JPH10231876A - 閉鎖弁を備えたピストンシリンダ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】漏れ率が可能な限り小さい閉鎖弁を有するピス
トンシリンダ装置を提供する。 【解決手段】パッキンリング（１７）はその背面側をス
ライダ（１１）により支持されている。スライダ（１
１）は弁座（１９ａ，１９ｂ，１９ｃ）とともに排流空
間（２５）を形成している。排流空間（２５）は、絞り
のない排流を可能にし且つ排流空間（２５）内の動圧の
形成を阻止するような大きさの排流口（２７）を有して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、ピストン棒により
軸線方向に可動に案内され、シリンダを二つの作業空間
に分割しているピストンと、定常状態で両作業空間の流
動結合部を閉鎖する閉鎖弁とを有し、閉鎖弁が、弁座と
結合して半径方向において密封作用をする軸線方向に移
動可能なパッキンリングを備えた弁要素を有しているピ
ストンシリンダ装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ドイツ特許公開第３３０１５４４号公報
から知られているピストンシリンダ装置は、ピストン棒
により軸線方向に可動に案内され、シリンダを二つの作
業空間に分割しているピストンと、定常状態で両作業空
間の流動結合部を閉鎖する閉鎖弁とを有し、この場合閉
鎖弁は、弁座と結合して半径方向において密封作用をす
る軸線方向に移動可能なパッキンリングを備えた弁要素
を有している。このピストンシリンダ装置の問題は、閉
鎖弁の密封性を得るために非常に精密な製造が要求され
ることにある。パッキンリングの背面にはばねが配置さ
れ、パッキンリングを弁座に対して付勢している。ばね
は端部に鋭くカットされた巻き部を備えるよう構成され
ている。このため弁パッキンリングに対するばねの付勢
力が不均一になることがあり、わずかながらパッキンリ
ングが傾斜した状態になることがある。結果として、回
避の必要がある漏れ率が認められる。構成上の難点は、
申し分のない機能を得るために際立った環状空間（符号
１３を参照）とさらに弁開口部（符号１８）を設けねば
ならないことに起因している。半径方向の構成空間が小
さいと、両作業空間の前記結合部の可能な流動横断面積
は制限される。

【０００３】ドイツ特許公開第４４３１６２６号公報か
ら知られているピストンシリンダ装置の閉鎖弁は、異な
る大きさの圧力で付勢される複数の面が動圧と協働して
閉鎖弁を開弁位置に保持するように構成されている。閉
鎖弁をこのように構成することの意味は、閉鎖弁を可能
な限りわずかな動力消費で開弁位置に保持することにあ
る。ガス予圧縮型のピストンシリンダ装置は、閉鎖弁が
ひとたび開弁すると、利用者がピストンシリンダ装置を
手で静止位置へもたらし、動圧を解消させるような圧力
平衡が生じるまで継続的に走出する。この閉鎖弁の基本
思想は、前記ドイツ特許公開第３３０１５４４号公報に
記載のものと完全に異なっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、漏れ
率が可能な限り小さい閉鎖弁を有するピストンシリンダ
装置を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、パッキンリングがその背面側をスライダに
より支持され、スライダが弁座とともに排流空間を形成
し、排流空間は、絞りのない排流を可能にし且つ排流空
間内の動圧の形成を阻止するような大きさの排流口を有
していることを特徴とするものである。

【０００６】本発明によれば、スライダは、パッキンリ
ングにより形成される弁要素を、強制的に１つの弁位置
から他の弁位置へ傾斜させずに一様に案内させる。排流
口は、弁切換え特性に影響するような圧力が排流空間に
生じないよう機能するので有利である。他の有利な構成
では、スライダはガイドスリーブと円環状のスライダ面
とを有し、スライダ面は排流口を有している。この領域
には特に大きな排流横断面が実現される。

【０００７】一つの有利な実施形態では、シリンダは閉
鎖弁に通じる少なくとも一つのバイパス溝を有し、その
結果ピストンがこのバイパス溝内にある時にピストンシ
リンダ装置は閉鎖弁の切換え位置に関係なくシリンダ内
のガス予圧縮により走出運動を実施する。バイパス溝が
設けられていない領域では、走出速度は圧力レベルとそ
の時の荷重とに依存して、場合によっては停止するまで
減少する。それにもかかわらずピストン棒の走出長さを
大きくするため、閉鎖弁はピストン棒の走出方向におい
て圧力に依存して開弁位置に調整される。

【０００８】特に大きな保持力を発生させて使用される
変形実施形態では、閉鎖弁はピストン棒の走入方向にお
いて圧力に依存して開弁位置に調整される。閉鎖弁のパ
ッキンリングが三つの切換え位置を占めることができ、
この場合閉鎖弁が閉じている中央の切換え位置から一つ
の方向へ移動して圧力に依存した開弁位置を占め、他の
方向へ移動して距離に依存した開弁位置を占めることに
より、二つの流動方向のための閉鎖弁内の流動経路は同
一になる。

【０００９】その結果、一方の流動経路の横断面を特に
大きく選定することができる。

【００１０】

【発明の実施形態】次に、本発明の実施形態を添付の図
面を説明する。図１は組み立て品としての閉鎖弁１を示
している。図１において閉鎖弁１は二つの切換え位置で
図示されており、図１の上半分は閉鎖弁１が閉じた状態
を示し、下半分は開いた状態を示している。閉鎖弁１は
ピストン棒ピン部３に固定されており、位置固定のガイ
ドスリーブ５を有している。ガイドスリーブは端部側に
閉鎖ばね９のための周回縁７を有している。閉鎖ばね９
はスライダ１１を予め緊張させている。スライダ１１は
そのスライダスリーブ１３によりガイドスリーブ５上に
同心に配置されている。閉鎖ばね９は円環状のスライダ
面１５に係合している。スライダ面１５の軸線方向の出
口側はパッキンリング１７と協働する。パッキンリング
１７は軸線方向に可動な弁要素であり、弁リング１９上
にて異なる切換え位置を占めることができる。弁リング
１９の側面には、三つの切換え位置を可能にする輪郭が
形成されている。弁リング１９は左側から順に、少なく
とも一つの斜面１９ａとして形成された弁座面と、水平
な締付け面１９ｂと、他の斜面１９ｃとを有している。
ストッパーリング２１により閉鎖弁全体が緊張状態で固
定される。弁パッキンリング２３はピストン棒ピン部３
と閉鎖弁１との間の漏れを阻止する。

【００１１】弁リング１９とスライダ１１とは排流空間
２５を形成している。この排流空間２５は、閉鎖ばね９
が設けられている作業空間２９に対して開口する排流口
２７を常に提供している。図１の上半分において、スト
ッパーリング２１に隣接している作業空間３１から媒体
が締付け面１９ｂを介して排流空間２５内へ侵入するこ
とはない。閉鎖弁がこのような切換え位置を占めるの
は、ピストン棒ピン部３を備えたピストン棒３３が静止
している場合である。

【００１２】ピストン棒３３が左側へ移動すると、パッ
キンリング１７とシリンダ３５の間にピストン棒３３の
移動方向とは逆の方向に摩擦力が作用する。パッキンリ
ング１７は、最大でストッパーリング２１まで右側へ移
動する。媒体、例えばガスは作業空間３１から、斜面１
９ｃとパッキンリング１７により形成される隙間を通っ
て排流空間２５内へ達する。排流空間２５から媒体は、
流動経路を実質的に絞られないまま排流口２７を介して
作業空間２９内へ達する。排流口の大きさにより、スラ
イダ１１に開弁力を作用させるような動圧は排流空間２
５内に発生しない。

【００１３】ピストン棒３３が右側へ移動すると、パッ
キンリング１７はスライダ面１５の出口側で支持され
る。パッキンリング１７は、作業空間３１内の圧力と、
シリンダ３５と該パッキンリング間に作用する摩擦力に
より、スライダ１１に対して押圧される。前記圧力と摩
擦力の総和が閉鎖ばね９の閉鎖力よりも大きければ、ス
ライダ１１はパッキンリング１７とともに図１の下半分
に示した位置へ移動する。この時、図１に図示したガス
流が示すように作業空間２９と３１が連通状態になる。

【００１４】閉鎖弁の二つの貫流方向に対しては同一の
流動経路が利用される。図２は、ガススプリングとして
構成されたピストンシリンダ装置に本発明による閉鎖弁
１を適用した例を示している。閉鎖弁１の取付け位置は
図１で述べた取付け位置に正確に対応している。作用を
考察するにあたり留意すべきことは、閉鎖ばね９の閉鎖
力は常にガス力と逆方向にあるという点である。パッキ
ンリング１７の摩擦力においては移動方向を考慮する必
要がある。図３は走出方向及び走入方向におけるばね力
特性を示す。ピストン棒のストロークを示している横軸
の下方に、ピストンシリンダ装置の付随位置を図示し
た。縦軸はピストンシリンダ装置によって発生する力を
示している。漸進的に変化している曲線は、例えば自動
車のトランクカバーの重力変化を示している。閉鎖弁の
パッキン作用は走出方向で解消される。ピストンシリン
ダ装置は作動点Ｉを起点にして特性曲線Ａに沿って始動
する。パッキンリング１７はストッパーリング２１に当
接しており、よって両作業空間２９と３１が連通状態に
あるので、閉鎖弁は橋絡されている。従ってピストンシ
リンダ装置はロックしない通常のガススプリングのよう
に機能する。自動車のトランクカバーの重力曲線との交
点ＩＩから、ピストン棒は付加的な手動操作を必要とせ
ずに自動的に移動する。ピストン棒の最大走出位置にお
いて作動点ＩＩＩに到達する。走入方向において摩擦力
と弁力が克服される。ピストンシリンダ装置内へのガス
充填による圧力との総和であるこの二つの力は、作動点
ＩＶにおいて保持力を生じさせる。ストロークに依存す
るこの保持力を特性曲線Ｂで示す。この種の構成の装置
は、大きな負荷を確実に保持せねばならないような場合
に使用するのが有利である。

【００１５】図４に図示したピストンシリンダ装置の実
施形態はいくぶんその作動態様を異にしている。その主
な理由は、シリンダ３５が少なく一つの溝（通常は複数
個の溝３７ａ；３７ｂ）を有し、これらの溝が溝のない
領域３７ｃにより切り離されていることである。さらに
閉鎖弁１は、圧力に依存してピストン棒３３の走出方向
に開弁することができるように、または閉鎖しているよ
うにピストン棒３３に固定されている。

【００１６】前記実施形態の場合と同様に作動点Ｉか
ら、自動車のトランクカバーは付加力を利用して持ち上
げられる。この付加力は、量的には、横座標軸の瞬間値
に対する複数の動力値Ｆの差に相当している。作動点Ｉ
Ｉからピストンシリンダ装置はトランクカバーを自力で
持ち上げる。溝３７ａの端部においては、閉鎖弁１が作
用しているので、ピストン棒は作動点ＩＩａに留まった
ままである。図中Ｆ_Hは保持力である。利用者によって
制御される走出運動を実施させるために閉鎖弁を開くた
めには、付加的な手動力Ｆ_Zを投入する必要があるの
で、溝のない領域は走出運動を阻止しようとする。溝の
ない領域の端部が特性曲線Ｃ上の作動点ＩＩｂに達する
と、ピストンシリンダ装置はさらに作動点ＩＩＩまで走
出する。特性曲線Ｄに沿ってピストンシリンダ装置の保
持力が取り出される。作動点ＩＩａとＩＩｂの間でも取
り出される。走入方向においては、パッキンリングがス
トッパー２１に当接するので、閉鎖弁は全行程において
作用しない。

【図面の簡単な説明】

【図１】組み立てユニットとしての閉鎖弁を示す断面図
である。

【図２】ピストン棒の走入力が高い状態でのピストンシ
リンダ装置の閉鎖弁を示す断面図である。

【図３】本発明によるピストンシリンダ装置の特性曲線
を示すグラフである。

【図４】ピストン棒の走出力が小さい状態でのピストン
シリンダ装置の閉鎖弁を示す断面図である。

【符号の説明】

１ ガイドスリーブ ５ ガイドスリ
ーブ １１ スライダ １５ スライダ
面 １７ パッキンリング １９ 弁リング
（弁座） １９ａ，１９ｃ 斜面 １９ｂ 締付け
面 ２７ 排流口 ２９，３１ 作
業空間 ３３ ピストン棒 ３５ シリンダ ３７ａ，３７ｂ 溝（バイパス溝）

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストン棒（３３）により軸線方向に可動
   に案内され、シリンダ（３５）を二つの作業空間（２
   ９，３１）に分割しているピストンと、定常状態で両作
   業空間（２９，３１）の流動結合部を閉鎖する閉鎖弁
   （１）とを有し、閉鎖弁（１）が、弁座（１９ａ，１９
   ｂ，１９ｃ）と結合して半径方向において密封作用をす
   る軸線方向に移動可能なパッキンリング（１７）を備え
   た弁要素を有しているピストンシリンダ装置において、
   パッキンリング（１７）がその背面側をスライダ（１
   １）により支持され、スライダ（１１）が弁座（１９
   ａ，１９ｂ，１９ｃ）とともに排流空間（２５）を形成
   し、排流空間（２５）は、絞りのない排流を可能にし且
   つ排流空間（２５）内の動圧の形成を阻止するような大
   きさの排流口（２７）を有していることを特徴とするピ
   ストンシリンダ装置。
2. 【請求項２】スライダ（１１）がガイドスリーブ（５）
   と円環状のスライダ面（１５）とを有し、スライダ面
   （１５）が排流口（２７）を有していることを特徴とす
   る、請求項１に記載のピストンシリンダ装置。
3. 【請求項３】シリンダ（３５）が閉鎖弁（１）に通じる
   少なくとも一つのバイパス溝（３７ａ，３７ｂ）を有
   し、ピストンがこのバイパス溝内にある時にピストンシ
   リンダ装置が閉鎖弁（１）の切換え位置に関係なくシリ
   ンダ（３５）内のガス予圧縮により走出運動を実施する
   ようにしたことを特徴とする、請求項１に記載のピスト
   ンシリンダ装置。
4. 【請求項４】閉鎖弁（１）が、ピストン棒（３３）の走
   出方向において圧力に依存して開弁位置に調整されるこ
   とを特徴とする、請求項１に記載のピストンシリンダ装
   置。
5. 【請求項５】閉鎖弁（１）が、ピストン棒（３３）の走
   入方向において圧力に依存して開弁位置に調整されるこ
   とを特徴とする、請求項１に記載のピストンシリンダ装
   置。
6. 【請求項６】閉鎖弁（１）のパッキンリング（１７）が
   三つの切換え位置を占めることができ、閉鎖弁（１）が
   閉じている中央の切換え位置から一つの方向へ移動して
   圧力に依存した開弁位置を占め、他の方向へ移動して距
   離に依存した開弁位置を占めることを特徴とする、請求
   項１に記載のピストンシリンダ装置。