JPH10221523A - 光学フィルターおよびこれを備えた装置、眼鏡レンズ、熱線吸収フィルター並びに光ファイバー - Google Patents

光学フィルターおよびこれを備えた装置、眼鏡レンズ、熱線吸収フィルター並びに光ファイバー

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JPH10221523A
JPH10221523A JP9333098A JP33309897A JPH10221523A JP H10221523 A JPH10221523 A JP H10221523A JP 9333098 A JP9333098 A JP 9333098A JP 33309897 A JP33309897 A JP 33309897A JP H10221523 A JPH10221523 A JP H10221523A
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Japan
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optical filter
present
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filter
monomer
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Application number
JP9333098A
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English (en)
Inventor
Hiroki Katono
浩樹 上遠野
Yoshinobu Ito
嘉信 伊藤
Katsuichi Machida
克一 町田
Masuhiro Shoji
益宏 庄司
Takeo Ogiwara
武男 荻原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無彩色に近い光学フィルターの提供。
近赤外線カットフィルターとして好適な光学フィルタ
ーの提供。 カラーバランスに優れ、プラズマディス
プレイの前面板および眼鏡レンズ材料として好適に用い
ることのできる光学フィルターの提供。 無彩色に近
い光学フィルターにより構成される装置、眼鏡レンズ、
熱線吸収フィルター、光ファイバーの提供。 【解決手段】 本発明の光学フィルターは、合成樹脂中
に銅イオン(II)が含有されてなり、彩度が0〜12で
あることを特徴とする。本発明の光学フィルターは、銅
イオン(II)と、波長450〜600nmの光を吸収す
ることのできる金属イオンおよび/または着色物質とが
合成樹脂中に含有されてなり、彩度が0〜12であるこ
とを特徴とする。前記金属イオンおよび着色物質は、波
長500〜550nmに吸収ピークを有することが好ま
しく、特にコバルトイオン(II)が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルターお
よびその応用例に関し、更に詳しくは、近赤外線を効率
的にカットすることができ、透明で無彩色に近い合成樹
脂製の光学フィルター、当該光学フィルターを備えてな
る装置(プラズマディスプレイ装置・カメラ・CCD撮
像装置・赤外線通信環境整備装置)、白内障防止用の眼
鏡レンズ、熱線吸収フィルターおよび光ファイバーに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、近赤外線をカットする光学フィル
ターとして、合成樹脂よりなるものが開発されている。
合成樹脂よりなる光学フィルターは、軽量で、加工性に
優れ、適用範囲も広いことから注目されており、例えば
プラズマディスプレイの前面板、白内障防止用の眼鏡レ
ンズなどとして好適に用いられている。
【0003】しかして、近赤外線カット機能を発現させ
るための物質として銅イオン(II)が知られており、銅
イオン(II)が合成樹脂中に含有されてなる光学フィル
ターによれば、可視領域の光を透過させ、近赤外線領域
および紫外線領域の光を効率的にカットすることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、銅イオ
ン(II)が含有されてなる光学フィルターにあっては、
青色領域の光および赤色領域の光の一部を吸収してしま
い、緑色領域の光の透過率が相対的に大きくなるため、
当該光学フィルターは、緑色乃至青緑色を呈するものと
なる。
【0005】そして、このように呈色された光学フィル
ターをプラズマディスプレイの前面板として用いる場合
には、当該プラズマディスプレイのカラーバランスが損
なわれる、という問題が生じる。また、当該光学フィル
ターを眼鏡レンズとして使用すると、不自然な色相に対
して違和感を感じてしまう。
【0006】本発明は、以上のような事情に基いてなさ
れたものである。本発明の第1の目的は、自然光と同程
度の色相を知覚することができる無彩色に近い光学フィ
ルターを提供することにある。本発明の第2の目的は、
さらに、近赤外線を効率的にカットすることができ、近
赤外線カットフィルターとして好適な光学フィルターを
提供することにある。本発明の第3の目的は、カラーバ
ランスに優れ、プラズマディスプレイ装置の前面板およ
び眼鏡レンズ材料として好適に用いることのできる光学
フィルターを提供することにある。本発明の第4の目的
は、近赤外線を効率的にカットすることができる無彩色
に近い光学フィルターが、パネルの前面板として配置さ
れてなるプラズマディスプレイ装置を提供することにあ
る。本発明の第5の目的は、近赤外線を効率的にカット
することによる白内障発症の抑制効果を有し、自然光と
同程度の色相を知覚することができる無彩色に近い眼鏡
レンズを提供することにある。本発明の第6の目的は、
近赤外線を効率的にカットすることができる無彩色に近
い光学フィルターを、受光素子のための視感度補正フィ
ルターとして備えてなるカメラを提供することにある。
本発明の第7の目的は、近赤外線を効率的にカットする
ことができる無彩色に近い光学フィルターを、CCDの
ための視感度補正フィルターとして備えてなる撮像装置
を提供することにある。本発明の第8の目的は、近赤外
線を効率的にカットすることができる無彩色に近い光学
フィルターをノイズカットフィルターとして備えてなる
赤外線通信環境整備装置を提供することにある。本発明
の第10の目的は、近赤外線を効率的にカットすること
ができる無彩色に近い熱線吸収フィルターを提供するこ
とにある。本発明の第11の目的は、近赤外線を効率的
にカットすることができる無彩色に近い光学ファイバー
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の光学フィルター
は、合成樹脂中に銅イオン(II)が含有されてなり、彩
度が0〜12であることを特徴とする。本発明の光学フ
ィルターは、銅イオン(II)と、波長450〜600n
mの光を吸収することのできる金属イオンおよび/また
は着色物質とが合成樹脂中に含有されてなり、彩度が0
〜12であることを特徴とする。本発明の光学フィルタ
ーを構成する金属イオンおよび着色物質は、波長500
〜550nmに吸収ピークを有することが好ましい。ま
た、本発明の光学フィルターを構成する金属イオンとし
てコバルトイオン(II)が含有されていることが好まし
い。
【0008】本発明の光学フィルターにおいては、下記
式(1)で表されるリン酸基含有単量体(以下「特定の
リン酸基含有単量体」という)およびこれと共重合可能
な単量体(以下「共重合性単量体」という)を共重合し
て得られるリン酸基含有共重合体から合成樹脂が構成さ
れていることが好ましい。
【0009】
【化3】
【0010】また、本発明の光学フィルターにおいて
は、下記式(2)で表されるリン酸基含有化合物(以下
「特定のリン酸基含有化合物」という)が含有されてい
ることが好ましい。
【0011】
【化4】
【0012】本発明のプラズマディスプレイ装置は、上
記の光学フィルター(本発明の光学フィルター)がパネ
ルの前面板として配置されてなることを特徴とする。本
発明の白内障防止用の眼鏡レンズは、上記の光学フィル
ター(本発明の光学フィルター)からなることを特徴と
する。本発明のカメラは、受光素子のための視感度補正
フィルターとして、上記の光学フィルター(本発明の光
学フィルター)が搭載されていることを特徴とする。本
発明の撮像装置は、CCDのための視感度補正フィルタ
ーとして、上記の光学フィルター(本発明の光学フィル
ター)が搭載されていることを特徴とする。本発明の赤
外線通信環境整備装置は、ノイズカットフィルターとし
て、上記の光学フィルター(本発明の光学フィルター)
が搭載されていることを特徴とする。本発明の熱線吸収
フィルターは、上記の光学フィルター(本発明の光学フ
ィルター)からなることを特徴とする。本発明の光ファ
イバーは、上記の光学フィルター(本発明の光学フィル
ター)からなることを特徴とする。本発明の光ファイバ
ーは、上記の光学フィルター(本発明の光学フィルタ
ー)が採光部に設けられていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の光学フィルターは、緑色乃至青緑色領域
を含む光(450〜600nm)を吸収することのでき
る物質(金属イオンおよび/または着色物質)が含有さ
れていることにより、銅イオン(II)が含有されている
にも関わらず、無彩色に近い状態(彩度が0〜12とな
る範囲)を呈するものである。
【0014】本発明の光学フィルターは、近赤外線領域
の光を効率的に吸収する銅イオン(II)が合成樹脂中に
含有されて構成される。
【0015】合成樹脂中に銅イオン(II)を均一に分散
含有させる方法としては、〔1〕銅イオン(II)を保持
する単量体を重合させる方法、〔2〕銅イオン(II)を
保持する単量体と、これと共重合可能な単量体とを共重
合させる方法、〔3〕銅イオン(II)を保持する化合物
の存在下で、単量体を重合させる方法、〔4〕銅イオン
(II)を保持する化合物を、重合体中に混練分散させる
方法などを挙げることができる。
【0016】光学フィルター中における銅イオン(II)
の含有割合としては、樹脂成分100質量部に対して、
0.01〜20質量部であることが好ましく、更に好ま
しくは0.1〜15質量部とされる。銅イオン(II)の
割合が過少である場合には、近赤外線を効率的にカット
する光学フィルターを得ることができない。一方、銅イ
オン(II)の割合が過大となる場合には、当該銅イオン
(II)の分散性が低下して透明性の良好な光学フィルタ
ーを得ることができない。
【0017】本発明の光学フィルターを構成する合成樹
脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素
系樹脂等を用いることができる。
【0018】また、銅イオン(II)の分散性を向上させ
る観点から、合成樹脂中にリン酸基が含有されているこ
とが好ましく、このような構成によれば、銅イオン(I
I)がリン酸基に結合(例えば配位結合)された状態で
合成樹脂中に含有される。ここに、「リン酸基」とは、
「PO(OH)n −」(nは1または2である)で表さ
れる基をいうものとする。
【0019】合成樹脂中にリン酸基を含有させる手段と
しては、〔1〕上記式(1)で表される「特定のリン酸
基含有単量体」と「共重合性単量体」とを共重合してリ
ン酸基含有共重合体を得る手段、〔2〕上記式(2)で
表される「特定のリン酸基含有化合物」を、混合単量体
中に添加し、得られる単量体組成物を重合処理する手
段、を挙げることができる。
【0020】<リン酸基含有共重合体>本発明の好適な
態様においては、リン酸基含有共重合体中に、銅イオン
(II)が含有されて光学フィルターが構成される。以
下、リン酸基含有共重合体について説明する。
【0021】本発明の光学フィルターを構成するリン酸
基含有共重合体は、特定のリン酸基含有単量体と、共重
合性単量体とを共重合させて得られる。特定のリン酸基
含有単量体は、その分子構造中に、銅イオン(II)と結
合可能なリン酸基を有しているとともに、エチレンオキ
サイド基を介して、ラジカル重合性の官能基であるアク
リロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基を有し
ているため、極めて共重合性にとみ、種々の単量体と共
重合することができる。
【0022】特定のリン酸基含有単量体の分子構造を示
す式(1)において、基R1 は、エチレンオキサイド基
が結合したアクリロイルオキシ基(Xが水素原子の場
合)またはメタクリロイルオキシ基(Xがメチル基の場
合)である。ここで、エチレンオキサイド基の繰り返し
数mは1〜5の整数である。このmの値が5を超える
と、得られる共重合体が十分な硬度を有するものとなら
ず、光学フィルターとしての実用性を低下させることが
ある。
【0023】また、式(1)において、水酸基の数nは
1または2であり、得られる光学フィルターの成形法お
よび使用目的などに応じて、nの値が1である特定のリ
ン酸基含有単量体およびnの値が2である特定のリン酸
基含有単量体のいずれか一方または両方を用いることが
でき、また、両方を用いる場合には、その混合割合を選
択することができる。
【0024】具体的に説明すると、nの値が2であると
き、すなわち、リン原子に結合したラジカル重合性の官
能基の数が1である特定のリン酸基含有単量体は、銅イ
オンとの結合性が大きいものとなる。一方、nの値が1
であるとき、すなわち、リン原子に結合したラジカル重
合性の官能基の数が2である特定のリン酸基含有単量体
は、架橋重合性を有するものとなる。従って、熱可塑性
樹脂に適用される成形加工法により光学フィルターを得
る場合には、nの値が2である特定のリン酸基含有単量
体の混合割合が大きいものを用いることが好ましい。
【0025】このように、光学フィルターの性能、成形
法および使用目的に応じてnの値を選択することができ
るが、銅イオン(II)の単量体への溶解性の観点から
は、nの値が1である特定のリン酸基含有単量体と、n
の値が2である特定のリン酸基含有単量体とを併用する
ことが好ましく、特に、これら2種類の特定のリン酸基
含有単量体を、それぞれがほぼ等モル量となる割合、例
えばモル比で40〜60:60〜40となる割合、好ま
しくは45〜55:55〜45となる割合で用いること
が好ましい。
【0026】特定のリン酸基含有単量体との共重合反応
に供される共重合性単量体は、得られるリン酸基含有共
重合体の吸湿性を抑制し、光学フィルターに要求される
硬度条件を満足させ、優れた耐熱性および形状保持性な
どを付与するものである。従って、共重合性単量体を用
いて得られたリン酸基含有共重合体によれば、諸性能に
優れた光学フィルターを構成することができる。
【0027】このような共重合性単量体としては、
〔1〕特定のリン酸基含有単量体と均一に溶解混合する
こと、〔2〕特定のリン酸基含有単量体とのラジカル共
重合性が良好であること、〔3〕光学的に透明な共重合
体が得られること等を満足するものであれば特に限定さ
れるものではない。
【0028】共重合性単量体の具体例としては、メチル
アクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレ
ート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレー
ト、n−プロピルメタクリレートなど、アルキル基の炭
素数が1〜8である低級アルキルアクリレート類および
低級アルキルメタクリレート類;グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロシキブチル
アクリレート、2−ヒドロシキブチルメタクリレートな
ど、グリシジル基やヒドロキシ基によってアルキル基が
置換された変性アルキルアクリレート類および変性アル
キルメタクリレート類;エチレングリコールジメタクリ
レート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタン
ジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメ
タアクリレート、2,2−ビス〔4−メタクリロキシエ
トキシフェニル〕プロパン、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレー
ト、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエ
リトリットテトラアクリレート、ペンタエリトリットテ
トラメタクリレートなどの多官能アクリレート類および
多官能メタクリレート類;アクリル酸、メタクリル酸な
どの不飽和カルボン酸類、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ハロゲン化スチレン、メトキシスチレン、ジビニル
ベンゼンなどの芳香族ビニル化合物などを挙げることが
でき、これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0029】リン酸基含有共重合体を得るための混合単
量体中において、特定のリン酸基含有単量体と共重合性
単量体との使用割合は、「特定のリン酸基含有単量体:
共重合性単量体(質量比)」が3:97〜90:10の
範囲であることが好ましく、更に好ましくは10:90
〜80:20の範囲とされる。特定のリン酸基含有単量
体の割合が3質量%未満である場合には、光学フィルタ
ーとして好適な光吸収特性を有するリン酸基含有共重合
体を得ることが困難となる。一方、この割合が90質量
%を超える場合には、得られるリン酸基含有共重合体
が、光学フィルターに要求される硬度条件を満足するも
のとならないことがある。
【0030】本発明の光学フィルターを構成するリン酸
基含有共重合体は、通常、特定のリン酸基含有単量体
と、共重合性単量体とからなる混合単量体をラジカル重
合させて得られる。ラジカル重合法としては、特に限定
されず、公知のラジカル重合開始剤を用いる注型(キャ
スト)重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法な
ど公知の方法を採用することができる。
【0031】このようにして得られるリン酸基含有共重
合体(合成樹脂)に、銅イオン(II)が含有されて本発
明の光学フィルターが構成される。この銅イオン(II)
は、リン酸基をリガンドとして配位的に結合されること
により、リン酸基含有共重合体に保持含有され、当該リ
ン酸基との錯体形成によって近赤外線領域の光を効率的
に吸収する。
【0032】本発明の光学フィルターの構成材料であ
る、銅イオン(II)が含有されたリン酸基含有共重合体
を得る方法としては、〔1〕特定のリン酸基含有単量体
と共重合性単量体とからなる混合単量体中に、銅イオン
(II)を、例えば銅化合物の形態で添加し、得られる単
量体組成物を重合処理する方法、〔2〕リン酸基含有共
重合体を加熱溶融させ、このリン酸基含有共重合体中
に、銅化合物を添加して混合する方法、〔3〕リン酸基
含有共重合体を有機溶剤に溶解させ、得られた溶液中
に、銅化合物を添加して混合する方法などを挙げること
ができる。
【0033】ここに、銅イオン(II)の供給源である銅
化合物としては、酢酸銅、塩化銅、ギ酸銅、ステアリン
酸銅、安息香酸銅、エチルアセト酢酸銅、ピロリン酸
銅、ナフテン酸銅、クエン酸銅などの無水物および水和
物などを例示することができる。
【0034】なお、光学フィルターの構成材料において
は、銅化合物と、リン酸基との反応により生成された酸
成分(有機酸・無機酸)が除去されていることが好まし
く、斯かる観点から、当該酸成分を溶剤によって抽出除
去することが好ましい。この酸成分の抽出除去工程は、
ラジカル重合処理の前後を問わず、光学フィルターの製
造方法の任意の段階、例えば、混合単量体中に銅化合物
を添加した後、単量体組成物を重合処理した後、フィル
ター材料を成形加工した後のいずれにおいても実施する
ことができる。酸成分の抽出除去工程に使用される溶剤
としては、酸成分を溶解できること、リン酸基含有共重
合体に対して適度の親和性(リン酸基含有共重合体を溶
解するものではないが、当該リン酸基含有共重合体中に
浸透できる程度の親和性)を有するものであることが必
要とされる。斯かる溶剤の具体例としては、水、メチル
アルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコールなどの脂肪族系低級アルコ
ール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン類、エチルエーテル、石油エーテ
ルなどのエーテル類、n−ペンタン、n−ヘキサン、n
−ヘプタン、クロロホルム、メチレンクロライド、四塩
化炭素などの脂肪族系炭素化水素およびそのハロゲン化
物、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物
を挙げることができ、これらの溶剤は、単独で、または
2種類以上混合して使用することができる。これらのう
ち、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、アセトン、メチレンクロライドは、
リン酸基含有共重合体に残留しにくい観点から特に好ま
しい。酸成分の抽出除去工程によって除去される酸成分
の量としては、生成された酸成分の30質量%以上であ
ることが好ましく、更に好ましくは40質量%以上とさ
れる。なお、酸成分の抽出除去工程終了後、被抽出物の
水洗・乾燥を行い、抽出に用いた残留溶剤を除去するこ
とが好ましい。上記の酸成分の抽出除去を実施して製造
された光学フィルターは、高湿度雰囲気下において、フ
ィルター表面におけるブリード、並びにこれに起因する
曇化現象および失透現象を殆ど発生させない。
【0035】<リン酸基含有化合物>合成樹脂中にリン
酸基を含有させる手段として、上記式(2)で表される
特定のリン酸基含有化合物を混合単量体中に添加して単
量体組成物を得、当該単量体組成物を重合処理する手段
を採用してもよい。
【0036】特定のリン酸基含有化合物は、その分子構
造中に、銅イオン(II)と結合可能なリン酸基を有する
非重合性の化合物(リン酸エステル・ホスホン酸エステ
ル)である。
【0037】特定のリン酸基含有化合物の具体例として
は、モノメチルフォスフェート、ジメチルフォスフェー
ト、モノエチルフォスフェート、ジエチルフォスフェー
ト、モノプロピルフォスフェート、ジプロピルフォスフ
ェート、モノイソプロピルフォスフェート、ジイソプロ
ピルフォスフェート、モノn−ブチルフォスフェート、
ジn−ブチルフォスフェート、モノ(2−エチルヘキシ
ル)フォスフェート、ジ(2−エチルヘキシル)フォス
フェート、モノn−デシルフォスフェート、ジn−デシ
ルフォスフェート、モノイソデシルフォスフェート、ジ
イソデシルフォスフェート、モノオレイルフォスフェー
ト、ジオレイルフォスフェート、モノイソステアリルフ
ォスフェート、ジイソステアリルフォスフェート、モノ
フェニルフォスフェート、ジフェニルフォスフェートな
どのリン酸エステル;モノ(2−エチルヘキシル)2−
エチルヘキシルホスホネート、モノメチルメチルホスホ
ネート、モノエチルエチルホスホネート、モノブチルブ
チルホスホネート、モノデシルデシルホスホネートなど
のホスホン酸エステルを挙げることができる。
【0038】特定のリン酸基含有化合物の使用割合とし
ては、銅イオン(II)1モルに対して、1〜10モルで
あることが好ましく、更に好ましくは1〜5モルとされ
る。特定のリン酸基含有化合物の使用割合が過少である
場合には、銅イオン(II)の分散性が低下する傾向があ
る。一方、この割合が過大である場合には、硬度などの
力学的特性に悪影響を及ぼすことがある。なお、銅イオ
ン(II)以外の金属イオンを合成樹脂中に含有させる場
合には、当該金属イオンの使用量に応じて、特定のリン
酸基含有化合物の使用割合を増加させることが好まし
い。
【0039】<アクリル系樹脂>特定のリン酸基含有化
合物を使用して合成樹脂中にリン酸基を含有させる場合
において、当該合成樹脂はアクリル系樹脂であることが
好ましい。斯かるアクリル系樹脂を得るために使用され
る単量体の具体例としては、メチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタク
リレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタク
リレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタク
リレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、
イソデシルメタクリレート、n−ラウリルアクリレー
ト、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルアクリレ
ート、トリデシルメタクリレート、n−ステアリルアク
リレート、n−ステアリルメタクリレート、イソボニル
アクリレート、イソボニルメタクリレート、メトキシエ
チルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エ
トキシエチルアクリレート、エトキシエチルメタクリレ
ート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチ
ルメタクリレートなどを挙げることができ、これらは、
単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることがで
きる。これらのうち、特定のリン酸基含有化合物と銅イ
オン(II)との錯体の溶解性の高い重合体を得ることが
できることから、t−ブチルアクリレート、t−ブチル
メタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレート、イソボニルアクリレ
ート、イソボニルメタクリレートが好ましい。また、ア
クリル系樹脂を得るための単量体として、上記の単官能
アクリレート類または単官能メタクリレート類ととも
に、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール
ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレ
ート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、2,
2−ビス〔4−メタクリロキシエトキシフェニル〕プロ
パン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペン
タエリトリットトリメタクリレート、ペンタエリトリッ
トテトラアクリレートなどの多官能アクリレート類およ
び多官能メタクリレート類を使用してもよく、多官能ア
クリレート類および/または多官能メタクリレート類を
使用することにより、最終的に得られる光学フィルター
の機械的特性を向上させることができる。
【0040】<緑色領域吸収物質>本発明の光学フィル
ターには、銅イオン(II)と共に、緑色乃至青緑色領域
の光(450〜600nm)を選択的に吸収することの
できる金属イオンおよび/または着色物質(以下、これ
らを「緑色領域吸収物質」ともいう。)が含有されてい
る。
【0041】緑色領域吸収物質が含有されていることに
より、本発明の光学フィルターは、銅イオン(II)が含
有されているにも関わらず、無彩色に近い状態(彩度=
0〜12)を呈するものとなる。ここで、「彩度」と
は、L* * * 表色系〔CIE(国際照明委員会)
1976(L* * * )色空間〕に基いて測定される
* およびb* の値から、下記数式に従って求められる
値をいう。また、a* およびb* は、それぞれ色相およ
びその度合いを示す。
【0042】
【数1】C* =〔(a* 2 +(b* 2 0.5
【0043】斯かる緑色領域吸収物質としては、青色領
域および赤色領域の光の吸収せず、緑色乃至青緑色領域
の光(450〜600nm)を選択的に吸収し、好まし
くは、波長500〜550nmに吸収ピークを有する金
属イオンおよび着色物質の中から選択される。
【0044】緑色領域吸収物質として好適に使用するこ
とのできる金属イオンとしては、コバルトイオン(II)
を挙げることができる。コバルトイオン(II)を合成樹
脂中に均一に分散含有させる方法としては、銅イオン
(II)を分散含有させる方法と同様の方法、すなわち、
〔1〕コバルトイオン(II)を保持する単量体(例え
ば、上記のリン酸基含有単量体)を重合させる方法、
〔2〕コバルトイオン(II)を保持する単量体と、これ
と共重合可能な単量体とを共重合させる方法、〔3〕コ
バルトイオン(II)を保持する化合物(例えば、上記の
リン酸基含有化合物)の存在下で、単量体を重合させる
方法、〔4〕コバルトイオン(II)を保持する化合物
を、重合体(例えば、上記のリン酸基含有共重合体)中
に混練分散させる方法などを挙げることができる。緑色
領域吸収物質として、コバルトイオン(II)などの金属
イオンを使用する場合には、得られる光学フィルターが
良好な耐候性を有するものとなるので好ましい。
【0045】また、上記のリン酸基含有共重合体よりな
る合成樹脂中にコバルトイオン(II)を含有させる方法
としては、〔1〕特定のリン酸基含有単量体と共重合性
単量体とからなる混合単量体中に、コバルトイオン(I
I)を、例えばコバルト化合物の形態で添加し、得られ
る単量体組成物を重合処理する方法、〔2〕リン酸基含
有共重合体を加熱溶融させ、このリン酸基含有共重合体
中に、コバルト化合物を添加して混合する方法、〔3〕
リン酸基含有共重合体を有機溶剤に溶解させ、得られる
溶液中に、コバルト化合物を添加して混合する方法など
を挙げることができる。
【0046】コバルトイオン(II)の供給源であるコバ
ルト化合物としては、酢酸コバルト、ギ酸コバルト、安
息香酸コバルト、ナフテン酸コバルト、臭化コバルト、
塩化コバルト、硝酸コバルト、硫酸コバルトなどの無水
物、水和物を例示することができる。
【0047】緑色領域吸収物質として好適に使用するこ
とのできる着色物質としては、キノン系、キノリン系、
イミダゾール系、オキサゾリン系、フルギド系、ポリエ
ン系、アゾ系、インジコ系、ジフェニルメタン系、トリ
フェニルメタン系、ポリメチン系、ナフトキノン系など
の、450〜600nmの光を吸収することのできる染
料および有機色素などを挙げることができる。
【0048】緑色領域吸収物質である着色物質は、銅イ
オン(II)が含有されている合成樹脂、またはこれを得
るための混合単量体中に添加することにより当該合成樹
脂中に含有させることができる。
【0049】光学フィルター中における緑色領域吸収物
質の含有割合としては、銅イオン(II)の含有割合など
によっても異なり、緑色領域吸収物質が有機色素である
場合には、樹脂成分100質量部に対して、0.000
1〜0.1質量部であることが好ましく、更に好ましく
は0.0005〜0.01質量部とされ、緑色領域吸収
物質が金属イオンである場合には、樹脂成分100質量
部に対して、0.001〜1.00質量部であることが
好ましく、更に好ましくは0.01〜0.50質量部と
される。また、光学フィルターの製造方法の各段階にお
いて彩度を測定し、その測定値に基いて、緑色領域吸収
物質の含有割合(添加量)を調整することもできる。
【0050】<他の構成成分>本発明の光学フィルター
を構成する合成樹脂中には、銅イオン(II)および緑色
領域吸収物質のほかに、近赤外線のカット性能が損なわ
れず、得られる光学フィルターの彩度が12を超えない
範囲内で、緑色領域吸収物質として作用しないものを含
む他の金属イオンが含有されていてもよい。斯かる金属
イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、
カルシウムイオン、鉄イオン、マンガンイオン、マグネ
シウムイオン、ニッケルイオンなどを挙げることができ
る。
【0051】本発明の光学フィルターは、銅イオン(I
I)、緑色領域吸収物質および任意成分が合成樹脂中に
含有されてなるフィルター材料を、目的、用途に応じ
て、板状、円柱状、レンズ状などの形状に成形し、研磨
することにより製造することができる。
【0052】<本発明の光学フィルターの応用例>本発
明の光学フィルターは、その優れた光学特性(無彩色に
近い透明性を有し、近赤外線領域の光を効率的にカット
することができる特性)により、以下に示すような種々
の用途に適用することができる。
【0053】本発明の光学フィルターを、プラズマディ
スプレイ装置におけるパネルの前面板として用いること
により、当該パネルから照射される近赤外線を効率よく
カットすることができる。この結果、当該プラズマディ
スプレイ装置の周囲において、近赤外線に起因するリモ
コンの誤動作などを生じさせることはない。しかも、本
発明の光学フィルターは無彩色に近いことから、当該プ
ラズマディスプレイ装置のカラーバランスが損なわれる
ことはない。
【0054】本発明の光学フィルターは、白内障防止用
の眼鏡レンズとして好適に用いることができる。かかる
眼鏡レンズ(本発明の眼鏡レンズ)によれば、白内障発
症の原因である熱線や近赤外線から眼を確実に保護する
ことができる。しかも、本発明の光学フィルターは無彩
色に近いことから、自然光と同程度の色相を知覚するこ
とができる。
【0055】本発明の光学フィルターは、カメラの測光
部における受光素子(例えばシリコンフォトダイオード
からなる光電変換素子)のための視感度補正フィルター
として好適に用いることができる。ここに、本発明の光
学フィルターからなる『視感度補正フィルター』には、
受光素子に至る光路中に単独で配置される視感度補正フ
ィルターのほか、集光レンズなどが含まれるものとす
る。本発明の光学フィルターを搭載してなるカメラ(本
発明のカメラ)によれば、受光素子(シリコンフォトダ
イオード)への入射光を、実質的に可視領域の光に限定
することができ、この結果、正確な測光(露出操作)を
行なうことができる。
【0056】本発明の光学フィルターは、撮像装置にお
けるCCD(例えばシリコンフォトダイオードからなる
光電変換素子)のための視感度補正フィルターとして好
適に用いることができる。ここに、本発明の光学フィル
ターからなる『視感度補正フィルター』には、CCDに
至る光路中に単独で配置される視感度補正フィルターの
ほか、リッド、レンズおよび保護板などが含まれるもの
とする。また、CCDを搭載する撮像装置としては、例
えばビデオカメラ、デジタルカメラ、ボードカメラ、カ
ラースキャナ、カラーファックス、カラー複写機、カラ
ーテレビ電話装置などを挙げることができる。本発明の
光学フィルターを搭載してなる撮像装置(本発明の撮像
装置)によれば、CCD(シリコンフォトダイオード)
への入射光を、実質的に可視領域の光に限定することが
でき、この結果、正確な測光(露出操作)を行なうこと
ができ、しかも、赤色成分の再現およびカラーバランス
にも支障を来すことはない。
【0057】本発明の光学フィルターは、赤外線通信装
置(850〜950nmの光を媒体とする通信装置)が
使用される環境におけるノイズカットフィルターとして
好適に用いることができる。ここに、本発明の光学フィ
ルターからなる『ノイズカットフィルター』によって近
赤外線の発生源(例えば自動ドア、リモコン)からの赤
外線を遮断することにより、通信中におけるノイズの発
生を確実に防止することができる。
【0058】本発明の光学フィルターは、熱線吸収フィ
ルターとして、具体的には、家屋、ビル等の建築物にお
ける窓材、自動車、電車の車輛等の窓材、農業用などの
温室の透光部材、照明用カバーなどとして好適に用いる
ことができる。
【0059】本発明の光学フィルターは、光ファイバー
の構成材料として好適に用いることができる。また、本
発明の光学フィルターを光ファイバーの採光部に設けて
もよい。
【0060】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、以下において、「部」は「質量部」を意味する。
【0061】<実施例1>下記式(3)で表される特定
のリン酸基含有単量体13.4部と、下記式(4)で表
される特定のリン酸基含有単量体8.0部と、メチルメ
タクリレート28.1部と、n−ブチルメタクリレート
20.0部と、フェノキシエチルメタクリレート10.
0部と、ジエチレングリコールジメタクリレート20.
0部と、α−メチルスチレン0.5部とを十分に攪拌し
て混合して混合単量体を調製した。この混合単量体に、
無水安息香酸銅6.0部(混合単量体100部に対する
銅イオンの含有量が1.26部)と、酢酸コバルト4水
和物0.3部(混合単量体100部に対するコバルトイ
オンの含有量が0.071部)とを添加し、攪拌混合す
ることによって十分に溶解させ、銅イオン(II)および
コバルトイオン(II)が混合単量体中に溶解されてなる
単量体組成物を得た。
【0062】
【化5】式(3)
【0063】
【化6】式(4)
【0064】上記のようにして得られた単量体組成物
に、t−ブチルパーオキシピバレート2.0部を添加
し、当該単量体組成物をモールドに注入し、45℃で2
時間、50℃で2時間、50℃から60℃まで6時間、
60℃から80℃まで5時間、80℃から100℃まで
3時間、100℃で2時間と、順次異なる温度および昇
温速度で加熱して注型重合を行うことにより、銅イオン
(II)およびコバルトイオン(II)が含有されたリン酸
基含有共重合体よりなる厚さが2.0mmである本発明
の光学フィルター〔これを「フィルター(A)」とす
る。〕を得た。
【0065】<実施例2>酢酸コバルト4水和物の添加
量を0.5部(混合単量体100部に対するコバルトイ
オンの含有量が0.118部)に変更したこと以外は実
施例1と同様にして、本発明の光学フィルター〔これを
「フィルター(B)」とする。〕を得た。
【0066】<実施例3>酢酸コバルトに代えて500
nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料「ス
ミプラスト,RED H3G」〔住友化学工業(株)
製〕0.001部を添加したこと以外は実施例1と同様
にして、本発明の光学フィルター〔これを「フィルター
(C)」とする。〕を得た。
【0067】<実施例4>酢酸コバルトに代えて500
nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料「ス
ミプラスト,RED AS」〔住友化学工業(株)製〕
0.001部を添加したこと以外は実施例1と同様にし
て、本発明の光学フィルター〔これを「フィルター
(D)」とする。〕を得た。
【0068】<実施例5>メチルメタクリレート50.
0部と、イソボニルメタクリレート50.0部とを混合
して調製された混合単量体に、ジ(2−エチルヘキシ
ル)フォスフェート9.06部を添加して混合した。次
いで、この混合単量体に無水酢酸銅2.04部(混合単
量体100部に対する銅イオンの含有量が0.71部)
と、500nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤
色染料「スミプラスト,RED H3G」〔住友化学工
業(株)製〕0.0005部とを添加し、攪拌混合する
ことによって十分に溶解させ、銅イオン(II)および5
00nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料
が混合単量体中に溶解されてなる単量体組成物を得た。
このようにして得られた単量体組成物を用い、実施例1
と同様にして注型重合を行うことにより、本発明の光学
フィルター〔これを「フィルター(E)」とする。〕を
得た。
【0069】<実施例6>メチルメタクリレート50.
0部と、t−ブチルメタクリレート50.0部とを混合
して調製された混合単量体に、ジ(2−エチルヘキシ
ル)フォスフェート4.53部を添加して混合した。次
いで、この混合単量体に無水酢酸銅1.02部(混合単
量体100部に対する銅イオンの含有量が0.35部)
と、500nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤
色染料「スミプラスト,RED H3G」〔住友化学工
業(株)製〕0.0003部とを添加し、攪拌混合する
ことによって十分に溶解させ、銅イオン(II)および5
00nmに吸収ピークを有する合成樹脂着色用赤色染料
が混合単量体中に溶解されてなる単量体組成物を得た。
このようにして得られた単量体組成物を用い、実施例1
と同様にして注型重合を行うことにより、本発明の光学
フィルター〔これを「フィルター(F)」とする。〕を
得た。
【0070】<比較例1>酢酸コバルトを添加しなかっ
たこと以外は実施例1と同様にして、比較用の光学フィ
ルター〔これを「フィルター(g)」とする。〕を得
た。
【0071】
【表1】
【0072】<光学フィルターの評価> (1)分光透過率:本発明のフィルター(A)〜(F)
および比較用のフィルター(g)の各々について、25
0〜1200nmの波長域における分光透過率を分光光
度計「U−4000」〔(株)日立製作所製〕を用いて
測定したところ、何れのフィルターにおいても近赤外領
域および紫外線領域の光が効率よく吸収されていること
が認められた。また、本発明のフィルター(A)〜
(F)について測定された分光透過曲線には、波長52
0nmの付近に小さなバレーが認められた。なお、波長
250nm、400nm、500nm、520nm、5
50nm、600nm、700nm、1200nmにお
ける光線透過率を表2に示し、本発明のフィルター
(A)における分光透過曲線を図1に示す。
【0073】(2)彩度:色彩色差計「CR−300」
〔ミノルタカメラ(株)製〕を用いて、L* **
色系に基いてa* およびb* を測定した。ここで、a*
およびb* は、それぞれ色相およびその度合いを示し、
* およびb* の値がそれぞれ0に近いほど無色に近い
ことを示す。また、上記数式に従って、彩度C* を求め
た。この彩度C* の値が0〜12の場合には、無色乃至
淡色に感じられ、12〜30の場合には、中程度の濃色
に感じられ、30を超える場合には非常に濃い色に感じ
られる。結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、銅イオン(II)が含有
されているにも関わらず、自然光と同程度の色相を知覚
することができる無彩色に近い光学フィルターを提供す
ることができる。本発明の光学フィルターは、近赤外線
を効率的にカットすることができ、近赤外線カットフィ
ルターとして好適である。本発明の光学フィルターは、
カラーバランスに優れ、プラズマディスプレイの前面板
および眼鏡レンズ材料などとして好適に用いることがで
きる。
【0076】本発明のプラズマディスプレイ装置によれ
ば、その周囲において、近赤外線に起因するリモコンの
誤動作などを生じさせることはない。しかも、本発明の
プラズマディスプレイ装置は、良好なカラーバランスを
有している。本発明の眼鏡レンズによれば、白内障発症
の原因である熱線、近赤外線から眼を保護することがで
きる。しかも、本発明の眼鏡レンズは無彩色に近いこと
から、自然光と同程度の色相を知覚することができる。
本発明のカメラによれば、受光素子への入射光を実質的
に可視領域の光に限定することができ、正確な測光(露
出操作)を行なうことができる。本発明の撮像装置によ
れば、CCDへの入射光を実質的に可視領域の光に限定
することができ、この結果、正確な測光(露出操作)を
行なうことができ、しかも、赤色成分の再現性にも優れ
ている。本発明の赤外線通信環境整備装置によれば、通
信中におけるノイズを確実に防止することができる。本
発明の熱線吸収フィルターによれば、室内等における温
度上昇を確実に抑制することができる。本発明の光ファ
イバーによれば、当該光ファイバーにより導かれて放射
される光の中に熱線(近赤外線)が殆ど含まれないの
で、光の放射部位付近(装置内・室内)における温度上
昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルターについての分光透過曲線図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08F 30/02 C08F 30/02 299/02 299/02 C08L 43/02 C08L 43/02 (72)発明者 荻原 武男 福島県いわき市錦町中迎2−3−6

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂中に銅イオン(II)が含有され
    てなり、彩度が0〜12であることを特徴とする光学フ
    ィルター。
  2. 【請求項2】 銅イオン(II)と、 波長450〜600nmの光を吸収することのできる金
    属イオンおよび/または着色物質とが合成樹脂中に含有
    されてなり、 彩度が0〜12であることを特徴とする光学フィルタ
    ー。
  3. 【請求項3】 銅イオン(II)と、 波長500〜550nmに吸収ピークを有し、波長45
    0〜600nmの光を吸収することのできる金属イオン
    および/または着色物質とが合成樹脂中に含有されてな
    り、 彩度が0〜12であることを特徴とする光学フィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 金属イオンとしてコバルトイオン(II)
    が含有されていることを特徴とする請求項3に記載の光
    学フィルター。
  5. 【請求項5】 下記式(1)で表されるリン酸基含有単
    量体およびこれと共重合可能な単量体を共重合して得ら
    れるリン酸基含有共重合体から合成樹脂が構成されてい
    ることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れかに記載
    の光学フィルター。 【化1】
  6. 【請求項6】 下記式(2)で表されるリン酸基含有化
    合物が含有されていることを特徴とする請求項1〜請求
    項4の何れかに記載の光学フィルター。 【化2】
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6の何れかに記載の光
    学フィルターがパネルの前面板として配置されてなるこ
    とを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項6の何れかに記載の光
    学フィルターからなることを特徴とする白内障防止用の
    眼鏡レンズ。
  9. 【請求項9】 受光素子のための視感度補正フィルター
    として、請求項1〜請求項6の何れかに記載の光学フィ
    ルターが搭載されていることを特徴とするカメラ。
  10. 【請求項10】 CCDのための視感度補正フィルター
    として、請求項1〜請求項6の何れかに記載の光学フィ
    ルターが搭載されていることを特徴とする撮像装置。
  11. 【請求項11】 ノイズカットフィルターとして、請求
    項1〜請求項6の何れかに記載の光学フィルターが搭載
    されていることを特徴とする赤外線通信環境整備装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜請求項6の何れかに記載の
    光学フィルターからなることを特徴とする熱線吸収フィ
    ルター。
  13. 【請求項13】 請求項1〜請求項6の何れかに記載の
    光学フィルターからなることを特徴とする光ファイバ
    ー。
  14. 【請求項14】 請求項1〜請求項6の何れかに記載の
    光学フィルターが採光部に設けられていることを特徴と
    する光ファイバー。
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