JPH10223229A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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JPH10223229A
JPH10223229A JP9027776A JP2777697A JPH10223229A JP H10223229 A JPH10223229 A JP H10223229A JP 9027776 A JP9027776 A JP 9027776A JP 2777697 A JP2777697 A JP 2777697A JP H10223229 A JPH10223229 A JP H10223229A
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JP
Japan
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carbon
positive electrode
battery
filler
base
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Withdrawn
Application number
JP9027776A
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English (en)
Inventor
Satoshi Yanase
聡 柳瀬
Tomotaka Hashimoto
知孝 橋本
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10223229A publication Critical patent/JPH10223229A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【課題】 過充電状態においても電池特性の低下の小さ
い、非水電解液二次電池を提供する。 【解決手段】 基材炭素の表面が非晶質炭素からなる層
で覆われた炭素材料を正極に含み、特に非晶質炭素から
なる層が、CVD処理により形成されたことを特徴とす
る非水電解液二次電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は非水電解液二次電池
に関するものであり、特に正極材料中に含まれるフィラ
ーの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、有機電解液を用いた二次電池、特
にリチウムを用いた二次電池は高いエネルギー密度を有
することから注目を集めている。機器の小型化、軽量化
が可能なことから、リチウムイオン二次電池は、最近カ
メラ一体型VTRあるいは携帯電話等の携帯機器に多く
使用されるようになってきた。しかしながら材料にリチ
ウムという化学的に活性な物質を使用するため、電池使
用時の安全性の問題は、その開発当初より様々な方面か
ら指摘されていた。このため今日のリチウムイオン二次
電池は、過充電、過放電、内部短絡などによって電池の
破裂、発火に到ることがないよう、活物質の種類や形
状、電極や電池缶の構造等に安全性向上のための様々な
工夫がこらされたものとなっている。
【0003】現在、一般的に市販されているリチウムイ
オン二次電池は、正極材料にコバルト酸リチウム等のリ
チウム複合酸化物、負極材料にカーボンを用い、両極間
をリチウムイオンが移動する事によって充放電を行う機
構を有する。この時、正極のリチウム複合酸化物はそれ
自身の導電性が十分でないため、導電性向上のために正
極中に主に炭素素材よりなるフィラーを混合している。
これによって十分な導電性を発現することができ、長時
間使用しても電池特性の劣化の小さいリチウムイオン二
次電池を提供する事が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らの検討の結果、フィラーを混合した正極において
は、次の点で安全上の問題があることが判明した。すな
わちリチウムイオン二次電池の充電中に、負極の容量以
上に充電が行われた過充電状態においては、正極中のフ
ィラーが電解液と反応して変性をきたし、正極全体のイ
ンピーダンスが上昇する。その結果、正極全体が発熱
し、電解液の分解やガスの発生を誘発して電池特性の性
能低下や電池缶の変形がおこる。この理由については定
かでないが、過充電状態の正極においては、その高い電
位によって電解液中の陰イオンがフィラー中に進入し、
これによって構造破壊や電池特性の変化が生じるものと
推定される。これまでリチウムイオン二次電池の過充電
に対する防止法についての報告はあるが (例えば特開平
5−35034号公報、特開平6−338347号公
報)、過充電に伴う正極材料中のフィラーの変性に対す
る防止法についての報告は見られなかった。
【0005】現在市販されているリチウムイオン二次電
池は、過充電防止のため保護回路や安全弁等の対策がと
らてはいるが、リチウムイオン二次電池の安全性と信頼
性を更に向上させるために以上の問題は解決すべき課題
であるといえる。本発明は上記の課題を解決すべく、正
極に、過充電状態においても安定に存在できる炭素材料
をフィラーとして含んだ、非水電解液二次電池を提供す
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、正極材料中に含ま
れるフィラーが次の特徴を有した炭素材料であれば、過
充電状態においても電解液中で安定に存在でき、電池性
能の低下を起こさないということを見い出し本発明の完
成に到った。
【0007】すなわち本発明は、基材炭素の表面が非晶
質炭素からなる層で覆われた炭素材料を、正極に含むこ
とを特徴とする非水電解液二次電池であり、また基材炭
素の表面に被覆された非晶質炭素からなる層が、CVD
処理により形成されたものであり、さらに基材炭素の表
面に被覆された非晶質炭素からなる層が、基材炭素を有
機物で被覆した後に焼成する事によって得られるもので
ある。
【0008】本発明の第1の特徴は、非水電解液二次電
池において、基材炭素の表面が非晶質炭素からなる層で
覆われた炭素材料をフィラーとして正極に含むことであ
る。ここで基材炭素表面に被覆される非晶質炭素とは、
基材炭素と比較して物質透過性の小さい炭素を指す。こ
の非晶質炭素の特徴は透過型電子顕微鏡による炭素材料
表面における炭素網面(002)面の配向を観察するこ
とによって明らかとなる。すなわち本発明における非晶
質炭素は、その炭素網面(002)面の配向が基材炭素
表面に対して平行に配向しているという特徴を有する。
これは透過型電子顕微鏡による炭素材料の表面近傍のセ
クション写真を画像解析する事によってより明確に特徴
づける事が出来る。具体的には炭素材料表面近傍のセク
ション写真において、主に被覆された非晶質炭素からな
る炭素材料表面近傍を一辺が200Åの正方形に選択
し、その領域内の炭素網面(002)面の画像を画像解
析装置に取り込む。この時、空間周波数の角度方向の強
度分布を求めることでパワースペクトル (角度VS強
度) を得ることが出来る。本発明においては、このスペ
クトルが基材炭素表面に対して平行となるような角度で
ピークを示すようになり、またこの時のピークの高さ1
/2の半値幅をαとすると、次の式で示される配向度
が、70%以上の値を示すという特徴を有する。
【0009】 配向度(%) = (180-α)×100 /180 以上の事実は、本発明における炭素材料の表面近傍が、
基材炭素表面に対して平行に配向した非晶質炭素で覆わ
れているということを示している。一方、基材炭素の炭
素網面の配向は非晶質炭素の配向とは異なる場合が多
く、この配向状態の違いによって基材炭素と被覆される
非晶質炭素の境界を確認することができる。本発明にお
いてこの境界は、炭素材料表面 (被覆された非晶質炭素
も含む) から深さ方向に10〜1000Å、好ましくは
50〜500Åの領域に存在する事が推奨される。なお
上記式で示される配向度が70%未満の炭素材料、ある
いは基材炭素と非晶質炭素の境界が炭素材料表面から1
0Å未満にある炭素材料をフィラーとして用いた正極
は、過充電状態におけるインピーダンスの上昇が認めら
れ、本発明の効果を十分に発揮することが出来ない。ま
た基材炭素と非晶質炭素の境界が炭素材料表面から10
00Å以上にある炭素材料をフィラーとして用いた正極
は、インピーダンスの上昇は認められないが、表面の導
電性が低下しフィラーとしての機能が低下するととも
に、重量を必要以上に増すことになり好ましくない。
【0010】このような特徴を有する炭素材料は、その
粒子表面が化学的に不活性な炭素基底面で覆われている
ため電解液と接触しても電気化学的な変性を受けにく
く、また粒子表面近傍の構造が密なため、高い電位に曝
されてもその内部に陰イオンの進入を受けることがな
い。このため本発明における炭素材料をフィラーとして
用いた正極は、過充電状態でも発熱やインピーダンスの
上昇を起こさず、その結果、長時間使用しても電池特性
の劣化が小さいリチウムイオン二次電池を提供する事が
可能となるのである。
【0011】以上のような特徴を持った炭素材料はリチ
ウムイオン二次電池の正極用フィラーとして優れた性能
を発揮する事ができる。しかしながら本発明で規定され
る炭素材料を得るには、その粒子表面を特定の構造に改
質せねばならず、工業レベルで安定に生産するのは容易
ではない。本発明者らはこの点に関しても鋭意検討を重
ね、その結果、以下の方法によれば本発明で規定される
特徴を有する炭素材料を効率的かつ安定に生産出来るこ
とを見出した。すなわち、本発明のもう一つの特徴は、
基材炭素の表面に非晶質炭素からなる層を被覆する際に
CVD処理を用いることにある。
【0012】本発明におけるCVD処理とは、基材炭素
に有機化合物蒸気を高温条件下で一定時間導入し処理す
る方法を指す。この方法によれば、ガス状となった有機
化合物が基材炭素表面に均一に拡散していき、基材炭素
表面に付着しながら炭化反応を起こすため、基材炭素表
面に本発明における要請を満たす非晶質炭素による層を
均一な厚みに形成させることができる。ここで用いられ
る有機化合物には、非晶質炭素を形成させ易く、比較的
沸点の低いものが好ましく、メタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、エチレン、プロピレン、ブテン、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、シク
ロペンタンなどの炭化水素類またはその誘導体、あるい
はジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタ
ン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類など
が推奨される。また処理温度は、導入される有機化合物
の蒸気化とその炭化反応を促進する温度範囲として50
0〜2000℃、好ましくは800〜1200℃が好適
である。500℃以下の処理温度では基材炭素表面での
炭化反応が進みにくく、2000℃以上の温度では有機
化合物蒸気が基材炭素表面に到達する前に炭化してしま
い、いずれの場合も本発明で規定される非晶質炭素層を
形成しにくくなる。有機化合物蒸気を基材炭素に導入す
る方法については有機化合物を加温、蒸気化させた後、
窒素や不活性ガスをキャリアーとして基材炭素を収納し
た容器に送り込む方法が簡便である。また基材炭素表面
に被覆される非晶質炭素の厚みはCVD処理の時間を調
整する事により調節する事ができる。
【0013】さらに本発明者らは基材炭素の表面に非晶
質炭素からなる層を被覆する方法について、別の有効な
方法を見出した。この方法は、基材炭素を有機物で被覆
した後に焼成する事によって基材炭素の表面に非晶質炭
素からなる層を被覆することを特徴とする。この方法は
粘性の高い液状または固体状の有機化合物を適当な溶剤
に溶解し溶液とし、この溶液に基材炭素を含浸させた
後、過剰に付着した液を除去して、溶剤を蒸発させた後
に焼成するものであり、CVD処理と同様の効果を示
す。この時、粘性の高い液状または固体状の有機化合物
としては石油ピッチ、タール、メソカーボンマイクロビ
ーズ、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、トリフェ
ニレン、クリセン、コロネン、ペンタセンなどの炭化水
素化合物およびその誘導体、フルフリルアルコール樹
脂、アクリロニトリル樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル
樹脂、フェノール樹脂などのポリマーまたはそのオリゴ
マーなどがあげられ、溶剤としてはアセトン、ベンゼ
ン、キノリン等の比較的沸点が低く溶解力の高いものが
適当である。また焼成温度としてはCVD処理と同様、
炭化反応を促進する温度範囲として500〜2000
℃、好ましくは800〜1200℃が推奨される。50
0℃以下の処理温度では基材炭素表面での炭化反応が進
みにくく、2000℃以上の温度では炭化反応と同時に
有機化合物の分解が促進され、いずれの場合も本発明で
規定される非晶質炭素層を形成しにくくなる。
【0014】次に本発明における基材炭素材料の素材に
ついて説明する。本発明において基材となる炭素材料の
素材は、それ自体が十分な導電性を持ち、フィラーとし
て用いた時に正極の導電性が向上するものが好ましく、
十分な導電性の向上を期待できる素材としてハードカー
ボン、天然グラファイト、人造グラファイト、カーボン
ブラック、アセチレンブラック、ピッチコークス、メソ
フェーズカーボン等が挙げられる。
【0015】また本発明における炭素材料の平均粒子径
は、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは
0.01〜1μmの範囲にあることが望ましい。サブミ
クロン粒子を得ることは粉砕技術面で非実用的であり、
また10μm以上の粒子を用いた時には粒子同士の接触
が充分でなく電極の抵抗が高くなり好ましくない。また
本発明においてフィラーとして正極中に含有させる炭素
材料の割合は、小さすぎると十分な導電性が得られず、
大きすぎると正極の容量を低下させるため、正極材料に
対して0.1〜10.0重量%、好ましくは3.0〜
6.0重量%が適当である。
【0016】次に本発明の電池の正極材料について説明
する。本発明の電池の正極材料としてはリチウムイオン
が可逆的に放出・吸蔵でき、電子輸送が容易に行えるよ
うに電子伝導度が高い材料が好ましい。この材料として
は、例えば、TiS2、TiS3、MoS2、MoS3、F
eS、FeS2、TaS2、CuS、Cu2S、CuCo
4などの金属硫化物、V25、V613、MoO3、M
nO2、CuO、Cu5212、Cr23、TiO2など
の金属酸化物、NbSe3、VSe2などの金属セレン化
物、LiVO2 、LiCrO2 、LiFeO2、LiN
iO2、LiCoO2、LiMnO2、LiMn24、L
iCoxSny2、LiCoNiO2、LiCoxFey
2などのアルカリ金属含有複合酸化物を用いることがで
きる。通常はこれらのうちリチウムコバルト複合酸化
物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複
合酸化物など容量の大きな材料を使用することが好まし
い。
【0017】これらの材料に、本発明によって得られる
炭素材料をフィラーとして混合してから正極に加工する
方法については、例えばポリテトラフルオロエチレン、
ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン
などのポリマーあるいはそれらのコポリマーを主な成分
としたフッ素系バインダーと正極活物質を混合した後、
銅箔、アルミ箔、ニッケル箔等の集電体上に該混合物を
塗布する方法が挙げられる。
【0018】次に本発明の電池の負極材料について説明
する。負極材料としては正極材料と同様、リチウムイオ
ンが可逆的に放出・吸蔵でき、電子輸送が容易に行える
ように電子伝導度が高い材料が好ましい。この材料とし
ては、例えばハードカーボン、天然グラファイト、人造
グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、ピッチコークス、メソフェーズカーボンなどの炭素
材料、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化ケイ
素、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどの酸化物材料、
アルミニウム、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、アル
ミニウムスズ合金、アルミニウムマンガン合金、アルミ
ニウムマグネシウム合金などの金属材料等が挙げられ
る。またこのような負極材料を負極に加工する方法につ
いては、正極と同様に例えばスチレンブタジエンラテッ
クスやポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチ
レンなどのフッ素系バインダーと負極材料を混合した
後、銅箔、アルミ箔等の集電体上に塗布する方法が挙げ
られる。
【0019】次に、リチウムイオン移動媒体について説
明する。このイオン移動媒体としては、例えば、リチウ
ム塩を均一に溶解した非プロトン性有機溶剤の溶液、リ
チウム塩を高分子マトリックスに均一分散させた固体ま
たは粘調体、あるいはそれらと非プロトン性有機溶剤と
の混合物などが用いられる。これらに用いるリチウム塩
の具体例としては、LiPF6、 LiBF4、LiAsF
6、LiClO4、LiSbF6、LiI、LiBr、L
iCl、LiAlCl4、LiHF2、LiSCN、CF
3SO3Li、C43SO3Li、(CF3SO22NL
i、(CF3SO23CLi、(C49SO22NLi
などがある。また、該移動媒体に用いる非プロトン性有
機溶剤として、プロピレンカーボネイト、エチレンカー
ボネイト、ジエチルカーボネイト、メチルエチルカーボ
ネイト、ジメチルカーボネイトなどの有機カーボネイ
ト、ブチロラクトン、プロピオラクトン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル、プロ
ピオン酸ブチルなど脂肪族有機エステル、グライム、ジ
グライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジエチルエーテル、シリコンオイルなどの有機エ
ーテル、ピリジン、トリエチルアミンなどの有機アミ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの有機ニト
リルの単体または混合物を少なくとも一部含有するもの
であり、これに他の非プロトン性有機溶媒、例えばベン
ゼン、トルエン、キシレン、デカリンなどの芳香族炭化
水素、ヘキサン、ペンタン、デカンなどの脂肪族炭化水
素、フェノール、カテコール、ビスフェノールなどのア
ルキルエステル、芳香族エステルやクロロフォルム、四
塩化炭素、ジクロロメタン、フロン、トリクレンなどの
ハロゲン系炭化水素を混合使用することも可能である。
イオン移動媒体にプロトン性有機溶剤を用いることは、
電極表面で有機溶剤のプロトンが還元されるため水素ガ
スが発生するとともに充放電効率低下を引き起し好まし
くない。
【0020】次に前記高分子マトリックスとしては、例
えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラールなどの脂肪族ポリエーテル、
ポリエチレンスルフィド、ポリプロピレンスルフィドな
どの脂肪族ポリチオエーテル、ポリエチレンサクシネー
ト、ポリブチレンアジペート、ポリカプロラクトンなど
の脂肪族ポリエステル、ポリエチレンイミン、ポリイミ
ドおよびその前駆体、ポリアクリルニトリル、ポリフッ
化ビニリデンなどを用いることができる。また、この移
動媒体の一部に正極と負極の短絡防止のためのセパレー
タを設けることができる。このセパレータの例として
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースなどの
材料の多孔性シート、不織布が用いられる。
【0021】上記の負極および正極を用いて電池缶を作
製する場合、図1に示されるように負極および正極の箔
をセパレータを挟んで対向させた状態で巻回し、金属缶
内に充填し、さらに電解液を注入する方法によって電池
缶が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。
【0023】
【実施例1】基材炭素としてハードカーボン100gを
ロータリーキルン式の焼成炉内に仕込み、炉内を100
0℃に保ちつつ一定速度で回転させながら窒素をキャリ
アーガスとしてトルエン蒸気を炉内に供給した。1時間
反応させた後、トルエンの供給を停止し、炉を冷却させ
てCVD処理されたハードカーボン粉末を取り出し正極
フィラー用の炭素材料とした。得られた炭素材料を日本
電子(株)製高分解能透過型電子顕微鏡JEM−400
0FXで観察し、炭素の(002)面の透過電子顕微鏡
セクション写真(倍率200万倍)を撮影した。この写
真を図2に示す。この写真を旭化成工業(株)製画像解
析システムIP−1000を用いて画像解析処理をし
た。炭素材料表面近傍を一辺が200Åの正方形に選択
し、その領域内の炭素網面 (002) 面の画像を画像解
析装置に取り込み、空間周波数の角度方向強度分布から
パワースペクトルのピーク半値幅を得て、配向度を計算
した。パワースペクトルの一例を図3に示す。
【0024】このようにして得られたハードカーボン粉
末を正極フィラーとし、以下の手順で正極を作製した。
得られたハードカーボン粉末10g、LiCoO2 粉末
143g、ポリテトラフルオロエチレン粉末(平均粒径
1μm)10gをトルエン200gとともに混練分散し
たペーストをアルミニウム箔上に塗布し、正極塗膜を作
製した。
【0025】次に、以下の手順で負極を作製した。グラ
ファイト粉末280gに対しスチレンブタジエンラテッ
クス6gを、200gの水中で混練分散して作成したペ
ーストを銅箔上に塗布することにより負極塗膜を得た。
次に、該負極および正極塗膜を用いて、図1に示される
電池缶を以下のように作製した。上記の正極(図1中の
1)および負極(図1中の2)との間にポリエチレン製
の微多孔膜からなるセパレータ(図1中の5)を介在さ
せて互いに積層し、多数回巻回して渦巻き型の電極体を
作製した。さらに、この渦巻き型の電極体をSUS製電
池容器(図1中の6)中に収納した。負極リード端子
(図1中の4)を電池容器の内底部にスポット溶接によ
り接続し、正極リード端子(図1中の3)は電池封口板
(図1中の7)に同様にして接続した。
【0026】次に、この電池缶容器中にエチルメチルカ
ーボネイト、エチレンカーボネイトを体積比1:1で混
合した混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1mol
/lとなるように溶解させて調整した電解液を注液し、
該電池容器と前記電池封口板とをポリプロピレン製パッ
キン(図1中の8)を介し、嵌合することにより密封
し、外径20mm、長さ50mmの円筒型非水電解液電
池を作製した。この電池の過充電特性を評価するため、
充電終止電圧を5.0V、電流1mAで48時間充電を
行ない、充電終了後、85℃で48時間保存し、測定周
波数1キロヘルツでインピーダンス変化を測定した。結
果を表1に示した。
【0027】
【実施例2】基材炭素にグラファイト粉末、を用いる以
外は実施例1と同様の処理をしてCVD処理されたグラ
ファイト粉末を得た。これを正極フィラーとして電池を
組立て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に
示した。
【0028】
【実施例3】基材炭素にカーボンブラック粉末、を用い
る以外は実施例1と同様の処理をしてCVD処理された
カーボンブラック粉末を得た。これを正極フィラーとし
て電池を組立て、実施例1と同様の評価を行った。結果
を表1に示した。
【0029】
【実施例4〜5】CVD処理の時間を30分、120分
とする以外は実施例2と同様の処理をしてグラファイト
粉末を得た。これを正極フィラーとして電池を組立て、
実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示した。
【0030】
【実施例6〜7】CVD処理の処理温度を800℃、1
200℃とする以外は実施例2と同様の処理をしてグラ
ファイト粉末を得た。これを正極フィラーとして電池を
組立て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に
示した。
【0031】
【実施例8】トルエンの代わりにベンゼンを供給する以
外は実施例2と同様の処理をしてCVD処理されたグラ
ファイト粉末を得た。これを正極フィラーとして電池を
組立て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に
示した。
【0032】
【実施例9〜11】電解液の溶質としてLiClO4
LiBF4 、LiAsF6を用いる以外は実施例2と同
様に電池を組立て評価を行った。結果を表1に示した。
【0033】
【実施例12】基材炭素としてのグラファイト粉末10
0gを、石油ピッチのアセトン溶液(重量濃度20%)
に浸せきした後、過剰に付着した液を除去してからロー
タリーキルン式の焼成炉内に仕込み、窒素をパージガス
とし、室温で60分、炉を一定速度で回転させたあと、
炉内を1000℃に昇温し一定速度で回転させながら焼
成した。180分反応させた後、炉を冷却させて処理さ
れたグラファイト粉末を取り出した。これを正極フィラ
ー用の炭素材料として実施例1と同様に電池を組立て評
価を行った。結果を表1に示した。
【0034】
【比較例1】正極にフィラーを混合せずに正極を作製
し、それ以外は実施例1と同様に電池を組立、評価し
た。結果を実施例の結果とともに表1に示した。
【0035】
【比較例2】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないハードカーボンとする以外は実施例1と
同様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の結
果とともに表1に示した。
【0036】
【比較例3】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないグラファイトとする以外は実施例1と同
様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の結果
とともに表1に示した。
【0037】
【比較例4】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないカーボンブラックとする以外は実施例1
と同様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の
結果とともに表1に示した。
【0038】
【比較例5】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないグラファイトとする以外は実施例9と同
様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の結果
とともに表1に示した。
【0039】
【比較例6】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないグラファイトとする以外は実施例10と
同様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の結
果とともに表1に示した。
【0040】
【比較例7】正極に混合するフィラーを、本発明による
処理を施さないグラファイトとする以外は実施例11と
同様にして電池を組立て、評価した。結果を実施例の結
果とともに表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】実施例で示した結果から、本発明で規定さ
れる特徴を有する炭素材料をフィラーとして含む正極を
用いたものは、比較例に対し、過充電状態においても、
インピーダンスの上昇が少なく、電池特性の低下が小さ
いということが判る。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
で規定される炭素材料をフィラーとして含んだ正極を用
いることによって、過充電状態にあっても、電池特性の
劣化が小さく、安全性の高い非水電解液二次電池を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、電池構造を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1で得られる炭素材料
の表面近傍の透過電子顕微鏡写真である。
【図3】図3は、本発明の実施例1で得られる炭素材料
の表面近傍の透過電子顕微鏡写真を画像解析して得られ
るパワースペクトルの例である。
【符号の説明】
1 帯状正極 2 帯状負極 3 正極リード端子 4 負極リード端子 5 セパレーター 6 電池容器 7 電池封口板 8 パッキン 9 絶縁板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材炭素の表面が非晶質炭素からなる層
    で覆われた炭素材料を、正極に含むことを特徴とする非
    水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 基材炭素の表面に被覆された非晶質炭素
    からなる層が、CVD処理により形成されたことを特徴
    とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 基材炭素の表面に被覆された非晶質炭素
    からなる層が、基材炭素を有機物で被覆した後に焼成す
    る事によって得られることを特徴とする請求項1記載の
    非水電解液二次電池。
JP9027776A 1997-02-12 1997-02-12 非水電解液二次電池 Withdrawn JPH10223229A (ja)

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