JPH10205658A - 地中埋設用合成樹脂管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロケーティングワイヤなどを用いないでも地
中埋設用合成樹脂管の地表からの位置検出を容易に行え
るようにする。 【解決手段】 地中埋設用合成樹脂管１は、電気絶縁性
のＰＥ層２の内表面に導電性ＰＥ層３を形成する。地中
埋設用合成樹脂管１を電気溶融法などによって融着する
際には、内表面の導電性ＰＥ層３も融着し、地中埋設用
合成樹脂管１同士の電気的接続が機械的な接合と同時に
行われる。導電性ＰＥ層３に交流電流を流せば周囲に発
生する磁界を地表から検出して位置検出を行うことがで
きる。また地表から地中探査レーダを用いて位置探査を
行う際に、導電性ＰＥ層からの電波反射強度が大きくな
るので、容易に位置検出を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、ガス管などとして
用いられるポリエチレン（以下「ＰＥ」と略称する）管
などの地中埋設用合成樹脂管に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、都市ガスを最終需要者に供給
するために地中に埋設される比較的小口径の管として
は、ＰＥなどの合成樹脂製管が用いられている。このよ
うな地中埋設管は、道路などの公共的な土地の地下に埋
設されることが多い。一旦埋設された後は長年にわたっ
て使用され、その間に埋設されている場所付近で地面を
掘削する工事が行われることもある。地中埋設管を敷設
してから長時間が経過すると、敷設工事の際の記録類が
失われたりして、埋設管の正確な埋設位置を知ることが
困難になる。

【０００３】地表面から地中埋設管の位置探査を行う方
法としては、従来から、地中埋設管の位置探査には、地
中埋設管に沿って交流電流を流し、周囲に発生する磁場
の強度を地表から検出し、検出される磁場の強度が最大
となる位置の下方に埋設管が敷設されていると判断す
る。ＰＥ管は、電気絶縁性の合成樹脂であるＰＥを材料
としているので、単に管を地中に埋設している状態では
導電性がなく、たとえば特開平４−１８４１８８などに
開示されているように、ロケーティングワイヤとも呼ば
れる導電線をＰＥ管に添わせたりしてＰＥ管と同時に敷
設しておく必要がある。また地中埋設管の位置探査に
は、たとえば実開平５−６９６９１に開示されているよ
うな地中探査レーダを用いる方法もある。地中埋設管の
位置を正確に検出することが必要なのは、埋設位置の近
傍で地面を掘削する工事を行う際に地中埋設管に損傷を
与えないようにするためである。特にＰＥ管などは、掘
削用の工具で破損し易いので、埋設位置を避けて工事を
行う必要があるからである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】地中埋設用合成樹脂管
を一旦地中に埋設した後、その位置検出を行うためにロ
ケーティングワイヤなどと呼ばれる金属ワイヤの導線を
地中埋設管に合わせて敷設しておき、交流電流を金属ワ
イヤに流して周囲に発生する磁場を検出する先行技術で
は、地中埋設管は金属ワイヤの位置検出を行って間接的
に位置検出が行われる。このため地中埋設管の敷設時に
は必ず金属ワイヤなどの導線を設置する作業が必要とな
る。金属ワイヤなどの導線には導電性被覆を用いてお
り、電流の流れ込みによる構造の劣化が起こり、耐久性
に問題がある。

【０００５】また、地中探査レーダによって位置検出を
行う方法は、レーダ電波を充分な強度で反射する必要が
あり、金属管に比べてＰＥ管では反射強度が弱いので、
位置検出が難しくなってしまう。

【０００６】本発明の目的は、簡単な作業で地中に埋設
することができ、地表からの位置検出が容易な地中埋設
用合成樹脂管を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、導電性合成樹
脂層を含むことを特徴とする地中埋設用合成樹脂管であ
る。本発明に従えば、地中埋設用合成樹脂管には導電性
合成樹脂層が含まれるので、交流電流を流して周囲に磁
場を発生させることができ、地表面から磁場の強度を検
出して位置検出を行うことができる。地中埋設管自体が
導電性を有するようになるので、金属ワイヤなどのロケ
ーティングワイヤを地中埋設管に沿って敷設する必要が
なく、金属埋設管の埋設作業を容易に行うことができ
る。

【０００８】また本発明で前記導電性合成樹脂層は、金
属メッシュを含む複合層であることを特徴とする。本発
明に従えば、地中埋設用合成樹脂管に含まれる導電性合
成樹脂層は金属メッシュを含む複合層であるので、導電
性が改善されると同時に機械的強度も強化される。金属
がメッシュ状であるので、合成樹脂管の可撓性などの機
械的性質を維持しながら強度や耐久性を向上させること
ができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施の一形態に
よる地中埋設用合成樹脂管１の構成を示す。本実施形態
では、ＰＥ層２の内表面に導電性ＰＥ層３を設ける。こ
のような構造の地中埋設用合成樹脂管１は、たとえば内
側の導電性ＰＥ層３を一旦形成した後から外側のＰＥ層
２を形成するようにして製造したり、ＰＥ層２を従来の
ＰＥ管と同様に管として形成した状態で、内側に導電性
ＰＥ層３をライニングなどの方法で形成することもでき
る。

【００１０】図２は、図１に示す地中埋設用合成樹脂管
を電気溶融法によって接続する状態を示す。図２（１）
は、２本の地中埋設用合成樹脂管１をＥＦ継手４の軸線
方向両側から差し込んでいる状態を示す。ＥＦ継手４の
内部にはヒータ５が埋め込まれている。ＥＦ継手４の内
周面の中央付近にはストッパ６が設けられ、軸線方向の
両側から差し込まれる地中埋設用合成樹脂管１の端部間
には隙間が生じる。ヒータ５に通電し、ＥＦ継手４およ
び地中埋設用合成樹脂管１を溶融させて、機械的な接合
と同時に電気的な接合を行う状態を図２（２）に示す。
地中埋設用合成樹脂管１が溶融すると、端面同士もそれ
ぞれ押し出され、相互に接続される。この際に導電性Ｐ
Ｅ層３も接続され、２本の地中埋設用合成樹脂管１内部
で軸線方向に連なるようになる。

【００１１】図３は、図２に示すようして接合される部
分を含む地中埋設用合成樹脂管１の埋設位置を検出する
概略的な構成を示す。発信器８からは、たとえば２〜１
００ｋＨｚの交流電力が発生される。発信器８からの出
力は、接続ケーブル９を介して地中埋設用合成樹脂管１
に与えられる。地中埋設用合成樹脂管１に与えられる交
流電力に伴って地中埋設用合成樹脂管１に交流電流が流
れると、地表面の検出コイル１０によって磁場の変化と
して検出することができ、強度が最大となる位置の地中
に地中埋設用合成樹脂管１が埋設されていることが解
る。

【００１２】本実施形態では、金属ワイヤなどの導線を
地中埋設用合成樹脂管１に沿わせる必要はなく、そのよ
うなロケーティングワイヤ設置作業を省くことができ
る。またロケーティングワイヤなどの金属ワイヤは、導
電性被覆が用いられているけれども、電流の流れ込みで
構造の劣化が起こりやすい。本実施形態では、地中で長
時間にわたって埋設されていても、金属ワイヤなどを用
いる場合よりも耐久性が向上し、電流の流れ込みによる
構造の劣化を招くおそれを解消することができる。

【００１３】図４は、本発明の実施の他の形態による地
中埋設用合成樹脂管１１の概略的な構成を示す。本実施
形態の地中埋設用合成樹脂管１１は、ＰＥ層１２の外表
面に導電性塗料層１３を設け、外表面側に導電層を形成
している。導電性塗料層１３は、既存の地中埋設用合成
樹脂管の外部に塗装で形成することもできる。

【００１４】図５は、図４の実施形態の地中埋設用合成
樹脂管１１を地中に埋設し、地表から位置探査を行う構
成を簡略化して示す。本構成で図３に示す構成に対応す
る部分には同一の参照符を付し、重複した説明を省略す
る。本構成では、発信器８からの交流電力を、直接地中
埋設用合成樹脂管１１に与えるのではなく、結合コイル
１４を介して交流出力が伝達される。地中埋設用合成樹
脂管１１同士は電気的に接続されていなくても、交流電
流を流して磁場の変化による位置検出が可能となる。

【００１５】図６は、地中探査レーダ１５を用いて地中
埋設用合成樹脂管１１の埋設位置を検出する構成を示
す。地中探査レーダ１５の下部に設けられるアンテナ１
６から電波１７が地中に向けて送信され、地中埋設用合
成樹脂管１１で反射した電波を受信してその受信強度か
ら埋設位置を検出することができる。地中埋設用合成樹
脂管１１に導電性塗料層１３が設けられていると、電波
１７の反射強度が大きくなり、地中探査レーダ１５によ
って充分な位置検出を行うことができる。図１に示す実
施形態で、内表面に導電性ＰＥ層３が形成されている地
中埋設用合成樹脂管１についても、同様に地中探査レー
ダ１５による位置検出を行うことができる。

【００１６】図７は、本発明の実施のさらに他の形態に
よる地中埋設用合成樹脂管２１，３１の断面構成を示
す。図７（１）の地中埋設用合成樹脂管２１は、ＰＥ層
２２の内表面の導電性ＰＥ層２３内に金属メッシュ２４
を含む。図７（２）の地中埋設用合成樹脂管３１は、Ｐ
Ｅ層３２の外表面に設ける導電性塗料層３３内に金属メ
ッシユ３４を含む。導電性ＰＥ層２３や導電性塗料層３
３内に金属メッシユ２４，３４が含まれるので、導電層
の電気的な性質、特に導電性が向上する。また金属メッ
シユによって機械的にも補強されるので、地中埋設用合
成樹脂管２１，３１の耐久性は向上し、工事中の破損事
故を軽減することができる。特に内表面側に導電性ＰＥ
層２３を形成している図７（１）に示す地中埋設用合成
樹脂管２１では、図２に示すようなＥＦ継手４を用いる
接合によって、導電性ＰＥ層２３同士が電気的に接合さ
れ、地中埋設用合成樹脂管２１の軸線方向の大部分の長
さ範囲では金属メッシユ２４によって導電性が向上した
状態で、軸線方向にわたって複数の地中埋設用合成樹脂
管２１を通しての電気的接続を容易に行うことができ
る。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、本来は電
気絶縁性の地中埋設用合成樹脂管に電気絶縁性の合成樹
脂層を設けるので、地表面からの位置探査を容易に行う
ことができる。導電性合成樹脂層は地中埋設用合成樹脂
管に含まれるので、従来の地中埋設用合成樹脂管と同様
に地中に埋設するだけで、ロケーティングワイヤなどを
用いなくても位置検出を容易にする導電性を付与するこ
とができる。導電性合成樹脂層の物理的性質は地中埋設
用合成樹脂管の主成分である合成樹脂に近いので、長時
間にわたって地中に埋設されても信頼性が損なわれず、
安定して使用することができる。

【００１８】地中埋設用合成樹脂管の内表面に導電性合
成樹脂層を設ける場合は、地中埋設用合成樹脂管で広く
行われている電気溶融（略称ＥＦ）融着やバット融着な
どの既存の融着技術をそのまま適用することができ、耐
久性に富むＰＥなどの合成樹脂管の性質に変化を起こさ
ずにすますことができる。また既存の融着技術で地中埋
設用合成樹脂管を接合するだけで、同時に電気的接続も
行うことができ、さらに導電性合成樹脂層は外部の電気
絶縁性合成樹脂層で保護される形となるので、導電機能
の信頼性が飛躍的に向上する。

【００１９】地中埋設用合成樹脂管の外表面に導電性合
成樹脂層を設ける場合は、導電性塗料などを従来の地中
埋設用合成樹脂管の外表面に塗布するだけで容易に導電
性合成樹脂層を生成することができる。

【００２０】また本発明によれば、導電性合成樹脂層に
は金属メッシュが含まれて複合層が形成されるので、電
気的な導電性が改善されると同時に機械的な強度も向上
し、工事中の破損事故が生じる可能性を軽減することも
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態の概略的な構成を示す部
分的な斜視図である。

【図２】図１の実施形態の地中埋設用合成樹脂管１を電
気溶融融着法によって接合する状態を示す簡略化した断
面図である。

【図３】図１実施形態の地中埋設用合成樹脂管１を埋設
後、地表から磁界強度を検出しながら位置探査を行う構
成を示す簡略化した断面図である。

【図４】本発明の実施の他の形態による地中埋設用合成
樹脂管１１の部分的な斜視図である。

【図５】図４の実施形態の地中埋設用合成樹脂管１１を
地中に埋設して地表から位置検出を行う構成を示す簡略
化した断面図である。

【図６】図４の実施形態の地中埋設用合成樹脂管１１を
埋設した位置検出を地中探査レーダを用いて行う構成を
示す簡略化した断面図である。

【図７】本発明の実施のさらに他の形態としての地中埋
設用合成樹脂管２１，３１の構成を示す断面図である。

【符号の説明】

１，１１，２１，３１ 地中埋設用合成樹脂管路 ２，１２，２２，３２ ＰＥ層 ３，２３ 導電性ＰＥ層 ４ ＥＦ継手 ７ 融着部 ８ 発信器 ９ 接続ケーブル １０ 検出コイル １３，３３ 導電性塗料層 １４ 結合コイル １５ 地中探査レーダ １７ 電波 ２４，３４ 金属メッシュ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性合成樹脂層を含むことを特徴とす
   る地中埋設用合成樹脂管。
2. 【請求項２】 前記導電性合成樹脂層は、金属メッシュ
   を含む複合層であることを特徴とする請求項１記載の地
   中埋設用合成樹脂管。