JPH10252214A - 建物の壁用パネル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部空間に発泡材が充填される壁用パネルに
おいて、該内部空間に設けられる補強構造を単純化して
製作を容易にすると共に、すぐれた強度を有するものに
する。 【解決手段】 方形のパネルの４周を形成する剛性の枠
材からなるパネル枠２の相対する一対の前記枠材間に前
記枠材と同じ高さ寸法の桟材３が固定され、該桟材には
発泡材が流通し得る開口３ａが形成されている。好まし
くは該桟材はパネル枠の枠材と同じ材質及び同じ断面形
状の枠材で構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は好適にはプレハブ工
法によって建てられる住宅の壁用パネルとして用いるこ
とができ且つ内部空間が発泡材で充填されたユニット型
のパネルの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建物の外壁、内壁もしくは仕切壁
等として用いられるユニット型の壁用パネルとして用い
られ、且つ強度、気密性及び断熱性を高めるためパネル
を中空に形成して該内部空間に発泡ウレタン等の発泡材
を充填してなるものは既に知られている。この種の壁用
パネルは通常、長方形状に構成されたパネル枠と、パネ
ルが設置された際に室内側及び室外側の表面となる該パ
ネルの両面を形成する一対の面板と、該パネル枠及び該
一対の面板で包囲される内部空間を充填する発泡材から
なり、さらに発泡充填時の圧力及び組立後の使用時の荷
重に耐えるためパネル内部には補強材が設置された。

【０００３】この種のパネル内に取付けられる従来の補
強構造は注入時の発泡材の流通を阻害しないようにする
ため、細長い材料又は薄い板材が取付けられて構成され
た。従ってそれらの補強用の部材としては充分な強度を
有する枠材を用いることができなかったため、比較的多
くの部材が用いられ且つ補強部材の固定用のブラケット
が多く取付けられるなど、比較的複雑な補強構造が採ら
れた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように従来の発泡
材充填型の壁用パネルはその内部に構成される補強構造
が比較的複雑であったため、相応の手作業を要し、従っ
てコスト高にならざるを得ない。さらに複雑な補強構造
を有するにも拘らず、それ程の強度の向上は期待し得な
い等の問題点があった。

【０００５】本発明の目的は上記従来技術の問題点を解
消することであって、それ故、パネルの内部空間に設け
られる補強構造を単純化し、手作業を少なくして製作を
容易にし、且つすぐれた強度を有する建物の壁用パネル
を提供することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記本発明の目的を達成
するため、この建物の壁用パネルの特徴は、方形の壁用
パネルの４周を形成する剛性の枠材からなるパネル枠
と、前記パネルの両面を形成する一対の面板と、前記パ
ネル枠及び前記一対の面板で包囲されるパネルの内部空
間を充填する発泡材を含むと共に、前記パネル枠の相対
する一対の前記枠材間に固定された前記枠材と同じ高さ
寸法の桟材を含み、前記桟材には発泡材が流通し得る開
口が形成されていることである。好ましくは該桟材はパ
ネルが長方形である場合にはその短辺に平行に２つ配置
される。このような桟材によって発泡材の充填を可能に
すると共に、パネルの強度をすぐれたものにしている。

【０００７】また好ましい形態では、前記桟材はパネル
枠の枠材と同じ材質且つ同じ断面形状の枠材で構成さ
れ、それにより一層強度上好ましいものにし、且つ製作
を容易にする。さらに所望により、パネルの内部空間の
対角線上に互いに交差する一対の細長い補強部材を設け
ることも可能であり、各該補強部材は前記桟材の開口を
通るように配置される。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に図面を参照のもとに本発明に
関し好適な実施例により詳細に説明する。図１は本発明
による壁用パネルの一例を全体的に示すものであって、
図示の実施例では、この壁用パネル１は縦長の長方形状
に構成され、その縦方向（長手方向）が鉛直になるよう
に組立てられ、組立てられた状態では縦方向に平行な両
側の縁が隣接のパネルに側対側で接合される。パネル１
の上下左右の４周は剛性の枠材によって構成され、該枠
材が端部で溶接又はボルト締め等により互いに連結され
て長方形状のパネル枠２が形成される。パネル枠２を構
成する枠材の材質は特に限定するものではないが、枠材
としては好ましくは鉄、ステンレスもしくはアルミ材な
どの金属製の型材、例えば断面コ字状の型材が用いられ
る。

【０００９】この壁用パネル１の主要な特徴はパネル枠
２の内側に好ましくはパネル１の短辺、即ち上辺又は下
辺の枠材２ｂに平行に、好ましくは一対の桟材３、この
実施例では横桟３、３が適当な間隔で取付けられている
ことである。これらの横桟は剛性の材料からなり、且つ
各横桟３の両端がパネル枠２の対応の縦方向の枠材２ａ
に溶接又はねじ止め等によって固定される。パネル枠２
に横桟３が固定された後にその両面に面板４、５が取付
けられる。

【００１０】パネル枠２を構成する縦方向の枠材２ａ及
び横方向の枠材２ｂは同じ高さ寸法を有し、且つ通常、
同じ材質の型材で作られる。それらの枠材を挾んでパネ
ルの室内側及び室外側の面となる両面の面板４、５が取
付けられるため、図２に示すように、枠材の高さ寸法で
面板４と面板５の間隔（図２のＨ）が定められ且つ該間
隔が保持される。好ましくはパネル枠２の枠材及び各横
桟３は金属製の型材で構成され、且つ横桟３の高さ寸法
は枠材２ａ、２ｂの高さ寸法と同じである。これらの横
桟３、３はパネル枠２を補強し、歪みが生じるのを防ぐ
役割を果す。

【００１１】なお、図示の実施例では一対の横桟３、３
が設置され、通常の壁用パネル１の縦方向の寸法に対し
横桟３が２つ在ることは最少個数の横桟で充分な強度が
達成できるため最も好ましいが、種々の仕様もしくは条
件により、場合によっては横桟３は１つであってもよ
く、又は所望により３つもしくはそれ以上の個数が設置
されてもよい。

【００１２】さらに、好ましくは、パネル枠２の枠材は
金属製の型材で構成されると共に、横桟３はパネル枠２
の枠材と同じ材質且つ同じ断面形状の枠材で構成され、
このように同じ枠材であれば、製作を容易にし且つ強度
上一層好ましいものになる利点がある。

【００１３】この壁用パネルの内部には発泡材が充填さ
れるため図２に示すように、各横桟３には液状の発泡材
の流通（貫流）を可能にするため開口３ａが設けられ
る。該開口３ａの形状、個数及び大きさは発泡材の流通
を適切に可能にする限り任意であってよく、該開口の個
数はその大きさとの関係で定められる。なお、開口３ａ
は通常は貫通孔として形成されるが、場合により切欠で
あってもよい。

【００１４】パネル枠２の内側に横桟３が固定される
と、パネル両面の面板４、５がパネル枠２の両面に固定
される。これらの面板は金属製の平板で構成されるのが
好ましいが、場合により合成樹脂製の平板もしくは木製
の板又は無機質の平板など、適当な材質の平板であって
よい。パネル枠２への各面板４、５の取付けはそれらの
材質により溶接、接着、ねじ止めなど、適当な手段で行
なわれる。

【００１５】パネル枠２への面板４、５の取付けによ
り、パネル枠２の適当な位置に発泡材の導入孔及び空気
の導出孔が在るのみで、パネル１内に密閉空間が形成さ
れ、且つその内部空間は横桟３で複数の区域に区分され
ているが、横桟の開口３ａを介してパネル内の内部空間
の全ての区域は互いに連通している。

【００１６】このパネル１のパネル枠２に横桟３が固定
され且つ面板４、５が取付けられると、適当な支持台上
に平らに、即ち一方の面板が該支持台に接触するように
載置し且つその上側を適当な押圧装置で保持し、その状
態でパネル枠２の適当な位置に設けられた導入孔から液
状の発泡材をパネルの内部空間に注入する。その際、導
出孔から空気の漏出を可能にし、パネル内部の気圧が上
昇するのを防ぐ。

【００１７】このようにパネルの内部空間の全体にわた
るように発泡材を注入して発泡、固化し、パネルの内部
空間の全体にわたり発泡材６を充填する。このパネル枠
２は横桟３で補強されているので、発泡時の圧力による
変形や歪みは適切に防ぐことができる。発泡材としては
発泡ウレタン、発泡スチロ−ルなど適当な発泡材が用い
られるが、好ましくは断熱性のある発泡材が充填され
る。

【００１８】この壁用パネル１はパネル枠２及び表裏両
面の面板４、５で包囲される内部空間の全体にわたり発
泡材６が充填されるので、パネル枠２、横桟３及び面板
４、５が発泡材により一体的に固定され、さらにパネル
枠２の枠材と同じ高さ寸法の横桟３による補強により、
すぐれた強度を有するものになっている。

【００１９】この壁用パネル１はまた、図１に示すよう
に、一対の横桟３が備えられれば、該横桟の間に所望に
より窓サッシュを設置することも可能であり、その場
合、それらの横桟３が窓サッシュの位置決めの役割も果
す利点がある。

【００２０】なおまた、図３及び図４に示すように、場
合によってはパネル枠２の内部の４隅に、パネル１の厚
さのほぼ中間位置にブラケット７を溶接等によって取付
け、及びそれらのブラケットによりパネルの対角線上に
一対の細長い補強部材８、９を取付けてもよい。これら
の補強部材は中央で交差し、各端部が対応のブラケット
７に固定される。各補強部材は細長い平板などで構成さ
れ、それぞれ横桟の開口３ａを通して配置される。

【００２１】壁用パネルに特に強度が要求される場合、
横桟３のほか、このような補強部材８、９が設置される
のが好ましく、パネルは該横桟と該補強部材で著しく強
化される。

【００２２】なお、上記の実施例では、パネル１は長方
形状に形成されているが、場合によっては正方形であっ
てもよい。また、図示の例では、桟材３は横桟として水
平に設けられているが、所望により縦方向に設置しても
よく、さらに場合によっては縦横に設けることも可能で
ある。いずれの場合も発泡材６の充填のため各桟材には
開口３ａが設けられる。

【００２３】

【発明の効果】上記のように、本発明によれば、パネル
枠への桟材の設置により、補強構造を単純化し、従って
製作を容易にし、コストの節減に寄与する。また、発泡
材の充填を可能にすると共に、桟材の高さ寸法がパネル
枠の枠材の高さ寸法と同じであるため強度をすぐれたも
のにしている。

【００２４】パネル枠の枠材を金属製の型材で構成する
と共に、桟材をパネル枠の枠材と同じ材質及び同じ断面
形状にすることにより、強度上すぐれたものにし、且つ
素材の種類を少なくするので、製作を容易にし、コスト
の節減を可能にする。

【００２５】さらに、桟材のほか、パネルの対角線上に
延びる一対の補強部材を設けることにより、この壁用パ
ネルの強度を一層すぐれたものにし、苛酷な条件に耐え
得るものにする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による建物の壁用パネルの一例を全体的
に示す正面図である。

【図２】図１の線Ａ−Ａに沿って取った断面図である。

【図３】本発明による建物の壁用パネルの他の実施例を
全体的に示す正面図である。

【図４】図３の線Ｂ−Ｂに沿って取った断面図である。

【符号の説明】

１：壁用パネル、２：パネル枠、２ａ、２ｂ：枠材、
３：桟材、３ａ：桟材の開口、４、５：面板、６：発泡
材、７：ブラケット、８、９：補強部材

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物の方形の壁用パネルであって、該パ
   ネルの４周を形成する剛性の枠材からなるパネル枠と、
   前記パネルの両面を形成する一対の面板と、前記パネル
   枠及び前記一対の面板で包囲された前記パネルの内部空
   間に充填される発泡材を含む壁用パネルにおいて、前記
   パネル枠の相対する一対の前記枠材間に前記枠材と同じ
   高さ寸法の桟材が固定され、前記桟材には発泡材が流通
   し得る開口が形成されていることを特徴とする建物の壁
   用パネル。
2. 【請求項２】 前記パネルの枠材は金属製の型材からな
   り、前記桟材は前記パネル枠の枠材と同じ材質且つ同じ
   断面形状の枠材で構成されることを特徴とする請求項１
   に記載の建物の壁用パネル。
3. 【請求項３】 さらに前記パネルの内部空間にはその対
   角線上に配置され且つ互いに交差する一対の細長い補強
   部材が設けられ、それらの補強部材は前記桟材の前記開
   口を通るように配置されていることを特徴とする請求項
   １に記載の建物の壁用パネル。