JPH10237009A - ギ酸メチルからの酢酸の製造方法 - Google Patents

ギ酸メチルからの酢酸の製造方法

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JPH10237009A
JPH10237009A JP9045926A JP4592697A JPH10237009A JP H10237009 A JPH10237009 A JP H10237009A JP 9045926 A JP9045926 A JP 9045926A JP 4592697 A JP4592697 A JP 4592697A JP H10237009 A JPH10237009 A JP H10237009A
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acetic acid
carbon monoxide
formic acid
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Futoshi Kawako
太 河高
Yoshikazu Shima
義和 島
Kenichi Nakamura
健一 中村
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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    • C07C51/10Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide
    • C07C51/12Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reaction with carbon monoxide on an oxygen-containing group in organic compounds, e.g. alcohols

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ギ酸メチルおよびギ酸の損失がなく、基本的
に一酸化炭素の供給を必要としないギ酸メチルのみを原
料としたプロセスを提供する。 【解決手段】 VIII族金属触媒、1種以上のヨウ素
化合物、酢酸、一酸化炭素の存在下、ギ酸メチルを反応
させ、反応器より反応液を連続的に抜き取ってフラッシ
ュ蒸留区域に導入して、蒸発分と未蒸発分を分離し、未
蒸発分を反応器にリサイクルし蒸発分より酢酸を得るプ
ロセスで、リサイクル区域およびフラッシュ蒸留区域で
ギ酸メチルを共存させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酢酸を製造する方法
に関する。更に詳しく説明すれば、ギ酸メチルを原料に
用いて、一酸化炭素加圧下に反応させて酢酸を製造する
方法に関する。酢酸は、酢酸エステル類、無水酢酸、酢
酸ビニル、テレフタル酸の原料として工業的に用いられ
る基礎化学品である。
【0002】
【従来の技術】酢酸の工業的製造法としては、アセトア
ルデヒドの酸化、ナフサやオレフィンの酸化法をはじめ
として、メタノールと一酸化炭素から製造する方法が知
られている。メタノールと一酸化炭素を反応させる方法
には、コバルト触媒を用いるいわゆる高圧カルボニル法
と、ロジウム触媒を用いる低圧のいわゆるモンサント法
が広く知られている。しかし、これらメタノールのカル
ボニル化反応に関する従来技術によれば酢酸の製造に際
し、酢酸の製造量に対応する以上の量の高純度一酸化炭
素が必要となる。モンサント法ではカルボニル化工程の
設備費とほぼ同額の一酸化炭素発生設備費がかかるとい
う欠点を有している。
【0003】メタノールのカルボニル化反応による酢酸
製造では水の共存が必須であり、反応液中の水分濃度が
改良法に示されるように5%重量以下に低下したとして
も、一酸化炭素と水から二酸化炭素と水素を生成する水
性ガスシフト反応を完全に抑えることは出来ず、また、
製品酢酸を得るためには蒸留工程において水の分離に多
大のエネルギーを必要とする欠点を有している。また、
メタノールのカルボニル化反応では液相触媒中への一酸
化炭素の溶解を促進させるため撹拌機を有する完全混合
槽型反応器を用いるため、撹拌動力を必要とする欠点を
有している。
【0004】このメタノールのカルボニル化反応の反応
機構は次のように考えられており、式3より一酸化炭素
を消費する反応であることがわかる。 CH3 OH+CH3 COOH→CH3 COOCH3 +H2 O(1) CH3 COOCH3 +HI→CH3 I+CH3 COOH (2) CH3 I+CO→CH3 COI (3) CH3 COI+H2 O→CH3 COOH+HI (4) これに対して、ぎ酸メチルを一酸化炭素加圧下に加熱す
ることで酢酸を製造する方法として、ロジウムを触媒と
する場合(特開昭49ー3513)や、ロジウム金属原
子およびヨウ化リチウムとヨウ化メチルとの混合物から
なる均一触媒系を用いる場合(特開昭60ー14954
2)が知られている。この反応の反応機構は次の通りで
あると考えられている。 HCOOCH3 +CH3 COOH→CH3 COOCH3 +HCOOH (5) CH3 COOCH3 +HI→CH3 COOH+CH3 I (6) CH3 I+CO→CH3 COI (7) CH3 COI+HCOOH→CH3 COOH+CO+HI (8) 式7および式8より、メタノールのカルボニル化法とは
異なり、ギ酸メチルを原料とした場合には、一酸化炭素
の消費量と生成量が等しいことがわかる。このような特
徴を持った反応を利用するので、ギ酸メチルより酢酸を
製造するプロセスでは、一酸化炭素を発生させる装置は
反応系中の一酸化炭素雰囲気を維持させるための極めて
小規模なもので済む。
【0005】本発明者らは、これらのギ酸メチルを原料
とする酢酸製造プロセスにおいて、高純度一酸化炭素の
製造設備の制約から解放されるとともに、製品酢酸の精
製に要するエネルギーコストを最小にする酢酸の製造法
を見いだし、特許出願した(特願平8−270855
号)。この製造法では、ぎ酸メチルの異性化反応に適合
した反応器と反応形式に変更することにより、それまで
問題であった空時収率や転化率を十分高めること、およ
び変換可能な副生物であるぎ酸と酢酸メチルの生成量を
最小限に留めことが可能になった。この発明によりモン
サント法および改良モンサント法を上回る経済性ある酢
酸製造プロセスを構築できる。
【0006】しかしながら、本発明者らも含め、これま
でギ酸メチルのみを原料として酢酸を製造する方法がい
くつか報告されてきたものの、生成した酢酸の分離や、
反応液および触媒のリサイクルを含めプロセスを構築し
たという例はない。今までメタノールのカルボニル化に
よる酢酸の製造法の反応機構と、ギ酸メチルの異性化に
よる酢酸合成の反応機構には類似点が多いために、製造
プロセスもメタノールのカルボニル化法とギ酸メチルの
異性化法は類似すると考えられてきたが、ギ酸メチルの
異性化法に特有の問題点があることは明らかにされてい
なかった。
【0007】今回、本発明者らは、プロセス確立を目的
に、反応器以外にフラッシュ蒸留および反応液のリサイ
クル等を目的とした装置類を用いて検討を行った。この
結果、フラッシュ蒸留区域およびリサイクル区域で、原
料であるギ酸メチル、および反応中間体であるギ酸の分
解が起こる場合があることが明らかになった。もしこれ
らの化合物の分解を抑制しなければ、ギ酸メチルの異性
化法による酢酸製造プロセスの特長が失われるだけでな
く、プロセス自身が成立し得なくなる場合が起きる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ギ酸メチル
を異性化して酢酸を製造する際に、フラッシュ蒸留区域
およびリサイクル区域で原料であるギ酸メチルおよび反
応中間体であるギ酸の分解を防止する方法を見いだし、
ギ酸メチルのみを原料とした酢酸製造プロセスを確立す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、フラッシ
ュ蒸留および反応液のリサイクル等をを目的とした装置
類を用いてギ酸メチルの異性化法による酢酸製造プロセ
スについて検討を行った。図1に示すように、本発明の
ギ酸メチルの異性化による酢酸の製造プロセスは、反応
区域、フラッシュ蒸留区域、リサイクル区域および精製
区域から構成される。
【0010】以下に述べるように、反応器には原料であ
るギ酸メチル、VIII族金属触媒、1種以上のヨウ素
化合物を含んだ液、及び一酸化炭素が連続的に供給さ
れ、反応液が連続的に抜き出される。ギ酸メチルから酢
酸を製造するための触媒は、VIII族金属触媒と1種
以上のヨウ素化合物との組み合わせが用いられる。ここ
でVIII族金属とは、ロジウム、鉄、ルテニウム、オ
スミウム、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウ
ム及び白金のことであり、このなかでロジウムが好適に
用いられる。本発明で言うヨウ素化合物とは、ヨウ素、
ヨウ化メチル、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨ
ウ化カリウム及びヨウ化セシウムなどがあるが、本発明
で好適に用いられる触媒のヨウ素化合物は、ヨウ化メチ
ルとヨウ化リチウムの組み合わせである。即ち本発明の
触媒としてはロジウムと、ヨウ化メチルおよびヨウ化リ
チウムとの組み合わせが好適に用いられる。
【0011】本発明のぎ酸メチル異性化反応では、反応
中間体であるぎ酸と酢酸メチルが、ぎ酸メチルと酢酸の
エステル交換反応により生成する。これら、ぎ酸と酢酸
メチルは反応生成液から回収して反応器に循環される。
原料に加えられた循環液はエステル交換の逆反応により
再びぎ酸メチルと酢酸にもどることが可能である。定常
状態においては反応器中でぎ酸と酢酸メチルはある平衡
濃度を保って等モル存在することになる。循環工程の設
備規模、エネルギーの使用量から経済的に最も有利な反
応液中のぎ酸と酢酸メチルの濃度は、0.1〜10重量
%である。
【0012】反応温度は100〜240℃の範囲で実施
される。実質的無水の条件下で実施されるぎ酸メチルの
異性化反応では、メタノールのカルボニル化とは異なり
185℃以上の温度で急激に進行する水性ガスシフト反
応が起こらないので、185℃以上の温度で反応速度を
向上させることができる。特に好ましくは180〜21
0℃である。本発明は一酸化炭素存在下で実施される。
使用される一酸化炭素は必ずしも純粋である必要はな
い。微量の不活性ガス、例えば二酸化炭素、窒素、メタ
ンが妨害因子になることはない。一酸化炭素の分圧はロ
ジウムカルボニル錯体の保持に必要な圧を有していれば
よい。必要量は実質的無水の条件下で実施されるぎ酸メ
チルの異性化反応では、シフト反応による一酸化炭素の
ロスがないので生成液に溶解し反応系外に排出される量
のみ補ってやればよく、ほとんど無視することができ
る。本発明における必要な一酸化炭素分圧は0.1〜5
0kgf/cm2 の範囲から選ばれる。反応の全圧は1
〜100kgf/cm2 、好ましくは10〜50kgf
/cm2 の範囲で行われる。本反応はバッチ反応方式で
も連続反応方式でも実施できるが、連続反応形式が好ま
しい。反応器は混合槽型だけでなく塔型や管型でも実施
可能である。
【0013】反応器から抜き出された反応液は連続的に
フラッシュ蒸留区域に導入され、フラッシュ蒸留され
る。ここで気化した成分は凝縮器で凝縮した後に、また
は直接に精製区域に導入され、酢酸が製品として抜き出
され、残りの液は反応器に戻される。フラッシュ蒸留区
域の缶出液は、リサイクル区域を経て反応器に戻され
る。このリサイクル区域には、送液配管、送液ポンプ以
外に触媒液を一時的に保存するタンクが存在してもかま
わない。
【0014】リサイクル区域においてはギ酸とギ酸メチ
ルが共存しているようにする。それはギ酸の分解を抑制
するためである。比較的高い温度では容易に二酸化炭素
と水素に分解することが知られている(式9)。 HCOOH → CO2 + H2 (9) 二酸化炭素と水素は、最終的に酢酸に転換することがで
きないため、式9の副反応は極力抑えなければならな
い。また、ギ酸はVIII族金属の存在下、比較的低い
温度でも一酸化炭素と水に分解することがある(式1
0)。 HCOOH → CO + H2 O (10)
【0015】一方、本発明者らは、水と一酸化炭素がV
III族金属触媒の存在下、ギ酸メチルと反応して酢酸
とギ酸に転化することを認めた(式11、12)。 HCOOCH3 +H2 O→HCOOH+CH3 OH (11) CH3 OH+CO→CH3 COOH (12) ここで式9の反応を抑えつつ、式10と式11および式
12を同時に進行させることができれば、水と一酸化炭
素はギ酸に再転換されるために、全体としてギ酸の分解
が抑制できる。
【0016】ギ酸メチルの共存量については、ギ酸メチ
ルの濃度が低くても、ギ酸の分解を抑制する効果が認め
られたが、ギ酸メチルがギ酸の0.1当量以上で、その
効果が著しい。
【0017】この抑制法を実現するに当たっては、式1
1および式12の反応が式10に対して速くなるように
しておく必要がある。もしも式10が式11、12に対
して速く進行して一酸化炭素が大量に発生すれば、装置
内の圧力が上昇し、安全のために一酸化炭素を系外にパ
ージしなければならなくなる。この場合、装置内に水が
蓄積してしまい、酢酸製造の妨げとなる。水の蓄積を放
置すれば、このプロセスは成り立たなくなるので、多大
なエネルギーを投入してフラッシュ蒸留区域および精製
区域で水を分離および廃棄し、更に一酸化炭素の製造お
よび供給装置の供給力を増強してパージ量と等量の一酸
化炭素を酢酸製造装置に供給しなければならない。この
対処法も、プロセスの単純化および省エネルギー化にと
って望ましいことではない。よって、反応器内だけでな
くリサイクル区域においても、ギ酸とギ酸メチルが十分
に共存するようにしておくことが良い。
【0018】ところが、ギ酸メチルはギ酸よりも沸点が
低いために、フラッシュ蒸留区域において、その多くが
気化し、精製区域に流出するため、リサイクル区域での
ギ酸メチルの濃度が低くなりやすい。反応条件やフラッ
シュ蒸留の条件によっては、ギ酸メチルがフラッシュ蒸
留区域の缶出液には実質的に存在しなくなってしまうこ
ともある。そこで、フラッシュ蒸留区域の運転条件を適
切に調整するか、リサイクル区域においてギ酸メチルを
新たに添加する必要がある。
【0019】一方、ギ酸だけでなくギ酸メチルもVII
I族金属の存在下で室温以上の温度で分解して、二酸化
炭素とメタンに転化する条件があることを本発明者は認
めた(式13)。 HCOOCH3 → CO2 + CH4 (13) 二酸化炭素とメタンは酢酸に転化できないために廃棄せ
ざるを得ず、酢酸製造プロセスにとって損失となる。
【0020】今回、本発明者は、VIII族金属とギ酸
メチルを含む溶液に一酸化炭素を接触させると、ギ酸メ
チルの分解が抑制されて、二酸化炭素とメタンの発生量
が減少することを見いだした。従って、反応器だけでな
く、リサイクル区域においても一酸化炭素を加えるのが
良い。その圧力は0.1kgf/cm2 以上であればよ
いが、同じ温度であれば、加える一酸化炭素の圧力が高
いほど、ギ酸メチルの分解の抑制の効果は大きい。ま
た、温度が低いほどギ酸メチルは分解しにくい。130
℃において1.5kgf/cm2、190℃においては
7kgf/cm2の一酸化炭素を加えれば、ほぼ完全に
ギ酸メチルの分解を抑制できる。
【0021】さて、リサイクル区域と異なり、フラッシ
ュ蒸留区域においては、一酸化炭素やギ酸メチルが気化
するため、これらの成分の溶存濃度を高く保つことが難
しい場合がある。それにも関わらず、ギ酸メチルによる
ギ酸の分解の抑制および、一酸化炭素によるギ酸メチル
の分解の抑制が認められることがあった。そこで本研究
者らは、フラッシュ蒸留区域における運転条件を種々検
討し、以下の様に運転条件を適切に選ぶことでもギ酸メ
チルおよびギ酸の分解を抑制できることを見いだした。
すなわち、ギ酸メチルとギ酸が共存した状態でフラッシ
ュ蒸留装置の温度を160℃以下に設定し、望ましくは
110℃から150℃で、かつ生成液の平均滞留時間は
30分以下で操作することが有効であった。また、ギ酸
メチルとギ酸が共存した状態でフラッシュ蒸留装置の内
部に一酸化炭素気流を導入し、一酸化炭素分圧を維持し
たままフラッシュ蒸留を実施すれば、フラッシュ蒸留器
内でのギ酸メチルおよびギ酸の分解を抑制したまま平均
滞留時間を長くできる。またこの場合、フラッシュ蒸留
器内での蒸発が促進されるために、気液分離器の装置を
小型化できるという特長を持つ。この場合、気液分離器
の温度は180℃以下であれば良く、望ましくは100
〜160℃である。
【0022】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0023】〔反応装置、操作の説明〕反応装置は図2
に示すように、一酸化炭素供給装置、反応器(2)、フ
ラッシュ蒸留器(3)、凝縮器(4)、触媒液タンク
(1)、粗精製物タンク(5)、蒸留塔(7)、送液ポ
ンプ(8)および配管類よりなる。撹拌器を具備した圧
力反応器(内容積500mL、ジルコニウム製)を包括
するカルボニル化反応器に、あらかじめギ酸メチル 1
5.6重量%、ヨウ化メチル 11.3重量%、酢酸
61.7重量%、ギ酸 1.5重量%、酢酸メチル2.
2重量%、 ヨウ化リチウム 5.1重量%、ロジウム
750ppmよりなる原料を満たし、圧力が30kg
f/cm2 を維持するように一酸化炭素を供給しつつ、
反応器内の液面検知を行うことにより、滞留液量を20
0mLとして原料液を供給すると同時に生成液を供給量
と同量抜き出した。また、液温が190℃を維持するよ
うに加熱、除熱を行った。フラッシュ蒸留器には、反応
器から流出した反応液が流れ込み、フラッシュ蒸留され
た。フラッシュ蒸留の操作は、所定の温度、圧力および
平均滞留時間で行われた。缶出液は触媒成分を含んでお
り、フラッシュ蒸留器下部から触媒タンクに導入され
た。フラッシュ蒸留器で気化した成分は、凝縮器で凝縮
した後に粗精製物タンクに導入された。また、一酸化炭
素などの非凝縮性ガスはパージされた。粗精製物タンク
に貯蔵された液は蒸留塔に導入され、蒸留された後に、
酢酸が製品として抜き出された。酢酸以外の成分は、反
応器に戻された。触媒液タンクの温度は所定温度に維持
されており、先に示したフラッシュ蒸留器下部からの流
出液の他に、ギ酸メチルが加えられた。さらに、このタ
ンクは、所定雰囲気、圧力を維持された。そして、この
タンク内の液は送液ポンプによって反応器にリサイクル
された。
【0024】実施例1 反応器に原料液を800g/hrで供給し、運転した。
反応器から流出する液の組成は、ギ酸メチル 1.7重
量%、ヨウ化メチル 11.3重量%、酢酸75.6重
量%、ギ酸 1.5重量%、酢酸メチル2.2重量%、
ヨウ化リチウム5.1重量%、ロジウム750ppmで
ある。なおギ酸とギ酸メチルのモル比:ギ酸メチル/ギ
酸=1.2である。フラッシュ蒸留は、130℃、平均
滞留時間4分で操作された。粗精製物タンクにはフラッ
シュ蒸留器上部から、217g/hrの割合で凝縮液が
流入し、その組成はヨウ化メチル30.5%、酢酸メチ
ル3.6%、酢酸59.0%、ギ酸2.2%、ギ酸メチ
ル2.1%であった。非凝縮性ガスは0.8L/hrで
パージされた。フラッシュ蒸留器の缶出液は583g/
hrで触媒液タンクに導入され、ヨウ化メチル4.7
%、酢酸メチル0.5%、酢酸87.2%、ギ酸1.1
%、ギ酸メチル0.6%、ロジウム1030ppmを含
んでいた。フラッシュ蒸留器に流入するギ酸メチルおよ
びギ酸の重量と、粗精製物タンクおよび触媒液タンクに
流入するギ酸メチルおよびギ酸の重量を比較したとこ
ろ、フラッシュ蒸留器においてギ酸メチルの1.3%が
メタンおよび二酸化炭素へ分解していた。また水の生成
は認められず、従ってギ酸の分解はなかった。
【0025】実施例2 フラッシュ蒸留器での平均滞留時間を40分にしたこと
以外は、実施例1と同じ装置、同じ操作を行った。その
結果、反応器より流入したギ酸メチルの9.9%がメタ
ンおよび二酸化炭素に分解していた。またギ酸とギ酸メ
チルを合わせて考えた物質の減少量、及び水の生成量か
らギ酸の9.8%が分解したことがわかった。
【0026】実施例3 フラッシュ蒸留器下部より一酸化炭素を6L/hrで供
給したことおよび平均滞留時間が40分であることの他
は、全て実施例1と同じ操作を行った。この結果、反応
器より流入したギ酸メチルの1.1%がメタンおよび二
酸化炭素に分解していた。このように、滞留時間を長く
しても、一酸化炭素を共存させることにより、ギ酸メチ
ルの分解を抑制できる。
【0027】実施例4 実施例1で得られたフラッシュ蒸留器の缶出液にギ酸メ
チルを添加して触媒液を調製した。その組成は、ギ酸メ
チル 14.6重量%、ヨウ化メチル 4.7重量%、
酢酸 73.0重量%、酢酸メチル0.5重量%、ギ酸
1.1重量%、ヨウ化リチウム 6.1重量%、ロジウ
ム 900ppmである(ギ酸メチル/ギ酸=10.2
モル/モル)。この液を、130℃に保温した触媒液タ
ンクに液率20%で入れ、一酸化炭素を加えて圧力を2
kgf/cm2 にして1週間貯蔵した。圧力に変化はな
く、気相部分からは水素、二酸化炭素およびメタンは検
出されなかった。タンク内の液の組成は、ギ酸メチル
9.3重量%、ヨウ化メチル4.7重量%、酢酸メチル
4.8重量%、ギ酸3.8重量%、酢酸 71.3重
量%を含んでいた。ギ酸メチルと酢酸のエステル交換反
応は起きていたものの、分解による二酸化炭素、メタン
の生成は抑えられていた。また、ギ酸とギ酸メチルを合
わせて考えた物質の減少量から、ギ酸の2.8%が分解
したことがわかった。
【0028】実施例5 実施例1で得られたフラッシュ蒸留器の缶出液(ギ酸メ
チル/ギ酸=0.4モル/モル)を、130℃に保温し
た触媒液タンクに液率20%で入れ、一酸化炭素を加え
て圧力を2kgf/cm2にして1週間貯蔵した。圧力
は2.2kgf/cm2 に上昇していた。気相部からは
水素、二酸化炭素およびメタンは検出されなかった。タ
ンク内の液の組成は、ギ酸メチル0.2重量%、ヨウ化
メチル4.7重量%、酢酸87.5重量%、酢酸メチル
0.5重量%、ギ酸1.0重量%を含んでいた。ギ酸メ
チルの分解による二酸化炭素とメタンの生成が抑えられ
ていることが分かった。また、ギ酸とギ酸メチルを合わ
せて考えた物質の減少量、および水の生成量から、ギ酸
の12%が分解していたことが分かった。
【0029】実施例6 タンク内に一酸化炭素の代わりに空気を入れた他は、全
て実施例5と同じ操作を行った。触媒液タンク内の圧力
は3.7kgf/cm2 に上昇していた。気相の組成は
メタン 2.4モル%、二酸化炭素 2.4モル%、一
酸化炭素 11.8モル%であった。タンク内の液は、
ギ酸メチル 0.1重量%、 ヨウ化メチル4.7重量
%、酢酸 88.1重量%、 酢酸メチル 0.5重量
%、ギ酸0.4重量%、水 0.4重量%を含んでい
た。メタンと二酸化炭素の発生量から、ギ酸メチルの3
7%が分解したことが分かった。また、ギ酸とギ酸メチ
ルを合わせて考えた物質の減少量、および水の生成量か
ら、ギ酸の61%が水と一酸化炭素に分解したことが分
かった。
【0030】比較例1 ヨウ化メチル 3.6重量%、酢酸 88.3重量%、
ギ酸1.2重量%、ヨウ化リチウム 7.0重量%、ロ
ジウム 1030ppmよりなる(ギ酸メチルを含有し
ていない)フラッシュ蒸留器の缶出液を、130℃に保
温した触媒液タンクに液率20%で入れ、一酸化炭素を
加えて圧力を2kgf/cm2 にして1週間貯蔵した。
圧力は3.7kgf/cm2 に上昇した。気相部から二
酸化炭素、水素は検出されなかった。液相部は、ヨウ化
メチル3.6重量%、酢酸88.4重量%、水0.5重
量%を含んでいた。ギ酸は全て水と一酸化炭素に分解、
消失していた。
【0031】
【発明の効果】ギ酸メチルおよびギ酸の損失がなく、基
本的に一酸化炭素の供給を必要としないギ酸メチルのみ
を原料としたプロセスが可能になったことの工業的意義
は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のプロセスの概略図である。
【図2】 実施例で用いた装置の概略図である。
【符号の説明】
図1 (1):リサイクル区域 (2):反応区域 (3):フラッシュ蒸留区域 (4):精製区域 (5):反応器 (6):フラッシュ蒸留器 (7):蒸留塔 図2 (1):触媒液タンク (2):反応器 (3):フラッシュ蒸留器 (4):凝縮器 (5):粗精製物タンク (6):原料調合槽 (7):蒸留塔 (8):送液ポンプ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ギ酸メチルをVIII族金属触媒、1種
    以上のヨウ素化合物及び一酸化炭素の存在下に異性化し
    て酢酸を製造するに際し、反応器より反応液を連続的に
    抜き取ってフラッシュ蒸留区域に導入して、蒸発分と未
    蒸発分を分離し、未蒸発分を反応器にリサイクルするプ
    ロセスにおいて、フラッシュ蒸留区域および/またはリ
    サイクル区域に、ギ酸とギ酸メチルを共存させることを
    特徴とする酢酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 VIII族金属触媒としてロジウム触媒
    を使用する請求項1記載の酢酸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ギ酸の0.1当量以上にギ酸メチルが共
    存していることを特徴とする請求項1に記載の酢酸の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 リサイクル区域および/またはフラッシ
    ュ蒸留区域に一酸化炭素を導入することを特徴とする請
    求項1に記載の酢酸の製造方法。
  5. 【請求項5】 フラッシュ蒸留区域における平均滞留時
    間30分以下および温度180℃以下でフラッシュ蒸留
    をすることを特徴とする請求項1記載の酢酸の製造方
    法。
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