JPH10237264A - コンクリート構造物用注入材およびこれを用いる補修法 - Google Patents

コンクリート構造物用注入材およびこれを用いる補修法

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JPH10237264A
JPH10237264A JP4401997A JP4401997A JPH10237264A JP H10237264 A JPH10237264 A JP H10237264A JP 4401997 A JP4401997 A JP 4401997A JP 4401997 A JP4401997 A JP 4401997A JP H10237264 A JPH10237264 A JP H10237264A
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JP
Japan
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emulsion
acrylic
weight
unsaturated monomer
micropolymer
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Application number
JP4401997A
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English (en)
Inventor
Tsutomu Nakai
力 中井
Hiroshi Morita
浩 森田
Takashi Yoshida
吉田  隆
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ASANUMA GUMI KK
ASANUMAGUMI KK
TECHNO PLUS KK
Lion Corp
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ASANUMA GUMI KK
ASANUMAGUMI KK
TECHNO PLUS KK
Lion Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カルボン酸(塩)基及びスルホン酸(塩)基から選
ばれる少なくとも一つの有機基を有する不飽和単量体の
一種以上と、(メタ)アクリル酸エステルとの乳化重合に
より得られる平均粒子径30nm-200nmのアクリル系ミクロ
ポリマーエマルジョンを含むことにより、流動性を著し
く改善し、セメント構造物の空隙に容易に浸透させるこ
とができる注入材及びこれを用いる補修法を提供する。 【解決手段】アクリル系ミクロポリマーエマルジョン
が、コア・シェル型異層化アクリル系ミクロポリマーエ
マルジョンを含むエマルジョンであって、このミクロ粒
子シェル部が、(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量
体、カルボン酸(塩)基含有不飽和単量体、及びスルホ
ン酸(塩)基含有不飽和単量体を含む単量体混合物を乳
化重合して得た共重合体である。コンクリート構造物3
1のヘアークラック32に、前記注入液30を注入ガン
1によって注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物のクラック補修に用いるコンクリート構造物用注入材
およびこれを用いる補修法に関する。さらに詳しくは、
約0.2mm以下のクラック幅のいわゆるヘヤラインク
ラックの補修に好適に用いることができるコンクリート
構造物用注入材およびこれを用いる補修法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物のクラックをなくす
ことは永遠のテーマといっても過言ではない。コンクリ
ート強度を増すためセメント量を増やす傾向にある近年
のコンクリート事情の中で、この問題はますます深刻に
なっている。構造クラックが外部に生じた場合、そこに
水が侵入し崩壊(エフロレッセンス:effloresence、以
下「エフロ」と省略することもある。)が発生する。す
なわち、雨水などの水は一般的には炭酸ガス(CO2
や、ときには硫酸(H2SO4)または硝酸等も含み酸性
である。このような酸性の水がコンクリートのヘヤライ
ンクラックに侵入すると、コンクリート中のアルカリ物
質であるカルシウム(Ca)等を溶かし、この状態でコ
ンクリート表面に溶出し、水分が乾燥され、Ca等が固
体になってコンクリート表面に蓄積されるという現象で
ある。鍾乳石の生成する原理と同様である。これは長期
的には構造物の強度に影響を与えるばかりでなく、著し
く外観を損ねる。そのため、従来からいろいろな補修工
法が提案されている。とくに約0.2mm以下のクラッ
ク幅のいわゆるヘヤラインクラックは補修することが困
難であった。このヘヤラインクラックの最も一般的に行
われている補修工法は、ヘアーラインクラックにカッ
ト、はつりまたは穴あけを行い、樹脂を充填する工法で
ある。しかしながらこの工法は、カット、はつりまたは
穴あけ工事が必要で、工数と時間と費用がかかるという
問題があった。この問題を改良するため、特定の樹脂シ
ール液をカートリッジに充填して、ヘアーラインクラッ
クにVカットなしで注入する方法が提案されている(特
開平4−24366号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の特開平4−24366号公報による方法は、注入材
料の粘度が例えば1000cps以上と高く、流動性に
乏しく、セメント構造物の狭い空隙に浸透しにくいこと
から、ヘヤラインクラックを効率良く補修することが困
難であるという問題があった。
【0004】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、流動性が良好で、セメント構造物の空隙に容易に浸
透させることができ、小さなヘヤラインクラックであっ
ても効率良く補修することができ、しかも温度変化によ
る流動性低下が少なく、施工条件に係わらず安定した作
業性が得られ、さらに、セメントスラリー中のセメント
組成物粒子を微分散化するため、得られるスラリー硬化
体の圧縮強度、曲げ強度が向上するコンクリート構造物
用注入材およびこれを用いる補修法を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明のコンクリート構造物用注入材は、カルボン
酸(塩)基およびスルホン酸(塩)基から選ばれる少な
くとも一つの有機基を有する不飽和単量体の一種以上
と、(メタ)アクリル酸エステルとの乳化重合により得
られる平均粒子径30nm〜200nmのアクリル系ミ
クロポリマーエマルジョンを含むという構成を有する。
【0006】前記注入材においては、アクリル系ミクロ
ポリマーエマルジョンが、平均粒子径:30nm〜20
0nmのコア・シェル型異層化アクリル系ミクロポリマ
ーエマルジョンを含むエマルジョンであって、前記コア
・シェル型異層化アクリル系ミクロポリマーエマルジョ
ンのミクロ粒子シェル部が、(メタ)アクリル酸エステ
ル不飽和単量体、カルボン酸(塩)基含有不飽和単量
体、及びスルホン酸(塩)基含有不飽和単量体を含む単
量体混合物を乳化重合して得た共重合体であることが好
ましい。
【0007】また前記注入材においては、コア・シェル
型異層化アクリル系ミクロポリマーエマルジョンのミク
ロ粒子シェル部が、架橋型アクリル系ポリマーを含むこ
とが好ましい。また前記注入材においては、アクリル系
ミクロポリマーエマルジョンが水分散体であり、アクリ
ル系ミクロポリマーの割合が、固形分換算で30重量%
〜70重量%の範囲であり、水の割合が70重量%〜3
0重量%の範囲であることが好ましい。エマルジョンと
しての安定性、および粘度を低く保つためである。アク
リル系ミクロポリマーのさらに好ましい割合は30重量
%〜50重量%の範囲である。また前記注入材において
は、アクリル系ミクロポリマーエマルジョンに、さらに
水硬性組成物を含ませても良い。ここで、水硬性組成物
とは例えばセメント等をいう。
【0008】次に本発明のコンクリート構造物の補修法
は、前記のコンクリート構造物用注入材をコンクリート
構造物に発生するヘアーラインクラックにカット、はつ
りまたは穴あけをすることなく注入し、補修することを
特徴とする。前記した本発明の注入材は、カートリッジ
に充填して使用することもできる。さらに前記カートリ
ッジを注入ガンに装着して使用することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】前記した本発明の好適な例によれ
ば、平均粒子径が30nm〜200nmのコア・シェル
型異層化アクリル系ミクロポリマーエマルジョンであっ
て、前記エマルジョンの粒子のシェル部が、(メタ)ア
クリル酸エステル不飽和単量体など所定の単量体混和物
を乳化重合して得られる共重合体により構成されている
エマルジョンを調製し、前記エマルジョンをそのまま又
はセメントスラリーに加えることにより、セメントスラ
リーの充填率を高め、かつ温度変化によるセメントスラ
リーの流動特性の変化を防止でき、さらに得られたセメ
ントスラリーが強度が高い硬化体を形成できる。前記ポ
リマーエマルジョンがこのような効果を発揮する理由
は、前記ポリマーエマルジョンのミクロ粒子がセメント
組成物粒子を立体反発効果により安定に分散されるの
で、セメントスラリーの粘度が著しく改善されて、開粒
度アスファルト混合物の空隙への充填率が向上するから
である。また、前記セメント粒子が微分散されるので、
効率的に水和反応が促進され、得られる硬化体は緻密な
構造になって、圧縮強度、曲げ強度、耐摩耗性などの諸
性能が向上するからである。
【0010】したがって、本発明の好適な実施形態は、
平均粒子径が30nm〜200nmのコア・シェル型異
層化アクリル系ミクロポリマーエマルジョンを含む、セ
メント構造物用注入材用ポリマーエマルジョンであっ
て、前記コア・シェル型異層化アクリル系ミクロポリマ
ーエマルジョン(以下、コア・シェル型エマルジョンと
いう。)のミクロ粒子シェル部が、(メタ)アクリル酸
エステル不飽和単量体、カルボン酸(塩)基含有不飽和
単量体及びスルホン酸(塩)基含有不飽和単量体、さら
に必要に応じてヒドロキシル基含有不飽和単量体とを含
む単量体混合物を、乳化重合して得られた共重合体から
構成されているセメント構造物用注入材用ポリマーエマ
ルジョンである。前記エマルジョンのシェル部(表面
部)は水溶性であるために、コンクリート表面に浸透し
て付着しやすく、付着した後はコンクリートに水分を吸
着されてエマルジョンのコア部が露出することになる。
また平均粒子径も小さいことから、小さな隙間まで浸透
しやすい。さらに前記エマルジョンのコア部(中心部)
は油性であることから、コンクリート表面に付着した
後、被膜形成して溌水性を発揮する。これにより、ヘア
ーラインクラック表面を溌水性に保ち、それ以上の雨水
の浸透を食い止め、エフロレッセンスを防止できる。以
下、本発明について詳しく説明する。
【0011】まず、本発明で、ミクロ粒子シェル部を形
成する共重合体について説明する。前記ミクロ粒子シェ
ル部を形成する場合、セメント粒子を安定的に分散さ
せ、セメントスラリー硬化体の強度を向上させるミクロ
ポリマーエマルジョンを形成する単量体であれば特に制
限することなく、(メタ)アクリル酸エステル不飽和単
量体、カルボン酸(塩)基含有不飽和単量体、スルホン
酸(塩)基含有不飽和単量体及びヒドロキシル基含有不
飽和単量体を使用することができる。
【0012】本発明で用いる(メタ)アクリル酸エステ
ル不飽和単量体の例を挙げると、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルア
クリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチル
アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜8個のア
クリル酸アルキルエステル;メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチル
メタクリレート、ヘキシルメタクリレートなどのアルキ
ル基の炭素数が1〜8のメタクリル酸アルキルエステル
があり、これらのエステルを単独で、又は2種以上組み
合わせて使用することができる。なお、これらのエステ
ル中のアルキル基の炭素数が8個を越えると、他の不飽
和単量体との共重合性が悪くなり、所望のポリマーエマ
ルジョンが得られない。
【0013】前記(メタ)アクリル酸エステル不飽和単
量体は、ミクロ粒子シェル部を構成する共重合体のう
ち、他の不飽和単量体及び架橋剤を除いた残部であり、
したがって、60重量%〜99.8重量%、好ましくは
79〜98.4重量%含まれるようにするのが適当であ
る。なお、C1〜C8アルキル基を含むアクリル酸アルキ
ルエステルと、C1〜C4アルキル基を含むメタクリル酸
アルキルエステルとを併用する場合、ミクロ粒子シェル
部を構成する共重合体において、前者のエステルが0.
1〜49.8重量%、好ましくは10〜40重量%、後
者のエステルを50.0〜99.7重量%、好ましくは
60〜90重量%とするのが適当である。
【0014】本発明を一層効果的に実施するためには、
前記(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量体におい
て、下に示すフォックスの式(数1)から求められるガ
ラス転移温度(以下Tgという)が285〜335°K
であることが好ましく、300〜320°Kとするのが
特に好ましい。この様にTgの値を制限するのは、28
5°Kよりも低いとセメントスラリーの粘度が温度の影
響を受けるようになり好ましくなく、335°Kよりも
高いと成膜性が低下するためである。
【0015】
【数1】
【0016】本発明で用いるカルボン酸(塩)基を有す
る不飽和単量体(以下、カルボン酸基含有不飽和単量体
という。)の例を挙げると、アクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸などのモノカルボン酸及びこれらの塩、
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸
及びこれらのハーフエステル又はハーフアマイド、並び
にこれらの塩などがあり、特にメタクリル酸が好まし
い。本発明のポリマーエマルジョンにおいて、前記カル
ボン酸基含有不飽和単量体は、立体反発効果によりセメ
ントスラリーを安定化する役割を担っている。
【0017】前記カルボン酸基含有不飽和単量体は、ミ
クロ粒子シェル部を構成する共重合体中に0.1〜15
重量%、好ましくは0.5〜10重量%、特に好ましく
は0.5〜6重量%含まれるのが適当である。このよう
に共重合体中の含有量を制限するのは、0.1重量%よ
りも少ないとセメントスラリーの安定化効果がみられ
ず、15重量%を越えるとセメントスラリーの水和反応
が阻害され、硬化反応に悪影響を与えるからである。
【0018】本発明で用いるスルホン酸(塩)基を有す
る不飽和単量体(以下、スルホン酸基含有不飽和単量体
という。)の例を挙げると、スチレンスルホン酸、α−
メチルスチレンスルホン酸、2-アクリルアミド−2-メチ
ルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド−2-メチル
プロパンスルホン酸、2-アクリルアミド−2-ブタンスル
ホン酸、2-アクリルアミド−2-スルホン酸及びこれらの
塩などのスルホン酸系単量体がある。特に好ましいのは
2-アクリルアミド−2-メチルプロパンスルホン酸であ
る。このスルホン酸基含有不飽和単量体の役割は十分に
解明されていないが、前記不飽和単量体を加えることに
より、セメントスラリー中においてセメント粒子が微分
散され、前記スラリー硬化体の組織を緻密化し、強度を
向上させると考えられる。
【0019】前記スルホン酸基含有不飽和単量体は、ミ
クロ粒子シェル部を構成する共重合体中に0.1〜10
重量%、好ましくは0.1〜6重量%、特に好ましくは
0.5〜3重量部%含まれるのが適当である。このよう
に含有量を制限するのは、0.1重量%よりも少ない
と、セメントの微分散効果がみられず、10重量%を越
えると、セメントスラリー中のセメント粒子の微分散化
が進み、スラリー粘度が上昇して好ましくないからであ
る。
【0020】本発明で用いるヒドロキシル基を有する不
飽和単量体(以下、ヒドロキシル基含有不飽和単量体と
いう。)の例を挙げると、アリルアルコール、2-ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリ
レート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒド
ロキシプロピルアクリレート、多価アルコールのモノア
リルエーテル、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロ
ールメタクリルアミドなどがあり、特にN-メチロールア
クリルアミドが好ましい。前記不飽和単量体を含む、本
発明のアクリル系ミクロポリマー粒子は、セメントスラ
リーの粘度を低下させ、これにより前記セメントスラリ
ーのセメント構造物への浸透力が向上する。
【0021】前記ヒドロキシル基含有不飽和単量体は、
ミクロ粒子シェル部を構成する共重合体中に0〜10重
量%、好ましくは0.5〜6重量%、好ましくは0.5
〜3重量%含まれるのが適当である。前記不飽和単量体
の含有量の上限を規定するのは、10重量%を越えると
アクリル系ミクロポリマー粒子表面の親水性疎水性バラ
ンスが崩れ、却ってセメントスラリーの粘度が増加する
からである。
【0022】また、本発明においてはアクリル系ミクロ
ポリマーエマルジョンの性能を損なわない範囲で、アク
リル系以外の単量体、例えばスチレンやα−メチルスチ
レンなどのスチレン類、ブタジエンやイソプレンなどの
ジエン類、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどビニル
エステル類、アクリロニトリルやα−メチルアクリロニ
トリルなどのニトリル類を加えることができる。これら
の単量体の含有量は、ミクロ粒子シェル部を構成する共
重合体中に0〜20重量%とするのが好ましい。
【0023】更に、本発明では、セメントスラリー硬化
体の性能を向上させるために、1分子中に複数の官能基
を有する架橋剤を使用することが好ましい。これらの架
橋剤の例を挙げると、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタ
クリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレン付加
体ジ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレー
ト、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどがあ
り、特にトリメチロールプロパントリメタアクリレート
が好ましい。この架橋剤の含有量は、ミクロ粒子シェル
部を構成する共重合体中に0〜5重量%、好ましくは
0.1〜1重量%とするのが適当である。このように使
用量の上限を5重量%に規定するのは、5重量%を越え
ると、ポリマーエマルジョンを調製する際に重合安定性
が悪くなったり、得られたポリマーエマルジョンの成膜
性が低下するからである。
【0024】本発明のコア・シェル型エマルジョンのミ
クロ粒子コア部を構成する共重合体も、アクリル系ポリ
マーである。前記共重合体を構成する単量体は、本発明
のミクロ粒子シェル部を構成する(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステルと同じものを使用することができる。こ
のミクロ粒子コア部を構成する共重合体の組成の例を挙
げると、C1 〜C8 アルキル基を含むアクリル酸アルキ
ルエステル55〜99.8重量%、好ましくは70〜9
0重量%、及びC1 〜C4 アルキル基を含むメタクリル
酸アルキルエステル0.1〜44.9重量%、好ましく
は10〜30重量%であり、架橋剤を0〜5重量%、好
ましくは0.1〜1重量%含む。
【0025】本発明を一層効果的に実施するためには、
前記(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量体におい
て、前記フォックスの式から求められるガラス転移温度
(以下Tgという)が285°K以下であることが好ま
しく、248°K以下とすのが特に好ましい。この様に
Tgの上限値を制限するのは、285°Kよりも高いと
成膜性が低下するためである。
【0026】また、本発明においてはアクリル系ミクロ
ポリマーエマルジョンの性能を損なわない範囲で、アク
リル系以外の単量体、例えばスチレンやα−メチルスチ
レンなどのスチレン類、プタジエンやイソプレンなどの
ジエン類、酢酸ビニルやプロピオン酸ビニルなどビニル
エステル類、アクリロニトリルやα−メチルアクリロニ
トリルなどのニトリル類を加えることができる。これら
の単量体の含有量は、ミクロ粒子コア部を構成する共重
合体中に0〜40重量%とするのが好ましい。
【0027】前記コア・シェル型異層化構造を形成する
共重合体のコア部とシェル部における重量比は、2/3
〜27/3、好ましくは3/3〜12/3とするのが適
当である。このようにコア部とシェル部の共重合体の重
量比を限定するのは、シェル部の割合が高くなって、コ
ア部/シェル部の重量比が2/3より小さくなると、コ
ア部の性能がポリマーエマルジョン粒子に反映せず、成
膜性が悪くなるからであり、一方、コア部の割合が高く
なって、重量比が27/3より大きくなるとシェル部の
性能が反映されず、セメントスラリーの粘度が増加した
り、温度の変化により流動性が低下するからである。本
発明では、アクリル系ミクロポリマーエマルジョンの調
製に、アニオン性、及びノニオン性の乳化重合用乳化剤
を用いる。次に本発明で用いる代表的な乳化剤を挙げ
る。
【0028】[アニオン性乳化剤] (1)式(1) のポリオキシアルキレンアルキルアリール
エーテルスルホネート・サルフェート塩
【化1】
【0029】(2)式(2) のポリオキシアルキレンアル
キルエーテルサルフェート塩
【化2】
【0030】(3)式(3) のポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテルアルフェート塩
【化3】
【0031】(4)式(4) の化合物
【化4】
【0032】(5)式(5) の化合物
【化5】
【0033】(6)式(6) の化合物
【化6】
【0034】(7)式(7) の化合物
【化7】
【0035】(8)式(8) の化合物
【化8】
【0036】(9)式(9) の化合物
【化9】
【0037】[ノニオン性乳化剤の代表例] (10)式(10) のポリオキシアルキレンアルキルアリ
ールエーテル
【化10】
【0038】(11) 式(11)のポリオキシアルキレンアル
キルエーテル
【化11】
【0039】これらのアニオン性乳化剤及びノニオン性
乳化剤を、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて
使用することができる。組み合わせて使用する場合、分
子内にエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド
基を有する乳化剤を1種類以上用いることが好ましく、
特にアニオン性乳化剤(1) 、ノニオン性乳化剤(10)及
び(11)を1種以上併用するのが望ましい。また、これら
の乳化剤は共重合体の製造に用いる単量体混合物に対し
て、0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の
範囲で用いるのがよい。
【0040】本発明で用いる重合開始剤の例を挙げる
と、過酸化水素;過酸化水素と酒石酸、クエン酸、アス
コルビン酸などのカルボン酸との組み合わせ;過酸化水
素とシュウ酸、スルフィン酸及びこれらの塩類またはオ
キシアルデヒド類;水溶性鉄塩などの組み合わせ;過硫
酸塩、過炭酸塩、過硼酸塩類などの過酸化物;2,2´-ア
ゾビス(2-アミノジプロパン)とその塩、2,2´−アゾ
ビス(N,N´−ジメチレン−イソブチルアミジン)とそ
の塩、4,4´−アゾビス(4-シアノ吉草酸)とその塩な
どの水溶性アゾ系開始剤があり、特に水溶性アゾ系開始
剤が好ましい。これらの重合開始剤を、本発明のコア部
又はシェル部を構成する不飽和単量体混合物に対し、
0.1〜3重量%の範囲で用いるのが好ましい。
【0041】本発明のコア・シェル型エマルジョンは、
ミクロ粒子コア部を含むエマルジョンを調製し、ついで
ミクロ粒子コア部の表面上にシェル部を形成することに
より製造する。好ましい製造方法を挙げると、モノマー
滴下法及びプレ乳化法がある。モノマー滴下法では、ま
ず水相に乳化剤を溶解し、コア部調製用アクリル系単量
体を主成分とする不飽和単量体混合物の一部に加えて乳
化・可溶化させた後、重合開始剤を添加し、次いで残り
のコア部調製用不飽和単量体混合物を所定の時間滴下し
てミクロ粒子コア部を含むエマルジョンとし、その後、
シェル部調製用不飽和単量体混合物を滴下する。ここで
ミクロ粒子シェル部を調製するための単量体混合物の組
成を、(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量体が60
〜99.8重量%、好ましくは79〜98.4重量%、
カルボン酸(塩)基含有不飽和単量体が0.1〜15重
量%、好ましくは0.5〜10重量%、スルホン酸
(塩)基含有不飽和単量体が0.1〜10重量%、好ま
しくは0.1〜6重量%、ヒドロキシル基含有不飽和単
量体が0〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%、
及び架橋剤が0〜5重量%、好ましくは0.5〜1重量
%となるようにする。またミクロ粒子コア部を調製する
ための単量体混合物の組成を、アクリル酸エステル不飽
和単量体が55〜99.8重量%、好ましくは70〜9
0重量%、メタクリル酸エステル不飽和単量体が0.1
〜44.9重量%、好ましくは10〜30重量%、及び
架橋剤が0〜5重量%、好ましくは0.1〜1重量%と
なるようにする。
【0042】また、プレ乳化法では用いる乳化剤、水の
一部により不飽和単量体混合物を予め混合乳化する。次
いで、残りの乳化剤を残分の水相に溶解し、コア部調製
用アクリル系単量体を主成分とするプレ乳化物の一部を
添加し、均一乳化・可溶化させた後、重合開始剤を添加
し、残りのコア部調製用プレ乳化物を所定の時間滴下し
てミクロ粒子コア部を含むエマルジョンとし、続いて、
シェル部調製用プレ乳化物を滴下して目的のミクロポリ
マーエマルジョンが得られる。ここでミクロ粒子シェル
部およびコア部を調製するための単量体混合物の組成
は、モノマー滴下法の場合と同じ構成割合となるが、シ
ェル部調製用不飽和単量体をプレ乳化するために用いる
乳化剤はシェル部不飽和単量体に対して0.1〜11重
量%、好ましくは2〜6重量%、用いる水量はシェル部
不飽和単量体に対して20〜100重量%、好ましくは
20〜50重量%となるようにする。また、コア部調製
用プレ乳化物を得るために用いる乳化剤量はコア部不飽
和単量体に対して0.1〜11重量%、好ましくは2〜
3重量%、用いる水量はコア部不飽和単量体に対して2
0〜80重量%、好ましくは20〜50重量%となるよ
うにする。
【0043】モノマー滴下法およびプレ乳化法のいずれ
でも調製できるが、乳化重合の欠点である重合釜あるい
は撹拌羽根等への共重合体の付着量を低減するにはプレ
乳化法の方が好ましい。
【0044】なお、本発明のコア・シェル型エマルジョ
ンを製造する際の留意点は、コア部の重合終了後、数分
の熟成を行うことが好ましい。その理由は、コア部滴下
終了後、直ちにシェル部を滴下させると末反応コア部不
飽和単量体とシェル部不飽和単量体とが混合し、コア部
とシェル部の中間組成層が生じてしまいシェル部の効果
が効率よく発揮きできなくなるからである。しかし、熟
成時間があまり長時間にわたると開始剤の活性が低下
し、シェル部の重合不良を生じることがあるので、開始
剤の半減期を考え併せて熟成時間を決める必要がある。
【0045】本発明のセメント構造物用注入材用ポリマ
ーエマルジョンにおいては、固形分換算で30〜70重
量%、好ましくは30〜50重量%で使用することがで
きるが、固形分40重量%にして、ブルックフィールド
型粘度計で測定した粘度が10〜500cPとなる場合
に、作業性が良好になる。また粘度が低い場合は、固形
分を50重量%以上にしてもよい。
【0046】本発明のコア・シェル型エマルジョンの平
均粒径は、30nm〜200nm、好ましくは30nm
〜150nm、特に好ましくは30nm〜100nmで
ある。この平均粒径が200nmより大きいとポリマー
粒子の総表面積が低下し、粒子表面を修飾しているスル
ホン酸(塩)基、ヒドロキシル基、カルボン酸(塩)基
の各官能基の効果が低下し、セメントスラリーの流動性
を著しく低下させるので好ましくない。また、平均粒径
が30nmよりも小さいと、得られるポリマーエマルジ
ョンの粘度が増加し、製造時並びに使用時の取り扱いに
不都合を作じるので好ましくない。
【0047】本発明のアクリル系ミクロポリマーエマル
ジョンに水硬性組成物を混合したものも、コンクリート
構造物注入材として使用できる。本発明のアクリル系ミ
クロポリマーエマルジョンを用いてセメントスラリーを
調製する場合、セメント組成物100重量部に対して、
本発明のコア・シェル型エマルジョンの固形分が0.5
〜10重量部、好ましくは2〜7重量部となるようにし
てもよい。前記固形分が0.5重量部未満ではセメント
スラリー物性を改善には不十分であり、10重量部を越
える場合は圧縮強度が著しく低下するので実用的ではな
い。
【0048】本発明で用いることができる水硬性組成物
(セメント組成物)の例を挙げると、ポルトランドセメ
ント、フライアッシュセメント、シリカセメント、高炉
セメント、アルミナセメント及び石膏セメントなどのセ
メント類、並びに半水、2水、6水石膏などの石膏類が
あり、特にセメント類が好ましい。また、セメント類は
普通、早強、速硬型、超速硬型、及び白のいづれであっ
てもよい。
【0049】また、本発明のコア・シェル型エマルジョ
ンとセメント組成物から調製したセメントスラリーに
は、必要に応じて各種の添加剤を加えることができる。
この添加剤の例を挙げると、シリカヒューム、フライア
ッシュ、高炉スラグ、細砂、雲母、石粉末、ガラス粉
末、アルミ粉末、無機顔料などセメント混和材料;リグ
ニンスルホン酸(塩)、脂肪酸(塩)、高級脂肪酸
(塩)、ナフタレンスルホン酸(塩)、ホルマリン縮合
物、芳香族アミノスルホン酸(塩)系化合物、ポリスチ
レン系スルホン酸(塩)、ポリ(メタ)アクリル酸
(塩)系化合物、ポリアルキレングリコール、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、亜硝酸塩、1-
ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(塩)、有機顔
料、AE剤、減水剤、流動化剤、消泡剤、保湿剤、防錆
剤、着色剤などのセメント用化学混和剤がある。これ等
のセメント混和材、セメント用化学混合剤は混合時に別
添加してもよいが、煩雑さを解消するために粉体のもの
であれば予めセント類に、液体ものであれポリマーエマ
ルジョンにプレミックスして用いてもよい。
【0050】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明を具
体的に説明する。なお、特に断らない限り、部および%
はいずれも重量を基準とする。 [アクリル系ミクロポリマーエマルジョン(注入材)の
調製] (1)アクリル系ミクロポリマーエマルジョン1 温度計、撹拌機、環流冷却管、窒素道入管および滴下ロ
ートを備えたガラス製反応容器に、表2の組成No.1の乳
化剤1.0 部を水70.0部と共に加えて溶解し、容器内の空
気を窒素ガスで置換した。表1のポリマーエマルジョン
No.1に示すコア部不飽和単量体混合物70.3部と、表2の
組成No.1の乳化剤2.1部、及び水28.0部を乳化混合し、
このうち7.5 部を前記反応容器に加え60℃まで昇温し
た。昇温の後、2,2´−アゾビス(2-アミノジプロパ
ン)二塩酸塩0.3部及び水12.0部を含む溶液を前記反応
容器に添加し、続いて残りのコア部不飽和単量体乳化物
を90分間かけて反応容器内に連続滴下し、60℃で重合を
行なった。滴下終了後、60℃で5分間熟成を行い、続い
て表1のポリマーエマルジョンNo.1に示すシェル部不飽
和単量体混合物32.5部と表2の組成No.1の乳化剤0.9
部、及び水10.0部からなるシェル部不飽和単量体乳化物
を30分かけて連続滴下し、60℃で重合を行った。滴下終
了後、更に60℃で1時間熟成を行い重合反応を完結させ
た。得られた重合物を室温に冷却した後、固形分を40%
に調製し、アクリル系ミクロポリマーエマルジョンNo.1
とした。このアクリル系ミクロポリマーエマルジョンN
o.1の粘度は2〜3cpsの範囲内にあった。これをコ
ンクリート構造物に発生するヘアーラインクラックの補
修に用いる注入材とした。 (2)アクリル系ミクロポリマーエマルジョンNo.2〜N
o.5 表1の不飽和単量体および表2の乳化剤を用いて、アク
リル系ミクロポリマーエマルジョンNo.1に準拠して調製
した。ここでコア部およびシェル部に配分する乳化剤と
水の量はコア/シェル比に応じて振り分けた。このアク
リル系ミクロポリマーエマルジョンNo.2〜No.5の粘度は
2〜3cpsの範囲内にあった。 (3)ポリマーエマルジョンNo.6 市販SBR系ポリマーエマルジョン(スチレン−ブタジ
エン共重合物AI40%)を使用した。 (4)ポリマーエマルジョンNo.7 市販EVA系ポリマーエマルジョン(エチレン−酢酸ビ
ニル共重合物AI40%)を使用した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】なお、アクリル系ポリマーエマルジョンの
平均粒子径は、コールターサブミクロン粒子アナライザ
ー(米国エレクトロニクス社製 Coulter Mode N4型)
により測定した。
【0054】[ポリマーセメントスラリーの調製]JI
S R5201(セメントの物理試験方法)に規定する
練り混ぜ機を用いて普通ポルトランドセメントと表1に
示すアクリル系ミクロポリマーエマルジョンを練り混
ぜ、ポリマーセメントスラリーを調製した。このときポ
リマーセメント比(%)を25.0、水セメント比
(%)は33.0に調製した。
【0055】[ポリマーセメントスラリーの流動性評
価]前記ポリマースラリーは次に示すフリーフロー値と
流動時間を測定し、流動性を評価した。 フリーフロー値 JIS R5201に準じ、ポリマーセメントスラリー
調製直後30分後および1時間後のフロー値(mm)を
測定した。 流下時間 土木学会基準[PCグラウト試験法(JSCE−198
6)]に準じ、J14ロートを用いてポリマーセメントス
ラリーの流下時間(秒)を測定した。
【0056】[ポリマーセメントの硬化体性能の評価]
前記ポリマーセメント硬化体は次に示す性能を測定し、
評価した。。なお硬化体は20℃、相対湿度80%の湿
空条件下で養生後、20℃、相対湿度65%の条件下で
26日間気中乾燥した。 圧縮強さ、熱弾性係数 土木学会基準[PCグラウト試験法(JSCE−198
6)]に準じ、圧縮強さ試験を行った。また圧縮強さ試
験用供試体側面の高さ、中央部およびその対称となる位
置にゲージ長20mmのワイヤストレンゲージを張り付
け、圧縮歪みを測定し、熱弾性係数を求めた。 圧縮強さ、引張歪み ASTM C190に準じ、引張強さ試験を行った。引
張試験用供試体の応力集中部の中央にゲージ長20mm
のワイヤレスストレンゲージを張り付け、引張ひずみを
測定した。以上の結果を表3に示す。
【0057】表3から、エマルジョンNo.1〜5を用いた
本発明に係るポリマーセメントスラリーNo.C1〜No.C5の
流動性と硬化体性能は著しく良好であり、従来より使用
されている比較例のエマルジョンNo.6〜No.7を用いたポ
リマーセメントNo.C6〜No.C7の物性を大幅に改善してい
ることが判る。
【0058】
【表3】
【0059】[コンクリート構造物に発生したヘアーラ
インクラックの補修]表4に示すマンションのベラン
ダ、廊下及び屋上に発生した0.1〜0.2mmのヘアー
ラインクラック部をV・Uカットなしで、試料No.1〜N
o.7のエマルジョンおよび試料No.C1〜No.C7のセメント
スラリーを図1〜5に示す装置を用いて注入した。
【0060】図1は本発明に好適に用いることができる
注入ガン1の正面図である。注入ガン1は、注入液のカ
ートリッジを装填するための装填部2を備え、この装填
部2にはカートリッジ内部の液体を観察するための窓部
3,3´と、ガン本体に固定するための固定部4を備え
ている。また注入ガン1は、手で持つための固定把持部
6と引き金部7を備え、引き金部7を引くことにより1
ストローク分の長さ(例えば1cm)だけ軸5を一方向
固定部12が前側に送る。これにより後に説明する軸5
の先端の押出部が前に送られ、カートリッジの先端のノ
ズル25から注入液が外部に出される。8は通常はバネ
9により右側に押されていて軸を固定しているが、カー
トリッジを装填する場合に必要な軸5を右側に引くため
のストッパー解除部である。10は引き金部7に一定の
力を与えるバネである。11はカートリッジを接続する
ための接続部である。なお軸5の右端が曲がっているの
はむ、指に掛けて引きやすくするためである。
【0061】図2は注入液カートリッジ20を注入ガン
1に装填するための説明図である。まず注入ガン1のス
トッパー解除部8を手で押さえた状態で軸5を右端まで
引いておく。この状態では軸5の左端にある押出部13
は最も引き込んだ位置に存在する。すなわち軸5´は最
も短くなっている。次に先端部24に注入ノズル25を
備え、ボトム部にシール部23,23´を有する移動パ
ッキン22を備えた注入液カートリッジ20を、装填部
2の中に入れ、ガン1の接続部11に固定部4,4´を
入れて回転させることにより全体が一体化される。21
は注入液カートリッジ20のボディー部である。
【0062】次に図3は、カートリッジ20が装填部2
とともにガン1に一体化され、押出部13が移動パッキ
ン22を最も先端まで押し込んだ状態を示す一部切り欠
き図である。次に図4は、カートリッジ20の正面図で
ある。使用前まではカートリッジ20の先端部24には
キャップ26が付けられ密封されている。またボトム部
には移動パッキン22を備え、同様に密封している。
【0063】次に図5は、注入ガン1を用いて実際にコ
ンクリート構造物のヘアークラックの補修を行っている
部分を示す説明図である。コンクリート構造物31のヘ
アークラック32に、本発明の注入液30を注入ガン1
によって注入する。
【0064】このエマルジョンおよびポリマーセメント
スラリーの注入性(作業性)および注入半年後の経過観
察で、防水性、エフロの再発生等を視覚評価した。結果
を表4に示す。試料No.1〜5と試料No.C1〜C5は本発明の
実施例であり、試料No.6〜7および試料No.C6〜C7は比較
例である。表4からも本発明のアクリル系ミクロポリマ
ーエマルジョンとポリマーセメントスラリーがコンクリ
ート構造物のヘアークラックの補修に好適であり、また
本法での施工が補修工事に有効的であることが確認でき
た。
【0065】
【表4】
【0066】以上説明した通り、本発明の実施例によれ
ば、本発明の注入液は粘度が低いことから、小さな隙間
のクラックまで浸透し、効率良く補修することができ
た。しかも温度変化による流動性低下が少なく、施工条
件に係わらず安定した作業性が得られた。
【0067】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明のセメント構
造物用注入材ポリマーエマルジョンを用いて調製したポ
リマースラリーは、流動性が著しく改善され、セメント
構造物の空隙に容易に浸透させることができ、しかも温
度変化による流動性低下が少ないので、施工条件に係わ
らず安定した作業性が得られる。さらに、セメントスラ
リー中のセメント組成物粒子を微分散化するため、得ら
れるスラリー硬化体の圧縮強度、曲げ強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に好適に用いることができる一実施例
の注入ガンの正面図である。
【図2】 本発明に好適に用いることができる一実施例
の注入液カートリッジを注入ガンに装填するための説明
図である。
【図3】 本発明に好適に用いることができる一実施例
の注入ガンの一部切り欠き図である。
【図4】 本発明に好適に用いることができる一実施例
のカートリッジの正面図である。
【図5】 本発明の一実施例の注入ガンを用いて実際に
コンクリート構造物のヘアークラックの補修を行ってい
る部分を示す説明図である。
【符号の説明】
1 注入ガン 2 装填部 3,3´ 窓部 4 固定部 5,5´ 軸 6 固定把持部 7 引き金部 8 ストッパー解除部 9,10 バネ 11 接続部 12 一方向固定部 13 押出部 20 注入液カートリッジ 21 カートリッジのボディー部 22 移動パッキン 23 23´シール部 24 先端部 25 注入ノズル 26 キャップ 30 注入液 31 コンクリート構造物 32 ヘアークラック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 浩 東京都墨田区本町一丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 (72)発明者 吉田 隆 京都府京都市北区平野桜木町26番地

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボン酸(塩)基およびスルホン酸
    (塩)基から選ばれる少なくとも一つの有機基を有する
    不飽和単量体の一種以上と、(メタ)アクリル酸エステ
    ルとの乳化重合により得られる平均粒子径30nm〜2
    00nmのアクリル系ミクロポリマーエマルジョンを含
    むコンクリート構造物用注入材。
  2. 【請求項2】 アクリル系ミクロポリマーエマルジョン
    が、平均粒子径:30nm〜200nmのコア・シェル
    型異層化アクリル系ミクロポリマーエマルジョンを含む
    エマルジョンであって、前記コア・シェル型異層化アク
    リル系ミクロポリマーエマルジョンのミクロ粒子シェル
    部が、(メタ)アクリル酸エステル不飽和単量体、カル
    ボン酸(塩)基含有不飽和単量体、及びスルホン酸
    (塩)基含有不飽和単量体を含む単量体混合物を乳化重
    合して得た共重合体である請求項1に記載のコンクリー
    ト構造物用注入材。
  3. 【請求項3】 コア・シェル型異層化アクリル系ミクロ
    ポリマーエマルジョンのミクロ粒子シェル部が、架橋型
    アクリル系ポリマーを含む請求項2に記載のコンクリー
    ト構造物用注入材。
  4. 【請求項4】 アクリル系ミクロポリマーエマルジョン
    が水分散体であり、アクリル系ミクロポリマーの割合が
    固形分換算で30重量%〜70重量%の範囲であり、水
    の割合が70重量%〜30重量%の範囲である請求項1
    〜3のいずれかに記載のコンクリート構造物用注入材。
  5. 【請求項5】 (a)請求項1〜4のいずれかに記載の
    アクリル系ミクロポリマーエマルジョンに、さらに
    (b)水硬性組成物を含むコンクリート構造物用注入
    材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載のコンクリ
    ート構造物用注入材をコンクリート構造物に発生するヘ
    アーラインクラックにカット、はつりまたは穴あけをす
    ることなく注入し、補修することを特徴とするコンクリ
    ート構造物の補修法。
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