JPH10202736A - プラスチックシートの冷間折曲げ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に擦過傷を生じさせることのないプラス
チックシートの冷間折曲げ装置を提供する。 【解決手段】 ブロック体からなる固定台盤と可動台盤
を、蝶番を介して両台盤の上面が互いに同一面となるよ
うに結合し、かつ可動台盤は固定台盤に対して互いに面
角度が０度から１８０度の角度範囲で回転するようにし
て、両台盤上面にはシート用ストッパーを前記可動台盤
の回転軸方向と直角の方向に各々スライド調節可能な状
態に設け、固定台盤上面には角度調節バーを植設する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ポリカーボネー
ト系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるプラスチック
シートの冷間折曲げ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、プラスチックシートを冷間で折曲
げ加工するには、例えば図４及び図５に示すように、雌
型（21）（31）の上にプラスチックシート（ｐ）を配置
して、その上から雄型（22）（32）を押し付けて折曲げ
るようにした、いわゆるプレス型方式の折曲げ装置が多
用されている。図４ではプラスチックシート（ｐ）を雌
型（21）の断面Ｖ字状の溝（21ａ）内に雄型（22）によ
り押付けて折曲げ加工するものであり、また図５ではプ
ラスチックシート（ｐ）を雌型（31）の断面Ｕ字状の溝
（31ａ）内に雄型（32）により押込んで折曲げ加工する
ものである。この場合、プラスチックシート（ｐ）のス
プリングバックの量を考慮して、雌型（21）の溝（21
ａ）の角度を所期の折曲げ角度より大きい折曲げ角度と
なるように選び、また雌型（31）に対する雄型（32）の
押込み量を所期の折曲げ角度より大きい折曲げ角度とな
るように選ぶ。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
冷間折曲げ装置では、折曲げに際し、プラスチックシー
ト（ｐ）を、折曲げの支点となる溝（21ａ）（31ａ）の
縁部（21ｅ）（31ｅ）で支え、かつこの上を滑らせなが
ら雌型（21）（31）に押付けないし押込みをすることと
なり、その結果プラスチックシート（ｐ）の表面に擦過
傷が生じ、折曲げ後の成形品の外観品質を著しく低下す
るという欠点がある。また、折曲げ装置の雌雄両型の相
互位置を確実にする必要があるために、構造が複雑で、
重量も大きくなり、しかも高価となるから作業コストも
高くなるという問題がある。

【０００４】この発明は、上記のような従来の問題点に
鑑み、表面に擦過傷を生じさせることのないプラスチッ
クシートの冷間折曲げ装置を提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的において、こ
の発明は、ブロック体からなる固定台盤と可動台盤と
が、両台盤の両側面に設けられた蝶番を介して両台盤の
上面が互いに同一面となるように結合され、かつ可動台
盤は固定台盤に対して互いに面角度が０度から１８０度
の角度範囲で回転するようになされており、前記両台盤
の上面には、シート用ストッパーが前記可動台盤の回転
軸方向と直角の方向に各々スライド調節可能な状態に、
両台盤上面の凹状レールに嵌め込まれた位置調節具を介
して設けられており、前記固定台盤の上面外方部には角
度調節バーが植設されていることを特徴とするプラスチ
ックシートの冷間折曲げ装置を要旨とする。

【０００６】この発明の冷間折曲げ装置に適用されるプ
ラスチックシートとしては、ポリカーボネート系樹脂、
ポリエステル系樹脂等からなる板状体であり、またポリ
カーボネート樹脂板では、樹脂基板に例えばアクリル樹
脂フィルム、弗素樹脂フィルム等の耐候性付与層を設け
たものも適用可能である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、この発明を、その実施の形
態を示す図面に従って説明する。

【０００８】図１において、（Ａ）はこの発明のプラス
チックシートの冷間折曲げ装置であり、（１）はブロッ
ク体からなる固定台盤、（２）は同じくブロック体から
なる可動台盤である。固定台盤（１）と可動台盤（２）
は、両台盤（１）（２）の両側面に設けられた蝶番
（３）を介して結合されている。

【０００９】前記蝶番（３）による結合は、両台盤
（１）（２）の上面（１ｓ）（２ｓ）が同一面（ｓ）と
なるように結合され、かつ前記可動台盤（２）は前記固
定台盤（１）に対して互いに面角度が０度から１８０度
の角度範囲で回転するようになされる。

【００１０】前記両台盤（１）（２）の上面（１ｓ）
（２ｓ）には、凹状レール（Ｕ1 ）（Ｕ2 ）が、前記可
動台盤（２）の回転軸方向と直角の方向に各２条ずつ設
けられており、さらに帯板状のシート用ストッパー（Ｓ
1 ）（Ｓ2 ）が、位置調節具（Ｖ1 ）（Ｖ2 ）を介して
設けられている。ここで、位置調節具（Ｖ1 ）（Ｖ2 ）
はボルトナットで構成され、その上端が前記シート用ス
トッパー（Ｓ1 ）（Ｓ2）に貫通状に取付けられ、下端
ナットを前記凹状レール（Ｕ1 ）（Ｕ2 ）内にスライド
張設可能な状態に嵌め込まれ、上端ナットにより引締め
て前記シート用ストッパー（Ｓ1 ）（Ｓ2 ）を固定する
ようになされている。そして、前記シート用ストッパー
（Ｓ1 ）（Ｓ2 ）は、両台盤（１）（２）に跨がってセ
ットされるプラスチックシート（Ｐ）が、折曲げの際に
移動しないように、その両端を抑えて規制する役目をす
るのであり、プラスチックシート（Ｐ）の寸法に応じ
て、規制位置を調節できるようになされている。

【００１１】また、固定台盤（１）の上面（１ｓ）外側
部に、角度調整バー（４）が植設されている。この角度
調整バー（４）は、可動台盤（２）が回転される際に、
これを支えることによって、前記両上面（１ｓ）（２
ｓ）の角度を所定の角度に規制するものであり、固定台
盤（１）に、例えばボルト様の構造とされて、昇降自在
に植設されている。なお、この場合、プラスチックシー
ト（Ｐ）のスプリングバック量を予め考慮して、前記角
度調整バー（４）の先端位置を定めるように調節するこ
とはいうまでもない。

【００１２】図２は、この発明の固定台盤（１）及び可
動台盤（２）の好ましい実施態様を示すもので、前記両
台盤（１）（２）を中空状の金属製ブロック体で構成す
る。このようにすると、装置全体が軽量化されるが、少
なくとも可動台盤（２）は、プラスチックシート（Ｐ）
に、その折曲げ抗力を上回る荷重が掛かる程度の重量を
有していることが望ましい。

【００１３】図３は、この発明の固定台盤（１）及び可
動台盤（２）の別の実施態様を示すもので、前記両台盤
（１）（２）の上面（１ｓ）（２ｓ）にクッション層
（Ｃ）を貼設したものである。このクッション層（Ｃ）
は、天然繊維または合成繊維からなる薄層の織布または
不織布、ゴム状フィルム等とするが、プラスチックシー
ト（Ｐ）がこれと接触し、擦れ合っても擦過傷を生じる
ことがないものであれば、前記材料に限定されない。

【００１４】この発明のプラスチックシートの冷間折曲
げ装置においては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエス
テル系樹脂等からなるプラスチックシートが好適に適用
されるが、このほか冷間成形可能なプラスチックシート
であれば、適用可能である。厚さについては、通常０．
５ｍｍ〜５．０ｍｍのものが好適に使用されるが、この
範囲の厚さに限定されるものではない。

【００１５】以上のように構成されたこの発明のプラス
チックシートの冷間折曲げ装置（Ａ）は、構造が単純で
あり、折曲げ操作が簡単でありながら、正確に折曲げ操
作を繰り返すことができるものである。

【００１６】そして、この発明のプラスチックシートの
冷間折曲げ装置（Ａ）を適用すれば、当該装置（Ａ）の
固定台盤（１）と可動台盤（２）に跨がってセットされ
るプラスチックシート（Ｐ）は、その両端がシート用ス
トッパー（Ｓ1 ）（Ｓ2 ）で抑えられ、折曲げの際に移
動することがなく、従来のように擦過傷が生ずるような
ことがない。さらに、この発明では前記両台盤（１）
（２）の上面（１ｓ）（２ｓ）にクッション層（Ｃ）を
貼設したものとすることができるから、前記従来の擦過
傷は完全に防止できる。

【００１７】従って、この発明のプラスチックシートの
冷間折曲げ装置により得られるプラスチックシートの折
曲げ加工品は、擦過傷を有しない、均一な折曲げ精度を
有する製品となる。

【００１８】

【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。

【００１９】固定台盤及び可動台盤として、アルミニウ
ム合金製の、縦１５０ｍｍ、横７００ｍｍ、高さ５０ｍ
ｍ、肉厚２．５ｍｍの角パイプ状の中空体を用意し、両
台盤上面の左右開口側に夫々幅２０ｍｍの凹状レール
を、中空軸方向に対し直角方向に形成した。

【００２０】ついで、図１に示すように、上記両台盤
を、蝶番を介して、互いに中空軸方向が平行で上面が同
一面となるように、かつ可動台盤は固定台盤に対して互
いに面角度が０度から１８０度の角度範囲で回転するよ
うに結合し、さらに上記両台盤の左右凹状レールに、ボ
ルトナットからなる位置調節具の下端を嵌込み、その上
端にシート用ストッパーをスライド調節可能な状態にし
て取付け、さらに固定台盤の上面外方部に角度調節バー
をネジ方式によって昇降自在となるように植設すして、
プラスチックシートの冷間折曲げ装置を完成した。

【００２１】上記プラスチックシートの冷間折曲げ装置
を用い、縦４０ｍｍ、横６００ｍｍ、厚さ１．０ｍｍの
透明のポリエステルシートを、折曲げ角度７５度に折り
曲げて、所期の折曲げ角度９０度の折曲げ加工品を得
た。

【００２２】上記で得られたポリエステルシートの折曲
げ加工品は、擦過傷が全く無いものであり、折曲げ部分
の仕上がりが均一で、透明性が十分に維持された外観品
質の優れたものであった。

【００２３】

【発明の効果】この発明は、以上のように、ブロック体
からなる固定台盤と可動台盤とが、両台盤の両側面に設
けられた蝶番を介して両台盤の上面が互いに同一面とな
るように結合され、かつ可動台盤は固定台盤に対して互
いに面角度が０度から１８０度の角度範囲で回転するよ
うになされており、前記両台盤の上面には、シート用ス
トッパーが前記可動台盤の回転軸方向と直角の方向に各
々スライド調節可能な状態に、両台盤上面の凹状レール
に嵌め込まれた位置調節具を介して設けられており、前
記固定台盤の上面外方部には角度調節バーが植設されて
いるものであるから、まず構造が単純であり、折曲げ操
作が簡単でありながら、正確に折曲げ操作を繰り返すこ
とができるという効果を有するものである。そして、プ
ラスチックシートを、その表面に擦過傷が無く、折曲げ
部分の仕上がりが均一な折曲げ加工品とすることがで
き、外観品質に優れたプラスチックシートの折曲げ加工
品を得ることができるという効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の冷間折曲げ装置の実施形態を示す一
部切欠斜視図である。

【図２】この発明の冷間折曲げ装置における固定台盤及
び可動台盤の実施態様を示す断面図である。

【図３】この発明の冷間折曲げ装置における固定台盤及
び可動台盤の別の実施態様を示す断面図である。

【図４】従来の折曲げ加工手段を示す断面図である。

【図５】従来の別の折曲げ加工手段を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

Ａ…この発明のプラスチックシートの冷間折曲げ装置 １…固定台盤 ２…可動台盤 ３…蝶番 ４…角度調節バー Ｃ…クッション層 Ｐ…プラスチックシート Ｓ1 、Ｓ2 …シート用ストッパー Ｖ1 、Ｖ2 …位置調節具

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ブロック体からなる固定台盤と可動台盤
   とが、両台盤の両側面に設けられた蝶番を介して両台盤
   の上面が互いに同一面となるように結合され、かつ可動
   台盤は固定台盤に対して互いに面角度が０度から１８０
   度の角度範囲で回転するようになされており、前記両台
   盤の上面には、シート用ストッパーが前記可動台盤の回
   転軸方向と直角の方向に各々スライド調節可能な状態
   に、両台盤上面の凹状レールに嵌め込まれた位置調節具
   を介して設けられており、前記固定台盤の上面外方部に
   は角度調節バーが植設されていることを特徴とするプラ
   スチックシートの冷間折曲げ装置。
2. 【請求項２】 固定台盤と可動台盤とが、中空状の金属
   製ブロック体からなるものである、請求項１に記載のプ
   ラスチックシートの冷間折曲げ装置。
3. 【請求項３】 固定台盤と可動台盤との上面にクッショ
   ン層が貼設されたものである、請求項１または請求項２
   に記載のプラスチックシートの冷間折曲げ装置。