JPH10230791A - スロープ板付車両 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】格納状態のスロープ板のがたつきを容易に防止
する。 【解決手段】車両は、開口部１６ａを有するスロープ板
ハウジング１６と、開口部から車両側方に突出可能にハ
ウジングに格納され突出状態で車両の床と車両外の通路
１１との間に掛け渡されるスロープ板１２と、スロープ
板の格納状態で開口部を閉止可能な開閉蓋２１とを有す
る。スロープ板１２の後端面に斜め下方に傾斜した第１
傾斜面１２ｂを有する弾性体１２ａが固着され、ハウジ
ング１６の後面１６ｂに弾性体１２ａに当接するストッ
パ部材１６ｄが設けられ、更にストッパ部材に斜め上方
に傾斜して第１傾斜面に対向する第２傾斜面１６ｅが形
成される。開閉蓋は上面部２１ａと垂直部２１ｂとを有
し、かつ開閉蓋の閉止状態で上面部の下面又は上面部の
下面及び垂直部の側面に格納状態のスロープ板の前端部
に圧接する弾性体２２を取付けることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両の床と車両外
の通路との間に掛け渡されるスロープ板を有する車両に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般的に市内の路線バス等の車両におい
ては車内の床が車外の通路に比較して高い位置に設定さ
れている。このためこのような車両の乗降口には１段又
は２段以上のステップが設けられている。このステップ
を利用して乗客等が乗車又は降車することにより乗客等
の乗降時の安全性を確保することができるようになって
いる。しかし、車両が身体障害者施設や老人ホーム等の
各種施設への送迎バスである場合、乗客の中にはステッ
プを有効に利用できない、いわゆる車椅子を使用してい
る乗客もある。このような車椅子使用者には介添人がバ
スへの乗降をさせる必要があり、介添人がいない場合に
は車椅子使用者はバスを利用できない問題点があった。

【０００３】この点を解消するために、従来、車両の床
と車両外の通路との間に掛け渡されるスロープ板を有す
る車両が知られている。このスロープ板を有する車両で
は通常、乗降口近傍の床の下面にスロープ板ハウジング
が固着され、スロープ板がこのハウジング内に車両の側
方に突出可能に格納されている。このようにハウジング
に格納されたスロープ板は必要に応じて車両の側方に突
出させることによりスロープ板を車両の床と車両外の通
路との間に掛け渡すようになっている。このように掛け
渡されたスロープ板を利用して車椅子使用者は自力で、
又は介添人の補助を受けて容易にバスに乗降できるよう
になっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、スロープ板は
突出可能にハウジング内に格納されるため、スロープ板
が格納された状態で車両を走行させると、車両の走行に
起因する振動等によりスロープ板がハウジング内でがた
ついて異音を生じさせる未だ解決すべき課題が残存して
いた。この点を解消するために、格納状態のスロープ板
をネジ手段等によりハウジングに固定してしまうことも
考えられるが、こうした作業は煩雑で実際に使用されな
い問題点がある。本発明の目的は、格納状態のスロープ
板のがたつきを容易に防止することができるスロープ板
付車両を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明は、
図１及び図４に示すように、乗降口近傍の床１０ａの下
面に固着されたスロープ板ハウジング１６と、車両１０
の側方に突出可能にハウジング１６に格納され突出状態
で車両の床１０ａと車両外の通路１１との間に掛け渡さ
れるスロープ板１２を有する車両の改良である。その特
徴ある構成は、スロープ板１２の後端面にスロープ板１
２の後方に向って斜め下方に傾斜した第１傾斜面１２ｂ
を有する弾性体１２ａが固着され、ハウジング１６の弾
性体１２ａに臨む後面１６ｂにスロープ板１２の格納状
態で弾性体１２ａに当接するストッパ部材１６ｄが設け
られ、ストッパ部材１６ｄにスロープ板１２の前方に向
って斜め上方に傾斜しかつ第１傾斜面１２ｂに対向する
第２傾斜面１６ｅが形成されたところにある。スロープ
板１２を床下に格納すると弾性体１２ａとストッパ部材
１６ｄが当接する。弾性体１２ａとストッパ部材１６ｄ
の当接により第１傾斜部１２ｂと第２傾斜部１６ｅが当
接し、弾性体１２ａはストッパ部材１６ｄに対して下方
に向い、スロープ板１２の後端部が下方に押圧される。

【０００６】請求項２に係る発明は、図１、図２及び図
４に示すように、乗降口近傍の床１０ａの下面に固着さ
れ開口部１６ａを有するスロープ板ハウジング１６と、
開口部１６ａから車両側方に突出可能にハウジング１６
に格納され突出状態で車両の床１０ａと車両外の通路１
１との間に掛け渡されるスロープ板１２と、スロープ板
１２の格納状態で開口部１６ａを閉止可能にハウジング
１６に設けられた開閉蓋２１とを有する車両の改良であ
る。その特徴ある構成は、開閉蓋２１がその閉止状態で
スロープ板１２の前端部上面を覆う上面部２１ａと開口
部１６ａを覆う垂直部２１ｂとを有し、かつ開閉蓋２１
の閉止状態で上面部２１ａの下面又は上面部２１ａの下
面及び垂直部２１ｂの側面に格納状態のスロープ板１２
の前端部に圧接する弾性体２２が取付けられたところに
ある。開閉蓋２１を閉じると上面部２１ａの下面又は上
面部２１ａの下面及び垂直部２１ｂの側面に取付けられ
た弾性体２２は格納状態のスロープ板１２の前端部を圧
接し、この圧接によりスロープ板１２の前端部ががたつ
くことを防止する。

【０００７】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
基づいて詳しく説明する。図４に示すように、本形態に
おける車両１０は各種施設向けの送迎バスであり、その
車両１０の床１０ａと車両外の通路１１との間に掛け渡
されるスロープ板１２が備えられる。この車両１０では
床１０ａの高さに起因する乗員の乗降を容易にするため
のステップ１０ｂが一段設けられ、スロープ板１２はこ
のステップ１０ｂに臨む床下に車両１０側方に突出可能
に格納される。この形態におけるスロープ板１２は所定
の厚さを有するアルミニウム製の板材であって、突出状
態で車両１０の床１０ａと車両１０外の通路１１との間
に掛け渡されるようになっている。

【０００８】図１に示すように、乗降口近傍の床１０ａ
の下面にはスロープ板ハウジング１６が固着され、この
ハウジング１６の両内側面にそれぞれガイドレール１
４，１４（図３）が取付けられる。ハウジング１６には
スロープ板１２が突出する開口部１６ａが形成され、ス
ロープ板１２の格納状態でこの開口部１６ａを閉止する
開閉蓋２１がヒンジ１６ｃを介して取付けられる。この
開閉蓋２１はヒンジ１６ｃを介してを閉じることにより
格納状態におけるスロープ板１２を覆い、外観上の見栄
えを向上するようになっている。

【０００９】図３に示すように、ハウジング１６の両内
側面に取付けられた一対のガイドレール１４，１４は格
納状態及び突出状態にわたってスロープ板１２の後端両
側部をそれぞれ係合し、車幅方向に設けられる。この一
対のガイドレール１４，１４には互いに対向する凹溝１
４ａ，１４ａが形成される。スロープ板１２の後端両側
部には一対のガイドローラ１７，１７が配設され、この
一対のガイドローラ１７，１７はガイドレール１４，１
４のそれぞれの凹溝１４ａ，１４ａを転動するように構
成される。

【００１０】図１及び図３に示すように、開口部１６ａ
近傍のスロープ板ハウジング１６にはスロープ板１２を
突出可能に支持する支持ローラ１８，１８が設けられ、
回転することによりスロープ板１２の突出動作を容易に
行わせるようになっている。また、スロープ板１２の先
端部中央には回転式の取手１９が設けられ、補助者等が
このスロープ板１２をハウジング１６から車両側方に突
出させる際に又はハウジング１６に格納する際にこの取
手１９を持って引出すか又は押込むことによりスロープ
板１２の突出、又はハウジング１６への格納を容易にす
ることができるようになっている。

【００１１】図１の拡大図に示すように、スロープ板１
２の後端面には弾性体である合成ゴム１２ａが固着さ
れ、この合成ゴム１２ａにはスロープ板１２の後方に向
って斜め下方に傾斜した第１傾斜面１２ｂが形成され
る。一方、ハウジング１６の弾性体１２ａに臨む後面１
６ｂにはスロープ板１２の格納状態でその弾性体１２ａ
に当接するストッパ部材１６ｄが設けられる。このスト
ッパ部材１６ｄにはスロープ板１２の前方に向って斜め
上方に傾斜した第２傾斜面１６ｅが形成され、この第２
傾斜面１６ｅは合成ゴム１２ａに形成された第１傾斜面
１２ｂに対向するように構成される。

【００１２】図１及び図２に示すように、開閉蓋２１に
は閉止状態でスロープ板１２の前端部上面を覆う上面部
２１ａとハウジング１６の開口部１６ａを覆う垂直部２
１ｂとが形成され、この上面部２１ａの下面及び垂直部
２１ｂの側面には弾性体である中空の合成ゴム２２が取
付けられる。この合成ゴム２２は開閉蓋２１を閉止する
ことにより格納状態のスロープ板１２の前端部を圧接す
る大きさに形成され、かつスロープ板１２の前端部を圧
接することによりスロープ板１２ががたつくことを防止
するようになっている。

【００１３】このように構成されたスロープ板付車両の
動作を説明する。このバスである車両１０は乗客を各種
施設まで輸送するものであり、乗客の車両１０への乗降
は定められた所定の停留所により行われる。停留所では
乗客が停車した車両１０の開放された乗降口から乗降す
る。この乗降に際し、車椅子の乗客のために運転者はス
ロープ板１２を車両側方に突出させ、車両１０の床と車
両外の通路１１である停留所の間に掛け渡す。

【００１４】運転者は先ず、開閉蓋２１をヒンジ１６ｃ
を介して図１の２点鎖線で示すように開放する。これに
よりスロープ板１２の先端部が出現する。次に補助者又
は運転者が取手１９を介してスロープ板１２を車両側方
に向けて移動させる。この移動に際しスロープ板１２の
後端両側部に設けられた一対のガイドローラ１７，１７
がそれぞれのガイドレール１４，１４の凹部１４ａ，１
４ａに従って転動し、スロープ板１２自体は一対の支持
ローラ上１８，１８を移動する。このようにスロープ板
１２を移動させることにより車両側方にスロープ板１２
を突出させ、最終的にスロープ板１２を図４に示すよう
に車両の床１０ａと車両外の通路１１との間に掛け渡
す。これにより乗客はこのスロープ板１２を使用して乗
降することにより、乗降時の安全性が確保される。

【００１５】乗客が乗降した後にはこのスロープ板１２
は車両１０の床下に格納される。スロープ板１２の格納
にはスロープ板１２を突出させた動作の逆の動作により
行われ、スロープ板１２が床下に格納された際にはスロ
ープ板１２の後端面に固着された合成ゴム１２ａとスト
ッパ部材１６ｄが当接する。合成ゴム１２ａとストッパ
部材１６ｄの当接は第１傾斜部１２ｂと第２傾斜部１６
ｅを介して行われ、双方の傾斜部１２ｂ，１６ｅが当接
することにより合成ゴム１２ａはストッパ部材１６ｄに
対して図１の拡大図の実線矢印で示すような下方に向う
力Ｆを生じさせる。この力Ｆによりスロープ板１２は下
方に押圧され、スロープ板１２の後端部におけるがたつ
きが防止される。

【００１６】スロープ板１２がハウジング１６に格納さ
れた後には開閉蓋２１が閉じられ、格納状態におけるス
ロープ板１２を覆うことにより外観上の見栄が向上され
る。また、この開閉蓋２１が閉じられることにより上面
部２１ａの下面及び垂直部２１ｂの側面に取付けられた
中空の合成ゴム２２は格納状態のスロープ板１２の前端
部を圧接する。この形態における合成ゴム２２の圧接は
取手１９を介して行われ、スロープ板１２の前端部を合
成ゴム２２が圧接することにより取手１９及びスロープ
板１２の前端部におけるがたつきが防止される。なお上
述した実施の形態では取手１９をスロープ板１２に設け
て手動によりスロープ板１２を突出させ及び格納させた
が、ハウジングにスロープ板を突出又は格納するアクチ
ュエータを設け、このアクチュエータによりスロープ板
を突出又は格納してもよい。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ス
ロープ板の後端面にスロープ板の後方に向って斜め下方
に傾斜した第１傾斜面を有する弾性体を固着し、ハウジ
ングの弾性体に臨む後面にスロープ板の格納状態で弾性
体に当接するストッパ部材を設け、ストッパ部材にスロ
ープ板の前方に向って斜め上方に傾斜しかつ第１傾斜面
に対向する第２傾斜面を形成したので、弾性体とストッ
パ部材の当接により第１傾斜部と第２傾斜部が当接し、
弾性体はストッパ部材に対して下方に押圧されてスロー
プ板のがたつきが防止される。また、開閉蓋がその閉止
状態でスロープ板の前端部上面を覆う上面部と開口部を
覆う垂直部とを有し、かつ開閉蓋の閉止状態で上面部の
下面又は上面部の下面及び垂直部の側面に格納状態のス
ロープ板の前端部に圧接する弾性体を取付ければ、開閉
蓋を閉止するだけの簡単な作業で格納状態のスロープ板
の前端部を弾性体が圧接し、この圧接によりスロープ板
の前端部のがたつきが防止される。この結果、容易に格
納状態のスロープ板のがたつきに起因する異音の発生を
防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の乗降用スロープ板付車両を示す図４の
Ａ−Ａ線断面図。

【図２】図１のＢ部の拡大断面図。

【図３】図１のＣ−Ｃ線断面図。

【図４】スロープ板が突出されて車両の床と車両外の通
路との間に掛け渡された状態を示す車両の斜視図。

【符号の説明】

１０ 車両 １０ａ 床 １１ 通路 １２ スロープ板 １２ａ 合成ゴム（弾性体） １２ｂ 第１傾斜部 １６ ハウジング １６ａ 開口部 １６ｂ 後面 １６ｄ ストッパ部材 １６ｅ 第２傾斜部 ２１ 開閉蓋 ２１ａ 水平部 ２１ｂ 垂直部 ２２ 合成ゴム（弾性体）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 乗降口近傍の床(10a)の下面に固着され
   たスロープ板ハウジング(16)と、前記車両(10)の側方に
   突出可能に前記ハウジング(16)に格納され突出状態で車
   両の床(10a)と車両外の通路(11)との間に掛け渡される
   スロープ板(12)を有する車両において、 前記スロープ板(12)の後端面に前記スロープ板(12)の後
   方に向って斜め下方に傾斜した第１傾斜面(12b)を有す
   る弾性体(12a)が固着され、 前記ハウジング(16)の前記弾性体(12a)に臨む後面(16b)
   に前記スロープ板(12)の格納状態で前記弾性体(12a)に
   当接するストッパ部材(16d)が設けられ、 前記ストッパ部材(16d)に前記スロープ板(12)の前方に
   向って斜め上方に傾斜しかつ前記第１傾斜面(12b)に対
   向する第２傾斜面(16e)が形成されたことを特徴とする
   スロープ板付車両。
2. 【請求項２】 乗降口近傍の床(10a)の下面に固着され
   開口部(16a)を有するスロープ板ハウジング(16)と、前
   記開口部(16a)から車両側方に突出可能に前記ハウジン
   グ(16)に格納され突出状態で車両の床(10a)と車両外の
   通路(11)との間に掛け渡されるスロープ板(12)と、前記
   スロープ板(12)の格納状態で前記開口部(16a)を閉止可
   能に前記ハウジング(16)に設けられた開閉蓋(21)とを有
   する車両において、 前記開閉蓋(21)がその閉止状態で前記スロープ板(12)の
   前端部上面を覆う上面部(21a)と前記開口部(16a)を覆う
   垂直部(21b)とを有し、かつ前記開閉蓋(21)の閉止状態
   で前記上面部(21a)の下面又は前記上面部(21a)の下面及
   び前記垂直部(21b)の側面に格納状態のスロープ板(12)
   の前端部に圧接する弾性体(22)が取付けられたことを特
   徴とするスロープ板付車両。