JPH10250614A - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置

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Publication number
JPH10250614A
JPH10250614A JP9365738A JP36573897A JPH10250614A JP H10250614 A JPH10250614 A JP H10250614A JP 9365738 A JP9365738 A JP 9365738A JP 36573897 A JP36573897 A JP 36573897A JP H10250614 A JPH10250614 A JP H10250614A
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JP
Japan
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steering
value
suppression
output torque
driver
Prior art date
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Application number
JP9365738A
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English (en)
Inventor
Katsutoshi Nishizaki
勝利 西崎
Masaya Segawa
雅也 瀬川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Koyo Seiko Co Ltd
Original Assignee
Koyo Seiko Co Ltd
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Publication date
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】シンプルな構造で、ドライバーの意図を反映し
た操舵抑制解除の緊急度を的確に判定し、その緊急度に
応じたタイミングで操舵抑制を解除することで、適切な
危険回避を図ることのできる車両の操舵装置を提供す
る。 【解決手段】障害物との衝突可能性に基づいて操舵を抑
制可能である。その操舵抑制に対するドライバーの抵抗
の程度に対応する抵抗対応値を求め、その抵抗対応値が
設定値以上か否かを判定する。その抵抗対応値が設定値
以上の時に操舵抑制を解除する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行中の車両が他
車両等の障害物に衝突するのを防止できる車両の操舵装
置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】車線変更
等の際に車両が側方や後側方の他車両等の障害物と衝突
するのを防止することを目的として、その側方や後側方
の障害物を検知するセンサを設け、車両と障害物との衝
突可能性に基づき、操舵抑制を行なう操舵装置が提案さ
れている。
【0003】しかし、操舵抑制中に緊急事態、例えば前
方障害物が突然現れる等の事態が生じた場合、操舵抑制
を解除する必要がある。
【0004】そのような緊急事態に対処するため、側方
や後側方の障害物を検知するセンサだけでなく、前方障
害物を検知するセンサを設け、前方障害物の検知直後の
側方障害物の検知は無視する等の制御を行なうことが考
えられる。しかし、この場合は前方障害物の検知センサ
が必須になるため高価になる。
【0005】また、自車両の周囲環境の変化から危険度
を求め、その危険度に応じて操舵制御モードを自動モー
ドや半自動モード等に切り換えるものが提案されている
(特開平7‐47967号公報)。しかし、周囲環境の
検知等が必要になるため、システムが大がかりになり、
非常に高価なものになる。
【0006】本発明は、上記問題を解決することのでき
る車両の操舵装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、障害物との衝
突可能性に基づいて操舵を抑制可能な車両の操舵装置に
おいて、その操舵抑制に対するドライバーの抵抗の程度
に対応する抵抗対応値を求め、その抵抗対応値が設定値
以上か否かを判定し、その抵抗対応値が設定値以上の時
に操舵抑制を解除する手段を備えることを特徴とする。
これにより、操舵抑制に逆らって操舵をする必要性が生
じ、ドライバーが操舵抑制に抵抗すると、操舵抑制を解
除することができる。この場合、そのドライバーの抵抗
の程度に対応する抵抗対応値が設定値以上の時に操舵抑
制が解除されるので、その操舵抑制解除の緊急度が高い
程に早く操舵抑制を解除することが可能になる。
【0008】その操舵抑制に対するドライバーの抵抗対
応値として、ドライバーの抵抗力の操舵抑制開始からの
時間積分値に対応する値を求めるのが好ましい。これに
より、操舵抑制を解除するまでの時間を、ドライバーの
操舵抑制に対する抵抗が大きい程に短くでき、操舵抑制
中における緊急度レベルの変化に対応することができ
る。
【0009】その操舵抑制に対するドライバーの抵抗対
応値として、ドライバーの抵抗力に対応する値を求める
のが好ましい。これにより、操舵抑制を解除する必要性
が高い緊急時に、ドライバーが大きな抵抗力を作用させ
ることで、迅速に操舵抑制を解除することができる。よ
って、操舵抑制中に操舵の必要性が急に高まった場合
に、そのドライバーが作用させる抵抗力の増大により操
舵抑制を迅速に解除し、操舵に遅れが生じるのを防止で
きる。また、操舵抑制を解除しようとするドライバーの
意志を迅速に反映することができるので、衝突可能性の
ある方向と反対方向にステアリングホイールが過剰に戻
されるのを防止できる。
【0010】その設定値を、ドライバーの特性に応じて
変更可能な手段を備えるのが好ましい。力が比較的強い
ドライバーや、荒っぽい運転をするため操舵を比較的急
激に行なうドライバーに対しては、その設定値を大きく
し、一方、力が比較的弱いドライバーや、操舵を比較的
緩やかに行なうドライバーに対しては、その設定値を小
さくすることができ、ドライバーの特性に応じて適切に
操舵抑制の解除を行なうことができる。
【0011】その設定値を、車速に応じて変更可能な手
段を備えるのが好ましい。これにより、その設定値を高
速では小さくし、低速では大きくすることで、車速に応
じた適切なタイミングで操舵抑制の解除を行うことがで
きる。
【0012】本発明の車両の操舵装置は、操舵補助を行
う手段と、操舵の緊急度レベルを判定する手段とを備
え、その操舵の緊急度レベルが設定以上である場合に操
舵補助力を低減可能であるのが好ましい。この構成によ
れば、急操舵を行った場合は操舵補助力を低減すること
ができる。これにより、衝突可能性のある方向へ操舵す
ることで操舵抑制がなされた後に、慌てて反対方向に急
操舵を行ったような場合に、車両挙動が不安定になるの
を防止できる。また、前方障害物の回避等のために非常
に急激に操舵を行った場合にも、必要以上に急激に操舵
されるのを防止して車両挙動の安定化を図ることができ
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。
【0014】まず、本発明を適用する電動パワーステア
リング装置を備えた車両を用い、車線変更を行なう場合
において、操舵の緊急度レベルと、操舵開始から設定時
間内における操舵出力トルクの変化量との関係を、実験
によって求めた。図1は、その実験結果を示す。なお、
本件明細書において、操舵出力トルクの変化加速度とは
操舵出力トルクの時間についての2階微分値をいい、そ
の操舵出力トルクの変化加速度の変化速度とは、その操
舵出力トルクの変化加速度の時間についての微分値をい
う。
【0015】その図1における横軸は、車速50km/
時で横方向に3.5mの車線変更を行なう場合におい
て、最初の1mを移動するのに要した時間(秒)を示
す。その時間が短い程に緊急度レベルが高い。
【0016】その図1における縦軸は、操舵開始から設
定時間(0.1秒間)における操舵出力トルクの変化量
(N・m)を示す。この操舵出力トルクは、車輪の転舵
角が実際に変化するのに先行して変化する。その設定時
間は、後述のように、標準的な操舵を行なった場合に、
操舵開始から設定時間内における操舵出力トルクの変化
量と、操舵の緊急度レベルとを対応付けることができる
範囲で、可及的に短く設定するのが好ましい。
【0017】その図1においては、実験結果のデータ
を、「●」と「△」とでプロットしている。「●」で示
すデータa〜vは、標準的な操舵を行なった結果を示
す。「△」で示すデータα〜εは、変則的な操舵を行な
った結果を示す。ここで、標準的な操舵とは、車線変更
の開始から終了までの間において、意識的に操舵の速さ
を変えることなく自然に行なう操舵をいう。また、変則
的な操舵とは、車線変更の開始当初において、意識的に
操舵の速さを変えて行なう操舵をいう。
【0018】図1に示す標準的な操舵のデータa〜vか
ら、車線変更時に標準的な操舵を行なった場合は、操舵
開始から設定時間内における操舵出力トルクの変化量
と、操舵の緊急度レベルとには対応関係があるのを確認
できる。本実験においては、その操舵の緊急度レベルを
4段階に分類している。すなわち、データa〜gが最も
緊急度レベルの高い「緊急」に、データh、iが2番目
に緊急度レベルの高い「クイック」に、データj〜sが
3番目に緊急度レベルの高い「普通」に、データt〜v
が「普通」と最も緊急度レベルの低い「スロー」との境
界に分類される。
【0019】一方、図1に示す変則操舵のデータα〜ε
から、車線変更時に変則的な操舵を行なった場合は、操
舵の緊急度レベルと、操舵開始から設定時間内における
操舵出力トルクの変化量とは、対応関係がないことを確
認できる。すなわち、データαは、車線変更に要する時
間に対応する緊急度レベルからは「クイック」に分類さ
れるべきものであるが、意図的に車線変更の開始直後の
み急激な操舵を行なっているため、操舵開始から設定時
間内における操舵出力トルクの変化量からは「緊急」に
分類される。また、データβは、車線変更に要する時間
に対応する緊急度レベルからは「クイック」に分類され
るべきでものであるが、意図的に車線変更の開始直後だ
けは通常の速さでの操舵を行なっているため、操舵開始
から設定時間内における操舵出力トルクの変化量からは
「普通」に分類されている。また、データγ、δは、車
線変更に要する時間に対応する緊急度レベルからは「普
通」に分類されるべきでものであるが、意図的に車線変
更の開始直後だけは比較的素早い操舵を行なっているた
め、操舵開始から設定時間内における操舵出力トルクの
変化量からは「クイック」に分類されている。また、デ
ータεは、車線変更に要する時間に対応する緊急度レベ
ルからは「普通」に分類されるべきでものであるが、意
図的に車線変更の開始直後だけは比較的緩やかな操舵を
行なっているため、操舵開始から設定時間内における操
舵出力トルクの変化量からは「普通」と「スロー」との
境界に分類されている。
【0020】次に、車線変更を行なう場合において、操
舵の緊急度レベルと、操舵開始から設定時間(0.1
秒)経過時点の操舵出力トルクの変化加速度との関係
を、同じ電動パワーステアリング装置を備えた車両を用
いた実験により求めた。図2は、その実験結果を示す。
この図2の実験結果の各データは、上記図1の実験結果
の各データに対応する。
【0021】その図2における横軸は、車速50km/
時で横方向に3.5mの車線変更を行なう場合におい
て、最初の1mを移動するのに要した時間を示す。その
図2における縦軸は、操舵開始から0.1秒経過時点の
操舵出力トルクの変化加速度(N・m/s2 )を示す。
【0022】その図2においては、実験結果のデータ
を、図1と同様に標準的な操舵を行なった結果を「●」
で、変則的な操舵を行なった結果を「△」でプロット
し、各データ符号a〜v、α〜εは、図1のデータ符号
に対応する。
【0023】図2に示す標準的な操舵のデータa〜vか
ら、車線変更時に標準的な操舵を行なった場合は、操舵
の緊急度レベルと、その操舵出力トルクの変化加速度と
は、対応関係があることを確認できる。すなわち、デー
タa〜gが最も緊急度レベルの高い「緊急」に、データ
h、iが2番目に緊急度レベルの高い「クイック」に、
データj〜sが3番目に緊急度レベルの高い「普通」
に、データt〜vが「普通」と最も緊急度レベルの低い
「スロー」との境界に分類される。その緊急度レベルが
「普通」と「スロー」との境界は、その変化加速度が零
とされる。
【0024】一方、図2に示す変則操舵のデータα〜ε
から、車線変更時に変則的な操舵を行なった場合は、操
舵の緊急度レベルと、その操舵出力トルクの変化加速度
とは、必ずしも対応しないことを確認できる。すなわ
ち、データαは、車線変更に要する時間に対応する緊急
度レベルからは「クイック」に分類されるべきものであ
るが、意図的に車線変更の開始直後のみ急激な操舵を行
なっているため、その変化加速度に対応する緊急度レベ
ルは「クイック」と「普通」との境界に分類されてい
る。このデータαは、操舵開始から設定時間内における
操舵出力トルクの変化量に対応する緊急度レベルは「緊
急」に分類されているので、その緊急度レベルの程度
は、その操舵出力トルクの変化加速度に対応する緊急度
レベルの方が低くなっている。また、データβは、車線
変更に要する時間に対応する緊急度レベルからは「クイ
ック」に分類されるべきものであり、意図的に車線変更
の開始直後だけは通常の速さでの操舵を行なっている
が、その操舵出力トルクの変化加速度に対応する緊急度
レベルは「クイック」に分類されている。このデータβ
は、操舵開始から設定時間内における操舵出力トルクの
変化量に対応する緊急度レベルは「普通」に分類されて
いるので、その緊急度レベルの程度は、その操舵出力ト
ルクの変化加速度に対応する緊急度レベルの方が高くな
っている。また、データγ、δは、車線変更に要する時
間に対応する緊急度レベルからは「普通」に分類される
べきでものであるが、意図的に車線変更の開始直後だけ
は比較的素早い操舵を行なっているため、その操舵出力
トルクの変化加速度に対応する緊急度レベルは「普通」
と「クイック」の境界近傍に分類されている。このデー
タγ、δは、操舵開始から設定時間内における操舵出力
トルクの変化量に対応する緊急度レベルは「クイック」
に分類されているので、その緊急度レベルの程度は、そ
の操舵出力トルクの変化加速度に対応する緊急度レベル
の方が低くなっている。また、データεは、車線変更に
要する時間に対応する緊急度レベルからは「普通」に分
類されるべきものであり、意図的に車線変更の開始直後
だけは比較的緩やかな操舵を行なっているが、その操舵
出力トルクの変化加速度に対応する緊急度レベルも「普
通」に分類されている。このデータεは、操舵開始から
設定時間内における操舵出力トルクの変化量に対応する
緊急度レベルは「普通」と「スロー」との境界に分類さ
れているので、その緊急度レベルの程度は、その操舵出
力トルクの変化加速度に対応する緊急度レベルの方が高
くなっている。
【0025】次に、その操舵出力トルクの変化加速度に
対応する緊急度レベルが、「普通」と「スロー」との境
界に近いデータk、o、n、ε、r、t、u、vについ
て、その変化加速度の変化速度も考慮して、操舵開始か
ら上記設定時間(0.1秒)経過時点から、さらに設定
時間(0.4秒)経過時点の操舵出力トルクを演算し
た。そのさらなる設定時間は、各データk、o、n、
ε、r、t、u、vの緊急度レベルの相違を下記のよう
に識別することができる範囲で、可及的に短く設定する
のが好ましい。その演算結果を、操舵開始から0.1秒
経過時点の操舵出力トルクと比較すると、車線変更に要
する時間に対応する緊急度レベルの高いデータk、o、
n、εについては、図2において矢印で示すように操舵
出力トルクが増加し、車線変更に要する時間に対応する
緊急度レベルの低いデータr、t、u、vについては、
図2において矢印で示すように操舵出力トルクが減少す
る。すなわち、操舵の緊急度レベルが2つの緊急度レベ
ルの境界または境界近傍である場合、操舵開始から設定
時間経過時点の操舵出力トルクが、その後に増加する場
合は減少する場合よりも、緊急度レベルが高い。この関
係が成り立つ操舵の緊急度レベルの境界付近の領域を、
本件明細書では緊急度レベルの境界近傍とし、その具体
的な境界からの範囲は実験により求めることができる。
【0026】次に、カーブ進入を行なう場合において、
操舵開始から設定時間内における操舵出力トルクの変化
量と、その設定時間経過時点の操舵出力トルクの変化加
速度との関係を、電動パワーステアリング装置を備えた
車両を用いた実験によって求めた。図3は、その実験結
果を示す。
【0027】その図3における横軸は、車速50km/
時で減速することなく一定の旋回半径のカーブを通過し
た場合において、そのカーブ進入のための操舵開始から
0.1秒間における操舵出力トルクの変化量(N・m)
を示す。その縦軸は、その操舵開始から設定時間(0.
1秒)経過時点の操舵出力トルクの変化加速度(10N
・m/s2 )を示す。
【0028】その図3においては、カーブ進入時の実験
結果のデータを、「●」と「□」とでプロットしてい
る。「●」で示すデータは、標準的な操舵を行なった結
果を示す。「□」で示すデータは、変則的な操舵を行な
った結果を示す。ここで、標準的な操舵とは、カーブの
進入時に意識的に操舵の速さを変えることなく自然に行
なう操舵をいう。また、変則的な操舵とは、カーブの進
入時に意識的に操舵を速くする操舵をいう。
【0029】また、図3においては、車線変更を行なっ
た場合の、操舵開始から設定時間内における操舵出力ト
ルクの変化量と、その設定時間経過時点の操舵出力トル
クの変化加速度との関係も併せて示した。その車線変更
を行なった場合のデータとして、操舵の緊急度レベルが
上記「普通」に分類されるものを「○」で、「普通」と
「スロー」との境界に分類されるものを「△」で示し
た。
【0030】図3に示す標準的な操舵のデータから、カ
ーブ進入時に標準的な操舵を行なった場合は、その操舵
出力トルクの変化加速度は略零以下になることを確認で
きる。これは、カーブ進入当初に車線に忠実に追従しよ
うとする場合、ドライバーは操舵の速さを一定にしよう
としたり、舵角が過大になると小さくする修正操舵を行
なうことによる。よって、その操舵出力トルクの変化加
速度の略零の値は、操舵の目的がカーブ進入か否かを判
断する上での閾値となり、その閾値は実験的に予め設定
できる。
【0031】その標準的な操舵によるカーブ進入のデー
タは、その操舵出力トルクの変化量や、操舵出力トルク
の変化加速度からは、車線変更のための操舵であって緊
急度レベルが「普通」と「スロー」との境界よりも小さ
く、その変化加速度が略零の閾値以下のデータと区別が
できない。そこで、その操舵出力トルクの変化加速度の
その後の設定時間(0.1秒)経過後の値を求めたとこ
ろ、車線変更の場合は単調減少するのに対し、カーブ進
入の場合は横這いか単調増加であった。その設定時間
は、カーブ進入か車線変更かを識別できる範囲で可及的
に短くする。
【0032】一方、図3に示す変則的な操舵のデータか
ら、カーブ進入時に変則的な操舵を行なった場合、すな
わち、操舵当初に意図的に急なステアリングホイールの
切り込みを行った場合、その操舵出力トルクの変化加速
度は略零の閾値よりも大きくなるのを確認できる。
【0033】その変則的な操舵によるカーブ進入のデー
タは、その操舵出力トルクの変化量や、操舵出力トルク
の変化加速度からは、車線変更のための操舵であって緊
急度レベルが「普通」以上であって、変化加速度が略零
の閾値を超えるものと区別ができない。そこで、その操
舵出力トルクの変化加速度のその後の設定時間内の増減
を求めたところ、車線変更の場合は減少しないのに対
し、カーブ進入の場合は減少する。これは、カーブ進入
の場合に意図的に急なステアリングホイールの切り込み
を行うと、その後に進路修正操舵が必要になるからであ
る。その設定時間は、カーブ進入か車線変更かを識別で
きる範囲で可及的に短くする。
【0034】以上のことから、操舵開始から設定時間内
における操舵出力トルクの変化量、その設定時間経過時
点の操舵出力トルクの変化加速度、操舵開始から設定時
間経過時点の操舵出力トルクのその後の設定時間内の増
減、および、その操舵出力トルクの変化加速度のその後
の設定時間内の増減に基づいて、操舵の緊急度レベルを
判定でき、さらに、操舵の目的を判定できる。
【0035】図4に示すラックピニオン式電動パワース
テアリング装置1は、車両AのステアリングホイールH
に連結される入力軸2と、この入力軸2にトルクセンサ
3を介して連結される出力軸4とを備えている。そのト
ルクセンサ3により、入力軸2から出力軸4に伝達され
る操舵入力トルクが時系列に検出される。その出力軸4
はピニオン6に接続され、そのピニオン6に噛み合うラ
ック7に操舵用車輪8が連結される。これにより、操舵
入力トルクがステアリングホイールH、入力軸2、トル
クセンサ3、出力軸4、およびピニオン6を介してラッ
ク7に伝達され、そのラック7の移動により車両Aの操
舵がなされる。
【0036】そのラック7の一部はボールスクリュー2
1とされ、このボールスクリュー21に噛み合うボール
ナット22の外周にギアが形成され、そのギアに噛み合
うギア24に、駆動ギア25が噛み合う。その駆動ギア
25は、操舵補助用および操舵抑制用のアクチュエータ
であるDCサーボモータ13により回転駆動される。こ
れにより、そのモータ13の発生する付加トルクがラッ
ク7に伝達される。
【0037】そのステアリングホイールHからラック7
までのギア比を操舵入力トルクに乗じた値と、そのモー
タ13の出力軸からラック7までの減速比にそのモータ
13の出力トルクを乗じた値との和が、操舵出力トルク
に対応する。本実施形態では、その操舵出力トルクに対
応する値として、上記のようにトルクセンサ3により操
舵入力トルクを検知する。その操舵入力トルクと、後述
のコントローラ50に記憶された操舵出力トルクとの関
係から、操舵入力トルクに操舵出力トルクが対応付けら
れる。
【0038】そのトルクセンサ3は、コンピューターに
より構成されるコントローラ50に接続される。そのコ
ントローラ50に、前記モータ13、車速検知センサ5
1、車両Aに取り付けられた複数の障害物検知センサ5
3、54、55、56、およびボイスアラーム52が接
続される。それら障害物検知センサ53、54、55、
56は、例えば、車両Aの左右側方と左右後側方におけ
る障害物を検知するもので、車両からレーザや超音波等
のレーダ波を発射する発信器と、そのレーダ波の受信器
と、その受信したレーダ波の増幅器とを有し、そのレー
ダ波の発信から受信までの時間差からコントローラ50
により障害物までの距離を演算するものにより構成でき
る。
【0039】そのコントローラ50は、操舵開始から設
定時間内における操舵出力トルクの変化量と、操舵の緊
急度レベルとの予め定めた対応関係を制御プログラムの
一部として記憶し、また、その変化加速度と、操舵の緊
急度レベルとの予め定めた対応関係を記憶する。本実施
形態では、その記憶する対応関係における緊急度レベル
は、上記のように、「緊急」、「クイック」、「普
通」、「スロー」の4段階とされている。
【0040】さらに、そのコントローラ50は、ドライ
バーの特性に対応する値として、操舵出力トルクToの
絶対値の最大値、操舵出力トルクToの変化加速度の絶
対値の最大値、および操舵入力トルクTiの絶対値の最
大値を記憶する。これらの値は、力が比較的強いドライ
バーや、荒っぽい運転をするドライバーでは大きくな
り、力が比較的弱いドライバーや、操舵を比較的緩やか
に行なうドライバーでは小さくなる。
【0041】例えば、以下の表1に示すように、操舵出
力トルクToの絶対値の最大値Pの上限値P1と下限値
P2との間の何れかの値と、操舵出力トルクToの変化
加速度の絶対値の最大値Qの上限値Q1と下限値Q2と
の間の何れかの値と、操舵入力トルクTiの絶対値の最
大値Rの上限値R1と下限値R2との間の何れかの値と
が、それぞれ、ドライバーの特性レベルの強弱に対応し
て記憶される。その上限値P1、Q1、R1と下限値P
2、Q2、R2は、特性の異なるドライバーによる実験
によって求めればよい。なお、その操舵出力トルクTo
の絶対値の最大値P、操舵出力トルクToの変化加速度
の絶対値の最大値Q、および、操舵入力トルクTiの絶
対値の最大値Rは、後述のようにドライバーの実際の操
舵に基づき更新されるが、初期設定値として、ドライバ
ーの特性レベルが最も弱い場合に対応する下限値P2、
Q2、R2が記憶される。
【0042】また、そのドライバー特性レベルの強弱
は、緊急度レベルの判定基準と、操舵抑制強度と、操舵
抑制に対するドライバーの抵抗対応値と比較される設定
値Yに対応するものとされる。すなわち、ドライバー特
性レベルが強い程に、緊急度レベルの判定基準が高く、
操舵抑制強度が大きく、設定値Yが大きくされる。これ
により、力が比較的強いドライバーや、操舵を比較的急
激に行なうドライバーでは、「緊急」、「クイック」、
「普通」、「スロー」の緊急度レベルの境界の判定基準
である操舵出力トルクの変化量や、操舵出力トルクの変
化加速度が高くされ、操舵抑制のためにモータ13によ
り付加されるトルクが大きくされ、設定値Yが大きくさ
れる。逆に、力が比較的弱いドライバーや、操舵を比較
的緩やかに行なうドライバーでは、その判定基準である
操舵出力トルクの変化量や、操舵出力トルクの変化加速
度が低くされ、モータ13による付加トルクが小さくさ
れ、設定値Yが小さくされる。その緊急度レベルの境界
の判定基準である操舵出力トルクの変化量とドライバー
特性レベルとの対応関係、その緊急度レベルの境界の判
定基準である操舵出力トルクの変化加速度とドライバー
特性レベルとの対応関係、その操舵抑制強度とドライバ
ー特性レベルとの対応関係、その設定値Yとドライバー
特性レベルとの対応関係が、それぞれコントローラ50
に記憶される。各対応関係は、特性の異なるドライバー
による実験によって求めればよい。
【0043】
【表1】
【0044】そのコントローラー50は、記憶した制御
プログラムに従って、以下の操舵補助制御および操舵抑
制制御を行なう。以下、その制御手順を図5〜図9に示
すフローチャートを参照して説明する。
【0045】まず、トルクセンサ3、車速検知センサ5
1、障害物検知センサ53、54、55、56からの信
号を時系列に読み込み始める(ステップ1)。
【0046】次に、モータ13の駆動制御電流値を演算
する(ステップ2)。そのモータ13の駆動制御電流値
は、モータ13の発生する付加トルクに対応する。図1
0における操舵入力トルクTiと操舵出力トルクToと
の関係に示すように、操舵補助時においては、検知され
た操舵入力トルクTiが大きくなる程に、操舵出力トル
クToが大きくなるように、その駆動制御電流値は定め
られる。また、そのモータの駆動制御電流値は検知され
た車速によっても変化する。すなわち、低速V1状態で
は操舵出力トルクToを大きくして車両の旋回性を向上
し、高速V2状態では操舵出力トルクToを小さくして
高速走行時の安定性を向上する。その操舵入力トルクT
iと操舵出力トルクToとの関係は、予め定められてコ
ントローラー50に記憶される。
【0047】次に、その障害物検知センサ53、54、
55、56からの障害物検知信号により、車両Aから予
め定めた一定距離内に、近接車両等の障害物が検知され
たか否かを判断する(ステップ3)。
【0048】ステップ3において障害物が検知された場
合、検知された操舵入力トルクTiに対応する操舵出力
トルクToの設定時間内での変化が設定値を超えたか否
かにより、定常走行中か否か、すなわち、略一定舵角で
の走行中か否かを判断する(ステップ4)。その設定時
間と設定値は、予め定められてコントローラ50に記憶
される。なお、操舵出力トルクToは、路面の凹凸等に
よる外乱の影響やトルクセンサ3に対する電気的ノイズ
の影響によって、定常状態であっても多少は変動するた
め、その変動を除くフィルター回路をコントローラ50
は有する。
【0049】ステップ4において定常走行中であると判
断された後に操舵が開始されると、操舵入力トルクTi
に対応する操舵出力トルクToが変化し、その操舵出力
トルクToの上記設定時間内での変化が設定値を超え
る。この場合、その操舵出力トルクToの符号から、操
舵開始方向が検知障害物の方向か否か、すなわち車両A
と障害物との衝突可能性の有無を判断する(ステップ
5)。
【0050】ステップ5において操舵方向が検知障害物
の方向である場合、すなわち衝突可能性がある場合、操
舵状態として操舵の緊急度レベルを、検知した操舵入力
トルクに対応する操舵出力トルクに基づいて判定する
(ステップ6)。
【0051】その操舵の緊急度レベルの判定手順を図8
のフローチャートに示す。まず、操舵開始から設定時間
内における操舵出力トルクToの変化量に対応する緊急
度レベルと、その設定時間経過時点の操舵出力トルクT
oの変化加速度に対応する緊急度レベルとが一致するか
否かを判断する(ステップ101)。この判断のため、
コントローラ50は、その設定時間の経過時に、時系列
に読み込んだ操舵入力トルクTiから、操舵開始時の操
舵出力トルクToと設定時間経過時の操舵出力トルクT
oとの差を演算することで、その操舵出力トルクToの
変化量を求め、また、その設定時間経過時点の操舵出力
トルクToの2階微分値に対応する変化加速度を演算す
る。
【0052】その判断の結果、両緊急度レベルが一致す
る時は、その緊急度レベルを仮の判定結果とし(ステッ
プ102)、両緊急度レベルが一致しない時は、その変
化加速度に対応する緊急度レベルを仮の判定結果とする
(ステップ103)。
【0053】次に、各仮の判定結果による緊急度レベル
が、2つの緊急度レベルの境界または境界近傍か否かを
判断する(ステップ104)。
【0054】その判断の結果、仮の判定結果による緊急
度レベルが、2つの緊急度レベルの境界または境界近傍
でなければ、その仮の判定結果による緊急度レベルを判
定結果とする(ステップ105)。
【0055】その判断の結果、仮の判定結果による緊急
度レベルが、2つの緊急度レベルの境界または境界近傍
であれば、操舵開始から設定時間(例えば0.1秒)経
過時点の操舵出力トルクToが、その後の設定時間(例
えば0.4秒)内に減少するか否かを判断する(ステッ
プ106)。この判断のために、コントローラ50は、
操舵開始から設定時間(例えば0.1秒)の経過時に、
時系列に読み込んだ操舵入力トルクTiから、操舵開始
から設定時間(例えば0.1秒)経過時点の操舵出力ト
ルクToを求め、さらに、その操舵開始から設定時間
(例えば0.1秒)経過時点の操舵出力トルクToの変
化加速度の変化速度に基づき、その後の設定時間(例え
ば0.4秒)経過時点の操舵出力トルクToを演算す
る。
【0056】その判断の結果、その後の設定時間内に操
舵出力トルクToが減少しなければ、2つの緊急度レベ
ルの中の高い方の緊急度レベルを判定結果とし(ステッ
プ107)、その後の設定時間内に操舵出力トルクTo
が減少すれば、2つの緊急度レベルの中の低い方の緊急
度レベルを判定結果とする(ステップ108)。
【0057】ステップ3において一定距離内の障害物が
検知されない場合、あるいは、ステップ5において操舵
方向が検知障害物の方向でない場合、障害物との衝突可
能性はないので操舵抑制の必要はない。また、ステップ
6における操舵の緊急度レベルの判定結果が最も高い
「緊急」である場合、前方障害物との衝突可能性がある
ので操舵抑制の必要はない。これらの場合、記憶された
操舵出力トルクToの絶対値の最大値Pを超える操舵出
力トルクToが求められた否か、すなわち、その最大値
Pを更新するか否かを判断する(ステップ7)。
【0058】ステップ7において記憶された操舵出力ト
ルクToの絶対値の最大値Pを更新しない場合、記憶さ
れた操舵出力トルクToの変化加速度の絶対値の最大値
Qを超える操舵出力トルクToの変化加速度が求められ
た否か、すなわち、その最大値Qを更新するか否かを判
断する(ステップ8)。
【0059】ステップ8において記憶された操舵出力ト
ルクToの変化加速度の絶対値Qの最大値を更新しない
場合、ステップ2において演算したモータの駆動制御電
流値をモータ13に印加することで操舵補助を行なう
(ステップ9)。しかる後にステップ1に戻る。
【0060】ステップ7において記憶された操舵出力ト
ルクToの絶対値の最大値Pを更新する場合、あるい
は、ステップ8において記憶された操舵出力トルクTo
の変化加速度の絶対値の最大値Qを更新する場合、その
更新された操舵出力トルクToの絶対値の最大値P、あ
るいは、操舵出力トルクToの変化加速度の絶対値の最
大値Qに対応するドライバー特性レベルの強度が、記憶
されたドライバー特性レベルの強度を超えるか否か、す
なわち、ドライバー特性レベルを更新するか否かを判断
する(ステップ10)。
【0061】ステップ10においてドライバー特性レベ
ルを更新する場合は、緊急度レベルの判定基準の設定、
操舵抑制強度の設定、および、操舵抑制に対するドライ
バーの抵抗対応値と比較される設定値Yを変更する(ス
テップ11)。すなわち、「緊急」、「クイック」、
「普通」、「スロー」の緊急度レベルの境界の判定基準
である操舵出力トルクToの変化量と、操舵出力トルク
Toの変化加速度と、操舵抑制のためにモータ13によ
り付加されるトルクと、設定値Yの各値を、その更新さ
れたドライバー特性レベルに対応付けられた値に変更す
る。その設定変更の後に上記ステップ9において操舵補
助を行なう。ステップ10においてドライバー特性レベ
ルを更新しない場合は、そのままステップ9において操
舵補助を行なう。
【0062】上記ステップ4において定常走行状態では
ないと判断された場合、すなわち、操舵中である場合、
その操舵出力トルクToの符号から操舵方向が検知障害
物の方向か否か、すなわち車両Aと障害物との衝突可能
性の有無を判断する(ステップ12)。
【0063】ステップ12において操舵方向が検知障害
物の方向である場合、すなわち衝突可能性がある場合、
検知した操舵入力トルクTiに対応する操舵出力トルク
Toに基づいて、操舵状態として操舵が進路修正操舵か
否かを判定する(ステップ13)。例えば、操舵出力ト
ルクToの設定時間内での左右一方への操舵による変化
が、設定値を超えた後に、操舵出力トルクToの設定時
間内での左右他方への操舵による変化が、設定値を超え
た場合は、進路修正操舵であると判定する。あるいは、
コントローラ50により操舵出力トルクToを一定時間
間隔毎に積分し、その積分された値の設定時間内での左
右一方への操舵による変化が、設定値を超えた後に、そ
の積分された値の前記設定時間内での左右他方への操舵
による変化が、設定値を超えた場合は、進路修正操舵で
あると判定する。これは、操舵出力トルクの時間変化パ
ターンに基づき、操舵の目的が進路修正操舵か否かを判
定できることに基づく。例えば、図16の(1)は、車
線変更時における操舵出力トルクToの時間変化パター
ンを示し、そのパターンは略正弦曲線になる。この場合
は、右方へ車線変更した後に操舵出力トルクToが、左
方への操舵により減少を開始する時点P1が、進路修正
操舵の開始時点になる。また、図16の(2)は、カー
ブ通過時の操舵出力トルクToの時間変化パターンを示
す。この場合は、右曲がりのカーブに進入した後に操舵
出力トルクToが、左方への操舵により減少を開始する
時点P2が、進路修正操舵の開始時点になる。何れの場
合も、左右一方への操舵のための操舵出力トルクの変化
が生じた後に、左右他方への操舵のための操舵出力トル
クの変化が生じた時点P1、P2が、進路修正操舵の開
始時点となる。上記判定は、その進路修正操舵の開始時
点の認識に基づくものである。
【0064】そのステップ13において進路修正操舵で
はないと判定された場合、すなわち衝突可能性がある場
合、上記ステップ6において緊急度レベルを判定する。
【0065】そのステップ6における操舵の緊急度レベ
ルの判定結果が最も高い「緊急」でない場合、操舵状態
として操舵の目的がカーブ進入であるのか車線変更であ
るのかを判定する(ステップ14)。
【0066】その操舵目的がカーブ進入であるのか車線
変更であるのかの判定手順を図9のフローチャートに示
す。
【0067】まず、そのステップ6における操舵の緊急
度レベルの判定結果が、「普通」と「スロー」との境界
以下か否か、すなわち、その操舵出力トルクToの変化
加速度が略零の閾値以下か否かを判断する(ステップ2
01)。
【0068】その操舵出力トルクToの変化加速度が閾
値以下であれば、その後の設定時間(例えば0.1秒)
内の操舵出力トルクToの変化加速度を、操舵開始から
設定時間(例えば0.1秒)経過時点の操舵出力トルク
Toの変化加速度の変化速度に基づき演算し、その後の
変化加速度が減少するか否かを判断し(ステップ20
2)、減少する場合は操舵の目的は車線変更であると判
定し(ステップ203)、減少しない場合は操舵の目的
はカーブ進入であると判定する(ステップ204)。
【0069】その操舵出力トルクToの変化加速度が閾
値以下でなければ、その変化加速度が、その後の設定時
間(例えば0.1秒)内に減少するか否かを判断する
(ステップ205)。減少する場合、操舵の目的はカー
ブ進入であると判定する。減少しない場合、操舵の目的
は車線変更であると判定する。
【0070】ステップ14において操舵の目的がカーブ
進入ではなく車線変更であると判定された場合、操舵抑
制を行なう(ステップ15)。この操舵抑制は、操舵入
力トルクTiと逆符号の付加トルクをモータ13により
発生させることで行なう。その操舵抑制のための付加ト
ルクの絶対値は、操舵入力トルクTiの絶対値に応じて
変化し、また、ドライバー特性レベルの強弱に応じて変
化するものとされる。例えば、ドライバー特性レベルが
最強の場合の操舵抑制は、操舵出力トルクToが零にな
るように操舵入力トルクTiに釣り合う付加トルクが定
められ、ドライバー特性レベルが弱くなるに従い、操舵
入力トルクTiに対する付加トルクの比が小さくされ
る。これにより、その操舵抑制の程度は、操舵入力トル
クTiが大きくドライバー特性レベルが強い程に大きく
なり、逆に、操舵入力トルクTiが小さくドライバー特
性レベルが弱い程に小さくなる。なお、操舵抑制中は、
ボイスアラーム52により衝突の危険性を音声によりド
ライバーに警告する。
【0071】次に、その操舵抑制に対するドライバーの
抵抗の有無を判断する(ステップ16)。操舵抑制のた
めの付加トルクの絶対値は、操舵入力トルクTiの絶対
値とドライバー特性レベルとに応じて変化するので、そ
のドライバー特性レベルと操舵入力トルクTiと付加ト
ルクからドライバーの抵抗の有無を判断することができ
る。例えば、ドライバー特性レベルが最強の場合、操舵
入力トルクTiと付加トルクが釣り合っていればドライ
バーの抵抗はなく、操舵入力トルクTiが大きければド
ライバーの抵抗がある。
【0072】ステップ16において操舵抑制に対するド
ライバーの抵抗がなければ、操舵抑制は解除されること
なくステップ1に戻る。
【0073】ステップ16において操舵抑制に対するド
ライバーの抵抗があれば、その操舵抑制に対するドライ
バーの抵抗の程度に対応する値として、ドライバーの抵
抗力の操舵抑制開始からの時間積分値に対応する値を求
め、その値が設定値Y以上か否かを判断する(ステップ
17)。本実施形態では、そのドライバーの抵抗力の時
間積分値に対応する値として、操舵入力トルクTiの操
舵抑制開始からの時間積分値を演算する。その設定値Y
は上記のようにドライバー特性レベルに応じて設定され
ている。
【0074】ステップ17において操舵入力トルクTi
の操舵抑制開始からの時間積分値が設定値Y未満であれ
ば、操舵抑制は解除されることなくステップ1に戻る。
【0075】ステップ17において操舵入力トルクTi
の操舵抑制開始からの時間積分値が設定値Y以上であれ
ば、操舵抑制と警告を解除する(ステップ18)。図1
1の(1)に示すように、その操舵抑制に抵抗してドラ
イバーが作用させる操舵入力トルクTiは、操舵抑制の
ための付加トルクTaと逆符号であって、その付加トル
クTaに応じて変化することから、図11の(2)に示
すように、その操舵入力トルクTiの操舵抑制開始から
の時間積分値は次第に増加する。これにより、操舵抑制
中に操舵をする必要性が生じ、ドライバーが操舵抑制に
抵抗すると、操舵抑制を解除することができる。この場
合、その操舵入力トルクTiの操舵抑制開始からの時間
積分値が設定値Y以上の時に操舵抑制が解除されるの
で、ドライバーの操舵抑制に対する抵抗が大きい程に操
舵抑制を解除するまでの時間を短くし、操舵抑制解除の
緊急度が高い程に早く操舵抑制を解除することができ、
操舵抑制中における緊急度レベルの変化に対応すること
ができる。例えば、自車両の後側方に他車両があるため
に操舵抑制を行なっている時に前方に障害物が突然現れ
たような場合、ドライバーは操舵抑制に逆らって操舵入
力トルクTiを増加させるので、操舵抑制を短時間で解
除し、前方障害物の回避を行なうことができる。また、
操舵抑制中に操舵の緊急度が減少した場合、例えば前方
障害物がなくなったような場合、ドライバーは操舵入力
トルクTiを減少させる。この場合、操舵抑制の解除ま
での時間を長くし、側方や後側方の障害物との衝突回避
の確度を向上できる。また、図11の(3)に示すよう
に、その設定値Yは、車速検知センサ51により検知さ
れた車速に応じて変更される。すなわち、その設定値Y
は高速になる程小さくされる。これにより、車速に応じ
た適切なタイミングで操舵抑制の解除を行うことができ
る。また、その設定値Yは、上記のようにドライバー特
性レベルの強弱に応じて変化するものとされているの
で、操舵抑制時間をドライバーの特性に応じて変更する
ことができる。すなわち、力が比較的強いドライバー
や、荒っぽい運転をするため操舵を比較的急激に行なう
ドライバーに対しては、その設定値Yを大きくし、一
方、力が比較的弱いドライバーや、操舵を比較的緩やか
に行なうドライバーに対しては、その設定値Yを小さく
することができ、ドライバーの特性に応じて適切に操舵
抑制の解除を行なうことができる。
【0076】その操舵抑制を解除したならば、記憶され
た操舵入力トルクTiの絶対値の最大値Rを超える操舵
入力トルクTiが求められた否か、すなわち、その最大
値Rを更新するか否かを判断する(ステップ19)。
【0077】ステップ19において記憶された操舵入力
トルクTiの絶対値Rの最大値を更新しない場合、ステ
ップ9において操舵補助を行なう。ステップ19におい
て記憶された操舵入力トルクTiの絶対値の最大値Rを
更新する場合、ステップ10において、その更新された
操舵入力トルクTiの絶対値の最大値Rに対応するドラ
イバー特性レベルの強度が、記憶されたドライバー特性
レベルの強度を超えるか否か、すなわち、ドライバー特
性レベルを更新するか否かを判断する。ドライバー特性
レベルを更新する場合はステップ11において緊急度レ
ベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設定、および設
定値Yの設定を変更し、更新しない場合はステップ9に
おいて操舵補助を行なう。
【0078】ステップ12において操舵方向が検知障害
物の方向でない場合、あるいは、ステップ13において
進路修正操舵であると判定された場合、すなわち衝突可
能性がない場合、記憶された操舵出力トルクToの絶対
値の最大値Pを超える操舵出力トルクToが求められた
否か、すなわち、その最大値Pを更新するか否かを判断
する(ステップ20)。
【0079】ステップ20において記憶された操舵出力
トルクToの絶対値の最大値Pを更新しない場合、ステ
ップ9において操舵補助を行なう。ステップ20におい
て記憶された操舵出力トルクToの絶対値の最大値Pを
更新する場合、ステップ10において、その更新された
操舵出力トルクToの絶対値の最大値Pに対応するドラ
イバー特性レベルの強度が、記憶されたドライバー特性
レベルの強度を超えるか否か、すなわち、ドライバー特
性レベルを更新するか否かを判断する。ドライバー特性
レベルを更新する場合はステップ11において緊急度レ
ベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設定、および設
定値Yの設定を変更し、更新しない場合はステップ9に
おいて操舵補助を行なう。
【0080】図12は、上記構成を備えた自車両Aの右
後方に他車両Cを追従させ、図中右方に進行している状
態を示す。この状態で、センサにより他車両Cを検知で
きる位置において、「クイック」以下の緊急度レベルで
車線変更のための操舵を行なった。この場合は、操舵入
力トルクTiに対応する付加トルクTaが操舵抑制トル
クとして発生し、抵抗対応値が設定値Y以上にならない
限り、操舵出力トルクToは変化しない。しかる後に、
自車両Aと他車両Cとの距離を大きくし、他車両Cをセ
ンサにより検知できない位置において、「クイック」以
下の緊急度レベルで車線変更のための操舵を行なった。
この場合は、操舵入力トルクTiに対応する付加トルク
Taが操舵補助トルクとして発生し、操舵抑制はなされ
ない。
【0081】図13の(1)は、上記構成を備えた図中
右方に進行する自車両Aの右後方の他車両Cを、センサ
により検知している位置で、前方障害物Bを避けるため
「緊急」のレベルで車線変更のための操舵を行なった状
態を示す。この場合、操舵入力トルクTiに対応する付
加トルクTaが操舵補助トルクとして発生し、操舵抑制
はなされなかった。この場合、「クイック」以下の操舵
を行なうと、操舵抑制がなされ、抵抗対応値が設定値Y
以上になると操舵抑制が解除される。この場合に従来の
操舵抑制制御を行なうと、図13の(2)に示すよう
に、操舵入力トルクTiに対応する付加トルクTaが操
舵抑制トルクとして発生し、操舵出力トルクToは変化
しないため、自車両Aと障害物Bとが衝突するおそれが
ある。
【0082】図14の(1)は、上記構成を備えた自車
両Aの内側方の他車両Cをセンサにより検知できる位置
において、カーブ進入のための操舵を行なった状態を示
す。この場合は、操舵入力トルクTiに対応する付加ト
ルクTaが操舵補助トルクとして発生し、操舵抑制はな
されなかった。もし、この場合に従来の操舵抑制制御を
行なうと、図14の(2)に示すように、操舵入力トル
クTiに対応する付加トルクTaが操舵抑制トルクとし
て発生し、操舵出力トルクToは変化しないため、自車
両Aはカーブ進入ができない。
【0083】図15の(1)は、上記構成を備えた自車
両Aにより前方の他車両Cを追い越し、その他車両Cを
センサにより検知できる位置において進路修正操舵を行
なった状態を示す。この場合、操舵入力トルクTiに対
応する付加トルクTaが操舵補助トルクとして発生し、
操舵抑制はなされなかった。もし、この場合に従来の操
舵抑制制御を行なうと、図15の(2)に示すように、
進路修正操舵の当初は操舵入力トルクTiに対応する付
加トルクTaが操舵抑制トルクとして発生し、操舵出力
トルクToは変化せず、自車両Aと他車両Cとが離れる
までは操舵補助がなされないため、変更後の車線に追従
するのが遅れてしまう。
【0084】上記実施形態によれば、操舵抑制トルクと
して発生する付加トルクTaは、操舵出力トルクToが
予め定められた所定値となるように定められる。すなわ
ち、操舵出力トルクToに基づいて操舵抑制の制御が行
なわれる。これにより、その操舵抑制を、自車両Aの挙
動変化に基づいて制御できることになる。その車両の挙
動変化は、操舵入力トルクTiと付加トルクTaとの和
に対応するので、操舵入力トルクTiの変動は付加トル
クの変化により相殺される。よって、操舵出力トルクT
oに対する路面の凹凸等による外乱の影響や、トルクセ
ンサ3に対する電気的ノイズの影響は、操舵入力トルク
Tiに対する場合に比べて小さい。また、車速に応じて
操舵補助トルクを変化させる制御を行なう場合の、車速
に応じた操舵入力トルクTiの立ち上がり特性の相違
や、アシストゲインや位相補償ゲインに応じた操舵入力
トルクTiの立ち上がり特性の相違も、付加トルクの変
化により相殺される。よって、操舵出力トルクToに基
づいて操舵抑制を制御することで、操舵の有無を正確に
判断でき、適正な操舵抑制が阻害されるのを防止でき
る。また、操舵出力トルクToは、自車両Aの挙動変化
に対応する他の特性、例えば舵角やヨーレート等に比べ
て、位相が進んでいるので、自車両Aの挙動変化を早期
に検知でき、制御系の応答性を向上することができる。
また、操舵補助のために検知する値を操舵出力トルクT
oに対応する値として検知できるので、車両の挙動変化
を検知するための専用のセンサ、例えば、ラック7が操
舵用車輪8に作用させる軸方向力センサ等、を設ける必
要がなく、構成を複雑化することなく低コスト化を図る
ことができる。
【0085】また、力が比較的強いドライバーや、荒っ
ぽい運転をするため操舵を比較的急激に行なうドライバ
ーに対しては操舵抑制の強度を強くし、一方、力が比較
的弱いドライバーや、操舵を比較的緩やかに行なうドラ
イバーに対しては操舵抑制の強度を弱くすることがで
き、ドライバーの特性に応じた適切な強度の操舵抑制を
行なうことができる。また、その緊急度レベルの判定基
準となる操舵出力トルクToの変化量や、操舵出力トル
クToの変化加速度の設定を、ドライバーの特性に応じ
て変更することにより、その緊急度レベルをドライバー
の特性に応じて適切に判断することができる。すなわ
ち、力が比較的強いドライバーや、荒っぽい運転をする
ため操舵を比較的急激に行なうドライバーでは、その緊
急度レベルの境界の判定基準を高くし、一方、力が比較
的弱いドライバーや、操舵を比較的緩やかに行なうドラ
イバーでは、その緊急度レベルの境界の判定基準を低く
することができる。
【0086】上記実施形態では、ドライバー特性レベル
の強弱に対応する値として、実際の車両運転時に操舵出
力トルクToの絶対値の最大値、操舵出力トルクToの
変化加速度の絶対値の最大値、および、操舵入力トルク
Tiの絶対値の最大値を求め、その求めた値に応じて緊
急度レベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設定、お
よび、操舵抑制に対するドライバーの抵抗対応値と比較
される設定値Yの設定を変更したが、これに代えて、実
際の車両運転を開始する前に、停車状態でドライバー特
性レベルの強弱に対応する値を求め、その求めた値に応
じて緊急度レベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設
定、および設定値Yの設定を変更してもよい。すなわ
ち、図17の第1変形例のフローチャートに示すよう
に、先ず、車両に搭載した液晶表示装置等にチェックモ
ード表示を行なう(ステップ301)。このチェックモ
ード表示は、現在ドライバー特性レベルをチェックする
モードである旨をドライバーに認識させるための文章等
の表示であり、例えば、「現在ドライバー特性レベルの
チェックモードです」といった表示を行なう。次に、入
力指示を行なう(ステップ302)。この入力指示は、
ドライバー特性レベルの強弱を検知するために必要な操
舵入力をドライバーに指示するためのものであり、例え
ば、「できるだけ大きな力で、できるだけ素早く、ステ
アリングホイールを回転させて下さい」といった表示を
行なう。次に、その指示に従い入力された操舵入力トル
クの絶対値を、ドライバー特性レベルの強弱に対応する
値として読み込み(ステップ303)、コントローラ5
0に記憶する。次に、その記憶した値に応じて緊急度レ
ベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設定、および設
定値Yの設定を変更する(ステップ304)。
【0087】また、ドライバー特性レベルの強弱に対応
する値を変更可能なボリューム摘みを設け、その摘みの
操作によりドライバー特性レベルの強弱の設定をドライ
バー自身により変更可能とし、その設定変更に応じて緊
急度レベルの判定基準の設定、操舵抑制強度の設定、お
よび設定値Yの設定を変更可能としてもよい。
【0088】図18および図19は、上記のように実際
の車両運転を開始する前に、緊急度レベルの判定基準の
設定、操舵抑制強度の設定、設定値Y、および後述の設
定値Tmaxの設定を変更する場合の制御手順を示す。
この第1変形例の制御手順においては、ステップ401
〜406が、上記実施形態の図5〜図7に示した制御手
順におけるステップ1〜6と等しく、ステップ407〜
411が、上記実施形態の制御手順におけるステップ1
2〜16と等しく、ステップ413、414、415
が、上記実施形態の制御手順におけるステップ17、1
8、9と等しく、上記実施形態の制御手順におけるステ
ップ7、8、10、11、19がなく、上記実施形態に
ないステップとしてステップ412が、ステップ411
と413の間にある。そのステップ412においては、
ステップ411においてドライバーの抵抗があると判断
された場合に、操舵抑制に対するドライバーの抵抗の程
度に対応する値として、ドライバーの操舵入力トルクT
iを求め、その値Tiが設定値Tmax以上か否かを判
断する。本実施形態では、そのドライバーの抵抗力に対
応する値として、操舵入力トルクTiを求める。そのス
テップ412において操舵入力トルクTiが予め定めた
設定値Tmax未満であればステップ413に進み、操
舵入力トルクTiが設定値Tmax以上であればステッ
プ414に進む。他は上記実施形態と同様である。この
変形例によっても上記実施形態と同様の効果を奏するこ
とができる。さらに、操舵抑制を解除する必要性が高い
緊急時に、ドライバーが大きな抵抗力を作用させること
で、迅速に操舵抑制を解除することができる。なお、こ
の変形例におけるステップ412において操舵入力トル
クTiと比較される設定値Tmaxの値も、ステップ4
13における設定値Yと同様に、ドライバー特性レベル
に応じて設定変更される。
【0089】また、その第1変形例において、ステップ
413をなくし、そのステップ412において操舵入力
トルクTiが設定値Tmax未満であればステップ40
1に進むようにしてもよい。
【0090】図20は第2変形例のフローチャートを示
し、上記実施形態のステップ9をステップ9a、9
b、、9cに置換したものである。すなわち、上記実施
形態では、操舵補助を行うに際しては、ステップ2にお
いて演算した制御電流値をモータ13に印加していた。
これに対し、本第2変形例では、操舵補助を行うに際し
て、まず、操舵の緊急度レベルを判定する(ステップ9
a)。この緊急度レベルの判定は、上記実施形態と同様
に図8のフローチャートに示す手順で行うことができ
る。
【0091】そのステップ9aにおける操舵の緊急度レ
ベルの判定結果が、「クイック」以上、すなわち「緊
急」または「クイック」である場合、ステップ2におい
て演算した制御電流値を低減する(ステップ9b)。そ
の低減量は、操舵によって車両挙動が不安定にならない
ように定められ、実験によって求めることができる。そ
の低減量は、その判定した緊急度が高い程に大きくして
もよいし、緊急度に拘らず一定量であってもよい。な
お、操舵補助力を低減する緊急度レベルは任意に設定で
き、操舵の緊急度レベルが「緊急」以上の場合にのみ制
御電流値を低減するようにしてもよい。
【0092】その低減した駆動電流値をモータ13に印
加することで操舵補助を行う。また、そのステップ9a
における操舵の緊急度レベルの判定結果が、「クイッ
ク」未満、すなわち「普通」または「スロー」である場
合、ステップ2において演算した駆動制御電流値を低減
することなくモータ13に印加することで操舵補助を行
う(ステップ9c)。他は第1実施形態と同様とされて
いる。
【0093】上記第2変形例によれば、急操舵を行った
場合は操舵補助力を低減することができる。これによ
り、衝突可能性のある方向へ操舵することで操舵抑制が
なされた後に、慌てて反対方向に急操舵を行ったような
場合に、車両挙動が不安定になるのを防止することがで
きる。また、前方障害物を避けるために非常に急激に操
舵を行った場合にも、必要以上に急激に操舵されるのを
防止して車両挙動の安定化を図ることができる。なお、
上記第1変形例においても、操舵補助を行うに際して操
舵の緊急度レベルを判定し、その緊急度レベルが設定以
上である場合にモータ13の制御電流値を低減すること
で、第2変形例と同様の効果を奏することができる。
【0094】図21は第3変形例のフローチャートを示
し、上記実施形態のステップ17をステップ17′に置
換したものである。すなわち、上記実施形態では、操舵
抑制に対するドライバーの抵抗対応値として、操舵入力
トルクTiの操舵抑制開始からの時間積分値に対応する
値を求めていたのに対して、本第3変形例ではドライバ
ーの抵抗力に対応する操舵入力トルクTiを求め、その
操舵入力トルクTiがトルクセンサ3の検出限界値Ty
に至ったか否かが判断される。その操舵入力トルクTi
がトルクセンサ3の検出限界値Tyに至ることで操舵抑
制が解除される。その検出限界値Tyは予め求められて
コントローラ50に記憶される。他は第1実施形態と同
様とされている。
【0095】上記第3変形例によれば、操舵抑制に対す
るドライバーの抵抗力に対応する操舵入力トルクTi
が、トルクセンサ3の検出限界値に至ることで操舵抑制
を解除できるので、操舵抑制中に操舵の必要性が急に高
まった場合に、その操舵入力トルクTiの増大により操
舵抑制を迅速に解除し、操舵に遅れが生じるのを防止で
きる。また、操舵抑制を解除しようとするドライバーの
意志を迅速に反映することができるので、衝突可能性の
ある方向と反対方向にステアリングホイールが過剰に戻
されるのを防止できる。なお、上記第1変形例のステッ
プ412における設定値Tmaxを、この第2変形例と
同様にトルクセンサ3の検出限界値Tyとしてもよい。
【0096】なお、本発明は上記実施形態や変形例に限
定されない。例えば、操舵抑制に対するドライバーの抵
抗の程度に対応する値は、操舵入力トルクTiや、操舵
入力トルクTiの操舵抑制開始からの時間積分値に限定
されるものではなく、例えば、操舵抑制の強さを操舵入
力トルクTiに対応させる場合は、モータ13の駆動制
御電流値の符号を逆にした値や、その値の時間積分値と
してもよい。
【0097】また、操舵出力トルクに対応する値とし
て、上記実施形態では操舵入力トルクを検知したが、こ
れに代えて操舵入力トルクと、モータ13の駆動制御電
流値を時系列に検知してもよい。この場合、上記図10
に示したような操舵入力トルクと操舵出力トルクとの関
係に代えて、モータ13の駆動制御電流値と操舵入力ト
ルクとの予め定めた関係をコントローラ50に記憶す
る。操舵補助を行なう場合は、検知した操舵入力トルク
に、その記憶した関係により対応付けられる駆動電流値
によって、そのモータ13を駆動する。これにより、そ
の検知した操舵入力トルクと駆動制御電流値とに操舵出
力トルクが対応付けられる。
【0098】また、操舵の緊急度レベルは4段階に分類
するものに限定されず、3段階以下でもよいし、5段階
以上でもよい。さらに、操舵の緊急度レベルは、操舵時
に車両に作用する横方向加速度に応じて分類してもよ
い。
【0099】また、操舵補助や操舵抑制の方法は特に限
定されない。例えば、油圧により操舵補助力や操舵抑制
力を発生させてもよい。また、操舵補助力や操舵抑制力
の大きさも、適正な操舵補助や操舵抑制を行なえる限り
特に限定されない。
【0100】
【発明の効果】本発明によれば、シンプルな構造で、ド
ライバーの意図を反映した操舵抑制解除の緊急度を的確
に判定し、その緊急度に応じたタイミングで操舵抑制を
解除することで、適切な危険回避を図ることのできる車
両の操舵装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車線変更時に1mを移動するのに要する時間
と、設定時間における操舵出力トルクの変化量との関係
を示す図
【図2】車線変更時に1mを移動するのに要する時間
と、設定時間経過時点の操舵出力トルクの変化加速度と
の関係を示す図
【図3】設定時間における操舵出力トルクの変化量と、
設定時間経過時点の操舵出力トルクの変化加速度との関
係を示す図
【図4】本発明の実施形態の車両の構成説明図
【図5】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示す
フローチャート
【図6】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示す
フローチャート
【図7】本発明の実施形態の操舵装置の制御手順を示す
フローチャート
【図8】本発明の実施形態の操舵状態判定手順を示すフ
ローチャート
【図9】本発明の実施形態の操舵状態判定手順を示すフ
ローチャート
【図10】操舵入力トルクと操舵出力トルクとの関係を
示す図
【図11】(1)〜(3)は本発明の実施形態の操舵抑
制作用の説明図
【図12】本発明の実施形態の操舵状態判定を行なった
場合の作用説明図
【図13】(1)は本発明の実施形態の緊急度レベルか
否かの操舵状態判定を行なった場合の作用説明図、
(2)は緊急度レベルか否かの操舵状態判定を行なわな
かった場合の作用説明図
【図14】(1)は本発明の実施形態のカーブ進入か否
かの操舵状態判定を行なった場合の作用説明図、(2)
はカーブ進入か否かの操舵状態判定を行なわなかった場
合の作用説明図
【図15】(1)は本発明の実施形態の進路修正操舵か
否かの操舵状態判定を行なった場合の作用説明図、
(2)は進路修正操舵か否かの操舵状態判定を行なわな
かった場合の作用説明図
【図16】(1)は車線変更時の操舵出力トルクの時間
変化パターンを示す図、(2)はカーブ通過時の操舵出
力トルクの時間変化パターンを示す図
【図17】本発明の第1変形例のドライバー特性レベル
の検知手順を示すフローチャート
【図18】本発明の第1変形例の制御手順を示すフロー
チャート
【図19】本発明の第1変形例の制御手順を示すフロー
チャート
【図20】本発明の第2変形例の制御手順を示すフロー
チャート
【図21】本発明の第3変形例の制御手順を示すフロー
チャート
【符号の説明】
1 パワーステアリング装置 3 トルクセンサ 13 モータ 50 コントローラ 53、54、55、56 障害物検知センサ A 車両
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 119:00 137:00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 障害物との衝突可能性に基づいて操舵を
    抑制可能な車両の操舵装置において、 その操舵抑制に対するドライバーの抵抗の程度に対応す
    る抵抗対応値を求め、その抵抗対応値が設定値以上か否
    かを判定し、その抵抗対応値が設定値以上の時に操舵抑
    制を解除する手段を備えることを特徴とする車両の操舵
    装置。
  2. 【請求項2】 その操舵抑制に対するドライバーの抵抗
    対応値として、ドライバーの抵抗力の操舵抑制開始から
    の時間積分値に対応する値を求める請求項1に記載の車
    両の操舵装置。
  3. 【請求項3】 その操舵抑制に対するドライバーの抵抗
    対応値として、ドライバーの抵抗力に対応する値を求め
    る請求項1または2に記載の車両の操舵装置。
  4. 【請求項4】 その設定値を、ドライバーの特性に応じ
    て変更可能な手段を備える請求項1〜3の何れかに記載
    の車両の操舵装置。
  5. 【請求項5】 その設定値を、車速に応じて変更可能な
    手段を備える請求項1〜4の中の何れかに記載の車両の
    操舵装置。
  6. 【請求項6】 操舵補助を行う手段と、 操舵の緊急度レベルを判定する手段とを備え、 その操舵の緊急度レベルが設定以上である場合に操舵補
    助力を低減可能である請求項1〜5の中の何れかに記載
    の車両の操舵装置。
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