JPH10241923A - 希土類磁石材料およびその製造方法ならびにそれを用いた希土類ボンド磁石 - Google Patents

希土類磁石材料およびその製造方法ならびにそれを用いた希土類ボンド磁石

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JPH10241923A
JPH10241923A JP9038234A JP3823497A JPH10241923A JP H10241923 A JPH10241923 A JP H10241923A JP 9038234 A JP9038234 A JP 9038234A JP 3823497 A JP3823497 A JP 3823497A JP H10241923 A JPH10241923 A JP H10241923A
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rare
magnet
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Masahiro Tobiyo
飛世  正博
Hiroshi Okajima
弘 岡島
Katsunori Iwasaki
克典 岩崎
Masaaki Tokunaga
雅亮 徳永
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Hitachi Metals Ltd
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    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
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    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
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    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 iHcが大きいとともに従来に比べてiHc
の温度係数(η)が小さい熱安定性に優れた希土類磁石
材料およびその製造方法ならびにそれを用いた希土類ボ
ンド磁石を提供する。 【解決手段】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ)
MβBγNδであり、単斜晶および/または六方晶の結
晶構造を有したR3(Fe,M,B)29Nyを主相とし
て含み、前記RはYを含めた希土類元素のいずれか1種
または2種以上であり、前記MはAl、Ti、V、C
r、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、Wのいずれか1種または2種以上からなり、前記
α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲にあることを
特徴とする希土類磁石材料。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類磁石材料およ
びその製造方法ならびにそれを用いた希土類ボンド磁石
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、希土類ボンド磁石用磁粉とし
て超急冷したNd-Fe-B系磁粉が多用されているが、
キュリー温度が300℃前後と低く、固有保磁力(以後
iHcと記す)の温度係数(η)が大きいために高温で
の使用が制限されてきた。最近、Sm2Fe17化合物が
窒素を吸蔵することによりNd2Fe14B化合物よりも
160℃も高い470℃というキュリー温度を示すとと
もに、その異方性磁界もNd2Fe14B化合物の異方性
磁界(75kOe)を大きく上回る260kOeになる
ことが報告され、ボンド磁石用磁粉として工業化が検討
されている。Sm2Fe17の窒化物Sm2Fe17Nxはガ
ス窒化法等で作製されるが、Sm2Fe17Nx磁粉の粒径
を数μm程度にしないと5kOe以上の高い保磁力が得
られないとともに、この粒径の磁粉は容易に酸化してそ
の磁石特性を劣化させ、かつ急激な酸化にともなう発火
の危険性を伴うので現在のところ実用化が困難である。
このSm2Fe17Nx磁粉は粒径が数μmであるのでボン
ド磁石に圧縮成形する際、成形体密度を上げることがで
きず高エネルギー積の希土類ボンド磁石を得られないと
とともに、成形性が非常に悪く作業効率を著しく低下さ
せるという問題がある。また、メカニカルアロイング法
などの特殊な製造方法で高い保磁力が得られることが報
告されているが、この方法は実験室規模の少量生産に適
するものの、コストパーフォーマンスの点で劣るため量
産に至っていない。さらに、Sm2Fe17Nx窒化物以外
にもThMn12型の結晶構造を有したNd(Fe,M)
12Nx合金(MはV、Ti、Mn、Mo等の遷移金属)
や、TbCu7型の結晶構造を有したSmFe7Nx合金
等が検討されているが、磁気特性の点で不十分であった
り生産性が悪く高コストになる等の理由で実用化されて
いない。
【0003】Collocottらによって最初にProc. 12th
Int.Workshop on RE Magnets and Applications,
Canbera, pp.437-444,1992 (unpublished)に報告さ
れたR3(Fe,M)29合金もその窒化物R3(Fe,
M)29Nyが一軸磁気異方性を示すことから永久磁石材
料として有望であることが示唆されている。この合金系
のSm3(Fe,Ti)29Ny合金をボールミルで平均
粒径15μmまで微粉砕することによって保磁力を高め
られることがBo-Ping Hu et al.(J.Phys.:Condens.M
atter 6(1994)L197-L200)によって報告されている。し
かし、このものも平均粒径が15μmと小さいため成形
体密度の不足や成形性が悪い等の理由でボンド磁石用磁
粉として実用化することは難しい。一方、Margarian e
t al.は、J.Appl.Phys.76(1994)6135-6155においてこ
のR3(Fe,M)29合金は非常に不安定で900〜1
000℃で他の相に分解してしまうと報告している。し
たがってこのR3(Fe,M)29合金は高温でのみ安定
に存在する相と言える。本発明者らの実験によってもこ
のことは確認されており、さらに付け加えるとこのR3
(Fe,M)29合金の単相を得ることは非常に難しく、
ThMn12型やTh2Zn17型の結晶構造を有するR
(Fe,M)合金やFe-M合金が非常に生成し易いの
である。
【0004】また、特開平8-111305ではこのR3
(Fe,M)29合金を用いてNまたはCを導入すること
により粗粉末で高い保磁力が得られることが開示され、
R3(Fe,M)29母合金を作製したのちにアンモニア
ガスあるいはメタンガスを用いて窒化あるいは浸炭処理
を行うことにより上記のSm2Fe17化合物にN、Cを
導入したときと同様にN、CがR3(Fe,M)29相の
格子間距離を拡げて自発磁化およびキュリー温度が増大
する。すなわち、格子間距離を拡げる目的でNあるいは
Cの導入がなされており、各々の元素の単独添加でもこ
の目的は達成可能である。NとCの両者を用いる場合に
は母合金にCを含有させた後Nを導入する方法も考えら
れるが、特開平8-111305ではCが窒化処理前の
母合金に含まれそれによってR3(Fe,M,C)29相
を安定化させるとかあるいは母合金中のR3(Fe,
M,C)29相の割合を高める役割を果たしているもので
はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ボンド磁石の耐熱性を
向上するためにはiHcの絶対値を高くするとともにi
Hcの温度係数(η)を小さくする必要があるので、異
方性磁界が大きいとともにキュリー温度が高い希土類磁
石粉末が必要である。前述したようにR-Fe-N系合金
は従来のNd-Fe-B系合金よりも異方性磁界が大きく
かつキュリー温度が高いことからiHcの温度係数
(η)の小さい材料として期待されているが、R-Fe-
N系合金で5kOe以上の高いiHcを得るには上記の
通り数μmの微粉状にする必要があり、この微粉末は通
常工業生産で用いられている6〜10ton/cm2
度の成形圧力ではボンド磁石の成形体密度を十分に上げ
ることができず高エネルギー積を獲得できないととも
に、酸化し易く不安定でさらに成形性が非常に悪いもの
である。上記従来の問題を踏まえて、本発明の課題はi
Hcが大きいとともに従来に比べてiHcの温度係数
(η)が小さい熱安定性に優れた希土類磁石材料および
その製造方法ならびにそれを用いた希土類ボンド磁石を
提供することである。本発明者らは鋭意検討の結果、異
方性磁界およびキュリー温度が高い独自の磁石粉末をボ
ンド磁石用に開発したもので、本発明によれば粒径が大
きい粗粉末でもって高iHcでかつiHcの温度係数
(η)が小さい希土類磁石材料を提供できるという優れ
た特長を有している。すなわち、本発明におけるBの役
割は上記のC、Nの作用とは全く異なりその主相に固溶
してR3(Fe,M,B)29相の安定化に寄与するもの
である。理想的にはこの相単相で母合金を構成可能であ
り、その母合金にNを導入することにより従来のR3
(Fe,M)29主相の窒化物に比べてiHcが大でかつ
iHcの温度係数(η)が小であるとともにキュリー温
度が約480±20℃と高く、高エネルギー積の希土類
磁石材料および希土類ボンド磁石を提供可能である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはボンド磁石
の成形工程における成形容易性およびそれに用いた希土
類磁石粉末の良好な耐酸化性と高磁石特性とを確保する
目的で、平均粒径が20μm以上の粗粉で高いiHcと
飽和磁化、および低いiHcの温度係数(η)を有する
R-Fe-N系磁石粉末を得るために種々のR-Fe-N系
合金に添加物を加えた組成を鋭意検討した結果、R-F
e-M-B-N系磁石材料を見出し本発明を成すに至っ
た。すなわち、本発明は、成分組成がRαFe100-(α+
β+γ+δ)MβBγNδであり、単斜晶および/または
六方晶の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)29Ny
を主相として含み、前記RはYを含めた希土類元素のい
ずれか1種または2種以上であり、前記MはAl、T
i、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、
Hf、Ta、Wのいずれか1種または2種以上からな
り、前記α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲にあ
ることを特徴とする希土類磁石材料である。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30
【0007】上記希土類元素RとしてはY、La、C
e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、Yb、Luのいずれか1種または2種
以上を含めばよく、ミッシュメタルやジジム等の2種以
上の希土類元素の混合物を用いてもよい。好ましい希土
類元素RとしてはY、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、
Dy、Erのいずれか1種または2種以上であり、さら
に好ましくはY、Ce、Pr、Nd、Smのいずれか1
種または2種以上であり、特に好ましいのはSmであ
る。ここで、希土類元素Rは工業的生産により入手可能
な純度でよく、製造上混入が避けられないO、H、C、
Al、Si、Na、Mg、Ca等の不純物元素が含有さ
れていてもよい。本発明の希土類磁石材料はR成分を5
〜18原子%含有する。R成分が5原子%未満になると
鉄成分を多く含む軟磁性相の析出を促進してiHcが低
下し、18原子%を越えると非磁性のRリッチ化合物が
析出して飽和磁束密度を低下させるので好ましくない。
さらに好ましいR成分範囲は6〜12原子%である。
【0008】Feは47原子%以上を含有することが好
ましい。Feが47原子%未満では飽和磁化が小さくな
り好ましくない。
【0009】上記M元素はB元素との共存下においてR
3(Fe,M,B)29相を安定させ、かつ後述するよう
に窒化時の分解温度を上昇させるのに有効である。R3
(Fe,M,B)29相を生成させるに要するM元素の添
加量はM元素の種類毎に異なるが、M元素のいずれでも
50原子%を越えて添加すると、ThMn12型の結晶構
造を有するR(Fe,M,B)12相の生成率が大きくな
りiHcが急激に低下する。M元素が1原子%未満では
Th2Zn17型の結晶構造を有するR2(Fe,M,B)
17相の生成率が大きくなりR3(Fe,M,B)29相の
存在比率が相対的に低下し、いずれも好ましくない。よ
ってM元素の好ましい添加量は1〜50原子%である。
M元素のうちで好ましい元素はTi、Mn、Cr、Z
r、Vのいずれか1種または2種以上である。R3(F
e,M,B)29相を生成するにはM元素が必須である
が、Bを含有しないR3(Fe,M)29相は上述の通り
不安定であり、均質化処理や窒化処理時に他の相に分解
し易いのでR3(Fe,M)29Ny相単相の希土類磁石
粉末を得ることが非常に困難である。
【0010】窒化に供する母合金中のR3(Fe,M)2
9相の割合が低いと窒化してもその窒化物R3(Fe,
M)29Nyの生成比率が低いので良好な磁石特性を得ら
れない。この点を考慮して本発明者らは、上記Bおよび
M元素が共存した場合に60体積%以上好ましくは75
体積%以上の単相に近い安定なR3(Fe,M,B)29
相が得られることを見出した。したがって、窒化処理前
の母合金においてR3(Fe,M,B)29相の存在割合
を飛躍的に高めることができ、窒化処理後の希土類磁石
材料中に占めるR3(Fe,M,B)29Ny相の存在割
合が従来のBを含まないR3(Fe,M)29相を窒化し
た場合に比べて格段に増大するので高磁束密度と、高保
磁力を発生させることが可能となる。本発明においてB
の好ましい含有量は0.1〜5原子%である。Bが0.1
原子%未満および5原子%を越えるとR3(Fe,M,
B)29Ny窒化物相が不安定となり他の相へ分解し易く
なるので好ましくない。すなわち、R3(Fe,M,
B)29相を安定化する作用は上記B添加量の範囲にある
ときに発揮されるのである。このような微量のB添加に
よる有効性はこれまで知られていない。例えば、Sm2
Fe17合金にB、C、Nを加えていったときの固溶限
について、H.Horiuchi et al(J.Alloys.Comp.222(19
95)131-135)の報告によればCは約7原子%、Nは約1
4原子%まで固溶するのに対しBは約1原子%までしか
固溶せず、Bの固溶による格子の拡がりおよびキュリー
温度の上昇はごくわずかであるとされている。これらは
C、N、Bをいずれも侵入型の元素として考えこれらの
元素の導入により格子間距離の拡張をねらったものであ
り、本発明のように微量のB添加により上記主相の安定
化を図るという手法はこれまで見出されていなかった。
本発明におけるBとM元素の共存効果は上記の通り母合
金中のR3(Fe,M,B)29相の存在割合を高めて、
均質化処理や窒化処理においてαFe等の他相への分解
を抑制する効果を有している。例えば、従来では均質化
処理においてR3(Fe、M)29相が安定な加熱温度範
囲が狭く、また窒化温度が高い場合や長時間窒化を行う
場合は一度生成した窒化相:R3(Fe,M)29Nyが
不安定でαFe等が生成してしまい得られた磁石材料の
保磁力が大きく低下するが、本発明の場合はBを適量添
加することで広い均質化処理温度および窒化温度の範囲
を採用可能で、生産性の向上、希土類磁石材料の磁石品
質の安定化にも有効である。さらに、B添加によってR
3(Fe,M,B)29相の安定化に寄与するM元素の含
有範囲が従来のR3(Fe,M)29相の場合に比べて広
まると同時に、従来よりM元素を減らせるので飽和磁束
密度(残留磁束密度)すなわちエネルギー積が増大する
という効果も有している。
【0011】R3(Fe,M,B)29相に導入される窒
素Nは4〜30原子%とすることが好ましい。窒素Nが
4原子%未満では磁化が低くなるとともに、30原子%
を越えると保磁力を向上させることが困難である。より
好ましい窒素Nの含有量は10〜20原子%である。
【0012】また、Feの0.01〜30原子%をCo
および/またはNiで置換することが好ましく、Coお
よび/またはNiの導入によりキュリー温度が上昇する
とともにiHcの温度係数(η)ならびに耐酸化性も向
上する効果がある。Coおよび/またはNiによるFe
置換量のより好ましい範囲は1〜20原子%である。置
換量が30原子%を越えると飽和磁束密度およびiHc
の顕著な低下を招来するとともに、1原子%未満ではC
oおよび/またはNiの添加効果が認められない。
【0013】本発明のR成分の50原子%以上好ましく
は70%以上をSmとすることにより、際立って高いi
Hcが得られるので好ましい。また、本発明の希土類磁
石材料の平均粒径を20〜500μmとすることが好ま
しい。20μm未満では酸化による品質劣化および成形
性劣化が顕著となり、500μmを超えると通常の窒化
条件では窒素の拡散距離が粒子径の大きな粉末粒子に対
して不十分となり易く粉末粒子内に均一に窒化物が形成
されない不具合を生じて好ましくない。より好ましい平
均粒径の範囲は30〜400μmである。また、R3
(Fe,M,B)29Ny相の結晶粒内にM元素または
M化合物が析出した組織を有した場合に高いiHcと、
低いiHcの温度係数(η)を得ることができる。
【0014】また、本発明によれば希土類磁石材料にお
けるR3(Fe,M,B)29Ny相の存在比率が60体
積%好ましくは75体積%のものを容易に提供可能であ
る。
【0015】また、本発明は、その磁石粉末が高分子重
合体、純金属、合金のいずれかにより結合されてボンド
磁石を構成する希土類磁石材料であって、前記磁石粉末
の25〜100℃における固有保磁力(iHc)の温度
係数(η)が−0.45以上であるとともに、25℃に
おける固有保磁力(iHc)が8kOe以上であること
を特徴とする希土類磁石材料である。
【0016】また、本発明は、成分組成がRαFe100-
(α+β+γ+δ+ε+ζ)MβBγNδHεOζであり、単
斜晶および/または六方晶の結晶構造を有したR3(F
e,M,B)29Nyを主相として含み、前記RはYを含
む希土類元素のいずれか1種または2種以上であり、前
記MはAl、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Z
r、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか1種または
2種以上からなり、前記α、β、γ、δ、ε、ζは原子
百分率で下記の範囲にあることを特徴とする希土類磁石
材料である。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30 0.5≦ε≦10 1≦ζ≦5 本発明の希土類磁石材料は窒化に供するまでの工程で水
素処理を施すことや粉砕粒度を調整することによって、
最終の窒化磁性粉において水素Hを0.5〜10原子%
および/または酸素Oを1〜5原子%含ませることがで
きる。水素を0.5〜10原子%含んだ場合は窒化の効
率を向上させる効果がある。これは既にR3(Fe,
M,B)29相に存在している水素を窒素が置き換えて
いくために短時間で窒素がR3(Fe,M,B)29相
に拡散できるためと考えられる。しかし、水素が0.5
原子%未満ではその効果が認められず、10原子%を越
えると飽和磁化が減少するとともに拡散した水素が余剰
となるので化学的に不安定になってしまう。次に、酸素
は1〜5原子%含有した場合にiHcの温度係数(η)
を大きくする効果が認められる。酸素が1原子%未満で
はその有効性は認められず、5原子%を越えると磁化お
よびiHcの低下が顕著になるので好ましくない。
【0017】また、本発明は上記の特長ある磁石粉末を
高分子重合体、純金属、合金のいずれかのバインダーで
結合した希土類ボンド磁石であって、前記希土類ボンド
磁石の25〜100℃における固有保磁力(iHc)の
温度係数(η)が−0.45以上であるとともに、25
℃における保磁力(bHc)が6kOe以上であること
を特徴とする希土類ボンド磁石である。
【0018】また、本発明は、成分組成がRαFe100-
(α+β+γ+δ)MβBγNδであり、単斜晶および/ま
たは六方晶の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)29
Nyを主相として含み、前記RはYを含めた希土類元素
のいずれか1種または2種以上であり、前記MはAl、
Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、M
o、Hf、Ta、Wのいずれか1種または2種以上から
なり、前記α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲に
ある希土類磁石材料を製造するに際して、窒化処理前に
700〜1250℃で均質化処理を行うことを特徴とす
る希土類磁石材料の製造方法である。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30
【0019】また、本発明は、成分組成がRαFe100-
(α+β+γ+δ+ε+ζ)MβBγNδHεOζであり、単
斜晶および/または六方晶の結晶構造を有したR3(F
e,M,B)29Nyを主相として含み、前記RはYを含
む希土類元素のいずれか1種または2種以上であり、前
記MはAl、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Z
r、Nb、Mo、Hf、Ta、Wのいずれか1種または
2種以上からなり、前記α、β、γ、δ、ε、ζは原子
百分率で下記の範囲にある希土類磁石材料を製造するに
際して、窒化処理前に700〜1250℃で均質化処理
を行うことを特徴とする希土類磁石材料の製造方法であ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳説する。本発明の
希土類磁石材料は単斜晶および/または六方晶の結晶構
造を有するR3(Fe,M,B)29Ny相の単相のも
のが理想的であるが、この主相の他に磁石特性に寄与し
ない他の化合物(以後副相と呼ぶ)を含有することがで
きる。この副相としてTh2Zn17型、TbCu7型、T
hMn12型などの結晶構造を有するR-Fe-M-B-N系
磁性化合物を含んでいてもよいが、上記の通り本発明の
主相の含有比率は60体積%以上が好ましく、75体積
%以上がより好ましい。R3(Fe,M,B)29Ny
主相は、母合金全部または母合金を主に構成するR3
(Fe,M,B)29相の結晶格子間に窒素が侵入して
その結晶格子が膨張することによって得られるが、その
結晶構造はR3(Fe,M,B)29相とほぼ同じ対称
性を有する。例えば母合金粉末として原子%表示でSm
9.4Fe84.0B2.0Ti4.5の組成のものを選んだ場合、
窒素を導入することによって結晶磁気異方性が面内異方
性から一軸異方性に変化し永久磁石材料として好適なも
のになる。
【0021】本発明にかかる希土類ボンド磁石は、上記
希土類磁石材料を高分子重合体、純金属、合金等のいず
れかのバインダーで固めてなるものであるが、高分子重
合体としてはエポキシ樹脂やフェノール樹脂等に代表さ
れる熱硬化樹脂またはポリアミド樹脂やEEA樹脂等の
熱可塑性樹脂または合成ゴムや天然ゴム等の公知のもの
を用い得る。また、純金属または合金としては亜鉛や錫
などの公知の低融点金属や低融点合金を用いることがで
きる。また、希土類ボンド磁石の成形方法としては圧縮
成形や射出成形などの公知の成形方法を採用できる。
【0022】本発明によれば、R3(Fe,M,B)29
Ny主相の存在比率の高い希土類磁石材料を容易かつ安
定に作製できるので、キュリー温度が約480±20℃
と高く熱安定性に優れるとともに平均粒径で20〜50
0μmの幅広い粒径にわたって略一定の高いiHcと低
いiHcの温度係数(η)を有した希土類磁石粉末を提
供できると同時に、高磁石特性の等方性や異方性ボンド
磁石を容易に製作することができる。
【0023】次に、本発明の代表的な製造工程を説明す
る。
【0024】(母合金の調整)本発明の磁石材料はBと
M元素との複合添加により窒化処理に供するR-Fe-M
-B系母合金中のR3(Fe,M,B)29相の含有比率を
高めたものである。R-Fe-M-B系母合金は例えば高
周波溶解法、アーク溶解法、超急冷法、ストリップキャ
スト法、ガスアトマイズ法、還元拡散法、メカニカルア
ロイング法等のいずれかを用いて合金化される。上記方
法で得た合金を水素雰囲気下で加熱保持し、続いて脱水
素処理を行い水素化物を分解させて母合金相に再結合さ
せてもよい。ここで、高周波溶解法またはアーク溶解法
を用いた場合には上記合金が凝固する際にαFeを主成
分とする軟磁性相が析出し易いが、この軟磁性相は窒化
処理後も残留し保磁力を低下させる要因となるので好ま
しくない。この軟磁性相の生成を抑えるには溶製した母
合金を真空中またはアルゴンガス雰囲気で700〜12
50℃×0.5〜100時間の加熱条件で均質化処理す
ることが望ましい。従来のR3(Fe,M)29相は上
記の通り900〜1000℃で分解するのに対し、本発
明では700〜1250℃という広い均質化処理温度を
許容できる利点を有している。
【0025】(粉砕)上記方法で溶製した母合金塊また
はメカニカルアロイングしたものを直接窒化することも
可能であるが、窒化処理物のサイズが大きいと窒化処理
時間が長くなるので粗粉砕を行って平均粒径で500μ
m以下に粗粉砕後に窒化することが望ましい。粗粉砕は
例えばディスクミル、バンタムミル、ジョークラッシャ
ー、ボールミルなどの粉砕機を用いて行うことができ
る。また母合金に水素を吸蔵させた後に上記粉砕機で粗
粉砕する方法や、水素の吸蔵と放出とを繰り返して粗粉
砕する方法を用いてもよい。さらに粗粉砕の後、篩で分
級し窒化すると母合金中に均質な窒化物の主相を形成で
きるので好ましく、例えば、窒化処理前に20μm〜1
00μm未満、100μm〜200μm未満、200μ
m〜300μm未満、300μm〜400μm未満、4
00μm〜500μm未満というように篩分すると窒化
処理後の磁石粉末がほぼこれらの篩分粒径になってお
り、上記の均質な窒化物形成効果とともにボンド磁石形
状に応じて要求される成形性の難易に合わせてこれらの
略篩分粒径の磁石粉末を適宜採用できるので実用上好適
なものである。さらに、粗粉砕後、アルゴンガス雰囲気
または真空中で500〜1000℃×0.5〜100時
間でアニールすると磁石特性が向上するが、この効果は
粗粉砕により導入された歪みが緩和されるためと考えら
れる。
【0026】(窒化)本発明では公知の窒化処理方法
(例えば、ガス窒化法、イオン窒化法等。)を採用でき
る。一例として、ガス窒化法について説明する。ガス窒
化法は窒素ガス、アンモニアガス、窒素ガスと水素ガス
の混合ガス、アンモニアガスと水素ガスの混合ガス等の
いずれかを上記母合金塊または上記母合金の粗粉砕粉に
接触させて結晶格子内に窒素を導入する工程である。窒
化反応は上記のようなガス種を選ぶこと、加熱温度、加
熱時間、ガス圧力により制御できる。このうち加熱温度
は母合金組成によって異なるが300〜650℃が好ま
しい。母合金の種類によらず300℃未満であると窒化
がほとんど進行せず、また650℃を超えると一旦生成
した窒化物が分解してαFeなどの軟磁性相が生成する
ので好ましくない。窒化後にさらにアルゴン等の不活性
ガス中あるいは真空中あるいは水素ガス中で300〜6
00℃×0.5〜50時間アニールすると保磁力、iH
c、飽和磁化等が向上する場合がある。これはアニール
により窒素が母合金の結晶粒子内にさらに拡散して主相
の窒化物相の割合が増加することや粉末粒子内に均一に
窒化物が形成されて行くためと思われる。
【0027】(磁場成形)上記のようにして作成した本
発明の希土類磁石材料粉末を用いて異方性ボンド磁石を
作製するには、その磁石粉末と熱硬化性樹脂または低融
点金属(低融点合金)のバインダーとを適正比率で混合
した後例えば10kOe以上の磁場中で圧縮成形した
り、その磁石粉末と熱可塑性樹脂とを適正比率で配合し
加熱混練して得たコンパウンドを例えば10kOe以上
の磁場中で射出成形する方法を採用できる。等方性のボ
ンド磁石を作製する場合には本発明の希土類磁石材料粉
末を上記樹脂または金属(合金)のバインダー粉末と適
正比率で配合後均一化のために混合した後、磁場無しで
成形体を形成し、その後加熱硬化処理を行えばよい。
【0028】(着磁)上記のボンド磁石に十分な磁力を
付与するための着磁作業は好ましくは15kOe以上、
より好ましくは20kOe以上の着磁磁場で行うことが
一般的である。
【0029】次に本発明の各物性値の評価方法について
具体的に説明する。 (平均粒径の測定)上記磁石材料粉末の平均粒径はレー
ザー回折式粒度分布測定装置(GALAI社製、CIS
−1型)を用いてその体積相当径分布を測定し、その分
布曲線より平均粒径を求めた。 (磁気特性の測定)上記磁石材料のiHc、飽和磁化
(σ)はその磁石粉末の所定量を樹脂に混ぜて銅容器に
詰め込み、振動試料型磁力計(東英工業(株)製のVS
M-3型)を用いて測定した。ボンド磁石のiHc、残
留磁束密度(Br)、iHcの温度係数(η)は自記磁
束計(東英工業(株)製TRF-5H)を用いて測定し
た。
【0030】(成分分析)上記磁石材料の構成元素のう
ち、窒素、水素、酸素はN,O,Hガス分析装置
((株)堀場製作所製のEMGA1300)を用いてガ
スクロマトグラフィー熱伝導検出法により分析した。ま
た、Sm等の希土類元素はシュウ酸塩重量法、Feは2
クロム酸カリウム容量法、Ti等のM元素とBは誘導結
合型プラズマ発光分析法により分析した。
【0031】(耐酸化性の評価)希土類磁石粉末を大気
中で100℃×相対湿度90%に保持された恒温槽内に
168時間放置した後、取り出して25℃でiHcを測
定し、この恒温槽に入れる前の25℃におけるiHcと
比較して減少率である耐酸化性を求めた。すなわち、 (耐酸化性)=(恒温槽処理後の磁石粉末の25℃にお
けるiHc)÷(恒温槽処理前の磁石粉末の25℃にお
けるiHc)×100(%) で定義した値である。こ
の値が小さいほど耐酸化性に優れるものである。
【0032】次に、本発明を実施例により説明するがこ
れらにより本発明が限定されるものではない。 (実施例1〜12)B添加量と磁石特性との相関を見る
ため表1に示される希土類磁石粉末を作製し評価した。
まず、純度99.9%のSm、Fe、Ti、Bを用いて
表1の実施例1〜12の窒化物磁石粉末に対応した母合
金組成になるように各々配合し、アルゴンガス雰囲気の
高周波溶解炉で溶解して実施例1〜12に対応した各母
合金を溶製した。その後、アルゴンガス雰囲気中で11
50℃、20時間の均質化処理を行い、続いてこの母合
金塊をジョークラッシャーとディスクミルを用いて粉砕
した。これらの母合金粉体のX線回折をCu-Kα線を
用いて行ったところ回折線はすべてR3(Fe,M,
B)29相として指数付けできることを確認した。次に
上記各母合金粉末を雰囲気加熱炉に仕込み450℃にお
いて窒素ガス1atm気流中で5時間加熱保持し窒化処
理を行い、続いてアルゴン気流中で420℃で1時間ア
ニールした。この窒化処理した各粉体のX線回折を行っ
たところ母合金で得られたR3(Fe,M,B)29相
のX線回折パターンより低回折角度側にシフトしてお
り、N原子が母合金結晶に侵入することによってその結
晶格子が拡がったことが確認できた。こうして得られた
実施例1〜12の窒化物磁石粉末の組成、平均粒径、2
5℃における飽和磁化の強さ(σ)およびiHc、25
〜100℃におけるiHcの温度係数(η)を測定した
結果を表1に示した。ここで、下記各実施例および各比
較例における各測定は全て表1の測定と同条件で行って
いる。
【0033】(比較例1〜6)表1に示すようにBを含
有しない母合金組成とするとともに平均粒径を変えた以
外は実施例1と同様にして表1に示される比較例1〜6
の窒化物磁石粉末を作製し評価した。Bを含有していな
いこの比較例1〜6の窒化処理前の母合金粉末にはTh
2Zn17型のSm2(Fe,Ti,B)17相とαFe
および/またはFe-Ti相の生成が認められた。
【0034】
【表1】
【0035】表1より、BとM元素の複合添加の効果が
明らかである。すなわちBを0.1〜5原子%含んだ実
施例1〜12では平均粒径20〜500μmにわたって
8kOe以上の高いiHcが得られているとともに、i
Hcの温度係数(η)も−0.45以上で良好な耐熱性
を有していることがわかる。一方、Bを含まない比較例
のものはいずれもiHcが3kOe未満で、iHcの温
度係数(η)も−0.53以下であり耐熱性に劣ること
がわかる。
【0036】(実施例13〜15)R成分含有量および
R成分の種類と磁石特性との相関を見るために、表2に
示した磁石粉末組成にするとともに平均粒径72μmと
した以外は上記実施例1と同様な操作によって、表2に
示した磁石粉末を製作するとともに飽和磁化(σ)、i
Hc,iHcの温度係数(η)を測定した。 (比較例7〜10)表2に示した磁石粉末組成にした以
外は実施例13〜15と同様にして、表2に示した磁石
粉末を製作するとともに飽和磁化(σ)、iHc,iH
cの温度係数(η)を測定した。
【0037】
【表2】
【0038】表2から、R成分中のSm比率が50原子
%以上のときに高いiHcと低いiHcの温度係数
(η)が得られることがわかる。
【0039】(実施例16〜20)上記表2に続いてR
成分含有量およびR成分の種類と磁石特性との相関を見
るために、表3に示す磁石粉末組成にするとともに平均
粒径を130μmに変更した以外は上記実施例1と同様
な操作によって表3に示す磁石粉末を得るとともに磁
化、iHc、iHcの温度係数(η)を測定した。 (比較例11〜14)表3の磁石粉末組成とした以外は
実施例16〜20と同様の評価を行った。
【0040】
【表3】
【0041】表3より、R成分中のSm比率が50原子
%以上でかつR成分が5〜18原子%のときに高いiH
cと低いiHcの温度係数(η)が得られることがわか
る。
【0042】(実施例21〜24)窒素含有量と磁石特
性との相関を見るために、表4に示す磁石粉末組成およ
び平均粒径を120μmとした以外は上記実施例1と同
様にして表4の磁石粉末を得るとともに、飽和磁化
(σ)、iHc、iHcの温度係数(η)を測定した。 (比較例15、16)表4の磁石粉末組成とした以外は
実施例21〜24と同様の評価を行った。
【0043】
【表4】
【0044】表4から窒素量が4〜30原子%含有され
た実施例21〜24では高いiHcと低いiHcの温度
係数(η)が得られることがわかる。比較例15、16
に示したように窒素量が5原子%よりも少ないときと3
0原子%よりも多いときにはiHcが低く3kOe未満
の値である。
【0045】(実施例25〜29)Fe成分をCoまた
はNiで置換した場合の磁石特性を見るために、表5に
示す磁石粉末組成に変更するとともに平均粒径を170
μmとした以外は上記実施例1と同様な操作によって、
表5の磁石粉末を得るとともに、飽和磁化(σ)、iH
c、iHcの温度係数(η)を測定した。 (比較例17〜19)表5の磁石粉末組成とした以外は
実施例25〜29と同様の評価を行った。
【0046】
【表5】
【0047】表5からFeの一部をCoおよび/または
Niで0.01〜30原子%の範囲で置換したとき、耐
酸化性が向上するとともに高いiHc、低いiHcの温
度係数(η)が得られていることがわかる。
【0048】(実施例30〜36)上記各実施例の磁石
粉末に含有されるH量およびO量は不可避不純物程度で
あり、例えば重量%表示でH含有量が50ppm以下お
よびO含有量が5000ppm以下であった。しかし、
本発明の磁石粉末は上記の通り製造条件を適宜選択する
ことで不可避不純物含有量を超えてH、Oを含有可能で
ある。積極的に含有させたH量、O量による影響を見る
ために表6に示す組成の磁石粉末を製作するとともに平
均粒径を400μmとした以外は上記実施例1と同様な
操作によって、表6の磁石粉末を得、飽和磁化(σ)、
iHc、iHcの温度係数(η)を測定した。 (比較例20〜24)表6の磁石粉末組成とした以外は
実施例30〜36と同様にして評価した。
【0049】
【表6】
【0050】表6から水素が0.5〜10原子%および
/または酸素が1〜5原子%にあるときに高いiHcと
飽和磁化(σ)および低い温度係数(η)が得られるこ
とがわかる。また、水素量が0.5〜10原子%および
/または酸素が1〜5原子%の範囲を外れた各比較例の
ものでは特に温度係数(η)が劣化していることがわか
る。
【0051】(実施例37〜44)M元素の種類および
含有量の磁石特性に対する影響を見るために表7に示す
磁石粉末組成にするとともに平均粒径を170μmとし
た以外は上記実施例1と同様な操作によって表7の磁石
粉末を得、飽和磁化(σ)、iHc、iHcの温度係数
(η)を測定した。 (比較例25、26)表7の磁石粉末とした以外は実施
例37〜44と同様の評価を行った。
【0052】
【表7】
【0053】表7からM元素が1〜50原子%のときに
高いiHcと低いiHcの温度係数(η)が得られるこ
とがわかる。比較例24、25に示したようにM元素が
この範囲にない場合は母合金においてSm3(Fe,M,
B)29相が少量しか生成せず窒化してもiHcが向上
しないことがわかった。
【0054】(実施例45)M元素としてCrを添加し
Feの一部をCoで置換した下記の磁石粉末組成に対応
した母合金を上記実施例1と同様の溶解条件で溶製後、
その母合金を酸素分圧1モル%の窒素気流中で粗粉砕し
篩いによって平均粒度125μmに調整した。このSm
-Fe-Co-B-Cr系合金粉をアンモニア分圧0.35
atm、水素ガス分圧0.65atmのアンモニア-水素
混合ガス気流中で460℃で5時間の窒化処理を行った
後、酸素分圧10-5atmのアルゴン気流中で1時間ア
ニールした。得られた平均粒径74μmのSm9.4Fe
64.1Co4.01.0Cr4.516.50.5をシクロヘキサン
中で30分間ボールミル粉砕した。この粉砕粉の組成は
原子%表示でSm9.2Fe64.0Co4.01.0Cr4.5
16.00.51.0で平均粒径は36μmであった。この磁
粉はiHcが8kOe、iHcの温度係数(η)は−
0.31%/℃という良好な値であった。
【0055】(実施例46)純度99.9%のSm、F
e、Co、Bを用いて下記の窒化物粉末に対応した母合
金組成に配合後、アルゴンガス雰囲気下の高周波溶解炉
で溶解した合金溶湯を直径300mmの銅製ロール2本
を設置した双ロール式ストリップキャスターを用いて、
板厚約2mmの薄片状鋳造片を得た。前記鋳造片を50
mm角以下に破断後、雰囲気熱処理炉に仕込み1atm
の水素ガスを供給するとともに500℃まで加熱し水素
を吸収させた後真空にすることにより脱水素を行い水素
吸蔵によって崩壊させて平均粒径100μmまで粗粉砕
した。このSm-Fe-B-Cr系磁性粉を雰囲気熱処理
炉に仕込み460℃においてアンモニア分圧0.35a
tm、水素ガス0.65atmの混合気流中で7時間加
熱処理した。続いて水素ガス気流中で400℃で30分
間アニールを行った。得られた窒化物粉体の組成は原子
%表示でSm9.4Fe67.1Co4.02.0Cr4.518.5
2.5、飽和磁化(σ)は120emu/g、iHcは9kO
e、iHcの温度特性(η)は−0.34%/℃であっ
た。この磁石粉末を電子顕微鏡で観察したところSm3
(Fe,Cr,B)29相内に数十nmの大きさのCrリ
ッチな析出物が認められた。
【0056】(実施例47〜53)ボンド磁石特性を評
価するために、上記実施例で作製した磁石粉末から表8
に示す組成のものを選択し、これらをエポキシ樹脂と混
合した後、10kOeの磁場中でプレス圧10ton/
cm2で圧縮成形し、さらに硬化のため140℃、1時
間の熱処理を施して等方性ボンド磁石を作製した。これ
らの等方性ボンド磁石の磁気特性を表8に示した。
【0057】
【表8】
【0058】表8から本発明の等方性ボンド磁石が良好
な磁石特性を有していることがわかる。
【0059】上記各実施例の磁石粉末のキュリー温度は
いずれも480±20℃という良好な値を有していた。
【0060】
【発明の効果】平均粒径20〜500μmにわたって高
いiHcおよびiHcの温度係数(η)を有した希土類
磁石粉末を容易に提供できるとともに、優れた耐酸化性
と耐熱性を有した希土類ボンド磁石を容易に提供でき、
工業的に非常に有用なものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 徳永 雅亮 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地日立金属株式 会社磁性材料研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ)
    MβBγNδであり、単斜晶および/または六方晶の結
    晶構造を有したR3(Fe,M,B)29Nyを主相とし
    て含み、前記RはYを含めた希土類元素のいずれか1種
    または2種以上であり、前記MはAl、Ti、V、C
    r、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
    a、Wのいずれか1種または2種以上からなり、前記
    α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲にあることを
    特徴とする希土類磁石材料。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30
  2. 【請求項2】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ+
    ε+ζ)MβBγNδHεOζであり、単斜晶および/ま
    たは六方晶の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)29
    Nyを主相として含み、前記RはYを含む希土類元素の
    いずれか1種または2種以上であり、前記MはAl、T
    i、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、
    Hf、Ta、Wのいずれか1種または2種以上からな
    り、前記α、β、γ、δ、ε、ζは原子百分率で下記の
    範囲にあることを特徴とする希土類磁石材料。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30 0.5≦ε≦10 1≦ζ≦5
  3. 【請求項3】 Fe成分の0.01〜30原子%をCo
    および/またはNiで置換したことを特徴とする請求項
    1または2に記載の希土類磁石材料。
  4. 【請求項4】 R成分の50原子%以上がSmであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の希土
    類磁石材料。
  5. 【請求項5】 希土類磁石材料の平均粒径が20μm以
    上500μm以下であることを特徴とする請求項1乃至
    4のいずれかに記載の希土類磁石材料。
  6. 【請求項6】 R3(Fe,M,B)29Ny相の結晶粒
    内にM元素またはM化合物が析出した組織を有すること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の希土類
    磁石材料。
  7. 【請求項7】 希土類磁石材料におけるR3(Fe,
    M,B)29Ny相の存在比率が60体積%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の希土
    類磁石材料。
  8. 【請求項8】 その磁石粉末が高分子重合体、純金属、
    合金のいずれかにより結合されてボンド磁石を構成する
    希土類磁石材料であって、前記磁石粉末の25〜100
    ℃における固有保磁力(iHc)の温度係数(η)が−
    0.45以上であるとともに、25℃における固有保磁
    力(iHc)が8kOe以上であることを特徴とする希
    土類磁石材料。
  9. 【請求項9】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ)
    MβBγNδであり、単斜晶および/または六方晶の結
    晶構造を有したR3(Fe,M,B)29Nyを主相とし
    て含み、前記RはYを含めた希土類元素のいずれか1種
    または2種以上であり、前記MはAl、Ti、V、C
    r、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
    a、Wのいずれか1種または2種以上からなり、前記
    α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲にある希土類
    磁石材料の粉末を、高分子重合体、純金属、合金のいず
    れかのバインダーで結合した希土類ボンド磁石であっ
    て、前記ボンド磁石の25〜100℃における固有保磁
    力(iHc)の温度係数(η)が−0.45以上である
    とともに25℃における保磁力(bHc)が6kOe以
    上であることを特徴とする希土類ボンド磁石。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30
  10. 【請求項10】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ
    +ε+ζ)MβBγNδHεOζであり、単斜晶および/
    または六方晶の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)2
    9Nyを主相として含み、前記RはYを含む希土類元素
    のいずれか1種または2種以上であり、前記MはAl、
    Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、M
    o、Hf、Ta、Wのいずれか1種または2種以上から
    なり、前記α、β、γ、δ、ε、ζは原子百分率で下記
    の範囲にある希土類磁石材料の粉末を、高分子重合体、
    純金属、合金のいずれかのバインダーで結合した希土類
    ボンド磁石であって、前記ボンド磁石の25〜100℃
    における固有保磁力(iHc)の温度係数(η)が−
    0.45以上であるとともに25℃における保磁力(b
    Hc)が6kOe以上であることを特徴とする希土類ボ
    ンド磁石。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30 0.5≦ε≦10 1≦ζ≦5
  11. 【請求項11】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+
    δ)MβBγNδであり、単斜晶および/または六方晶
    の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)29Nyを主相
    として含み、前記RはYを含めた希土類元素のいずれか
    1種または2種以上であり、前記MはAl、Ti、V、
    Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
    a、Wのいずれか1種または2種以上からなり、前記
    α、β、γ、δは原子百分率で下記の範囲にある希土類
    磁石材料を製造するに際して、窒化処理前に700〜1
    250℃で均質化処理を行うことを特徴とする希土類磁
    石材料の製造方法。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30
  12. 【請求項12】 成分組成がRαFe100-(α+β+γ+δ
    +ε+ζ)MβBγNδHεOζであり、単斜晶および/
    または六方晶の結晶構造を有したR3(Fe,M,B)2
    9Nyを主相として含み、前記RはYを含む希土類元素
    のいずれか1種または2種以上であり、前記MはAl、
    Ti、V、Cr、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、M
    o、Hf、Ta、Wのいずれか1種または2種以上から
    なり、前記α、β、γ、δ、ε、ζは原子百分率で下記
    の範囲にある希土類磁石材料を製造するに際して、窒化
    処理前に700〜1250℃で均質化処理を行うことを
    特徴とする希土類磁石材料の製造方法。 5≦α≦18 1≦β≦50 0.1≦γ≦5 4≦δ≦30 0.5≦ε≦10 1≦ζ≦5
JP9038234A 1997-02-21 1997-02-21 希土類磁石材料およびその製造方法ならびにそれを用いた希土類ボンド磁石 Pending JPH10241923A (ja)

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US7087185B2 (en) 1999-07-22 2006-08-08 Seiko Epson Corporation Magnetic powder and isotropic bonded magnet
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