JPH10253974A - 液晶注入方法および液晶注入装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶セルの汚染を生じることなく、短時間で効
率よく液晶を注入可能な液晶注入方法、および液晶注入
装置を提供することにある。 【解決手段】液晶セル１１の排気口１８に排気ノズル２
８を接続するとともに、液晶セル１１の注入口１６を液
晶溜め３４に貯溜された液晶４２に浸漬する。そして、
液晶セルの配置された収容チェンバ２０内を加圧しなが
ら排気口から液晶セル内部を排気し、液晶セル内外の圧
力差によって注入口から液晶セル内部に液晶を注入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は液晶セルの２枚の
基板間の間隙に液晶を注入する液晶注入方法、および液
晶注入装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】表示装置としてされる液晶セルはアレイ
基板および対向基板を有し、これら２枚の基板はシール
材を介して互いに貼り付けられ、所定の隙間をもって対
向している。そして、これら２枚の基板間には液晶が封
入されている。

【０００３】一般に、液晶セルの２枚の基板間に液晶を
注入する液晶注入装置として、真空チャンバーと、この
真空チェンバ内に配設された液晶溜めと、を備えたもの
が知られている。このような液晶注入装置を用いて液晶
注入を行う場合、シール材に形成された１つ又は複数個
の注入口を有する液晶セルを真空チャンバー内に配置し
た後、真空チェンバ内を排気し液晶セル内を真空に排気
する。そして、真空状態を維持したまま液晶セルの注入
口を液晶溜め内の液晶に浸した後、真空チャンバー内を
大気圧に戻す。それにより、液晶セル内外の圧力差によ
って、液晶溜め内の液晶が液晶セル内に充填される。液
晶注入後、液晶セルを真空チェンバから取り出し、注入
口を紫外線硬化剤等で封止する。

【０００４】また、真空チャンバーを使用しない液晶注
入装置としては、注入用ノズルおよび排気用ノズルを液
晶セルに直接取り付け、液晶セル内を排気しながら液晶
の注入を行うものが知られている。すなわち、この種の
注入装置によれば、注入用ノズルは液晶の貯溜タンクに
接続され、排気用ノズルは真空吸引系に接続されてい
る。そして、これらのノズルは、液晶セルのシール材に
設けられた注入口および排気口に直接接続され、排気口
から液晶セル内を排気しながら注入口から液晶を注入す
る。液晶が排気口に到達した後、注入口および排気口を
紫外線硬化剤等で封止する。このような注入装置によれ
ば、真空チャンバーを使用する方式に較べて液晶注入時
間を短縮することができる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記のような真空チャ
ンバーを使用した液晶注入装置においては、液晶セルを
配置した真空チェンバ全体を真空に排気する必要がある
ため、液晶注入に必要な真空度まで排気するのに長時間
を要する。排気時間と注入時間とを合計すると、例え
ば、１１インチサイズの液晶セルの場合、約１０時間近
くを必要とする。このように、１つの製造工程に１０時
間もの時間を要することは、生産性等から非常に望まし
くない。

【０００６】また、液晶セル内部を排気した後、基板間
の密閉された空間に液晶を注入することになるため、液
晶セル内部の残留ガスが十分抜けきっていなかった場合
や、液晶に気体が溶け込んでいた場合、これら残留ガス
や気体の逃げ場が無く、液晶セル内の注入口と対角位置
の部分に気泡が残る恐れがある。特に、基板間の隙間が
３μｍ程度と小さい場合、この隙間内を完全に排気する
ことが困難であり、気泡が残り易い。

【０００７】一方、注入ノズル、排気ノズルを使用する
液晶注入装置においては、注入ノズルを１枚１枚の液晶
セルに直接取り付けて液晶を加圧注入するため、注入口
での液晶リークが生じないようにするためには、注入ノ
ズルの形状や液晶セルの注入口の形状に高い精度が必要
となる。しかしながら、大量生産を行う場合、それだけ
の精度で液晶セルを作ることは非常に困難となる。ま
た、注入ノズルおよび排気ノズルは、セットする液晶セ
ルの数分だけ設ける必要があり、製造設備が高価になっ
てしまう。更に、液晶セルの注入口に直接ノズルが接触
するため、液晶セルの汚染による表示不良（白ズミ等）
が発生しやすく問題もある。

【０００８】この発明は以上の点に鑑みなされたもの
で、その目的は、液晶セルの汚染を生じることなく、短
時間で効率よく液晶を注入可能な液晶注入方法、および
液晶注入装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る液晶注入方法は、シール材により所
定の隙間をおいて貼り合わされた２枚の基板と、上記シ
ール材に形成された注入口および排気口と、を有する液
晶セル内に液晶を注入する液晶注入方法において、上記
液晶セルの注入口を液晶に浸漬した状態で、上記排気口
から上記液晶セル内部を排気し、液晶セル内外の圧力差
によって上記注入口から液晶セル内部に上記液晶を注入
することを特徴としている。

【００１０】また、この発明に係る液晶注入方法によれ
ば、上記液晶セルの外部に大気圧を印加した状態で、あ
るいは、大気圧以上の圧力を印加した状態で、上記液晶
セル内部を排気することを特徴としている。

【００１１】請求項５に係るこの発明の液晶注入装置
は、シール材により所定の隙間をおいて貼り合わされた
２枚の基板と、上記シール材に形成された注入口および
排気口とを有する液晶セル内に液晶を注入する液晶注入
装置において、上記液晶セルの注入口に接触する状態に
液晶を貯溜した液晶溜めと、上記液晶セルの排気口に接
続され、上記排気口を通して液晶セル内部を排気し上記
液晶セル内外の圧力差により上記注入口を通して上記液
晶を注入する排気手段と、を備えたことを特徴としてい
る。

【００１２】請求項６に係るこの発明の液晶注入装置
は、シール材により所定の隙間をおいて貼り合わされた
２枚の基板と、上記シール材に形成された注入口および
排気口とを有する液晶セル内に液晶を注入する液晶注入
装置において、内部に上記液晶セルを収容する密閉空間
を有した圧力容器と、上記圧力容器内に配設され、上記
液晶セルの注入口に接触する状態に液晶を貯溜した液晶
溜めと、上記圧力容器内を加圧する加圧手段と、上記液
晶セルの排気口に接続され、上記排気口を通して液晶セ
ル内部を排気し上記液晶セル内外の圧力差により上記注
入口を通して上記液晶を注入する排気手段と、を備えた
ことを特徴としている。

【００１３】上記のように構成された液晶注入方法およ
び液晶注入装置によれば、液晶セルに設けられた排気口
から直接液晶セル内部を排気しながら、注入口を通して
液晶を注入する。この際、液晶セルの注入口に直接ノズ
ルが接することを避けるため、注入口を液晶内に浸漬し
た状態で、液晶セル外部に大気圧あるいは大気圧以上の
圧力を印加する。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下図面を参照しながら、この発
明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本実施
の形態に係る液晶注入装置によって液晶が注入される液
晶セル１１は、図１に示すように、矩形状のアレイ基板
１０および対向基板１２を有し、これら２枚の基板はシ
ール材１４を介して周縁部同士が互いに貼り付けられ、
所定の隙間をおいて対向配置されている。そして、シー
ル材１４には、液晶を注入するための注入口１６および
液晶セル内の空気を排気するための排気口１８が形成さ
れ、アレイ基板１０および対向基板１２の対角方向に対
向した２つの角部に位置している。

【００１５】一方、図２に示すように、液晶注入装置
は、内部に密閉空間としての収容チェンバ２０を有する
圧力容器２２を備え、収容チェンバ２０は、加圧パイプ
２４を介して加圧ポンプ２６に接続されている。また、
収容チェンバ２０内には排気ノズル２８が設けられ、こ
の排気ノズルは、排気パイプ３０を介して圧力容器２２
外方の真空ポンプ３２に接続されている。加圧ポンプ２
６および加圧パイプ２４はこの発明における加圧手段と
して機能し、排気ノズル２８、排気パイプ３０、および
真空ポンプ３２はこの発明における排気手段として機能
する。

【００１６】収容チェンバ２０内には、液晶溜め３４が
配設されている。この液晶溜め３４は、垂直方向に延び
る支持ポスト３６の上端に固定された貯溜ブロック３８
を有し、貯溜ブロックの水平な上面には注入ボート４０
が形成されている。注入ボート４０は、直角三角形の断
面形状を有する凹所で構成され、脱泡した液晶４２が貯
溜されている。

【００１７】上記のように構成された液晶注入装置を用
いて液晶セル１１の基板間に液晶を注入する場合、ま
ず、液晶セル１１を圧力容器２２の収容チェンバ２０内
にセットする。この場合、鉛直方向に対して、液晶セル
１１の注入口１６を下、排気口を上にしてセットすると
ともに、注入口１６全体が液晶４２に浸されるように液
晶セル１１の角部を液晶溜め３４の注入ボード４０にセ
ットする。また、液晶セル１１の排気口１８には排気ノ
ズル２８を取り付ける。

【００１８】この状態で、圧力容器２２を閉じ、真空ポ
ンプ３２を作動させることにより、排気ノズル２８を介
して液晶セル１１内を例えば０．５ｔｏｒ程度で排気す
る。それにより、液晶セル１１内部と外部とのに圧力差
が生じ、注入口１６を介して、液晶溜めか３４ら液晶セ
ル１１内に液晶４２が注入される。この際、液晶４２の
注入速度を上げるために、加圧ポンプ２６を作動させて
収容チェンバ２０内を加圧し、つまり、液晶セル１１外
部を加圧し、液晶セル１１内外の圧力差を大きくする。

【００１９】そして、液晶セル１１内の排気および収容
チェンバ２０内の加圧を続けることにより、液晶セル内
の残留ガスや、液晶に溶け込んだ気体が排気され、液晶
セル内の全体に液晶４２が注入される。

【００２０】上記のように構成された液晶注入装置およ
び液晶注入方法によれば、液晶セル１１内の微少な空間
のみを排気すればよく、従来のように液晶セルを収容し
たチェンバ全体を真空に排気する必要がないことから、
排気に必要な時間を大幅に短縮できる。例えば、１１イ
ンチサイズの液晶セルに液晶を注入する場合、液晶注入
時間を従来の約１０時間から２〜３時間に短縮すること
ができる。従って、液晶セルの製造効率を大幅に上げる
ことが可能となる。同時に、液晶セル１１内を容易にか
つ確実に排気することができ、液晶セル内の残留ガス
や、液晶に溶け込んだ気体に起因する気泡を生じること
なく液晶を注入可能となる。

【００２１】また、液晶セル１１の注入口に注入ノズル
を接続することなく、液晶溜め３４内の液晶４２に浸潰
した状態で注入する方法であることから、注入口や注入
ノズルの形状を精度良く作り込むまなくても対応可能と
なり、製造コストの軽減および大量生産への対応が容易
となる。同時に、注入口近傍における液晶セルの汚染を
防止することもできる。

【００２２】なお、この発明は上述した実施の形態に限
定されることなく、この発明の範囲内で種々変形可能で
ある。例えば、上記実施の形態においては、対角方向に
沿った２つの角部に注入口および排気口をそれぞれ有す
る液晶セルに適用する場合について説明したが、これに
限らず、図３に示すように、対向する２つの辺部に注入
口１６および排気口１８をそれぞれ有する液晶セルにつ
いても適用可能である。

【００２３】この場合、図４に示すように、液晶注入装
置の液晶溜め３４において、貯溜ブロック３８の水平な
上面に形成された注入ボート４０は浅い平坦な凹所によ
って構成され、液晶４２は、表面張力によって盛り上が
った状態で貯溜される。液晶注入装置の他の構成は上述
した実施の形態と同様の構成を用いる。そして、注入口
１６が液晶４２に接触かつ浸漬するように液晶セルをセ
ットし、上記と同様の方法により液晶の注入を行う。

【００２４】このような構成によれば、上述した実施の
形態と同様の作用効果を得ることができるとともに、液
晶溜め３４に充填する液晶４２の量を必要最小限に低減
することができ、液晶を無駄なく使用し材料効率の向上
を図ることが可能となる。

【００２５】また、上記実施の形態においては、液晶セ
ル外部を加圧しながら液晶を注入する構成としたが、こ
れに限らず、大気圧にて、つまり、液晶セルの外部を大
気に開放した状態で液晶を注入する構成としてもよい。
この場合、圧力容器２２、加圧ポンプ２６を設ける必要
がなく、液晶注入装置の簡略化を図ることができる。な
お、液晶セルに形成された注入口および排気口の数は必
要に応じて増加可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、液晶セル内部のみを排気しながら注入口を通して直
接液晶セル内に液晶を注入する構成としたことから、液
晶セルの汚染や気泡の発生を生じることなく、従来に比
較して液晶注入時間を大幅に短縮でき効率よく液晶を注
入可能な液晶注入方法、および液晶注入装置を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】液晶セルの構造を示す斜視図。

【図２】この発明の実施の形態に係る液晶注入装置を概
略的に示す断面図。

【図３】他の液晶セルの構造を示す斜視図。

【図４】この発明の他の実施の形態に係る液晶注入装置
を概略的に示す断面図。

【符号の説明】

１０…アレイ基板 １１…液晶セル １２…対向基板 １４…シール材 １６…注入口 １８…排気口 ２０…収容チェンバ ２２…圧力容器 ２６…加圧ポンプ ２８…排気ノズル ３２…真空ポンプ ３４…液晶溜め ４０…注入ボート ４２…液晶

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シール材により所定の隙間をおいて貼り合
   わされた２枚の基板と、上記シール材に形成された注入
   口および排気口と、を有する液晶セル内に液晶を注入す
   る液晶注入方法において、 上記液晶セルの注入口を液晶に浸漬した状態で、上記排
   気口から上記液晶セル内部を排気し、液晶セル内外の圧
   力差によって上記注入口から液晶セル内部に上記液晶を
   注入することを特徴とする液晶注入方法。
2. 【請求項２】上記液晶セルの外部に大気圧を印加した状
   態で上記液晶セル内部を排気することを特徴とする請求
   項１に記載の液晶注入方法。
3. 【請求項３】上記液晶セルの外部に大気圧以上の圧力を
   印加した状態で上記液晶セル内部を排気することを特徴
   とする請求項１に記載の液晶注入方法。
4. 【請求項４】上記液晶セルを密閉空間内に配置し、上記
   密閉空間内を加圧しながら上記排気を行うことを特徴と
   する請求項３に記載の液晶注入方法。
5. 【請求項５】シール材により所定の隙間をおいて貼り合
   わされた２枚の基板と、上記シール材に形成された注入
   口および排気口とを有する液晶セル内に液晶を注入する
   液晶注入装置において、 上記液晶セルの注入口に接触する状態に液晶を貯溜した
   液晶溜めと、 上記液晶セルの排気口に接続され、上記排気口を通して
   液晶セル内部を排気し上記液晶セル内外の圧力差により
   上記注入口を通して上記液晶を注入する排気手段と、 を備えたことを特徴とする液晶注入装置。
6. 【請求項６】シール材により所定の隙間をおいて貼り合
   わされた２枚の基板と、上記シール材に形成された注入
   口および排気口とを有する液晶セル内に液晶を注入する
   液晶注入装置において、 内部に上記液晶セルを収容する密閉空間を有した圧力容
   器と、 上記圧力容器内に配設され、上記液晶セルの注入口に接
   触する状態に液晶を貯溜した液晶溜めと、 上記圧力容器内を加圧する加圧手段と、 上記液晶セルの排気口に接続され、上記排気口を通して
   液晶セル内部を排気し上記液晶セル内外の圧力差により
   上記注入口を通して上記液晶を注入する排気手段と、 を備えたことを特徴とする液晶注入装置。