JPH10231330A - ビニルアルコール系重合体 - Google Patents

ビニルアルコール系重合体

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JPH10231330A
JPH10231330A JP5103297A JP5103297A JPH10231330A JP H10231330 A JPH10231330 A JP H10231330A JP 5103297 A JP5103297 A JP 5103297A JP 5103297 A JP5103297 A JP 5103297A JP H10231330 A JPH10231330 A JP H10231330A
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JP
Japan
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vinyl alcohol
vinyl
acetal
polymer
general formula
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JP5103297A
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English (en)
Inventor
Takeshi Kusufuji
健 楠藤
Naoki Fujiwara
直樹 藤原
Toshiaki Sato
寿昭 佐藤
Yoshinori Ando
由典 安藤
Akeshi Fujita
明士 藤田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F218/00Copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an acyloxy radical of a saturated carboxylic acid, of carbonic acid or of a haloformic acid
    • C08F218/02Esters of monocarboxylic acids
    • C08F218/04Vinyl esters
    • C08F218/08Vinyl acetate
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/12Hydrolysis

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 それ自体で高い耐水性を有するか、または高
い耐水性を発現することができ、例えばセメントアルカ
リ性条件下におけるような苛酷な条件下でも加水分解な
どを生じず、強度やその他の物性を良好に保ち得るビニ
ルアルコール系重合体およびその製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 下記の一般式(Ia)及び/又は(IIa); 【化1】 (ただし、式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およ
びR3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、
4 は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数
を示す。)で表される構造単位を0.01モル%以上の割合
で有し且つ重合度が50〜10000である本発明のビ
ニルアルコール系重合体、その製法により上記の課題が
解決され、前記本発明のビニルアルコール系重合体は酸
で処理することによって、上記した極めて優れた耐水性
を発現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアセタール基を有す
るビニルアルコール系重合体およびその製造方法に関す
る。より詳細には、本発明は良好な耐水性を発現するこ
とのできる新規なビニルアルコール系重合体およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコールは、造膜性、膜物
性などの特性に優れ、また特定のポリビニルアルコール
は水に溶解することから、それらの特性を活かして、合
成繊維、フィルム、経糸糊剤、紙用コーティング剤、接
着剤、バインダー、乳化剤等の各種の分野で従来から汎
用されている。ポリビニルアルコールにおいては、その
水溶性という特性が重要視される分野も多くあるが、そ
の一方で耐水性であることを求める分野も多い。ポリビ
ニルアルコールの耐水化に関しては、従来より数多く提
案されており、例えば、ホルマリン、アセトアルデヒ
ド、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のアルデヒ
ド類を用いる方法、ホウ酸化合物を用いる方法、N−メ
チロール尿素、N−メチロールメラミン等を併用する方
法等が知られているが、どれも十分な耐水性を発現する
には至っていないのが現状である。
【0003】また、ポリビニルアルコール自身に架橋性
基を導入して、耐水性を発現させようという試みも行わ
れている。例えば、特公平1−31765号公報には、
N−メチロール基やN−アルコキシメチル基のような架
橋性基を有する耐水性の改善されたポリビニルアルコー
ル樹脂が開示されている。この樹脂は、酸で処理するこ
とによって良好な耐水性を発現するが、耐水性の発現に
要する酸性条件や乾燥温度条件に、厳しい条件が必要で
あるという欠点を有している。また、特開昭56−12
5446号公報には、架橋性基としてアセトアセチル基
を有するポリビニルアルコールが開示されているが、こ
のものは、このポリビニルアルコールを含む溶液の安定
性がよくないという欠点を有している。
【0004】さらに、ポリビニルアルコール系繊維は従
来から多くの分野で用いられており、そのようなポリビ
ニルアルコール繊維に対しては耐水性が要求される場合
が多く、特にセメント補強剤として用いられるポリビニ
ルアルコール系繊維には高い耐水性が要求されている。
すなわち、一般的にセメントではその強度を高めるため
に、高温でオートクレーブ養生が行われることが多く、
セメント補強材としてセメント中に混入して用いられる
ポリビニルアルコール系繊維に対しては、高温高湿度の
セメントアルカリ性条件下でも加水分解などが生じない
ような高い耐水性が要求される。そして、特開平3−2
81506号公報には(メタ)アクリルアミド部分にア
セタール基からなる架橋性基を導入したポリビニルアル
コールが開示されており、このポリビニルアルコールは
通常の条件下では極めて優れた耐水性を発現するが、ポ
リビニルアルコール系繊維にしてセメント補強剤に用い
た場合には、高温高湿度のセメントアルカリ性条件下で
(メタ)アクリルアミド部分が加水分解し、架橋が切断
されるため、充分な耐水性を発現しにくい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
耐水性を発現することができ、例えばセメントアルカリ
性条件下におけるような苛酷な条件下でも、充分な耐水
性を発現し得るビニルアルコール系重合体およびその製
造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、下記の
一般式(Ia)で表される構造単位および/または一般
式(IIa)で表される構造単位を有する新規なビニルア
ルコール系重合体が、極めて優れた耐水性を発現させる
ことができ、セメントアルカリ性条件下におけるような
苛酷な条件下でも加水分解されないこと、そしてそのビ
ニルアルコール系重合体が、脂肪酸ビニル、下記の一般
式(Ib)で表されるアセタアール系単量体および/ま
たは一般式(IIb)で表されるアセタアール系単量体、
並びに場合によりエチレン性不飽和基を有する他の単量
体を、ラジカル共重合させることによって、円滑に製造
されることを見出して本発明を完成した。
【0007】
【化3】
【0008】
【化4】 [ただし、上記の一般式(Ia)、一般式(IIa)、一
般式(Ib)および一般式(IIb)において、R1 は水
素またはメチル基、R2 およびR3 はそれぞれ独立して
炭素数1〜8のアルキル基、R4 は炭素数2〜5のアル
キレン基、nは0〜8の整数を示す。]
【0009】すなわち、本発明は、ビニルアルコール単
位と共に、下記の一般式(Ia)で表される構造単位お
よび一般式(IIa)で表される構造単位;
【0010】
【化5】 (ただし、式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およ
びR3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、
4 は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数
を示す。)のうちの少なくとも1種を、全構造単位に基
づいて0.01モル%以上の割合で有し、且つ重合度が
50〜10000であるビニルアルコール系重合体であ
る。
【0011】そして、本発明は、脂肪酸ビニルと共に、
下記の一般式(Ib)で表されるエチレン性不飽和結合
を有するアセタアール系単量体および一般式(IIb)で
表されるエチレン性不飽和結合を有するアセタアール系
単量体;
【0012】
【化6】 (ただし、式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およ
びR3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、
4 は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数
を示す。)のうちの少なくとも1種を、該アセタアール
系単量体の割合が重合に用いる全単量体の合計量に基づ
いて0.01モル%以上であるようにして用いて、ラジ
カル共重合させた後、アルカリ触媒を用いてケン化する
ことを特徴とする、上記したビニルアルコール系重合体
の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。上記した一般式(Ia)、一般式(IIa)、一般
式(Ib)および一般式(IIb)において、R1は水素
またはメチル基のいずれの場合にも耐水性を良好に発現
し得るビニルアルコール系重合体を得ることができる。
また、一般式(Ia)および一般式(Ib)において、
2およびR3は炭素数1〜8のアルキル基であり、具体
的にはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基を挙げることができ、そのうちでもメチ
ル基またはエチル基であることが好ましい。R2とR3
同じ基であってもまたは異なる基であってもよい。ま
た、一般式(IIa)および一般式(IIb)において、R
4は炭素数2〜5のアルキレン基であり、具体的にはエ
チレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチル基を挙
げることができ、そのうちでもエチレン基であることが
好ましい。さらに、一般式(Ia)、一般式(IIa)、
一般式(Ib)および一般式(IIb)において、nは0
〜8の整数であり、0〜5の整数であることが好まし
い。
【0014】一般式(Ia)で表される構造単位[以下
「構造単位(Ia)」という]および一般式(IIa)で
表される構造単位[以下「構造単位(IIa)」という]
の具体例としては、(メタ)アクロレインジメチルアセ
タール、(メタ)アクロレインジエチルアセタール、2
−ビニル−1,3−ジオキソラン、2−イソプロペニル
−1,3−ジオキソラン等の(メタ)アクロレインのア
セタール化物、3−メチル−3−ブテナールジメチルア
セタール、3−メチル−3−ブテナールジエチルアセタ
ール、2−(2−メチル−2−プロペニル)−1,3−
ジオキソラン等のの3−メチル−3−ブテナールのアセ
タール化物、3−ブテナールジメチルアセタール、3−
ブテナールジエチルアセタール、2−(2−プロペニ
ル)−1,3−ジオキソラン等の3−ブテナールのアセ
タール化物、4−ペンテナールジメチルアセタール、4
−ペンテナールジエチルアセタール、2−(3−ブテニ
ル)−1,3−ジオキソラン等の4−ペンテナールのア
セタール化物、5−ヘキセナールジメチルアセタール、
5−ヘキセナールジエチルアセタール、2−(5−ペン
テニル)−1,3−ジオキソラン等の5−ヘキセナール
のアセタール化物、6−ヘプテナールジメチルアセター
ル、6−ヘプテナールジエチルアセタール、2−(6−
ヘキセニル)−1,3−ジオキソラン等の6−ヘプテナ
ールのアセタール化物、7−オクテナールジメチルアセ
タール、7−オクテナールジエチルアセタール、2−
(1−ヘプテニル)−1,3−ジオキソラン等の7−オ
クテナールのアセタール化物等のエチレン性不飽和二重
結合を有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物に由来
する構造単位を挙げることができる。本発明のビニルア
ルコール系重合体は、前記した構造単位の1種または2
種以上を有していることができる。しかしながら、構造
単位(Ia)および構造単位(IIa)は前記したものに
限定されず、上記した一般式(Ia)および/または一
般式(IIa)で表される構造単位に包含されるものであ
ればいずれでもよい。
【0015】本発明のビニルアルコール系重合体では、
構造単位(Ia)および構造単位(IIa)の含有割合
[構造単位(Ia)と構造単位(IIa)の両方を有する
場合はその合計含有割合]が、ビニルアルコール系重合
体を構成する全構造単位に基づいて、0.01モル%以
上であることが必要である。ビニルアルコール系重合体
における構造単位(Ia)および/または構造単位(II
a)の含有割合が0.01モル%未満であると、目的と
する、高い耐水性を発現し得るビニルアルコール系重合
体が得られなくなる。ビニルアルコール系重合体におけ
る構造単位(Ia)および構造単位(IIa)の含有割合
の上限値は特に制限されないが、ビニルアルコール系重
合体の製膜性、繊維形成能、得られる皮膜や繊維などの
物性などの点から、ビニルアルコール系重合体を構成す
る全構造単位に基づいて20モル%以下であることが好
ましい。したがって、本発明のビニルアルコール系重合
体においては、構造単位(Ia)および/または構造単
位(IIa)の含有割合が0.01〜20モル%であるこ
とが好ましく、0.05〜15モル%であることがより
好ましく、0.1〜12モル%であることが更に好まし
い。
【0016】また、本発明のビニルアルコール系重合体
におけるビニルアルコール部分のケン化度については特
に制限されないが、一般に、そのケン化度が50モル%
以上であることが製膜性や繊維形成性などの点から好ま
しく、60モル%以上であることがより好ましく、70
モル%以上であることがさらに好ましい。
【0017】本発明のビニルアルコール系重合体は、ビ
ニルアルコール単位、並びに上記した構造単位(Ia)
および構造単位(IIa)のうちの少なくとも1種、およ
び場合によりケン化されずに残っている脂肪酸ビニル単
位を有している。その場合の脂肪酸ビニル単位として
は、例えば、酢酸ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニルなどの1種または2種以上に由
来する構造単位を挙げることができ、そのうちでも酢酸
ビニル単位であることが好ましい。
【0018】また、本発明のビニルアルコール系重合体
は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合可能
なエチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を有して
いてもよい。その具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アク
リル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル
酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不
飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノ
またはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数
1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメ
チルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスル
ホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチル
アミンあるいはその酸塩または4級塩などのアクリルア
ミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アル
キルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルア
ミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるい
はその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあ
るいはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミ
ド類;N−ビニルピロリドン,N−ビニルホルムアミ
ド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド
類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシア
ン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテ
ル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシア
ルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデ
ン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキ
シビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩
化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコー
ル、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチル
プロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−
2−メチルプロパンスルホン酸などのエチレン性不飽和
単量体に由来する構造単位を挙げることができる。本発
明のビニルアルコール系重合体は、前記したエチレン性
不飽和単量体に由来する構造単位の1種または2種以上
を有していることができる。前記したエチレン性不飽和
単量体に由来する構造単位の含有量は、ビニルアルコー
ル系重合体の全構造単位に基づいて、10モル%以下で
あることが好ましく、5モル%以下であることがより好
ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0019】本発明のビニルアルコール系重合体の粘度
平均重合度(以下重合度と略記する)は、通常50〜1
0000の範囲から適宜選ばれ、好ましくは80〜50
00であり、さらに好ましくは100〜4000であ
る。ビニルアルコール系重合体の重合度が50〜100
00の範囲から外れると、製膜性や繊維形成性などが低
下する場合がある。ここで、本明細書で言う重合度は、
完全にケン化したビニルアルコール系重合体の極限粘度
[η](単位dl/g)を水中、30℃で測定し、下記
の数式を用いて算出したものを言う。
【0020】
【数1】 P=([η]×103 /8.29)(1/0.62) [式中、Pは本発明でいう重合度(粘度平均重合度)を
表す。]
【0021】本発明のビニルアルコール系重合体の製造
方法としては、脂肪酸ビニル、上記の一般式(Ib)で
表されるエチレン性不飽和結合を有するアセタアール系
単量体[以下「アセタアール系単量体(Ib)」とい
う]および一般式(IIb)で表されるエチレン性不飽和
結合を有するアセタアール系単量体[以下「アセタアー
ル系単量体(IIb)」という]のうちの少なくとも1
種、並びに必要に応じて上記したようなエチレンやその
他のエチレン性不飽和単量体を、アセタアール系単量体
(Ib)および/またはアセタアール系単量体(IIb)
の量[アセタアール系単量体(Ib)とアセタアール系
単量体(IIb)の両方を用いる場合は両者の合計量]
が、重合に用いる全単量体の合計量に基づいて0.01
モル%以上であるようにして、また必要に応じて用いら
れる前記した他のエチレン性不飽和単量体の量が重合に
用いる全単量体の合計量に基づいて好ましくは10モル
%以下であるようにして、ラジカル共重合を行って共重
合体を製造し、該共重合体中の脂肪酸ビニル単位の一部
または全部をアルカリ触媒を用いてケン化する方法が一
般に好ましく採用される。
【0022】上記したビニルアルコール系重合体の製造
に際しては、脂肪酸ビニルとして、例えば上記した酢酸
ビニル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸
ビニルの1種または2種以上が用いられ、そのうちでも
酢酸ビニルが好ましく用いられる。また、アセタアール
系単量体(Ib)およびアセタアール系単量体(IIb)
としては、本発明のビニルアルコール系重合体における
構造単位(Ia)および構造単位(IIa)を構成し得る
ものとして、上記で挙げたエチレン性不飽和二重結合を
有する脂肪族アルデヒドのアセタール化物であるアセタ
アール系単量体の1種または2種以上を用いることがで
きる。さらに、必要に応じて用い得る他のエチレン性不
飽和単量体としては、本発明のビニルアルコール系重合
体における他の構造単位を構成し得るものとして上記で
挙げたエチレンやその他のエチレン性不飽和単量体の1
種または2種以上を用いることができる。
【0023】脂肪酸ビニル、アセタアール系単量体(I
b)および/またはアセタアール系単量体(IIb)、並
びに必要に応じて用いられる他のエチレン性不飽和単量
体を共重合させる上記したラジカル共重合反応は、従来
公知の方法、例えばバルク重合、溶液重合、乳化重合、
懸濁重合等によって適宜行うことができる。そのうちで
も、メタノール等のアルコール類を溶媒とする溶液重合
は重合が簡便であり便利である。また、高重合度のビニ
ルアルコール系重合体を得たい場合は乳化重合が好まし
く採用される。
【0024】上記のラジカル共重合反応に使用する重合
開始剤としては、従来既知のアゾ系重合開始剤、過酸化
物系重合開始剤のいずれも使用でき、何ら限定されるも
のではなく、アゾ系重合開始剤の例としては、α,α’
−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾ
ビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)などを挙げることができ、過酸化物系重合開始剤の
例としては過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシ
カーボネートなどを挙げることができる。重合開始剤の
使用量は、共重合に使用する単量体の量および重合速度
により適宜設定する。また、重合温度については特に制
限はないが、一般には−30〜150℃の範囲が適当で
ある。
【0025】上記のラジカル共重合により得られる共重
合体中の脂肪酸ビニルに由来する構造単位の一部または
全部をケン化することにより、本発明のビニルアルコー
ル系重合体が得られる。その際のケン化触媒としては、
アルカリ触媒が好ましく用いられる。酸触媒を用いてケ
ン化を行うと、得られる重合体が水不溶性となる場合が
多いため好ましくない。ケン化用のアルカリ触媒として
は、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類
金属の水酸化物、アンモニア、アミン類等が用いられ
る。ケン化処理は水中で行っても、メタノールやエタノ
ール等の低級アルコール溶媒中で行っても、ジメチルス
ルホキシドなどのようなその他の極性溶媒中で行っても
よく、そのうちでも前記の低級アルコール溶媒中でエス
テル交換法によりケン化することが簡便であり好まし
い。低級アルコール溶媒中でケン化する場合に、40重
量%以下であればアセトン、酢酸メチルエステル、酢酸
エチルエステル、ベンゼン等の溶剤を含有していても、
ケン化反応を円滑に行うことができる。ケン化反応の温
度については特に制限はなく、使用する溶媒の種類など
に応じて調節することができ、例えばメタノール中でケ
ン化を行う場合には、20〜60℃の範囲が適当であ
る。ケン化反応の進行に伴って、ゲル状生成物が析出し
てくる場合には、その時点で生成物を粉砕し、洗浄後、
乾燥することにより、本発明のビニルアルコール系重合
体が得られる。
【0026】また、本発明のビニルアルコール系重合体
は、上記した以外の方法、例えば、チオール酢酸、メル
カプトプロピオン酸などのチオール化合物の存在下で、
酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルと共に、アセタアール系
単量体を共重合し、次いでそれをケン化して得られる末
端変性物であってもよい。
【0027】上記のようにして製造される本発明のビニ
ルアルコール系重合体は、それを酸および/または酸性
物質で処理すると、極めて高い耐水性を発現する。その
場合の酸および/または酸性物質の種類は特に制限され
ず、例えば無機酸、有機酸、水中などで酸性を呈する物
質、ビニルアルコール系重合体に付着させて乾燥などを
行った際に酸性物を生ずる物質などを挙げることができ
る。より具体的には、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン
酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン
酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、マレイン酸、クエン
酸、酒石酸等の有機酸、それ自身は酸ではないが塩化ア
ンモニウム、硫酸アルミニウム、硫酸チタンアンモニウ
ム等の酸性塩類あるいは乾燥時に酸性物質を生じる塩類
等、水中で酸性を呈する顔料などを挙げることができ
る。そのうちでも、前記した鉱酸および/または有機酸
の1種または2種以上が耐水性の発現効果が高く好まし
い。
【0028】本発明のビニルアルコール系重合体を酸お
よび/または酸性物質で処理して耐水性を発現させる際
の処理形態や処理方法などは特に制限されず、例えば、
(1)本発明のビニルアルコール系重合体を適当な溶媒中
に溶解または分散させた液に酸および/または酸性物質
を添加して酸および/または酸性物質を含有するビニル
アルコール系重合体液を調製し、その液を用いて例えば
皮膜や塗膜の形成、各種成形品の製造、各種処理剤の形
成などを行って耐水性の発現した皮膜、塗膜、各種成形
品、各種処理剤などを製造する方法;(2)本発明のビ
ニルアルコール系重合体を用いて皮膜、塗膜、各種成形
品、繊維などを製造した後に酸および/または酸性物質
或いはそれらを含む処理剤を塗布したり、該処理剤中に
浸漬するなどして耐水性を発現させる方法などのいずれ
の方法を採用してもよい。
【0029】なかでも、本発明のビニルアルコール系重
合体を酸および/または酸性物質で処理して耐水性を発
現させる上記した技術は、塗布後に皮膜の耐水性が要求
される用途において、その効果が顕著に発揮される。そ
の場合に、耐水性を発現させるための酸および/または
酸性物質による処理は、上記したように、皮膜の形成後
に行ってもよいが、本発明のビニルアルコール系重合体
を含む塗工液を塗布する前に、酸および/または酸性物
質を添加して塗工液のpHを酸性として塗工し、乾燥す
ることで、極めて優れた耐水性を有する皮膜を形成させ
ることができる。こうして得られた皮膜は、常温の水に
も、また加熱水にも不溶であるという優れた耐水性を有
している。また、100℃以上の高温のアルカリ性水溶
液中でも不溶であり、一般のポリビニルアルコールのよ
うに耐水性を引き出すために皮膜の熱処理を行う必要も
なく、例えば50℃程度の比較的穏やかな乾燥条件で
も、極めて優れた耐水性が発現される。
【0030】その際に、塗工液に添加する酸および/ま
たは酸性物質としては、上記で例示した種々の酸および
酸性物質のうちの1種または2種以上を用いることがで
きる。塗工液に添加する酸および/または酸性物質の量
は、その種類などに応じて異なり得るが、一般には、本
発明のビニルアルコール系重合体に対して0.01〜1
0重量%の割合で用いて、塗工液のpHを1〜5、特に
1.5〜4.5に調整することが好ましい。pHが低す
ぎると液の保存安定性が不良となり易く、増粘やゲル化
が起こりやすくなり、また逆にpHが高すぎると、塗布
後の皮膜の耐水性が十分でなくなる場合がある。本発明
のビニルアルコール系重合体並びに酸および/または酸
性物質を含有する塗工液を塗布した後の乾燥温度は、使
用する酸の種類などによって異なり得るが、一般には2
0〜150℃が好ましい。
【0031】また、本発明のビニルアルコール系重合体
と酸および/または酸性物質を含有する上記した塗工液
の調製に用いる液体媒体の種類は特に制限されず、例え
ば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のア
ルコール類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチル
ホルムアミド等の有機溶媒、或いはそれらの2種以上か
らなる混合溶媒などを用いることができる。また、塗工
液は、その使用目的や用途などに応じて、従来公知のポ
リビニルアルコール、ポリアクリルアミド等の水溶性合
成高分子、澱粉類、セルロース類、キトサン等の天然水
溶性高分子、酸化澱粉、アミノ基変性澱粉等の変性澱
粉、メチロールメラミン樹脂、ポリアミドエピクロルヒ
ドリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリ尿
素、メラミンまたは尿素とホルマリンとの初期縮合物等
の1種または2種以上を含有していてもよい。さらに、
塗工液は、必要に応じて、グリオキザールなどのアルデ
ヒド類、エチレンジアミン等のジアミン類、ホウ酸、ホ
ウ砂、クレー、タルク、炭カル等の無機材料、各種の染
料、可塑剤、界面活性剤等の添加剤の1種または2種以
上を含有していてもよい。
【0032】さらに、本発明のビニルアルコール系重合
体は上記した塗工液に限らず、耐水性に優れるフィルム
や繊維などの成形物の製造にも有効に用いることができ
る。成形物の製造法としては、本発明のビニルアルコー
ル系重合体を成形した後に、例えば、酸性浴中を通過さ
せ、乾燥することにより耐水性が著しく向上した成形物
を得ることができる。乾燥温度としては、一般には20
〜150℃が好ましい。その場合に、繊維の製造法とし
ては、何ら限定されるものではないが、例えば、本発明
のビニルアルコール系重合体を必要に応じて通常のポリ
ビニルアルコールと共に、グリセリン、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ブタンジオール等の多価
アルコール類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、ジエチレントリアミン、水などの1種
または2種以上からなる溶媒に溶解して紡糸原液を調製
し、その紡糸原液を用いて湿式法、乾式法、乾湿式法な
どの任意の方法で紡糸を行い、延伸後に、上記した酸お
よび/または酸性物質を含有する液中に繊維を浸漬する
方法などを挙げることができる。前記したような方法で
得られる耐水性の発現したビニルアルコール系重合体繊
維は極めて高い耐水性を有していることから、高温高湿
のセメントアルカリ条件下での高い耐水性が要求される
セメント補強繊維をはじめとして、各種の工業資材や、
その他の用途に有効に使用することができる。
【0033】本発明のビニルアルコール系重合体を酸お
よび/または酸性物質で処理すると高い耐水性が発現さ
れる理由は明らかではないが、本発明のビニルアルコー
ル系重合体中のアセタール基が酸および/または酸性物
質による触媒作用によって加水分解されアルデヒド基と
なり、さらに乾燥中にこのアルデヒド基とポリビニルア
ルコールの水酸基とが、ケタール結合を形成して架橋す
ることによるものと推定される。
【0034】本発明のビニルアルコール系重合体、並び
に本発明のビニルアルコール系重合体を酸および/また
は酸性物質で処理して耐水性を発現させたものは、従来
公知のポリビニルアルコールの各種用途に適用可能であ
り、例えば、各種皮膜を形成させるための塗工液の調製
用、繊維製造用、フィルム、シート、パイプ、分離膜な
どの各種成形品の製造用、繊維用糊剤、紙加工剤、接着
剤、エマルジョン用添加剤、エマルジョン重合用乳化安
定剤、懸濁重合用分散剤、顔料分散剤、各種バインダー
用途、感光性樹脂、セメントやモルタルの添加剤等など
の種々の用途に有効に用いることができ、上記したよう
に、特に高温高湿セメントアルカリ条件下で耐水性が必
要とされるポリビニルアルコール系繊維の原料やその添
加剤、高吸水性ポリビニルアルコール系繊維の原料やそ
の添加剤、高耐水架橋性フィルムの原料やその添加剤、
高耐水性紙用表面コート剤の原料やその添加剤等として
極めて有用である。
【0035】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明を
詳細に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されな
い。以下の実施例および比較例において「部」および
「%」は特に断らない限り重量基準を意味する。
【0036】また、以下の例において、ビニルアルコー
ル系重合体中のアセタール含有基、ビニルエステル単
位、ビニルアルコール単位および他のコモノマー単位の
含量は、270MHz1H−NMRにより定量した。1
H−NMR測定時のビニルアルコール系重合体の溶媒は
重水素化DMSOを用いた。
【0037】さらに、以下の例において、ビニルアルコ
ール系重合体の重合度(粘度平均重合度)は、ケン化度
が99.5モル%未満の場合には、ケン化度99.5モ
ル%以上になるまでケン化したポリビニルアルコールに
ついて、水中、30℃で測定した極限粘度[η](g/
dl)から上記の数式により求めた。
【0038】《実施例1》環流冷却管を取り付けた5リ
ットルのセパラブルフラスコに酢酸ビニル2800部、
メタノール680部およびアクロレインジエチルアセタ
ール55部を仕込み、60℃に加熱しながら重合系内を
窒素置換した。次にα,α’−アゾビスイソブチロニト
リル1.1部とメタノール20部を加えて60℃で重合
を開始した。4時間後にメタノール1000部を加え、
冷却し重合を停止した。このときの酢酸ビニルの重合率
は41%であった。このものから未反応の酢酸ビニル減
圧留去し、アセタール基を含有するポリ酢酸ビニルの3
5%メタノール溶液を得た。該メタノール溶液500部
にメタノール67.1部と水酸化ナトリウムの濃度10
%のメタノール溶液16.2部を加えて、40℃でケン
化反応を行った。得られたゲル状生成物を粉砕後、メタ
ノールでよく洗浄した後、65℃で8時間乾燥して、ア
セタール基含有ポリビニルアルコール重合体(重合体1
とする)を得た。得られた該重合体の基本構造を表2に
示す。
【0039】《実施例2〜6》各仕込み成分の種類およ
びその量を変え、また重合時間、ケン化反応時の水酸化
ナトリウムの使用量を変えた以外は合成例1と同様にし
て重合体2〜重合体6を製造した。その際の合成条件を
表1に、また得られた重合体の基本構造を表2に示す。
【0040】《比較例1〜6》従来公知の重合体の基本
構造を比較のために表2に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】《参考例1》 (1) 実施例1で得られた重合体1を用いて調製した
濃度10%の水溶液100部に硫酸を加えてpH3に調
節した。この溶液をポリエチレンテレフタレート製の枠
上に流し、50℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥して、厚
み83μmのフィルムを製造した。 (2) 上記(1)で得たフィルムから4×3cmのサ
イズの試験片を切り取り、重量を測定後、105℃の乾
燥機中で3時間乾燥した後、重量測定を行い、乾燥固形
分(S)(%)を求めた。また、別に同サイズのフィル
ムを切り取り重量(W1)(g)を測定し、次いで90
℃の水中に2時間浸漬した後にフィルムを引き上げ、濾
紙で付着水をよくふき取って重量(W2 )(g)を測定
した。さらに、これを105℃で12時間乾燥したとき
の重量(W3)(g)を測定した。前記で測定した重量
から、下記の数式および数式により、重量膨潤度お
よび溶出率を算出して、耐水性の評価を行った。その結
果を下記の表3に示す。表3において、重量膨潤度が小
さいほど、また溶出率の小さいほど、耐水性に優れてい
ることを示す。
【0044】
【数2】 重量膨潤度(倍)=W2/W3
【0045】
【数3】 溶出率(%)=[{W1×(S/100)−W3}/{W1×(S/100)}]×100
【0046】(3) また、上記(2)と同様の試験を
130℃のpH13のアルカリ水溶液中(オートクレー
ブ中)でも行い、重量膨潤度と溶出率を上記の数式お
よびによって同様に算出した(この試験を「高温アル
カリ耐水性試験」という)。その結果を下記の表3に示
す。
【0047】《参考例2〜6》上記の実施例2〜6で得
られた重合体2〜6を用いて、使用する酸を変えた以外
は参考例1と同様にして耐水性試験および高温アルカリ
耐水性試験を実施した。その結果を表3に示す。
【0048】《比較参考例1〜6》比較例1〜6に示し
た比較重合体1〜6を用いて参考例1と同様にして耐水
性試験および高温アルカリ耐水性試験を実施した。その
結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】上記の表1〜表3の結果から、実施例1〜
6で得られた本発明のビニルアルコール系重合体は、酸
で処理した場合に極めて高い耐水性を発現し、90℃の
熱水中に浸漬しても良好な強度を保持していて、膨潤が
小さく且つその溶出率が低いこと、そしてそのような優
れた耐水性は、高温アルカリ条件下でも良好に維持され
ることがわかる。それに対して、構造単位(Ia)およ
び/または構造単位(IIa)を有していない比較例1お
よび2の従来公知のポリビニルアルコール、並びにアク
リルアミド系化合物に由来する構造単位を有する比較例
3〜比較例6の従来公知のビニルアルコール系重合体の
場合は、耐水性が低く、90℃の熱水中に浸漬すると溶
解したり、膨潤度や溶出率が高く、特に高温アルカリ条
件下では完全にまたはほぼ完全に溶解してしまうことが
わかる。
【0051】
【発明の効果】構造単位(Ia)および/または構造単
位(IIa)を0.01モル%以上の割合で有する本発明
のビニルアルコール系重合体は、耐水性に優れており、
特に酸および/または酸性物質で処理すると極めて高い
耐水性を発現することができ、高温下にあってもその強
度の低下や、膨潤、加水分解が生じない。特に、本発明
のビニルアルコール系重合体を酸および/または酸性物
質で処理したものは、例えばセメントアルカリ性条件下
におけるようなアルカリ条件下でも、加水分解されず、
極めて高い耐水性および耐アルカリ性を有している。そ
して、本発明の製造方法による場合は、上記した優れた
特性を有する本発明のビニルアルコール系重合体を円滑
に製造することができる。
【0052】本発明のビニルアルコール系重合体は、上
記した優れた特性を活かして、各種用途に有効に使用す
ることができ、例えば、各種皮膜を形成させるための塗
工液の調製用、繊維製造用、フィルム、シート、パイ
プ、分離膜などの各種成形品の製造用、繊維用糊剤、紙
加工剤、接着剤、エマルジョン用添加剤、エマルジョン
重合用乳化安定剤、懸濁重合用分散剤、顔料分散剤、各
種バインダー用途、感光性樹脂、セメントやモルタルの
添加剤等などの種々の用途に有効に用いることができ、
特に高温高湿セメントアルカリ条件下で耐水性が必要と
されるポリビニルアルコール系繊維の原料やその添加
剤、高吸水性ポリビニルアルコール系繊維の原料やその
添加剤、高耐水架橋性フィルムの原料やその添加剤、高
耐水性紙用表面コート剤の原料やその添加剤等として用
いることができる。
フロントページの続き (72)発明者 安藤 由典 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内 (72)発明者 藤田 明士 岡山県倉敷市酒津2045番地の1 株式会社 クラレ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニルアルコール単位と共に、下記の一
    般式(Ia)で表される構造単位および一般式(IIa)
    で表される構造単位; 【化1】 (ただし、式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およ
    びR3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、
    4 は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数
    を示す。)のうちの少なくとも1種を全構造単位に基づ
    いて0.01モル%以上の割合で有し、且つ重合度が5
    0〜10000であるビニルアルコール系重合体。
  2. 【請求項2】 一般式(Ia)で表される構造単位およ
    び一般式(IIa)で表される構造単位のうちの少なくと
    も1種を、0.01〜20モル%の割合で有することを
    特徴とする請求項1記載のビニルアルコール系重合体。
  3. 【請求項3】 脂肪酸ビニルと共に、下記の一般式(I
    b)で表されるエチレン性不飽和結合を有するアセタア
    ール系単量体および一般式(IIb)で表されるエチレン
    性不飽和結合を有するアセタアール系単量体; 【化2】 (ただし、式中、R1 は水素またはメチル基、R2 およ
    びR3 はそれぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基、
    4 は炭素数2〜5のアルキレン基、nは0〜8の整数
    を示す。)のうちの少なくとも1種を、該アセタアール
    系単量体の割合が重合に用いる全単量体の合計量に基づ
    いて0.01モル%以上であるようにして用いて、ラジ
    カル共重合させた後、アルカリ触媒を用いてケン化する
    ことを特徴とする、請求項1記載のビニルアルコール系
    重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式(Ib)で表されるアセタアール
    系単量体および一般式(IIb)で表されるアセタアール
    系単量体のうちの少なくとも1種を、脂肪酸ビニルとア
    セタアール系単量体の合計量に対して0.01〜20モ
    ル%の割合で用いることを特徴とする請求項3記載のビ
    ニルアルコール系重合体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002256021A (ja) * 2001-03-02 2002-09-11 Kuraray Co Ltd 架橋剤および架橋性重合体
WO2016013220A1 (ja) * 2014-07-25 2016-01-28 株式会社クラレ 水性エマルジョン
WO2017002349A1 (ja) * 2015-06-30 2017-01-05 株式会社クラレ 水性エマルジョン組成物

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