JPH10211179A - 電極装置および電極装着方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】患者の大きさに応じて迅速に装着できるＥＣＧ
測定装置用の安価な電極装置を提供する。 【解決手段】患者の胸部に設置する電極を備えた配線束
または紐帯を採用している。紐帯は、絶縁膜から作ら
れ、一つの端部にＥＣＧ測定装置に接続するためのコネ
クタ端子を備えている。コネクタ端子から複数のリード
が膜内に形成され、患者の皮膚に接触する電極と接続す
る。電極の幾つかは、同じリードに接続されるが、紐帯
上では互いに離して設けられ、患者の大きさに応じて選
択して設置できるようになっている。粘着層が患者の胸
部に接着する側に設けられ、分離できる裏打ち層が粘着
層と電極を覆っている。患者の大きさに応じて裏打ち層
の一部を剥離して該大きさに応じた電極のみを露出させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は一般的には、心電図
測定を行うためのセンサに関するものであり、詳細には
測定のための電極を患者に迅速かつ正確に装着できるよ
うにする配線束すなわち紐帯を備えた電極装置に関す
る。

【０００２】

【従来技術】患者の心臓の動作に関する情報を得るに
は、いつも心電図測定（「ＥＣＧ」）が行われる。通
常、技士がセンサを患者の胸部に設置する。センサは、
患者の皮膚に接着させるだけでなく、電気伝導性をも得
るための粘着性ゲルを有する電極である。技士はＥＣＧ
モニタからのリードを各電極パッドの端子に留める。技
士は電圧差を監視して患者の心臓の状態を示すチャート
を得る。

【０００３】電極パッドを所定の解剖学的位置に正確に
設置することが重要である。これらの位置は、多様な患
者にわたるＥＣＧ測定結果に適切な類似性を与えるよう
に決められてきた。しかし、患者の大きさが多様なため
この設置は困難な仕事になっている。通常、６個の電極
パッドを設置し、リードに留めなければならない。更
に、技士は正しいリードを正しい電極パッドに慎重に留
めなければならない。

【０００４】ＥＣＧ測定用センサを正しく設置し得るに
は熟練と注意とが必要である。これは緊急事態中には更
に困難な仕事になる。たとえば、救急車内でまたは携帯
ＥＣＧ装置を用いて現場で行われるＥＣＧ測定は、非常
に有益であるが、このような重大事には、電極パッドを
正しく且つ迅速に装着し、装置に接続することは困難な
仕事である。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従来技術の特許は、Ｅ
ＣＧ測定を行いやすくするための多様な装置を示してい
る。一般にこれら装置は、電極が紐帯の端部のコネクタ
端子に予め結線されている或る種の紐帯すなわち配線束
を備えている。電極パッドをコネクタ端子に予め接続し
ておくと技士が不注意にリードを切り替える機会が減
る。また、幾つかの装置は、電極を所要解剖学的位置の
汎用的近辺に設置している。しかし、患者の大きさの相
違のため、多様な大きさのこれら紐帯を手元に準備して
おく必要がある。散見される装置は、高価であるように
思える。いろいろな理由で、このような予め結線された
紐帯は普通使用されていない。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明では、患者の胸部
に設置するのに配線束すなわち紐帯を採用している。紐
帯は、絶縁膜から作られ、一つの端部にＥＣＧ測定装置
に接続するためのコネクタ端子を備えている。複数のリ
ードすなわち線路が膜内に形成され、コネクタ端子から
延長している。リードは、紐帯内に形成され患者の皮膚
に接触する電極とコネクタ端子とを接続する。電極の幾
つかは、同じリードに接続されるが、紐帯上では互いに
離して設けられ、大きさの異なる患者にも設置できるよ
うになっている。粘着層が患者の胸部に接着するための
裏側に設けられ、裏打ち層が粘着層と電極を覆ってい
る。

【０００７】裏打ち層は別々の剥離帯に分割されてい
る。幾つかの剥離帯が、電極の組を覆っており、各組
は、特定の患者の大きさに対するパターンを成してい
る。技士は剥離帯の或る一つを選択して除去し、他を保
持することができる。剥離帯を部分的に除去することに
より電極の幾つかだけを露出させ、他を覆っておくこと
ができる。露出するように選択された電極は、特定の患
者に最も良く適合するものである。これにより、紐帯を
色々な大きさの患者に使用できる。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１において、配線束11は、ＥＣ
Ｇ患者に設置するための細長い柔軟な装置である。配線
束11は、絶縁性の、薄い、柔軟な膜の紐帯13を備えてい
る。紐帯13には、斜行部分13bに接合する横行部分13aが
ある。斜行部分13bには、頭首部分13cが接続され、該頭
首部分13cから端子部分13dが頭首部分13cに対して90°
の角度で突出している。端子部分13dは、その端に、概
略図示してあり、ＥＣＧモニタのコネクタに接続するよ
うになっているコネクタ端子15を備えている。

【０００９】図示した実施例では、三つの電極V1、V2、
およびV3から成る電極組１７がある。電極組１７は、端
子部分13dに最も近い位置にある。測定をおこなってみ
ると、患者の胸部の大きさに拘らず、これら電極はほぼ
所要解剖学的位置に位置するようにできることがわかっ
ている。別々のリード19がコネクタ端子13dから各電極V
1、V2、およびV3まで延びている。リード19は、紐帯13
にスクリーン印刷された、銀/塩化銀のような、導電性
インクから作られている。各電極V1、V2、およびV3は、
互いに他の電極から電気的に絶縁されている。絶縁性裏
打ち層21は、紐帯13の裏側に固定されて裏打ち層21が剥
離されるまで電極が露出しないようにしている。図示し
た実施例では、裏打ち層21は、各々が電極17の一つを覆
う別々の三つの円形剥離片から構成されている。

【００１０】また複数の別の電極が、紐帯13の一般には
横行部分13aに、設けられている。これら電極は、三つ
のV4電極23、25、および27である。各内側電極23、25、
27は、コネクタ端子15に戻る同じリード29により共に電
気的に接続されている。三つのV4電極23、25、および27
はコネクタ端子15から互いに異なる距離離れて設置され
ている。電極23は、電極25より端子部分13dに近く、電
極25は電極27より端子部分13dに近い。

【００１１】図２において、電極23は、導電性膜31と導
電膜31の裏面の導電性ゲル33を備えている。膜31は、好
適に紐帯13の上に銀/塩化銀のような、導電性インクを
スクリーン印刷することにより導電性にされている。そ
れはリード29と同じ仕方で形成される。導電性ゲル33は
好適に患者の皮膚に接着するための粘着剤でもある。絶
縁皮膜（図示せず）は電極31の前側の他にリード19をも
覆うことになる。電極組17ばかりでなく、他のすべての
電極も、電極23と同じ仕方で構成されている。

【００１２】同様に、三つのV5電極35、37、および39が
紐帯13に設置されている。中間電極35、37、39はすべて
端子15から内側電極23、25、27より遠くに設置されてい
る。電極35は、電極37より端子15に近く設置され、電極
37は電極39より端子15に近い。中間電極35、37、39はす
べてコネクタ端子15まに延びている同じリード41に接続
されている。

【００１３】同じ仕方で、三つのV6電極43、45、47が中
間電極35、37、39より更に外側で紐帯13に形成されてい
る。電極43は、電極45より端子15に近く設置され、電極
45は電極47より端子15に近い。外側電極43、45、47は各
々、コネクタ端子15まで延びている同じリード48に接続
されている。

【００１４】再び図２を参照すると、紐帯13の裏側は導
電性ゲル33を囲む粘着剤層49で被覆されている。裏打ち
層は、使用するまで粘着剤層49を取り囲んでいる。裏打
ち層は、剥離式で、やはり図１に図示されている三つの
区画すなわち帯域51、53および55を備えている。大きい
患者用帯域51は、一組の電極を覆い、その組は、V4電極
27、V5電極39、およびV6電極47から構成されている。引
きタブ57は、大用剥離帯裏打ち層51を剥離して、大用の
電極組の三つの電極27、39、および47だけを露出できる
ようにする。

【００１５】同様に、並みの患者の帯域53は、電極25、
37、および45から成る組だけを覆っている。この帯域も
タブ57を有し、図３に示すように、中間帯層53を剥ぐこ
とができるようにしている。小さい患者用帯域の裏打ち
層55は、一組の電極23、35、および43だけを覆ってい
る。それを剥離して、他の組の電極のどれをも露出させ
ずにそれらの電極を露出させることができる。各組の電
極は、内側V4電極23、25、または27の一つと、中間V5電
極37、39、または41の一つと、外側V6電極43、45、また
は47の一つとを備えている。大きさに関係なく各患者に
使用される他の三つの電極は、孤立したV1、V2、および
V3電極から成る電極組17である。

【００１６】使用にあたり、技士は患者を検査して正し
い大きさを決定する。患者が並みの大きさであれば、技
士は裏打ち層53および各裏打ち層21を剥ぐ。これにより
V1、V2、およびV3電極が露出し、並用電極25、37、およ
び45が露出する。これら電極は、並の大きさの患者につ
いてほぼ位置決めされている。技士は次に、紐帯13を所
定位置に保持する粘着剤層49およびゲル33で紐帯13を患
者の胸部に設置する。技士は、コネクタ端子15をモニタ
に接続し、ＥＣＧ測定を行う。通常配線束11を、各使用
後に処分する。大、および小の患者に対しても同じ手順
に従い、裏打ち層51または裏打ち層55を除去する。

【００１７】以上、実施例について説明したが、本願発
明の範囲を知る助けとするため、以下に本発明の実施態
様を例示する。 （実施態様１）患者の胸部に設置してＥＣＧ測定を行う
ための装置において、一つの端部にＥＣＧ測定装置に接
続するためのコネクタ端子（15）を有する絶縁膜の紐帯
（13）、前記紐帯（13）上に形成され、コネクタ端子
（15）から延長している複数のリド（19）、紐帯上にあ
り、配列を成して間隔を置いて設置され、第１の大きさ
の範囲の患者の皮膚に接触するための第１の組の電極で
あって、その各々が別々のリード（29、41、48）に電気
的に接続されている第１の組の電極（23、35、43）、紐
帯上にあり、配列を成して間隔を置いて設置され、第２
の大きさの範囲の患者の皮膚に接触するための第２の組
の電極であって、その各々が別々のリード（29、41、4
8）に電気的に接続されている第２の組の電極（25、3
7、45）、前記紐帯および前記電極の裏側を覆い、個別
に分離された剥離帯（51、53、55）を有する裏打ち層
（51、53、55）、とを備え、第１の組の電極（23、35、
43）の少なくとも幾つかは、第２の組の電極（25、37、
45）の対応するものと同じリード（29、41、48）に電気
的に接続され、前記対応するものから離れていて別の大
きさの患者に接続されるようにされ、一の前記剥離帯を
除去して他の剥離帯を保持し、所定の大きさの範囲の患
者に対する電極のみを露出させ得る、ことを特徴とする
電極装置。

【００１８】（実施態様２）前記剥離帯の一つ（55）
は、第１の組の電極（23、35、43）を覆い、前記剥離帯
の他の一つ（53）は、第２の組の電極（25、37、45）を
覆っていることを特徴とする実施態様１記載の電極装
置。 （実施態様３）前記第１の組の電極（23、35、43）の各
々は、前記第２の組の電極（25、37、45）の対応する一
つと同じリード（29、41、48）に電気的に接続されてお
り、更に、紐帯（13）に、各々がリード（19）の別々の
一つに接続されている、患者の皮膚に接触するための、
複数の孤立電極（V1、V2、V3）、を備えていることを特
徴とする実施態様１記載の電極装置。 （実施態様４）更に、紐帯上にあり、配列を成して間隔
を置いて設置され、第３の大きさの範囲の患者の皮膚に
接触するための第３の組の電極であって、その各々が別
々のリード（29、41、48）に電気的に接続され、第１の
組の電極（23、35、43）の対応する一つおよび第２の組
の電極（25、37、45）の対応する一つに電気的に接続さ
れている第３の組の電極（27、39、47）を備えているこ
とを特徴とする実施態様１記載の電極装置。

【００１９】（実施態様５）更に、紐帯の裏側に、患者
の胸部に接着するための粘着層（49）を備え、粘着層は
使用するまで裏打ち層（51、53、55）で覆われているこ
とを特徴とする実施態様１記載の電極装置。 （実施態様６）第１の組の電極（23、35、43）の各々に
は、第２の組の電極（25、37、45）の中に、それと電気
的に共通の対応する一つの電極があることを特徴とする
実施態様１記載の電極装置。 （実施態様７）前記各組の電極は、前記剥離帯（51、5
3、55）の別々の一つにより覆われていることを特徴と
する実施態様１記載の電極装置。 （実施態様８）前記各組の電極は、外側電極（43、45、
47）および内側電極（23、25、27）を有し、該各組の外
側電極は、互いに対応し且つ電気的に共通であり、該各
組の内側電極は、互いに対応し且つ電気的に共通であ
り、各組の外側電極は、該各組の内側電極より、コネク
タ端子（15）から遠くに設置されていることを特徴とす
る実施態様１記載の電極装置。

【００２０】（実施態様９）前記各組の電極は、外側電
極（43、45、47）、中間電極（35、37、39）、および内
側電極（23、25、27）を有し、各組の外側電極は、互い
に対応し且つ電気的に共通であり、各組の中間電極は、
互いに対応し且つ電気的に共通であり、各組の内側電極
は、互いに対応し且つ電気的に共通であり、一の前記組
の外側、中間、および内側の各電極は、それぞれ別の前
記組の外側、中間、および内側の各電極より、端子（1
5）に近く設置されていることを特徴とする実施態様１
記載の電極装置。

【００２１】（実施態様１０）ＥＣＧセンサを患者の胸
部に設置する方法において、一つの端部にコネクタ端子
（15）の付いた絶縁膜の紐帯（13）、前記紐帯に形成さ
れ、コネクタ端子から延長している複数のリード（1
9）、および紐帯に固定され、リードに電気的に接続さ
れている複数の電極（V4、V5、V6）を、該電極の幾つか
を患者の大きさの違いに対して別々のパターンを有する
組（23、35、47；27、39、47）にし、各組の電極の各々
が、他の組の対応する電極と電気的に共通であるように
して準備するステップ、別々の剥離部分に分割されて前
記電極を覆う裏打ち層（51、53、55）を設けるステッ
プ、端子（15）をＥＣＧモニタに接続するステップ、お
よび患者の大きさに基づき、前記剥離部分を選択的に除
去して一の組の電極を露出させ、裏打ち層を他の電極の
組の上に保持しながら前記紐帯を患者に設置するステッ
プ、とを備えていることを特徴とする電極装着方法。

【００２２】

【発明の効果】本発明には多くの長所がある。技士が患
者にたいして迅速にＥＣＧ測定の準備ができるようにな
る。またリードの切り替えや電極の不良設置が回避され
る。交替電極により単一紐帯を大きさの異なる患者に使
用することができるので在庫費用が減少する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にしたがって構成されたＥＣＧ配線束を
示す、部分概略立面図である。

【図２】図１の線２−２で切った図１の配線束の厚さ誇
張拡大断面図である。

【図３】裏打ち層の中間帯を除去して示す、図１の配線
束の裏側の部分立面図である。

【符号の説明】

11 配線束 13 紐帯 15 コネクタ端子 17 電極 19 リード 23 電極 27 電極 31 膜 33 ゲル 51 裏打ち層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】患者の胸部に設置してＥＣＧ測定を行うた
   めの装置において、 一つの端部にＥＣＧ測定装置に接続するためのコネクタ
   端子を有する絶縁膜の紐帯、 前記紐帯上に形成され、前記コネクタ端子から延長して
   いる複数のリード、 前記紐帯上にあり、配列を成して間隔を置いて設置さ
   れ、第１の大きさの範囲の患者の皮膚に接触するための
   第１の組の電極であって、その各々が別々の前記リード
   に電気的に接続されている第１の組の電極、 前記紐帯上にあり、配列を成して間隔を置いて設置さ
   れ、第２の大きさの範囲の患者の皮膚に接触するための
   第２の組の電極であって、その各々が別々の前記リード
   に電気的に接続されている第２の組の電極、 前記紐帯および前記電極の裏側を覆い、個別に分離され
   た剥離帯を有する裏打ち層、 とを備え、 第１の組の電極の少なくとも幾つかは、第２の組の電極
   の対応するものと同じリードに電気的に接続され、前記
   対応するものから離れていて別の大きさの患者に接続さ
   れるようにされ、 一の前記剥離帯を除去して他の剥離帯を保持し、所定の
   大きさの範囲の患者に対する電極のみを露出させ得る、 ことを特徴とする電極装置。