JPH1020129A - 光ファイバの余長処理ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバの接続余長部分とそこから分離し
た分離心線部分とが同一の箇所に収納されるため、余長
収納作業時に、分離心線に誤って接触してしまうことな
どによって、心線の損傷、破断や損失の増加などの問題
が発生していた。 【解決手段】 光ファイバ１の接続余長を収納する余長
収納ケース５と、光ファイバ１から分岐された分離心線
３を収納する分離心線収納ケース６とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの接続
部において光ファイバの接続余長を収納する光ファイバ
の余長処理ケースに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバネットワークにおいて、分岐
や接続替えなどの目的で接続を行う際、将来の分岐、接
続替えや接続作業の失敗に備えて、接続部には光ファイ
バの接続余長をある程度の長さ設けるのが一般的であ
る。このため、接続部には、接続余長を収納するための
余長収納部が通常設けられている。このような余長収納
部の構造の一例を示したのが図４である。ここでは、光
ファイバテープを用いた加入者系光通信網においてコネ
クタによる接続を行う場合を例として挙げている。図４
において、（ａ）は、コネクタおよび接続余長を構成す
る変換心線１１を示したものであり、（ｂ）は変換心線
１１を余長収納部として構成されたケース１２に収納し
たときの状態を示したものである。

【０００３】変換心線１１は、ＪＩＳＣ５９８１に制定
されたような多心光コネクタであるＭＴコネクタ１３、
光ファイバテープを補強被覆したコード部１４、光ファ
イバテープを単心に分離する際の分岐点となる単心分離
部１５、光ファイバテープの各単心線を分離した分離心
線１６、および、プッシュプル方式でコネクタ接続を行
う際のＳＣ形光コネクタとなるＳＣコネクタプラグ１７
から構成されている。コード部１４はその長さが余裕を
持って設定されており、接続余長としての機能を果たす
ように構成されている。変換心線１１を実際の現地工事
に用いる際には、コネクタ接続したい多心の光ファイバ
コード１８の先端にＭＴコネクタ１９を設け、このＭＴ
コネクタ１９に、あらかじめ用意しておいた変換心線１
１を接続して、この変換心線１１をコネクタ接続のため
の接続部とする。具体的には、ＭＴコネクタ１９に変換
心線１１のＭＴコネクタ１３を接続し、コード部１４お
よび分離心線１６を図４（ｂ）に示すように巻いて、光
ファイバコード１８の先端部、ＭＴコネクタ１３および
１９とともにケース１２の内部に収納する。また、ケー
ス１２には、ＳＣコネクタプラグ１７が挿通可能なＳＣ
形コネクタアダプタ２０が設けられている。上記の例で
は、変換心線１１のコード部１４が接続余長とされてお
り、ケース１２の内部に巻かれて収納されている。そし
てケース１２は接続余長を収納する余長収納部としての
機能を果たしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
示したような余長収納部においては、接続余長の部分と
分離心線の部分とが同一の箇所に収納され、配線が雑然
としているため、例えば現地工事において接続余長を巻
いて収納する作業の際などに、誤配線の問題、あるいは
分離心線部分に誤って触れてしまうことによって、心線
の損傷、破断や損失の増加などの悪影響を与えてしまう
ような問題が発生していた。

【０００５】また、このような問題を回避するために、
分離心線の部分を補強コード化するなどして保護部材を
設けると、今度は、保護部材の設置に要する費用の面で
問題が生じていた。本発明は、以上のような事情に鑑み
なされたもので、光ファイバの接続部において光ファイ
バコードからそれぞれ分離された分離心線を保護し、か
つ接続余長の収納を同時に行うような光ファイバの余長
処理ケースの提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の光ファイバの余
長処理ケースでは、上記の課題を解決するために以下に
示すような手段を採用した。請求項１記載の光ファイバ
の余長処理ケースは、光ファイバの接続部において接続
余長を収納し、かつ、分離心線を保護するための光ファ
イバの余長処理ケースであって、光ファイバの接続余長
を収納する余長収納ケースと、光ファイバから分岐され
た分離心線を収納する分離心線収納ケースとを備えてな
ることを特徴とする。この光ファイバの余長処理ケース
には、光ファイバの接続余長を収納する余長収納ケース
と、光ファイバから分岐された分離心線を収納するため
の分離心線収納ケースとが備えられており、接続余長と
分離心線とが同一の箇所に収納されることがないため、
接続余長の部分が、接続作業や収納時に、分離心線に接
触してしまうことに起因する分離心線への悪影響を避け
ることができる。

【０００７】請求項２記載の光ファイバの余長処理ケー
スは、請求項１記載の光ファイバの余長処理ケースであ
って、余長収納ケースと分離心線収納ケースとが分離可
能とされていることを特徴とする。この光ファイバの余
長処理ケースは、余長収納ケースと分離心線収納ケース
とを分離することができるため、分離心線を分離心線収
納ケースに収納した状態で別の位置において余長収納作
業を行うことができる。そのため、単に、分離心線と接
続余長との収納箇所の分離によって余長収納作業時の分
離心線の保護が図られるだけでなく、余長収納の作業性
の向上も図られることとなる。

【０００８】請求項３記載の光ファイバの余長処理ケー
スは、請求項１または２記載の光ファイバの余長処理ケ
ースであって、余長収納ケースは、一辺がヒンジにより
結合され該ヒンジを中心として開閉自在とされた一対の
余長収納トレイにより構成され、これらの余長収納トレ
イは、それぞれの中心部に、これら余長収納トレイを嵌
合させた際同一軸線上に位置し、これら余長収納トレイ
を開いた状態において接続余長を８の字型に巻回可能な
余長処理部が設けられていることを特徴とする。この光
ファイバの余長処理ケースにおいては、ヒンジによって
結合された開閉自在な一対の余長収納トレイを嵌合させ
ることで余長収納ケースが構成されている。これらの余
長収納トレイを開いた状態で、それぞれの余長収納トレ
イの中心部に設けられた余長処理部に、接続余長を８の
字型に巻き付けることができ、さらに、この状態から、
余長収納トレイを閉じることで、余長収納ケース内部に
接続余長を収納することが可能である。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を、図１ないし図３に基づいて説明する。図１は、本発
明の光ファイバの余長処理ケース４を示した図である。
図に示すように、光ファイバの余長処理ケース４は余長
収納ケース５と分離心線収納ケース６とに分離可能とさ
れており、これらを結合する場合には、余長収納ケース
５の下部に設けられた固定用爪２１を、分離心線収納ケ
ース６に設けられた固定用穴２２に差し込む。

【００１０】分離心線収納ケース６は、図１に示すよう
な箱の一部を切り欠いた形状の部材で、矩形の底板３
１、前板３２、後板３３および側板３４、３５からな
り、後板３３および側板３４はその上部が切り欠かれて
いる。前板３２には、ＳＣ形光コネクタを構成するＳＣ
形コネクタアダプタ２４が設けられており、側板３５に
は、余長処理ケース４全体を、設置箇所において固定す
る場合に用いられる固定用金具２５が設けられている。
さらに、底板３１中央には光ファイバテープを巻回する
ことが可能な環状の余長処理環２６が設けられている。
一方、余長収納ケース５は、図２に示すように、開閉自
在な余長収納トレイ７、８によって構成されている。余
長収納トレイ７は底板４１、および側板４２、４３、４
４、４５からなり、余長収納トレイ８は底板４６、およ
び側板４７、４８４９、５０から構成されている。底板
４１中央には余長処理部９が、底板４６中央には余長処
理部１０が、それぞれ設けられており、また側板４５お
よび側板５０の中央には切り欠き部４５ａ、５０ａが設
けられている。また、側板４５および５０は、図示しな
いヒンジによって互いに連結され、このヒンジを中心と
して余長収納トレイ８を矢印Ａに示すような方向に回転
することが可能である。図２においては、余長収納トレ
イ７、８を開いたときの状態が示されているが、これら
を嵌合させたときには余長収納トレイ８は一点鎖線によ
って表したような位置に移動することとなる。また、余
長収納トレイ７、８嵌合時には、上段に余長収納トレイ
８が、下段に余長収納トレイ７が位置することとなり、
余長収納トレイ７の底板４１が余長収納ケースの底面と
なる。この底板４１の一部には図示しない開口部が設け
られており、光ファイバ等を分離心線収納ケース６に向
けて挿通することが可能となるように構成されている。
また、側板４４および４２には開口部２７、２８が設け
られている。

【００１１】通常、光ファイバの余長処理ケース４を工
場出荷する際には、テープ心線（ＭＴコネクタ付き）
と、このテープ心線の一端を切り裂いて単心分離しその
先端をコネクタ接続した分離心線３を、あらかじめ、光
ファイバの余長処理ケース４の内部に収納しておく。こ
のとき、分離心線収納ケース６に、先端がコネクタ接続
済みの分離心線３を収納しておき、また、テープ心線
は、上段の余長処理ケース５に設けられた余長処理部
９、１０に適宜巻回して収納しておく。以上の荷姿がユ
ニットとして接続現場に搬入される。接続現場におい
て、本発明を適用する際の手順は以下の通りである。な
お、ここで、光ファイバ１は４心からなる光ファイバテ
ープであり、必要に応じて補強被覆して光ファイバコー
ド化したものである。最初に、余長処理ケース４を余長
収納ケース５と分離心線収納ケース６とに分離してお
く。余長収納ケース５は開放状態にしておき、余長処理
ケース４からケース内にあって分離心線３に接続するテ
ープ心線５１を取り出す。光ファイバ１の端部は４心の
ＭＴコネクタ１ａが取り付けられており、ケース内のテ
ープ心線５１側のＭＴコネクタ５１ａと接続する。つい
で、テープ心線５１にＭＴ接続された光ファイバ１を余
長処理部９、１０に８の字型に巻き付ける。このときの
光ファイバ１およびテープ心線５１の状態は図２に示す
ようになる。光ファイバ１が接続余長として十分な長さ
巻き付けられたと考えられたら、この後、余長収納トレ
イ７、８を嵌合させることによって光ファイバ１の接続
余長２の収納が完了される。

【００１２】光ファイバ１と接続されたテープ心線５１
は、余長収納ケース５の底板４１に設けられた図示しな
い開口部を挿通されて分離心線収納ケース６内部に収納
される。このときの分離心線収納ケース６内部の状態を
上方から図示したのが図３である。分離心線収納ケース
６内にもテープ心線５１の余長が多少必要であり、その
分だけテープ心線５１が余長処理環２６に巻き付けられ
ている。テープ心線５１は、余長処理環２６に巻き付け
られ、必要な曲げ半径が保たれた状態で、その先端が切
り裂かれて単心に分離された４本の分離心線３とされて
いる。分離心線３のそれぞれの先端にはＳＣ形光コネク
タプラグが取り付けられており、このＳＣ形光コネクタ
プラグはＳＣ形光コネクタアダプタ２４のケース内部側
に嵌挿入され、外部から光プラグの接続が可能とされ
る。上記のように接続余長２およびテープ心線５１の収
納が完了したら、最後に、余長収納ケース５を分離心線
収納ケース６に固定する。開口部２８はこのとき分離心
線３を挿通させる役割を果たす。

【００１３】余長処理ケース４においては、上記のよう
な作業を行う際にも、光ファイバ１の接続余長を収納す
る余長収納ケース５と分離心線収納ケース６とが分離さ
れているため、単心の分離心線３の部分に無理な力がか
かりにくくなっており、分離心線３を破損する可能性が
少なくなっている。したがって、分離心線３の部分をコ
ード補強したり、コーティングするなどの特別な保護を
施す必要が無く、その分のコストが軽減される。また、
本発明においては、接続余長の収納を行う際に、光ファ
イバ１を余長処理部９、１０に巻き付けて８の字型に収
納することができるため、光ファイバ１にねじれが生じ
ないという利点がある。

【００１４】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
るものでなく、必要とされる光ファイバやコネクタの形
態、作業上の都合などに応じて、自由にその形態を変更
し得るものである。例えば、上記実施の形態では、光フ
ァイバ１に４心の光ファイバテープを用いたが、その代
わりに光ファイバ１に、４心以上または複数の光ファイ
バテープ、またはこれを補強した光ファイバコードを用
いてもよい。また、上記実施の形態は、光ファイバ１に
接続するテープ心線５１が単心分離される際に適用され
るが、単心分離ではなく多心に分離される場合は、ＳＣ
形光コネクタではなく、ＭＰＯ形光コネクタが好適に用
いられる。ちなみにＭＰＯ形光コネクタとは、先端斜め
研磨された多心光コネクタ用のＭＴ形光フェルールを用
い、２本の位置決めピンにて精密位置決めされる、ＳＣ
形光コネクタと同様のプッシュプル方式の光コネクタで
ある。

【００１５】さらに、上記実施の形態においては、余長
処理環２６に単心分離される前のテープ心線５１の一部
が巻き付けられているが、余長処理環２６はテープ心線
５１に対してある程度の曲げ半径を保持するために設け
られているものであり、例えば、作業上の都合により、
分離心線３の長さがさらに長くなった場合などには、余
長処理環２６に分離心線３を巻き付けてもよい。

【００１６】また、上述の実施の形態およびその変形例
においては、両側コネクタ付きの多心単心分離心線を工
場内にてあらかじめ準備して出荷したが、本発明の主旨
は取扱いに慎重を要する単心部と、それ以外のテープ部
を分離することである。従って、外部の光ケーブル等か
ら導出された光テープ心線をそのまま余長収納ケース５
内に巻回収納して、続いて分離部を分離心線収納ケース
６にて分岐し分離心線の先端をコネクタ成端する収納方
式も本発明に入るものといえよう。また、本発明の光フ
ァイバの余長処理ケースは、例えば、成端箱や光配線
盤、光配線架における接続余長の処理に使用することも
可能である。

【００１７】

【発明の効果】本発明の光ファイバ余長処理ケースにお
いては、光ファイバの接続余長を収納する余長収納ケー
スと、光ファイバから分岐された分離心線を収納するた
めの分離心線収納ケースとが分離されているため、接続
余長と分離心線とが同一の箇所に収納されることがな
く、また余長収納の作業も両ケースを分離して行うこと
ができる。このため、分離心線に無理な力がかかりにく
くなるとともに、接続作業や余長収納作業時に、分離心
線に接触してしまうことによって、分離心線の損傷、破
断や損失の増大などの悪影響を与える可能性が少なくな
る。また、このことに伴い、分離心線部分に特別な保護
を施す必要が無く、その分のコストが軽減されるだけで
なく、余長収納時の作業性の向上も図られることとな
る。また、本発明の光ファイバの余長処理ケースは、接
続余長を余長処理部に８の字型に巻き付けた状態で接続
余長を収納することが可能であり、光ファイバにねじれ
が生じないという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の光ファイバの余長処理ケースの一実
施の形態を示す斜視図である。

【図２】 図１に示した本発明の実施の形態の一部であ
る余長収納ケースを詳細に示した斜視図である。

【図３】 図１に示した本発明の実施の形態の一部であ
る分離心線収納ケースを示した平面図である。

【図４】 本発明における従来の技術を示すための、部
分拡大図および正面図である。

【符号の説明】

１…光ファイバ、２…接続余長、３…分離心線、４…余
長処理ケース、５…余長収納ケース、６…分離心線収納
ケース、７、８…余長収納トレイ、９、１０…余長処理
部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ファイバ（１）の接続部において接続
   余長（２）を収納し、かつ、分離心線（３）を保護する
   ための光ファイバの余長処理ケース（４）であって、光
   ファイバ（１）の接続余長（２）を収納する余長収納ケ
   ース（５）と、光ファイバ（１）から分岐された分離心
   線（３）を収納する分離心線収納ケース（６）とを備え
   てなることを特徴とする光ファイバの余長処理ケース
   （４）。
2. 【請求項２】 請求項１記載の光ファイバの余長処理ケ
   ース（４）であって、余長収納ケース（５）と分離心線
   収納ケース（６）とが分離可能とされていることを特徴
   とする光ファイバの余長処理ケース（４）。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の光ファイバの余
   長処理ケース（４）であって、余長収納ケース（５）
   は、一辺がヒンジにより結合され該ヒンジを中心として
   開閉自在とされた一対の余長収納トレイ（７、８）によ
   り構成され、余長収納トレイ（７、８）は、それぞれの
   中心部に、これら余長収納トレイ（７、８）を嵌合させ
   た際同一軸線上に位置し、これら余長収納トレイ（７、
   ８）を開いた状態において接続余長（２）を８の字型に
   巻回可能な余長処理部（９、１０）が設けられているこ
   とを特徴とする光ファイバの余長処理ケース（４）。