JPH10182795A - クレーター防止剤、およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物 - Google Patents

クレーター防止剤、およびそれを含有するカチオン電着塗料組成物

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JPH10182795A
JPH10182795A JP8347367A JP34736796A JPH10182795A JP H10182795 A JPH10182795 A JP H10182795A JP 8347367 A JP8347367 A JP 8347367A JP 34736796 A JP34736796 A JP 34736796A JP H10182795 A JPH10182795 A JP H10182795A
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epoxy resin
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imidazolidone
polyoxyalkylenediamine
crater
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Yoshio Kojima
与志夫 児島
Ryoichi Murakami
良一 村上
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クレーター防止剤、それを含んで成るカチオ
ン電着塗料組成物、および該カチオン電着塗料組成物を
用いたクレーター防止方法の提供。 【解決手段】 イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキ
レンジアミンと、ポリフェノール系エポキシ樹脂とから
得られる反応生成物を少なくとも部分的に酸で中和して
カチオン基を提供したクレーター防止剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、建材、電
化製品等の電着塗装分野において、優れたクレーター抑
制効果と高い上塗り密着性を示す塗膜を提供する、イミ
ダゾリドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンを含ん
で成るカチオン電着塗料組成物、および前記カチオン電
着塗料組成物を用いたクレーター防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電着塗装は、エアスプレー塗装や静電ス
プレー塗装に比べてつきまわりが良く、かつ均一な塗膜
が得られやすいことを特徴としている。特にカチオン電
着塗装は、防錆性に優れており、優れた耐食性、低温硬
化性および平滑性などの塗膜性能が要求される分野、例
えば自動車のボディ用のプライマー塗装に使用されてい
る。
【0003】一般に、カチオン電着塗料組成物は、カチ
オン性樹脂(例えば、アミン変性エポキシ樹脂等)と硬
化剤(架橋剤ともいう。例えば、ブロックポリイソシア
ネート化合物等)から成るビヒクル成分、および顔料分
散樹脂で分散された顔料を含む顔料ペーストを、水性媒
体中に分散した形態で提供される。この塗料組成物を塗
装浴に用い、被塗物を陰極、また対極を陽極として通電
し、被塗物上に析出塗膜を形成させた後、該析出塗膜を
加熱することによって、架橋硬化された塗膜が形成され
る。
【0004】このようにして形成される電着塗膜は、平
滑でかつ「ハジキ(cratering)」および窪みなどの表
面欠陥が生じず、中塗りおよび/または上塗りを塗装し
た場合も、それらとの密着性が十分に得られて平滑性や
光沢等に悪影響を与えないことが望まれる。
【0005】上記の表面欠陥の生じる原因は多数あると
考えられている。その一つとして、例えば、被塗物等に
付随して電着浴に持ち込まれるような電着浴中の不純物
(例えば、油や前処理薬品等)が挙げられる。特に、油
等は、焼付硬化時に突沸を起こして塗膜表面に凹み(ク
レーター)を形成することがある。これは、汚染源を除
去すれば解決するのであるが、工業的規模での実施は不
可能に近い。
【0006】米国特許第3,963,663号公報および
同第4,179,552号公報には、上記問題を解決する
ための組成物として、ポリオキシアルキレンポリアミン
によって硬化したポリエポキシを含有するカチオン電着
塗料組成物が記載されている。しかしながら、いずれ
も、塗膜のハジキ抑制能と上塗りとの密着性の両者を兼
ね備えた塗料組成物を記載していない。
【0007】さらに、特公平1−19696号公報に
は、上記の問題を有しないクレーターの発生を抑制でき
るカチオン電着塗料組成物が記載されている。これに
は、クレーター防止剤として、分子量が約2000また
は約400のポリオキシプロピレンジアミン[ジェファ
ーソン・ケミカル・カンパニー(Jefferson Chemical Co
mpany)製ジェフアミン(JEFFAMINE)D-2000]を用い、そ
れをバインダー樹脂中間体(ここでは、ポリエポキシ
ド)と反応させた樹脂を含有する塗料組成物が記載され
ている。しかしながら、分子量が約2000のポリオキ
シプロピレンジアミンを用いた塗料組成物は、上に形成
する上塗り(すなわち、トップコート等)との密着性が
著しく劣っており、分子量が約400のポリオキシプロ
ピレンジアミンを用いた塗料組成物では、ハジキ抑制能
が不十分であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】形成された塗膜表面に
クレーター等の塗膜異常がなく、かつ突沸油等のハジキ
によるクレーターの発生が抑制され、さらにはその上に
形成される上塗り(例えば、トップコート等)と高い密
着性を示すカチオン電着塗料組成を提供することであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、1)式:
【化3】 (式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜16の低級
アルキル基であり、R1〜R4は、同一または異なって、
水素、および炭素数1〜4のアルキル基であり、m+n
は、1〜50の数である。)で表されるイミダゾリドン
基含有ポリオキシアルキレンジアミンと、 2)ポリフェノール系エポキシ樹脂とを、前記ポリオキ
シアルキレンジアミン1)中の活性水素当量に対するエ
ポキシ樹脂2)中のエポキシ当量の比0.6〜1.0で反
応させ、反応生成物を少なくとも部分的に酸で中和して
カチオン基を提供したイミダゾリドン基含有ポリオキシ
アルキレンジアミンで変性されたエポキシ樹脂から成る
クレーター防止剤を提供する。また本発明は、前記クレ
ーター防止剤を含んで成るカチオン電着塗料組成物も提
供する。
【0010】本発明のイミダゾリドン基含有ポリオキシ
アルキレンジアミン(詳しくは、ポリオキシアルキレン
ジアミン)を利用してバインダーであるエポキシ樹脂を
硬化させたカチオン電着塗料組成物は、その形成された
塗膜に、優れたクレーター防止効果のみならず、その上
に形成する上塗り(例えば、トップコート等)との高い
密着性をも付与し得る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をさらに詳細に説
明する。
【0012】本発明のイミダゾリドン基含有ポリオキシ
アルキレンジアミンで変性されたエポキシ樹脂からなる
クレーター防止剤は、アルキレンオキサイドと1-(2'-
ヒドロキシアルキル)-2-イミダゾリドンの反応生成物
から生成されたイミダゾリドン基含有ポリオキシアルキ
レンジアミン[1)]と、ポリフェノール系エポキシ樹
脂[2)]との反応により得られる。
【0013】より詳しくは、先ず、以下のスキームから
イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンを
生成する。
【0014】
【化4】 (式中、R、R1〜R4、m、およびnはいずれも、式
(I)と同じ意味を表す。)
【0015】すなわち、最初に、(N−アミノアルキ
ル)-2-ヒドロキシアルキルアミンと尿素から1−
(2'−ヒドロキシアルキル)−2−イミダゾリゾンを
生成し、次に、その生成物とアルキレンオキサイドを反
応させた後、その末端水酸基を、水素化/脱水素触媒上
で、還元アミノ化することにより上記化合物を得ること
ができる。この反応は、この分野では公知の方法によっ
て実施される。
【0016】前記の(N−アミノアルキル)-2-ヒドロ
キシアルキルアミンは、式:
【化5】 で表される。式(II)中、R1〜R4は、同一または異な
って、水素原子、および炭素数1〜4のアルキル基(例
えば、メチル、エチル、プロピル、またはブチル)から
なる群より選ばれる基を表す。このような式(II)の化
合物としては、例えば、アミノエチルエタノールアミ
ン、アミノエチルイソプロパノールアミン等が挙げられ
る。
【0017】本発明において使用するのに適するアルキ
レンオキサイドは、炭素数2〜18のアルキレンオキサ
イド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサ
イド、ブチレンオキサイド等)、およびそれらの混合物
であり、好ましくは炭素数3のプロピレンオキサイドで
ある。
【0018】前記アルキレンオキサイドと反応する1-
(2'-ヒドロキシアルキル)-2-イミダゾリドンは、アミ
ノアルキルアルコールアミン(例えば、アミノエチルエ
タノールアミン、アミノエチルイソプロパノールアミ
ン)と尿素の好ましくは1:1以上(モル比)の反応生
成物である。このような1-(2'-ヒドロキシアルキル)-
2-イミダゾリドンとしては、例えば1-(2'-ヒドロキ
シエチル)-2-イミダゾリドン(以下、HEIMDと略
す。)、1-(2'-ヒドロキシプロピル)-2-イミダゾリ
ドン等が挙げられ、特にHEIMDが好ましい。アミノ
アルキルアルコールアミンと尿素の反応によるイミダゾ
リドン基の形成は、特開平6−206999号公報に記
載の脱水環化反応により行うことができる。
【0019】上記スキームより、アルキレンオキサイド
と1-(2'-ヒドロキシアルキル)-2-イミダゾリドンと
の反応により、イミダゾリドン基を導入した、両末端に
水酸基を有するポリオキシアルキレンアルキルが得られ
る。
【0020】上記のイミダゾリドン基を導入した、両末
端に水酸基を有するポリオキシアルキレンアルキルを、
水素化/脱水素触媒上における既知の還元アミノ化によ
ってジアミノ化合物に変換する。この反応は、例えば、
ニッケル、銅およびクロムの酸化物の混合物の還元によ
って調製される触媒上において、アンモニアと水素を作
用させることによって実施され、これは技術上周知の方
法である(例えば、米国特許第3,654,370号公報
参照)。アミノ化は、150〜300℃、好ましくは1
50〜275℃の温度において、圧力3.5〜34.6M
Pa、好ましくは5〜28MPaの間で行われる。
【0021】上記のようにして生成したイミダゾリドン
基含有ポリオキシアルキレンジアミン[式(I)参照]
の分子量は、137〜3600、好ましくは400〜3
000、最も好ましくは800〜2500である。ま
た、このジアミン化合物のアミン当量は、69〜180
0、好ましくは200〜1500、最も好ましくは40
0〜1250である。アミン当量は、第1級アミンを単
官能とみなして決定する。本発明において、分子量が1
37未満の化合物はゲル化が生じるため好ましくない。
【0022】上記のようにして生成したイミダゾリドン
基含有ポリオキシアルキレンジアミンを用いて、エポキ
シ樹脂を変性することができる。上記化合物によるエポ
キシ樹脂の変性は、ポリフェノール系エポキシ樹脂
(1)とイミダゾリドン基含有ポリオキシアルキレンジ
アミン(2)を、前記ポリオキシアルキレンジアミン
(2)中の活性水素当量に対するエポキシ樹脂(1)中
のエポキシ当量の比0.6〜1.0、好ましくは0.65
〜0.85で反応させることにより行い、その結果、所
望の分子量と鎖長を有するエポキシ樹脂が得られる。上
記反応比の上限を超えると、低分子量生成物および望ま
しくない量の遊離アミン生成の可能性が生じることがあ
るため、好ましくない。ここで、「ポリオキシアルキレ
ンジアミン中の活性水素当量」とは、ジアミン化合物の
第1級アミンに存在する活性水素の当量を指す。
【0023】このような変性に適したポリフェノール系
エポキシ樹脂(1)は、環状ポリオールのポリグリシジ
ルエーテル類であり、例えば、(4-ヒドロキシフェニ
ル)-2,2-プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、
4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロ
キシフェニル)-1,1-メタン(すなわち、ビスフェノー
ルF)またはその類似物のポリグリシジルエーテルが挙
げられ、特にビスフェノールA系ポリグリシジルエーテ
ルが好ましい。
【0024】上記ポリフェノール系エポキシ樹脂(1)
は、分子量が340〜5000、好ましくは340〜2
000、およびエポキシ当量が170〜2500、好ま
しくは170〜1000である。
【0025】本発明のクレーター防止剤であるイミダゾ
リドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンで変性され
たエポキシ樹脂を生成するための反応は、通常、ポリフ
ェノール系エポキシ樹脂(1)を、イミダゾリドン基含
有ポリオキシアルキレンジアミンに添加して行われる。
反応温度は、一般に50〜180℃、好ましくは90〜
150℃である。ここで、反応の終点は、生成される樹
脂粘度を測定することで決定する(すなわち、粘度が1
時間以上変化しなくなった時点を終点とする。)。反応
は、無溶媒でも、溶媒の存在下でも行うことができる。
反応溶媒を用いる場合、上記反応条件下において、エポ
キシド基およびアミン基のいずれとも反応性を有しない
ものが好ましい。適当な溶媒としては、例えば、炭化水
素類、エーテル類、アルコール類、およびエーテルアル
コール類が挙げられ、好ましくは、グリコールモノエー
テル類およびグリコールジエーテル類のような水溶性も
のである。反応に使用し得る溶媒の量は、反応混合物の
総重量に対して、0〜99%、好ましくは5〜50%の
間で変化する。
【0026】こうして得られる本発明のクレーター防止
剤を構成するイミダゾリドン基含有ポリオキシアルキレ
ンジアミンで変性されたエポキシ樹脂は、反応生成物が
実質上架橋せず、かつ適当な溶媒に溶解した場合に固有
粘度を有する。ここで固有粘度は、反応生成物の分子量
で定義される。
【0027】上記変性エポキシ樹脂の固有粘度としての
分子量は、3,000〜30,000の範囲、好ましくは
5,000〜20,000である。上記化合物の分子量が
3,000より低い場合、十分なハジキ抑制能が得られ
ず、分子量が30,000を超えると、電着塗膜の外観
が著しく低下するため、好ましくない。
【0028】本発明の第二の態様は、イミダゾリドン基
含有ポリオキシアルキレンジアミンで変性されたエポキ
シ樹脂から成るクレーター防止剤を含んで成るカチオン
電着塗料組成物である。さらに詳しくは、本発明におい
て好ましいカチオン電着塗料組成物は、中和剤を含有す
る水性媒体中に、(A)カチオン性樹脂、および(B)
イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンで
変性されたエポキシ樹脂から成るクレーター防止剤を含
んで成る。
【0029】本発明のカチオン電着塗料組成物は、カチ
オン性樹脂(A)および本発明の特徴成分であるイミダ
ゾリドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンで変性さ
れたエポキシ樹脂から成るクレーター防止剤(B)と架
橋剤(硬化剤)を含有するビヒクル成分、並びに顔料
を、中和して水に分散することにより得られる。
【0030】本発明のカチオン電着塗料組成物に使用さ
れるカチオン性樹脂(A)は、既知の任意のカチオン性
樹脂、例えば、アミン変性エポキシ樹脂、アミン変性ポ
リウレタンポリオール樹脂、アミン変性ポリブタジエン
樹脂、アミン変性アクリル樹脂、またはスルホニウム基
含有樹脂系およびホスホニウム基含有樹脂系等(例え
ば、特公昭54-4978号、同56-34186号、同
55-115476号、同62-61077号、および特
公平1-60516号、並びに特開昭63-139909
号および同63-139909号公報等参照)であって
よいが、特にアミン変性エポキシ樹脂が好ましい。
【0031】本発明で用いるエポキシ樹脂は、一般にポ
リエポキシドである。このポリエポキシドは1分子中に
平均1個以上の1,2-エポキシ基を有する。これらのポ
リエポキシドは180〜1200のエポキシ当量、特に
375〜1000のエポキシ当量を有することが好まし
い。
【0032】このようなポリエポキシドの有用な部類に
は、ポリフェノール[例えば、ビス(4-ヒドロキシフェ
ニル)-2,2-プロパン(すなわち、ビスフェノール
A)、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-
ヒドロキシフェニル)-1,1-メタン(すなわち、ビスフ
ェノールF)またはその類似物]のポリグリシジルエー
テル等が挙げられる。これらは、例えば、アルカリ存在
下にて、ポリフェノールと、エピクロルヒドリンまたは
ジクロルヒドリンとをエーテル化することにより調製さ
れる。
【0033】また、エポキシ樹脂としてオキサゾリドン
環(2-、4-および5-オキサゾリドン基)を有するエ
ポキシ樹脂を用いても良い。エポキシ樹脂にオキサゾリ
ジニル基を導入する方法としては、例えば、メタノール
のような低級アルコールでブロックされたブロック化ポ
リイソシアネートとポリエポキシドを塩基性触媒の存在
下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留
去することで得られる。
【0034】これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポ
リオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性の
アルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良
い。この変性に用いる樹脂の例としては、ポリカプロラ
クトンジオール、エチレンオキサイド付加重合物が挙げ
られる。
【0035】エポキシ樹脂のアミノ化に用いる2級アミ
ンとしては、n-メチルエタノールアミン、ジエタノー
ルアミンおよびジイソプロパノールアミンのようなアル
カノールアミン;およびジエチルアミンおよびジブチル
アミンのようなアルキルアミン等が挙げられる。またジ
エチレントリアミンおよびアミノエチルエタノールアミ
ンのような少なくとも1個の1級アミノ基を有するポリ
アミンを、メチルイソブチルケトンおよびメチルエチル
ケトンのようなケトン類で1級アミノ基をブロックした
ケチミン化合物を用いても良い。これらのアミン類は2
種以上を混合して使用しても良い。これらの樹脂を、調
製後、単離するか、または単離せずに調製溶液のまま本
発明のカチオン電着塗料組成物へ組み込むことできる。
前記組成物中において、上記の樹脂は、単独でまたは組
み合わせて使用できる。
【0036】上記カチオン性樹脂(A)は、本発明のカ
チオン電着塗料組成物中の固形分に対し20〜80重量
%、好ましくは30〜70重量%の量で配合する。80
重量%(上限)を超えると硬化性が不足し、また20重
量%(下限)より少ないと十分な防錆性能が得られな
い。
【0037】本発明のカチオン電着塗料組成物中に添加
される、本発明の特徴成分であるイミダゾリドン基を導
入したポリオキシアルキレンジアミンで変性されたエポ
キシ樹脂から成るクレーター防止剤(B)の量は、1〜
30の範囲、好ましくは3〜20の範囲である。上記エ
ポキシ樹脂(B)の添加される量が上記下限より少ない
と、十分なクレーター防止効果が得られず、また、上記
上限を超えると十分な防錆性能が得られない。
【0038】本発明のカチオン電着塗料組成物に適した
硬化剤は、解離温度が100〜160℃のブロック化ポ
リイソシアネートである。このような化合物は、ポリイ
ソシアネートとブロック化剤との反応により得られる。
反応は、IRスペクトル測定において、イソシアネート
基を追跡し、イソシアネート基が実質上消失するまで行
う。
【0039】ブロックポリイソシアネート化合物は、別
の成分として組成物中に存在していてもよく、また他の
成分と一体化していてもよい。例えば、ハーフブロック
化ポリイソシアネートを上記カチオン性樹脂と反応させ
て、カチオン性樹脂に架橋能力を付与してもよい。ブロ
ックポリイソシアネートを含有しない場合には、硬化性
が不足し、ブロックポリイソシアネートの解離温度が1
00℃未満であると塗膜の流動性が非常に悪いため、平
面部の平滑性が低下し、好ましくなく、さらには、塗料
組成物の保存安定性にも影響を及ぼす。他方、解離温度
が160℃を超える場合には、低温焼付け工程において
硬化されず、それにより塗膜の耐食性が低下する。
【0040】本発明において使用できるポリイソシアネ
ートは、部分的ブロッキング反応を容易にする種々の反
応性をもつイソシアネート基を有することが好ましく、
また従来電着塗料用ビヒクル成分として用いられている
全てのポリイソシアネート類が使用できる。このような
ポリイソシアネートの例としては、トリメチレンジイソ
シアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタ
メチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−
ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシ
アネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、エチリ
デンジイソシアネート、ブチリデンジイソシアネートな
どの脂肪族ジイソシアネート、1,3−シクロペンタン
ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシア
ネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、2,5-もしくは2,6-ビシ
クロ[2,2,1]ヘプタンビス(イソシアナトメチル)な
どの脂肪族環式ジイソシアネート、m−フェニレンジイ
ソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,
4'−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレン
ジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネー
トなどの芳香族ジイソシアネート、4,4'−ジフェニル
メタンジイソシアネート、2,4−または2,6−トルエ
ンジイソシアネートまたはそれらの混合物、4,4'−ト
ルイジンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシ
アネートなどの脂肪族−芳香族ジイソシアネート、ジア
ニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテ
ルジイソシアネート、クロロジフェニルジイソシアネー
トなどの核置換芳香族ジイソシアネート、トリフェニル
メタン−4,4',4"−トリイソシアネート、1,3,5−
トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシア
ネートトルエンなどのトリイソシアネート、4,4'−ジ
フェニル−ジメチルメタン−2,2',5,5'−テトライ
ソシアネートなどのテトライソシアネート、トルエンジ
イソシアネートダイマー、トルエンジイソシアネートト
リマーなどの重合したポリイソシアネートなどが挙げら
れ、その中でも、脂肪族環状構造を有するポリイソシア
ネートが好ましい。
【0041】100〜160℃での温度で解離するブロ
ック剤としては、例えば、芳香族系ポリイソシアネート
の場合には、1-クロロ-2-プロパノール、エチレンク
ロルヒドリンなどのハロゲン化炭化水素系アルコール、
n-プロパノール、フルフリルアルコール、アルキル基
置換フルフリルアルコールなどの脂肪族または複素環式
アルコール類、フェノール、m-クレゾール、p-ニトロ
フェノール、p-クロロフェノール、ノニルフェノール
などのフェノール類、メチルエチルケトンオキシム、メ
チルイソブチルケトンオキシム、アセトンオキシム、シ
クロヘキサンオキシムなどのオキシム類、アセチルアセ
トン、アセト酢酸エチル、マロン酸エチルなどの活性メ
チレン化合物、その他、カプロラクタムなどを挙げるこ
とができ、特に好ましいものはオキシム類、フェノール
類、アルコール類ではフルフリルアルコールとアルキル
基置換フルフリルアルコールである。脂肪族ポリイソシ
アネートの場合は、上記のうちフェノール類とオキシム
類がよい。
【0042】本発明のカチオン電着塗料組成物中に含ま
れる硬化剤は、別の成分として組成物中に含まれていて
も、他の成分と一体化していてもよい。例えば、上記カ
チオン性樹脂と反応させて、カチオン性樹脂に架橋能力
を付与することができる。このような硬化剤を含有しな
い場合には、硬化性が不足し、硬化剤の解離温度が10
0℃未満であると塗膜の流動性が非常に悪いため、平面
部の平滑性が低下し、好ましくなく、さらには、塗料組
成物の保存安定性にも影響を及ぼす。他方、解離温度が
160℃を超える場合には、低温焼付け工程において硬
化されず、それにより塗膜の耐食性が低下する。
【0043】上記硬化剤は、本発明のカチオン電着塗料
組成物中の固形分に対し5〜50重量%、好ましくは1
0〜40重量%の量で配合する。50重量%を超えると
塗膜外観が低下し、また10重量%より少ないと十分な
硬化性が得られない。
【0044】上記の硬化剤の解離触媒として、ジブチル
錫ラウレート、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫など
の有機錫化合物や、N-メチルモルホリンなどのアミン
類、酢酸鉛やストロンチウム、コバルト、銅などの金属
塩を使用してもよい。触媒の濃度は、通常カチオン電着
塗料組成物中の塗膜形成樹脂固形分に対し0.1〜6重
量%である。
【0045】本発明のカチオン電着塗料組成物中に含ま
れ得る顔料は、通常、カチオン性樹脂と予め混合して、
顔料ペーストを形成する。本発明において使用し得る顔
料の例としては、カーボンブラック、黒鉛、酸化チタ
ン、亜鉛華などの着色顔料、ケイ酸アルミニウム、カオ
リンなどの体質顔料、ストロンチウムクロメート、塩基
性ケイ酸鉛、塩基性硫酸鉛、リンモリブデン酸アルミニ
ウムなどの合成顔料を用いることができる。この顔料の
濃度は電着塗料全体の固形分量に対し1〜35重量%、
好ましくは10〜30重量%である。顔料分散樹脂の使
用量は上記顔料の量に依存するが、電着塗料の全固形分
に対し1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%であ
る。
【0046】さらに、本発明のカチオン電着塗料組成物
は、上記成分の他に必要に応じ種々の添加剤や溶剤を含
むことができる。
【0047】上記添加剤の例としては、塗膜形成成分を
水性媒体中に分散する際に使用するギ酸、酢酸、乳酸、
スルファミン酸などの酸類および界面活性剤、並びに必
要に応じてカチオン型電着樹脂に公知の紫外線吸収剤、
ワキ防止剤等が挙げられる。上記添加剤の濃度はそれぞ
れ、通常、電着塗料中の樹脂固形分に対し0.1〜15
重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0048】本願発明のカチオン電着塗料組成物は水性
媒体中に分散されるが、水性媒体中には水の他に種々の
有機溶剤を樹脂の溶解、粘度などの調整のために用いて
もよい。使用し得る溶剤の例としては炭化水素類(例え
ば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例え
ば、メチルアルコール、n-ブチルアルコール、イソプ
ロピルアルコール、2-エチルヘキシルアルコール、エ
チレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル
類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、
エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリ
コールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモ
ノエチルエーテル、3-メチル-3-メトキシブタノー
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例え
ば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソ
ホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート)あとは
それらの混合物が挙げられる。これらの溶剤の使用量は
塗料全体に対して約0.01〜25重量%、好ましくは
0.05〜15重量%である。
【0049】本発明で実施される電着塗装は、塗料浴温
20〜40℃、印加電圧50〜500V、通電時間は被
塗物が塗料浴中に完全に浸漬している状態で30秒〜1
0分など従来から常用されている条件で行われる。必要
な電着塗膜の厚さは、焼付け塗膜として5〜50μm、
好ましくは10〜35μmである。
【0050】本発明における電着塗膜の焼付けは被塗物
温度で100℃〜200℃、好ましくは130℃〜16
0℃であり、通常、5分〜50分間である。
【0051】本発明方法を適用し得る被塗物である金属
素材としては、従来一般に電着塗装される金属、例え
ば、鉄、銅、亜鉛メッキ材、アルミおよびそれらの合金
等であっても、化成処理されたものであってもよい。
【0052】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を説明するが、
本発明は以下の実施例に限定されるものではない。ま
た、以下の実施例中の「部」は、特に断りのない限り、
重量部を表す。
【0053】調製例1:イミダゾリドン基含有ポリプロ
ピレングリコールジアミンの調製 以下、特開平6−206999号公報に開示されている
方法に従って、イミダゾリドン基含有ポリプロピレング
リコールジアミンを調製した。
【0054】撹拌装置、窒素導入管、冷却管、および温
度計を装備した反応容器に、アミノエチルエタノールア
ミン1560部と尿素900部を入れた。この反応混合
物を、125℃で7時間加熱した後、反応混合物がガス
を放出しなくなるまで、150℃で加熱した。生成物を
1H NMRスペクトルによって、1-(2'-ヒドロキシエ
チル)-2-イミダゾリン(以下、HEIMDと略す。)
であることを確認した。
【0055】HEIMD1820部と45%水酸化カリ
ウム水溶液349部を反応容器に入れた。反応容器内を
窒素パージしながら、110℃に加熱し、減圧と窒素ス
トリップの導入を交互に行って、水分含有量が0.15
重量%未満となるまで乾燥した。次に、プロピレンオキ
サイド32.69k部を加え、110〜115℃におい
て、0.44MPaで1時間反応させた。平衡圧力で熟
成させた後、アルカリ性の生成物を95℃に冷却し、水
性スラリーとして添加したMagnesol30/40吸収剤1
23部と共に、2時間撹拌した後、中和した。中和後の
プロピレンオキサイド付加生成物を減圧でストリップし
た後、濾過した。
【0056】得られたポリオールを以下の方法でアミノ
化した。アルミナ担体上にNi38.4%、Cu5.9
%、Cr1.1%、およびMo0.62%を担持した直径
1mmの押出品触媒を、1200cm2の円筒状反応容
器に完全に満たし、上記で得られたポリオール、アンモ
ニア、および水素をそれぞれ1.0k部/時間、1.25
k部/時間、および72L/時間の供給速度で連続的に
供給した。反応容器を220℃に加熱し、反応容器の圧
力を13.9MPa付近に維持した。30時間の操作の
間、生成物を補集した。この生成物よりアンモニア、
水、および他の軽質分を除去し、分子量約2000のイ
ミダゾリドン基含有ポリプロピレングリコールジアミン
を得た。
【0057】調製例2:硬化剤の調製 撹拌装置、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備し
た反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアナート840
部を入れ、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと
略す。)609部で希釈した。次に、そこへジブチル錫
ラウレート0.9部を添加し、50℃に昇温した後、樹
脂温度が60℃を超えないように制御しながら、トリメ
チロールプロパン223.5部を徐々に加えた。次い
で、樹脂温度が70℃を超えないように制御しながら、
メチルエチルケトオキシム435部を加えた。赤外吸収
スペクトル測定により、イソシアナート基の吸収が実質
上消失するまで、70℃で1時間保持し、その後、n−
ブタノール32部を加えて希釈した。
【0058】調製例3:顔料ペーストの製造 エポキシ系4級アンモニウム塩型顔料分散樹脂(固形分
50%)19.1部、二酸化チタン30.4部、カオリン
14.0部、ケイ酸鉛1.4部、カーボンブラック0.9
部、およびイオン交換水34.3部の混合物をサンドグ
ラインドミルで分散することにより、粘度10μm以下
まで粉砕した顔料ペースト(固形分56%)を調製し
た。
【0059】実施例1:イミダゾリドン基含有ポリプロ
ピレングリコールジアミンを用いた変性エポキシ樹脂の
水分散液の製造 撹拌装置、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備し
た反応容器に、調製例1で得たイミダゾリドン基含有ポ
リプロピレングリコールジアミン1270部、エポキシ
当量490のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化
成工業製エポトートYD-011)のエチレングリコールモノ
ブチルエーテルNV=75%溶液653部、およびエチ
レングリコールモノブチルエーテル32部を入れ、12
0℃に加熱した。2時間保持した後、前記エポキシ樹脂
溶液を更に33部加え、反応系を130℃に昇温し、反
応を続けた。樹脂粘度を測定することによって反応を追
跡し、粘度が1時間以上変化しなくなった時点を反応終
点とした。この時点において、エチレングリコールモノ
ブチルエーテルを更に110部添加し、イミダゾリン基
含有ポリプロピレンジアミンによる変性エポキシ樹脂
(NV=85%)を得た。この樹脂2080部を、50
%乳酸89部とイオン交換水3724部の混合液に加
え、十分に撹拌した後、更にイオン交換水420部をゆ
っくりと加えて、イミダゾリドン基含有ポリプロピレン
グルコールジアミンで変性されたエポキシ樹脂の水分散
液(樹脂固形分:28%)を調製した。
【0060】次に、撹拌装置、窒素導入管、冷却管、お
よび温度計を装備した反応容器に、エポキシ当量490
のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成工業製エ
ポトートYD-011)950部とMIBK237.5部を入
れ、これを100℃に加熱して、完全に溶解した。次
に、n−メチルエタノールアミン60部とジエチレント
リアミンのメチルイソブチルジケチミン73%MIBK
溶液73部を添加し、反応混合物を120℃で1時間保
持して、カチオン性樹脂Aを得た。
【0061】このカチオン性樹脂A 1320部に、上
記調製例2で調製した硬化剤570部とエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル100部を混合し、これを氷
酢酸34部とイオン交換水509部の混合液中に加えて
十分に撹拌した後、更にイオン交換水2215部をゆっ
くりと加えた。次に、これを固形分36%になるまで減
圧下において有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂Aの水
分散液を調製した。
【0062】カチオン性樹脂Aの水分散液1478部、
イオン交換水1994部、先に調製したイミダゾリドン
基含有ポリプロピレングリコールジアミンで変性したエ
ポキシ樹脂の水分散液100部、および調製例3の顔料
ペースト429部を混合し、カチオン電着塗料組成物を
得た。
【0063】実施例2 撹拌装置、窒素導入管、冷却管、滴下漏斗、および温度
計を装備した反応容器に、2,4-トリレンジイソシアナ
ート/2,6-トリレンジイソシアナート(重量比8/
2)54部を入れ、MIBK136部で希釈した後、ジ
ブチル錫ラウレート0.5部を加え、これを撹拌しなが
ら、樹脂温度が60℃を超えないように制御しながら、
メタノール10.9部を徐々に添加した。次いで、エチ
レングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル54
部を樹脂温度が70℃を超えないように制御しながら添
加した。赤外吸収スペクトル測定によって、イソシアナ
ート基の吸収が実質上消失するまで、反応を続けた。
【0064】次に、ビスフェノールFとエピクロルヒド
リンとから合成したエポキシ当量950のエポキシ樹脂
285部を加え、125℃まで昇温した。その後、ベン
ジルメチルアミン0.6部を添加し、エポキシ当量11
20になるまで反応させた。その間に副生するメタノー
ルをデカンタにより留去した。その後、冷却し、ジエタ
ノールアミン29部、n−メチルエタノールアミン2
1.5部、およびアモノエチルエタノールアミンのケチ
ミン化物(79重量%MIBK溶液)33部を加え、1
10℃で2時間反応させた。その後、MIBKで不揮発
分80%になるまで希釈し、カチオン性樹脂Bを得た。
【0065】上記のカチオン性樹脂B 1320部に、
調製例2で調製した硬化剤440部とエチレングリコー
ルモノヘキシルエーテル80部を混合し、これを氷酢酸
30部とイオン交換水946部の混合液中に加えて十分
に撹拌した後、更にイオン交換水1877部をゆっくり
と加えた。次に、これを固形分36%になるまで減圧下
で有機溶媒を除去し、カチオン性樹脂Bの水分散液を得
た。
【0066】イオン交換水1994部、上記のカチオン
電着塗料樹脂Bの水分散液1478部、先に調製したイ
ミダゾリドン基含有ポリプロピレンジアミンによる変性
エポキシ樹脂の水分散液100部、および調製例3の顔
料ペースト429部を混合してカチオン電着塗料組成物
を得た。
【0067】比較例:イミダゾリン基を含有しないポリ
プロピレングリコールジアミンで変性されたエポキシ樹
脂の水分散液の製造 撹拌装置、窒素導入管、冷却管、および温度計を装備し
た反応容器に、分子量約2000のイミダゾリドン基を
含有しないポリプロピレングリコールジアミン[ハンツ
マン製ジェファーミンD-2000]1270部、エポキシ当
量490のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成
工業製エポトートYD-011)のエチレングリコールモノブ
チルエーテルNV=75%溶液652部、およびエチレ
ングリコールモノブチルエーテル45部を入れ、120
℃に加熱した。2時間保持した後、前記エポキシ樹脂溶
液を更に33部加え、反応系を130℃に昇温し、反応
を続けた。樹脂粘度を測定することによって反応を追跡
し、粘度が1時間以上変化しなくなった時点を反応終点
とした。この時点において、エチレングリコールモノブ
チルエーテルを更に118部添加し、イミダゾリン基を
含有しないポリプロピレンジアミンによる変性エポキシ
樹脂(NV=85%)を得た。この樹脂2080部を、
50%乳酸97部とイオン交換水3749部の混合液に
加え、十分に撹拌した後、更にイオン交換水447部を
ゆっくりと加えて、イミダゾリドン基を含有しないポリ
プロピレングルコールジアミンで変性されたエポキシ樹
脂の水分散液(樹脂固形分:28%)を調製した。
【0068】次に、イオン交換水1994部、実施例1
で調製したカチオン電着塗料樹脂Aの水分散液1478
部、先に調製したイミダゾリドン基を含有しないポリプ
ロピレンジアミンで変性しされたエポキシ樹脂の水分散
液100部、および調製例3の顔料ペースト429部を
混合して、比較例としてのカチオン電着塗料組成物を得
た。
【0069】評価試験 上記で調製した実施例1および2並びに比較例の各塗料
組成物において、電着塗膜外観、突沸油ハジキ性、およ
び上塗りの密着性をそれぞれ試験した。
【0070】電着塗膜外観試験 塗料浴温度28℃および3分間の通電によって焼付け後
の膜厚が20μmとなる印加電圧(以後、20μCVと
略す。)で電着塗装した後、水洗した。10分間室温で
放置した後、160℃に設定したオーブンで10分間焼
付けた。得られた電着塗膜の外観を目視評価した。評価
基準は以下の通りである。 塗膜表面が滑らかで塗膜に欠損がない :○ 塗膜にクレーター等の外観異常がある :×
【0071】突沸油ハジキ性試験 塗料浴温度28℃および20μCVで電着塗装した後、
水洗し、10分間室温放置したウエット板(10cm×
15cmの電着塗装された鋼板)を水平に置いた。次
に、試験板の中央に直径15mm、高さ5mmのアルミ
ホイル製のカップを両面テープで貼付った。このアルミ
ホイル製カップに防錆油と水をスポイトで1滴づつ入
れ、ウエット板ごとを160℃に設定したオーブン中に
水平に維持して10分間焼付けた。焼付け後のウエット
板上の電着塗膜表面上に油が飛散して発生したクレータ
ー等の塗膜異常の程度を、以下の評価基準により目視評
価する。
【0072】 塗膜表面にクレーター等の異常がなく、平滑である :5 塗膜表面に直径2mm以下で浅いクレーターがわずかに発生する:4 塗膜表面に直径3mm以下で浅いクレーターが発生する :3 塗膜表面に直径3mm以上で浅いクレーターが発生する :2 塗膜表面に直径3mm以上で深いクレーターが多数発生する :1
【0073】上塗りの密着性試験 塗料浴温度28℃および20μCVで電着塗装した後、
水洗し、10分間室温放置したウエット板(10cm×
15cmの電着塗装された鋼板)を、電気オーブンにお
いて200℃で20分間焼付けた。この硬化した塗膜上
にアルキッド系上塗り塗料組成物(日本ペイント製造オ
ルガセレクトシルバー)を、乾燥膜厚25〜30μmに
なるようにスプレー塗装し、140℃で20分間焼付け
た。焼付けた後、冷却し、その後、塗膜上にナイフを用
いて、2mm×2mmの碁盤目100個を傷つけた。碁
盤目の上に粘着テープを貼付した後、塗膜表面に残った
碁盤目の数を評価した。
【0074】上記の各評価結果を表1にまとめる。
【0075】
【0076】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗料組成物によっ
て形成された塗膜は、被塗物に付随して電着浴に持ち込
まれる不純物、例えば油等によって生じる突沸によっ
て、塗膜表面にクレーターが発生するのを抑制し得る。
さらに、本発明のカチオン電着塗料組成物は、その塗膜
上に形成される上塗り(例えば、トップコート等)と高
い密着性を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1)式: 【化1】 (式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜16の低級
    アルキル基であり、R1〜R4は、同一または異なって、
    水素、および炭素数1〜4のアルキル基であり、m+n
    は、1〜50の数である。)で表されるイミダゾリドン
    基含有ポリオキシアルキレンジアミンと、 2)ポリフェノール系エポキシ樹脂とを、前記ポリオキ
    シアルキレンジアミン1)中の活性水素当量に対するエ
    ポキシ樹脂2)中のエポキシ当量の比0.6〜1.0で反
    応させ、反応生成物を少なくとも部分的に酸で中和して
    カチオン基を提供した、イミダゾリドン基含有ポリオキ
    シアルキレンジアミンで変性されたエポキシ樹脂から成
    るクレーター防止剤。
  2. 【請求項2】 中和剤を含有する水性媒体中に、(A)
    カチオン性樹脂、および(B)請求項1記載のイミダゾ
    リドン基含有ポリオキシアルキレンジアミンで変性され
    たエポキシ樹脂から成るクレーター防止剤を含んで成る
    カチオン電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】 イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキ
    レンジアミンで変性されたエポキシ樹脂の分子量が3,
    000〜30,000の範囲である請求項2記載のカチ
    オン電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】 イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキ
    レンジアミンで変性されたエポキシ樹脂が、1-(2'-ヒ
    ドロキシアルキル)-2-イミダゾリドンで変性されたエ
    ポキシ樹脂である請求項2記載のカチオン電着塗料組成
    物。
  5. 【請求項5】 イミダゾリドン基含有ポリオキシアルキ
    レンジアミンが1-(2'-ヒドロキシアルキル)-2-イミ
    ダゾリドン基含有ポリプロピレンジアミンであり、ポリ
    フェノール系エポキシ樹脂がポリフェノールのポリグリ
    シジルエーテルである請求項1記載のクレーター防止
    剤。
  6. 【請求項6】 中和剤を含有する水性媒体中に、(A)
    カチオン性樹脂、および(B)請求項5記載のクレータ
    ー防止剤を含んで成るカチオン電着塗料組成物。
  7. 【請求項7】 式: 【化2】 (式中、Rは、水素原子、または炭素数1〜16の低級
    アルキル基であり、R1〜R4は、同一または異なって、
    水素、および炭素数1〜4のアルキル基であり、m+n
    は、1〜50の数である。)で表されるイミダゾリドン
    基含有ポリオキシアルキレンジアミンで変性されたエポ
    キシ樹脂をカチオン電着塗料組成物に添加するクレータ
    ー防止方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011506630A (ja) * 2007-12-06 2011-03-03 アルケマ フランス 会合型基を含む樹枝状分子から形成された材料
JP2016117804A (ja) * 2014-12-19 2016-06-30 Dic株式会社 水性樹脂組成物及び水性塗料
CN114853742A (zh) * 2022-05-13 2022-08-05 万华化学集团股份有限公司 一种改性hdi脲二酮固化剂的制备方法与应用

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