇所周辺
のZnの陰極防食効果により防食されるが、Znが消費
されたのちは健全な部分との間に大きな電位差が生じ、
傷がついた箇所に孔食が発生する方向に腐食がすすむ。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記Zn系プラ
イマー塗装と合成樹脂塗装とを組み合わせた塗装系にお
ける欠点を改善し、Zn系プライマー塗装の効果を最大
限に発揮させる塗装システムを開発するためになされた
ものであり、鉄管上に、Al含有率が15〜50%(重
量%、以下同様)のZn−Al擬合金層、ついで吸水率
が5〜50%の水系塗料塗膜層、さらに溶剤系塗料塗膜
層を設けることを特徴とする鉄管の防食被覆方法(請求
項1)、前記Zn−Al擬合金層におけるAl含有率が
20〜40%である請求項1記載の防食被覆方法(請求
項2)、前記水系塗料塗膜層の吸水率が10〜40%で
ある請求項1記載の防食被覆方法(請求項3)、前記水
系塗料塗膜層がアクリル系エマルジョン塗料からの塗膜
層である請求項1記載の防食被覆方法(請求項4)、前
記溶剤系塗料塗膜層が、エポキシ樹脂塗料、ウレタン樹
脂塗料、アクリル樹脂塗料またはフタル酸樹脂塗料から
の塗膜層である請求項1記載の防食被覆方法(請求項
5)、鉄管上に、Al含有率が15〜50%のZn−A
l擬合金層、ついで吸水率が5〜50%の水系塗料塗膜
層、さらに溶剤系塗料塗膜層を設けてなる防食被覆鉄管
(請求項6)、前記Zn−Al擬合金層におけるAl含
有率が20〜40%である請求項6記載の防食被覆鉄管
(請求項7)、前記水系塗料塗膜層の吸水率が10〜4
0%である請求項6記載の防食被覆鉄管(請求項8)、
前記水系塗料塗膜層がアクリル系エマルジョン塗料から
の塗膜層である請求項6記載の防食被覆鉄管(請求項
9)、および前記溶剤系塗料塗膜層が、エポキシ樹脂塗
料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料またはフタル
酸樹脂塗料からの塗膜層である請求項6記載の防食被覆
鉄管(請求項10)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の防食被覆方法は、鉄管上
に、陰極防食効果を発揮するプライマー層として設ける
Al含有率が15〜50%のZn−Al擬合金層、つい
でプライマー層の陰極防食効果(スローイングパワー)
の向上のために設ける吸水率が5〜50%の水系塗料塗
膜層、最後に水系塗料塗膜層中の水分と環境中の水分と
を遮断し、水系塗料塗膜を設けたことによる陰極防食効
果の低下を少なくするとともに、外部からの衝撃などか
ら鉄管を保護するために設ける溶剤系塗料塗膜層を設け
ることにより行なわれる。Zn−Al擬合金層と溶剤系
塗料塗膜層との間に吸水率が5〜50%の水系塗料塗膜
層を設け、Zn−Al擬合金層のスローイングパワーを
向上させる防食被覆方法は、本発明者らによってはじめ
て行なわれた方法である。
【0010】前記防食被覆を施す前の鉄管は、地中に配
管される鉄管として使用されているものである限りとく
に限定はない。
【0011】鉄管上に設けるZn−Al擬合金層は鉄管
の下地処理として塗布されるZn系プライマーのうちの
1種であり、ZnおよびAlの単独物を両者ともにアー
クさせて溶射して形成する層で、Zn−Al合金層のよ
うにはじめからZnおよびAlを固溶した材料を溶射し
て形成する層とは全く異なるものである。また、Zn−
Al合金のようにZn−Alを溶解し、成分調整をしな
くてもよいため、経済的にもすぐれる。さらに、Zn−
Al擬合金層は、ジンクリッチペイント層、Zn−Al
合金層を設けるばあいよりも塗り残し部分に対する防食
効果にすぐれ、また、防食電位の持続性もZn−Al擬
合金層>Zn−Al合金層>ジンクリッチペイント層の
順になる。
【0012】この原因はZnの消費量とそののちの不動
態膜の生成に起因している。Zn−Al合金層やジンク
リッチペイント層のばあい、食塩水に浸漬すると同時に
Znの消費が始まり、Znが食塩水中に溶け込むか、Z
nの酸化物、炭酸塩、塩化物などとして析出し、不動体
膜を形成せず、Znの犠牲による防食効果が生じること
により陰極防食力が早期に失われていくためと考えられ
る。Zn−Al擬合金層のばあい、ZnとAlとを単独
で両者ともにアークさせて溶射するため、溶射被膜はZ
nとAlとが鱗片状となっており、AlがZnの消費を
適度に抑制し、かつAlが不動体化膜を形成し、Znと
Alとの複合作用によりスローイングパワーを長期間に
わたって持続させるものと考えられる。
【0013】前記Zn−Al擬合金層におけるAl含有
率は15〜50%、さらには20〜40%であるが、A
l含有率がこの範囲のばあいには、Zn層よりもすぐれ
た陰極防食効果を示す。
【0014】前記Zn−Al擬合金層の溶射量として
は、50g/m2以上であれば効果がえられ、経済性を
考慮すると300g/m2以下が好ましい。
【0015】前記Zn−Al擬合金層の上に設ける層
は、前記のような防食下地層であるZn−Al擬合金層
のもつ働きを最大限に発揮させるものでなければならな
い。つまり塗膜として防食下地層の陰極防食力をより広
範囲に発現させ、かつ長期間持続させ、塗膜に傷がつい
ても傷の箇所をスローイングパワーにより防食し、なお
かつ塗膜自体の耐久性がすぐれていることが望ましい。
防食下地層がないばあいの最適な鉄管用塗料としては、
一般的には塗膜が強固で吸水性が少なく、密着性がよ
く、水分、空気を透過しないものがよいとされていた
が、防食下地層を設けたばあいには、逆に塗膜に吸水性
があり、強固で密着性がよいものが孔食を防止する効果
が大きいことを本発明者らは見出した。
【0016】前記塗膜に吸水性があるばあいに孔食が少
なくなる理由としては、鉄管の腐食はミクロな電位差に
より生じるものであるため、電位差をできるだけ小さく
することが、孔食を防止するうえから好ましいことがあ
げられる。すなわち、吸水性の塗膜であれば鉄管全体の
電位が一定になりやすく、たとえ塗膜の一部に傷がつい
ても健全な塗膜も吸水しているため電位が分散されて平
準になりやすく、電位差が小さくなり孔食が緩和される
ためと考えられる。この理論は下地にZn系プライマー
層(Zn層、Zn−Al合金層、Zn−Al擬合金層、
ジンクリッチペイント層)を設けてもあてはまること
で、吸水性のない塗膜のばあい、塗膜に傷が発生すると
傷の箇所と健全な箇所とで電位差が生じ、傷の箇所では
Znが水に溶出、消費し、Znによる陰極防食効果がな
くなり、ついには孔食が起こる。電位差が発生する原因
は、健全な箇所には上塗塗膜に吸水性がないため、Zn
の陰極防食効果が生じず、傷の箇所より電位が高くな
り、電位の低い傷の箇所に孔食が発生する。吸水性があ
る塗膜のばあいには、健全な箇所も水分を吸収している
ためZnの陰極防食作用が傷の箇所の周辺と同じように
起こり、電位差が均一化し、傷の箇所も防食し、スロー
イングパワーを発揮する。
【0017】吸水性のある塗膜としては、通常、水系塗
料からの塗膜があげられる。水系塗料からの塗膜は、水
との親和性がよく適度の吸水性があり、分子量が大きい
ため塗膜強度が大きく、かつ密着性がよい。溶剤系塗料
でも塗料を構成する成分によっては吸水性の塗膜の形成
が可能で、たとえば親水基を多く含み低分子量の合成樹
脂からの溶剤系塗料塗膜またはビチュウメンからの塗膜
などがあげられる。しかし、このような材料からの塗膜
は吸水性はあるが、低分子量のため塗膜の強度が弱く、
密着性が劣る。溶剤系塗料で前記水系塗料からの塗膜と
同様の性能を有するものがあれば使用しうる。
【0018】Zn−Al擬合金層の上に設ける水系塗料
塗膜層の吸水率としては、5〜50%であるのがスロー
イングパワーの効果が大きい、塗膜の耐久性がよいなど
の点から好ましい。吸水率が5%未満のばあいには、ス
ローイングパワーの効果がほとんど認められず、50%
をこえるとスローイングパワーの効果はあるが、塗膜が
膨潤性を有するようになるため、塗膜の耐久性の点から
好ましくない。前記水系塗料塗膜層の吸水率が10〜4
0%、さらには12〜30%のばあいには、長期間にわ
たってスローイングパワーの効果を維持し、耐久性もよ
いという点から好ましい。
【0019】前記水系塗料塗膜層の吸水率は、ガラス板
(70mm×150mm×2mm厚さ)に水系塗料を塗
布して厚さ約60μmの塗膜を形成し、30℃、6日間
乾燥させたのちガラス板から塗膜を剥がし塗膜片の重量
を測定したのち、水に1カ月間浸漬したときの水系塗料
塗膜に対する吸水した水の割合のことである。
【0020】前記水系塗料塗膜層の厚さとしては、50
〜300μm、さらには60〜100μmであるのが好
ましい。前記水系塗料塗膜層は、通常は1層であるが、
多層であってもよい。
【0021】前記水系塗料塗膜層を形成するのに使用す
る水系塗料の具体例としては、たとえばアクリル系エマ
ルジョン塗料、酢酸ビニル系エマルジョン塗料、スチレ
ン−ブタジエン系エマルジョン塗料などの合成樹脂エマ
ルジョン塗料、水溶性アルキド樹脂塗料、水溶性メラミ
ン樹脂塗料、水溶性尿素樹脂塗料、水溶性フェノール樹
脂塗料、水溶性アクリル樹脂塗料、水溶性エポキシ樹脂
塗料、水溶性ポリブタジエン樹脂塗料などの水溶性合成
樹脂塗料などがあげられるが、これらに限定されるもの
ではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上混合
して用いてもよい。これらのうちでは、アクリル系エマ
ルジョン塗料が好ましい。
【0022】前記水系塗料塗膜層を設けたのちの3層目
に使用する溶剤系塗料塗膜層は下地層(1層目)である
Zn−Al擬合金層と2層目の水系塗料塗膜層の効果を
さらに発揮させるためのものである。要求される性能は
下地層および水系塗料塗膜層を保護し、耐久性のよい塗
膜をつくる塗料であること、すなわち水系塗料塗膜と密
着性がよく、塗膜が強靭で吸水性が少なく(吸水率が4
%以下、さらには3.5%以下)、塗膜の電気抵抗が高
い塗膜であること、とくに2層目の水系塗料塗膜が吸水
性のため3層目の溶剤系塗料塗膜は水系塗料塗膜の吸水
量を調整する役割りをはたす。また、Zn−Al擬合金
層の陰極防食反応を急激に起こさせず、徐々に反応さ
せ、陰極防食効果を長期間にわたって持続させ、陰極防
食反応生成物(Znの反応生成物)が水系塗料塗膜に影
響(膨れ)を与えないようにし、かつ陰極防食反応生成
物が外部に溶出しないような塗膜であることが好まし
い。
【0023】前記溶剤系塗料塗膜層の厚さとしては、5
〜50μm、さらには10〜30μmであるのが好まし
い。前記溶剤系塗料塗膜層は、通常1層であるが、多層
であってもよい。
【0024】前記溶剤系塗料塗膜層を形成する溶剤系塗
料の具体例としては、たとえばフェノール樹脂塗料(ア
ルコール溶性フェノール樹脂塗料、油溶性フェノール樹
脂塗料など)、アルキド樹脂塗料、アミノアルキド樹脂
塗料、ビニル樹脂塗料(塩化ビニル樹脂塗料、スチレン
−ブタジエン樹脂塗料、ビニルゾル塗料など)、塩化ゴ
ム塗料、エポキシ樹脂塗料(エポキシ/フェノール樹脂
塗料、エポキシ/アミノ樹脂塗料、エポキシ/アルキド
/メラミン樹脂塗料、エポキシアルキド樹脂塗料、エポ
キシエステル塗料、アミン硬化エポキシ塗料、エポキシ
コールタール塗料、エポキシイソシアネート塗料な
ど)、アクリル樹脂塗料(熱可塑性アクリル樹脂塗料、
熱硬化性アクリル樹脂塗料など)、不飽和ポリエステル
樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料(油変性ポリウレタン塗
料、湿気硬化性ポリウレタン樹脂塗料、ブロック型ポリ
ウレタン樹脂塗料、ポリオール硬化性ポリウレタン樹脂
塗料、ウレタン樹脂系紫外線硬化塗料など)、ケイ素樹
脂塗料、フッ素樹脂塗料(溶剤系ディスパージョン塗
料、変性フッ素樹脂塗料、オルガノゾル型塗料、ソリュ
ーション型塗料など)などがあげられるが、これらに限
定されるものではない。また、これらは単独で用いても
よく、2種以上混合して用いてもよい。
【0025】以上のように、鉄管上にAl含有率が15
〜50%、さらには20〜40%のZn−Al擬合金層
を厚さが10〜100μm、さらには10〜60μmに
なるように設け、ついで吸水率が5〜50%、さらには
10〜40%、とくには12〜30%の水系塗料塗膜層
を厚さが50〜300μm、さらには60〜100μm
になるように設け、最後に好ましくは吸水率が4%以下
の溶剤系塗料塗膜層を厚さが5〜50μm、さらには1
0〜30μmになるように設けることにより、Zn−A
l擬合金層の陰極防食効果(スローイングパワー)を向
上させることができる。
【0026】つぎに、本発明の防食被覆鉄管の製法の一
例について説明する。
【0027】鉄管の外表面をショットブラスト処理した
のち、ZnとAlとのアーク溶射を同時に行ない、Zn
−Al擬合金層を形成する。アーク溶射時の条件は通常
の条件でよい。
【0028】Zn−Al擬合金層を形成した鉄管に水系
塗料塗膜層を形成する方法としては、水系塗料をそのま
ま塗布し、乾燥させてもよいが、鉄管を予め60〜90
℃程度に加熱しておき、これに水系塗料をスプレー塗
装、ハケ塗り、ロール塗りなどの方法で塗布するのが、
塗料が速やかに乾燥し、鉄管表面と塗料との密着性が良
好となり、強勒で弾性にとんだ均一な塗膜が形成される
点から好ましい。
【0029】水系塗料の塗布に際し、必要に応じて塗装
法の差に応じた塗装適性を与えるため、各種の添加剤、
たとえば粘度調整剤、顔料、コロイド安定剤、分散剤、
湿潤剤、顔料沈降防止剤、消泡剤、防災剤、造膜助剤、
レベリング剤、垂れ防止剤などを適宜配合してもよい。
【0030】前記粘度調整剤の具体例としては、たとえ
ばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、ポリビニルピロリドン、アンモニアカゼイ
ン、ポリビニルアルコール、アルカリ可溶性ポリアクリ
ル酸エステル、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミ
ド、ポリエチレンオキサイドなどの水溶性高分子があげ
られる。
【0031】また、前記顔料の具体例としては、たとえ
ばジンククロメート、ストロンチウムクロメートなどの
防錆顔料、炭酸カルシウム、タルク、クレー、水酸化ア
ルミニウムなどの体質顔料などがあげられる。
【0032】さらに必要に応じて、水溶性または水分散
性の熱硬化性樹脂、たとえばメチロールまたはアルコキ
シメチル化された尿素、メラニンなどの多官能性アミノ
化合物とホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド−グ
リオキザール混合物との前縮合物で代表されるアミノホ
ルマリン樹脂や、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシ
レン樹脂など、さらにはタールエマルジョン、ピッチエ
マルジョン、アスファルトエマルジョンなどを塗膜の改
良のために添加してもよい。
【0033】前記水系塗料塗膜層を形成した鉄管に溶剤
系塗料を塗布するに際し、水系塗料塗膜層の含水率を5
〜50%にしたのち塗布するのが好ましい。このばあい
にも鉄管を予め60〜90℃程度に加熱しておくのが好
ましい。
【0034】なお、溶剤系塗料の塗布法、塗布に際し、
必要に応じて塗装法の差に応じた塗装適性を与えるため
に使用する各種の添加剤の種類、具体例などは、水系塗
料のばあいと同じであるので、説明は省略する。ただ
し、溶剤系塗料塗膜は最上層になるので、顔料として、
水系塗料のばあいに加えてカーボンブラック、二酸化チ
タンなどの着色顔料が使用されうる。
【0035】
【実施例】つぎに、本発明を実施例および比較例に基づ
いてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限
定されるものではない。
【0036】なお、実施例および比較例で使用する水系
塗料および溶剤系塗料ならびにそれらからの塗膜の吸水
率を表1にまとめて示す。
【0037】
【表1】
【0038】製造例1 ブタジエン15部(重量部、以下同様)、アクリル酸ブ
チル20部、スチレン60部およびアクリル酸5部に、
栗本コートWR(スルホコハク酸塩エステル型反応性乳
化剤、(株)栗本鉄工所製)0.5部、第3級ドデシル
メルカプタン1.0部、エチレンジアミン四酢酸アンモ
ニウム0.05部、過硫酸カリウム0.1部およびイオ
ン交換水150部になるようにチッ素置換した撹拌翼付
きオートクレーブに仕込み、単量体混合物を連続添加
し、60℃で重合率が98%以上となるまで重合を行な
い、ついでストッピングにより未反応単量体を除去し
た。つぎにアンモニアでpHを7.5に調整し、固形分
40%の共重合体エマルジョンをえた。該エマルジョン
100部(固形分)に対してステアリン酸ステアリルの
エマルジョン2部(固形分)を配合し、アクリル系エマ
ルジョン塗料(I)を製造した。えられたアクリル系エ
マルジョン塗料(I)からの塗膜の吸水率は25%であ
った。
【0039】実施例1および比較例1 ダクタイル鉄管(70mm×150mm×7mm厚さ)
に1層目に下地層として、Zn溶射またはZn−Al擬
合金溶射(Al含有率25%、130g/m2)したも
のに、アクリル系エマルジョン塗料(I)を乾燥膜厚が
60μmになるように塗布し、さらに、3層目にアクリ
ル系エマルジョン塗料(II)またはアクリル樹脂塗料
(I)を乾燥膜厚が20μmになるように塗布して、防
食被覆鉄管を製造した。
【0040】えられた塗膜について、塗膜特性を下記方
法により評価した。結果を表2に示す。
【0041】(スローイングパワー)サンドブラストし
た鋼板(70mm×150mm×1.5mm厚さ)に三
角形(底辺の長さ1/2インチ(約12.7mm)、高
さ150mmの二等辺三角形)のマスキングをした上
に、実施例または比較例と同様に塗膜を製造し、図1に
示すような試験片を製造した。なお、図1中の1は塗布
面、2は非塗布面である。
【0042】えられた試験片を3%食塩水に6カ月浸漬
し、塗り残した三角形の底辺から何mmの高さまで発錆
したか(SSPC法による発錆状況、図2参照)を調べ
た。なお、図2中の3は発錆部を示し、発錆した部分の
高さをXmmで示した。発錆した部分の高さから下記基
準にしたがって評価した。
【0043】 ◎:5mm未満でとくに効果あり ○:6〜75mmで効果あり ×:全面発錆
【0044】(塗膜状態)前記スローイングパワーの評
価において、3%食塩水に浸漬後2、3、5、6カ月経
過後の塗膜表面を目視観察し、下記基準により評価し
た。
【0045】良好:ASTM D−714−56のA法
による評価で8F以上 フクレ:ASTM D−714−56のA法による評価
で8M〜4M 全面フクレ:ASTM D−714−56のA法による
評価で6MD〜2D
【0046】実施例2〜5および比較例2〜7 ダクタイル鉄管(70mm×150mm×7mm厚さ)
に、1層目に下地層としてZn−Al擬合金溶射(Al
含有率25%、130g/m2)を行ない、2層目に水
系塗料としてアクリル系エマルジョン塗料(I)、エポ
キシ樹脂エマルジョン塗料(I)を、溶剤系塗料として
アクリル樹脂塗料(II)、エポキシ樹脂塗料(I)を乾
燥膜厚が60μmになるように塗布した。3層目に水系
塗料としてアクリル系エマルジョン塗料(I)、エポキ
シ樹脂エマルジョン塗料(I)、溶剤系塗料としてアク
リル樹脂塗料(II)、エポキシ樹脂塗料(I)を乾燥膜
厚が20μmになるように塗布し、表2に記載の防食被
覆層を有する防食被覆鉄管をえ、実施例1と同様にして
評価した。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明の防食被覆を有する鉄管は、鉄管
の上にスローイングパワーの良好なZn−Al擬合金層
を設け、ついで適度の吸水率を有する水系塗料塗膜層、
さらに吸水率が低くて塗膜の密着性が良く強靭な溶剤系
塗料塗膜層を有するため、防食被覆層に傷がないばあい
には強固な被覆として働き、防食被覆層に傷がついたば
あいには、Zn−Al擬合金層の良好なスローイングパ
ワーおよび吸水した水系塗料塗膜層により傷がついた部
分と健全な部分との間の電位差が小さくなり、孔食が発
生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例などで行なったSSPC法によ
る防食性能試験に使用する試験片の説明図である。
【図2】図1に示す試験片を用いたSSPC法による発
錆状況の調べ方についての説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C09D 5/08 C09D 5/08 133/06 133/06 163/00 163/00 167/00 167/00 175/04 175/04 C23C 4/08 C23C 4/08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄管上に、Al含有率が15〜50重量
    %のZn−Al擬合金層、ついで吸水率が5〜50重量
    %の水系塗料塗膜層、さらに溶剤系塗料塗膜層を設ける
    ことを特徴とする鉄管の防食被覆方法。
  2. 【請求項2】 前記Zn−Al擬合金層におけるAl含
    有率が20〜40重量%である請求項1記載の防食被覆
    方法。
  3. 【請求項3】 前記水系塗料塗膜層の吸水率が10〜4
    0重量%である請求項1記載の防食被覆方法。
  4. 【請求項4】 前記水系塗料塗膜層がアクリル系エマル
    ジョン塗料からの塗膜層である請求項1記載の防食被覆
    方法。
  5. 【請求項5】 前記溶剤系塗料塗膜層が、エポキシ樹脂
    塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料またはフタ
    ル酸樹脂塗料からの塗膜層である請求項1記載の防食被
    覆方法。
  6. 【請求項6】 鉄管上に、Al含有率が15〜50重量
    %のZn−Al擬合金層、ついで吸水率が5〜50重量
    %の水系塗料塗膜層、さらに溶剤系塗料塗膜層を設けて
    なる防食被覆鉄管。
  7. 【請求項7】 前記Zn−Al擬合金層におけるAl含
    有率が20〜40重量%である請求項6記載の防食被覆
    鉄管。
  8. 【請求項8】 前記水系塗料塗膜層の吸水率が10〜4
    0重量%である請求項6記載の防食被覆鉄管。
  9. 【請求項9】 前記水系塗料塗膜層がアクリル系エマル
    ジョン塗料からの塗膜層である請求項6記載の防食被覆
    鉄管。
  10. 【請求項10】 前記溶剤系塗料塗膜層が、エポキシ樹
    脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料またはフ
    タル酸樹脂塗料からの塗膜層である請求項6記載の防食
    被覆鉄管。
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