JPH10176745A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JPH10176745A
JPH10176745A JP35243096A JP35243096A JPH10176745A JP H10176745 A JPH10176745 A JP H10176745A JP 35243096 A JP35243096 A JP 35243096A JP 35243096 A JP35243096 A JP 35243096A JP H10176745 A JPH10176745 A JP H10176745A
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JP
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deviation
voltage value
displacement
displacement amount
trunnion
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JP35243096A
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Eiji Inoue
英司 井上
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、傾転軸の軸方向変位量及び傾転
角変位量の合成変位量に応じて目標変速比との偏差とそ
の微分値を傾転角の制御に帰還させることにより、傾転
角のオーバーシュート量を抑制するトロイダル型無段変
速機を提供する。 【解決手段】 目標変速比に対応する目標電圧値V0
求め、トラニオンの傾転軸方向変位量及びパワーローラ
の傾転角度変位量の合成変位量に対応する電圧値Vを検
出し(S2)、両者の偏差の絶対値を予め定めた値Vs
と比較し(S3)、偏差の絶対値がVs 以上であれば偏
差に比例する信号をソレノイド弁の制御信号に反映する
(S4)。偏差の絶対値がVs よりも小さい値であれ
ば、偏差の微分値を求め(S5)、偏差の微分に基づく
信号をも反映して(S6)、目標変速比に対する変速比
のオーバーシュート量を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、対向して配置さ
れた入力ディスクと出力ディスク、及び前記両ディスク
に対する傾転角度に応じて入力ディスクの回転を無段階
に変速して出力ディスクに伝達する一対のパワーローラ
から成る変速ユニットを備えたトロイダル型無段変速機
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に搭載されるトロイダル型無段変
速機は、上記変速ユニットが同一軸上に2つ配置された
ダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機が一般的
である。上記トロイダル型無段変速機は、概ね、図2に
エンジンEと一方の変速ユニット1とが模式的に示され
ているように、エンジンEの出力が入力される入力軸2
1、入力軸21に対して回転可能に支持された入力ディ
スク3、入力ディスク3に対向して配置され且つ入力軸
21に対して回転可能に支持された出力ディスク23、
対向する入力ディスク3と出力ディスク23の間に配置
され且つ入力ディスク3から出力ディスク23へトルク
を伝達する傾転可能な一対のパワーローラ2、入力軸2
1に設けた一対のフランジ部25と入力ディスク3との
間に配置され且つ入力ディスク3に作用して入力トルク
の大きさに応じてパワーローラ2の圧接力を変化させる
ローディングカムのような押圧手段22を有しており、
パワーローラ2を傾転させることにより、その傾転角度
に応じて入力ディスク3の回転を出力ディスク23に無
段階に変速して伝達するように構成されている。パワー
ローラ2が図示のように傾転すると、パワーローラ2の
入力ディスク3に対する摩擦接触位置が半径r1 の位置
となり、出力ディスク23に対する摩擦接触位置が半径
2 の位置となる。入出力ディスク間の変速比はr1
2 となる。なお、符号4で示す部材は、パワーローラ
2を傾転可能に支持するトラニオンであり、後に詳述す
る。また、他方の変速ユニットとの間で、一対の前記出
力ディスク23同士は連結部材(図示せず)によって一
体的に連結されて、出力軸24にトルクを出力する。上
記のようなトロイダル型無段変速機では、前記パワーロ
ーラ2の傾転はコントローラによって行われる。
【0003】このようなトロイダル型無段変速機におい
て、変速制御情報に基づいて選定された変速操作量を所
定の量と比較した結果に応じて、スプール弁を作動させ
るパルスモータの作動速度を変更したもの(特開昭61
−82065号公報)や、また、同じくスプール弁を作
動させるパルスモータの作動速度を変更したものであっ
て、変速制御情報により目標変速比を演算してこの目標
変速比を得るように駆動手段を介して変速手段を制御す
る一次制御と、目標変速比と実変速比との差を補正する
ように制御して二次制御とを組み合わせてスムースな変
速比制御を行うもの(特開平1−108455号公報)
が知られている。
【0004】しかしながら、パルスモータの回転速度を
変更することによって、スプール弁の作動速度を変更さ
せる形式のものにあっては、スプール弁の応答性は、パ
ワーローラの傾転の応答性、即ちトロイダル変速部分の
変速応答性と比較すると低速である。また、上記各公報
記載のものは、変速比やその偏差を考慮するものの、偏
差の微分値を考慮しているものではなく、したがって、
通常の比例制御では、変速比が目標変速比を大きく行き
過ぎるオーバーシュートが避けられない。
【0005】更に、上記のコントローラを含むトロイダ
ル型無段変速機としては、図3に示すものが知られてい
る(特開平8−233086号公報参照)。図3にはト
ロイダル型無段変速機の一方の変速ユニット1の制御シ
ステムが示されている。図示のように、一対のパワーロ
ーラ2は、対向して配置された入力ディスク3と出力デ
ィスク(図示省略)の間に挟まれるようにして対向して
配置され、それぞれトラニオン4と称する支持部材に回
転自在に支持されている。即ち、パワーローラ2はトラ
ニオン4に偏心軸5によって支持されている。また、そ
れぞれのトラニオン4は変速機ケーシング(図示省略)
に回動可能で且つ軸方向に移動可能に支持されている。
即ち、各トラニオン4は傾転軸6を有しており、傾転軸
6の軸方向に移動可能であり、且つ傾転軸6を中心とし
て回動可能である。トラニオン4の傾転軸6にはピスト
ン7が固定され、ピストン7は変速機ケーシングに形成
された油圧シリンダ8内を摺動可能に設けられている。
油圧シリンダ8内にはピストン7によって区画された2
つのシリンダ室、即ち増速側シリンダ室8aと減速側シ
リンダ室8bが形成されている。
【0006】油圧シリンダ8の各シリンダ室8a,8b
は油路9a,9bによってスプール弁10に連通してい
る。スプール弁10内に摺動自在に配設されたスプール
11は、軸方向両端に配置されたスプリング12によっ
て中立位置に保持されている。スプール弁10は一端に
Saポートが形成され、他端にSbポートが形成され、
Saポートにはソレノイド弁13aを介して油圧Saが
供給され、Sbポートにはソレノイド弁13bを介して
油圧Sbが供給される。スプール弁10は、ライン圧
(油圧源)へ連通するPLポート、油路9aを介して増
速側シリンダ室8aへ連通するAポート、油路9bを介
して減速側シリンダ室8bへ連通するBポート、リザー
バへ連通する2つのRポートを備えている。ソレノイド
弁13a,13bは、コントローラ14から出力された
制御信号に応じて作動するように構成されている。スプ
ール弁10は、トロイダル型無段変速機の変速比制御弁
を構成している。
【0007】一方の傾転軸6の先端にはプリセスカム1
5が連結され、中央部を枢着されたレバー16の一端が
プリセスカム15に当接し、レバー16の他端がポテン
ショメータ17に接続している。プリセスカム15は、
トラニオン4の傾転軸6の軸方向変位量Yに応じて変位
すると共に傾転角変位量θに応じても変位するので、両
変位量が存在する場合には両変位量の合成変位量を検出
することになる。ポテンショメータ17は、この合成変
位量に対応して電圧値Vを出力し、出力信号をコントロ
ーラ14に入力する。また、このコントローラは、その
他にも出力軸回転数センサ18、エンジン回転数センサ
19、アクセルペダル踏み込み量センサ20等の各種セ
ンサを備えており、これらのセンサで検出された出力軸
回転数、エンジン回転数、アクセルペダル踏込み量等の
変速情報信号がコントローラ14に入力される。なお、
出力軸回転数センサ18は車速センサであってもよく、
アクセルペダル踏込み量センサ20はスロットル開度セ
ンサであってもよい。
【0008】トロイダル型無段変速機では、トラニオン
4を中立位置からいずれか一方へ傾転軸方向(即ち、傾
転軸6の軸方向)に変位させると、その方向と変位量に
応じた向きと速さでトラニオン4が傾転軸6の回りで傾
転するという性質を利用して、該傾転を制御することに
より変速制御が行われる。
【0009】次に、この変速制御装置の作動について、
図4のフローチャートに基づいて説明する。変速動作が
開始される時点では、トラニオン4は、パワーローラ2
の回転軸線と入力ディスク3及び出力ディスクの回転軸
線とが交差する中立位置にある。エンジンが始動してエ
ンジンが停止するまで、コントローラ14はメインルー
チンの変速制御を行う。まず、コントローラ14は、変
速情報を基にトラニオンの傾転軸方向変位量Yがゼロ
(Y=0)で、且つパワーローラ2の目標傾転角がθ0
(基準となるパワーローラ2の姿勢(例えば、変速比が
1の状態での姿勢)から目標となる変速比を得るパワー
ローラ2の姿勢までの角度差)であるときの電圧値V0
(目標変速比e0 に対応する。以下、「目標電圧値」と
いう)を算出する。また、ポテンショメータ17から
は、傾転軸方向変位量Yと傾転角変位量θとの合成変位
量に相当する電圧値V(変速動作開始前であれば、上記
中立位置にあった状態での変速比に相当)が検出され
(S1−1)、検出された電圧値はコントローラ14に
入力される。
【0010】コントローラ14は、電圧値Vと目標電圧
値V0 とに基づいて電圧の偏差Veを求め、スプール弁
10の両端に作用する圧力Pa,Pbの差圧ΔPが、こ
の偏差Ve に比例するようにソレノイド13a,13b
に出力すべきdutyAとdutyBとを演算する。即
ち、コントローラ14は、電圧偏差V−V0 に応じて、
ソレノイド弁13aへ出力するduty(デューティ)
A、及びソレノイド弁13bへ出力するdutyBを、
それぞれ次式により算出する(S1−2)。 dutyA=50%+G(V0 −V) dutyB=50%−G(V0 −V) ここで、Gはフィードバックゲインとしての比例定数で
ある。また、dutyとはパルス幅変調制御におけるO
NとOFFの時間比率をいう。即ち、duty(%)は
次式で与えられる。 duty=(一周期のソレノイドON時間/ソレノイド
作動周期)×100 次に、dutyA及びdutyBをそれぞれソレノイド
弁13a,13bへ出力する(S1−3)。スプール弁
10のスプール11は、差圧ΔPとスプール11の両端
に配設されたスプリング12のばね力とが釣り合う位置
にまで移動する。即ち、スプール11の変位量は、偏差
e に比例した変位量となる。
【0011】例えば、トラニオン4がある中立位置にあ
るときの電圧値Vが目標電圧値V0よりも大である(V
>V0 )場合、即ち、減速比が大である状態にあるので
増速側に変速しようとする場合には、上記の式で算出さ
れたdutyA及びdutyBがソレノイド弁13a,
13bに出力される結果、スプール弁10の両端に作用
する圧力は油圧Sa及び油圧Sbの関係がSa<Sbと
なり、スプール11は図で左側に移動する。油路9aは
PLポートを介して圧力源へ連通し、油路9bはRポー
トを介してリザーバへ連通して、油路9aの圧力Paが
油路9bの圧力Pbよりも大きくなる(Pa>Pb)。
その結果、シリンダ室8a,8bの圧力差により、図3
においてトラニオン4は傾転軸方向変位量Yが負の方
向、即ち、左側のトラニオン4は上方へ変位し、右側の
トラニオン4は下方へ変位する。このとき、傾転軸方向
変位量Yが負(Y<0)であれば、パワーローラ2の傾
転特性によってパワーローラ2の傾転角変位量θが負
(θ<0)の方向(増速側)へトラニオン4は傾転を開
始し、傾転軸方向変位量Y及び傾転角変位量θは共に減
少していくので電圧値Vも減少して目標電圧値V0 に接
近していく。この変位に伴って、トラニオン4はそれぞ
れ傾転軸6の回りで傾転し、増速側へ変速動作が開始さ
れる。このように、パワーローラ2の傾転特性は、トラ
ニオン4が傾転軸6の軸方向に変位することによって傾
転角の変位が生じるものであるから、トラニオン4の傾
転軸方向変位量Yとパワーローラ2の傾転角変位量θと
の合成変位量を検出することで傾転軸方向変位量Yを含
んだ制御情報を得て、変速比の変化の方向性を知った上
でのパワーローラ2の傾転角の制御が可能となる。
【0012】更にトラニオン4の傾転が続くと、電圧値
Vは目標電圧値V0 以下に低下し(V<V0 )、上記の
式での算出の結果、大きさが逆転したdutyA及びd
utyBがソレノイド弁13a,13bに出力される。
スプール11は右側に変位し、油路9aの圧力Paは油
路9bの圧力Pbよりも小さくなり(Pa<Pb)、ト
ラニオン4は傾転軸方向変位量Yが正(Y>0)の方向
へ変位するので、トラニオン4の増速側への傾転にブレ
ーキがかかる。しかし、傾転軸方向変位量Yの値自体は
まだ負であるので、変速比は増速側に変化し続ける。ト
ラニオン4の傾転軸方向変位量Yがゼロ(Y=0)とな
った時点においても尚、偏差Ve が残っている場合に
は、傾転角が目標傾転角θ0 よりも増速側へオーバーシ
ュートしていることを意味しており、トラニオン4は更
に変位し、傾転軸方向変位量Yが正の値(Y>0)とな
って減速側に傾転する。そして、以上の変速動作を繰り
返して電圧値Vは目標電圧値V0 に収束し、やがて変速
比は目標変速比e0 に一致し、そのときには、トラニオ
ン4の傾転軸方向変位量Yもゼロになっており、変速動
作が終了する。コントローラ14はメインルーチンの変
速制御に戻る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、急加速
の場合等のキックダウンのように変速幅の大きいステッ
プ変速を行った場合には、変速開始後、最初に電圧値の
偏差Ve がゼロとなったときにはトラニオンは中立位置
を超えて大きく変位している状態にあり、傾転速度が非
常に速く傾転角のオーバーシュート量が大きくなる。そ
の後も変速比は大きく振動しながら目標変速比に収束
し、結果的に変速比の収束に時間を要する。最悪の場合
には、変速比は目標変速比に収束せずに発散することも
ある。したがって、変速幅の大きいステップ変速を行っ
た場合にも、オーバーシュートが生じないような変速制
御を如何にして実現するかの点で解決すべき課題があ
る。
【0014】この対策として、フィードバック要素とし
て、合成変位量に応じた電圧値の偏差Ve の比例要素に
加えて偏差Ve の微分要素をフィードバックさせる手法
が考えられる。この手法によれば、トラニオンの傾転軸
方向変位量が大きい程、傾転速度が大きくなる性質を利
用したものであり、偏差の微分値が大きい(即ち、傾転
速度が大きい)場合には、偏差の絶対値の大小に関わら
ずトラニオンの傾転速度を小さくして、偏差が減少して
きたときのトラニオンの傾転速度を抑制してオーバーシ
ュートを抑制しようとするものである。しかしながら、
この手法では、偏差Ve の絶対値が大きくそのために速
く傾転させる必要がある場合であるにもかかわらず、偏
差Ve の微分値をフィードバックし、傾転速度を抑制し
て変速に要する時間を長くしまうという問題がある。し
たがって、オーバーシュートも回避し、且つ偏差Ve
大きい状態では傾転速度を大きくできるようにするトロ
イダル型無段変速機が望まれている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、ソレノイド弁への出力信号
に前記偏差の微分要素に基づく信号をフィードバックさ
せるか否かを、前記偏差の絶対値が所定より小さい値で
あるか否かに応じて定めることにより、変速幅が大きい
場合には変速比を迅速に目標変速比に近づけ、且つ変速
比が目標変速比に近づくにつれて変速速度を小さくして
変速制御のオーバーシュートを防止するトロイダル型無
段変速機の変速制御装置を提供することである。
【0016】この発明は、上記の目的を解決するため、
以下のように構成されている。即ち、この発明は、対向
して配置された入力ディスクと出力ディスク、前記両デ
ィスクに対する傾転角度の変化に応じて前記入力ディス
クの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達す
る一対のパワーローラ、前記パワーローラを回転自在に
支持した傾転軸方向に変位可能な一対のトラニオン、前
記各トラニオンを傾転軸方向に変位させる二つのシリン
ダ室を有する油圧シリンダ、スプールが中立位置にある
状態で前記シリンダ室を遮断し且つ前記スプールが前記
中立位置から変位した状態で前記各シリンダ室を油圧源
とリザーバとにそれぞれ選択的に連通させるスプール
弁、前記スプールの両端に作用する油圧を制御するソレ
ノイド弁、前記トラニオンの傾転軸方向変位量と前記パ
ワーローラの傾転角変位量との合成変位量を検出するプ
リセスカム、前記合成変位量を対応する電圧値に変換す
るポテンショメータ、及び前記電圧値と目標変速比に対
応する目標電圧値との偏差の絶対値が予め定めた値以上
である状態に応答して前記偏差の比例要素のみに基づく
信号を前記ソレノイド弁への出力信号にフィードバック
し、前記偏差の絶対値が前記予め定めた値より小さい状
態に応答して前記偏差の比例要素に基づく信号と前記偏
差の微分要素に基づく信号とを前記ソレノイド弁への出
力信号にフィードバックするコントローラから成るトロ
イダル型無段変速機に関する。
【0017】この発明によれば、センサで検出したトラ
ニオンの傾転軸方向変位量とパワーローラの傾転角変位
量との合成変位量は、ポテンショメータによって対応す
る電圧値に変換され、この電圧値と目標変速比に対応す
る目標電圧値との偏差の絶対値が予め定めた値を超える
場合には、ソレノイド弁への出力信号に偏差の比例要素
のみに基づく信号をフィードバックし、偏差が大きい程
スプール弁のスプールの移動量を大きくし、シリンダ室
に対して油圧源の圧力を作用させてトラニオンの傾転軸
を大きく移動させて、変速比を目標変速比へ迅速に近づ
ける制御を行う。前記偏差にはトラニオンの傾転軸方向
変位量に対応する部分が含まれてはいるが、当該部分は
変速比の変化の方向と程度を示すものであるので、ポテ
ンショメータによって変換された電圧値と目標電圧値と
の偏差の絶対値が予め定めた値以下である場合には、一
般的に言って、制御すべき変速比幅が小さい状態にあ
る。
【0018】傾転軸の傾転速度が大き過ぎると、変速比
は、目標変速比に接近しても目標変速比をオーバーシュ
ートすることになる。ソレノイド弁の制御のためのフィ
ードバック要素に前記合成変位量に対応する電圧値と目
標電圧値との偏差の微分要素を含めることにより、傾転
軸の傾転速度を抑えて、変速比が目標変速比に対してオ
ーバーシュートする量を抑制して収束する制御が行われ
る。合成変位量を制御信号に用いることは、従来のトロ
イダル型無段変速機と同様、入出力ディスクに対するパ
ワーローラの傾転特性に基づくものであり、トラニオン
の傾転軸方向変位量を知ることによりパワーローラの傾
転角の変化、即ち変速比の変化の方向と程度を事前に知
ろうとするものである。合成変位量に対応した電圧値が
目標電圧値に一致したときには、トラニオンの傾転軸方
向変位量はゼロになっており、パワーローラの傾転角は
目標傾転角となって、目標変速比が得られている。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明の実施例を説明する。図1はこの発明によるトロ
イダル型無段変速機の変速制御を示すフローチャートで
ある。この発明によるトロイダル型無段変速機の変速機
構としての構造は、図2及び図3に示した構造と同じ構
造を有するものであるので、再度の説明を省略する。
【0020】このトロイダル型無段変速機のコントロー
ラが行う変速制御の手順(1)〜(8)を、図1のフロ
ーチャートを参照して以下に説明する。 (1)変速動作が開始される時点では、トラニオン4は
中立位置にある。エンジンが始動した後停止するまで、
コントローラ14はメインルーチンの変速制御を行う
(S1)。コントローラ14は、目標変速比e0 に対応
する目標電圧値V0との変換テーブルを内部に備えてい
る。コントローラ14は、出力軸回転数センサ18、エ
ンジン回転数センサ19及びアクセルペダル踏込み量セ
ンサ20で検出した出力軸回転数、エンジン回転数及び
アクセルペダル踏込み量等の変速情報に関する検出値を
受け取り、これらの変速情報に基づいて最適な変速比、
即ち、目標変速比e0 を得て、前記変換テーブルによっ
て目標変速比e0 に対応する目標電圧値V0 を求める。 (2)次に、プリセスカム15は、トラニオン4の傾転
軸6の軸方向変位量であるトラニオン4の傾転軸方向変
位量Yと、傾転軸6の傾転角変位量であるパワーローラ
2の傾転角変位量θとの合成変位量を検出し、ポテンシ
ョメータ17は、この合成変位量を対応する電圧値に変
換する。コントローラ14は、この変換された電圧値V
を取り込む(S2)。 (3)目標電圧値V0 とS2で求めた電圧値Vとの偏差
を求め、求めた偏差の絶対値が予め定めた値、即ち電圧
値Vs よりも小さいか否かを判定する(S3)。 (4)S3で求めた偏差が、予め定めた電圧値Vs 以上
の値である状態では、従来と同様のduty制御が行わ
れる。即ち、その偏差のみに応じた大きさの制御量でソ
レノイド弁を駆動して、変速動作を速く行うようにす
る。ソレノイド弁13aへ出力するduty(デューテ
ィ)A、及びソレノイド弁13bへ出力するdutyB
は、それぞれ次式により算出される(S4)。 dutyA=50%+G(V0 −V) dutyB=50%−G(V0 −V) ここで、Gはフィードバックゲインとしての比例定数で
ある。算出されたdutyA及びdutyBは、それぞ
れソレノイド弁13a,13bへ出力される(S7) (5)S3で求めた電圧値の偏差が、予め定めた電圧値
s より小さい状態では、電圧値Vの微分値φが求めら
れる(S5)。即ち、次の式のように、サンプリング時
間間隔を置いて検出された電圧値の偏差をサンプリグ時
間tで割った値として微分値を求める。 φ=(V−V(前回検出値))/サンプリング時間t (6)コントローラ14は、S3で求めた電圧値Vと目
標電圧値V0 との偏差、及びS5で求めたその微分値φ
に対応して、ソレノイド弁13aへ出力するduty
(デューティ)A、及びソレノイド弁13bへ出力する
dutyBを、それぞれ次式により算出する(S6)。 dutyA=50%+G(V0 −V)−H(φ) dutyB=50%−G(V0 −V)+H(φ) ここで、G,Hはフィードバックゲインとしての比例定
数である。 (7)S6で算出したdutyA及びdutyBは、そ
れぞれソレノイド弁13a,13bへ出力される(S
7)。 (8)最後に、メインルーチンのスタート(S1)へ戻
って再び変速動作が繰り返される(S8)。
【0021】次に、上記制御フローを、実際の変速の一
例について説明する。今までの目標電圧値からΔV増加
して目標電圧値がV0 に変更されたとする。|ΔV|≧
sとすると、偏差Ve の比例要素に基づく信号のみが
フィードバックされ、変速制御弁であるスプール弁10
は右側へ変位し、油圧Pa及び油圧Pbの関係はPb>
Paとなる。このため、トラニオン4は傾転軸方向変位
量Yが正(Y>0)の方向に変位し、変速機は減速を開
始し、偏差Ve は減少し始めるが、スプール11は依然
として中立位置よりは右側に変位しているので、トラニ
オン4は引き続き同じ方向に変位し続け、減速方向の傾
転速度は増加する。
【0022】偏差Ve が予め定めた電圧値Vs より減少
した(|Ve |<Vs )状態では、ソレノイド弁への制
御信号に偏差Ve の微分要素に基づく信号もフィードバ
ックされる。このとき、電圧値V自体は増加傾向にある
から、dutyの値に占める信号H(φ)は正の値であ
る。その結果、dutyA及びdutyBの値は、微分
要素をフィードバックしない場合と比較して、それぞれ
小又は大の値となる。したがって、微分要素をフィード
バックすると、変速を開始してから最初に電圧の偏差が
ゼロ(Ve =0)となる時点よりも前に、スプール11
は中立位置よりも左側へ変位し、油圧Pa及び油圧Pb
の関係はPa>Pbとなり、トラニオン4は、逆方向
(Y<0の方向)への変位を開始する。このため、トラ
ニオン4の傾転角は変速開始後、最初に電圧の偏差がゼ
ロ(Ve =0)となる時点では、傾転速度及びパワーロ
ーラ2の傾転角変位量が、従来の変速制御の場合よりも
小さくなるので、傾転角のオーバーシュートを小さくし
て目標変速比への収束を速くすることができる。
【0023】
【発明の効果】この発明は、上記のように構成されてい
るので、次のような効果を奏する。即ち、このトロイダ
ル型無段変速機は、変速比制御弁のスプールの位置を定
めるソレノイド弁への出力信号を制御するコントローラ
が、トラニオンの傾転軸方向変位量とパワーローラの傾
転角変位量との合成変位量に対応して変換された電圧値
と、目標変速比に対応する目標電圧値との偏差の絶対値
が予め定めた値以上である状態に応答して偏差の比例要
素のみに基づく信号をソレノイド弁への出力信号にフィ
ードバックし、偏差の絶対値が前記予め定めた値より小
さい状態に応答して偏差の比例要素に基づく信号と偏差
の微分要素に基づく信号とをソレノイド弁への出力信号
にフィードバックする構成としたので、前記偏差の絶対
値が予め定めた値以上である状態では偏差が大きいほど
大きな出力信号をソレノイド弁への出力信号にフィード
バックし、偏差の絶対値が前記予め定めた値になるまで
偏差は速やかに縮小する。また、偏差の絶対値が前記予
め定めた値より小さくなると、偏差の微分値がソレノイ
ド弁の出力信号にフィードバックされるので、偏差がゼ
ロの状態に急激に接近することに起因して生じていた変
速比のオーバーシュートが抑制される。したがって、ト
ロイダル型無段変速機の変速比は目標変速比に対して迅
速に且つオーバーシュートすることなく収束させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるトロイダル型無段変速機の変速
制御を示すフローチャートである。
【図2】従来のトロイダル型無段変速機を模式的に示し
た図である。
【図3】従来のトロイダル型無段変速機の制御システム
を示す概略図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機の変速制御を示
すフローチャートである。
【符号の説明】
1 変速ユニット 2 パワーローラ 3 入力ディスク 4 トラニオン 6 傾転軸 7 ピストン 8 油圧シリンダ 8a,8b シリンダ室 10 スプール弁 11 スプール 13 ソレノイド弁 14 コントローラ 15 プリセスカム 17 ポテンショメータ 23 出力ディスク Y 傾転軸方向変位量 θ 傾転角変位量 V 電圧値 V0 目標電圧値 Vs 予め定めた値 e0 目標変速比

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置された入力ディスクと出力
    ディスク、前記両ディスクに対する傾転角度の変化に応
    じて前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出
    力ディスクに伝達する一対のパワーローラ、前記パワー
    ローラを回転自在に支持した傾転軸方向に変位可能な一
    対のトラニオン、前記各トラニオンを傾転軸方向に変位
    させる二つのシリンダ室を有する油圧シリンダ、スプー
    ルが中立位置にある状態で前記シリンダ室を遮断し且つ
    前記スプールが前記中立位置から変位した状態で前記各
    シリンダ室を油圧源とリザーバとにそれぞれ選択的に連
    通させるスプール弁、前記スプールの両端に作用する油
    圧を制御するソレノイド弁、前記トラニオンの傾転軸方
    向変位量と前記パワーローラの傾転角変位量との合成変
    位量を検出するプリセスカム、前記合成変位量を対応す
    る電圧値に変換するポテンショメータ、及び前記電圧値
    と目標変速比に対応する目標電圧値との偏差の絶対値が
    予め定めた値以上である状態に応答して前記偏差の比例
    要素のみに基づく信号を前記ソレノイド弁への出力信号
    にフィードバックし、前記偏差の絶対値が前記予め定め
    た値より小さい状態に応答して前記偏差の比例要素に基
    づく信号と前記偏差の微分要素に基づく信号とを前記ソ
    レノイド弁への出力信号にフィードバックするコントロ
    ーラから成るトロイダル型無段変速機。
JP35243096A 1996-12-13 1996-12-13 トロイダル型無段変速機 Pending JPH10176745A (ja)

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